JP6466286B2 - 流動床式汚泥焼却炉における汚泥燃焼方法、流動床式汚泥焼却炉 - Google Patents
流動床式汚泥焼却炉における汚泥燃焼方法、流動床式汚泥焼却炉 Download PDFInfo
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Description
特許文献1に開示された汚泥の流動焼却炉は、「汚泥が直接投入される炉体内部を高さ方向に分割し、炉体の下方部分を空気比が0.9〜1.1の流動用空気を燃料とともに供給して汚泥を流動させつつ熱分解する熱分解ゾーンとし、その直上部分を空気比が0.1〜0.3の二次燃焼用空気のみを供給することにより、局所高温場を形成してN20を分解する層上燃焼ゾーンとし、炉体の最上部を未燃分を完全燃焼させる完全燃焼ゾーンとしたことを特徴とする」ものである。
しかし、このように局所高温場を形成すると、一次空気量を減らしたことにより減少したNOxが、局所高温場で、サーマルNOxとして排出され、結果的にNOx排出量が増えるという問題がある。
また、特許文献1には、一次空気量を減らしたことによる未燃分の発生量の増加に対して、二次空気吹込み位置よりもさらに上方で三次空気を吹き込んで未燃分を完全燃焼するとしている(特許文献1の請求項6参照)が、このように三次空気を吹き込むのは吹込み空気量が全体として増えるため好ましくない。
炉内温度を850℃以上870℃以下に制御し、
前記一次空気と前記二次空気の合計空気比が1.3で、かつ前記一次空気の空気比が1.1以上に設定されており、
前記二次空気を、円筒状の炉壁に配置された2本の空気供給ノズルによって40m/s〜80m/sの流速で吹き込むと共に、
前記二次空気の吹込み位置の水平面における炉の中心と前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の交点とを結ぶ直線と、前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の成す角度が等しく、かつ前記各空気供給ノズルの吹込み先端側が離れる方向をプラスとして当該角度が0°〜30°となるように吹込み方向を設定したことを特徴とするものである。
炉内温度を計測する温度測定器と、該温度測定器の測定値に基づいて炉内温度を850℃以上870℃以下に制御する炉内温度制御装置を有し、
前記一次空気供給部と前記二次空気供給部の供給する合計空気比が1.3で、かつ前記一次空気供給部の供給する空気比が1.1以上に設定されており、
前記二次空気供給部を円筒状の炉壁に配置された2本の空気供給ノズルによって構成し、該2本の空気供給ノズルから吹き込む二次空気の流速を40m/s〜80m/sに設定すると共に、
前記二次空気の吹込み位置の水平面における炉の中心と前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の交点とを結ぶ直線と、前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の成す角度が等しく、かつ前記各空気供給ノズルの吹込み先端側が離れる方向をプラスとして当該角度が0°〜30°となるように吹込み方向を設定したことを特徴とするものである。
前記二次空気の吹込み位置の水平面における炉の中心と前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の交点とを結ぶ直線と、前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の成す角度が等しく、かつ当該角度が0°〜30°となるように吹込み方向を設定したことにより、N20の分解及び未燃分の燃焼、さらにはNOxの排出量削減を同時に実現できる。
なお、炉体3の上部から排出される燃焼ガスは、空気予熱器15を通過して、その後、排ガス処理がされた後、図示しない煙突から大気中に排出される。
以下、各構成を詳細に説明する。
炉体3の下部には、流動用空気(一次空気)が供給され、複数の空気吐出口から上方に向けて流動用空気が吐出される。
炉底には流動砂17が入っており、一次空気を吹き込むことで、流動砂17が踊りだして流動砂17による撹拌・破砕効果によって、汚泥の燃焼を促進する。
