以下、パチンコ遊技機に具体化した一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10には、遊技盤YBが備えられている。パチンコ遊技機10の前面側には、遊技盤YBへ遊技球を発射させるときに遊技者によって操作される発射ハンドルHDが配設されている。遊技盤YBの中央には、画像表示部GHを有する演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11の画像表示部GHは、例えば液晶ディスプレイ型の表示部である。
遊技盤YBにおいて演出表示装置11の右下方には、複数の発光部によって構成される特別図柄表示装置12が配設されている。特別図柄表示装置12では、特別図柄を変動させて行う変動ゲームが行われる。以下の説明では、特別図柄を用いる変動ゲームを「特別図柄変動ゲーム」と示す。特別図柄は、当りか否かの内部抽選(後述する当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。
特別図柄表示装置12は、発光部を点灯及び消灯することにより特別図柄を表示する。特別図柄表示装置12では、特別図柄変動ゲームの開始と同時に特別図柄の変動表示が開始されるとともに、特別図柄変動ゲームの終了と同時に特別図柄が確定停止表示される。「変動表示」とは、図柄を表示する表示装置に定める表示領域内において、表示される図柄の種類が変化している状態である。「確定停止表示」とは、前記表示領域内において図柄が確定停止している状態であり、変動ゲーム終了時に表示されている図柄(最終図柄)で確定停止した状態である。本実施形態の特別図柄変動ゲームでは、当り抽選の結果に応じた表示結果として、複数種類の特別図柄の中から選択された特別図柄が確定停止表示される。特別図柄は、当りを認識し得る当り図柄と、はずれを認識し得るはずれ図柄とに分類される。
一方、演出表示装置11では、表示演出が行われる。具体的に言えば、演出表示装置11では、表示演出の1つとして、複数種類の飾り図柄を複数の図柄列(本実施形態では3列)で変動させて図柄組み合わせを表示(導出)する図柄変動演出としての変動ゲームが行われる。以下の説明では、飾り図柄を用いる変動ゲームを「飾り図柄変動ゲーム」と示す。飾り図柄は、表示演出を多様化するために用いられる演出用の図柄(演出図柄)である。
演出表示装置11では、特別図柄変動ゲームの開始と同時に飾り図柄の変動表示が開始される。また、演出表示装置11では、特別図柄変動ゲームの終了前に飾り図柄が一旦停止表示されるとともに、特別図柄変動ゲームの終了と同時又はほぼ同時に飾り図柄が確定停止表示される。なお、「一旦停止表示」とは、例えばゆれ変動状態など、前記表示領域内において図柄が再び変動表示される可能性があることを示す状態である。
演出表示装置11には、特別図柄変動ゲームの表示結果に応じた表示結果が表示される。具体的に言えば、特別図柄変動ゲームで当り図柄が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にも当り図柄が確定停止表示される。本実施形態において、飾り図柄による当り図柄は、演出表示装置11に確定停止表示された全列の飾り図柄が同一となる図柄組み合わせとされている。また、特別図柄変動ゲームではずれ図柄が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にもはずれ図柄が確定停止表示される。本実施形態において、飾り図柄によるはずれ図柄は、演出表示装置11に確定停止表示された全列の飾り図柄が同一でない図柄組み合わせとされている。
本実施形態の飾り図柄変動ゲームでは、演出表示装置11において遊技者側から見て左図柄列(左図柄)→右図柄列(右図柄)→中図柄列(中図柄)の順に飾り図柄が一旦停止表示される。そして、一旦停止表示された左図柄と右図柄が同一の場合には、その図柄組み合わせ(「1↓1」など、「↓」は変動中を示す)からリーチを認識できる。リーチの状態は、全図柄列のうち、特定列(本実施形態では左図柄列と右図柄列)の飾り図柄が同一となって一旦停止表示され、かつ前記特定列以外の列(本実施形態では中列)の飾り図柄が変動表示されている状態である。本実施形態では、リーチを認識できる図柄組み合わせが飾り図柄によるリーチの図柄組み合わせとなる。
また、本実施形態の演出表示装置11では、飾り図柄変動ゲームにおいてリーチの図柄組み合わせが形成されてから、最終的に図柄組み合わせが一旦停止表示されるまでの間に、表示演出の1つとしてリーチ演出を実行可能である。
遊技盤YBにおいて演出表示装置11の下方には、遊技球が入球可能な入球口を有する始動口13が配設されている。始動口13の奥方には、入球した遊技球を検知する始動センサSE(図2に示す)が設けられている。パチンコ遊技機10では、始動口13へ入球した遊技球が始動センサSEによって検知されることを契機として、特別図柄変動ゲームの始動条件を付与し得る。
また、始動口13は、普通電動役物ソレノイドSOL1(図2に示す)の作動により開閉動作を行う開閉羽根(普通電動役物)14を有している。開閉羽根14は、遊技球が入球容易な開状態、及び遊技球が入球困難な閉状態に動作可能である。開閉羽根14は、常には閉状態に制御されており、予め定めた開放条件が成立すると、1回又は複数回だけ予め定めた開放時間の間、開状態に制御される。
遊技盤YBにおいて始動口13の下方には、大入賞ソレノイドSOL2(図2に示す)の作動により開閉動作を行う大入賞口扉15を備えた大入賞口16が配設されている。大入賞口16の奥方には、入球した遊技球を検知するカウントセンサCS(図2に示す)が設けられている。パチンコ遊技機10では、大入賞口16へ入球した遊技球がカウントセンサCSによって検知されることを契機として、予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。パチンコ遊技機10では、当り抽選に当選し、特別図柄変動ゲームにて当り図柄が確定停止表示された後に当り遊技が付与される。当り遊技では、大入賞口扉15が開状態となり、大入賞口16への遊技球の入球が許容される。このため、当り遊技中、遊技者は、大入賞口16へ遊技球を入球させることによって多数の賞球を獲得できるチャンスを得ることができる。
遊技盤YBにおいて演出表示装置11の右下方には、複数の発光部によって構成される保留表示装置17が配設されている。保留表示装置17では、始動条件が付与されたが未だ実行されていない保留中の特別図柄変動ゲームの回数が表示される。以下の説明では、保留中の特別図柄変動ゲームの回数を「特別図柄保留数」と示す。
