JP2020022981A - 鋳型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳造時までは充分な強度を維持しつつ、鋳造後の崩壊性に優れ、しかも鋳造時に粘結剤の熱分解ガスが発生しにくい鋳型を、鋳型造型用型に制約されることなく製造する方法の提供。【解決手段】耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む一次成形体を、前記水溶性無機塩の融点以上、かつ前記有機粘結剤の分解温度以上で焼成する、鋳型の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、鋳型の製造方法に関する。
鋳物を製造するには鋳型が必要である。鋳型には普通鋳型と特殊鋳型とがあり、普通鋳型には生型と乾燥型がある。一方、特殊鋳型には熱硬化鋳型、自硬性鋳型、ガス硬化鋳型がある。例えば、鋳物を大量生産する場合にはベントナイト系の生型が、中空部または内部構造を有する鋳物を製造する際に用いられる中子用等には熱硬化鋳型のシェルモールド鋳型が、一般的に採用されている。また、多品種少量生産用には自硬性鋳型やガス硬化鋳型が主に適用されている。
鋳型の材料には珪砂などの耐火性粒状材料が用いられるが、耐火性粒状材料だけでは乾燥すると崩れやすいため粘結剤を加えて崩れにくくしている。
普通鋳型にはベントナイトなどの粘土が粘結剤として用いられる。一方、特殊鋳型にはフェノール樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂などの有機粘結剤や、水ガラスなどの無機粘結剤が用いられる。
各種方法により製造した鋳型には、鉄、銅、アルミニウム等の金属を高温で溶かした液体が注湯され、鋳物が得られる。鋳物は、鋳型を解体して取り出される。また、解体した鋳型から耐火性粒状材料を再生し、鋳型の製造に再利用するのが一般的である。
有機粘結剤は、ハンドリング性に優れ、鋳型の造型が容易である。また、有機粘結剤を用いた鋳型は、解体時の崩壊性に優れる。しかし、注湯時に有機粘結剤が熱分解してガス(熱分解ガス)が発生しやすく、鋳物に欠陥が生じたり、作業環境が悪化したりしやすい。
一方、無機粘結剤を用いた鋳型は、無機粘結剤が熱分解しにくいため注湯時に粘結剤の熱分解ガスが発生しにくい。しかし、無機粘結剤は有機粘結剤に比べてハンドリング性に劣り、鋳型の造型が容易ではない。また、無機粘結剤を用いた鋳型は、注湯後の強度が低下しにくく、崩壊しにくい(崩壊性に劣る)ため、有機粘結剤を用いた鋳型に比べて解体しにくい。
無機粘結剤を用いた鋳型の崩壊性を改善する方法として、水ガラスと有機粘結剤とを併用する方法が提案されている(特許文献1)。
また、コーティング層が耐火性粒状材料の表面に形成された粘結剤コーテッド耐火物を用いる方法が提案されている(特許文献2)。前記コーティング層は、粘結剤として水溶性無機化合物を含有する。
さらに、加熱溶融した塩を鉄製型に流し込んで、型内で塩を凝固させて塩中子を製造する方法が提案されている(特許文献3)。
特開平4−59148号公報 特許第5933169号公報 特許第4000106号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように水ガラスと有機粘結剤とを併用する方法では、鋳造後の鋳型の崩壊性を充分に改善するには至っていない。
特許文献2に記載の粘結剤コーテッド耐火物では、鋳型そのものの強度が不充分である。
特許文献3に記載の方法では、加熱溶融した塩に耐えられる型として、鉄製型などの金属型を用いる必要があり、鋳型造型用型に制約がある。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、鋳造時までは充分な強度を維持しつつ、鋳造後の崩壊性に優れ、しかも鋳造時に粘結剤の熱分解ガスが発生しにくい鋳型を、鋳型造型用型に制約されることなく製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む一次成形体を、前記水溶性無機塩の融点以上、かつ前記有機粘結剤の分解温度以上で焼成する、鋳型の製造方法。
[2]前記混合物は、耐火性粒状材料と、前記有機粘結剤と、前記水溶性無機塩とを含み、この混合物を鋳型造型用型に充填し、前記有機粘結剤を硬化させて前記一次成形体を得る、[1]に記載の鋳型の製造方法。
[3]前記混合物を鋳型造型用型に充填し、前記有機粘結剤を硬化させて前記硬化物を得た後、得られた硬化物に前記水溶性無機塩を含浸させて前記一次成形体を得る、[1]に記載の鋳型の製造方法。
[4]前記水溶性無機塩がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも一方である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の鋳型の製造方法。
[5]前記耐火性粒状材料と前記水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、前記水溶性無機塩の含有量が3〜30質量%である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の鋳型の製造方法。
本発明の鋳型の製造方法によれば、鋳造時までは充分な強度を維持しつつ、鋳造後の崩壊性に優れ、しかも鋳造時に粘結剤の熱分解ガスが発生しにくい鋳型を、鋳型造型用型に制約されることなく製造できる。
[鋳型の製造方法]
本発明の鋳型の製造方法では、耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む一次成形体を焼成して(焼成工程)、鋳型を得る。
鋳型を製造するに際して、耐火性粒状材料、有機粘結剤および水溶性無機塩に加えて、硬化剤を併用してもよい。
また、一次成形体は、必要に応じて耐火性粒状材料、有機粘結剤、水溶性無機塩および硬化剤以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
<耐火性粒状材料>
耐火性粒状材料としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂等の天然砂;人工砂などの従来公知のものを使用できる。また、使用済みの耐火性粒状材料を回収したもの(回収砂)や再生処理したもの(再生砂)なども使用できる。
これら耐火性粒状材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<有機粘結剤>
有機粘結剤としては、シェルモールド法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤、アミンコールドボックス法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤、アルカリフェノール樹脂、酸硬化性粘結剤などが挙げられる。
これら有機粘結剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シェルモールド法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。
ノボラック型フェノール樹脂は、酸性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られたものであり、通常、固体である。
フェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、3,5−キシレノール、m−エチルフェノール、m−プロピルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−ブチルフェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、カテコール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、メチルハイドロキノン、2−メチルレゾルシノール、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジメチルレゾルシノール、2−エトキシフェノール、4−エトキシフェノール、4−エチルレゾルシノール、3−エトキシ−4−メトキシフェノール、2−プロペニルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−イソプロポキシフェノール、4−ピロポキシフェノール、2−アリルフェノール、3,4,5−トリメトキシフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、ピロガロール、フロログリシノール、1,2,4−ベンゼントリオール、5−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−ブトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、4−t−ペンチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3−フェノキシフェノール、4−フェノキシフェノール、4−へキシルオキシフェノール、4−ヘキサノイルレゾルシノール、3,5−ジイソプロピルカテコール、4−ヘキシルレゾルシノール、4−ヘプチルオキシフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ジ−sec−ブチルフェノール、4−クミルフェノール、ノニルフェノール、2−シクロペンチルフェノール、4−シクロペンチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどが挙げられる。これらフェノール類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、フルフラール、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルヘミホルマール、エチルへミホルマール、プロピルへミホルマール、サリチルアルデヒド、グリオキザール、ブチルヘミホルマール、フェニルへミホルマール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o―メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらアルデヒド類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸性触媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、酪酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硼酸などが挙げられる。これら酸性触媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、塩化亜鉛もしくは酢酸亜鉛などの金属塩を使用したり、酸性触媒と組み合わせて使用したりしてもよい。
なお、ノボラック型フェノール樹脂には、鋳型強度の改善を目的として、ノボラック型フェノール樹脂の製造過程でシランカップリング剤が配合される場合が多い。製造過程でシランカップリング剤が配合されない場合には、ノボラック型フェノール樹脂とシランカップリング剤とを併用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
レゾール型フェノール樹脂は、塩基性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られたものである。
フェノール類およびアルデヒド類としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したフェノール類およびアルデヒド類などが挙げられる。
塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、ヘキサミン、アミンなどが挙げられる。これら塩基性触媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
レゾール型フェノール樹脂は、通常、水等の溶媒に分散された状態で得られる(以下、この状態のレゾール型フェノール樹脂を「液状レゾール型フェノール樹脂」という。)。
レゾール型フェノール樹脂は、液状で用いてもよいし、液状レゾール型フェノール樹脂を脱水処理などして溶媒を除去し、常温で乾燥させて固形状にして用いてもよい。
なお、レゾール型フェノール樹脂にも、鋳型強度の改善を目的として、レゾール型フェノール樹脂の製造過程でシランカップリング剤が配合される場合が多い。製造過程でシランカップリング剤が配合されない場合には、レゾール型フェノール樹脂とシランカップリング剤とを併用してもよい。
アミンコールドボックス法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤としては、例えば有機溶剤を溶媒とするフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート溶液とから構成される二液性粘結剤などが挙げられる。
アルカリフェノール樹脂は、アルカリ金属の水酸化物の存在下、常法により、フェノール類およびビスフェノール類よりなる群から選択される1種以上(以下、「フェノール系化合物」という。)と、アルデヒド類とを水系で反応させることで得られる。
フェノール類およびアルデヒド類としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したフェノール類およびアルデヒド類などが挙げられる。
ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールS、ビスフェノールZなどが挙げられる。
フェノール系化合物としては、フェノール類およびビスフェノール類のいずれか一方を単独で用いてもよいし、フェノール類およびビスフェノール類を混合して用いてもよい。
アルカリ金属の水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。これらアルカリ金属の水酸化物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、フェノール系化合物とアルデヒド類とを反応させる際に、反応系中にアルデヒドと縮合可能なモノマー(例えば尿素、シクロヘキサノン、メラミン等)を加えてもよい。また、得られたアルカリフェノール樹脂を1価のアルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール等)で所望の濃度となるように希釈してもよい。
酸硬化性樹脂としては、フルフリルアルコール、フラン樹脂などが挙げられる。また、先に例示したレゾール型フェノール樹脂を酸硬化性樹脂として用いてもよい。
これらの中でも、フラン樹脂が好ましい。
