JP2020022981A - 鋳型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
普通鋳型にはベントナイトなどの粘土が粘結剤として用いられる。一方、特殊鋳型にはフェノール樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂などの有機粘結剤や、水ガラスなどの無機粘結剤が用いられる。
有機粘結剤は、ハンドリング性に優れ、鋳型の造型が容易である。また、有機粘結剤を用いた鋳型は、解体時の崩壊性に優れる。しかし、注湯時に有機粘結剤が熱分解してガス(熱分解ガス)が発生しやすく、鋳物に欠陥が生じたり、作業環境が悪化したりしやすい。
また、コーティング層が耐火性粒状材料の表面に形成された粘結剤コーテッド耐火物を用いる方法が提案されている(特許文献2)。前記コーティング層は、粘結剤として水溶性無機化合物を含有する。
さらに、加熱溶融した塩を鉄製型に流し込んで、型内で塩を凝固させて塩中子を製造する方法が提案されている(特許文献3)。
特許文献2に記載の粘結剤コーテッド耐火物では、鋳型そのものの強度が不充分である。
特許文献3に記載の方法では、加熱溶融した塩に耐えられる型として、鉄製型などの金属型を用いる必要があり、鋳型造型用型に制約がある。
[1]耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む一次成形体を、前記水溶性無機塩の融点以上、かつ前記有機粘結剤の分解温度以上で焼成する、鋳型の製造方法。
[2]前記混合物は、耐火性粒状材料と、前記有機粘結剤と、前記水溶性無機塩とを含み、この混合物を鋳型造型用型に充填し、前記有機粘結剤を硬化させて前記一次成形体を得る、[1]に記載の鋳型の製造方法。
[3]前記混合物を鋳型造型用型に充填し、前記有機粘結剤を硬化させて前記硬化物を得た後、得られた硬化物に前記水溶性無機塩を含浸させて前記一次成形体を得る、[1]に記載の鋳型の製造方法。
[4]前記水溶性無機塩がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも一方である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の鋳型の製造方法。
[5]前記耐火性粒状材料と前記水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、前記水溶性無機塩の含有量が3〜30質量%である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の鋳型の製造方法。
本発明の鋳型の製造方法では、耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む一次成形体を焼成して(焼成工程)、鋳型を得る。
鋳型を製造するに際して、耐火性粒状材料、有機粘結剤および水溶性無機塩に加えて、硬化剤を併用してもよい。
また、一次成形体は、必要に応じて耐火性粒状材料、有機粘結剤、水溶性無機塩および硬化剤以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
耐火性粒状材料としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂等の天然砂;人工砂などの従来公知のものを使用できる。また、使用済みの耐火性粒状材料を回収したもの(回収砂)や再生処理したもの(再生砂)なども使用できる。
これら耐火性粒状材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機粘結剤としては、シェルモールド法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤、アミンコールドボックス法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤、アルカリフェノール樹脂、酸硬化性粘結剤などが挙げられる。
これら有機粘結剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ノボラック型フェノール樹脂は、酸性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られたものであり、通常、固体である。
フェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、3,5−キシレノール、m−エチルフェノール、m−プロピルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−ブチルフェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、カテコール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、メチルハイドロキノン、2−メチルレゾルシノール、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジメチルレゾルシノール、2−エトキシフェノール、4−エトキシフェノール、4−エチルレゾルシノール、3−エトキシ−4−メトキシフェノール、2−プロペニルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