JP6469435B2 - 構造体及び構造体製造方法 - Google Patents

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Description

本発明の開示は、非晶質炭素膜が成膜された構造体及びその製造方法に関し、特に、導電体が露出している被成膜体の表面に非晶質炭素膜を成膜してなる構造体及びその製造方法に関する。
硬度や膜密度が高い非晶質炭素膜は、耐磨耗性、耐候性及びガスバリア性に優れている。このような性質により、非晶質炭素膜は基材の保護膜として利用されている。例えば、特開2008−182174号公報には、表面に銅配線層を形成したウエハを保護するために、当該ウエハの表面に非晶質炭素膜を形成することが開示されている。
特開2008−182174号公報
非晶質炭素膜は、その特長を発揮し得る硬度及び密度を実現するために、プラズマCVD法やプラズマPVD法を用いて成膜されることが多い。プラズマを用いた成膜においては、強い電場や磁場によって原料ガスをイオン化し、このイオン化したガスを電場でさらに加速し被成膜体に衝突させることで、当該被成膜体の表面に非晶質炭素膜が形成される。
金属電極が露出している基板に、例えばプラズマを用いた成膜によって非晶質炭素膜を成膜すると、当該導電部材近傍において電場が強くなり、その結果、当該導電部材にプラズマ電流が多く発生することとなる。このプラズマ電流により生じる熱によって基板が過熱されると、基板の溶解、基板から生じるガス等の様々な要因によって、基板が損傷するおそれがある。そこで、プラズマを利用して非晶質炭素膜を生成する際に、当該プラズマによって基板が過熱されないようにすることが望ましい。
本明細書の開示は、導電部材が設けられた基板にプラズマを利用して非晶質炭素膜を生成する際に熱による基板の損傷を抑制することを目的の一つとする。これ以外の目的については、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
本発明の一実施形態に係る構造体は、基板と、前記基板の表面から突出するように前記基板に設けられた導電部材と、前記基板の表面の少なくとも一部及び前記導電部材の表面の少なくとも一部に形成された非晶質炭素膜と、を含む。
当該実施形態によれば、例えば、プラズマCVD法又はプラズマPVD法等のプラズマを利用する方法によって非晶質炭素膜形成する場合であっても、導電部材が基板の表面から突出して設けられているので、プラズマ電流が多く流れる導電部材の表面が基板から離れている。これにより、プラズマ電流によって発生する熱が基板に放射により伝わりにくくなるので、過熱による基板の損傷を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る構造体は、基板と、前記基板の表面から後退するように前記基板に設けられた導電部材と、前記基板の表面の少なくとも一部及び前記導電部材の表面の少なくとも一部に形成された非晶質炭素膜と、を含む。
当該実施形態によれば、プラズマを利用して非晶質炭素膜を形成する場合であっても、導電部材が基板表面から後退して設けられているので、プラズマ化された原料ガスが導電部材へ入射できる立体角が制限される。これにより、導電部材が基材表面と面一である場合や基材表面から突出している場合よりも、導電部材におけるプラズマ電流を減少させることができるので、プラズマ電流による基板の過熱を抑制することができ、過熱による基板の損傷を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る構造体は、基板と、前記基板から一部が露出しており、前記基板に設けられた導電部材と、前記基板の表面の少なくとも一部及び前記基板の表面から露出した前記導電部材の表面の少なくとも一部に形成された非晶質炭素膜と、を含み、前記導電部材のうち前記基板から露出している部分の隅部が平面視で曲線形状を有することを特徴とする。露出している部分の隅部が平面視で曲線形状を有することを特徴とするその表面に一以上の孔が形成された基板と、前記孔に設けられた導電部材と、前記基板の前記表面の少なくとも一部及び前記孔から露出した前記導電部材の表面の少なくとも一部に形成された非晶質炭素膜と、を含み、前記導電部材のうち前記基板から露出している部分の隅部が平面視で曲線形状を有することを特徴とする。例えば、前記導電部材の上面が平面視で円形又は楕円形である。一実施形態において、前記基板の表面と前記導電部材の表面とは略面一となっていてもよい。
当該実施形態によれば、導電部材のうち基板から露出している部分の隅部が平面視で曲線形状となっているので、プラズマを利用して非晶質炭素膜を形成する場合であっても、印加された電圧により形成される電気力線が導電部材の特定の場所に集中せず、プラズマ電流が導電部材の特定の場所に集中しないので、過大なプラズマ電流の発生を防止することができる。従来、上述の基板に埋め込まれた金属電極といった、基板に設けられる導電部材は平面視で方形の形状を有することが多いが、このような平面視方形の導電部材を用いると、その角部にプラズマ電流が集中し、その結果、角部付近が過熱されてしまう。本発明の上記実施形態によれば、このようなプラズマ電流の集中を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る構造体は、前記基板は、基材層と絶縁性及び弾力性を有する材料からなる応力緩和層とを含み、前記応力緩和層の表面に前記非晶質炭素膜が形成されることを特徴とする。さらに前記応力緩和層は樹脂を材料とすることを特徴とする。応力緩和層は導電部材より低い耐熱温度を有している。
