以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<全体構成>
図1に示されるように、画像読取装置1は、筐体2およびトレイ3を備えている。筐体2は、上フレーム4および下フレーム5を備えている。
なお、以下の説明では、筐体2に対してトレイ3が位置する側を後側とし、下フレーム5に対する上フレーム4側を上側として、上下、左右および前後の各方向を規定する。
上フレーム4は、下フレーム5に上側から重なる。
トレイ3は、筐体2の後上部において、上フレーム4に固定されて、上フレーム4の後端部から後上側に延びている。トレイ3上には、A4サイズ、およびレターサイズの薄紙または厚紙からなるシートSが載置可能である。
上フレーム4は、下フレーム5に対して上下方向に間隔を空けて配置されている。上フレーム4の後端縁と下フレーム5の後端縁との間に形成される挿入口6は、後上側に開放されている。また、上フレーム4の前端縁と下フレーム5の前端縁との間に形成される排出口7は、前側に開放されている。上フレーム4と下フレーム5との間は、シートSが搬送される搬送路8である。搬送路8は、挿入口6および排出口7を結んで形成されている。シートSは、挿入口6から搬送路8に導入され、搬送路8を排出口7に向けて搬送される。
画像読取装置1は、供給部の一例としての分離ローラ9、リバースローラ10、1対の搬送ローラ11、画像読取部の一例としての第1読取部12、画像読取部の一例としての第2読取部13および1対の排紙ローラ14を備えている。
分離ローラ9、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14は、それぞれ左右方向に延びる回転軸線まわりに回転可能に設けられている。分離ローラ9およびリバースローラ10は、挿入口6の前側に配置されている。一方の搬送ローラ11は、分離ローラ9の前側に配置されている。他方の搬送ローラ11は、一方の搬送ローラ11の上側に配置されている。1対の排紙ローラ14は、排出口7の後側に配置されている。
第1読取部12は、一方の搬送ローラ11の前側に、読取面を上側に向けた状態で配置されている。第1読取部12は、左右方向に延在し、その左右方向を主走査方向としている。
第2読取部13は、他方の搬送ローラ11の前側に、読取面を下側に向けた状態で配置されている。第2読取部13は、左右方向に延在し、その左右方向を主走査方向としている。
画像読取装置1は、フロントセンサ15およびリアセンサ16を備えている。
フロントセンサ15は、トレイ3の前下端部の前下側の挿入口6付近に配置されている。フロントセンサ15は、フロントセンサ15の位置において、トレイ3に載置されている原稿の一例としてのシートSの有無を検出する。
リアセンサ16は、搬送路8途中において搬送ローラ11の後側に配置されている。リアセンサ16は、リアセンサ16の位置において、シートSの有無を検出する。これにより、搬送路8を搬送されるシートSの搬送方向の先端および後端が検知される。
<シートの画像の読み取り>
シートSの画像の読み取りの際には、図1に示されるように、トレイ3が開位置に配置される。そして、トレイ3上にシートSが載置される。
トレイ3上に載置されるシートSは、その先端部が分離ローラ9およびリバースローラ10に当接するまで、挿入口6内に差し込まれる。このとき、分離ローラ9、リバースローラ10、下側の搬送ローラ11および下側の排紙ローラ14が右側から見て反時計回りに回転される。また、上側の搬送ローラ11および上側の排紙ローラ14は、それぞれ下側の搬送ローラ11および下側の排紙ローラ14の回転に従動して、右側から見て時計回りに回転する。
シートSが分離ローラ9の周面に当接すると、トレイ3上に載置されているシートSのうち一番下のシートSに分離ローラ9から搬送力が付与され、一番下のシートSが分離ローラ9とリバースローラ10との間に引き込まれる。リバースローラ10は、分離ローラ9と比較して弱いトルクでシートSに搬送方向と逆向きの力を与える。そのため、引き込まれた1番下のシートSとその上の他のシートSとが分離され、1枚のシートSが分離ローラ9とリバースローラ10との間を通過する。
シートSが1対の搬送ローラ11の各周面に当接すると、搬送ローラ11からシートSに搬送力が付与される。この搬送力により、シートSは、前側に搬送されて、1対の搬送ローラ11の間を通過する。
その後、シートSは、第1読取部12と第2読取部13との間を通過する。このとき、第1読取部12の読取面上および第2読取部13の読取面上のシートSに、それぞれ第1読取部12および第2読取部13から光が照射される。そして、シートSでの反射光が第1読取部12および第2読取部13に受けられることにより、シートSの両面の画像が読み取られる。
そして、シートSが1対の排紙ローラ14の各周面に当接すると、排紙ローラ14からシートSに搬送力が付与される。この搬送力により、シートSは、前側に搬送されて、排出口18を通して排出される。
<電気的構成>