−イソプロポキシフェノール、4−ピロポキシフェノール、2−アリルフェノール、3,4,5−トリメトキシフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、ピロガロール、フロログリシノール、1,2,4−ベンゼントリオール、5−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−ブトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、4−t−ペンチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3−フェノキシフェノール、4−フェノキシフェノール、4−へキシルオキシフェノール、4−ヘキサノイルレゾルシノール、3,5−ジイソプロピルカテコール、4−ヘキシルレゾルシノール、4−ヘプチルオキシフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ジ−sec−ブチルフェノール、4−クミルフェノール、ノニルフェノール、2−シクロペンチルフェノール、4−シクロペンチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどが挙げられる。これらフェノール類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸性触媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、酪酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硼酸などが挙げられる。これら酸性触媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、塩化亜鉛もしくは酢酸亜鉛などの金属塩を使用したり、酸性触媒と組み合わせて使用したりしてもよい。
シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
フェノール類およびアルデヒド類としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したフェノール類およびアルデヒド類などが挙げられる。
塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、ヘキサミン、アミンなどが挙げられる。これら塩基性触媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
レゾール型フェノール樹脂は、液状で用いてもよいし、液状レゾール型フェノール樹脂を脱水処理などして溶媒を除去し、常温で乾燥させて固形状にして用いてもよい。
なお、レゾール型フェノール樹脂にも、鋳型強度の改善を目的として、レゾール型フェノール樹脂の製造過程でシランカップリング剤が配合される場合が多い。製造過程でシランカップリング剤が配合されない場合には、レゾール型フェノール樹脂とシランカップリング剤とを併用してもよい。
フェノール類およびアルデヒド類としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したフェノール類およびアルデヒド類などが挙げられる。
ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールS、ビスフェノールZなどが挙げられる。
これらの中でも、フラン樹脂が好ましい。
フラン樹脂は、フルフリルアルコール、尿素、フェノール類、ホルムアルデヒド等を主原料としている樹脂で、酸により脱水反応しながら重縮合し、硬化するものである。
フラン樹脂としては、フルフリルアルコール、フェノール類および尿素からなる群より選ばれる1種または2種以上と、アルデヒド類との縮合物または共縮合物の1種または2種以上、並びにフルフリルアルコールを含むものを用いることが好ましい。
フェノール類およびアルデヒド類としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したフェノール類およびアルデヒド類などが挙げられる。
i)尿素、フルフリルアルコールおよびアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
ii)尿素とアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
iii)尿素、フルフリルアルコールおよびアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物と、フェノール類とアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
iv)フェノール類とアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールの混合物。
酸硬化性粘結剤がこのようなi)〜iv)の態様であると、可使時間の設定がより容易で、かつ鋳型強度をより向上させることができる。
