JP7046752B2 - 砂組成物およびその製造方法と、3次元積層造形鋳型の製造方法 - Google Patents

砂組成物およびその製造方法と、3次元積層造形鋳型の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、砂組成物およびその製造方法と、3次元積層造形鋳型の製造方法に関する。
従来、鋳造用鋳型(以下、単に「鋳型」ともいう。)の一つとして自硬性鋳型が知られている。自硬性鋳型とは、珪砂等の耐火性粒状材料に、フラン樹脂等を主成分とした粘結剤(酸硬化性粘結剤)と、硫酸やキシレンスルホン酸等の酸触媒(硬化剤)とを添加、混練した後、得られた混練砂を木型や樹脂型(以下、これらを総称して「模型」という。)に充填し、粘結剤を硬化させる方法で製造されているものである。
鋳型には、鋳造作業時に崩壊しないだけの強度が要求される。
高強度の鋳型が得られる耐火性粒状材料として、非晶化度が70~100%の鋳物砂が提案されている(特許文献1参照)。
特許第4615370号公報
ところで、複雑な形状の鋳型を製造するには、必然的に模型の数を増やす必要があるが、工程の煩雑化の原因となる。また、模型の数を増やすことができても、鋳型を模型から外すことができなければ、鋳型を製造することはできない。
こうした問題を解決するために、近年、模型を用いなくても直接鋳型を製造することが可能な、3次元積層造形による鋳型の製造方法が提案されている。
3次元積層造形とは、CAD(computer aided design)システム上で入力された3次元形状を、直接立体モデル(3次元モデル)として鋳型などを製造する方法である。
3次元積層造形による鋳型の製造方法としては、耐火性粒状材料と液状の酸触媒とを含む混練砂を積層(リコーティング)し、その上にCADデータに基づいて酸硬化性粘結剤を印刷する操作を繰り返し、酸硬化性粘結剤が硬化した後に非印刷部分の混練砂を取り除く方法が知られている。
耐火性粒状材料の種類によっては流動性が悪く、リコーティングしにくい場合があるため、3次元積層造形に用いられる耐火性粒状材料や混錬砂には、流動性に優れることが求められる。
また、3次元積層造形により鋳型を製造する場合には、鋳型の大きさにもよるが、1時間以上、場合によっては24時間程度の時間を要する。通常、混錬砂はホッパーに貯留されており、ホッパーから3次元積層造形装置に一定量の混錬砂を供給しながらリコーティングする。ホッパーは開放されているため、鋳型が完成するまで混錬砂は空気に曝されることとなる。そのため、混錬砂には、長時間にわたり貯留されていても流動性に優れることが求められる。
しかしながら、特許文献1に記載の鋳物砂を含む混練砂は、必ずしも充分な流動性を有しているとはいえず、特に3次元積層造形用には不向きである。
本発明は、強度の高い鋳型を製造でき、かつ長時間にわたり流動性に優れる砂組成物およびその製造方法と、3次元積層造形鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]非晶質の耐火性粒状材料と、酸触媒と、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトとを含み、前記耐火性粒状材料100質量部に対して、前記酸触媒の含有量が0.05~1.0質量部であり、前記ゼオライトの含有量が0.1~1.0質量部である、砂組成物。
[2]前記砂組成物中の溶媒の含有量が、前記耐火性粒状材料100質量部に対して0.5質量部以下である、[1]に記載の砂組成物。
[3]前記耐火性粒状材料の平均粒子径が50~600μmである、[1]または[2]に記載の砂組成物。
[4]前記ゼオライトの平均粒子径が~100μmである、[1]~[3]のいずれか1つに記載の砂組成物。
[5]前記ゼオライトが下記条件(a)を満たす、[1]~[4]のいずれか1つに記載の砂組成物。
条件(a):水50gと、ゼオライト0.5gとの混合物の25℃におけるpHが7.5以下である。
[6]前記酸触媒が、硫酸、リン酸、スルホン酸およびカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の砂組成物。
[7]3次元積層鋳型造形用である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の砂組成物。
[8][1]~[7]のいずれか1つに記載の砂組成物の製造方法であって、前記耐火性粒状材料を100~150℃に加熱した後、加熱した耐火性粒状材料に前記酸触媒の溶液を添加し、さらに前記ゼオライトを添加する、砂組成物の製造方法。
[9][1]~[7]のいずれか1つに記載の砂組成物の製造方法であって、前記耐火性粒状材料と、前記酸触媒と、前記ゼオライトとを混合する、砂組成物の製造方法。
[10]前記耐火性粒状材料と前記酸触媒とを混合して混合物を調製した後に、前記混合物と前記ゼオライトとを混合する、[9]に記載の砂組成物の製造方法。
[11][7]に記載の砂組成物を層状に敷き詰める工程と、前記層状に敷き詰められた砂組成物を目的の3次元積層鋳型造形物に対応して結合するように、前記層状に敷き詰められた砂組成物に酸硬化性粘結剤を選択的に射出して硬化させる工程とを含み、前記敷き詰める工程と前記硬化させる工程とを、前記目的の3次元積層鋳型造形物が造形されるまで繰り返す、3次元積層造形鋳型の製造方法。
本発明によれば、強度の高い鋳型を製造でき、かつ長時間にわたり流動性に優れる砂組成物およびその製造方法と、3次元積層造形鋳型の製造方法を提供できる。