画像読取装置1は、図2に示されるように、ネットワークインターフェース(I/F)30、USBインターフェース(I/F)40および制御部50を備えている。
画像データ出力部の一例としてのネットワークインターフェース30は、LAN(Local Area Network)に接続されているPC(パーソナルコンピュータ)などの外部装置との間で、LANを経由した通信を行うための回路などを備えている。
画像データ出力部の一例としてのUSBインターフェース40は、USBメモリなどのリムーバブルメディアを接続するためのインタフェース(USBポート)である。
制御部50は、CPU51、ROM52およびRAM53を備えている。CPU51は、各種の処理のためのプログラムを実行することにより、第1読取部12および第2読取部13を制御し、ネットワークインターフェース30を介したデータ通信を制御する。また、CPU51は、USBインターフェース40に接続されたリムーバブルメディアへのデータの書き込みを制御する。さらに、CPU51には、フロントセンサ15によるシートSの検出時にフロントセンサ15から検出信号(オン信号)が入力される。また、CPU51には、リアセンサ16によるシートSの検出時にリアセンサ16から検出信号(オン信号)が入力される。CPU51は、リアセンサ16から入力される信号のオン/オフ変化に基づき、リアセンサ16の位置におけるシートSの先端の通過および後端の通過を検知することができる。
ROM52には、CPU51によって実行されるプログラムおよび各種のデータなどが格納されている。
記憶部の一例としてのRAM53は、CPU51がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。
第1読取部12は、CIS(Contact Image Sensor)21AおよびAFE(Analog Front End)22Aを備えている。第2読取部13は、CIS21BおよびAFE22Bを備えている。第1読取部12および第2読取部13では、CIS21A,21Bにより原稿の画像が読み取られて、CIS21A,21Bからアナログ画像信号が出力され、AFE22A,22Bによりそのアナログ画像信号がデジタル画像データに変換される。
また、画像読取装置は、第1モータ61および第2モータ62を備えている。
第1モータ61の駆動力は、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14に伝達され、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14を回転させる。
第2モータ62の駆動力は、分離ローラ9に伝達され、分離ローラ9を回転させる。
<読取処理>
画像読取装置1の電源が投入されている間、制御部50のCPU51は、読取指示を受け付けるたびに図3A及び図3Bに示される読取処理を繰り返し実行する。
読取処理では、CPU51は、読取モードをRAM53に記憶させるモード設定を実行する(S1)。読取モードは、使用者により、非図示の操作部から入力されるか、または、自動的に指定される。
読取モードには、設定モードおよび設定機能が含まれる。設定モードとして、たとえば、出力先、読取色種別および圧縮方法を設定することができる。また、設定機能としては、傾き補正、サイズ検知、白紙除去および色種別検知を設定することができる。
出力先の設定では、読み取った画像データの出力先として、USBインターフェース40に接続されたリムーバブルメディアを選択する「SCAN TO USB」と、ネットワークインターフェース30に接続された機器を選択する「PC−SCAN」のいずれかが設定される。
読取色種別の設定では、シートSの画像の読取における色種別として、カラー(Color)、白黒(BW)、グレイスケール(Gray)または自動(Auto)のいずれかが設定される。
圧縮方法の設定では、画像データの圧縮方法として、「PackBits」、「Jpeg」または「MH」のいずれかが使用者により入力されるか、または、他の設定モードまたは設定機能に対応して、「PackBits」、「Jpeg」または「MH」のいずれかが自動的に設定される。たとえば、出力先の設定として「SCAN TO USB」が設定され、読取色種別の指定で白黒が設定された場合、圧縮方法として、「MH」が自動的に設定される。
傾き補正機能は、シートSが搬送方向に対して傾いた状態で搬送される場合に、その搬送方向に対するシートSの画像の傾きを補正する機能である。傾き補正機能が設定されている場合、CPU51による傾き補正処理が実行される。傾き補正処理では、画像データからシートSのエッジデータが抽出される。そして、エッジデータからシートSの搬送方向に対する傾き角度が求められ、画像データが傾き角度に応じて回転補正される。
