JP6917328B2 - セメントキルン用バーナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、セメントキルン用バーナ装置に関し、特に可燃性固形廃棄物をセメントクリンカ焼成での補助燃料として活用するセメントキルン用バーナ装置に関する。また、本発明は、このようなセメントキルン用バーナ装置の運転方法に関する。
廃プラスチック、木屑、自動車シュレッダーダスト(ASR:automobile shredder residue)等の可燃性固形廃棄物は、焼成用燃料として利用可能な程度の熱量を有している。そこで、セメントクリンカの焼成に用いるロータリーキルンにおいて、主燃料である微粉炭の代替燃料として、可燃性固形廃棄物の有効利用が推進されている。以下では、セメントクリンカの焼成に用いるロータリーキルンを、「セメントキルン」と称する。
従来、セメントキルンでの可燃性固形廃棄物の燃料リサイクルは、セメントクリンカの品質への影響が小さい、窯尻部に設置されている仮焼炉での利用が進められていた。しかし、仮焼炉での使用量が飽和に近づいたため、窯前部に設置されている主バーナでの利用技術が求められている。
しかしながら、セメントキルンの主バーナにおいて、可燃性固形廃棄物を代替燃料として利用した場合、主バーナから噴出された可燃性固形廃棄物がセメントキルン内のセメントクリンカ上に着地しても燃焼を継続する現象(以下、「着地燃焼」と称する。)が生じる場合がある。かかる着地燃焼が生じると、可燃性固形廃棄物の着地点周辺のセメントクリンカが還元焼成され、セメントクリンカの白色化やクリンカリング反応の異常を生じさせる。
可燃性固形廃棄物を着地燃焼させないためには、セメントキルン内での可燃性固形廃棄物の浮遊状態を長時間継続させて、浮遊状態のまま当該可燃性固形廃棄物の燃焼を完了させるか、可燃性固形廃棄物をセメントキルン内の遠方に着地させて、クリンカリングの主反応域にクリンカ原料が達する前に当該可燃性固形廃棄物の燃焼を完了させる技術が求められる。
例えば、下記特許文献1には、可燃性固形廃棄物の大部分を浮遊状態で燃焼させることができる技術として、主燃料である微粉炭を噴出させるための主燃料バーナと可燃性固形廃棄物を吹き込む補助バーナとが設けられたセメントキルンにおいて、主燃料バーナからの一次空気がセメントキルン本体の窯前側からの軸線方向視において一方向に旋回するように供給されるとともに、かかる主燃料バーナの外方であって、上記軸線を通る鉛直線に対して主燃料バーナの頂部(0°)から軸線廻りに上記一方向と逆方向へ55°までの範囲内に補助バーナを配置したセメントキルンが開示されている。
特開2013−237571号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、可燃性固形廃棄物を浮遊状態にする効果が充分でなく、適用可能な可燃性固形廃棄物が廃プラスチック等のかさ比重が小さいものに限られる。また、廃プラスチックであっても、外径が15mmを超えるサイズのものを浮遊状態のままで完全に燃焼させることは困難であるという課題を有する。つまり、特許文献1の方法で利用できる可燃性固形廃棄物は、かさ比重や大きさの面において大きな制約を有している。
本発明は、上記の課題に鑑み、セメントキルン内での可燃性固形廃棄物の浮遊状態を強力に形成すると共に、浮遊状態にある可燃性固形廃棄物の着火が生じやすいセメントキルン用バーナ装置及びその運転方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、セメントキルン内での可燃性固形廃棄物の浮遊状態を強力に形成すると共に、浮遊状態にある可燃性固形廃棄物の着火が生じやすい主バーナからの可燃性固形廃棄物の吹き込み方法について鋭意検討した結果、主バーナからの吹出し口を、燃料流(微粉炭を含んだ空気流)1流路の他に、一次空気の流路を4つ備えた5チャンネル式バーナとすることで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明に係るセメントキルン用バーナ装置は、
複数の同心円筒状部材に仕切られた複数の流路を備えるセメントキルン用バーナ装置であって、
固体粉末燃料流の旋回手段を備える固体粉末燃料用流路と、
前記固体粉末燃料用流路に隣接して外側に配置され、空気流の旋回手段を備える第一の空気流路(第一の旋回外流)と、
前記第一の空気流路に隣接して外側に配置され、空気流の直進手段を備える第二の空気流路(第一の直進外流)と、