遊技盤YBにおいて演出表示装置11の右下方には、複数の発光部によって構成される普通図柄表示装置18が配設されている。普通図柄表示装置18では、普通図柄を変動させて行う普通図柄の変動ゲームが実行される。普通図柄は、普通当りか否かの内部抽選(普通当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。普通図柄表示装置18は、発光部を点灯及び消灯することにより普通図柄を表示する。そして、普通図柄表示装置18では、普通図柄変動ゲームの開始と同時に普通図柄の変動表示が開始されるとともに、普通図柄変動ゲームの終了と同時に普通図柄が確定停止表示される。本実施形態の普通図柄変動ゲームでは、普通当り抽選の結果に応じた表示結果として普通図柄が確定停止表示される。普通図柄は、普通当りを認識し得る普通当り図柄と、普通はずれを認識し得る普通はずれ図柄とに分類される。
本実施形態のパチンコ遊技機10では、普通当り抽選に当選し、普通図柄変動ゲームにて普通当り図柄が確定停止表示された後に普通当り遊技が付与される。普通当り遊技では、開閉羽根14が開状態となり、始動口13へ遊技球を入球させ易くなる。このため、普通当り遊技中、遊技者は、特別図柄変動ゲームの始動条件を容易に獲得できるチャンスを得ることができる。
遊技盤YBにおいて演出表示装置11の左方には、作動ゲート19が配設されている。作動ゲート19には、入球(通過)した遊技球を検知するゲートセンサGS(図2に示す)が設けられている。パチンコ遊技機10では、作動ゲート19へ入球した遊技球がゲートセンサGSによって検知されることを契機として、普通図柄変動ゲームの始動条件を付与し得る。本実施形態のパチンコ遊技機10は、普通図柄変動ゲームの実行を保留可能に構成されている。
次に、本実施形態のパチンコ遊技機10の電気的構成について説明する。
図2に示すように、パチンコ遊技機10には、主制御手段としての主制御基板30が搭載されている。主制御基板30は、パチンコ遊技機10における遊技などに関する処理を実行するとともに、該処理の結果に応じて各種の制御信号(制御コマンド)を出力する。また、パチンコ遊技機10には、副制御手段としての副制御基板31が搭載されている。副制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき遊技演出の実行などに関する処理を実行する。即ち、副制御基板31は、演出表示装置11の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)、装飾ランプLaの発光態様、及びスピーカSpの音声出力態様を制御する。
主制御基板30には、主制御用CPU30a、主制御用ROM30b、主制御用RAM30c、及び乱数生成回路30dが備えられている。主制御用CPU30aには、主制御用ROM30b、主制御用RAM30c、及び乱数生成回路30dが接続されている。また、主制御用CPU30aには、各種センサSE,CS,GS、特別図柄表示装置12、保留表示装置17、及び普通図柄表示装置18が接続されている。また、主制御用CPU30aには、各種アクチュエータ(電動役物ソレノイドSOL1、大入賞ソレノイドSOL2など)が接続されている。
主制御用ROM30bには、主制御用CPU30aが遊技に関する処理を実行するためのメイン制御プログラムが記憶されている。また、主制御用ROM30bには、複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、特別図柄が変動を開始してから特別図柄が確定停止表示される迄の間の遊技演出のベースとなるパターンを示すものである。変動パターンは、特別図柄の変動が開始されてから特別図柄が確定停止表示される迄の変動時間(演出時間)を特定可能である。また、変動パターンは、特別図柄の変動が開始されてから特別図柄が確定停止表示される迄の遊技演出の変動内容(演出内容)を特定可能である。
変動パターンは、当り演出用の変動パターンと、はずれ演出用の変動パターンとに分類可能である。当り演出は、当り抽選に当選した場合に行われる演出であって、特別図柄変動ゲームにおいては最終的に当り図柄が導出される。はずれ演出は、当り抽選に当選しなかった場合に行われる演出であって、特別図柄変動ゲームにおいては最終的にはずれ図柄が導出される。なお、はずれ演出の変動パターンに基づく飾り図柄変動ゲームでは、リーチ演出が行われてはずれとなる場合と、リーチ演出が行われずにはずれとなる場合と、がある。
また、主制御用ROM30bには、各種の判定値が記憶されている。判定値には、当り抽選に用いる当り判定値、普通当り抽選に用いる普通当り判定値、リーチ演出の実行を許容するか否かのリーチ抽選に用いるリーチ判定値などを含む。また、主制御用RAM30cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ等)が記憶される。
主制御用CPU30aは、各種のソフトウェア乱数の値を所定の制御周期(割込み周期)毎に更新し、主制御用RAM30cに記憶させる乱数更新処理(ソフトウェア乱数生成処理)を実行する。ソフトウェア乱数には、リーチ抽選に用いるリーチ乱数、特別図柄の当り図柄を決定するときに用いる当り図柄乱数、変動パターンを振り分けるときに用いる変動パターン振分乱数などを含む。乱数生成回路30dは、マイクロプロセッサに搭載された図示しないクロック回路から供給される内部システムクロック(例えば10MHz)の1周期毎に値を1更新することにより、ハードウェア乱数を生成する。ハードウェア乱数は、当り抽選に用いる当り乱数や、普通当り抽選に用いる普通当り乱数となる。
一方、副制御基板31には、副制御用CPU31a、副制御用ROM31b、及び副制御用RAM31cが備えられている。副制御用CPU31aには、副制御用ROM31b及び副制御用RAM31cが接続されている。また、副制御用CPU31aには、演出表示装置11、装飾ランプLa、及びスピーカSpが接続されている。
副制御用ROM31bには、副制御用CPU31aが遊技演出の実行などに関する処理を実行するための演出制御プログラムが記憶されている。副制御用ROM31bには、表示演出用の表示演出データ(図柄、背景画像、文字、及びキャラクタなどの各種の画像データ)、音声演出用の音声演出データ(楽曲や効果音などの音声データ)、及び発光演出用の発光演出データ(点灯パターンなどの発光データ)が記憶されている。副制御用RAM31cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ等)が記憶される。
次に、主制御基板30が実行する制御内容を説明する。
主制御基板30の主制御用CPU30aは、メイン制御プログラムに基づき特別図柄入力処理や特別図柄開始処理などの各種処理を実行する。主制御用CPU30aは、所定の制御周期(例えば4ms)毎に特別図柄入力処理や特別図柄開始処理などの各種処理を実行する。