サイズ検知機能は、シートSのサイズを検知する機能である。サイズ検知機能が設定されている場合、CPU51によるサイズ検知処理が実行される。サイズ検知処理では、画像データからシートSのエッジデータが抽出される。たとえば、シートSの先端エッジのエッジデータが抽出されて、そのエッジデータから取得される先端エッジの主走査幅から、定型サイズとしてシートSのサイズが検出される。また、シートSの主走査方向および副操作方向(搬送方向)の各辺のエッジデータが抽出されて、そのエッジデータから取得されるシートSの主走査方向および副操作方向の長さから、シートSのサイズが検出されてもよい。
白紙除去機能は、シートSの画像が白紙画像である場合に、当該白紙画像の画像データをRAM53から除去する機能である。白紙除去機能が設定されている場合、CPU51による白紙除去処理が実行される。白紙除去処理では、画像データにおけるシートS内の輝度成分またはRGBのいずれかに基づき、白紙か否かが判断される。
色種別検知機能は、設定モードにおいて読取色種別として自動(Auto)が選択指定された場合に、読み取ったシートSの画像の色種別がカラー(Color)、白黒(BW)またはグレイスケール(Gray)のいずれであるかを検知する機能である。色種別検知機能が設定されている場合、CPU51による色種別検知処理が実行される。色種別検知処理では、たとえば、画像データが輝度成分と色差成分とに分けられて、輝度成分および色差成分に基づいて、画像の色種別が判断される。また、画像データからRGB値が取得され、RGB値に基づいて、画像の色種別が判断されてもよい。
そして、CPU51は、先端読取開始位置および後端読取終了位置を設定する(S2)。CPU51は、リアセンサ16から入力される信号のオン/オフに基づいて、シートSの先端位置および後端位置を検知することができる。しかしながら、その検知位置は、リアセンサ16の配置位置、つまり搬送路8における左右方向の1点(たとえば、左右方向の中央)である。
シートSが斜行して搬送される場合、図7に示されるように、シートSの先端位置は、左右方向の一端が検知位置より搬送方向の前側に位置し、シートSの後端位置は、左右方向の一端が検知位置より搬送方向の後側に位置する。したがって、斜行しているシートS全体を読み取るためには、シートSの先端における検知位置より前側に先端オーバスキャン長を余分に読み取り、シートSの後端における検知位置より後側に後端オーバスキャン長を余分に読み取る必要がある。そのため、傾き補正機能またはサイズ検知機能がオンに設定されているときは、シートSの先端から先端オーバスキャン長前側の位置を先端読取開始位置とし、シートSの後端から後端オーバスキャン長後側の位置を後端読取終了位置としてRAM53に記憶しておくことにより、先端読取開始位置および後端読取終了位置が設定される。
次に、CPU51は、第1モータ61を駆動する(S3)。これにより、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14の回転が開始される。
その後、CPU51は、データ処理の開始のトリガとなるデータ処理開始フラグを、オフに初期化する(S4)。データ処理については、図6の説明において後述する。
そして、CPU51は、第2モータ62を駆動する(S5)。これにより、分離ローラ9の回転が開始され、シートSの給紙が開始する。
そして、CPU51は、リアセンサ16からCPU51にオン信号が入力されるまで(S5:NO)、オン信号が入力されたか否かを判断する(S6)。
リアセンサ16からオン信号が入力された場合(S6:YES)、すなわち、リアセンサ16の位置にシートSの先端が到達した場合、CPU51は、第2モータ62を停止する(S7)。これにより、分離ローラ9の回転が停止され、シートSの給紙が停止される。なおこのとき、第1モータ61は停止されていないので、給紙されたシートSの搬送は搬送ローラ11により継続される。シートSが分離ローラ9およびリバースローラ10に挟持された状態で搬送されている間、分離ローラ9は、シートSに移動につられて右側から見て反時計回りに回転する。
そして、CPU51は、データ処理終了フラグがオンか否かを判断する(S8)。データ処理は、第1読取部12および第2読取部13により、現在搬送されているシートSの1つ前に搬送されたシートSから読み取られた画像データのデータ処理である。データ処理は、読取処理と並行に実行されている読取並行処理により実行される。データ処理終了フラグは、データ処理が終了した場合に読取並行処理によりオンにされる。現在搬送されているシートSが1枚目の場合には、読取並行処理はまだ実行されていないため、データ処理終了フラグは、初期値としてオフに設定されている。読取並行処理の詳細については、図6の説明として後述する。
データ処理終了フラグがオンの場合(S8:YES)、CPU51は、リアセンサ16からオン信号が入力されてから第1所定時間が経過するまで(S9:NO)、第1所定時間が経過したか否かを判断する(S)。第1所定時間は、シートSの先端がリアセンサ16の位置を通過してから第1読取部12の読取開始位置に到達するまでの時間である。