基板には絶縁性及び弾力性を有する材料からなる応力緩和層が設けられているので、例えば、プラズマを利用して非晶質炭素膜を形成する場合であっても、非晶質炭素膜の応力を緩和し、非晶質炭素膜の応力による基板の反りを抑制することで基板が損傷することを防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係る構造体は、さらに、前記曲面の曲率半径が1mmから1mであることを特徴とする。
本発明の一実施形態に係る構造体は、基板及び導電部材は半導体デバイスであり、前記導電部材は電気配線又は/及び電気接続端子であることを特徴とする。また本発明の一実施形態に係る構造体は、基板及び導電部材はインターポーザ基板又は両面プリント配線版であることを特徴とする。
本発明の一実施形態に係る構造体の非晶質炭素膜は、さらにプラズマCVD法又はプラズマPVD法により形成される。さらに、前記導電部材の少なくとも一部が形成された非晶質炭素膜から露出していることを特徴とする。これにより前記導電部材を他の部材と電気的に接続することができる。本発明の他の実施形態における構造体は、基板13の表面及びその表面に露出する導電部材の表面に、3nmから500μmの厚さを有する絶縁膜を有し、前記絶縁膜の上に前記非晶質炭素膜が形成される。この絶縁膜は絶縁性を有するが、例えば、プラズマを利用して非晶質炭素膜を成膜する場合、この厚さの絶縁膜は、基板や補助電極に電圧を印加し、プラズマを利用して基板に非晶質炭素膜を成膜することを妨げない。
本発明の一実施形態に係る構造体は、前記非晶質炭素膜と前記基板との間に前記応力緩和層と前記導電部材との密着性の高い混合膜がさらに設けられることを特徴とする。また、さらに、前記混合層の膜密度は前記非晶質炭素膜の前記混合層近傍の部分の膜密度より大きく、かつ、前記非晶質炭素膜の少なくとも内部の層の膜密度が、前記混合層近傍の部分より大きいことを特徴とする。
当該実施形態によれば、非晶質炭素膜と基板との間に設けられる混合膜は非晶質炭素膜と同様基板の表面の導電部材と応力緩和層との密着性がよいので、形成された混合膜及び非晶質炭素膜の剥離が抑制される。さらに、混合層の膜密度は前記非晶質炭素膜の前記混合層近傍の部分の膜密度より高く、混合層は、基板及び導電部材と密着する。さらに、密度が高いとガスバリア性や耐磨耗性に優れる。しかし、膜密度が高いとその分応力が大きくなる。非晶質炭素膜の前記混合層近傍の部分は混合層より膜密度が低く、混合層の応力を緩和することができる。さらに、非晶質炭素膜の内部の層の膜密度が、前記非晶質炭素膜の前記混合層近傍の部分より大きいので、非晶質炭素膜の内部の層は、ガスバリア性や耐磨耗性に優れることになる。従って、この混合層と非晶質炭素膜により、混合膜及び非結晶炭素膜が基板から剥離することが抑制されるとともに、ガスバリア性や耐磨耗性が高い膜が形成された構造体を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る構造体製造方法では、基板と前記基板の表面から突出又は後退するように設けられた導電部材とを含む被成膜体を準備する工程と、原料ガスをプラズマ化して、前記基板の前記表面の少なくとも一部及び前記導電部材の表面の少なくとも一部に非晶質炭素膜を形成する工程と、を備える。また本発明の一実施形態に係る構造体製造方法では、基板と前記基板に設けられた導電部材とを含む被成膜体を準備する工程と、原料ガスをプラズマ化して、前記基板の前記表面の少なくとも一部及び前記基板から一部が露出した前記導電部材の表面の少なくとも一部に非晶質炭素膜を形成する工程と、を備え、前記被成膜体は、前記導電部材のうち前記基板から露出している部分の隅部が平面視で曲線形状を有するように形成されていることを特徴とする。
本発明の様々な実施形態によって、導電部材が設けられた基板にプラズマを利用して非晶質炭素膜を生成する際に熱による基板の損傷を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る構造体の断面概略図 本発明の一実施形態に係る被成膜体の斜視概略図 本発明の一実施形態に係る被成膜体の断面概略図 本発明の一実施形態に係る被成膜体の断面概略図 本発明の他の実施形態に係る被成膜体の斜視概略図 図5の被成膜体の断面概略図 図6の導電部材の平面視概略図
本発明の様々な実施形態について添付図面を参照して説明する。これらの図面において、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の参照符号を付し、その同一又は類似の構成要素についての詳細な説明は適宜省略する。図は本発明の一実施形態に係る構成を概念的に示すものであり、その寸法は必ずしも正確に図示されていない点留意されたい。
図1は本発明の一実施形態に係る構造体10の断面概略図であり、図2は、図1の構造体10を概略的に示す斜視図である。ただし、図2においては、非晶質炭素膜を省略している点に留意されたい。図示のとおり、本発明の一実施形態に係る構造体10は、被成膜体11と、当該被成膜体11の表面12に形成された非晶質炭素膜18とを備える。当該被成膜体11は、基板13と、導電部材14と、を備える。
この構造体10は、その表面に非晶質炭素膜18が形成されているので、耐摩耗性、ガスバリア性等の非晶質炭素膜18の基本特性を有する。このような特性から、構造体10は、電子部品又はかかる電子部品の一部として用いられる。本明細書で明示的に説明する構造体10の用途はその一例に過ぎず、構造体10は本明細書に明示されていない様々な用途に用いることができる。