フラン樹脂は、フルフリルアルコール、尿素、フェノール類、ホルムアルデヒド等を主原料としている樹脂で、酸により脱水反応しながら重縮合し、硬化するものである。
フラン樹脂としては、フルフリルアルコール、フェノール類および尿素からなる群より選ばれる1種または2種以上と、アルデヒド類との縮合物または共縮合物の1種または2種以上、並びにフルフリルアルコールを含むものを用いることが好ましい。
フェノール類およびアルデヒド類としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したフェノール類およびアルデヒド類などが挙げられる。
酸硬化性樹脂の特に好ましい態様として以下の4つが挙げられる。なお、以下における(共)縮合物とは、縮合物および共縮合物の少なくとも一方を意味する。
i)尿素、フルフリルアルコールおよびアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
ii)尿素とアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
iii)尿素、フルフリルアルコールおよびアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物と、フェノール類とアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
iv)フェノール類とアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
酸硬化性粘結剤がこのようなi)〜iv)の態様であると、可使時間の設定がより容易で、かつ鋳型強度をより向上させることができる。
酸硬化性粘結剤は、一般的な製法で得ることができる。その一例を以下に示す。
まず、酸硬化性樹脂の原料(フルフリルアルコール、アルデヒド類、尿素およびフェノール類等)を混合し、塩基性触媒の水溶液を添加し、混合物のpHを9〜11に調整してアルカリ性とする。次いで、混合物を昇温して尿素とアルデヒド類とを付加反応させ、反応生成物を生成する(第1工程)。得られた反応液に酸性触媒を添加し、反応液のpHを2〜5に調整して酸性とし、尿素とアルデヒド類の付加反応物等の縮合反応を進行させる(第2工程)。その後、反応液に塩基性触媒の水溶液を添加し、反応液のpHを7〜10に調整してアルカリ性とし、添加剤を混合して反応させ(第3工程)、必要に応じて添加剤をさらに添加して、酸硬化性樹脂を含む反応生成物を得る。
塩基性触媒としては、例えばレゾール型フェノール樹脂の説明において先に例示した塩基性触媒などが挙げられる。
酸性触媒としては、例えばノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示した酸性触媒などが挙げられる。なお、酸性触媒の添加量は少ないため、硬化反応まで進行しない。
添加剤としては、シランカップリング剤、ホルムアルデヒド低減剤などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したシランカップリング剤が挙げられる。
ホルムアルデヒド低減剤は、鋳型造型時に発生するホルムアルデヒドを低減するためのものである。ホルムアルデヒド低減剤としては、尿素、レゾルシノール、没食子酸、ピロガロールなどが挙げられる。
<水溶性無機塩>
水溶性無機塩は、無機粘結剤の役割を果たす。
本発明において「水溶性」とは、20℃の水への溶解度が2g/100mL以上であることを示す。
水溶性無機塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。これら水溶性無機塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、四ホウ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらアルカリ金属塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ土類金属塩としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸マグネシウムなどが挙げられる。これらアルカリ土類金属塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、水溶性無機塩としては、熱分解温度が有機粘結剤よりも高い水溶性無機塩を用いることが好ましく、鋳型の強度がより高まる点で、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物がより好ましい。その中でも特に、潮解性が低く、取り扱い性が容易な点で、塩化ナトリウム、塩化カリウムがさらに好ましい。
<硬化剤>
硬化剤としては、有機粘結剤の種類や硬化方法に応じて、公知の硬化剤の中から選択して用いればよい。
例えば、有機粘結剤としてシェルモールド法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤を用いる場合、硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミンが好ましい。
有機粘結剤としてアミンコールドボックス法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤を用いる場合、硬化剤としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミンガスが好ましい。これら硬化剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機粘結剤としてアルカリフェノール樹脂を用いる場合、硬化剤としては、自硬性鋳型造型法においてはギ酸メチル、ギ酸エチル、トリアセチン、ジアセチン、モノアセチン、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなどが好ましい。ガス硬化鋳型造型法においては、揮発性が高いエステル類が好ましく、ギ酸メチルなどがより好ましい。
有機粘結剤として酸硬化性樹脂を用いる場合、硬化剤としては、硫酸、リン酸、塩酸などの無機酸;有機スルホン酸(例えばキシレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等)、カルボン酸(例えばギ酸、酢酸、シュウ酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸等)などの有機酸が好ましい。これら硬化剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、熱硬化鋳型造型法や自硬性鋳型造型法により鋳型を製造する場合、硬化剤は水溶液の状態で、すなわち硬化剤水溶液として用いることができる。
硬化剤水溶液の総質量に対する硬化剤の含有量は、20〜75質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
硬化剤水溶液の総質量に対する水の含有量は、25〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
硬化剤水溶液には、水以外の溶媒(他の溶媒)が含まれていてもよく、他の溶媒としてはメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類が挙げられる。
<任意成分>