流動性の評価1におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は実施例4、(b)は実施例5、(c)は比較例4、(d)は比較例5である。 流動性の評価2におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は実施例4、(b)は実施例5、(c)は比較例4、(d)は比較例5である。 流動性の評価3におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は実施例4、(b)は実施例5、(c)は比較例4である。 流動性の評価1におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は比較例6、(b)は比較例7、(c)は比較例8、(d)は比較例9である。 流動性の評価2におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は比較例6、(b)は比較例7、(c)は比較例8、(d)は比較例9である。 流動性の評価1におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は実施例6、(b)は実施例7、(c)は比較例10である。 流動性の評価2におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は実施例6、(b)は実施例7、(c)は比較例10である。 流動性の評価3におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は実施例6、(b)は実施例7、(c)は比較例10である。 流動性の評価1におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は実施例8、(b)は比較例11である。 流動性の評価2におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は実施例8、(b)は比較例11である。 流動性の評価1におけるスランプ試験の結果を示す写真であり、(a)は比較例12、(b)は比較例13、(c)は比較例14、(d)は比較例15である。
本発明において、3次元積層造形により鋳型を製造する場合を特に「3次元積層鋳型造形」ともいう。
また、以下の明細書において、「鋳型」とは、本発明の砂組成物を用いて造形してなるものである。特に、3次元積層鋳型造形により得られた鋳型を「3次元積層造形鋳型」ともいう。
[砂組成物]
本発明の砂組成物は、耐火性粒状材料と、酸触媒と、ゼオライトとを含むものである。砂組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
<耐火性粒状材料>
耐火性粒状材料は非晶質である。非晶質の耐火性粒状材料を用いることで、強度の高い鋳型が得られる。
耐火性粒状材料の非晶化度は50~100%が好ましく、60~100%がより好ましく、70~100%がさらに好ましく、80~100%が特に好ましく、90~100%が最も好ましい。非晶化度が50%以上であれば、強度のより高い鋳型が得られる。
耐火性粒状材料の非晶化度は、X線回折により、以下のようにして求められる。
耐火性粒状材料をボールミル等で粉砕し、粉砕した耐火性粒状材料を粉末X線回折装置(XRD装置、例えば株式会社リガク製の「RINT2000」)のX線ガラスホルダーに圧着し、以下の測定条件で測定を行う。
測定条件:開始角度3°、終了角度90°、スキャンスピード2°/min、発散スリット1°、散乱スリット1°、受光スリット0.3mm。
2θ=10~90°の範囲で、低角度側および高角度側のX線強度を直線で結び、直線より下の面積をバックグラウンドとし、バックグラウンドより上の面積について、非晶性ピークと結晶質ピークをカーブフィッティングにより分離し、それぞれの面積を求め、下記式より結晶化度および非晶化度(%)を算出する。
結晶化度(%)=結晶質ピークの面積/(結晶質ピークの面積+非晶質ピークの面積)×100
非晶化度(%)=100-結晶化度(%)
耐火性粒状材料の非晶化度の制御方法としては特に制限されないが、溶融物を急冷させるような製造方法が好ましく、例えば、原料を溶融させ、エアーで風砕させ急冷する方法、火炎中において処理し、急冷させる方法などが挙げられる。いずれにおいても、冷却方法は材質、粒径によって様々な速度で適宜選択されればよい。また、一旦結晶化したものを熱処理と冷却処理にて非晶化させる方法を用いてもよい。これらの中でも、加熱と冷却が容易に制御できる火炎溶融法を用いた方法が好ましい。
非晶質の耐火性粒状材料としては、非晶質シリカ、非晶質アルミナシリケート(非晶質ケイ酸アルミニウム)などが挙げられる。また、使用済みの非晶質の耐火性粒状材料を回収したもの(回収砂)や再生処理したもの(再生砂)なども使用できる。
これら耐火性粒状材料は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
耐火性粒状材料の平均粒子径は50~600μmが好ましく、60~500μmがより好ましく、70~300μmがさらに好ましく、75~150μmが特に好ましい。耐火性粒状材料の平均粒子径が50μm以上であれば、取扱いに優れ、作業性を良好に維持できる。耐火性粒状材料の平均粒子径が600μm以下であれば、強度のより高い鋳型が得られる。また、該鋳型を用いて鋳造される鋳物の表面性にも優れる。加えて、耐火性粒状材料の平均粒子径が小さいほど、型を用いなくても直接鋳型を製造することが可能な、3次元積層造形鋳型の製造に好適であり、面相度に優れた3次元積層造形鋳型が得られる。特に、耐火性粒状材料の平均粒子径が300μm以下であれば、3次元積層造形鋳型の製造により好適な砂組成物が得られる。
耐火性粒状材料の平均粒子径は、動的光散乱法により測定した耐火性粒状材料の体積累計50%のメディアン径である。
<酸触媒>
酸触媒は、鋳型を製造するに際して粘結剤の役割を果たす酸硬化性粘結剤を硬化させる触媒である。
酸触媒としては、硫酸、リン酸、スルホン酸およびカルボン酸などが挙げられる。
スルホン酸としては、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。
カルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、安息香酸などが挙げられる。
これら酸触媒は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化剤としての性能に優れる点で、キシレンスルホン酸が好ましい。