まず、酸硬化性樹脂の原料(フルフリルアルコール、アルデヒド類、尿素およびフェノール類等)を混合し、塩基性触媒の水溶液を添加し、混合物のpHを9〜11に調整してアルカリ性とする。次いで、混合物を昇温して尿素とアルデヒド類とを付加反応させ、反応生成物を生成する(第1工程)。得られた反応液に酸性触媒を添加し、反応液のpHを2〜5に調整して酸性とし、尿素とアルデヒド類の付加反応物等の縮合反応を進行させる(第2工程)。その後、反応液に塩基性触媒の水溶液を添加し、反応液のpHを7〜10に調整してアルカリ性とし、添加剤を混合して反応させ(第3工程)、必要に応じて添加剤をさらに添加して、酸硬化性樹脂を含む反応生成物を得る。
酸性触媒としては、例えばノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示した酸性触媒などが挙げられる。なお、酸性触媒の添加量は少ないため、硬化反応まで進行しない。
添加剤としては、シランカップリング剤、ホルムアルデヒド低減剤などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したシランカップリング剤が挙げられる。
ホルムアルデヒド低減剤は、鋳型造型時に発生するホルムアルデヒドを低減するためのものである。ホルムアルデヒド低減剤としては、尿素、レゾルシノール、没食子酸、ピロガロールなどが挙げられる。
水溶性無機塩は、無機粘結剤の役割を果たす。
本発明において「水溶性」とは、20℃の水への溶解度が2g/100mL以上であることを示す。
水溶性無機塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。これら水溶性無機塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アルカリ土類金属塩としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸マグネシウムなどが挙げられる。これらアルカリ土類金属塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、水溶性無機塩としては、熱分解温度が有機粘結剤よりも高い水溶性無機塩を用いることが好ましく、鋳型の強度がより高まる点で、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物がより好ましい。その中でも特に、潮解性が低く、取り扱い性が容易な点で、塩化ナトリウム、塩化カリウムがさらに好ましい。
硬化剤としては、有機粘結剤の種類や硬化方法に応じて、公知の硬化剤の中から選択して用いればよい。
例えば、有機粘結剤としてシェルモールド法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤を用いる場合、硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミンが好ましい。
有機粘結剤としてアミンコールドボックス法で鋳型を製造する際に用いられる粘結剤を用いる場合、硬化剤としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミンガスが好ましい。これら硬化剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有機粘結剤としてアルカリフェノール樹脂を用いる場合、硬化剤としては、自硬性鋳型造型法においてはギ酸メチル、ギ酸エチル、トリアセチン、ジアセチン、モノアセチン、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなどが好ましい。ガス硬化鋳型造型法においては、揮発性が高いエステル類が好ましく、ギ酸メチルなどがより好ましい。
有機粘結剤として酸硬化性樹脂を用いる場合、硬化剤としては、硫酸、リン酸、塩酸などの無機酸;有機スルホン酸(例えばキシレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等)、カルボン酸(例えばギ酸、酢酸、シュウ酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸等)などの有機酸が好ましい。これら硬化剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化剤水溶液の総質量に対する硬化剤の含有量は、20〜75質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
硬化剤水溶液の総質量に対する水の含有量は、25〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
硬化剤水溶液には、水以外の溶媒(他の溶媒)が含まれていてもよく、他の溶媒としてはメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類が挙げられる。
任意成分としては、例えばシランカップリング剤、滑剤、崩壊剤、硬化促進剤などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、ノボラック型フェノール樹脂の説明において先に例示したシランカップリング剤が挙げられる。
滑剤としては、例えば脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば硝酸塩などが挙げられる。
硬化促進剤としては、例えば安息香酸、サリチル酸などが挙げられる。
一次成形体は、耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む。一次成形体は、任意成分をさらに含んでいてもよい。