最初に、特別図柄入力処理について説明する。
主制御用CPU30aは、始動口13に遊技球が入球したか否かを判定する。この判定において、主制御用CPU30aは、始動センサSEが遊技球を検知したときに出力する検知信号を入力したか否かを判定する。主制御用CPU30aは、始動口13に遊技球が入球していない場合、特別図柄入力処理を終了する。
一方、主制御用CPU30aは、始動口13に遊技球が入球した場合、主制御用RAM30cに記憶されている特別図柄保留数が上限数の4未満であるか否かを判定する。当該判定において主制御用CPU30aは、特別図柄保留数が上限数の4未満ではない場合、すなわち上限数の4に達している場合、特別図柄入力処理を終了する。一方、主制御用CPU30aは、特別図柄保留数が上限数の4未満である場合、特別図柄保留数に1加算し、特別図柄保留数を書き換える。このとき、主制御用CPU30aは、1加算後の特別図柄保留数を表示するように保留表示装置17の表示内容を制御する。また、主制御用CPU30aは、1加算後の特別図柄保留数を特定可能な保留数コマンドを副制御用CPU31aに出力する。
続いて、主制御用CPU30aは、各種乱数の値を取得するとともに、該取得した各種乱数の値を特定可能な乱数情報を、主制御用RAM30cに記憶させる。乱数情報は、乱数の値によって構成されていても良いし、乱数の値を当該値を特定可能な他の情報に変換した情報によって構成されていても良い。また、主制御用CPU30aは、乱数情報を記憶させる場合、その乱数の値の取得契機となった遊技球の入球順序(情報の記憶順序)と、先に入球した遊技球の入球順序(情報の記憶順序)とが特定可能なように主制御用RAM30cに記憶させる。なお、主制御用CPU30a、この処理において当り乱数の値を乱数生成回路30dから取得するとともに、当り図柄乱数の値、リーチ抽選乱数の値、及び変動パターン振分乱数の値を主制御用RAM30cから取得する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。
次に、特別図柄開始処理について説明する。
主制御用CPU30aは、特別図柄変動ゲームの開始条件が成立したか否かを判定する。この判定において主制御用CPU30aは、特別図柄変動ゲームの実行中ではなく、且つ当り遊技中ではない場合に開始条件が成立したと判定する一方で、特別図柄変動ゲームの実行中、又は当り遊技中である場合に開始条件が成立していないと判定する。そして、主制御用CPU30aは、開始条件が成立していない場合、特別図柄開始処理を終了する。
一方、主制御用CPU30aは、特別図柄変動ゲームの開始条件が成立している場合、主制御用RAM30cから特別図柄保留数を読み出し、その読み出した特別図柄保留数が0(零)よりも大きいか否か判定する。そして、主制御用CPU30aは、特別図柄保留数が0よりも大きくない場合、すなわち0の場合、デモンストレーション演出を実行させるための処理を行う。デモンストレーション演出は、パチンコ遊技機10が待機状態であることを演出表示装置11などの装置を利用して報知し、客寄せ効果を得るための演出である。当該処理において主制御用CPU30aは、副制御基板31に対して、デモンストレーション演出の実行を開始させるデモ指定コマンドを出力する。
一方、主制御用CPU30aは、特別図柄保留数が0よりも大きい場合、特別図柄保留数を1減算し、特別図柄保留数を書き換える。このとき、主制御用CPU30aは、1減算後の特別図柄保留数を表示するように保留表示装置17の表示内容を制御する。また、主制御用CPU30aは、1減算後の特別図柄保留数を特定可能な保留数コマンドを副制御用CPU31aに出力する。
次に、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている乱数情報のうち、最先に記憶された乱数情報(当り乱数、当り図柄乱数、リーチ抽選乱数、及び変動パターン振分乱数の乱数情報)を取得する。そして、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される当り乱数の値と当り判定値とを比較し、当り抽選を行う。当り抽選では、当り乱数の値と当り判定値とが一致することによって当りに当選する。上記当り抽選を行う主制御用CPU30aは、当り抽選手段として機能する。
当り抽選に当選した場合、主制御用CPU30aは、当り処理を行う。具体的に言えば、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される当り図柄乱数の値に基づき、特別図柄の当り図柄を決定する。この決定した当り図柄が、特別図柄表示装置12にて確定停止表示される確定停止図柄となる。また、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、当り演出用の変動パターンを決定する。
一方、当り抽選に当選しなかった場合、主制御用CPU30aは、はずれ処理を行う。はずれ処理において主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定されるリーチ乱数の値とリーチ判定値とを比較し、リーチ抽選を行う。リーチ抽選では、リーチ乱数の値とリーチ判定値とが一致することによってリーチに当選する。
はずれ処理において主制御用CPU30aは、特別図柄のはずれ図柄を決定する。この決定したはずれ図柄が、特別図柄表示装置12にて確定停止表示させる確定停止図柄となる。そして、主制御用CPU30aは、リーチ抽選に当選している場合、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、はずれ演出用の変動パターンの中からリーチ演出を行う変動パターンを決定する。一方、主制御用CPU30aは、リーチ抽選に当選していない場合、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、はずれ演出用の変動パターンの中からリーチ演出を行わない変動パターンを決定する。
上記のように当り処理又ははずれ処理を行った主制御用CPU30aは、副制御基板31に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する等、変動ゲームに関する各種処理を実行する。最初に、主制御用CPU30aは、変動パターンを指示するとともに飾り図柄変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力する。また、主制御用CPU30aは、特別図柄を変動開始させるように特別図柄表示装置12の表示内容を制御する。また、主制御用CPU30aは、特別図柄変動ゲームの変動時間の計測を開始する。また、主制御用CPU30aは、特別図柄を指示する特別図柄指定コマンドを出力する。そして、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