投入口5は、投入された汚泥ケーキを回転軸によって破砕して散布ケーキとして炉体3内に投入する。
一次空気供給部7は、炉体3の下部に設けられて流動用空気としての一次空気を供給する。
一次空気の供給量は、汚泥を燃焼させるために必要な理論空気量を基準として、空気比が1.1以上となるように設定されている。一次空気の供給量をこのように設定したのは、炉体下部の流動砂17の流動を均一にするためである。
なお、本発明では、一次空気と二次空気の合計空気比を1.3に設定している。
二次空気供給部9から供給される二次空気の供給量は、空気比で0.1から0.2の範囲に設定されている。好ましくは、二次空気の空気比が0.2となるように設定する。二次空気の供給量を空気比で0.1未満とすると、二次空気吹込の効果が得られない。
また、空気供給ノズル19から吹き込む二次空気の流速を40m/s〜80m/s、好ましくは60m/sに設定している。
また、吹込み角度θを0°〜30°に設定し、かつ流速を上記のように設定した理由は以下の通りである。
2本のノズルの吹込み角度θを上記のように設定し、かつ二次空気を上記の流速で炉内に吹き込むことで、吹き込まれた二次空気は、図3に示すように、炉壁に沿って炉内を流れ、最後に中央部に集まる左右対称の二つの空気流れとなる。
炉内では、この二つの空気流れによって、炉底側から上昇する燃焼ガス及び未燃分と二次空気が撹枠・混合され、局所高温場をつくることなく、良好な燃焼状態となる。
炉内温度測定器11は、炉体内における砂層下部温度を測定する。
炉内温度測定器11で測定された測定データは、炉内温度制御装置13に入力される。
炉内温度制御装置13は、炉内温度測定器11の測定値に基づいて炉内温度を850℃以上870℃以下に制御する。炉内温度をこの範囲に設定しているのは、サーマルNOxの発生を抑制しつつN20の分解を行うためである。
このような機能を有する炉内温度制御装置13は、流動ブロワ21から空気予熱器15に供給されて予熱された空気の供給を受けると共に冷却ブロワ23からの外気の供給を受ける空気冷却器25と、炉内温度測定器11の測定値に基づいて冷却ブロワ23の制御を行う制御部27とを備えて構成されている。
冷却ブロワ23の稼働を制御することで、炉内に吹き込む一次空気の温度を調整して炉内温度を制御する。具体的には、砂層内に設置した炉内温度測定器11の測定値を制御部27に入力し、制御部では冷却ブロワ23の風量を増減させることにより、一次空気の温度を調整することで、炉内温度(具体的には炉内のフリーボードの温度)を850℃〜870℃に制御する。
投入口5から汚泥ケーキを投入すると共に、一次空気供給部7から一次空気を供給し、二次空気供給部9から二次空気を供給する。
炉内で汚泥が燃焼して燃焼ガスが炉体3の上部から排出される。空気予熱器15では、燃焼ガスと流動ブロワ21から供給される空気とが熱交換することで前記空気が予熱される。
予熱された空気は、空気冷却器25で冷却ブロワ23から供給された外気と混合され、所定温度に調整されて一次空気として一次空気供給部7から炉内に供給される。
また、二次空気は、2つの空気供給ノズル19から炉内に吹き込まれ、前述したように図3で示したように左右対称の二つの空気流れとなる。
その一方で、炉内下部では未燃分およびN20の発生量が多くなるが、これらの未燃分およびN20は炉内を上昇して二次空気が供給される部位において、二次空気と撹拌・混合される。これによって、良好な燃焼状態が生成されて、N20が分解されると共に未燃分が完全燃焼する。このとき、炉内温度が850℃〜870℃に制御されているので、サーマルNOxの発生も抑制され、N20の分解とNOx発生抑制の両方を実現している。
結果を表1に示す
図4は二次燃焼空気の吹込み速度が60m/sの場合において、吹込み角度を変えたときの燃焼状態を示している。図4における吹込み方向の角度は、吹込み先端側が離れる方向を+(プラス)とし、その逆を−(マイナス)としている。
また、吹込み角度が0°の場合をみると、「流速分布」が吹き込み位置の下流側で炉の中心部に流速の早い領域が存在する分布となっており、また「温度分布」が炉の上部に均一に高温の領域が存在する分布となっている。これによって、ほぼ良好な燃焼状態が生成されていると推察される。
