JP6468144B2 - 疲労試験機 - Google Patents

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Description

この発明は、供試体に振動を与えることにより、疲労・耐久試験を実行する疲労試験機に関する。
疲労・耐久試験では、部品や材料が実際に使用される環境で受ける振動を機械的に再現して供試体に付与している。実振動波形に相当する目標波形に近い波形で疲労・耐久試験を実行するために、装置を動作させる駆動波形を補正するようにした疲労試験機が知られている。
この種の疲労試験機では、ランダム波形とその応答波形との比から系の伝達関数を同定し、伝達関数の逆数である逆伝達関数を使用して、目標波形から駆動波形を生成している。そして、フーリエ変換により目標波形と応答波形を時間領域から周波数領域に変換し、目標波形と応答波形の周波数領域での比あるいは差から算出される伝達関数を更新することで、駆動波形の補正を行っている(特許文献1および特許文献2参照)。
特開2014−13176号公報 特開2010−266398号公報
フーリエ変換およびその逆変換を用いた駆動波形の補正は、伝達関数補正とも呼称される。伝達関数補正を行うに際し、波形全体をフーリエ変換すると、時間情報が失われる。そのため波形のある箇所(時間)において、入力に対する応答比が他と異なる場合には、波形全体を平均して周波数域で補正するため、その特異箇所における駆動波形の補正が困難となっていた。また、機械的なズレによる衝撃荷重など、入力波形を変えても応答波形がそれに応じて変化しない箇所がある場合では、駆動波形が過度に補正されることになり、波形全体としての補正精度が低下していた。
さらに、波形全体をフーリエ変換するのではなく、短い時間内での応答は線形であると仮定し、一定の大きさの窓関数を用いて信号を区切りフーリエ変換する短時間フーリエ変換を行った場合には、時間情報は区間ごとに離散的となる。そして、応答が入力に対して非線形となる箇所がある場合に、そのような箇所を他の箇所と区切るために区間(窓)を細かくすると低周波成分の補正が困難となる。また、区間をつなぎ合わせて駆動波形を生成するときに、区間の繋ぎ目で、実際の波形には存在しない周波数が紛れ込むこともある。窓は一定の大きさであるため、区間内に機械的なズレによる衝撃荷重など、入力波形に応じて変化しない箇所が応答波形にあれば、上述した波形全体をフーリエ変換した場合と同様に、応答しない箇所が補正され続けた駆動波形が駆動系に入力されることになる。このため、補正を繰り返しても応答波形が目標波形とかけ離れたものになる場合があった。
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、非線形の応答に対しても精度よく駆動波形を補正することが可能な疲労試験機を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、目標波形に基づく駆動信号により負荷アクチュエータを駆動して供試体に負荷を与える疲労試験機であって、前記目標波形に基づいて前記負荷アクチュエータを駆動する駆動波形を生成する駆動波形生成部と、前記駆動波形により前記負荷アクチュエータを駆動したときの前記供試体側からの応答波形を受信する受信部と、前記駆動波形、前記目標波形、前記応答波形をそれぞれウェーブレット変換した結果を利用して、前記駆動波形を補正する補正部と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の疲労試験機において、前記補正部は、前記目標波形のウェーブレット変換結果と前記応答波形のウェーブレット変換結果の差分に、補正係数を乗算した値を用いて、前記駆動波形のウェーブレット変換結果を補正する補正計算部を備える。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の疲労試験機において、前記補正計算部は、前記周波数補正係数を、入力である前記駆動波形のウェーブレット変換結果とその応答である前記応答波形のウェーブレット変換結果とから得られる入力と応答の相関を表す入力応答比と、補正強度を表す安全率とを用いて算出する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の疲労試験機において、前記補正計算部は、周波数ごとの入力と応答の比率である周波数応答伝達関数に基づいて、前記入力応答比を取得する。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の疲労試験機において、前記補正部は、入力である前記駆動波形のウェーブレット変換結果の各点での値の変化に基づく入力増減と、その応答である前記応答波形のウェーブレット変換結果の各点での値の変化に基づく応答増減との相関を利用して、前記安全率を算出する安全率算出部を備える。