一方、データ処理終了フラグがオフの場合(S8:NO)、データ処理が終了していないため、CPU51は、第1モータ61を停止させる(S10)。これにより、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14の回転が停止され、シートSの搬送が停止される。
その後、CPU51は、データ処理終了フラグがオンになったか否かを繰り返し判断する(S11)。データ処理終了フラグがオンになるまで、CPU51は、以降の処理に進まない。
データ処理終了フラグがオンになった場合(S11:YES)、CPU51は、第1モータ61を駆動させる(S12)。これにより、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14の回転が再開され、シートSの搬送が再開される。
そして、CPU51は、リアセンサ16からオン信号が入力されてから第1所定時間が経過するまで(S9:NO)、第1所定時間が経過したか否かを判断する(S9)。
第1所定時間が経過した場合(S9:YES)、シートSの先端が第1読取部12の読取開始位置に到達したので、CPU51は、第1読取部12および第2読取部13に、シートSからの画像を読み取ることによるデータ取込を開始させる(S13)。
そして、CPU51は、所定の走査ライン数のデータ取込が完了するまで(S14:NO)、所定の走査ライン数のデータ取込が完了したか否かを判断する(S14)。所定の走査ライン数は、たとえば、シートSの全走査ライン数の3分の1の走査ライン数である。
所定の走査ライン数のデータ取込が完了した場合(S14:YES)、CPU51は、データ処理の開始のトリガとなるデータ処理開始フラグをオンにする(S15)。
そして、CPU51は、フロントセンサ15からオン信号が入力されているか否か、すなわち、次のシートSがトレイ3に載置されている否かを判断する(S16)。
フロントセンサ15からオン信号が入力されていない場合(S16:NO)、次のシートSはトレイ3に載置されていないので、CPU51は、最終のシートSによりリアセンサ16からオン信号が出力されてから第2所定時間が経過するまで(S17:NO)、第2所定時間が経過したか否かを判断する(S17)。第2所定時間は、最終のシートSが排紙されるのに十分な時間である。
そして、CPU51は、第1モータ61を停止して(S18)、読取処理を終了する。これにより、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14の回転が停止される。
フロントセンサ15からオン信号が入力されている場合(S16:YES)、次のシートSがトレイ3に載置されているので、CPU51は、紙間距離設定を実行する(S19)。紙間距離設定の詳細については、後述する。
そして、CPU51は、紙間距離設定により設定された紙間距離に対応した給紙タイミングに達するまで(S20:NO)、給紙タイミングに達したか否かを判断する(S20)。
紙間距離に対応した給紙タイミングに達した場合(S20:YES)、CPU51は、前述したステップS4の処理に戻り、データ処理開始フラグをオフにした後、第2モータ62を駆動させ、ステップS6以降の処理を実行することにより、次のシートSの給紙を開始させる。
<紙間距離設定>
図3BのステップS19で実行される紙間距離設定の流れは、図4に示されている。
紙間距離設定では、CPU51は、まず、RAM53に記憶されている設定モードを確認する(S191)。具体的に、CPU51は、出力先として、「SCAN TO USB」または「PC−SCAN」のいずれの設定が、読取色種別として、「Color」、「BW]、「Gray」または「Auto」のいずれの設定が、および、圧縮方法として「PackBits」、「Jpeg」または「MH」のいずれの設定がRAM53に記憶されているかを確認する。
次に、CPU51は、設定機能を確認する(S192)。具体的に、CPU51は、傾き補正、サイズ検知、白紙除去および色種別検知の各機能についてRAM53に記憶されているオン/オフ設定を確認する。
次に、CPU51は、図6の説明にて後述する先端検知処理における先端解析結果を確認する(S193)。具体的に、CPU51は、RAM53に記憶されている先端解析の成功または失敗の情報、成功した場合の傾き量を確認する。先端検知処理がまだ終了しておらず、先端解析結果がまだ出ていない場合は、先端解析結果が出るまで待機した後、先端解析結果を確認する。
先端検知処理のために、たとえば、RAM53に記憶されている先端読取開始位置から第1読取部12および第2読取部13による画像の読み取りが開始される(先端オーバスキャン)。そして、シートSの先端縁の全幅が含まれる領域(先端解析領域)の画像が読み取られる。先端検知処理では、その先端解析領域の画像データが用いられる。先端解析領域の画像データからシートSの先端エッジのエッジデータが抽出され、そのエッジデータに基づいて、シートSの先端が検知される。シートSの先端の検知に成功した場合、主走査方向に対するシートSの先端の傾き(シートSの搬送方向に対する原稿の傾きと同じ。)が検知される。