任意成分としては、例えばシランカップリング剤、滑剤、崩壊剤、硬化促進剤などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したシランカップリング剤が挙げられる。
滑剤としては、例えば脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば硝酸塩などが挙げられる。
硬化促進剤としては、例えば安息香酸、サリチル酸などが挙げられる。
<一次成形体>
一次成形体は、耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む。一次成形体は、任意成分をさらに含んでいてもよい。
一次成形体は鋳型の中間体であり、耐火性粒状材料同士が有機粘結剤の硬化物によって接着されている。
一次成形体の製造方法としては、例えば以下に示す方法が挙げられる。
(第一の態様)
第一の態様の一次成形体の製造方法は、耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、水溶性無機塩と、必要に応じて任意成分とを含む混合物(以下、「混合物(A)」ともいう。)を鋳型造型用型に充填し、有機粘結剤を硬化させる方法である。
鋳型造型用型としては特に制限されず、木型、樹脂型、金属型のいずれを使用してもよい。
混合物(A)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.5〜3.5質量部がより好ましい。有機粘結剤の含有量が上記下限値以上であれば、一次成形体を焼成するまでの間、充分な強度を維持できる。有機粘結剤の含有量が上記上限値以下であれば、詳しくは後述するが、短時間の焼成で有機粘結剤が熱分解してガス化し、鋳型に残留しにくい。
混合物(A)における水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、水溶性無機塩の含有量が3〜30質量%となる量が好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。水溶性無機塩の含有量が上記下限値以上であれば、強度がより高い鋳型が得られやすい。水溶性無機塩の含有量が上記上限値以下であれば、鋳造後の鋳型の崩壊性を良好に維持できる。
混合物(A)は、例えば耐火性粒状材料と、水溶性無機塩と、有機粘結剤と、必要に応じて任成成分とを混合することで製造できる。こうして得られた混合物(A)を「混練砂」ともいう。
また、例えば耐火性粒状材料を所定の温度に加熱しておき、加熱した耐火性粒状材料と、水溶性無機塩と、有機粘結剤と、必要に応じて任意成分とを混合し、得られた混合物(a1)を冷却して混合物(A)を製造してもよい。任意成分は、混合物(a1)を冷却した後に添加してもよい。耐火性粒状材料の加熱温度は、有機粘結剤の融点より高い温度が好ましく、通常は、100〜150℃である。耐火性粒状材料を予め加熱しておくことで、有機粘結剤と混合した際に有機粘結剤が溶融し、耐火性粒状材料および水溶性無機塩の表面が有機粘結剤で被覆される。こうして得られた混合物(A)を「被覆砂」ともいう。
有機粘結剤を硬化させる方法としては、熱硬化、常温硬化、ガス硬化などが挙げられる。ここで、「常温硬化」とは、外部からの加熱やガスの通気などを行わなくても常温で硬化することである。
有機粘結剤を熱硬化または常温硬化により硬化させる場合、すなわち、熱硬化鋳型造型法や自硬性鋳型造型法により鋳型を製造する場合、混合物(A)は硬化剤を含むことが好ましい。以下、硬化剤を含む混合物(A)を特に「混合物(A1)」ともいう。
混合物(A1)における硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.1〜0.5質量部が好ましく、0.2〜0.4質量部がより好ましい。硬化剤の含有量が上記範囲内であれば、強度がより高い鋳型が得られやすい。
混合物(A1)は、硬化剤水溶液を用いて、例えば以下のようにして製造できる。
混合物(A1)が混練砂の場合は、例えば耐火性粒状材料と、水溶性無機塩と、有機粘結剤と、硬化剤水溶液と、必要に応じて任成成分とを混合して、混合物(A1)を得る。
混合物(A1)が被覆砂の場合は、例えば上述した混合物(a1)に硬化剤水溶液を添加し、得られた塊状物(a2)を冷却により粒状に崩壊させて、混合物(A1)を得る。任意成分は、混合物(a1)に硬化剤水溶液を添加するタイミングで添加してもよいし、塊状物(a2)を冷却により粒状に崩壊させた後に添加してもよい。
有機粘結剤をガス硬化により硬化させる場合、すなわち、ガス硬化鋳型造型法により鋳型を製造する場合、混合物(A)を鋳型造型用型に充填し、ガス状の硬化剤を通気させて有機粘結剤を硬化させる。
ガス状の硬化剤の通気流量および通気時間は、通常のガス硬化鋳型造型法における通気流量および通気時間の範囲内であれば、特に制限されない。
有機粘結剤を熱硬化、常温硬化、ガス硬化などの方法で硬化させることで、混合物(A)の硬化物からなる一次成形体が得られる。混合物(A)の硬化物は、耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む。
得られた一次成形体は鋳型造型用型から取り出しておく。一次成形体は有機粘結剤の硬化物によってその形状を維持できるので、鋳型造型用型から取り出しても崩れにくい。
第一の態様の一次成形体の製造方法によれば、一次成形体中に水溶性無機塩を多く配合できる。よって、水溶性無機塩の含有量が比較的多い一次成形体を製造する場合は、第一の態様の一次成形体の製造方法が特に好適である。
(第二の態様)
第二の態様の一次成形体の製造方法は、耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、必要に応じて任意成分とを含む混合物(以下、「混合物(B)」ともいう。)を鋳型造型用型に充填し、有機粘結剤を硬化させて混合物(B)の硬化物を得た後、得られた硬化物に水溶性無機塩を含浸させる方法である。
鋳型造型用型としては特に制限されず、木型、樹脂型、金属型のいずれを使用してもよい。
混合物(B)における有機粘結剤の含有量は、混合物(A)の場合と同様である。
混合物(B)は、水溶性無機塩を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよいが、製造コストの観点から、混合物(B)は水溶性無機塩を含まないことが好ましい。
混合物(B)は、例えば耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、必要に応じて任成成分とを混合することで製造できる。こうして得られた混合物(B)を「混練砂」ともいう。
また、例えば耐火性粒状材料を所定の温度に加熱しておき、加熱した耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、必要に応じて任意成分とを混合し、得られた混合物(b1)を冷却して混合物(B)を製造してもよい。任意成分は、混合物(b1)を冷却した後に添加してもよい。耐火性粒状材料の加熱温度は、有機粘結剤の融点より高い温度が好ましく、通常は、100〜150℃である。耐火性粒状材料を予め加熱しておくことで、有機粘結剤と混合した際に有機粘結剤が溶融し、耐火性粒状材料の表面が有機粘結剤で被覆される。こうして得られた混合物(B)を「被覆砂」ともいう。
有機粘結剤を硬化させる方法としては、熱硬化、常温硬化、ガス硬化などが挙げられる。
有機粘結剤を熱硬化または常温硬化により硬化させる場合、混合物(B)は硬化剤を含むことが好ましい。以下、硬化剤を含む混合物(B)を特に「混合物(B1)」ともいう。