なお、特別図柄開始処理とは別の処理で、主制御用CPU30aは、指定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に、決定している確定停止図柄を確定停止表示させるように特別図柄表示装置12の表示内容を制御する。また、主制御用CPU30aは、指定した変動パターンに定められている変動時間の経過時に、飾り図柄の変動停止を指示し、図柄組み合わせを確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。
次に、当り遊技処理について説明する。
当り遊技処理において、主制御用CPU30aは、最初にオープニング演出の実行を指示するオープニングコマンドを出力する。次に、主制御用CPU30aは、オープニング時間の経過後、ラウンド遊技を開始させる毎に、ラウンド遊技の開始を指示するラウンドコマンドを出力する。また、主制御用CPU30aは、大入賞ソレノイドSOL2を制御することにより、ラウンド遊技の開始に伴って大入賞口扉15を開動作させて大入賞口16を開放させるとともに、予め定めたラウンド終了条件の成立を契機に大入賞口扉15を閉動作させて大入賞口16を閉鎖させる。ラウンド終了条件には、1回のラウンド遊技中に所定個数(例えば8球)の遊技球が入球したこと、及び所定のラウンド遊技時間が経過したことを含み、何れかの条件が成立したことを契機にラウンド遊技が終了する。そして、主制御用CPU30aは、最終回のラウンド遊技が終了すると、エンディング演出の実行を指示するエンディングコマンドを出力する。主制御用CPU30aは、エンディング時間の経過時にエンディング演出を終了させることによって当り遊技を終了させる。
次に、演出制御プログラムに基づいて、副制御基板31の副制御用CPU31aが実行する各種処理について説明する。副制御用CPU31aは、主制御用CPU30aから制御コマンドを入力すると、その制御コマンドに応じて各種処理を実行する。
最初に、飾り図柄変動処理について説明する。
飾り図柄変動処理において、副制御用CPU31aは、特別図柄指定コマンドを入力すると、特別図柄指定コマンドにより指定された最終図柄に基づき、演出表示装置11に確定停止表示させる飾り図柄による図柄組み合わせを決定する。副制御用CPU31aは、特別図柄指定コマンドにより指定された最終図柄が当り図柄である場合には、大当りの図柄組み合わせを決定する。また、副制御用CPU31aは、指定された最終図柄がはずれ図柄である場合には、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに基づいて演出表示装置11に確定停止表示させる飾り図柄による図柄組み合わせを決定する。具体的に言えば、副制御用CPU31aは、指定された最終図柄がはずれ図柄である場合であって、リーチ演出を行うはずれ演出用の変動パターンが指定されたときには、はずれリーチの図柄組み合わせを決定する。また、副制御用CPU31aは、指定された最終図柄がはずれ図柄である場合であって、リーチ演出を行わないはずれ演出用の変動パターンが指定されたときには、はずれの図柄組み合わせを決定する。
また、副制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、全図柄列の飾り図柄の変動表示を開始させ、飾り図柄変動ゲームを開始させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。副制御用CPU31aは、入力した変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに基づいて、飾り図柄変動ゲームの具体的な演出内容を特定可能な演出パターンを選択するとともに、該選択した演出パターンに特定される演出内容で飾り図柄変動ゲームが表示されるように演出表示装置11の表示内容を制御する。そして、副制御用CPU31aは、全図柄停止コマンドの入力を契機として、決定した飾り図柄を確定停止表示させるように演出表示装置11を制御する。このように、副制御用CPU31aは、主制御用CPU30aが選択した変動パターンに基づいて演出表示装置11を制御し、飾り図柄変動ゲームを表示させるゲーム制御手段として機能する。
副制御用CPU31aは、上記した飾り図柄変動処理の他に、主制御用CPU30aが出力した制御コマンドの入力によって処理を行う。
副制御用CPU31aは、保留数コマンドを入力すると、当該保留数コマンドから特定される特別図柄保留数に応じた数の保留表示を行うように演出表示装置11の表示内容を制御する。また、副制御用CPU31aは、デモ指定コマンドを入力すると、デモンストレーション演出を実行させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。また、副制御用CPU31aは、オープニングコマンドを入力すると、オープニング演出を実行させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。また、副制御用CPU31aは、ラウンドコマンドを入力すると、ラウンド演出を実行させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。また、副制御用CPU31aは、エンディングコマンドを入力すると、エンディング演出を実行させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。
上記した主制御用CPU30aと副制御用CPU31aの制御により、この実施形態のパチンコ遊技機10では、演出表示装置11の画像表示部GHに様々な画像が表示される。
図3(a)は、飾り図柄変動ゲームが実行されている時の画像表示部GHの表示内容の一例を示す。飾り図柄変動ゲーム中は、画像表示部GHの領域に3列の図柄列ZL,ZC,ZRが画像表示されているとともに、各図柄列ZL,ZC,ZRの背面には背景画像G1が画像表示されている。この背景画像G1は、リーチ演出を行っていない時やリーチ演出を行っている時など、飾り図柄変動ゲームの進行に合わせて様々な画像に切り替えられる。また、飾り図柄変動ゲーム中の画像表示部GHの領域には、保留画像40が表示されている。この保留画像40は、特別図柄保留数の増減に合わせて切り替えられる。