酸触媒の含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して、0.05~1.0質量部が好ましく、0.1~0.7質量部がより好ましく、0.2~0.3質量部がさらに好ましい。酸触媒の含有量が0.05質量部以上であれば、酸硬化性粘結剤を充分に硬化することができる。酸触媒の含有量が1.0質量部以下であれば、注湯時のガスの発生を軽減できる。
<ゼオライト>
ゼオライトは、結晶性アルミノケイ酸塩の総称である。
ゼオライトのSiO/Alモル比は5以上である。前記モル比が大きくなるほど疎水性が高まる。前記モル比が5以上であれば、充分な疎水性を発現して耐火性粒状材料に水が付着するのを抑制でき、ブロッキングしにくい砂組成物が得られる。前記モル比は5~1500が好ましく、20~1000がより好ましく、30~600がさらに好ましい。
ゼオライトのSiO/Alモル比は、蛍光X線分析(XRF)を用いて測定することができる。
ゼオライトの骨格構造としては、例えばA型、X型、LSX型、ベータ型、ZSM-5型、フェリエライト型、モルデナイト型、L型、Y型などが挙げられる。これらゼオライトは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ゼオライトは、負電荷を補償するために骨格中に陽イオンが存在する。陽イオンとしては、水素イオン;アンモニウムイオン;リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン:カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオンなどが挙げられる。
ゼオライトの平均粒子径は0.1~100μmが好ましく、1~20μmがより好ましく、2~10μmがさらに好ましく、2~3μmが特に好ましい。ゼオライトの平均粒子径が0.1μm以上であれば、耐火性粒状材料と混合しやすくなる。ゼオライトの平均粒子径が100μm以下であれば、耐火性粒状材料の表面への分散が良好となる。
ゼオライトの平均粒子径は、動的光散乱法により測定したゼオライトの一次粒子の体積累計50%のメディアン径である。
ゼオライトは、下記条件(a)を満たすことが好ましい。
条件(a):水50gと、ゼオライト0.5gとの混合物の25℃におけるpHが7.5以下である。
水とゼオライトとの混合物のpHは、ゼオライト中の陽イオン(アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなど)に依存し、pHが高いほど、すなわちアルカリ性であるほど陽イオンの割合が多いことを意味する。陽イオンの割合が高いと陽イオンにより酸触媒が消費され、酸触媒の効果が充分に発揮されず、鋳型の強度が低下する傾向にある。水とゼオライトとの混合物のpHが高くても、酸触媒の担持量を増やせば酸触媒の消費を低減できるが、酸触媒の担持量が増えると注湯時にガスが発生して作業環境が悪化する。水とゼオライトとの混合物のpHが7.5以下であれば、酸触媒の消費を抑制でき、強度の高い鋳型が得られる。
水とゼオライトとの混合物のpHは7.0以下がより好ましく、6.0以下がさらに好ましい。
なお、pHは、水とゼオライトを混合し、25℃で15分撹拌した後にpHメータを用いて測定する。
ゼオライトの含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して、0.1~1.0質量部が好ましく、0.15~0.5質量部がより好ましく、0.2~0.3質量部がさらに好ましい。ゼオライトの含有量が0.1質量部以上であれば、耐火性粒状材料のブロッキングをより抑制できる。耐ブロッキング性の効果はゼオライトの含有量が増えるほど高まる傾向にあるが、ゼオライトの含有量が増えるに連れて鋳型の強度が低下する傾向にある。ゼオライトの含有量が1.0質量部以下であれば、鋳型の強度を良好に維持できる。
<溶媒>
溶媒としては、水、アルコール、これらの混合物などが挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2プロパノールなどが挙げられる。
これらの中でも、溶媒としては水が好ましい。
溶媒の含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して、0.5質量部以下が好ましく、0.3質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下がさらに好ましい。溶媒の含有量が0.5質量部以下であれば、砂組成物の流動性がより向上する。
<製造方法>
砂組成物は、例えば以下のようにして製造できる。
予め、酸触媒の溶液を調製しておく。溶媒としては先に例示した溶媒が挙げられる。酸触媒が室温(25℃)で液体の場合、前記溶媒で希釈して用いることが好ましい。
次いで、耐火性粒状材料を加熱する。加熱温度は、前記溶媒の沸点より高い温度が好ましく、通常は、100~150℃である。
次いで、加熱した耐火性粒状材料に酸触媒の溶液を添加する。加熱した耐火性粒状材料に酸触媒の溶液を添加すると、溶媒が揮発して酸触媒が耐火性粒状材料に残り、耐火性粒状材料に酸触媒が担持する。
次いで、酸触媒が担持した耐火性粒状材料にゼオライトを添加し、砂組成物を得る。
溶媒を揮発させて製造した砂組成物を「触媒被覆砂(Catalyst Coated Sand(CCS))」ともいう。
こうして得られた砂組成物は、耐火性粒状材料の表面に酸触媒が担持され、この酸触媒を覆うように耐火性粒状材料の表面にゼオライトが付着された構造になっているものと考えられる。
砂組成物は、上述した方法以外にも、例えば耐火性粒状材料と、酸触媒と、ゼオライトとを混合することで製造できる。混合工程では、耐火性粒状材料と、酸触媒と、ゼオライトとを同時に混合してもよいし、耐火性粒状材料と酸触媒とを混合して混合物を調製した後に、得られた混合物とゼオライトとを混合してもよい。耐火性粒状材料と酸触媒とを先に混合しておき、後からゼオライトを混合した方が、耐火性粒状材料と酸触媒とがより均一に混合され、これら表面をゼオライトが覆うことができる。
酸触媒は、予め溶媒に溶解して用いるか、酸触媒が室温(25℃)で液体の場合は、酸触媒を溶媒で希釈して用いることが好ましい。
<作用効果>
以上説明した本発明の砂組成物は、非晶質の耐火性粒状材料を含むので、強度の高い鋳型を製造できる。