混合物(B1)における硬化剤の含有量は、混合物(A1)の場合と同様である。
混合物(B1)は、硬化剤水溶液を用いて、例えば以下のようにして製造できる。
混合物(B1)が混練砂の場合は、例えば耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、硬化剤水溶液と、必要に応じて任成成分とを混合して、混合物(B1)を得る。
混合物(B1)が被覆砂の場合は、例えば上述した混合物(b1)に硬化剤水溶液を添加し、得られた塊状物(b2)を冷却により粒状に崩壊させて、混合物(B1)を得る。任意成分は、混合物(b1)に硬化剤水溶液を添加するタイミングで添加してもよいし、塊状物(b2)を冷却により粒状に崩壊させた後に添加してもよい。
有機粘結剤をガス硬化により硬化させる場合、混合物(B)を鋳型造型用型に充填し、ガス状の硬化剤を通気させて有機粘結剤を硬化させる。
ガス状の硬化剤の通気流量および通気時間は、第一の態様と同様である。
有機粘結剤を熱硬化、常温硬化、ガス硬化などの方法で硬化させることで、混合物(B)の硬化物が得られる。
次いで、得られた硬化物に水溶性無機塩を含浸させる。具体的は、水溶性無機塩の水溶液を硬化物に含浸させる。
水溶性無機塩の含浸量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩の含有量の合計を100質量%としたときに、水溶性無機塩の含有量が3〜30質量%となる量が好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。
硬化物に水溶性無機塩を含浸させることで、混合物(B)の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む一次成形体が得られる。
得られた一次成形体は鋳型造型用型から取り出しておく。一次成形体は有機粘結剤の硬化物によってその形状を維持できるので、鋳型造型用型から取り出しても崩れにくい。
第二の態様の一次成形体の製造方法によれば、一次成形体中に水溶性無機塩をより均一に分散できる。よって、水溶性無機塩がより均一に分散された一次成形体を製造する場合は、第二の態様の一次成形体の製造方法が特に好適である。
(他の実施形態)
一次成形体の製造方法としては上述した方法に限定されず、例えば耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、水溶性無機塩と、必要に応じて硬化剤および任意成分とを用い、三次元積層造形法により一次成形体を製造してもよい。また、耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、必要に応じて硬化剤および任意成分とを用い、三次元積層造形法により三次元積層造形物を得た後、三次元積層造形物に水溶性無機塩を含浸させて一次成形体を製造してもよい。
<焼成工程>
焼成工程は、一次成形体を焼成する工程である。
焼成工程では、一次成形体に含まれる水溶性無機塩の融点以上、かつ有機粘結剤の分解温度以上で、一次成形体を焼成する。
一次成形体を水溶性無機塩の融点以上、かつ有機粘結剤の分解温度以上で焼成することで、有機粘結剤は熱分解してガス化し、熱分解ガスとして一次成形体から除去される。一方、水溶性無機塩は溶融する。
焼成工程では、一次成形体に含まれる水溶性無機塩の分解温度未満で焼成することが好ましい。一次成形体を水溶性無機塩の分解温度未満で焼成すれば、鋳型の強度を良好に維持できる。特に、水溶性無機塩として塩化物を用いる場合、水溶性無機塩が熱分解しにくいので塩素臭の発生を抑制できる。
焼成温度は、一次成形体に含まれる水溶性無機塩や有機粘結剤の種類に応じて決定すればよいが、例えば水溶性無機塩として塩化物を用いる場合、焼成温度は350〜1000℃が好ましく、500〜900℃がより好ましい。焼成温度が上記下限値以上であれば、有機粘結剤が充分に熱分解しつつ、水溶性無機塩が充分に溶融する。焼成温度が上記限上値以下であれば、水溶性無機塩が熱分解しにくい。
焼成時間は、一次成形体に含まれる有機粘結剤が充分に熱分解し、かつ水溶性無機塩が充分に溶融する時間であれば特に制限されないが、例えば1〜30分が好ましい。
一次成形体の焼成方法としては公知の方法を採用でき、例えば電気炉、オーブンを用いる方法などが挙げられる。
一次成形体を焼成して得られる焼成物を室温(25℃)まで冷却し、鋳型を得る。焼成物が冷却することで溶融した水溶性無機塩が固化する。このように、一旦溶融した水溶性無機塩が固化することで、鋳造時までは充分な強度を維持する鋳型が得られる。
焼成物の冷却方法としては公知の方法を採用でき、例えば室温で自然冷却する方法、送風を利用して強制冷却する方法などが挙げられる。
<作用効果>
以上説明した本発明の鋳型の製造方法によれば、有機系と無機系の2種類の粘結剤を用い、まず、有機粘結剤を硬化させて、鋳型の中間体である一次成形体を得る。有機粘結剤はハンドリング性に優れ、鋳型の造型が容易であるため、本発明であれば一次成形体をハンドリング性よく、容易に製造できる。しかも、一次成形体を製造する際に用いる鋳型造形用型としては、通常の鋳型の製造に用いられる鋳型造形用型を用いることができるので、鋳型造型用型に制約がない。
そして、一次成形体を所定の温度で焼成する。一次成形体を所定の温度で焼成することで有機粘結剤は熱分解してガス化し、熱分解ガスとして一次成形体から除去される。一方、水溶性無機塩は溶融し、一次成形体の焼成物を冷却することで溶融した水溶性無機塩が固化し、鋳造時までは充分な強度を維持する鋳型が得られる。
こうして得られた鋳型は、焼成工程により有機粘結剤が充分に除去されているので、鋳造時に有機粘結剤の熱分解ガスが発生しにくい。そのため、鋳造時の作業環境が良好であり、かつ熱分解ガスに起因する鋳物の欠陥を抑制できる。また、鋳型は水溶性無機塩によってその形状を維持し、強度が維持されているが、水溶性無機塩は水に溶解しやすいため、鋳造後の鋳型に水をかけることで容易に鋳型が崩壊する。さらに、水溶性無機塩は水に溶解するので、解体した鋳型から耐火性粒状材料を容易に再生できる。
このように、本発明によれば、一次成形体の製造までは有機粘結剤の機能を利用し、その後は無機粘結剤である水溶性無機塩の機能を利用して鋳型を製造する。すなわち、鋳型の製造中に、粘結剤を有機系から無機系に切り替える。
よって、本発明の鋳型の製造方法であれば、鋳造時までは充分な強度を維持しつつ、鋳造後の崩壊性に優れ、しかも鋳造時に粘結剤の熱分解ガスが発生しにくい鋳型を、鋳型造型用型に制約されることなく製造できる。また、本発明の鋳型の製造方法であれば、有機粘結剤の特徴であるハンドリング性や造型性も維持できる。
なお、上述したように、本発明により得られる鋳型を用いれば、鋳造時に有機粘結剤の熱分解ガスが発生しにくいものの、鋳型を製造する際に、具体的には一次成形体の焼成時に有機粘結剤が熱分解するため、熱分解ガスが発生してしまう。
しかし、一次成形体の焼成は、例えば電気炉やオーブンなどの狭い空間で行われるため、熱分解ガスを排気しやすい。また、一次成形体の焼成では、熱や酸素が一次成形体の全体に充分に行きわたるので、有機粘結剤が完全燃焼しやすい。そのため、焼成時に発生する熱分解ガスは主に水蒸気や二酸化炭素である。
