JP6468248B2 - 鞍乗型車両の連動ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された自動二輪車用ペダル連動ブレーキ装置は、ペダルピボット軸を介して車体へ揺動可能に支持されるブレーキペダルと、ブレーキペダルと一体的に形成されて上方に延びる作動アームと、作動アームへ回動可能に支持されるイコライザと、ブレーキペダルを初期位置側に付勢するリターンスプリングと、イコライザの下端部に支持され後輪ブレーキを作動させるブレーキロッドと、イコライザの上端部に支持され前輪ブレーキを作動させる連動ブレーキケーブルとを備えている。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、連動ブレーキケーブルを配索する経路を簡素化することを目的とする。
図1は、自動二輪車1の全体構成を示す右側面図である。図2は、エンジン106の周辺の構成を示す右側面図である。なお、以下の図面を含む各図には、必要に応じて自動二輪車1の前方を矢印「前」、上方を矢印「上」、左側を矢印「左」で示している。したがって、矢印「前」の反対側が後方、矢印「上」の反対側が下方、矢印「左」の反対側が右側である。
また、メインフレーム103の下部には、スイングアームピボット122を介してスイングアーム123が上下に揺動可能に支持される。スイングアーム123は車両の後方に向かって延出し、後端で後輪124を回転可能に支持する。
図3は、連動ブレーキ装置10の一部の構成を示す右側面図であり、理解を容易にするために車体フレーム100の一部を二点鎖線で示している。図4は、車体フレーム100側から見た連動ブレーキ装置10の一部の構成を示す斜視図である。図5は、連動ブレーキ装置10の一部を右側かつ上方から見た斜視図である。
本実施例の連動ブレーキ装置10は、前輪ブレーキ20、後輪ブレーキ25、伝達装置30、ペダルアーム35(ブレーキペダル36)、分配部40、連動ブレーキケーブル50を備える。
後輪ブレーキ25は、後輪124と一体に回転するドラムに対して内周側から摩擦材を押し付けることで制動力を付与する、いわゆるドラム式ブレーキである。図1に示すように、後輪ブレーキ25には後輪ブレーキアーム26が設けられ、後輪ブレーキアーム26には後輪ブレーキロッド27が接続される。後輪ブレーキロッド27は、非可撓性であり、後述する作動アーム39に接続される。
伝達装置30は、ブレーキレバー120のみのブレーキ操作が行われた場合にはブレーキレバー側ブレーキケーブル121の移動(ブレーキレバー120側への移動)に伴って、前輪側ブレーキケーブル22を移動(伝達装置30側への移動)させる。また、伝達装置30は、ペダルアーム35のみのブレーキ操作が行われた場合には分配部40により分配されることによる連動ブレーキケーブル50の移動(分配部40側への移動)に伴って、前輪側ブレーキケーブル22を移動(伝達装置30側への移動)させる。また、伝達装置30は、ブレーキレバー120およびペダルアーム35の両方のブレーキ操作が行われた場合には、ブレーキレバー側ブレーキケーブル121および連動ブレーキケーブル50のうち、移動量が大きいケーブルに応じて、前輪側ブレーキケーブル22を移動(伝達装置30側への移動)させる。なお、伝達装置30は、公知の装置を用いることができ、その詳細な説明は省略する。
ペダル回動部37は、右側のフットレストブラケット125の後端で回転可能に支持される。ペダルアーム35は、ペダル回動部37から懸架フレーム105を避けるように懸架フレーム105の下方を通って前方に延出する。ペダルアーム35の前端には、操作部38が設けられる。操作部38は、乗員がフットレスト126に支持された脚で操作できるように、フットレスト126の前方に位置する。一方、作動アーム39は、ペダル回動部37から右側のスイングアーム123とマフラーブラケット111の第2ブラケット支持部111bとの間を通って後斜め上方に向かって延出する。作動アーム39は先端に後述する連結バー45が連結される。また、作動アーム39は、先端とペダル回動部37との間であって、先端寄りに後輪ブレーキロッド27が接続され、ペダル回動部37寄りにリターンスプリング60の一端が接続される。ブレーキペダル36は乗員が脚で操作部38を下方に踏み込むことでペダル回動部37を中心に回動する。すなわち、ペダルアーム35はペダル回動部37を中心に下方に向かって回動し、作動アーム39はペダル回動部37を中心に前方に向かって回動する。作動アーム39の前方への回動に伴って、連結バー45および後輪ブレーキロッド27も前方に移動する。
イコライザ41は、作動アーム39の回動に応じて回動し、連動ブレーキケーブル50を移動させる。イコライザ41は、連動ブレーキケーブル50を作動アーム39が移動する方向とは異なる方向に移動させる変換部材として機能する。ここで、イコライザ41は、作動アーム39の後方であって、右側のスイングアーム123とマフラーブラケット111との間に配置される。すなわち、図2および図3に示すように、車両側面視において、イコライザ41はスイングアーム123と重なり合って配置される。