さらに、吹込み角度が+30°の場合、「流速分布」を見るとガスが炉壁に沿って流れており、また「温度分布」を見ると炉の上部に均一に高温の領域が存在する分布となっている。これによって、燃焼状態は許容範囲の状態が生成されていると推察される。
また、吹込み角度が−15°の場合をみると、−30°の場合と同様にガスが中心に向かってながれており、また「温度分布」についても−30°の場合と同様に炉の中心部に低温の領域が存在し、さらに炉の上部に低温の領域が存在する分布となっている。これによって、不安定な燃焼状態が生成されていると推察される。
さらに、吹込み角度が+30°片側の場合、「流速分布」の水平断面を見るとガスが片側の炉壁に沿ってながれており、また「温度分布」を見ると、炉の片側に低温の領域が存在し、この低温領域が炉の上部にまで至るという分布となっている。これによって、不安定な燃焼状態が生成されていると推察される。
図5を見ると、吹込み速度が40m/sの場合において、「流速分布」が上向き流れだけでなく、水平方向への流れも見られ、また「温度分布」が炉の中心部に高温の領域が存在する分布となっている。これによって、燃焼状態は許容範囲の状態が生成されていると推察される。
他方、二次空気の吹込みがない、吹込み速度が0m/sの場合をみると、「流速分布」が上向き流れのみとなっており、また「温度分布」が炉の中心部の広い範囲で低温の領域が存在する分布となっている。これによって、不安定な燃焼状態が生成されていると推察される。
3 炉体
5 投入口
7 一次空気供給部
9 二次空気供給部
11 炉内温度測定器
13 炉内温度制御装置
15 空気予熱器
17 流動砂
19 空気供給ノズル
21 流動ブロワ
23 冷却ブロワ
25 空気冷却器
27 制御部
Claims (4)
- 炉体の下部に一次空気を供給し、該一次空気の供給部より上方に二次空気を供給しながら汚泥を燃焼する流動床式汚泥焼却炉における汚泥燃焼方法であって、
炉内温度を850℃以上870℃以下に制御し、
前記一次空気と前記二次空気の合計空気比が1.3で、かつ前記一次空気の空気比が1.1以上に設定されており、
前記二次空気を、円筒状の炉壁に配置された2本の空気供給ノズルによって40m/s〜80m/sの流速で吹き込むと共に、
前記二次空気の吹込み位置の水平面における炉の中心と前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の交点とを結ぶ直線と、前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の成す角度が等しく、かつ前記各空気供給ノズルの吹込み先端側が離れる方向をプラスとして当該角度が0°〜30°となるように吹込み方向を設定したことを特徴とする流動床式汚泥焼却炉における汚泥燃焼方法。 - 炉内に供給する一次空気の温度を調整することで、炉内温度を調整することを特徴とする請求項1記載の流動床式汚泥焼却炉における汚泥燃焼方法。
- 炉体の下部に流動用の一次空気を供給する一次空気供給部と、該一次空気供給部より上方に設けられて二次空気を供給する二次空気供給部を備えた流動床式汚泥焼却炉であって、
炉内温度を計測する温度測定器と、該温度測定器の測定値に基づいて炉内温度を850℃以上870℃以下に制御する炉内温度制御装置を有し、
前記一次空気供給部と前記二次空気供給部の供給する合計空気比が1.3で、かつ前記一次空気供給部の供給する空気比が1.1以上に設定されており、
前記二次空気供給部を円筒状の炉壁に配置された2本の空気供給ノズルによって構成し、該2本の空気供給ノズルから吹き込む二次空気の流速を40m/s〜80m/sに設定すると共に、
前記二次空気の吹込み位置の水平面における炉の中心と前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の交点とを結ぶ直線と、前記各空気供給ノズルの吹込み方向の延長線の成す角度が等しく、かつ前記各空気供給ノズルの吹込み先端側が離れる方向をプラスとして当該角度が0°〜30°となるように吹込み方向を設定したことを特徴とする流動床式汚泥焼却炉。 - 前記炉内温度制御装置は、前記温度測定器の測定値に基づいて、炉内に供給する一次空気の温度を調整することで、炉内温度を調整することを特徴とする請求項3記載の流動床式汚泥焼却炉。
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