次に、CPU51は、設定モード、設定機能、先端解析結果に応じた紙間距離を設定して(S194)、紙間距離設定をリターンする。
図5に示されるように、紙間距離は、例えば、出力先が「PC−SCAN」の場合、出力先設定が「SCAN TO USB」である場合より大きく設定される。
紙間距離は、例えば、読取色種別が「Color」の場合が最も大きく設定され、次いで「Gray」の場合が大きく設定され、「BW」の場合が最も小さく設定される。
紙間距離は、例えば、圧縮方法が「MH」の場合が最も大きく設定され、次いで「Jpeg」の場合が大きく設定され、「PackBits」の場合が最も小さく設定される。
紙間距離は、例えば、傾き補正機能がオンの場合は、傾き補正機能がオフの場合より大きく設定される。
紙間距離は、サイズ検知機能がオンの場合は、サイズ検知機能がオフの場合より大きく設定される。
紙間距離は、白紙除去機能がオンの場合は、白紙除去機能がオフの場合より大きく設定される。
紙間距離は、色種別検知機能がオンの場合は、色種別検知機能がオフの場合より大きく設定される。
紙間距離は、例えば、先端検知処理によって先端解析に成功した場合は、先端解析に失敗した場合より大きく設定され、傾き量がより大きいほど、より大きく設定される。たとえば、先端検知処理によりシートSの先端エッジが検知されなかった場合、先端解析に失敗したと判定される。また、先端検知処理により検知されたシートSの先端エッジに直線性がなかった場合、先端解析に失敗したと判断される。
<読取並行処理>
読取処理と並行して、制御部50のCPU51は、図6に示される読取並行処理を繰り返し実行する。
読取並行処理では、データ処理開始フラグがオンか否かを判断する(S21)。
データ処理開始フラグがオフの場合(S21:NO)、CPU51は、読取並行処理を終了する。
データ処理開始フラグがオンの場合(S21:YES)、CPU51は、所定ライン数がデータ取込されたシートSの画像データについて、データ処理を開始する(S22)。
データ処理では、RAM53に記憶されている読取モードに従って、圧縮処理、傾き補正処理、サイズ検知処理、白紙除去処理、色種別検知処理のうち実行が指定されている処理が行われる。
また、傾き補正処理またはサイズ検知処理が行われる場合は、シートSの先端の傾きを検知する先端検知処理もS22にて行われる。
そして、CPU51は、データ処理終了フラグをオフにする(S23)。
そして、CPU51は、データ処理が終了するまで(S24:NO)、データ処理が終了したか否かを判断する(S24)。
データ処理が終了した場合(S24:YES)、CPU51は、データ処理終了フラグをオンにする(S25)。
そして、CPU51は、第1読取部12および第2読取部13の画像データの読み取りによる全ライン数のデータ取込が完了するまで(S26:NO)、データ取込が完了したか否かを判断する(S26)。
全ライン数のデータ取込が完了した場合(S26:YES)、CPU51は、第1読取部12および第2読取部13に、画像データの読み取りを終了させる(S27)。
そして、CPU51は、モードの設定に従って、画像データを出力して(S28)、読取並行処理を終了する。具体的に、出力先として「SCAN TO USB」がRAM53に記憶されている場合、CPU51は、USBインターフェース40に接続されているリムーバブルメディアに画像データを出力する。出力先として「PC−SCAN」がRAM53に記憶されている場合、CPU51は、ネットワークインターフェース30に接続されている機器に画像データを出力する。
なお、画像データは、1ページ分ごとに出力する必要はない。シートSから読み取った1ページ分の画像データを記憶させるための画像データ領域をRAM53内に設け、その画像データ領域のデータを1ページごとにRAM53の他の領域に移動させてもよい。そして、最終ページの読み取りとデータ処理が終了した後に全ページの画像データを出力するとよい。
<作用効果>
以上のように、画像データを用いたデータ処理の内容に応じて、先行するシートSの画像が第1読取部12および第2読取部13により読み取られるタイミングと後続するシートSの画像が第1読取部12および第2読取部13により読み取られるタイミングとの時間差に相当する紙間距離が設定される。たとえば、データ処理の内容が複雑であり、データ処理に要する時間が長いほど、紙間距離が大きく設定される。そして、その設定された紙間距離に応じて、後続するシートSが搬送路8に供給される際の分離ローラ9の動作が制御される。そのため、後続するシートSの画像が第1読取部12および第2読取部13により読み取られるまでに、先行するシートSの画像データを用いたデータ処理を終了させ、RAM53に記憶されている画像データをリムーバブルメディアやネットワークに接続された機器などに出力させることができる。その結果、後続するシートSの供給後に、そのシートSの搬送が一時停止されることを従来よりも良好に抑制することができる。