非晶質の耐火性粒状材料は、結晶質の耐火性粒状材料に比べて表面の凹凸が少ない。そのため、吸湿すると凝集しやすく、流動性が低下しやすい傾向にある。
また、従来の3次元積層鋳型造形などに用いられる耐火性粒状材料と液状の酸触媒とを含む混錬砂は、湿態性を有するため流動性が低下しやすい。混錬砂の代わりに、予め酸触媒を担持させた耐火性粒状材料を用いれば調製直後の流動性は改善されるものの、時間の経過と共にブロッキングしやすく、長時間にわたり流動性を維持することが困難である。
しかし、本発明の砂組物であれば、非晶質の耐火性粒状材料に加えて、酸触媒と特定のゼオライトとを特定量含むので、ブロッキングしにくい。これは、耐火性粒状材料や酸触媒による吸湿が、疎水性のゼオライトの存在により抑制されるためであると考えらえる。
よって、本発明の砂組成物は、長時間にわたり流動性に優れ、砂組成物の保管や搬送時に加えて、鋳型製造時に空気に曝されても流動性を維持できる。
本発明の砂組成物は自硬性鋳型の製造用として好適であり、型を用いた鋳型の製造はもちろんのこと、3次元積層鋳型造形用にも適用できる。本発明の砂組成物は流動性に優れることから、3次元積層鋳型造形用として特に好適である。
[3次元積層造形鋳型の製造方法]
本発明の3次元積層造形鋳型の製造方法は、砂組成物を層状に敷き詰める工程(以下、「工程(A)」ともいう。)と、層状に敷き詰められた砂組成物を目的の3次元積層鋳型造形物に対応して結合するように、前記層状に敷き詰められた砂組成物に酸硬化性粘結剤を選択的に射出して硬化させる工程(以下、「工程(B)」ともいう。)とを含み、工程(A)と工程(B)とを、目的の3次元積層鋳型造形物が造形されるまで繰り返す。
<砂組成物>
砂組成物としては、上述した本発明の砂組成物(以下、「本砂組成物」ともいう。)を用いる。
<酸硬化性粘結剤>
酸硬化性粘結剤としては、フルフリルアルコール単独、2,5-ビス(ヒドロキシルメチル)フラン、フェノール類およびビスフェノール類からなる群より選ばれる1種以上と、フルフリルアルコールとの混合物であるか、フェノール類およびビスフェノール類とアルデヒド類との縮合物または共縮合物であるか、フェノール類およびビスフェノール類とアルデヒド類との縮合物または共縮合物と、フルフリルアルコールとの混合物、または、フェノール類およびビスフェノール類とアルデヒド類との縮合物または共縮合物と、フルフリルアルコールと、2,5-ビス(ヒドロキシルメチル)フランとの混合物であるか、尿素とアルデヒド類との縮合物と、フルフリルアルコールの混合物、または、尿素とアルデヒド類との縮合物と、フルフリルアルコールと、2,5-ビス(ヒドロキシルメチル)フランとの混合物が挙げられる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、ノニルフェノール、カシューナッツ殻液などが挙げられる。
ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールS、ビスフェノールZなどが挙げられる。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルジアルデヒド、フタル酸ジアルデヒドなどが挙げられる。
フェノール類およびビスフェノール類と、アルデヒド類との縮合物、または共縮合物としては、フェノール類、ビスフェノール類のいずれか一方を単独で用いてもよいし、フェノール類およびビスフェノール類を混合して用いてもよい。特に、強度の高い3次元積層造形鋳型が得られやすい点で、フェノール類およびビスフェノール類からなる共縮合物が好ましい。
フェノール類およびビスフェノール類と、アルデヒド類との縮合物、または共縮合物(以下、これらを総称して「フェノール系化合物」ともいう。)におけるアルデヒド類の使用量は、フェノール系化合物の総モル数に対して1.0~3.5倍モルが好ましく、1.1~2.5倍モルがより好ましく、1.3~1.7倍モルが特に好ましい。アルデヒド類の使用量がフェノール系化合物の総モル数に対して1.0倍モル以上であれば、3次元積層造形鋳型の強度が高まる。アルデヒド類の使用量がフェノール系化合物の総モル数に対して3.5倍以下であれば、未反応のアルデヒド類の量を減らすことができる。未反応のアルデヒド類が残存していると、積層造形時にアルデヒド類の発生が多くなる傾向がある。
尿素とアルデヒド類との反応におけるアルデヒド類の使用量は、尿素のモル数に対して1.0~3.0倍モルが好ましく、1.3~2.5倍モルがより好ましく、1.5~2.0倍モルが特に好ましい。
酸硬化性粘結剤は、3次元積層造形鋳型の強度を高める目的で、シランカップリング剤を含んでいてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、酸硬化性粘結剤の総質量に対して、0.01~3.0質量%が好ましく、0.1~2.0質量%がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が0.01質量%以上であれば、3次元積層造形鋳型の強度を向上させる効果が充分得られる。3次元積層造形鋳型の強度向上効果は、シランカップリング剤の添加量が増えるほど得られやすくなる傾向にあるが、増えすぎても効果は頭打ちになるだけである。よって、シランカップリング剤の含有量は3.0質量%以下が好ましい。
工程(A)および工程(B)は、例えば印刷造形法を用いた3次元積層装置を用い、以下のようにして行われる。
3次元積層装置としては、ブレード機構と、印刷ノズルヘッド機構と、造形テーブル機構とを備えるものが好ましい。さらに、各機構の動作を造形対象物の3次元データを用いて制御する制御部を備えていることが好ましい。
ブレード機構は、リコータを含み、金属ケースの底面または酸硬化性粘結剤で結合済みの造形部の上層に、砂組成物を所定の厚みで積層するものである。
印刷ノズルヘッド機構は、積層された砂組成物に対して酸硬化性粘結剤による印刷を行い、砂組成物を結合することによって1層毎の造形を行うものである。
造形テーブル機構は、1層の造形が終了すると1層分の距離だけ下降して、所定の厚みでの積層造形を実現するものである。