一次成形体は鋳型の中間体であり、耐火性粒状材料同士が有機粘結剤の硬化物によって接着されている。
一次成形体の製造方法としては、例えば以下に示す方法が挙げられる。
第一の態様の一次成形体の製造方法は、耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、水溶性無機塩と、必要に応じて任意成分とを含む混合物(以下、「混合物(A)」ともいう。)を鋳型造型用型に充填し、有機粘結剤を硬化させる方法である。
鋳型造型用型としては特に制限されず、木型、樹脂型、金属型のいずれを使用してもよい。
混合物(A)における水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、水溶性無機塩の含有量が3〜30質量%となる量が好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。水溶性無機塩の含有量が上記下限値以上であれば、強度がより高い鋳型が得られやすい。水溶性無機塩の含有量が上記上限値以下であれば、鋳造後の鋳型の崩壊性を良好に維持できる。
また、例えば耐火性粒状材料を所定の温度に加熱しておき、加熱した耐火性粒状材料と、水溶性無機塩と、有機粘結剤と、必要に応じて任意成分とを混合し、得られた混合物(a1)を冷却して混合物(A)を製造してもよい。任意成分は、混合物(a1)を冷却した後に添加してもよい。耐火性粒状材料の加熱温度は、有機粘結剤の融点より高い温度が好ましく、通常は、100〜150℃である。耐火性粒状材料を予め加熱しておくことで、有機粘結剤と混合した際に有機粘結剤が溶融し、耐火性粒状材料および水溶性無機塩の表面が有機粘結剤で被覆される。こうして得られた混合物(A)を「被覆砂」ともいう。
有機粘結剤を熱硬化または常温硬化により硬化させる場合、すなわち、熱硬化鋳型造型法や自硬性鋳型造型法により鋳型を製造する場合、混合物(A)は硬化剤を含むことが好ましい。以下、硬化剤を含む混合物(A)を特に「混合物(A1)」ともいう。
混合物(A1)における硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.1〜0.5質量部が好ましく、0.2〜0.4質量部がより好ましい。硬化剤の含有量が上記範囲内であれば、強度がより高い鋳型が得られやすい。
混合物(A1)が混練砂の場合は、例えば耐火性粒状材料と、水溶性無機塩と、有機粘結剤と、硬化剤水溶液と、必要に応じて任成成分とを混合して、混合物(A1)を得る。
混合物(A1)が被覆砂の場合は、例えば上述した混合物(a1)に硬化剤水溶液を添加し、得られた塊状物(a2)を冷却により粒状に崩壊させて、混合物(A1)を得る。任意成分は、混合物(a1)に硬化剤水溶液を添加するタイミングで添加してもよいし、塊状物(a2)を冷却により粒状に崩壊させた後に添加してもよい。
ガス状の硬化剤の通気流量および通気時間は、通常のガス硬化鋳型造型法における通気流量および通気時間の範囲内であれば、特に制限されない。
得られた一次成形体は鋳型造型用型から取り出しておく。一次成形体は有機粘結剤の硬化物によってその形状を維持できるので、鋳型造型用型から取り出しても崩れにくい。
第二の態様の一次成形体の製造方法は、耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、必要に応じて任意成分とを含む混合物(以下、「混合物(B)」ともいう。)を鋳型造型用型に充填し、有機粘結剤を硬化させて混合物(B)の硬化物を得た後、得られた硬化物に水溶性無機塩を含浸させる方法である。
鋳型造型用型としては特に制限されず、木型、樹脂型、金属型のいずれを使用してもよい。
混合物(B)における有機粘結剤の含有量は、混合物(A)の場合と同様である。
混合物(B)は、水溶性無機塩を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよいが、製造コストの観点から、混合物(B)は水溶性無機塩を含まないことが好ましい。
また、例えば耐火性粒状材料を所定の温度に加熱しておき、加熱した耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、必要に応じて任意成分とを混合し、得られた混合物(b1)を冷却して混合物(B)を製造してもよい。任意成分は、混合物(b1)を冷却した後に添加してもよい。耐火性粒状材料の加熱温度は、有機粘結剤の融点より高い温度が好ましく、通常は、100〜150℃である。耐火性粒状材料を予め加熱しておくことで、有機粘結剤と混合した際に有機粘結剤が溶融し、耐火性粒状材料の表面が有機粘結剤で被覆される。こうして得られた混合物(B)を「被覆砂」ともいう。
有機粘結剤を熱硬化または常温硬化により硬化させる場合、混合物(B)は硬化剤を含むことが好ましい。以下、硬化剤を含む混合物(B)を特に「混合物(B1)」ともいう。
混合物(B1)における硬化剤の含有量は、混合物(A1)の場合と同様である。
混合物(B1)が混練砂の場合は、例えば耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、硬化剤水溶液と、必要に応じて任成成分とを混合して、混合物(B1)を得る。