図3および図4に示すように、イコライザ41は、一部が屈曲したレバー状であって、支点部42、力点部43、作用点部44を有する。本実施例のイコライザ41は、支点部42から力点部43までの距離が、支点部42から作用点部44までの距離よりも短く設定されている。具体的には、支点部42から力点部43までの距離と支点部42から作用点部44までの距離との比が、略3:8である。
図4および図5に示すように、支点部42はマフラーブラケット111から車両内側に向かって延出する軸状のイコライザブラケット128によって回転可能に支持される。支点部42は、スイングアームピボット122の高さよりも低い高さに位置する。力点部43は支点部42から後斜め上方に向かって延出され、連結バー45が連結される。作用点部44は支点部42から下方に向かって延出され、連動ブレーキケーブル50が接続される。
したがって、作動アーム39の前方への回動に伴い連結バー45が前方に移動することで、イコライザ41の力点部43に対して力が加えられる。すなわち、力点部43は連結バー45の移動に伴って前方に移動する。力点部43に加えられた力は、支点部42を介して作用点部44に作用する。すなわち、イコライザ41は支点部42を中心に回動するために、作用点部44が後方に移動する。作用点部44の後方への移動に伴い、連動ブレーキケーブル50が後方に移動する。
具体的には、図4に示すように、連動ブレーキケーブル50はアウタチューブ51とインナケーブル52とから構成される。アウタチューブ51は中空状であって内部にインナケーブル52が挿通される。アウタチューブ51は、連動ブレーキケーブル50が配索される位置に応じて、可撓性の材質あるいは非可撓性の材質が使い分けられる。インナケーブル52は、アウタチューブ51内を移動可能、換言すると進退可能に配置される。インナケーブル52にはスティールあるいはステンレス等の材質が用いられる。
図4に示すように、連動ブレーキケーブル50は、インナケーブル52の後端がイコライザ41の作用点部44に接続される。連動ブレーキケーブル50は、作用点部44の前方に配置された第1ケーブル固定部129によって支持される。第1ケーブル固定部129は、マフラーブラケット111の第2ブラケット支持部111bから車両内側に向かって延出する。第1ケーブル固定部129には、インナケーブル52の張りを調整する調整部130を有する。また、第1ケーブル固定部129には、作動アーム39に接続されたリターンスプリング60の他端が接続される。なお、リターンスプリング60はコイルスプリングであって、スプリングの軸線が略前後方向に配置される。連動ブレーキケーブル50は、第1ケーブル固定部129を経由し、作動アーム39とマフラーブラケット111の第2ブラケット支持部111bとの間を通って、前方に向かって配索される。その後、図6に示すように、連動ブレーキケーブル50は、左右一対のメインフレーム103の間の右側寄りを通って、右側のダウンチューブ104に沿って前方に向かって配索される。このとき、連動ブレーキケーブル50は、フットレストブラケット125と右側のダウンチューブ104との間に配置された第2ケーブル固定部131によって支持される。第2ケーブル固定部131は、右側のフットレストブラケット125から車両内側に向かって延出する。
また、連動ブレーキケーブル50は、右側のダウンチューブ104の湾曲した位置に略同一の曲率半径の湾曲部53を有する。湾曲部53には、アウタチューブとして非可撓性の湾曲管54が用いられる。例えば、湾曲管54は、鉄製パイプ、ステンレス製パイプ等の金属パイプである。このように、湾曲部53に、非可撓性の湾曲管54を用いることで、インナケーブル52が移動したときに湾曲管54が変形することを防止でき、伝達装置30にインナケーブル52の移動を損失なく伝達することができる。なお、湾曲部53以外のアウタチューブは可撓性であり、連動ブレーキケーブル50の取り回しを容易に行うことができる。
連動ブレーキケーブル50は、イコライザ41からダウンチューブ104に沿って伝達装置30まで配索されている。このように、連動ブレーキケーブル50の配索経路は略直線状であって少ない湾曲部で構成されることから、連動ブレーキケーブル50を配索する経路を簡素化することができる。
乗員がペダルアーム35の操作部38を踏み込むことでブレーキ操作が行われ、ブレーキペダル36がペダル回動部37を中心に右側面視で右回りに回動する。なお、ブレーキペダル36はリターンスプリング60によって操作部38がフットレスト126の前方に配置されるように、すなわち右側面視で左回りに常に付勢されているために、乗員はリターンスプリング60の付勢力に抗して踏み込む。
ブレーキペダル36の回動によって、ペダルアーム35が下方に向かって回動し、作動アーム39が前方に向かって回動する。作動アーム39の前方への回動に伴って、連結バー45および後輪ブレーキロッド27も前方に移動する。