図3(b)は、当り遊技中にラウンド演出が実行されている時の画像表示部GHの表示内容の一例を示す。ラウンド演出では、例えば、現在のラウンド数画像41や、飾り図柄変動ゲームの演出に登場するキャラクタの紹介画像42など、が画像表示されている。図示しないが、当り遊技中のオープニング演出やエンディング演出においても、ラウンド演出と同様に、演出用画像が表示されている。図3(c)は、デモンストレーション演出が実行されている時の画像表示部GHの表示内容の一例を示す。デモンストレーション演出では、例えばパチンコ遊技機10の製造メーカのロゴ画像43など、が画像表示されている。なお、上記した画像は単なる一例であり、具体的な画像は任意に変更することができる。
この実施形態では、飾り図柄変動ゲームに関する画像が図柄変動演出の表示内容に相当する。また、この実施形態では、当り遊技に関する画像(オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出などの画像)が当り遊技中の演出の表示内容に相当する。また、デモンストレーション演出に関する画像が待機中の表示内容に相当する。そして、これらの表示内容が通常表示内容に相当し、この通常表示内容が表示される画像表示部GHの領域が通常表示領域に相当する。なお、画像表示部GHにおいて前述した通常表示内容は、画像表示部GHのほぼ全体の領域を用いて画像表示されている。また、前述した保留画像40も通常表示内容に含む。つまり、画像表示部GHの通常表示内容は、飾り図柄変動ゲーム中か否かを問わず、遊技者が普段目にしている表示内容の全てを示し、遊技者が目にする機会が最も多い表示内容である。
本実施形態のパチンコ遊技機10では、画像表示部GHに複数(この実施形態では2つ)の表示領域を出現させて演出を行うことができるように構成されている。
最初に、図4にしたがって、画像表示部GHに単一の表示領域を出現させている場合と複数の表示領域を出現させている場合の演出の流れを説明する。
図4(a)は、単一の表示領域が出現している場合の演出の流れである。
この場合は、図4(a)に示すように、画像表示部GHの表示内容は、特別図柄保留数が存在するとき、飾り図柄変動ゲームの表示内容(図中のゲーム表示(1),(2)など)となる。また、画像表示部GHの表示内容は、特別図柄保留数が存在しないとき、デモンストレーション演出の表示内容(図中のデモ表示)となる。また、画像表示部GHの表示内容は、当り遊技のとき、当り遊技中の演出の表示内容(図中の大当り表示)となる。
つまり、単一の表示領域が出現している場合は、画像表示部GHの表示内容は、通常表示内容のみが画像表示されることになる。なお、パチンコ遊技機の中には、背景技術欄で説明したような複数の画面を出現させ、各画面で演出を実行させるものがある。この実施形態では、このような複数の画面を出現させて行う演出は、単一の表示領域を用いて演出を行っているとする。また、パチンコ遊技機の中には、画像表示部GHに、副制御用CPU31aの制御により、普通図柄表示装置18の普通図柄変動ゲームと連動した普通図柄の変動ゲームを実行させるものや、例えば演出説明などのテロップ表示を実行させるものがある。この実施形態では、これらの演出についても、単一の表示領域を用いて演出を行っているとする。すなわち、これらの演出は、前述した飾り図柄変動ゲームや当り遊技中の演出と同様に、通常表示内容である。
図4(b),(c)は、複数の表示領域が出現している場合の演出の流れである。
この実施形態のパチンコ遊技機10では、特定条件が成立したことを契機に画像表示部GHに複数の表示領域が出現し、各表示領域で独立して演出が実行される。この特定条件は、特定の演出の表示中に限らず、飾り図柄変動ゲームの実行中、デモンストレーション演出中、当り遊技の演出中など、どのような演出の実行中でも成立し得る。つまり、特定条件は、画像表示部GHに単一の表示領域が出現しており、通常表示内容が画像表示されている時に成立する。
例えば、図4(b)のように、図中に「ゲーム表示(2)」と示す飾り図柄変動ゲームの実行中に特定条件が成立すると、画像表示部GHには、通常表示内容を画像表示させる第1の表示領域H1と、特定表示内容(図中の「特定表示」)を画像表示させる第2の表示領域H2と、が出現する。そして、第1の表示領域H1と第2の表示領域H2のそれぞれで演出が実行される(例えば、図5(c)参照)。
画像表示部GHにおいて第2の表示領域H2は、予め定めた終了条件が成立するまで維持されており、第2の表示領域H2が出現している間、画像表示部GHでは通常表示内容の演出と特定表示内容の演出とが独立して実行される。なお、図4(b)では、図中に「ゲーム表示(8)」と示す飾り図柄変動ゲームの実行中に終了条件が成立したことにより、特定表示内容による演出が終了している。特定表示内容の演出が終了すると、画像表示部GHは、通常表示領域に戻り、その通常表示領域において通常演出内容の演出が実行される。
また、図4(c)に示すように、第2の表示領域H2は、デモンストレーション演出中であっても、当り遊技中であっても、画像表示部GHにおいて維持されている。そして、特定表示内容の終了条件は、特定の演出の表示中に限らず、飾り図柄変動ゲームの実行中、デモンストレーション演出中、当り遊技の演出中など、どのような演出の実行中でも成立し得る。つまり、特定条件は、画像表示部GHに複数の表示領域が出現しており、通常表示内容と特定表示内容とが画像表示されている時に成立する。
この実施形態において、特定表示内容が出現する特定条件は、時間の経過によって成立する。時間の経過には、特定時刻や、例えばパチンコ遊技機10の電源投入時など、予め定めた基準時点からの経過時間を含む。
特定時刻は、副制御基板31にリアルタイムクロック(RTC)を搭載することで計測することができる。リアルタイムクロックは、現在の日時を計測する。リアルタイムクロックを搭載する場合、副制御基板31には、パチンコ遊技機10の電源断後に電力を供給可能なバックアップ電源を搭載する。バックアップ電源は、例えばキャパシタや二次電池である。これにより、リアルタイムクロックは、パチンコ遊技機10に電源が供給されている時にはパチンコ遊技機10から電力供給を受けて動作し、日にちや現在時刻を計測する。一方、リアルタイムクロックは、パチンコ遊技機10の電源断がなされた後にはバックアップ電源から電力供給を受けて動作する。特定時刻で制御する場合は、例えば、10時と、12時と、18時と、いうように事前に設定した時刻の到来を契機に特定条件を成立させることができる。
一方、経過時間は、副制御用CPU31aのタイマ機能を用いることによってソフト的に計測することができる。例えば、副制御用CPU31aは、制御周期の到来毎にタイマのカウント値を更新する。そして、タイマのカウント値が所定のカウント値に達することを契機に特定条件を成立させる。経過時間で制御する場合は、例えば、基準時点から1時間後と、4時間後と、7時間後と、いうように事前に設定した経過時間の到来を契機に特定条件を成立させることができる。