混合物(B1)が被覆砂の場合は、例えば上述した混合物(b1)に硬化剤水溶液を添加し、得られた塊状物(b2)を冷却により粒状に崩壊させて、混合物(B1)を得る。任意成分は、混合物(b1)に硬化剤水溶液を添加するタイミングで添加してもよいし、塊状物(b2)を冷却により粒状に崩壊させた後に添加してもよい。
ガス状の硬化剤の通気流量および通気時間は、第一の態様と同様である。
次いで、得られた硬化物に水溶性無機塩を含浸させる。具体的は、水溶性無機塩の水溶液を硬化物に含浸させる。
水溶性無機塩の含浸量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩の含有量の合計を100質量%としたときに、水溶性無機塩の含有量が3〜30質量%となる量が好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。
得られた一次成形体は鋳型造型用型から取り出しておく。一次成形体は有機粘結剤の硬化物によってその形状を維持できるので、鋳型造型用型から取り出しても崩れにくい。
一次成形体の製造方法としては上述した方法に限定されず、例えば耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、水溶性無機塩と、必要に応じて硬化剤および任意成分とを用い、三次元積層造形法により一次成形体を製造してもよい。また、耐火性粒状材料と、有機粘結剤と、必要に応じて硬化剤および任意成分とを用い、三次元積層造形法により三次元積層造形物を得た後、三次元積層造形物に水溶性無機塩を含浸させて一次成形体を製造してもよい。
焼成工程は、一次成形体を焼成する工程である。
焼成工程では、一次成形体に含まれる水溶性無機塩の融点以上、かつ有機粘結剤の分解温度以上で、一次成形体を焼成する。
一次成形体を水溶性無機塩の融点以上、かつ有機粘結剤の分解温度以上で焼成することで、有機粘結剤は熱分解してガス化し、熱分解ガスとして一次成形体から除去される。一方、水溶性無機塩は溶融する。
焼成時間は、一次成形体に含まれる有機粘結剤が充分に熱分解し、かつ水溶性無機塩が充分に溶融する時間であれば特に制限されないが、例えば1〜30分が好ましい。
一次成形体の焼成方法としては公知の方法を採用でき、例えば電気炉、オーブンを用いる方法などが挙げられる。
焼成物の冷却方法としては公知の方法を採用でき、例えば室温で自然冷却する方法、送風を利用して強制冷却する方法などが挙げられる。
以上説明した本発明の鋳型の製造方法によれば、有機系と無機系の2種類の粘結剤を用い、まず、有機粘結剤を硬化させて、鋳型の中間体である一次成形体を得る。有機粘結剤はハンドリング性に優れ、鋳型の造型が容易であるため、本発明であれば一次成形体をハンドリング性よく、容易に製造できる。しかも、一次成形体を製造する際に用いる鋳型造形用型としては、通常の鋳型の製造に用いられる鋳型造形用型を用いることができるので、鋳型造型用型に制約がない。
そして、一次成形体を所定の温度で焼成する。一次成形体を所定の温度で焼成することで有機粘結剤は熱分解してガス化し、熱分解ガスとして一次成形体から除去される。一方、水溶性無機塩は溶融し、一次成形体の焼成物を冷却することで溶融した水溶性無機塩が固化し、鋳造時までは充分な強度を維持する鋳型が得られる。
よって、本発明の鋳型の製造方法であれば、鋳造時までは充分な強度を維持しつつ、鋳造後の崩壊性に優れ、しかも鋳造時に粘結剤の熱分解ガスが発生しにくい鋳型を、鋳型造型用型に制約されることなく製造できる。また、本発明の鋳型の製造方法であれば、有機粘結剤の特徴であるハンドリング性や造型性も維持できる。
しかし、一次成形体の焼成は、例えば電気炉やオーブンなどの狭い空間で行われるため、熱分解ガスを排気しやすい。また、一次成形体の焼成では、熱や酸素が一次成形体の全体に充分に行きわたるので、有機粘結剤が完全燃焼しやすい。そのため、焼成時に発生する熱分解ガスは主に水蒸気や二酸化炭素である。
一方、鋳造は工場などの広い空間で行われるため、有機粘結剤の熱分解ガスが発生すると狭い空間に比べて排気しにくく、空間内に充満して作業環境が悪化しやすい。また、鋳物に欠陥が生じることがある。さらに、鋳造では、熱や酸素が鋳型の全体に充分に行きわたりにくく、有機粘結剤は完全燃焼しにくい。そのため、鋳造時に発生する熱分解ガスは、主に有機物系のガスである。例えば、フェノール類を原料とした有機粘結剤を用いた場合、フェノール基を有する熱分解ガスが発生する。
耐火性粒状材料として、以下に示すものを用いた。
・耐火性粒状材料(i):焼結法により得られた人工砂(伊藤忠セラテック株式会社製、「セラビーズ#1450」)。
・耐火性粒状材料(ii):フラタリー珪砂。
・耐火性粒状材料(iii):焼結法により得られた人工砂(伊藤忠セラテック株式会社製、「セラビーズ#1450」)50質量部と、焼結法により得られた人工砂(伊藤忠セラテック株式会社製、「セラビーズ#1700」)50質量部との混合物。
・耐火性粒状材料(iv):溶融法により得られた人工砂(伊藤機工株式会社製、「アルサンド#1000」)。
無機粘結剤として、以下に示すものを用いた。
・NaCl:塩化ナトリウム(関東化学株式会社製、特級試薬、融点801℃、熱分解温度1413℃)。
・KCl:塩化カリウム(関東化学株式会社製、特級試薬、融点770℃、熱分解温度1420℃)。
・Na2CO3:炭酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級試薬、融点851℃、熱分解温度1600℃)。