データ処理は、画像データを圧縮するデータ圧縮処理を含み、CPU51は、データ圧縮処理の種別、例えば、PackBits、Jpeg、MHのいずれであるかに応じて、紙間距離を設定する。
これにより、画像データを用いたデータ処理に画像データを圧縮するデータ圧縮処理が含まれる場合、そのデータ圧縮処理の種別に応じて、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が設定される。たとえば、相対的に長い時間を要するデータ圧縮処理が実行される場合、相対的に短い時間で完了するデータ圧縮処理が実行される場合と比較して、紙間距離が大きく設定される。そのため、後続するシートSの画像が第1読取部12および第2読取部13により読み取られるまでに、先行するシートSの画像データの圧縮が終了する可能性が高い。
データ処理は、搬送ローラ11によりシートSが搬送方向に対して傾いた状態で搬送される場合に、その搬送方向に対するシートSの画像の傾きを補正する傾き補正処理を含み、CPU51は、傾き補正処理が行われる場合、傾き補正処理が行われない場合よりも紙間距離を大きく設定する。
これにより、傾き補正処理が行われる場合、傾き補正処理が行われない場合よりも、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が大きく設定される。これにより、後続するシートSの画像が第1読取部12および第2読取部13により読み取られるまでに、先行するシートSの画像データを用いた傾き補正処理が終了する可能性が高い。
データ処理は、シートSのサイズを検知するサイズ検知処理を含み、CPU51は、サイズ検知処理が行われる場合、サイズ検知処理が行われない場合よりも紙間距離を大きく設定する。
これにより、サイズ検知処理が行われる場合、サイズ検知処理が行われない場合よりも、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が大きく設定される。そのため、後続するシートSの画像が第1読取部12および第2読取部13により読み取られるまでに、先行するシートSの画像データを用いたサイズ検知処理が終了する可能性が高い。
データ処理は、搬送ローラ11により搬送されるシートSの先端の傾きを検知する先端検知処理を含んでいる。
傾き補正処理またはサイズ検知処理が行われる場合、シートSの先端の傾きを検知する先端検知処理が行われる。
先端検知処理では、たとえば、シートSの先端が第1読取部12および第2読取部13による画像読取位置に到達するよりも前から第1読取部12および第2読取部13による画像の読み取りが開始され(先端オーバスキャン)、シートSの先端縁の全幅が含まれる領域(先端解析領域)の画像データの解析により、シートSの先端が検知される。シートSの先端の検知に成功した場合、主走査方向に対するシートSの先端の傾き(原稿の搬送方向に対する原稿の傾きと同じ。)が検知される。
CPU51は、先端検知処理で検知された傾きの大きさに応じた紙間距離を設定する。
これにより、シートSの先端の傾きに応じて、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が設定される。
傾き補正処理およびサイズ検知処理では、シートSの後端が第1読取部12および第2読取部13による画像読取位置を通過した後も第1読取部12および第2読取部13による画像の読み取りが行われる(後端オーバスキャン)。この後端オーバスキャンによる読取領域にシートSの後端縁の全幅が含まれるように、シートSの先端の傾きが大きいほど、後端オーバスキャンの長さが大きく設定される。そして、シートSの後端縁の全幅が含まれる領域(後端解析領域)の画像データの解析により、シートSの後端が検知され、主走査方向に対するシートSの後端の傾きが求められる。その後、検知されたシートSの先端および後端の傾きから、傾き補正処理では、シートSの傾きの補正量が設定され、サイズ検知処理では、原稿の搬送方向の長さが求められる。
シートSの先端の傾きが大きいほど、後端オーバスキャンの長さが大きく設定されるので、後端解析領域の画像データの解析に要する時間が長くかかる。シートSの先端の傾きに応じて、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が設定されることにより、後続するシートSの画像が第1読取部12および第2読取部13により読み取られるまでに、先行するシートSの画像データを用いた傾き補正処理および/またはサイズ検知処理が終了する可能性が高い。
CPU51は、先端検知処理によるシートSの先端の検知が失敗した場合、当該検知が成功した場合よりも紙間距離を小さく設定する。
これにより、先端検知処理によるシートSの先端の検知が失敗した場合、後端解析領域の画像データの解析が行われないので、当該検知が成功した場合よりも、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が小さく設定される。これにより、後続するシートSの画像の読み取りを早期に開始させることができ、画像読取装置1の処理能力を向上させることができる。