特定条件を成立するための時間の経過による条件は、例えば製造段階において製造元の意向、あるいは遊技場の意向などにより、プログラム化して副制御用ROM31bに記憶しておいても良い。または、パチンコ遊技機10に特定条件を設定するための設定機能を搭載し、その設定機能を用いて任意に設定できるようにしても良い。設定機能は、例えば機械式のスイッチ(ディップスイッチなど)を用いて設定するように構成しても良いし、パチンコ遊技機10にプログラム化されている管理者用メニューから演出用ボタンなどを用いて設定するように構成しても良い。
一方、この実施形態において、特定表示内容の終了条件は、特定条件と同様に、時間の経過によって成立する。この時間の経過は、前述したように特定時刻や経過時間によって制御しても良い。例えば、特定時刻の場合は10時30分というように設定した時刻の到来で終了条件を成立させることができるとともに、経過時間の場合は1時間30分後というように設定した経過時間の到来で終了条件を成立させることができる。また、時間の経過は、特定表示内容がある決められたストーリに従って展開される演出であれば、その演出時間の終了によって制御しても良い。つまり、この場合は、制御プログラムにしたがって演出を実行させることにより、直接的な時間を必要とせずに、演出の終了によって終了条件を成立させることができる。特定条件の成立後、終了条件が成立する迄の期間が、第2の表示領域H2を維持させる所定期間となる。
以下、パチンコ遊技機10の作用である特定表示内容が行われる態様について具体例にしたがって説明する。以下の具体例は、通常表示内容として飾り図柄変動ゲームの表示内容が画像表示部GHに表示されている最中に、特定条件が成立した場合を示している。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10は、特定表示内容を表示させる制御を、副制御用CPU31aが行っている。つまり、副制御用CPU31aは、通常演出内容については主制御用CPU30aが出力する制御コマンドにしたがって制御するが、特定演出内容については副制御用CPU31aに記憶されている制御プログラムにしたがって制御する。このため、この実施形態において、主制御用CPU30aは、特定表示内容を表示させる制御に関与しておらず、特定表示内容の表示はサブ側(副制御用CPU31a)独自で行っている。
図5(a)は、画像表示部GHにおいて、飾り図柄変動ゲームが行われている状態である。このときの画像表示部GHは通常表示領域Hとされており、通常表示内容である飾り図柄変動ゲームや、保留画像40が画像表示されている。また、各図柄列ZR,ZC,ZLの背面には、背景画像G1が画像表示されている。この状態において遊技者の視認対象は、画像表示部GHのほぼ全体に画像表示されている飾り図柄変動ゲームを含む通常表示内容である。
そして、図5(b)に示すように、特定条件が成立すると、画像表示部GHでは、飾り図柄変動ゲームが画像表示されていた通常表示領域Hが捲られるような演出表示が画像表示される。このとき、画像表示部GHでは、通常表示領域Hに相当する画像の表示領域において飾り図柄変動ゲームや背景画像G1、あるいは保留画像40が継続して画像表示されている。つまり、この状態において飾り図柄変動ゲームは進行している。例えば、図5(a)の状態では全ての図柄列ZR,ZC,ZLが変動中であったが、図5(b)の状態では図柄列ZRの変動が停止して飾り図柄(「7」を付した図柄)が一旦停止表示されている。
その後、図5(c)に示すように、画像表示部GHには、通常表示領域Hの形状が変化した第1の表示領域H1と、通常表示領域Hの形状の変化に伴って第2の表示領域H2と、が出現する。図5(c)の状態において第1の表示領域H1は、図5(a)の状態における通常表示領域Hの表示面積が縮小した形状であり、第1の表示領域H1を除くその他の領域が第2の表示領域H2として出現している。画像表示部GHにおいて斜線を付した領域が「第2の表示領域H2」である。
そして、第1の表示領域H1では、飾り図柄変動ゲームや背景画像G1、あるいは保留画像40が継続して画像表示されており、飾り図柄変動ゲームは進行している。例えば、図5(b)の状態では図柄列ZC,ZLが変動中であったが、図5(c)の状態では図柄列ZLの変動が停止して飾り図柄(「6」を付した図柄)が一旦停止表示されている。この具体例では、図柄列ZLと図柄列ZRに異なる飾り図柄が一旦停止表示されているので、遊技者は第1の表示領域H1の表示内容からリーチにならないことを認識し得る。
その一方で、特定条件の成立によって第2の表示領域H2には、特定表示内容が画像表示される。特定表示内容は、第1の表示領域H1で進行している飾り図柄変動ゲームの結果に関与しない内容で構成されている。例えば、特定表示内容は、飾り図柄変動ゲームが画像表示されている第1の表示領域H1を乗っ取ったことで優越感に浸るキャラクタが登場している内容である。
図6(a)は、画像表示部GHにおいて第1の表示領域H1がその形状を変化させながら動いている様子を示す。この実施形態において第1の表示領域H1は、縮小と拡大を繰り返す形状の変化や、左右方向へ揺動する位置の変化を行う。このように第1の表示領域H1に変化が生じていても、第1の表示領域H1では、飾り図柄変動ゲームや背景画像G1、あるいは保留画像40が継続して画像表示されており、飾り図柄変動ゲームは進行している。
その後、図6(b)に示すように、第1の表示領域H1では、飾り図柄変動ゲームに対応する特別図柄変動ゲームの変動時間が到来することによって飾り図柄変動ゲームが終了する。飾り図柄変動ゲームでは、その終了に伴って飾り図柄による図柄組み合わせが導出される。このため、第1の表示領域H1で飾り図柄変動ゲームが行われている場合、その飾り図柄変動ゲームでも飾り図柄による図柄組み合わせが導出される。このとき、この実施形態において第1の表示領域H1の飾り図柄変動ゲームで導出される飾り図柄の図柄組み合わせ(図中の[756])は、図6(b)に示すように第2の表示領域H2へ移動表示される。飾り図柄の図柄組み合わせが移動表示された後の第1の表示領域H1には、背景画像G1や保留画像40が画像表示されている。この飾り図柄の図柄組み合わせの移動表示は、第1の表示領域H1が形状変化や位置変化を伴うことから、図柄の視認性を低下させない効果を生じ得させる。つまり、当り抽選の抽選結果を飾り図柄変動ゲームを通じて遊技者に確実に把握させている。