・B4Na2O7:四ホウ酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級試薬、融点741℃、熱分解温度1575℃)。
・Na2SO4:硫酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級試薬、融点883℃、熱分解温度1429℃)。
・水ガラス:珪酸ナトリウムの水溶液(富士化学株式会社製、モル比(SiO2/Na2O)2.1、ボーメ度25(20℃))。
シェルモールド法を利用して鋳型を製造する場合の有機粘結剤、硬化剤および滑剤として、以下に示すものを用いた。
有機粘結剤としてノボラック型フェノール樹脂(群栄化学工業株式会社製、「PSM−5419B」、熱分解温度約350℃)を用いた。
硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン(三菱ガス化学株式会社製)を用いた。
滑剤としてステアリン酸カルシウム(株式会社ADEKA製)を用いた。
アルカリフェノール自硬性を利用して鋳型を製造する場合の有機粘結剤および硬化剤として、以下に示すものを用いた。
有機粘結剤としてレゾール型フェノール樹脂(群栄化学工業株式会社製、アルファシステム用樹脂「AR−170」、熱分解温度約350℃)を用いた。
硬化剤として有機エステル(群栄化学工業株式会社製、アルファシステム硬化剤「AH−530」)を用いた。
フラン自硬性を利用して鋳型を製造する場合の有機粘結剤および硬化剤として、以下に示すものを用いた。
有機粘結剤としてフラン樹脂(群栄化学工業株式会社製、エヌフラン用樹脂「GFA−160」、熱分解温度約200℃)を用いた。
硬化剤としてスルホン酸水溶液(群栄化学工業株式会社製、エヌフラン硬化剤「GH−20」)60質量部と、スルホン酸水溶液(群栄化学工業株式会社製、エヌフラン硬化剤「GH−70」)40質量部との混合物を用いた。
アミンコールドボックス法を利用して鋳型を製造する場合の有機粘結剤および硬化剤として、以下に示すものを用いた。
有機粘結剤としてフェノールウレタン樹脂(岡崎ヒュッテナス・アルバータス化成株式会社製、「ニューコールドボックス96」;フェノール樹脂溶液(ガスハーツGH−4106N)1質量部と、ポリイソシアネート溶液(アクティベーターAKT−4606N)1質量部とで構成される二液性粘結剤)を用いた。
硬化剤としてトリエチルアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いた。
(ガス発生量の測定)
鋳型を700℃の雰囲気下で3分間加熱処理し、鋳物を作製する際と同様の雰囲気に鋳型を曝した。加熱処理時におけるガス発生量をJACT試験法M−5「ガス発生量測定法」に従って測定した。
鋳型を500℃の雰囲気下で15分間加熱処理し、鋳物を作製する際と同様の雰囲気に鋳型を曝した。加熱処理後、鋳型を25℃まで冷却した。冷却後の鋳型の曲げ強度をJIS K 6910に従って測定した。この曲げ強度を鋳型の残留強度とする。残留強度が高いほど、鋳造時に高い強度を維持していることを意味する。
残留強度を測定した後の鋳型を水に沈めて鋳型が崩壊するか否かを目視にて確認し、以下の評価基準にて評価した。
○:鋳型が指ですり潰せる程度まで崩壊した。
×:鋳型が崩壊せず、その形状を維持した。
25℃まで冷却した一次成形体または鋳型の曲げ強度をJIS K 6910に従って測定した。この曲げ強度を一次成形体または鋳型の冷間強度とする。
シェルモールド法を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
冷却水30gに硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン4.5gを溶解させて、硬化剤水溶液を調製した。
スピードミキサーに、150℃に加熱した耐火性粒状材料(i)1350gと、無機粘結剤として水溶性無機塩であるNaClを150gと、有機粘結剤としてノボラック型フェノール樹脂30gとを投入し、60秒間混練した。次いで、硬化剤水溶液34.5gを添加し、得られた塊状物を送風冷却により粒状に崩壊させた後、滑剤としてステアリン酸カルシウム1.5gを添加し、10秒間混合して被覆砂(A1−1)を得た。
得られた被覆砂(A1−1)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して2.0質量部であった。水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、10質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.3質量部であった。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1、2に示す。
アルカリフェノール自硬性を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
耐火性粒状材料(i)1350gと、無機粘結剤として水溶性無機塩であるNaClを150gとを混合し、得られた混合物100質量部に対して、有機粘結剤としてレゾール型フェノール樹脂1.5質量部と、硬化剤として有機エステル0.3質量部とを同時に添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で混練して、混練砂(A1−2)を得た。