請求項1から請求項5に記載の発明によれば、駆動波形の補正にウェーブレット変換を利用することで、周波数領域だけの情報ではなく時間ごとの情報を補正に利用することができる。このため、波形の中で補正の可否や補正強度を変更する領域の範囲設定が容易に行え、過度な補正やオーバーシュートを防ぎ、応答波形が目標波形へ到達するのを早めることができ、応答が非線形となる供試体に対しても、駆動波形の補正を精度良く行うことが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、安全率算出部を備えることにより、疲労試験機のシステムの伝達特性に応じて、周波数ごとに時間によって異なる補正係数を自動計算により持たせることが可能となる。これにより、駆動波形の補正をより効率的に行うことが可能となる。
この発明に係る疲労試験機の概要図である。 制御装置50の機能ブロック図である。 補正部60の機能ブロック図である。 駆動波形の補正手順を説明するフローチャートである。 制御装置50の変形例を示す機能ブロック図である。 補正部60の変形例を示す機能ブロック図である。 目標波形のウェーブレット変換結果を示すグラフである。 応答波形のウェーブレット変換結果を示すグラフである。 補正結果を示すグラフである。 駆動波形の補正の前後における目標波形と応答波形の誤差を説明するグラフである。 駆動波形の補正の前後における目標波形と応答波形の誤差を説明するグラフである。 離散ウェーブレット変換の近似係数Aと詳細係数Dの概念図である。 離散ウェーブレット変換を用いた駆動波形の補正を説明するグラフである。 離散ウェーブレット変換を用いた駆動波形の補正を説明するグラフである。 離散ウェーブレット変換を用いた駆動波形の補正を説明するグラフである。 離散ウェーブレット変換を用いた駆動波形の補正を説明するグラフである。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る疲労試験機の概要図である。
この疲労試験機は、アクチュエータ31により供試体である試験片TPに負荷振動を与えることにより、疲労・耐久試験を実行するものである。テーブル24に立設された一対の支柱23にクロスヘッド25が架設され、このクロスヘッド25にアクチュエータ31が取り付けられている。試験片TPは、クロスヘッド25側に配設された上つかみ具21と、テーブル24側に配設された下つかみ具22とにより、その両端を把持されている。上つかみ具21は、アクチュエータ31のピストンロッドに連結されている。したがって、ピストンロッドの動きに連動して上つかみ具21が上下動することにより、試験片TPに繰り返し試験力が付与される。
制御装置50からは、アクチュエータ31の駆動信号が送信される。制御装置50で生成されたデジタル信号は、D/A変換器41でアナログ信号に変換された後、増幅器35で増幅されて、アクチュエータ31に入力される。なお、この実施形態では、アクチュエータ31として電磁アクチュエータを用いているが、電磁アクチュエータに替えて油圧アクチュエータを用いる場合には、サーボ弁に駆動信号が入力される。
試験片TPの変位量は、クロスヘッド25に配設された変位計32で検出される。変位信号は、増幅器37で増幅されてA/D変換器43でアナログ信号からデジタル信号に変換された後、制御装置50に入力される。
試験片TPに負荷される試験力は、テーブル24と下つかみ具22との間に配設された荷重計33により検出される。荷重信号は、増幅器36で増幅され、A/D変換器42でアナログ信号からデジタル信号に変換された後、制御装置50に入力される。
制御装置50は、論理演算を実行するCPU、装置の制御に必要なプログラムが格納されたROM、制御時にデータが一時的に保存されるRAM等を備えるコンピュータやシーケンサーから構成され、この疲労試験機全体の動作を制御する。制御装置50には、試験片TPに与える実振動波形に対応した目標波形を発生する目標波形発生器46が接続されている。