一方、鋳造は工場などの広い空間で行われるため、有機粘結剤の熱分解ガスが発生すると狭い空間に比べて排気しにくく、空間内に充満して作業環境が悪化しやすい。また、鋳物に欠陥が生じることがある。さらに、鋳造では、熱や酸素が鋳型の全体に充分に行きわたりにくく、有機粘結剤は完全燃焼しにくい。そのため、鋳造時に発生する熱分解ガスは、主に有機物系のガスである。例えば、フェノール類を原料とした有機粘結剤を用いた場合、フェノール基を有する熱分解ガスが発生する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各例で用いた耐火性粒状材料、水溶性無機塩、有機粘結剤、硬化剤および滑剤を以下に示す。また、各種測定方法および評価方法は以下の通りである。
<耐火性粒状材料>
耐火性粒状材料として、以下に示すものを用いた。
・耐火性粒状材料(i):焼結法により得られた人工砂(伊藤忠セラテック株式会社製、「セラビーズ#1450」)。
・耐火性粒状材料(ii):フラタリー珪砂。
・耐火性粒状材料(iii):焼結法により得られた人工砂(伊藤忠セラテック株式会社製、「セラビーズ#1450」)50質量部と、焼結法により得られた人工砂(伊藤忠セラテック株式会社製、「セラビーズ#1700」)50質量部との混合物。
・耐火性粒状材料(iv):溶融法により得られた人工砂(伊藤機工株式会社製、「アルサンド#1000」)。
<無機粘結剤>
無機粘結剤として、以下に示すものを用いた。
・NaCl:塩化ナトリウム(関東化学株式会社製、特級試薬、融点801℃、熱分解温度1413℃)。
・KCl:塩化カリウム(関東化学株式会社製、特級試薬、融点770℃、熱分解温度1420℃)。
・NaCO:炭酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級試薬、融点851℃、熱分解温度1600℃)。
・BNa:四ホウ酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級試薬、融点741℃、熱分解温度1575℃)。
・NaSO:硫酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級試薬、融点883℃、熱分解温度1429℃)。
・水ガラス:珪酸ナトリウムの水溶液(富士化学株式会社製、モル比(SiO/NaO)2.1、ボーメ度25(20℃))。
<シェルモールド法>
シェルモールド法を利用して鋳型を製造する場合の有機粘結剤、硬化剤および滑剤として、以下に示すものを用いた。
有機粘結剤としてノボラック型フェノール樹脂(群栄化学工業株式会社製、「PSM−5419B」、熱分解温度約350℃)を用いた。
硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン(三菱ガス化学株式会社製)を用いた。
滑剤としてステアリン酸カルシウム(株式会社ADEKA製)を用いた。
<アルカリフェノール自硬性>
アルカリフェノール自硬性を利用して鋳型を製造する場合の有機粘結剤および硬化剤として、以下に示すものを用いた。
有機粘結剤としてレゾール型フェノール樹脂(群栄化学工業株式会社製、アルファシステム用樹脂「AR−170」、熱分解温度約350℃)を用いた。
硬化剤として有機エステル(群栄化学工業株式会社製、アルファシステム硬化剤「AH−530」)を用いた。
<フラン自硬性>
フラン自硬性を利用して鋳型を製造する場合の有機粘結剤および硬化剤として、以下に示すものを用いた。
有機粘結剤としてフラン樹脂(群栄化学工業株式会社製、エヌフラン用樹脂「GFA−160」、熱分解温度約200℃)を用いた。
硬化剤としてスルホン酸水溶液(群栄化学工業株式会社製、エヌフラン硬化剤「GH−20」)60質量部と、スルホン酸水溶液(群栄化学工業株式会社製、エヌフラン硬化剤「GH−70」)40質量部との混合物を用いた。
<アミンコールドボックス法>
アミンコールドボックス法を利用して鋳型を製造する場合の有機粘結剤および硬化剤として、以下に示すものを用いた。
有機粘結剤としてフェノールウレタン樹脂(岡崎ヒュッテナス・アルバータス化成株式会社製、「ニューコールドボックス96」;フェノール樹脂溶液(ガスハーツGH−4106N)1質量部と、ポリイソシアネート溶液(アクティベーターAKT−4606N)1質量部とで構成される二液性粘結剤)を用いた。
硬化剤としてトリエチルアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いた。
<測定・評価>
(ガス発生量の測定)
鋳型を700℃の雰囲気下で3分間加熱処理し、鋳物を作製する際と同様の雰囲気に鋳型を曝した。加熱処理時におけるガス発生量をJACT試験法M−5「ガス発生量測定法」に従って測定した。
(残留強度の測定)
鋳型を500℃の雰囲気下で15分間加熱処理し、鋳物を作製する際と同様の雰囲気に鋳型を曝した。加熱処理後、鋳型を25℃まで冷却した。冷却後の鋳型の曲げ強度をJIS K 6910に従って測定した。この曲げ強度を鋳型の残留強度とする。残留強度が高いほど、鋳造時に高い強度を維持していることを意味する。
(崩壊性の評価)
残留強度を測定した後の鋳型を水に沈めて鋳型が崩壊するか否かを目視にて確認し、以下の評価基準にて評価した。
○:鋳型が指ですり潰せる程度まで崩壊した。
×:鋳型が崩壊せず、その形状を維持した。
(冷間強度の測定)
25℃まで冷却した一次成形体または鋳型の曲げ強度をJIS K 6910に従って測定した。この曲げ強度を一次成形体または鋳型の冷間強度とする。
[実施例1]
シェルモールド法を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
冷却水30gに硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン4.5gを溶解させて、硬化剤水溶液を調製した。
スピードミキサーに、150℃に加熱した耐火性粒状材料(i)1350gと、無機粘結剤として水溶性無機塩であるNaClを150gと、有機粘結剤としてノボラック型フェノール樹脂30gとを投入し、60秒間混練した。次いで、硬化剤水溶液34.5gを添加し、得られた塊状物を送風冷却により粒状に崩壊させた後、滑剤としてステアリン酸カルシウム1.5gを添加し、10秒間混合して被覆砂(A1−1)を得た。
得られた被覆砂(A1−1)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して2.0質量部であった。水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、10質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.3質量部であった。
金型を250℃に加熱し、先に得られた被覆砂(A1−1)を充填し、1分間放置して有機粘結剤を硬化させ、一次成形体を得た。得られた一次成形体を金型から取り出し、電気炉に入れて850℃で15分間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を25℃まで冷却し、鋳型を得た。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1、2に示す。
[実施例2]
アルカリフェノール自硬性を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
耐火性粒状材料(i)1350gと、無機粘結剤として水溶性無機塩であるNaClを150gとを混合し、得られた混合物100質量部に対して、有機粘結剤としてレゾール型フェノール樹脂1.5質量部と、硬化剤として有機エステル0.3質量部とを同時に添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で混練して、混練砂(A1−2)を得た。