得られた混練砂(A1−2)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して1.5質量部であった。水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、10質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.3質量部であった。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
フラン自硬性を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
耐火性粒状材料(i)1350gと、無機粘結剤として水溶性無機塩であるNaClを150gとを混合し、得られた混合物100質量部に対して、有機粘結剤としてフラン樹脂0.8質量部と、硬化剤としてスルホン酸水溶液(「GH−20」60質量部と、「GH−70」40質量部との混合物)0.32質量部とを同時に添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で混練して、混練砂(A1−3)を得た。
得られた混練砂(A1−3)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.8質量部であった。水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、10質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.32質量部であった。硬化剤の有効成分としての含有量は固形分換算で、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.18質量部であった。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
フラン自硬性を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
耐火性粒状材料(i)100質量部に対して、有機粘結剤としてフラン樹脂2.0質量部と、硬化剤としてスルホン酸水溶液(「GH−20」60質量部と、「GH−70」40質量部との混合物)0.32質量部とを同時に添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で混練して、混練砂(B1−1)を得た。
得られた混練砂(B1−1)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して2.0質量部であった。水溶性無機塩の含有量は0質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.32質量部であった。硬化剤の有効成分としての含有量は固形分換算で、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.18質量部であった。
得られた一次成形体を電気炉に入れて850℃で15分間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を25℃まで冷却し、鋳型を得た。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
アミンコールドボックス法を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
耐火性粒状材料(i)1350gと、無機粘結剤として水溶性無機塩であるNaClを150gとを混合し、得られた混合物100質量部に対して、有機粘結剤としてフェノールウレタン樹脂(フェノール樹脂溶液1質量部と、ポリイソシアネート溶液1質量部とで構成される二液性粘結剤)2.0質量部を添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で混練して、混練砂(A1−4)を得た。
得られた混練砂(A1−4)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して2.0質量部であった。水溶性無機塩の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、10質量%であった。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
シェルモールド法を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
冷却水30gに硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン4.5gを溶解させて、硬化剤水溶液を調製した。
スピードミキサーに、150℃に加熱した耐火性粒状材料(i)1500gと、有機粘結剤としてノボラック型フェノール樹脂22.5gとを投入し、60秒間混練した。次いで、硬化剤水溶液34.5gを添加し、得られた塊状物を送風冷却により粒状に崩壊させた後、滑剤としてステアリン酸カルシウム1.5gを添加し、10秒間混合して被覆砂(B1−2)を得た。