基板13の表面には導電部材14が露出して設けられている。導電部材14は、基板13の表面に、複数の孔19が形成され、その孔19に埋め込まれていても良い。孔19は、有底の凹部であってもよいし、基板13の背面まで到達する貫通孔であってもよく、この貫通孔に、導電部材14が基板13の表面及びその裏面から露出するよう設けられてもよい。導電部材14は、孔19内ではなく、基板13又は後述する応力緩和層25の表面に設けられていてもよい。導電部材14は、少なくともその一部が被成膜体11の表面12に露出していていればよい。非晶炭素膜18は、基板13の表面及び導電部材14の表面の全部又は一部に形成される。非晶質炭素膜18のうち、導電部材14の表面に形成された部分の一部又は全てが形成された後にエッチング、レーザ光の照射、及び/又は物理的な研磨等により除去されてもよい。その際、導電部材14の表面の一部又は全てが、非晶質炭素膜18から露出する。
本発明の一実施形態における基板13又は基板13と導電部材14は、Siウエハ、Geウエハなどの半導体ウエハ、ガリウム砒素、窒化ガリウム、炭化珪素ウエハなどの様々な化合物半導体ウエハ、Siインターポーザ、Geインターポーザ等の半導体基板である。基板13は、半導体基板に限られず、その用途に応じて、例えば、FR−4等の材料となるガラスエポキシ樹脂、フレキシブル基板の材料となるポリイミド樹脂、ポリイミドアミド、ポリエステル・ポリプロピレン・ポリエチレン・ポリ塩化ビニル・アクリル等の樹脂、ゴム材料、ガラス、セラミクス焼結体、酸化アルミニウム(アルマイト)、ダイヤモンド、炭化珪素、アルミナ等の、例えば回路基板に用いられる材料、ウルテム材等のエンジニアリングプラスチック、ガラスFRP、炭素繊維材料、タイル等の陶磁器、土器、紙・セルロース・絹・綿・羊毛又はこれらの混紡材料、攪拌用具やパテ塗り用具に用いられる様々な材料から成る。
基板13は、その表面又はその内部に絶縁膜を有していてもよい、この絶縁膜は例えば酸化膜といった絶縁膜である。絶縁膜の厚さは1nm〜100μmでもよく、好適には、数nmから数十nmであり、さらに好適には3nm〜30nmであり、3nm〜500μmであってもよい。この絶縁膜は絶縁性を有するが、この厚さの絶縁膜は、基板や補助電極に電圧を印加し、プラズマを利用して非晶質炭素膜を成膜することを妨げない。
基板13又は基板13及び導電部材14は、インターポーザ、両面プリント配線板、半導体デバイス、又は、薄膜セラミックコンデンサもしくは薄膜セラミックインダクタ、フィルター、センサーなどの各種受動電子部品として構成されていてもよい。例えば、基板13及び/又は導電部材14が薄膜セラミックコンデンサとして構成される場合には、基材13は、上述した絶縁膜と極板になる導電層とを交互に積層して構成され、この基板13の表面に当該コンデンサの極板と外部の電極と通電するための導電部材14が形成される。基板13の材料は本明細書で明示するものに限られない。基板13は導電部材14より融点、沸点といった耐熱温度が低い。
本発明の一実施形態に係る基板13には回路が形成されていてもよい。基板13がSiウエハである場合には、このSiウエハ上に例えばフォトリソグラフィー法、湿式メッキ法、印刷法等で回路や導電部材14として、バンプ、パット、ランド、ビア、スルーホールといった接続端子を形成することができる。なお、導電部材14は、この回路に電気的に接続されていてもよい。
本発明の一実施形態において、基板13には、プラズマCVD法又はプラズマPVD法により非晶質炭素膜18が形成される。基板13の厚さは、このプラズマCVD法又はプラズマPVD法による非晶質炭素膜18の成膜時に、基板13の背面側に配置される補助電極による基板13の表面側での電場の形成が妨げられないように調整される。具体的な基板13の厚みは、例えば、3mm以内、2mm、又は1mm以内である。基板13の厚さは、その誘電率、非晶質炭素膜を形成するために印加する電圧に応じて適宜調整され得る。
本発明の一実施形態において、基板13は基材層と応力緩和層25を含み、この応力緩和層25の表面に非晶質炭素膜18が形成されてよい。非晶質炭素膜18は膜応力が高いため、基板13に直接形成すると、非晶質炭素膜18の膜応力により基板13が反ってしまうことがある。そこで、基板13に、基材層よりも柔軟性が高い応力緩和層25を設けることで、非晶質炭素膜18を成膜する際に基板13が反らないようにすることができる。導電部材14は、図1に示すとおり、応力緩和層25から露出するように設けられる。本発明の一実施形態において、応力緩和層25は、絶縁性及び弾力性を有する材料からなる。例えば応力緩和層25は樹脂である。この応力緩和層25は、例えば導電部材14や基板13より低い耐熱温度を有している。例えば、応力緩和層25は、フォトレジスト、、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイト、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アクリルなどを材料とし、金属又はセラミクス材料に比べて耐熱温度が低い材料により形成されてもよい。なお、この応力緩和層25の材料は樹脂に限定されず、ゴム、ガラス繊維と樹脂との複合体等でもよい。応力緩和層25は、非晶質炭素膜18の応力を緩和できる絶縁性の素材であればよい。