まず、印刷造形法を用いた3次元積層装置を用い、リコータを有するブレード機構により砂組成物を3次元積層装置に設置された金属ケースの底面に積層する(工程(A))。ついで、積層した砂組成物の上に、目的の3次元積層造形物(3次元積層造形鋳型)の形状を3DCAD設計して得られたデータに基づいて印刷ノズルヘッド機構により印刷ノズルヘッドを走査させて、酸硬化性粘結剤を印刷(射出)する(工程(B))。金属ケースの底面は造形テーブルとなっており、上下に可動することができる。酸硬化性粘結剤を印刷した後、金属ケースの底面(造形テーブル)を一層分降下させ、先と同様にして砂組成物を積層し(工程(A))、その上に酸硬化性粘結剤を印刷する(工程(B))。これら積層と印刷の操作を、目的の3次元積層鋳型造形物が造形されるまで繰り返す。一層の厚さは、100~500μmが好ましく、200~300μmがより好ましい。
酸硬化性粘結剤を印刷する際の塗布量としては特に限定されないが、一層分の砂組成物の質量を100質量部としたときに、0.4~10質量部となる塗布量が好ましく、0.8~5質量部となる塗布量がより好ましい。
<作用効果>
以上説明した本発明の3次元積層造形鋳型の製造方法によれば、本発明の砂組成物を用いるので、強度の高い3次元積層造形鋳型を製造できる。
しかも、本発明の砂組成物は流動性に優れるので、リコーティングしやすい。加えて、酸硬化性粘結剤が印刷されていない部分の砂組成物は非結合状態であり、流動性を維持しているので、ブラシや掃除機等で除去しやすい。
<他の実施形態>
鋳型を3次元積層造形法以外の方法で製造する場合は、例えば、本発明の砂組成物と、酸硬化性粘結剤との混合物を型に充填し、酸硬化性粘結剤を硬化させることで鋳型を製造できる。
酸硬化性粘結剤の配合割合は、砂組成物中の耐火性粒状材料100質量部に対して0.3~2.0質量部が好ましく、0.5~1.5質量部がより好ましい。酸硬化性粘結剤の配合割合が0.3質量部以上であれば、強度がより高い鋳型が得られやすい。酸硬化性粘結剤の配合割合が2.0質量部以下であれば、注湯後の鋳型を解体しやすくなる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各例で用いた耐火性粒状材料、酸触媒、ゼオライトおよび酸硬化性粘結剤を以下に示す。また、各種測定方法および評価方法は以下の通りである。
<耐火性粒状材料>
耐火性粒状材料として、以下に示すものを用いた。
・耐火性粒状材料(i):火炎溶融法により得られた非晶質シリカ(SiOを98質量%含むもの、CHINA MINERAL PROCESSING LIMITED社製の商品名「SPHERESAND SL SLH#110」)、非晶化度=93%。
・耐火性粒状材料(ii):火炎溶融法により得られた非晶質アルミナシリケート(Al-SiOを95質量%含むもの、CHINA MINERAL PROCESSING LIMITED社製の商品名「SPHERESAND CL#110」)、非晶化度=55.5%。
・耐火性粒状材料(iii):焼結法により得られた結晶質の人工砂(Al-SiOを95質量%含むもの、伊藤忠セラテック株式会社製の商品名「CB-X#1450」)、結晶化度=88.3%。
・耐火性粒状材料(iv):焼結法により得られた結晶質の人工砂(Al-SiO-ZrOを95質量%含むもの、AGCセラミックス株式会社製の商品名「FINE-Bz AZ10#100」)、結晶化度=85.1%。
なお、非晶化度および結晶化度は、X線回折により、上述した方法にて非晶質ピークと結晶質ピークの面積を求め、下記式より算出した。
非晶化度(%)=結晶質ピークの面積/(結晶質ピークの面積+非晶質ピークの面積)×100
結晶化度(%)=100-結晶化度(%)
<酸触媒>
酸触媒として、キシレンスルホン酸60質量部と、水40質量部との混合物(濃度60質量%の酸触媒の溶液)を用いた。
<ゼオライト>
ゼオライトとして、以下に示すものを用いた。
・ゼオライト(v):Y型ゼオライト(東ソー株式会社製の商品名「HSZ-385HUA」、SiO/Alモル比=100、平均粒子径=3μm、下記測定方法によるpH=5.36)。
・ゼオライト(vi):ベータ型ゼオライト(東ソー株式会社製の商品名「HSZ-940HOA」、SiO/Alモル比=40、平均粒子径=4μm、下記測定方法によるpH=5.06)。
・ゼオライト(vii):Y型ゼオライト(東ソー株式会社製の商品名「HSZ-390HUA」、SiO/Alモル比=500、平均粒子径=6μm、下記測定方法によるpH=5.02)。
・ゼオライト(viii):A型ゼオライト(東ソー株式会社製の商品名「ゼオラムA-3」、SiO/Alモル比=2、平均粒子径=12μm、下記測定方法によるpH=10.67)。
<酸硬化性粘結剤>
酸硬化性粘結剤として、フルフリルアルコール89.9質量部と、レゾルシノール10質量部と、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.2質量部との混合物を用いた。
<測定・評価>
(pHの測定)
水50gと、ゼオライト0.5gとを混合し、25℃で15分撹拌した後にpHメータを用いて混合物のpHを25℃で測定した。
(曲げ強さの測定)
各実施例および比較例で得られたテストピースの曲げ強さをJACT試験法SM-1に記載の測定方法を用いて測定した。
(流動性の評価1)
スランプ試験に基づいて砂組成物の流動性を評価した。
スランプ試験には、上底の直径が58mm、下底の直径が85mm、高さが140mmであるスランプコーンを用いた。
スランプコーンに各実施例および比較例で得られた砂組成物を詰めた後、スランプコーンを静かに鉛直に引き上げたときの砂組成物の状態を目視にて確認し、以下の評価基準にて砂組成物の流動性を評価した。
〇:砂組成物がサラサラしている。
△:砂組成物がやや凝集している。
×:砂組成物が凝集している。
(流動性の評価2)
スランプコーンに砂組成物を詰めた後、温度25℃、湿度50%の雰囲気下で1時間保存した。その後、スランプコーンを静かに鉛直に引き上げたときの砂組成物の状態を目視にて確認し、流動性の評価1と同様の評価基準にて砂組成物の流動性を評価した。
(流動性の評価3)