得られた被覆砂(B1−2)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して1.5質量部であった。水溶性無機塩の含有量は0質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.3質量部であった。
一次成形体の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
スピードミキサーに、耐火性粒状材料(i)1500gと、無機粘結剤として水ガラス30gと、水ガラスの硬化剤として非晶質シリカ15gとを投入し、60秒間混練して混練砂(C−1)を得た。
得られた混練砂(C−1)における有機粘結剤の含有量は0質量部であった。水ガラスの含有量は、耐火性粒状材料と水ガラスとの含有量の合計を100質量%としたときに、0.5質量%であった。非晶質シリカの含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して1.0質量部であった。
得られた鋳型について、ガス発生量を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
シェルモールド法を利用して、以下のようにして鋳型を製造した。
冷却水30gに硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン4.5gを溶解させて、硬化剤水溶液を調製した。
スピードミキサーに、150℃に加熱した耐火性粒状材料(i)1500gと、有機粘結剤としてノボラック型フェノール樹脂30gとを投入し、60秒間混練した。次いで、硬化剤水溶液34.5gを添加し、得られた塊状物を送風冷却により粒状に崩壊させた後、滑剤としてステアリン酸カルシウム1.5gを添加し、10秒間混合して被覆砂(B1−3)を得た。
得られた被覆砂(B1−3)における有機粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して2.0質量部であった。水溶性無機塩の含有量は0質量%であった。硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対して0.3質量部であった。
得られた一次成形体を電気炉に入れて850℃で15分間焼成し、焼成物を得た。得られた焼成物を25℃まで冷却し、鋳型を得た。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、被覆砂(A1−1)を得た。
金型を250℃に加熱し、先に得られた被覆砂(A1−1)を充填し、1分間放置して有機粘結剤を硬化させ、一次成形体を得た。得られた一次成形体を金型から取り出し、これを鋳型とした。
一次成形体の冷間強度を測定した。また、ガス発生量および鋳型の残留強度を測定し、崩壊性を評価した。結果を表1に示す。
一方、比較例1で得られた鋳型は、ガスの発生量が多かった。また、水をかけても崩壊しにくく、崩壊性に劣っていた。
比較例2で得られた鋳型は、ガスの発生量が多かった。また、水をかけても崩壊しにくく、崩壊性に劣っていた。
比較例3で得られた鋳型は、残留強度が高すぎ、水をかけても崩壊しにくく、崩壊性に劣っていた。
比較例4で得られた鋳型は、ガスの発生量が多かった。また、水をかけても崩壊しにくく、崩壊性に劣っていた。
なお、比較例1、4で発生したガスは主に有機粘結剤の熱分解ガスである。比較例2で発生したガスは主に水蒸気である。
耐火性粒状材料の種類、無機粘結剤として用いた水溶性無機塩の種類、耐火性粒状材料と無機粘結剤(水溶性無機塩)との含有量の合計を100質量%としたときの無機粘結剤(水溶性無機塩)の量、耐火性粒状材料と水溶性無機塩との含有量の合計100質量部に対する有機粘結剤(ノボラック型フェノール樹脂)の量、および焼成条件を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして鋳型を製造した。
一次成形体および鋳型の冷間強度を測定した。また、ガス発生量を測定し、崩壊性を評価した。結果を表2に示す。
一方、比較例5〜7で得られた鋳型は残留強度が低く、鋳造時まで充分な強度を維持できなかった。
Claims (5)
- 耐火性粒状材料と有機粘結剤とを含む混合物の硬化物であり、かつ水溶性無機塩を含む一次成形体を、前記水溶性無機塩の融点以上、かつ前記有機粘結剤の分解温度以上で焼成する、鋳型の製造方法。
- 前記混合物は、耐火性粒状材料と、前記有機粘結剤と、前記水溶性無機塩とを含み、この混合物を鋳型造型用型に充填し、前記有機粘結剤を硬化させて前記一次成形体を得る、請求項1に記載の鋳型の製造方法。
- 前記混合物を鋳型造型用型に充填し、前記有機粘結剤を硬化させて前記硬化物を得た後、得られた硬化物に前記水溶性無機塩を含浸させて前記一次成形体を得る、請求項1に記載の鋳型の製造方法。
- 前記水溶性無機塩がアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の少なくとも一方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋳型の製造方法。
- 前記耐火性粒状材料と前記水溶性無機塩との含有量の合計を100質量%としたときに、前記水溶性無機塩の含有量が3〜30質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鋳型の製造方法。
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