図2は、制御装置50の機能ブロック図である。
制御装置50は、機能的構成として、アクチュエータ31に入力される最初の駆動波形を作成する初期駆動波形生成部52と、試験中において駆動波形を補正する補正部60と、変位信号および荷重信号を受信するとともに、いずれの信号を応答波形として補正部60に入力するかを選択する検出信号選択部54と、アクチュエータ31に供給する駆動波形をデジタル信号として出力する駆動信号出力部55とを備える。
図3は、補正部60の機能ブロック図である。
補正部60は、入力波形に対してウェーブレット変換を実行するウェーブレット変換部61と、駆動波形のウェーブレット変換の結果と応答波形のウェーブレット変換の結果と目標波形のウェーブレット変換の結果とから、次期駆動波形のウェーブレット変換結果を計算により求める補正計算部62と、計算により求められた次期駆動波形のウェーブレット変換結果を逆ウェーブレット変換して時系列データの次期駆動波形とする逆ウェーブレット変換部63と、逆ウェーブレット変換部63おいて得られた次期駆動波形が補正終了基準に到達したかどうかを判定することより、さらに繰り返し補正を行うか否かを判断する判定部64とを備える。
以上の構成を有するこの発明の疲労試験機における駆動波形の補正について、さらに説明する。図4は、駆動波形の補正手順を説明するフローチャートである。
目標波形発生器46から発生される目標波形は、初期駆動波形生成部52と、補正部60に入力される。そして、初期駆動波形生成部52において、目標波形に基づく初期ドライブ波形_0(t)が生成される(ステップS1)。
アクチュエータ31は、時系列データの信号である初期ドライブ波形_0(t)により加振され、荷重計33で検出された荷重信号および変位計32で検出された変位信号が制御装置50に入力される。荷重信号または変位信号のいずれの信号を補正部60に入力するかが検出信号選択部54において選択され、選択された信号が、応答波形_1(t)として補正部60に入力される(ステップS2)。そして、i=1回目の補正(ステップS3)が実行される。
ステップS1における初期ドライブ波形_0(t)は、応答と入力が1対1に近いと仮定できる場合には、目標波形を用いてもよい。この場合には、初期駆動波形生成部52に入力された目標波形が、駆動信号出力部55に入力される(図2参照)。また、初期ドライブ波形_0(t)に目標波形を用いない場合には、以下のように、周波数応答伝達関数を用いて求めてもよい。
図5は、制御装置50の変形例の機能ブロック図である。
この変形例では、制御装置50は、アクチュエータ31および試験片TPを含む系の伝達関数を同定する伝達関数演算部51を備える。任意波形が動的負荷として系に与えられたときには、入力である任意波形とその応答に基づいて、周波数応答伝達関数が伝達関数演算部51において演算される。ここでの任意波形は、周波数ごとの伝達関数を得るために必要な周波数成分を持った波形であって、例えば、PSDランダム波形が任意波形として採用される。なお、PSDランダム波形は、周波数ごとのパワースペクトル値を示すPSD(Power Spectrum Density)が一定の値となる波形(ホワイトノイズ)であって、様々な周波数成分を含む合成波形や、モデル波形として選択した実振動波形に基づいて作成される。なお、任意波形は目標波形発生器46とは別に制御装置50に接続された波形発生器から供給される。
初期ドライブ波形_0(t)に目標波形を用いない場合には、任意波形を、伝達関数演算部51および駆動信号出力部55に入力する。駆動信号出力部55に入力された任意波形によりアクチュエータ31を駆動し、検出信号選択部54を介してその応答波形を伝達関数演算部51に入力する。伝達関数演算部51では、任意波形と応答波形とから、アクチュエータ31および試験片TPを含む系の伝達関数が同定される。初期駆動波形生成部52では、伝達関数演算部51で同定された伝達関数の逆数である逆伝達関数と、目標波形とから、初期駆動波形であるドライブ波形_0(t)が生成する。
補正部60での補正手順を、図4を参照しつつ、さらに説明する。補正部60のウェーブレット変換部61では、入力波形であるドライブ波形_0(t)と応答波形_1(t)に対して既知のウェーブレット変換式によりウェーブレット変換がそれぞれ行われ、ドライブ波形_0(a,b)、応答波形_1(a,b)が取得される(ステップS4)。なお、(t)は、時系列データであることを示し、(a,b)はウェーブレット変換結果である。aはスケールパラメータであり、周波数に対応する。bはシフトパラメータであり、時間に対応する。