データ処理は、シートSの画像が白紙画像である場合に、当該白紙画像の画像データをRAM53から除去する白紙除去処理を含み、CPU51は、白紙除去処理が行われる場合、白紙除去処理が行われない場合よりも紙間距離を大きく設定する。
これにより、白紙除去処理が行われる場合、白紙除去処理が行われない場合よりも、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が大きく設定される。これにより、後続するシートSの画像が第1読取部12および第2読取部13により読み取られるまでに、先行する原稿の画像データを用いた白紙除去処理が終了する可能性が高い。
データ処理は、シートSの画像の色種別を検知する色種別検知処理を含み、CPU51は、色種別検知処理が行われる場合、色種別検知処理が行われない場合よりも紙間距離を大きく設定する。
これにより、色種別検知処理が行われる場合、色種別検知処理が行われない場合よりも、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が大きく設定される。これにより、後続するシートSの画像が第1読取部12および第2読取部13により読み取られるまでに、先行するシートSの画像データを用いた色種別検知処理が終了する可能性が高い。
CPU51は、設定された紙間距離に応じて、分離ローラ9の動作を開始するタイミングを変更する。
その結果、先行するシートSの供給開始から後続するシートSの供給開始までの時間を変更することにより、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が変更される。
CPU51は、データ処理の内容の設定を受け付ける設定受付処理を実行する。
これにより、RAM53に記憶されている画像データを用いたデータ処理の内容を設定することができる。そして、設定されたデータ処理の内容に従って、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が変更される。
CPU51は、データ処理の開始後に、紙間距離設定処理を実行する。
このように、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離は、先行する画像の画像データを用いた処理の開始後に設定されてもよい。
<第2実施形態>
図3Aおよび図3Bに示される読取処理に代えて、図8A、図8B及び図8Cに示される読取処理が実行されてもよい。図8A、図8B及び図8Cに示される読取処理では、データ処理の開始前に、紙間距離設定処理が実行される。
画像読取装置1は、電源が投入されている間、制御部50のCPU51は、図8A、図8B及び図8Cに示される読取処理を繰り返し実行する。
読取処理では、CPU51は、使用者により非図示の操作部を用いて入力された読取モードをRAM53に記憶させることにより設定する(S31)。
そして、CPU51は、先端読取開始位置および後端読取終了位置を設定する(S32)。
次に、CPU51は、第1モータ61を駆動する(S33)。これにより、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14の回転が開始される。
その後、CPU51は、データ処理の開始のトリガとなるデータ処理開始フラグを、オフに初期化する(S34)。データ処理は、図6の説明において前述したデータ処理と同一の処理である。
また、CPU51は、紙間距離設定を実行する(S35)。紙間距離設定は、図4に示される前述した紙間距離設定と同一の処理である。
そして、CPU51は、第2モータ62を駆動する(S36)。これにより、分離ローラ9の回転が開始され、シートSの給紙が開始される。
その後、CPU51は、リアセンサ16からオン信号が入力されるまで(S37:NO)、オン信号が入力されたか否かを判断する(S37)。
リアセンサ16からオン信号が入力された場合(S37:YES)、すなわち、リアセンサ16の位置にシートSの先端が到達した場合、CPU51は、第2モータ62を停止する(S38)。これにより、分離ローラ9の回転が停止され、シートSの給紙が終了する。
そして、CPU51は、データ処理終了フラグがオンか否かを判断する(S39)。データ処理終了フラグは、読取並行処理によりオンにされる。読取並行処理は、図6に示される前述した読取並行処理と同一の処理である。
データ処理終了フラグがオンの場合(S39:YES)、CPU51は、リアセンサ16からオン信号が入力されてから第1所定時間が経過するまで(S40:NO)、第1所定時間が経過したか否かを判断する(S40)。第1所定時間は、シートSの先端がリアセンサ16の位置を通過してから第1読取部12の読取開始位置に到達するまでの時間である。
一方、データ処理終了フラグがオフの場合(S39:NO)、データ処理が終了していないため、CPU51は、第1モータ61を停止させる(S41)。これにより、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14の回転が停止され、シートSの搬送が停止される。