本発明の一実施形態に係る構造体10においては、被成膜体11の基板13は、基材層と絶縁性及び弾力性を有する材料からなる応力緩和層25を有し、導電部材14のうち基板から露出している部分の隅部が平面視で曲線形状を有するか、基板の表面から突出又は後退するように前記基板に設けられている。これにより、例えば樹脂からなる応力緩和層基板のプラズマにより発生した熱による基板13や応力緩和層25の損傷が抑えられるので、プラズマを利用した成膜時には、電極や補助電極にさらに高い電圧を印加し、さらに強い電場の元で成膜をすることができる。このように強い電場を利用することにより、非晶質炭素膜18の膜密度を高めることができ、例えば高いガスバリア性、高い耐磨耗性、及び高い耐食性を有する非晶質炭素膜の成膜が可能になる。
例えば、半導体基板やセラミクスといった材料からなる延性、靭性が低い基板13の表面に対して非晶質炭素膜を形成した場合、非晶質炭素膜による強い圧縮応力が基材層に発生し、基板13に反りや損傷が発生する可能性もある。そこで、例えば半導体を材料とする延性、靭性が低い基材層に、例えば樹脂といった弾性を有する材料からなる応力緩和層25をさらに備えた基板13に、上述のとおり非晶質炭素膜を形成すると、応力緩和層25が非晶質炭素膜による圧縮応力を緩和するので、基材層への圧縮応力が緩和される。従って、基材層又は基板13が反ったり、損傷することを防ぐことができる。この場合、基材層は例えばSiウエハ、Siインターポーザといった半導体基板であるが、半導体基板に限られず、非晶質炭素膜による圧縮応力により反りが発生する基材であればよい。このような基材には、薄膜セラミクスコンデンサなどの受動部品も含まれる。また、応力緩和層25は非晶質炭素膜による圧縮応力を緩和できればよく、例えば樹脂を材料とした基材層であるが、ゴムなどの樹脂以外の材料を用いることもできる。
本発明の一実施形態における導電部材14は、導電性を有する部材であり、例えば、Cu、Al、Ni、Ag、W、Ti、Au、Sn、Fe等の金属、これらの合金、グラファイト、アセチレンブラック、フェラーレン、又はカーボンナノチューブ等の導電性炭素素材から成るが、導電部材の材質はここで例示するものに限られない。本発明の一実施形態において、導電部材14は、基板13を有する構造体10に形成された回路を他の電子部品と電気的に接続するための電極として機能してもよい。
本発明の一実施形態における非晶質炭素膜18は、炭素又は炭素及び水素を主成分とする非晶質の絶縁性硬質膜であり、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれることもある。
本発明の一実施形態に係る非晶質炭素膜18は、例えば、プラズマCVD法又はプラズマPVD法により形成される。非晶質炭素膜18を形成するためのプラズマCVD法には、直流(DC)プラズマCVD法、低周波プラズマCVD法、高周波(RF)プラズマCVD法、パルス波プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、大気圧プラズマ法(例えば誘電体バリア放電方式)、準大気圧プラズマ法などの様々なプラズマCVD法が含まれる。また、非晶質炭素膜18は、プラズマPVD法、高周波マグネトロンスパッタリング法、ヘリコン波プラズマスパッタリング法等のプラズマを用いた各種スパッタリング法を用いて成膜されてもよい。また、非晶質炭素膜18は、イオンプレーティング法により成膜してもよい。非晶質炭素膜18の成膜方法は本明細書で明示するものに限られず、プラズマを用いる任意の成膜方法を含む。
プラズマCVD法又はプラズマPVD法を用いて非晶質炭素膜18を成膜する場合には、被成膜体11を配置して真空減圧したプラズマCVD装置に、アセチレンなどの炭化水素系の原料ガスを導入し、非成膜体11に所定の電圧を印加することにより電場を形成することで、プラズマを発生させ、原料ガスをイオン化又はラジカル化する。このイオン化又はラジカル化された原料ガスが被成膜体11に衝突することで、被成膜体11に非晶質炭素膜18を堆積させることができる。非晶質炭素膜18用の原料ガスとしては、アセチレン、エチレン、メタン、プロパンなどの炭化水素系のガス、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)などのSiを含むガス、チタンクロライド(TiCl)、チタンアイオダイド(TiI)、チタンイソプロポキシドTi(i−OCなどのTiを含むガスを用いることもできる。これにより、非晶質炭素膜18にSiやTiを含有させることができる。さらに、これらの原料ガスに、キャリアガスとして水素や窒素、Ar、Heなどの不活性ガスなどを混合してもよい。被成膜体11が絶縁性を有している場合は、被成膜体11の背面側に設けられた補助電極に電荷を印加することで電場を形成し、この電場によりプラズマを形成し、原料ガスをイオン化又はラジカル化することもできる。