ウェーブレット変換結果は、x軸が時間(秒)、y軸が周波数(Hz)、周波数成分の大小が色の違いで表されるグラフとして示すことができる(後述する図7および図8の上段のグラフを参照)。すなわち、ウェーブレットのスケールaは、スケールと周波数との既知の関係式により、周波数(Hz)に変換できることから、y軸を周波数(Hz)としてグラフで表現することができる。
補正計算部62では、次期駆動波形のウェーブレット変換係数が、下記の式(1)を利用して計算される(ステップS5)。
Figure 0006468144
iは、i番目の補正であることを示す。係数(a,b)は、補正係数であり、すべて一様な値であってもよく、スケールa、および、シフトbごとに、すなわち、各(a,b)点ごとに異なる値をもってもよい。さらに係数(a,b)は、下記式(2)により定めることができる。
Figure 0006468144
入力応答比(a,b)は、すべて一様な値であってもよく、周波数ごとの入力に対する応答比率(いわゆる伝達関数)であってもよい。すなわち、理論値をオペレータが入力手段を介して入力してもよく、実測により得られた値が入力されるようにしてもよい。実測により値を得る方法としては、実際に静的な負荷を系に与え、入力と応答の関係を計測した結果から値を求める方法と、前述のランダム負荷等の動的な負荷を系に与え、周波数応答伝達関数を求める方法とがある。なお、この場合には、補正計算部62は、図5に示す伝達関数演算部51からの周波数応答伝達関数の補正部60への入力により入力応答比(a,b)を取得することができる。
安全率(a,b)は、補正の強弱、すなわち補正強度を表すものであり、すべて一様な値であってもよく、周波数(スケールa)および時間(シフトb)ごとに異なる値であってもよい。すなわち、オペレータが入力手段を介して1つの値を入力して、それをすべての周波数に適用してもよく、オーバーシュートする可能性の低い周波数には大きな値(例えば、最大値=1)を入力して、オーバーシュートする可能性の高い周波数には小さな値を入力するようにしてもよい。
オーバーシュートする可能性の高低により安全率(a,b)を変更した場合には、大きな値を入力した周波数では、速く目標波形に到達させることができ、小さな値を入力した周波数では、駆動波形が過度に補正され、制御が不安定になることを防ぐことができる。また、共振周波数付近で制御が不安定になる周波数や、試験システムとして応答が困難な高周波数でも、安全率を下げることにより、駆動波形が過度に補正されることによる制御の不安定化を防ぐことができる。
補正計算部62において式(1)を用いて算出されたドライブ波形_1(a,b)は、逆ウェーブレット変換部63で逆ウェーブレット変換され、次期駆動波形の時系列データであるドライブ波形_1(t)が得られる(ステップS6)。ドライブ波形_1(t)は、補正部60から駆動信号出力部55に入力され、アクチュエータ31に1回目の補正後の駆動波形に基づく駆動信号が与えられる。1回目の補正後の駆動波形により試験片TPを加振した後の応答波形_2(t)が検出信号選択部54を介して補正部60に入力されると(ステップS7)、判定部64では、1回目の補正後の駆動波形が補正終了基準に到達しているか否かを判定し、繰り返し補正を行うか、補正を終了するか否かの判断が行われる(ステップS8)。
補正終了基準として、<1>目標波形(t)と応答波形_i+1(t)の面積誤差率が一定値以下である、<2>目標波形(a,b)と応答波形_i+1(a,b)の差が一定値以下である、<3>所定の繰り返し補正回数を終えている、の3つの基準が、判定部64において、予め設定されている。この実施形態では、これらのいずれかの条件にあてはまる場合に、駆動波形の繰り返し補正が終了する。
駆動波形が補正終了基準に到達しておらず、繰り返し補正を続行する場合には、補正回数を示すiに1を加算し(ステップS9)、再度ステップS4〜ステップS8までを繰り返す。なお、補正終了基準に<3>所定の繰り返し補正回数を終えていること、を条件として加えているのは、駆動波形の補正を行うための予備試験の段階でも、試験片TPに負荷を与えるため、本試験における荷重と試験片TPの疲労との関係の厳密さの観点から、補正にかかる時間が長時間となるのを避ける必要があるためである。