スランプコーンに砂組成物を詰めた後、温度25℃、湿度50%の雰囲気下で24時間保存した。その後、スランプコーンを静かに鉛直に引き上げたときの砂組成物の状態を目視にて確認し、流動性の評価1と同様の評価基準にて砂組成物の流動性を評価した。
[実施例1]
耐火性粒状材料(i)100質量部を120℃に加熱した。次いで、加熱した耐火性粒状材料(i)に酸触媒の溶液を0.3質量部添加し、3分間撹拌して溶媒としての水を揮発させた後、ゼオライト(v)を0.3質量部添加し、1分間撹拌して砂組成物(A)を得た。砂組成物(A)において、耐火性粒状材料100質量部に対する酸触媒の含有量は0.18質量部であり、ゼオライトの含有量は0.3質量部である。
得られた砂組成物(A)に酸硬化性粘結剤を添加し、1分間撹拌して混練砂を得た。酸硬化性粘結剤の添加量は、砂組成物(A)中の耐火性粒状材料100質量部に対して、2.21質量部とした。
得られた混練砂を、直ちに温度25℃、湿度50%の条件下、縦10mm、横10mm、高さ60mmの直方体の型が6個形成されたテストピース作製用木型に充填して硬化させ、硬化開始から60分経過後に6個のテストピースを取り出した(抜型時間60分)。
取り出した6個のテストピースを温度25℃、湿度50%の条件下、硬化開始から24時間放置した。
放置後の6個のテストピースのうち、3個のテストピースの曲げ強さを測定し、その平均値を求めた。結果を表1に示す。
残りの3個のテストピースを温度100℃で20分間乾燥させた後、25℃まで冷却してから曲げ強さを測定し、その平均値を求めた。結果を表1に示す。
[実施例2]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(ii)を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物(B)を調製した。
得られた砂組成物(B)を用い、酸硬化性粘結剤の添加量の添加量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして混錬砂およびテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(iii)を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物(C)を調製した。
得られた砂組成物(C)を用い、酸硬化性粘結剤の添加量の添加量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして混錬砂およびテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(iv)を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物(D)を調製した。
得られた砂組成物(D)を用い、酸硬化性粘結剤の添加量の添加量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして混錬砂およびテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007046752000001
表1の結果より、実施例1、2の砂組成物(A)、(B)からは、強度の高いテストピースが得られた。
対して、比較例1、2の砂組成物(C)、(D)は結晶質の耐火性粒状材料を含んでいるため、鋳型の強度が低かった。
[実施例3]
実施例1と同様にして砂組成物(A)を調製した。
印刷造形法を用いた3次元積層造形装置(シーメット株式会社製の製品名「砂型積層造形装置 SCM-800」)を用い、リコータを有するブレード機構により砂組成物(A)を3次元積層造形装置に設置された金属ケースの底面に積層した。このとき、リコータのシャッター開口度を49.5°に設定した。
次いで、積層した砂組成物(A)の上に、3次元積層造形鋳型の形状を3DCAD設計して得られたデータに基づいて印刷ノズルヘッドを走査させて、一層分の砂組成物(A)100質量部に対して1.8質量部となる吐出量で酸硬化性粘結剤を印刷した。酸硬化性粘結剤を印刷した後、金属ケースの底面(造形テーブル)を一層分(280μm)降下させ、先と同様にして砂組成物(A)を積層し、その上に一層分の砂組成物(A)100質量部に対して1.8質量部となる吐出量で酸硬化性粘結剤を印刷した。これら積層と印刷からなる工程を繰り返し行った後、酸硬化性粘結剤の非印刷部分の砂組成物(A)をブラシで除去し、縦10mm、横10mm、高さ60mmの直方体状のテストピースを得た。
得られたテストピースの曲げ強さを測定した。結果を表2に示す。
[比較例3]
比較例1と同様にして砂組成物(C)を調製した。
得られた砂組成物(C)を用い、一層分の砂組成物(C)100質量部に対する酸硬化性粘結剤の吐出量を1.6質量部に変更した以外は、実施例3と同様にしてテストピースを製造し、各種測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007046752000002
表2の結果より、実施例3の砂組成物(A)からは、比較例3に比べて強度の高いテストピースが得られた。
[実施例4]
実施例1と同様にして砂組成物(A)を調製した。
得られた砂組成物(A)について、流動性の評価1~3に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(A)の流動性を評価した。結果を表3および図1の(a)、図2の(a)、図3の(a)に示す。
[実施例5]
実施例2と同様にして砂組成物(B)を調製した。
得られた砂組成物(B)について、流動性の評価1~3に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(B)の流動性を評価した。結果を表3および図1の(b)、図2の(b)、図3の(b)に示す。
[比較例4]
比較例1と同様にして砂組成物(C)を調製した。
得られた砂組成物(C)について、流動性の評価1~3に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(C)の流動性を評価した。結果を表3および図1の(c)、図2の(c)、図3の(c)に示す。
[比較例5]