そして、図6(c)に示すように、1回の飾り図柄変動ゲームが終了した時点で特別図柄保留数が存在する場合、第1の表示領域H1では、続けて新たな飾り図柄変動ゲームが画像表示される。また、第2の表示領域H2では、終了条件が成立していなければ、新たな飾り図柄変動ゲームが開始しても、継続して特定表示内容が画像表示される。なお、新たな飾り図柄変動ゲームの開始時には、第1の表示領域H1に各図柄列ZR,ZC,ZLが表示される。
その後、終了条件が成立した場合、画像表示部GHでは、図5(a)に示すように第1の表示領域H1の形状が通常表示領域Hの形状に戻ることによって第2の表示領域H2がなくなり、単一の表示領域に戻る。そして、通常表示領域Hに戻った画像表示部GHでは、飾り図柄変動ゲームなどの通常表示内容が画像表示される。なお、終了条件が成立した時点が飾り図柄変動ゲームの途中であれば、当該ゲームが継続した状態で通常表示領域Hに戻る。
副制御用CPU31aは、以上に説明したように画像表示部GHに画像表示される表示内容を制御する。つまり、副制御用CPU31aは、特定条件が成立していない場合、主制御用CPU30aから出力された各種制御コマンドをもとに通常表示領域Hに通常表示内容を画像表示させる。そして、副制御用CPU31aは、特定条件が成立した場合、第1の処理によって第1の表示領域H1と第2の表示領域H2を含む複数の領域を画像表示部GHに出現させる。また、副制御用CPU31aは、第1の処理後、第2の処理により、第1の表示領域H1において主制御用CPU30aから出力された各種制御コマンドをもとに通常表示内容を画像表示させる一方で、第2の表示領域H2において副制御用ROM31bに記憶されている制御プログラムにしたがって特定表示内容を画像表示させる。この実施形態では、副制御用CPU31aが実行する第1の処理と第2の処理が特定表示処理となる。そして、特定表示処理を実行する副制御用CPU31aが、制御部として機能する。
なお、飾り図柄変動ゲームを具体例に挙げて説明したが、当り遊技の演出中やデモンストレーション演出中に特定条件が成立した場合も、副制御用CPU31aは、制御部として機能し、特定表示処理を実行する。つまり、副制御用CPU31aは、特定条件が成立していない場合、画像表示部GHの通常表示領域Hにデモンストレーション演出や当り遊技中の演出を画像表示させる一方、特定条件が成立している場合、第1の表示領域H1にデモンストレーション演出や当り遊技中の演出を画像表示させ、第2の表示領域H2に特定表示内容を画像表示させる。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)特定条件の成立を契機に画像表示部GHには複数の領域(第1の表示領域H1と第2の表示領域H2)が出現し、一方の領域(第1の表示領域H1)では通常表示内容で表示が進行する一方で、他方の領域(第2の表示領域H2)では特定条件が成立した場合に出現可能な特定表示内容で表示が進行する。つまり、特定条件の成立によって、画像表示部GHは、遊技者が普段目にする通常表示内容と、遊技者が特定条件の成立時において目にする特定表示内容と、が同時に進行する。このため、従来、一つの結果を得るために用いられていた複数の領域が、本実施形態において全く異なる目的で使用されることになる。したがって、演出の興趣を向上させることができる。
(2)つまり、この実施形態における第1の表示領域H1は、通常時と同じように、通常表示内容に含む演出を進行させる目的で使用される一方で、第2の表示領域H2は、通常表示内容に含む演出の進行とは関係なく、特定条件の成立によって特別な演出を出現させる目的で使用される。このため、従前、飾り図柄変動ゲームや当り遊技中の演出などから遊技者に与えていた演出の面白さを、全く別の手法で与えることができる。そして、第2の表示領域H2が出現することへの興味を遊技者に抱かせ、演出の興趣を向上させることができる。
(3)普段、遊技者が多く目にしている通常表示領域Hの形状の変化によって第1の表示領域H1と第2の表示領域H2が出現することにより、領域の出現過程に面白みを与えることができる。したがって、演出の興趣を向上させることができる。
(4)通常表示内容の進行とは関係なく特定表示内容が継続的に表示される、すなわち第1の表示領域H1と第2の表示領域H2とが出現した状態が維持されるので、通常表示内容と特定表示内容の独立性を強調することができる。したがって、演出の興趣を向上させることができる。
(5)第2の表示領域H2が維持されている間、通常表示内容を第1の表示領域H1で継続的に表示させるので、通常表示内容と特定表示内容の独立性を強調することができる。したがって、演出の興趣を向上させることができる。
(6)第1の表示領域H1で飾り図柄変動ゲームが画像表示されている場合、当該飾り図柄変動ゲームの終了時には飾り図柄の図柄組み合わせ(最終図柄)を第2の表示領域H2に移動表示させる。これにより、第1の表示領域H1の形状に制約を受けることなく、飾り図柄変動ゲームの導出結果を遊技者に分かり易く知らせることができる。その結果、第1の表示領域H1及び第2の表示領域H2の設計の自由度が増し、興趣の向上を図り得る演出を実現できる。
(7)特定表示内容の制御を副制御用CPU31a主導で行うことから、主制御用CPU30aへ負担を強いることなく、演出の種類を増やすことができる。
(8)第2の表示領域H2の出現タイミングを時間の経過によって管理することから、制御を簡素化することができる。また、時間の経過によって第2の表示領域H2が出現することから、その出現を楽しみにしている遊技者に対して分かり易い演出を実現できるとともに、遊技者に特定表示内容を視認させ易くすることができる。
(9)画像表示されている通常表示内容の種類に拘らず、特定条件の成立によって第2の表示領域H2を出現させるので、特定表示内容を視認し得るタイミングに制約が掛かることなく、第2の表示領域H2の出現タイミングに意外性を与えることができる。したがって、演出の興趣を向上させることができる。また、通常表示内容と第2の表示領域H2の出現タイミングの組み合わせによっては、演出による効果を増大させることができる。例えば、デモンストレーション演出中に第2の表示領域H2が出現していれば、その空き台に対する興味をより一層惹き付け、客寄せ効果の増大に寄与し得る。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・特定条件を変更しても良い。例えば、特定の演出が出現することを特定条件としても良い。特定の演出には、リーチ演出、予告演出、課題付与演出(所謂、ミッション演出)、擬似連続演出(所謂、擬似連)、先読み演出(所謂、連続演出)などを含む。課題付与演出は、遊技者に例えばリーチを形成する図柄の種類やリーチ演出の種類などの出現を課題として付与し、その課題達成を契機に当り図柄が導出される演出である。擬似連続演出は、1回の飾り図柄変動ゲームにおいて複数回の変動を伴わせる演出であり、変動の回数が多くなるほど当り期待度を増加させている。先読み演出は、始動口へ遊技球が入球した際に取得した当り乱数の値を、特別図柄変動開始処理における当り抽選よりも前に判定し、その判定結果をもとに当該判定対象とした始動保留に基づくゲーム開始以前に予告を開始させる演出である。先読み演出は、複数回のゲームを跨いで実行される。