図6は、補正部60の変形例を示す機能ブロック図である。
この変形例では、補正部60の機能構成として安全率計算部65をさらに備え、図4に示した手順のステップS4〜ステップS8を繰り返す補正が実行される途中で、式(2)の安全率(a,b)を自動算出して適用する。安全率(a,b)の算出は、繰り返し補正において、入力である駆動波形のウェーブレット変換結果の各(a,b)点での値の変化、その応答である応答波形のウェーブレット変換結果の各(a,b)点での値の変化に基づく入力増減と応答増減との関係を利用して行われる。すなわち、入力値の変化と応答値の変化から、入力増減に対する応答増減の比率の相関である相関係数を計算し、この相関係数を安全率(a,b)として式(2)に適用する。この場合は、補正前の駆動波形とその応答波形との間で相関の低い箇所の補正強度を下げることになることから、駆動波形の発散を防止し、制御が不安定になることを防ぐことができる。
さらに、式(2)の安全率の自動算出の変形例について説明する。ウェーブレット変換は、フーリエ変換と異なり、時間情報を持つ。このため、上述したように、ウェーブレット変換の結果は、変動要素としてスケールaとシフトbの値を持つ。これに対し、この変形例では式(2)の安全率に、安全率(a,_)を用いる。すなわち、安全率(a,_)は、シフトb、すなわち時間にかかわらず、同じ周波数(スケールa)に対して、同じ安全率を設定するものである。安全率(a,_)には、事前に算出した周波数伝達関数を用いる。なお、周波数伝達関数は、図5に示す伝達関数演算部51において算出された値を補正部60に入力することにより取得してもよい。この場合、低周波数の安定領域に比べて入力応答比が高い周波数の補正強度を下げることになり、過度の補正によるオーバーシュートを防ぐことができる。
次に、周波数の異なる2つのサインを重畳した目標波形をドライブ波形_0(t)として、非線形な応答をする試験片TPに対して、疲労試験機にて加振を行ったときの補正結果を説明する。なお、以下に説明する例では、検出信号選択部54において、荷重計33で計測した荷重信号が、補正部60に入力される応答波形として選択されている。
図7は、目標波形のウェーブレット変換結果を示すグラフであり、図8は、応答波形のウェーブレット変換結果を示すグラフである。そして、図9は、補正結果を示すグラフである。図7、図8および図9の下段は、横軸を時間(秒)、縦軸を試験片TPに負荷する試験力(kN:キロニュートン)とする波形のグラフである。図7および図8の上段は、下段の波形をウェーブレット変換した結果であり、図9の上段は、式(1)により得られた次期駆動波形のウェーブレット変換結果である。図7、図8および図9の上段のグラフの横軸は波形のグラフと同じ時間(秒)であり、縦軸は周波数(Hz)である。また、ウェーブレット変換結果の表示装置等への実際の表示では、周波数成分を、例えば、周波数成分が大きい順に赤色、黄色、緑色、水色、青色の色付けで表現するが、図7、図8および図9の上段のグラフでは、周波数成分の大小を異なるハッチングで示している。なお、図7、図8および図9のウェーブレット変換例は、Morletウェーブレットをマザーウェーブレットとして使用したものである。
非線形な振動応答を示す試験片TPに8kN〜10kNの試験力を負荷したときには、図8の下段のグラフに符号eで示すように、目標波形の振幅(図7の下段グラフ参照)に比べて、応答波形は大きな重畳振幅となるのに対し、4kNの試験力を負荷したときには、図8の下段に符号fで示すように、逆に応答波形の重畳振幅が目標波形の振幅(図7の下段グラフ参照)に対して小さくなりすぎている。
応答波形がこのような挙動となる駆動波形を、式(1)を用いて補正する。式(1)に図7および図8の上段に示す連続ウェーブレット変換の結果を代入して得られた次期駆動波形のウェーブレット変換結果は、図9上段のグラフのようになり、これを逆ウェーブレット変換して得られる時系列データの次期駆動波形は、図9下段のグラフのようになる。図9下段の次期駆動波形においては、8kN〜10kNの試験力を負荷したときの振幅は、補正前の初期駆動波形としての目標波形(図7の下段グラフ参照)に比べて小さくなり、4kNの試験力を負荷したときの振幅は、補正前に比べて大きくなっている。すなわち、この補正では、駆動波形に対する応答波形の振幅が大きくなっていた周波数および時間と、駆動波形に対する応答波形の振幅が小さくなる周波数および時間とで、異なる周波数補正係数を持たせるため、駆動波形全体として、応答波形がより目標波形に近づいている。