比較例2と同様にして砂組成物(D)を調製した。
得られた砂組成物(D)について、流動性の評価1、2に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(D)の流動性を評価した。結果を表3および図1の(d)、図2の(d)に示す。
[比較例6]
耐火性粒状材料(i)100質量部を120℃に加熱した。次いで、加熱した耐火性粒状材料(i)に酸触媒の溶液を0.3質量部添加し、3分間撹拌して溶媒としての水を揮発させて砂組成物(E)を得た。砂組成物(E)において、耐火性粒状材料100質量部に対する酸触媒の含有量は0.18質量部であり、ゼオライトの含有量は0質量部である。
得られた砂組成物(E)について、流動性の評価1、2に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(E)の流動性を評価した。結果を表4および図4の(a)、図5の(a)に示す。
[比較例7]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(ii)を用いた以外は、比較例6と同様にして砂組成物(F)を得た。
得られた砂組成物(F)について、流動性の評価1、2に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(F)の流動性を評価した。結果を表4および図4の(b)、図5の(b)に示す。
[比較例8]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(iii)を用いた以外は、比較例6と同様にして砂組成物(G)を得た。
得られた砂組成物(G)について、流動性の評価1、2に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(G)の流動性を評価した。結果を表4および図4の(c)、図5の(c)に示す。
[比較例9]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(iv)を用いた以外は、比較例6と同様にして砂組成物(H)を得た。
得られた砂組成物(H)について、流動性の評価1、2に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(H)の流動性を評価した。結果を表4および図4の(d)、図5の(d)に示す。
Figure 0007046752000003
Figure 0007046752000004
表3、4および図1~5の結果より、実施例4、5の砂組成物(A)、(B)および比較例4、5の砂組成物(C)、(D)は、時間が経過しても流動性に優れていた。よって、砂組成物(A)~(D)であれば、砂組成物の保管や搬送時に加えて、鋳型製造時に空気に曝されても流動性を維持できることが示された。ただし、上述した比較例1、2の結果から明らかなように、砂組成物(C)、(D)から得られたテストピースは、砂組成物(A)、(B)から得られたテストピースに比べて曲げ強さが低かった。
比較例6、7の砂組成物(E)、(F)は、時間が経過すると流動性が低下した。
比較例8、9の砂組成物(G)、(H)は、時間が経過しても流動性に優れていた。しかし、ゼオライトの有無はテストピースの曲げ強さに影響しにくいことから、砂組成物(C)、(D)と同様、砂組成物(G)、(H)から得られるテストピースの曲げ強さは低い。
よって、本発明の砂組成物は、長時間にわたり流動性に優れ、かつ強度の高い鋳型を製造できることが示された。
なお、砂組成物(A)~(H)は触媒被覆砂(CCS)である。
[実施例6]
ゼオライト(v)の代わりにゼオライト(vi)を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物(I)を調製した。砂組成物(I)において、耐火性粒状材料100質量部に対する酸触媒の含有量は0.18質量部であり、ゼオライトの含有量は0.3質量部である。
得られた砂組成物(I)について、流動性の評価1~3に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(I)の流動性を評価した。結果を表5および図6の(a)、図7の(a)、図8の(a)に示す。
[実施例7]
ゼオライト(v)の代わりにゼオライト(vii)を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物(J)を調製した。砂組成物(J)において、耐火性粒状材料100質量部に対する酸触媒の含有量は0.18質量部であり、ゼオライトの含有量は0.3質量部である。
得られた砂組成物(J)について、流動性の評価1~3に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(J)の流動性を評価した。結果を表5および図6の(b)、図7の(b)、図8の(b)に示す。
[比較例10]
ゼオライト(v)の代わりにゼオライト(viii)を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物(K)を調製した。砂組成物(K)において、耐火性粒状材料100質量部に対する酸触媒の含有量は0.18質量部であり、ゼオライトの含有量は0.3質量部である。
得られた砂組成物(K)について、流動性の評価1~3に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(K)の流動性を評価した。結果を表5および図6の(c)、図7の(c)、図8の(c)に示す。
Figure 0007046752000005
表5および図6~8の結果より、実施例6、7の砂組成物(I)、(J)は、時間が経過しても流動性に優れていた。よって、砂組成物(I)、(J)であれば、砂組成物の保管や搬送時に加えて、鋳型製造時に空気に曝されても流動性を維持できることが示された。
比較例10の砂組成物(K)は、時間が経過すると流動性が低下した。
よって、本発明の砂組成物は、長時間にわたり流動性に優れ、かつ強度の高い鋳型を製造できることが示された。
なお、砂組成物(I)~(K)は触媒被覆砂(CCS)である。
[実施例8]