一方、連結バー45は連結板46および連結ピン47を介してイコライザ41の力点部43に連結されていることから、連結バー45の前方への移動によってイコライザ41の力点部43が前方に移動するようにイコライザ41が支点部42を中心に右側面視で右回りに回動する。したがって、支点部42を挟んで力点部43の反対側、具体的にはイコライザ41の下部に位置する作用点部44が後方に移動する。ここで、イコライザ41は支点部42から力点部43までの距離が支点部42から作用点部44までの距離よりも短く設定されていることから、力点部43の前方への移動量に対して作用点部44の後方への移動量を増幅させることができる。
乗員がペダルアーム35の操作部38に対する踏み込みを解除することで、ブレーキ操作が終了する。この場合、ブレーキペダル36はリターンスプリング60の付勢力によって右側面視で左回り回動され、操作部38がフットレスト126の前方に配置されるように元の状態に復帰する。すなわち、ブレーキペダル36の作動アーム39はブレーキ操作時とは反対に後方に回動する。したがって、作動アーム39の後方への回動に伴って、連結バー45および後輪ブレーキロッド27も後方に移動する。後輪ブレーキロッド27の後方への移動によって後輪ブレーキ25が後輪124に対する制動力の付与を解除する。一方、連結バー45の後方への移動に伴って、イコライザ41が支点部42を中心に右側面視で左回りに回動する。したがって、イコライザ41の下部に接続された連動ブレーキケーブル50のインナケーブル52が前方に移動することで、伝達装置30は前輪側ブレーキケーブル22を前方に移動させ、前輪ブレーキ20が前輪117に対する制動力の付与を解除する。このように、連動ブレーキ装置10は、乗員のブレーキ操作の終了に応じて、前輪ブレーキ20と後輪ブレーキ25とを連動して制動を解除することができる。
また、本実施例のリターンスプリング60は、第1ケーブル固定部129に接続されている。すなわち、リターンスプリング60を接続するためのブラケットを、連動ブレーキケーブル50を支持する第1ケーブル固定部129と共有していることから、部品点数を削減することができる。
上述した実施例では、連動ブレーキケーブル50が伝達装置30に接続される場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、伝達装置30を省略して、連動ブレーキケーブル50を直接、前輪ブレーキ20まで配索してもよい。この場合、前輪ブレーキ20には、ブレーキレバー側ブレーキケーブル121および連動ブレーキケーブル50の両方が接続される。
上述した実施形態では、後輪ブレーキロッド27および連結バー45が非可撓性である場合について説明したが、この場合に限られず、ワイヤあるいはケーブル等の可撓性の材質を用いてもよい。なお、後輪ブレーキロッド27および連結バー45が可撓性の材質である場合には、元の状態に復帰しやすいようにスプリング等を併用することが好ましい。
上述した実施例では、鞍乗型車両として自動二輪車1を適用する場合について説明したが、この場合に限られず、自動三輪車やATV(All Terrain Vehicle)等の車両を適用してもよい。
Claims (4)
- 前輪ブレーキと、
後輪ブレーキと、
車体フレームに回動自在に支持されるペダルアームと、
前記ペダルアームの回転力を前記前輪ブレーキおよび前記後輪ブレーキに分配する分配部と、
前記分配部により回転力が分配されることで前記前輪ブレーキを作動させる連動ブレーキケーブルと、を備え、
前記分配部は、前記車体フレームのスイングアームピボットよりも低い位置でマフラーブラケットに設けられたイコライザブラケットに回転可能に支持され前記ペダルアームよりも後方で連結バーを介して前記ペダルアームに連結されるイコライザを有し、
前記連動ブレーキケーブルは、前記イコライザから前記車体フレームのダウンチューブに沿って配索されていることを特徴とする鞍乗型車両の連動ブレーキ装置。 - 前記鞍乗型車両は、前記車体フレームに回動可能に支持されると共に後輪を支持するスイングアームを備え、
車両側面視において、前記イコライザは前記スイングアームと重なり合って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両の連動ブレーキ装置。 - 前記連動ブレーキケーブルは、前記ダウンチューブが湾曲した位置にインナケーブルを挿通させる非可撓性の湾曲管を有することを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両の連動ブレーキ装置。
- 前記鞍乗型車両は、
前記ペダルアームに近接して位置するフットレストブラケットと、
前記フットレストブラケットから車両内側に向かって延出するケーブル固定部と、を備え、
前記連動ブレーキケーブルは、前記ケーブル固定部によって支持されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の鞍乗型車両の連動ブレーキ装置。
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