次に、導電部材14の基板13に対する配置について図3を参照してさらに説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る被成膜体11の断面概略図である。当該被成膜体11において、導電部材14は、基板13の表面16から突出するように、孔19に配置されている。プラズマCVD法等のプラズマを用いた成膜法により非質炭素膜18を成膜する際には、導電部材14の上面近傍(側面の上部含む)に電気力線が集中するため、この部分に大きなプラズマ電流が流れる。図3に示した導電部材14は、平面視で(つまり、図3において紙面上方からの見た場合)方形に形成されているので、導電部材14のうち基板13から突出した部分に角部15を有している。この場合、当該角部15に電気力線が集中し、プラズマ電流が角部15近傍に集中する。このように、導電部材14を基板13から突出するように設けることにより、当該導電部材の上面近傍、特に角部15近傍にプラズマ電流が発生しやすくなる。一方、導電部材14と基板13の表面16との境界領域22の近傍には、基板13及び導電部材14による妨害のため、プラズマ化された原料ガスが入射しにくくなっているので、境界領域22では大きなプラズマ電流が流れない(少なくとも、境界領域22に流れるプラズマ電流は、導電部材14の上面近傍に流れるプラズマ電流よりも少ない)。また、境界領域22付近へは原料ガスが循環しづらく、境界領域22近傍では原料ガスの濃度が低くなるため、境界領域22にはさらにプラズマ電流が発生しづらくなっている。このように、導電部材14を基板13から突出させることにより、プラズマ電流を基板13から離れた導電部材14の上面近傍(特に角部15近傍)に集中させることができるので、プラズマ電流により生じる熱が基板13に伝導されにくくなる。これにより、プラズマを用いて非晶質炭素膜18を成膜する際に、基板13の熱による損傷を抑制できる。なお、これにより熱による基板13からの損傷、例えば基板13自体のガス化も抑制できるので、このガス自体のプラズマ化によるプラズマ電流のさらなる集中に伴う、熱による基板13のさらなるガス化、すなわち損傷を抑制できる。
本発明の一実施形態では、非晶質炭素膜18と応力緩和層25との間に、当該応力緩和層25及び導電部材14のいずれとも密着性の高い混合層(不図示)をさらに形成してもよい。混合層は基板13及び/又は導電部材14の成分と、非晶質炭素膜18を構成する成分とが混合している層である。この混合層において、基板13及び/又は導電部材14の表面から混合層の高さ方向に非晶質炭素膜18の成分が次第に高くなってもよい。基板13及び/又は導電部材14と混合層との接合面の近傍では、基板13及び/又は導電部材14の成分と、混合層の成分とが一部共通しており、互いに互いの層中に自らの成分からなるアンカーを形成する界面となる。よって、基材13及び/または導電部材と混合層と非晶質炭素膜18の剥離を抑制することができる。
本発明の一実施形態では、当該混合層は、基板13に対して強い電場の下で成膜されることで、その膜密度が非晶質炭素膜18の膜密度より高くなるように形成される。本発明の一実施形態では、非晶質炭素膜18の前記混合層近傍の部分は膜密度が低くなるように非晶質炭素膜を形成する。これにより、膜密度が高い結果として膜応力が高い混合層の応力を緩和することができる。さらに、膜密度が高いとガスバリア性や耐磨耗性に優れる。本発明の一実施形態では、非晶質炭素膜18の膜密度が非晶質炭素膜18の前記混合層近傍の部分から構造体の表面10に向かうに従い大きくなるよう非晶質炭素膜を形成する。さらに本発明の他の実施形態では、非晶質炭素膜18の膜密度が、非晶質炭素膜18の前記混合層近傍の部分から構造体の表面10に向かうに従い大きくなるよう第一の非晶質炭素膜を形成し、前記混合層近傍の部分より膜密度が低い第二の非晶質炭素膜を第一の非晶質炭素膜の上にさらに形成してもよい。この第二の非晶質炭素膜は、膜密度が低いので応力を緩和する膜としても機能する。さらに、第二の非晶質炭素膜上に、構造体の表面10に向かうに従い膜密度が大きくなる第三の非晶質炭素膜を形成してもよい。さらには、この第二の非晶質炭素膜と第三の非晶質炭素膜とを繰り返し設けてもよい。なお、非晶質炭素膜18の膜密度が非晶質炭素膜18の前記混合層近傍の部分から構造体の表面10に向かう途中まで、次第に大きくなってもよい。少なくとも、非晶質炭素膜18の内部(内部の密度の異なる層構成)において発揮する機能として必要且つ十分な膜密度を有する非晶質炭素膜部分がいずれかに形成されていればよく、非晶質炭素膜18は構造体10の表層に向かうに従って膜密度が高くならなくてもよい、例えば、非晶質炭素膜18にガス透過防止性を発揮させる目的であれば、膜中のいずれかの部分でガス透過防止に必要な膜密度の層が必要な厚さで形成されていればよく、非晶質炭素膜18の構造体10の表面近傍の部分の膜密度は低くてもよい。非晶質炭素膜18の少なくとも内部の層の膜密度が、非晶質炭素膜18の混合層近傍の部分より大きいので、非晶質炭素膜18の少なくとも内部の層は、ガスバリア性や耐磨耗性に優れることになる。従って、この混合層と非晶質炭素膜18により、混合膜及び非結晶炭素膜18が基板13から剥離することが抑制されるとともに、ガスバリア性や耐磨耗性が高い膜が形成された構造体10を提供することが可能となる。なお、非晶質炭素膜18の全体又は一部(例えば、膜密度が相対的に低い部分)が、Siを含む非晶質炭素膜で構成されていてもよい。
この混合膜は、Siを含む非晶質炭素膜18にSiが含まれるものであってもよい。また、この混合膜は、基板13及び/又は導電部材14の構成元素を含んだ非晶質炭素膜18でもよい。これにより基板13及び導電部材14との密着性のよい混合膜となる。
この混合膜は上述したプラズマを利用した成膜法により形成される。その際、原料ガスとしては、例えばアセチレンといった炭化水素系のガスやテトラメチルシラン(TMS)といったSiを含む炭化水素系のガスが利用される。このガスは、被成膜体11に露出している基板13又は/及び導電部材14の構成元素を含むことが好ましい。このガスにより、基板13又は/及び導電部材14と密着性のよい混合層が形成されるのが好ましい。