得られた混練砂(A1−2)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して1.5質量部であった。水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、10質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.3質量部であった。
得られた混練砂(A1−2)を温度25℃、湿度60%の条件下で木型に充填し、24時間放置して有機粘結剤を硬化させ、一次成形体を得た。得られた一次成形体を金型から取り出し、電気炉に入れて850℃で15分間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を25℃まで冷却し、鋳型を得た。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
フラン自硬性を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
耐火性粒状材料(i)1350gと、無機粘結剤として水溶性無機塩であるNaClを150gとを混合し、得られた混合物100質量部に対して、有機粘結剤としてフラン樹脂0.8質量部と、硬化剤としてスルホン酸水溶液(「GH−20」60質量部と、「GH−70」40質量部との混合物)0.32質量部とを同時に添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で混練して、混練砂(A1−3)を得た。
得られた混練砂(A1−3)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.8質量部であった。水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、10質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.32質量部であった。硬化剤の有効成分としての含有量は固形分換算で、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.18質量部であった。
混練砂(A1−2)の代わりに混練砂(A1−3)を用いた以外は、実施例2と同様にして鋳型を製造した。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
フラン自硬性を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
耐火性粒状材料(i)100質量部に対して、有機粘結剤としてフラン樹脂2.0質量部と、硬化剤としてスルホン酸水溶液(「GH−20」60質量部と、「GH−70」40質量部との混合物)0.32質量部とを同時に添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で混練して、混練砂(B1−1)を得た。
得られた混練砂(B1−1)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して2.0質量部であった。水溶性無機塩の含有量は0質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.32質量部であった。硬化剤の有効成分としての含有量は固形分換算で、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.18質量部であった。
得られた混練砂(B1−1)を温度25℃、湿度60%の条件下で木型に充填し、24時間放置して有機粘結剤を硬化させた。得られた硬化物を木型から取り出して、無機粘結剤として水溶性無機塩であるNaClの20質量%水溶液2.2mLを含浸させ一次成形体を得た。水溶性無機塩の含浸量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、4.3質量%であった。
得られた一次成形体を電気炉に入れて850℃で15分間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を25℃まで冷却し、鋳型を得た。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
アミンコールドボックス法を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
耐火性粒状材料(i)1350gと、無機粘結剤として水溶性無機塩であるNaClを150gとを混合し、得られた混合物100質量部に対して、有機粘結剤としてフェノールウレタン樹脂(フェノール樹脂溶液1質量部と、ポリイソシアネート溶液1質量部とで構成される二液性粘結剤)2.0質量部を添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で混練して、混練砂(A1−4)を得た。
得られた混練砂(A1−4)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して2.0質量部であった。水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、10質量%であった。
得られた混練砂(A1−4)を温度25℃、湿度60%の条件下で木型に充填し、硬化剤としてトリエチルアミンを圧縮エアで、10L/分の通気流量で1分間通気して有機粘結剤を硬化させ、一次成形体を得た。得られた一次成形体を金型から取り出し、電気炉に入れて850℃で15分間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を25℃まで冷却し、鋳型を得た。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
シェルモールド法を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
冷却水30gに硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン4.5gを溶解させて、硬化剤水溶液を調製した。
スピードミキサーに、150℃に加熱した耐火性粒状材料(i)1500gと、有機粘結剤としてノボラック型フェノール樹脂22.5gとを投入し、60秒間混練した。次いで、硬化剤水溶液34.5gを添加し、得られた塊状物を送風冷却により粒状に崩壊させた後、滑剤としてステアリン酸カルシウム1.5gを添加し、10秒間混合して被覆砂(B1−2)を得た。
得られた被覆砂(B1−2)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して1.5質量部であった。水溶性無機塩の含有量は0質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.3質量部であった。
金型を250℃に加熱し、先に得られた被覆砂(B1−2)を充填し、1分間放置して有機粘結剤を硬化させた。得られた硬化物(一次成形体)を金型から取り出し、これを鋳型とした。
一次成形体の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