・また、当り遊技が開始することを特定条件としても良い。この場合、利益が異なる複数種類の当りを有する遊技機においては、全ての当りの種類を対象に特定条件を成立させても良いし、特定の当りの種類を対象に特定条件を成立させても良い。当りによる利益は、当り遊技中に獲得可能な賞球数の多少、当り遊技終了後に付与される確率変動状態の有無あるいは付与期間の長短、当り遊技終了後に付与される変動時間短縮状態(入球率向上状態)の有無あるいは付与期間の長短などによって差別化される。確率変動機能は、当り抽選の当選を契機に所定の確率で、当り遊技終了後の当り抽選の当選確率を高確率に変動させる確率変動状態を付与する機能である。変動時間短縮状態では、開閉羽根14が開動作し易く、始動口13への単位時間あたりの入球率を向上させる状態である。なお、複数種類の当りには、ラウンド遊技の回数が異なる当り遊技を付与する当りや、ラウンド遊技の回数は同一回数であるが、ラウンド遊技中における大入賞口16の開閉態様(例えば、時間の長短や回数など)が異なる当り遊技を付与する当り、を含んでも良い。また、複数種類の当りには、当り抽選の当選時の遊技状態を当り遊技後も維持させる当り(小当り)を含んでも良い。
・また、デモンストレーション演出の終了後、最初の特別図柄変動ゲーム(飾り図柄変動ゲーム)が開始することを特定条件としても良い。
・また、副制御用CPU31aによる任意の抽選に当選することや、主制御用CPU30aによる任意の抽選に当選することを特定条件としても良い。また、遊技者が操作可能な演出用ボタンの操作によって抽選を行い、その抽選に当選することを特定条件としても良い。
・特定条件は、実施形態で記載した時間の経過、あるいは上記した各別例を任意に組み合わせたものであっても良い。つまり、組み合わせの場合は、特定条件が複数存在し、何れかの成立によって第2の表示領域H2を出現させる。
・特定条件の成立に伴う通常表示領域Hの形状の変化には、表示面積の縮小に限らず、例えば四角形状が三角や丸などの異種形状に変化することや、分離することを含む。
・第2の表示領域H2を複数、出現させても良い。そして、複数の第2の表示領域H2を用いて、それぞれに別々の特定表示内容を画像表示させても良いし、連動する(又は関連する)特定表示内容を画像表示させても良い。
・特定表示内容の終了条件を変更しても良い。例えば、飾り図柄変動ゲームで予め定めた特定の演出が出現することを終了条件としても良い。特定の演出は、例えば、リーチ演出や予告演出である。
・また、特定表示内容の終了条件として時間の経過とともに、以下の条件を追加しても良い。例えば、当り遊技が開始されることや、デモンストレーション演出が開始されること、を追加しても良い。このような構成の場合は、時間が経過していなくても、例えば当り遊技の開始によって画像表示部GHが通常表示領域Hに戻る。
・第1の表示領域H1において飾り図柄変動ゲームの導出結果である飾り図柄の図柄組み合わせの視認性が良好であれば、導出結果を第1の表示領域H1に表示させても良い。
・副制御用CPU31aが、主制御用CPU30aからの指示(制御コマンド)を受けて、第2の表示領域H2を出現させるようにしても良い。この場合、特定条件を時間の経過とするときには主制御基板30側で計時し、その計時結果に合わせて副制御用CPU31aが特定表示処理を実行する。
・また、主制御用CPU30aが制御する表示装置を有する場合は、主制御用CPU30aが特定表示処理を実行することによって当該表示装置に第2の表示領域H2を出現させ、特定表示内容を表示させても良い。この場合、主制御用CPU30aが制御部として機能する。また、主制御用CPU30aが制御する表示装置と副制御用CPU31aが制御する表示装置を両方備える場合には、両装置、あるいは何れか一方の表示装置で第2の表示領域H2を出現させ、特定表示内容を表示させても良い。この場合、特定表示処理を実行することになるCPUが制御部として機能する。
・副制御基板31をサブ統括制御基板とし、副制御基板31とは別に演出表示装置11を専門に制御する表示制御基板、スピーカSpを専門に制御する音声制御基板、及び装飾ランプLaを専門に制御するランプ制御基板を設けてもよい。
・特別図柄のみを用いるパチンコ遊技機に具体化してもよい。この場合、演出表示装置11において特別図柄変動ゲームを表示するとよい。
・第1特別図柄と第2特別図柄を用いるパチンコ遊技機に具体化しても良い。
・遊技球が特定領域を通過することを契機に当り遊技を付与する遊技機(所謂1種2種混合機)に具体化してもよい。
・確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機に具体化しても良い。確率変動機能を有するパチンコ遊技機には、次回の当りに当選するまで確率変動状態を付与する仕様や、転落抽選に当選するまで確率変動状態を付与する仕様、あるいは予め定めた回数分の図柄変動ゲームが終了するまで確率変動状態を付与する仕様がある。
・遊技機として回胴式遊技機に具体化しても良い。回胴式遊技機には、遊技媒体としてメダルを用いるスロットマシン(パチスロ)や、遊技媒体として遊技球を用いるスロットマシンを含む。このようにパチンコ遊技機とは異なる遊技機においても特定条件の成立によって第2の表示領域H2を出現させ、特定表示内容を表示させることもできる。
・複数台のパチンコ遊技機10を対象とした島連動演出において、特定条件の成立を契機に島連動演出の対象としたパチンコ遊技機10の画像表示部GHに第2の表示領域H2を出現させても良い。この場合、各パチンコ遊技機10が同時又はほぼ同時に第2の表示領域H2を出現させるように特定条件を設定しても良いし、時間のずれを生じさせて順番に第2の表示領域H2を出現させるように特定条件を設定しても良い。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)特定条件は、特定時刻の到来によって成立する。この構成によれば、時間管理によって第2の表示領域H2を出現させるので、第1の表示領域H1と第2の表示領域H2による演出を目にする機会を増やすことができる。つまり、抽選の場合であれば第1の表示領域H1と第2の表示領域H2による演出を見ることができるか否かは遊技者の運次第になるが、時間管理によって出現させることで演出を目にする機会を確実に増やすことができる。