この混合層の厚みは5nm〜30nmである。好適には10nm〜20nm、更に好適には15nm程度の厚さである。この厚みは、基板や導電部材のスパッタレートや電気伝導性といった材質、成膜時のガス圧や印加電圧、極間距離及び成膜時間のいずれか又は全てを調整することにより、変化させることができる。
また、例えば、基板13の表面が樹脂からなり、その表面に導電部材14、例えば金属を材料とする回路が設けられているような、樹脂と金属とが混在している表面に成膜された非晶質炭素膜18と、金属、例えばAl、Cu、Niとの密着性は悪いため、この非晶質炭素膜18が自然剥離する可能性がある。一方、Siを含む炭化水素系ガスで成膜すると、金属との密着性はよいが、Siを含まない炭化水素系ガスで成膜する場合に比べ樹脂との密着性が悪い。そこで、本発明の他の実施形態の混合層の形成では、まず、Siを含まない炭化水素系ガスでプラズマを利用して成膜し、その後、炭化水素系ガスを金属との反応性がよいSiを含んだ炭化水素系の原料ガスで、強い印加電圧で形成された強い電場の下、プラズマを利用して膜を成膜すると、Siを含んだ粒子が、この強い電場の下で加速され、導電部材14に形成されたSiを含まない炭化水素系の原料ガスで形成された膜を破壊し、導電部材14に直接衝突する場合がある。これによりSiと金属とが化学反応し、導電部材14と混合膜との密着度が高くなる。一方、樹脂は絶縁体であるので、強い電圧を印加しても樹脂の周りには導電部材14に比べ強い電場が形成されない。よって、Siを含んだ粒子の加速は相対的に低く、すでに成膜された膜を破り樹脂にまで到達しない場合がある。すなわち、樹脂表面には樹脂との密着性の高いSiを含まない炭化水素系ガスで成膜された膜が残り、樹脂と混合層との密着性が高いまま保持される。なお、Siを含まない炭化水素系原料ガスを用いて成膜された膜は水蒸気(H2O)の浸入防止性に優れる一方、Siを含む炭化水素系原料ガスを用いて成膜された膜は酸素透過防止性に優れる。従って、水蒸気透過防止性、及び酸素透過防止性に優れた混合層が形成されることとなる。さらに、本発明の他の実施形態では、導電部材14の金属部分との密着性を優先するため、まず、Siを含む炭化水素系ガスを用いて混合層を形成してもよい。例えば導電部材14がNiやCo、Feまたはこれらの合金等により構成されている場合、非晶質炭素膜18を構成する炭素が、前記金属中に拡散しやすいことが知られている。特に、鉄(Fe)への大量の浸炭などの事例が良く知られている。そこでSiを含む非晶質炭素膜18により、この非晶質炭素膜18から、その構成成分である炭素が金属中へ拡散するのを抑制することができ、さらに非晶質炭素膜の膜密度(膜応力)を緩和することができる。これにより、熱線膨張係数や硬度が異なる素材を含む表面への密着性の高い膜の形成をすることができる。また、Siを含む膜を酸化させたSi酸化膜でもよい。この場合、絶縁性に優れた膜の形成が可能である。
図4(A)及び図4(B)は、本発明の他の実施形態に係る被成膜体11の断面概略図である。図4(A)に示すように、導電部材14は、基板13の孔19に、基板13の表面16から後退するように設けられてもよい。また、図4(B)に示すように、孔19を表面16側において背面側よりも狭くなるように形成し、基板13の一部が導電部材14の表面17の一部を覆うようにしてもよい。図4(A)及び図4(B)に示した実施形態によれば、非晶質炭素膜18の成膜時に、基板13に妨害されて導電部材14の表面17へプラズマ化された原料ガスが到達しづらくなる。基板13と導電部材14の表面17との境界領域にはプラズマ化された原料ガスが特に到達しづらい。このように、図4(A)及び図4(B)に示した実施形態においては、導電部材14の表面17、特に表面17と基板13との境界領域においてプラズマ電流の発生を抑制することができるので、基板13がプラズマ電流により生じる熱によって損傷することを抑制できる。なお、これにより熱による基板13からの損傷、例えば基板13自体のガス化も抑制できるので、このガス自体のプラズマ化によるプラズマ電流のさらなる集中に伴う、熱による基板13のさらなるガス化、すなわち損傷を抑制できる。
次に、図5ないし図7を参照して本発明の他の実施形態を説明する。図5は、本発明の他の実施形態に係る被成膜体11の斜視概略図であり、図6は、その被成膜体11の断面概略図である。図5の実施形態においては、導電部材14が、その表面17と基板13の表面16とが略面一となるように孔19に設けられてもよい。本明細書において、導電部材14の表面17と基板13の表面16とが略面一という場合には、両者は厳密に面一である必要は無く、導電部材14の表面17が基板の表面16から約0.5μm突出又は後退している場合であっても両者は略面一と考えられる。
図5及び図6に示した実施形態において、導電部材14は、その基板13から露出している部分の隅部が平面視で、すなわち、図6においては、紙面上方から見た場合、曲線形状を有するように形成される。当該実施形態における導電部材14の具体例について図7(A)ないし図7(C)を参照して説明する。図7(A)ないし図7(C)は、図5及び図6に示した導電部材14のうち基板13から露出している部分の平面視形状を概略的に示している。図7(A)に示す通り、導電部材14のうち基板13から露出している部分は、例えば、平面視において、二辺で囲まれる隅部23が曲線形状となるように形成される。また、図7(B)及び図7(C)にそれぞれ示す通り、導電部材14のうち基板13から露出している部分の平面視形状は、例えば、円形又は楕円形とされる。つまり、図7(B)及び図7(C)に示した実施形態では、導電部材14の平面視形状を円形又は楕円形とすることにより、導電部材14のうち基板13から露出している部分の隅部が平面視で曲線形状を有するようにしている。