スピードミキサーに、耐火性粒状材料(i)1500gと、無機粘結剤として水ガラス30gと、水ガラスの硬化剤として非晶質シリカ15gとを投入し、60秒間混練して混練砂(C−1)を得た。
得られた混練砂(C−1)における有機粘結剤の含有量は0質量部であった。水ガラスの含有量は、耐火性粒状材料と水ガラスとの含有量の合計を100質量%としたときに、0.5質量%であった。非晶質シリカの含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して1.0質量部であった。
金型を150℃に加熱し、先に得られた混練砂(C−1)を充填し、10分間放置して水ガラスを硬化させた。得られた硬化物(一次成形体)を金型から取り出し、これを鋳型とした。
得られた鋳型について、ガス発生量を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
シェルモールド法を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
冷却水30gに硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン4.5gを溶解させて、硬化剤水溶液を調製した。
スピードミキサーに、150℃に加熱した耐火性粒状材料(i)1500gと、有機粘結剤としてノボラック型フェノール樹脂30gとを投入し、60秒間混練した。次いで、硬化剤水溶液34.5gを添加し、得られた塊状物を送風冷却により粒状に崩壊させた後、滑剤としてステアリン酸カルシウム1.5gを添加し、10秒間混合して被覆砂(B1−3)を得た。
得られた被覆砂(B1−3)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して2.0質量部であった。水溶性無機塩の含有量は0質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.3質量部であった。
金型を250℃に加熱し、先に得られた被覆砂(B1−3)を充填し、1分間放置して有機粘結剤を硬化させた。得られた硬化物を金型から取り出して、25℃まで冷却後、無機粘結剤として水ガラスを含浸させ、一次成形体を得た。水ガラスの含浸量は、耐火性粒状材料と水ガラスとの含有量の合計を100質量%としたときに、8質量%であった。
得られた一次成形体を電気炉に入れて850℃で15分間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を25℃まで冷却し、鋳型を得た。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1と同様にして、被覆砂(A1−1)を得た。
金型を250℃に加熱し、先に得られた被覆砂(A1−1)を充填し、1分間放置して有機粘結剤を硬化させ、一次成形体を得た。得られた一次成形体を金型から取り出し、これを鋳型とした。
一次成形体の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2020022981
表1中、「無機粘結剤の量」は、耐火性粒状材料と無機粘結剤(水溶性無機塩または水ガラス)との含有量の合計を100質量%としたときの無機粘結剤(水溶性無機塩または水ガラス)の量(質量%)である。「有機粘結剤の量」は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対する有機粘結剤の量(質量部)である。
表1の結果より、各実施例で得られた鋳型は冷間強度および残留強度が適度に高く、鋳造時までは充分な強度を維持できることが示された。また、ガスの発生量が少なく、しかも崩壊性にも優れていた。
一方、比較例1で得られた鋳型は、ガスの発生量が多かった。また、水をかけても崩壊しにくく、崩壊性に劣っていた。
比較例2で得られた鋳型は、ガスの発生量が多かった。また、水をかけても崩壊しにくく、崩壊性に劣っていた。
比較例3で得られた鋳型は、残留強度が高すぎ、水をかけても崩壊しにくく、崩壊性に劣っていた。
比較例4で得られた鋳型は、ガスの発生量が多かった。また、水をかけても崩壊しにくく、崩壊性に劣っていた。
なお、比較例1、4で発生したガスは主に有機粘結剤の熱分解ガスである。比較例2で発生したガスは主に水蒸気である。
[実施例6〜25、比較例5〜7]
耐火性粒状材料の種類、無機粘結剤として用いた水溶性無機塩の種類、耐火性粒状材料と無機粘結剤(水溶性無機塩)との含有量の合計を100質量%としたときの無機粘結剤(水溶性無機塩)の量、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対する有機粘結剤(ノボラック型フェノール樹脂)の量、および焼成条件を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして鋳型を製造した。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量を測定し、崩壊性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2020022981
表2中、「無機粘結剤の量」は、耐火性粒状材料と無機粘結剤(水溶性無機塩)との含有量の合計を100質量%としたときの無機粘結剤(水溶性無機塩)の量(質量%)である。「有機粘結剤の量」は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対する有機粘結剤の量(質量部)である。
表2の結果より、各実施例で得られた鋳型は冷間強度および残留強度が適度に高く、鋳造時までは充分な強度を維持できることが示された。また、ガスの発生量が少なく、しかも崩壊性にも優れていた。
一方、比較例5〜7で得られた鋳型は残留強度が低く、鋳造時まで充分な強度を維持できなかった。


Claims (5)

  1. 耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む一次成形体を、前記水溶性無機塩の融点以上、かつ前記有機粘結剤の分解温度以上で焼成する、鋳型の製造方法。
  2. 前記混合物は、耐火性粒状材料と、前記有機粘結剤と、前記水溶性無機塩とを含み、この混合物を鋳型造型用型に充填し、前記有機粘結剤を硬化させて前記一次成形体を得る、請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  3. 前記混合物を鋳型造型用型に充填し、前記有機粘結剤を硬化させて前記硬化物を得た後、得られた硬化物に前記水溶性無機塩を含浸させて前記一次成形体を得る、請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  4. 前記水溶性無機塩がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも一方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋳型の製造方法。
  5. 前記耐火性粒状材料と前記水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、前記水溶性無機塩の含有量が3〜30質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鋳型の製造方法。
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