図10および図11は、駆動波形の補正の前後における目標波形と応答波形の誤差を説明するグラフである。図10は、補正前の目標波形と応答波形の誤差を示し、図11は、補正部60における繰り返し補正後の目標波形と応答波形の誤差を示す。図10および図11のグラフの横軸は時間(秒)であり、縦軸は試験力(kN)である。また、図10(a)のグラフは、破線の目標波形と実線の応答波形を重ね合わせて示し、図11(a)のグラフは、繰り返し補正後の応答波形を示すものである。図10(b)および図11(b)のグラフは、目標波形から応答波形を除算した誤差波形を示すものである。なお目標波形は、図7〜図9と同様、周波数の異なる2つのサイン波の重畳である。
補正前は、図10に示すように、目標波形に対する応答波形のズレが大きく、誤差は、波形全体としては最大でプラスマイナス3kN程度の誤差がある。一方、繰り返し補正後には、図11に示すように、応答波形が目標波形とほぼ同様の状態となるまで応答性が改善され、誤差も、補正前の10分の1以下となる。
この補正部60における駆動波形の補正では、ウェーブレット変換により時間情報を残したまま波形を分解することができることから、時間軸での補正の可否や補正強度の変更の自由度が向上し、目標波形と応答波形の相関の良い領域に過度の補正を行うことなく、応答波形を目標波形に速やかに近づけることが可能となる。
上述した図7〜図11を参照した補正例では、波形に対して連続ウェーブレット変換を行った場合について説明したが、この連続ウェーブレット変換では、ウェーブレット関数がアドミッシブル条件(admissibility condition)と呼ばれる条件を満たすときでなければ逆変換が行えない。ウェーブレット関数がアドミッシブル条件を満たさない場合や、演算量を少なくしたい場合などに、離散ウェーブレット変換により補正を行うようにしてもよい。以下に、補正部60におけるウェーブレット変換部61および逆ウェーブレット変換部63で、離散ウェーブレット変換とその逆変換を行う場合の駆動波形の補正について説明する。
図12は、離散ウェーブレット変換の近似係数Aと詳細係数Dの概念図である。離散ウェーブレット変換は、複数のフィルタを利用して入力信号を複数の周波数領域の信号に分解する、サブバンド符号化の一種でもある。図12では、一組のローパスフィルタ72とハイパスフィルタ71が3段構成されている例を示す。
離散ウェーブレット変換では、図12(a)に示すように、インパルス応答がgであるローパスフィルタ72と、インパルス応答がhであるハイパスフィルタ71のフィルタセットを利用して、信号xが分解される。ローパスフィルタ72と、1サンプル点おきに信号を間引くダウンサンプラ73を通して得た大きいスケールを近似係数(approximation coefficients)とよび、ハイパスフィルタ71とダウンサンプラ73を通して得た小さいスケールを詳細係数(detail coefficients)とよぶ。1段目の分解で、近似係数A1と詳細係数D1とが得られ、近似係数A1について、2段目の分解を行うことで、近似係数A2と詳細係数D2とが得られ、さらに、近似係数A2について、3段目の分解を行うと、近似係数A3と詳細係数D3が得られる。このように、フィルタセットの各段において、信号の低周波成分である近似係数Aと、信号の高周波成分である詳細係数Dに分解される。
分解により出力信号として得られた、近似係数A3、詳細係数D1〜D3は、逆変換、すなわち、分解時とは逆の信号処理により、元の入力信号と同等の時系列データに合成できる。すなわち、図12(b)に示すように、各サンプル点間の間に値0を挿入するアップサンプラ74とローパスフィルタ72とハイパスフィルタ71のフィルタセットと加算器75を通して、信号xに合成することができる。
図13〜図16は、離散ウェーブレット変換を用いた駆動波形の補正を説明するグラフである。図13〜図16は、6段構成のフィルタセットで離散ウェーブレット変換を行い、これにより得られた詳細係数D1〜D6と近似係数A6のうち、詳細係数D4〜D6および近似係数A6について、式(1)を利用した補正を行い、さらに逆ウェーブレット変換により時系列データとして結果を示すグラフである。図13は、詳細係数D4の補正結果、図14は詳細係数D5の補正結果、図15は、詳細係数D6の補正結果、図16は、近似係数A6の補正結果を示す。また、図13〜図16においては、応答波形を破線で示し、目標波形と応答波形の差を示す誤差波形を実線で示している。