そして、CPU51は、データ処理終了フラグがオンになるまで(S42:NO)、データ処理終了フラグがオンになったか否かを判断する(S42)。
データ処理終了フラグがオンになった場合(S42:YES)、CPU51は、第1モータ61を駆動させる(S43)。これにより、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14の回転が再開され、シートSの搬送が再開される。
そして、CPU51は、リアセンサ16からオン信号が入力されてから第1所定時間が経過するまで(S40:NO)、第1所定時間が経過したか否かを判断する(S39)。
第1所定時間が経過した場合(S40:YES)、シートSの先端が第1読取部12の読取開始位置に到達したので、CPU51は、第1読取部12および第2読取部13に、シートSからの画像を読み取ることによるデータ取込を開始させる(S44)。
そして、CPU51は、所定の走査ライン数のデータ取込が完了するまで(S45:NO)、所定の走査ライン数のデータ取込が完了したか否かを判断する(S45)。
所定の走査ライン数のデータ取込が完了した場合(S45:YES)、CPU51は、データ処理の開始のトリガとなるデータ処理開始フラグをオンにする(S46)。
そして、CPU51は、フロントセンサ15からオン信号が入力されているか否か、すなわち、次のシートSがトレイ3に載置されている否かを判断する(S47)。
フロントセンサ15からオン信号が入力されていない場合(S47:NO)、次のシートSはトレイ3に載置されていないので、CPU51は、最終のシートSによりリアセンサ16からオン信号が出力されてから第2所定時間が経過するまで(S48:NO)、第2所定時間が経過したか否かを判断する(S48)。第2所定時間は、最終のシートSが排紙されるのに十分な時間である。
そして、CPU51は、第1モータ61を停止して(S49)、読取処理を終了する。これにより、リバースローラ10、搬送ローラ11および排紙ローラ14の回転が停止される。
フロントセンサ15からオン信号が入力されている場合(S47:YES)、次のシートSがトレイ3に載置されているので、CPU51は、紙間距離設定により設定された紙間距離に対応した給紙タイミングに達するまで(S50:NO)、給紙タイミングに達したか否かを判断する(S50)。
紙間距離に対応した給紙タイミングに達した場合(S50:YES)、CPU51は、前述したステップS34の処理に戻り、データ処理開始フラグをオフに初期化した後、紙間距離設定を行い、ステップS36以降の処理を実行することにより、次のシートSの給紙を開始させる。
以上のように、CPU51は、データ処理の開始前に、紙間距離設定処理を実行する。
このように、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離は、先行する画像の画像データを用いた処理の開始前に設定されてもよい。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、紙間距離設定を行うためにデータ取込を行う所定の走査ライン数として、シートSの全走査ライン数の3分の1の走査ライン数についてデータ取込を行った。しかしながら、所定の走査ライン数は、紙間距離設定を行うために必要な画像データが取得できる走査ライン数であればよく、たとえば、シートSの全走査ライン数であってもよい。また、設定されている読取モードによって異なる操作ライン数が選択されてもよい。
また、前述の実施形態では、画像データ出力部の一例として、ネットワークインターフェース30およびUSBインターフェース40を採用した。しかしながら、画像形成部を備える画像読取装置において、画像データ出力部の一例として、画像形成部を採用してもよい。この場合、RAM53に記憶されている画像データに係る画像が画像形成部により印刷されると、RAM53から画像データが消去されてRAM53が開放される。また、画像データ出力部は、RAM53から画像データの取り出しを行う任意のデバイスであってもよい。このデバイスについては、画像読取装置1の内部のデバイスであるか、外部のデバイスであるかを問わない。
また、前述の実施形態では、設定された紙間距離に応じて、分離ローラ9の動作を開始するタイミングを変更することにより、先行するシートSの供給開始から後続するシートSの供給開始までの時間を変更して、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離を変更した。しかしながら、設定された紙間距離に応じて、分離ローラ9によるシートSの供給速度を変更してもよい。
その結果、分離ローラ9によるシートSの供給速度を変更することにより、先行するシートSと後続するシートSとの紙間距離が変更される。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。