このように、導電部材14のうち基板13から露出している部分の隅部の形状を曲線形状とすることにより、導電部材14の特定の部分に電気力線が集中しないようにして、導電部材14の一部へのプラズマ電流の集中を抑制することができる。つまり、上述したように、導電部材14が角(例えば、角部15)を有する場合には、当該角の近傍にプラズマ電流が集中的に発生してしまうが、導電部材14のうち基板13から露出している部分の隅部の形状を曲線形状とすることにより、このようなプラズマ電流の集中を抑制することができる。したがって、プラズマ電流による導電部材14の特定の部分への加熱が分散、抑制され、その結果、基板13の損傷を抑制できる。導電部材14のうち基板13から露出している部分の平面視形状は、本明細書で明示したものに限られない。
上述した構造体10は、上述した電子部品以外にも様々な用途に適用することができる。例えば、樹脂及び金属を含む機械部品にも応用される。このような機械部品の一例は、樹脂製の本体に金属タップを埋め込んだ歯車である。この金属タップは、例えば、軸との連結部となる歯車本体の中心付近を補強するために、当該歯車本体の中心にヘリサート加工により埋め込まれる。
また、上述した構造体10は、例えば、印刷用孔版にも応用される。このような印刷用孔版の一例は、樹脂製繊維糸を材料とするメッシュと、印刷パターンの貫通口を有する金属を材料とする印刷パターン部とからなる。印刷パターン部は、例えば金属箔を材料とするが、これに限られない。このメッシュは枠に張られており、印刷パターン部の周囲がこのメッシュに接着されることで、印刷パターン部がメッシュの上に設けられている。この場合、例えば印刷パターン部が導電部材14となり、例えばメッシュが基板13となる。さらに、メッシュの目開きを埋めるために塗布される、例えば乳剤といった乳剤、メッシュに貼られる化粧用の粘着テープといったものも基板に含まれうる。例えば、印刷パターン部の周囲の隅部が平面視で曲線形状を有する。
上述のようにプラズマを利用して非晶質炭素膜18を成膜するときに成膜対象である基材が絶縁性である場合は、当該絶縁性の基板の非晶質炭素膜18を形成する面とは反対側の面に補助電極を設けて補助電極に電圧を印加することで、当該絶縁性の基板にプラズマを利用して非晶質炭素膜18を形成することができる。導電部材14が応力緩和層25及び基板13を貫通する場合は、そうでない場合と比べ、より強い電場が形成され、その結果、より強いプラズマ電流が発生する。本発明の様々な実施形態に係る構造体10は、このような強いプラズマ電流が発生する場合でも、プラズマ電流から発生する熱による応力緩和層25の損傷を抑制することができる。補助電極によるプラズマを利用せずに非晶質炭素膜18を形成することができる基板13と導電部材14の例として、セラミクス、ガラス又は樹脂による基材に、該基材を貫通する電極が形成されるインターポーザ若しくは両面プリント配線版、又はシリコーンといった通電性を有する半導体若しくは化合物半導体からなる基材の表面に電気的に接続する導電部材が配置された半導体デバイスが例として挙げられる。
上述したように、本発明の様々な実施形態によれば、その表面16から導電部材14が露出している基板13に非晶質炭素膜18を成膜する際に、導電部材14に発生するプラズマ電流を減少させることができるので、プラズマ電流による基板13の過熱を抑制すること防止することができる。基板13が樹脂等の耐熱温度の低い材料から形成される場合には、基板13の溶解や基板13から生じるガスを抑制することができる。
以下に示す方法によって、本発明の一実施形態に係る構造体において、非晶質炭素膜を成膜する際に昇温を抑制することを確認した。
まず、方形のガラス基板を準備した。厚さが100μmのステンレス鋼(SUS304)板を準備した。このステンレス鋼板を、直径30cmの半円部と、15cmx30cmの方形部と、を有する形状に成形した。この方形部は30cmの長さの一組の辺のうちの一方が当該半円部の直径と一致するように配置されている。
次に、PETフィルム(東レ ルミラー 厚さ100μm)を準備し、当該PETフィルムを上記のステンレス鋼に対応する形状にくり貫いた。
次に、前記ガラス基板上に前記ステンレス鋼板を設置した。さらに、前記PETフィルムのくり貫いた部分から前記ステンレス鋼板が露出するように、前記PETフィルムを配置した。前記PETフィルムと前記ステンレス鋼とは同じ膜厚を有するので、ガラス基板上に設置されたPETフィルムの表面と前記ステンレス鋼の表面とは同一平面上にある。
次に、PETフィルムに2枚のサーモラベルを貼付した。このうち1枚は、PETフィルム表面のうち、前記ステンレス鋼の方形部の角部に隣接する部分に貼付した。このサーモラベルをサーモラベル1とする。残りの1枚は、PETフィルム表面のうち、前記ステンレス鋼板の半円部の円周の中央に貼付した。このサーモラベルをサーモラベル2とする。これらのサーモラベル1及びサーモラベル2は、40℃、50℃及び60℃でそれぞれ変色するものである。
このようにしてPETフィルムとステンレス鋼板とが配置されたガラス基板を直流パルス方式の公知のプラズマCVD装置の成膜室の反応容器内に設置し、非晶炭素膜を成膜した。具体的には、成膜室反応容器を1×10−3Paの真空度まで排気した。次にArガスをガス流量30SCCM、ガス圧2Paで導入し、印加電圧−3kVpの条件でArガスプラズマを発生させ、試料台上の基材を1分間クリーニングした。Arガスを排気し15分間冷却した後、反応容器にトリメチルシランガスを流量30SCCM、1.5Paのガス圧で導入し、印加電圧−3kVp(1.5kVpを初期印加電圧として、0.5kvpづつ徐々に印加電圧を上げた)、パルス幅2μs、パルス周波数10kHzの条件で成膜した。