耐火性粒状材料(i)100質量部に酸触媒の溶液を0.3質量部添加し、3分間撹拌した後、ゼオライト(v)を0.3質量部添加し、1分間撹拌して砂組成物(L)を得た。砂組成物(L)において、耐火性粒状材料100質量部に対する酸触媒の含有量は0.18質量部であり、ゼオライトの含有量は0.3質量部であり、溶媒(水)の含有量は0.12質量部である。
得られた砂組成物(L)について、流動性の評価1、2に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(L)の流動性を評価した。結果を表6および図9の(a)、図10の(a)に示す。
[比較例11]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(iii)を用いた以外は、実施例8と同様にして砂組成物(M)を得た。
得られた砂組成物(M)について、流動性の評価1、2に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(M)の流動性を評価した。結果を表6および図9の(b)、図10の(b)に示す。
[比較例12]
耐火性粒状材料(i)100質量部に酸触媒の溶液を0.3質量部添加し、3分間撹拌して砂組成物(N)を得た。砂組成物(N)において、耐火性粒状材料100質量部に対する酸触媒の含有量は0.18質量部であり、ゼオライトの含有量は0質量部であり、溶媒(水)の含有量は0.12質量部である。
得られた砂組成物(N)について、流動性の評価1に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(N)の流動性を評価した。結果を表7および図11の(a)に示す。
[比較例13]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(ii)を用いた以外は、比較例12と同様にして砂組成物(O)を得た。
得られた砂組成物(O)について、流動性の評価1に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(O)の流動性を評価した。結果を表7および図11の(b)に示す。
[比較例14]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(iii)を用いた以外は、比較例12と同様にして砂組成物(P)を得た。
得られた砂組成物(P)について、流動性の評価1に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(P)の流動性を評価した。結果を表7および図11の(c)に示す。
[比較例15]
耐火性粒状材料(i)の代わりに耐火性粒状材料(iv)を用いた以外は、比較例12と同様にして砂組成物(Q)を得た。
得られた砂組成物(Q)について、流動性の評価に基づいてスランプ試験を行い、砂組成物(Q)の流動性を評価した。結果を表7および図11の(d)に示す。
Figure 0007046752000006
Figure 0007046752000007
表6、7および図9~11の結果より、実施例8の砂組成物(L)および比較例11の砂組成物(M)は、時間が経過しても流動性に優れていた。よって、砂組成物(L)、(M)であれば、砂組成物の保管や搬送時に加えて、鋳型製造時に空気に曝されても流動性を維持できることが示された。ただし、上述した比較例1、2の結果と同様、砂組成物(M)は結晶質の耐火性粒状材料を含んでいるため、砂組成物(M)から得られるテストピースの曲げ強さは低い。
比較例12~15の砂組成物(N)~(Q)は、流動性に劣っていた。
よって、本発明の砂組成物は、長時間にわたり流動性に優れ、かつ強度の高い鋳型を製造できることが示された。


Claims (9)

  1. 非晶質の耐火性粒状材料と、酸触媒と、SiO/Alモル比が5以上のゼオライトとを含み、
    前記耐火性粒状材料100質量部に対して、前記酸触媒の含有量が0.05~1.0質量部であり、前記ゼオライトの含有量が0.1~1.0質量部であり、
    前記耐火性粒状材料の平均粒子径が50~600μmであり、
    前記ゼオライトの平均粒子径が1~100μmである、砂組成物。
  2. 前記砂組成物中の溶媒の含有量が、前記耐火性粒状材料100質量部に対して0.5質量部以下である、請求項1に記載の砂組成物。
  3. 前記ゼオライトが下記条件(a)を満たす、請求項1または2に記載の砂組成物。
    条件(a):水50gと、ゼオライト0.5gとの混合物の25℃におけるpHが7.5以下である。
  4. 前記酸触媒が、硫酸、リン酸、スルホン酸およびカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の砂組成物。
  5. 3次元積層鋳型造形用である、請求項1~のいずれか一項に記載の砂組成物。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の砂組成物の製造方法であって、
    前記耐火性粒状材料を100~150℃に加熱した後、加熱した耐火性粒状材料に前記酸触媒の溶液を添加し、さらに前記ゼオライトを添加する、砂組成物の製造方法。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の砂組成物の製造方法であって、
    前記耐火性粒状材料と、前記酸触媒と、前記ゼオライトとを混合する、砂組成物の製造方法。
  8. 前記耐火性粒状材料と前記酸触媒とを混合して混合物を調製した後に、前記混合物と前記ゼオライトとを混合する、請求項に記載の砂組成物の製造方法。
  9. 請求項に記載の砂組成物を層状に敷き詰める工程と、
    前記層状に敷き詰められた砂組成物を目的の3次元積層鋳型造形物に対応して結合するように、前記層状に敷き詰められた砂組成物に酸硬化性粘結剤を選択的に射出して硬化させる工程とを含み、
    前記敷き詰める工程と前記硬化させる工程とを、前記目的の3次元積層鋳型造形物が造形されるまで繰り返す、3次元積層造形鋳型の製造方法。
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