この実施形態では、6段構成のフィルタセットで離散ウェーブレット変換を行って得た詳細係数D1〜D6と近似係数A6のうち、高周波成分である詳細係数D1〜D3については、式(2)における安全率(a,b)=0とすることで補正を行わず、詳細係数D4〜D6について、繰り返し補正を行った。これは、試験システムが応答しない高周波数で、駆動波形が過度に補正されて、制御が不安定になることを防ぐためである。
低周波成分(詳細係数D4〜D6、近似係数A6)について繰り返し補正を行うと、図13〜図16に示すように、低周波での目標波形と応答波形の誤差が修正されたことが理解される。
離散ウェーブレット変換で分解された駆動波形は、式(1)による補正の後、図12(b)に示すように、逆ウェーブレット変換を行い、分解されていた信号を合成することで、補正後の駆動波形が出力波形として補正部60から駆動信号出力部に送信される。この補正後の駆動波形により加振されたことによる応答波形は、図11(a)と同様の波形となり、目標波形と応答波形との誤差は、図11(b)の誤差波形と同等に集束される。
離散ウェーブレット変換では、図12(a)に示すように、フィルタセットとダウンサンプラ73を介して詳細係数D、近似係数Aを取得することから、フィルタセットの段数が増えるに従って、時間解像度は元の信号の半分(サンプル点数が半減)になり、周波数解像度は2倍となる(図13〜16の応答波形参照)。このように離散ウェーブレット変換ではフィルタを通すことでウェーブレット係数が出力されることから、連続ウェーブレット変換に比べて、計算時間が短く、装置の計算負荷を低減することができる。
21 上つかみ具
22 下つかみ具
23 支柱
24 テーブル
25 クロスヘッド
31 アクチュエータ
32 変位計
33 荷重計
36 増幅器
37 増幅器
41 D/A変換器
42 A/D変換器
43 A/D変換器
46 目標波形発生器
50 制御装置
51 伝達関数演算部
52 検出信号選択部
60 補正部
61 ウェーブレット変換部
62 補正計算部
63 逆ウェーブレット変換部
64 安全率計算部
71 ハイパスフィルタ
72 ローパスフィルタ
73 ダウンサンプラ
74 アップサンプラ
75 加算器

Claims (5)

  1. 目標波形に基づく駆動信号により負荷アクチュエータを駆動して供試体に負荷を与える疲労試験機であって、
    前記目標波形に基づいて前記負荷アクチュエータを駆動する駆動波形を生成する駆動波形生成部と、
    前記駆動波形により前記負荷アクチュエータを駆動したときの前記供試体側からの応答波形を受信する受信部と、
    前記駆動波形、前記目標波形、前記応答波形をそれぞれウェーブレット変換した結果を利用して、前記駆動波形を補正する補正部と、
    を備えることを特徴とする疲労試験機。
  2. 請求項1に記載の疲労試験機において、
    前記補正部は、
    前記目標波形のウェーブレット変換結果と前記応答波形のウェーブレット変換結果の差分に、補正係数を乗算した値を用いて、前記駆動波形のウェーブレット変換結果を補正する補正計算部を備える疲労試験機。
  3. 請求項2に記載の疲労試験機において、
    前記補正計算部は、
    前記補正係数を、入力である前記駆動波形のウェーブレット変換結果とその応答である前記応答波形のウェーブレット変換結果とから得られる入力と応答の相関を表す入力応答比と、補正強度を表す安全率とを用いて算出する疲労試験機。
  4. 請求項3に記載の疲労試験機において、
    前記補正計算部は、
    周波数ごとの入力と応答の比率である周波数応答伝達関数に基づいて、前記入力応答比を取得する疲労試験機。
  5. 請求項3に記載の疲労試験機において、
    前記補正部は、
    入力である前記駆動波形のウェーブレット変換結果の各点での値の変化に基づく入力増減と、その応答である前記応答波形のウェーブレット変換結果の各点での値の変化に基づく応答増減との相関を利用して、前記安全率を算出する安全率算出部を備える疲労試験機。
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