この成膜処理の間にサーモラベル1及びサーモラベル2の変色の有無を目視で確認した。成膜処理開始から5分間後にサーモラベル1に40℃を示す変色が発生した。また、成膜処理開始から6分間後にサーモラベル1に50℃を示す変色が発生した。さらに、成膜処理開始から7分間後に60℃を示す変色が発生した。そして、成膜処理開始から8分間後にステンレス鋼の方形部の4角に隣接するPETフィルムの部分から溶解が認められ、成膜処理を中止した。
一方、この成膜処理の開始から中止までの8分間の間に、サーモラベル2においては40℃を示す変色は発生したが50℃を示す変色は認められなかった。
以上より、ステンレス鋼とPETフィルムとが混在した表面にプラズマを利用して非晶質炭素膜を成膜する場合、ステンレス鋼の平面視で曲線形状になっている部分においては昇温が抑制されることが確認できた。
10 構造体
11 被成膜体
12 被成膜体の表面
13 基板
14 導電部材
15 角部
16 基板の表面
17 導電部材の表面
18 非晶質炭素膜
19 孔
22 境界領域
23 隅部
25 応力緩和層

Claims (15)

  1. 基板と、
    前記基板の表面から突出又は後退するように前記基板に設けられた導電部材と、
    前記基板の表面の少なくとも一部及び前記導電部材の表面の少なくとも一部に形成された非晶質炭素膜と、
    を含み、
    前記基板が、前記導電部材より低い耐熱温度を有しており、
    前記非晶質炭素膜はプラズマCVD法又はプラズマPVD法により形成される構造体。
  2. 基板と、
    前記基板から一部が露出しており、前記基板に設けられた導電部材と、
    前記基板の表面の少なくとも一部及び前記基板の表面から露出した前記導電部材の表面の少なくとも一部に形成された非晶質炭素膜と、
    を含み、
    前記導電部材のうち前記基板から露出している部分の隅部が平面視で曲線形状を有し、
    前記基板が、前記導電部材より低い耐熱温度を有しており、
    前記非晶質炭素膜はプラズマCVD法又はプラズマPVD法により形成されることを特徴とする構造体。
  3. 前記曲線の曲率半径が1mmから1mであることを特徴とする請求項2記載の構造体。
  4. 前記基板から露出している前記導電部材の上面が平面視で円形又は楕円形となることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の構造体。
  5. 前記基板の表面と前記導電部材の表面とが略面一となっていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の構造体。
  6. 前記導電部材は、金属、導電性を有する炭素素材、又は半導体を材料とすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構造体。
  7. 前記基板は、基材層と、絶縁性及び弾力性を有する材料からなる応力緩和層と、を含み、
    前記非晶質炭素膜は、前記応力緩和層の表面に形成される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の構造体。
  8. 前記基板は半導体又は樹脂を材料とすることを特徴とする請求項1から請求項7に記載の構造体。
  9. 前記基板及び前記導電部材は、半導体デバイスであり、前記導電部材は電気配線又は/及び電気接続端子である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の構造体。
  10. 前記基板及び導電部材は絶縁性を有する材料と導電性を有する材料からなるインターポーザ基板又は両面プリント配線版であることを特徴とする請求項1から請求項9に記載の構造体。
  11. 前記応力緩和層は樹脂を材料とすることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の構造体。
  12. 前記非晶質炭素膜と前記基板との間に前記応力緩和層と前記導電部材との密着性の高い混合膜がさらに設けられることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の構造体。
  13. 前記混合膜の膜密度は、前記非晶質炭素膜の前記混合膜近傍の部分の膜密度より大きく、かつ、前記非晶質炭素膜の少なくとも内部の層の膜密度が、前記非晶質炭素膜の前記混合膜近傍の部分より大きいことを特徴とする請求項12に記載の構造体。
  14. 前記導電部材の少なくとも一部が形成された非晶質炭素膜から露出していることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の構造体。
  15. 前記構造体は、さらに前記基板の表面及びその表面から露出する前記導電部材の表面に3nmから500μmの厚さを有する絶縁膜を有し、前記絶縁膜の上に前記非晶質炭素膜が形成される請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の構造体。
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