前記第二の空気流路に隣接して外側に配置され、空気流の直進手段を備える第三の空気流路(第二の直進外流)と、
前記固体粉末燃料用流路に隣接して内側に配置され、空気流の旋回手段を備える第四の空気流路(第一の旋回内流)と、
前記第四の空気流路の内側に配置された可燃性固形廃棄物用流路を備えることを特徴とする。
そして、固体粉末燃料用流路、第一の空気流路、第二の空気流路、第三の空気流路、第四の空気流路、及び可燃性固形廃棄物用流路の各々は、セメントキルン用バーナ装置の先端面まで延設される。
すなわち、上記構成のセメントキルン用バーナ装置は、固体粉末燃料用流路を挟んで外側に3つの空気流路(第一旋回外流、第一直進外流、第二直進外流)と、内側に1つの空気流路(第一旋回内流)を備える。これら4つの空気流路に通流される空気量を独立して調整することで、使用する固体粉末燃料及び可燃性固形廃棄物の種類等に応じて最適な火炎を得るための調整を容易に行うことができる。
好ましくは、前記第三の空気流路は、対応する前記同心円筒状部材の軸心を含み当該同心円筒状部材の軸方向に平行な平面よりも鉛直下方側のみから空気流を噴出する構成である。更に好ましくは、前記第三の空気流路は、対応する前記同心円筒状部材の軸方向から見てU字形状に形成された領域から空気流を噴出する構成である。
かかる構成によれば、上記4つの空気流路の内の最も外側において、鉛直下方位置にU字形状(例えば半円形状)に配置された前記第三の空気流路(第二直進外流)から噴出させるU管状(例えば半円管状)の一次空気の直進外流によって、バーナ火炎内に上昇気流が形成され、大きな可燃性固形廃棄物であっても浮遊状態を長時間持続させることができる。
好ましくは、前記セメントキルン用バーナ装置は、前記可燃性固形廃棄物用流路から噴出する可燃性固形廃棄物流に直進手段を備える。
かかる構成によれば、前記可燃性固形廃棄物流と、各流路から噴出する一次空気、更にクリンカクーラからセメントキルン内に供給される高温空気である二次空気との混合を十分に行うことが可能となる。これにより、可燃性固形廃棄物が浮遊する周辺に十分な量の酸素を供給しつつ、速やかに高温の環境にすることによって、可燃性固形廃棄物の燃焼を早期に完了させることができる。
前記セメントキルン用バーナ装置において、前記固体粉末燃料用流路からのバーナ先端における固体粉末燃料流の旋回角度を、3°〜15°とすることができる。また、前記第一の空気流路からのバーナ先端における空気流の旋回角度、及び前記第四の空気流路からのバーナ先端における空気流の旋回角度を、それぞれ30°〜50°とすることができる。
また、本発明は、前記セメントキルン用バーナ装置の運転方法であって、前記第三の空気流路(第二直進外流)におけるバーナ先端における風速が、130m/秒〜260m/秒であり、前記第三の空気流路からの風量(一次空気量)が、50m3N/分〜100m3N/分であることを特徴とする。
前記セメントキルン用バーナ装置の運転方法において、前記第一の空気流路(第一旋回外流)におけるバーナ先端における風速を90m/秒〜150m/秒とし、前記第一の空気流路からの風量(一次空気量)を10m3N/分〜40m3N/分としても構わない。また、前記第四の空気流路(第一旋回内流)におけるバーナ先端における風速を、80m/秒〜160m/秒とし、前記第四の空気流路からの風量(一次空気量)を、10m3N/分〜40m3N/分としても構わない。更に、前記固体粉末燃料用流路のバーナ先端における固体粉末燃料流の風速、及び、前記可燃性固形廃棄物流路のバーナ先端における固体粉末燃料流の風速を、共に30m/秒〜70m/秒としても構わない。
前記セメントキルン用バーナ装置の運転方法において、前記第三の空気流路(第二直進外流)の、バーナ先端における空気流のバーナ先端風速(m/秒)と一次空気量(m3N/分))の積が、その他の空気流路の、バーナ先端における空気流のバーナ先端風速(m/秒)と一次空気量(m3N/分))の積よりも大きくするものとしても構わない。
また、前記セメントキルン用バーナ装置の運転方法において、前記可燃性固形廃棄物用流路から噴出される可燃性固形廃棄物の粒径を30mm以下とすることができる。
本発明のセメントキルン用バーナ装置、及び本発明のセメントキルン用バーナ装置の運転方法によれば、廃プラスチック片などの可燃性固形廃棄物を、着地燃焼させることなく代替燃料として有効利用することができる。
本発明のセメントキルン用バーナ装置の先端部分の一実施形態を模式的に示す図面である。 図1に示すセメントキルン用バーナ装置を含むセメントキルン用バーナシステムの構造の一例を模式的に示す図面である。 図1のセメントキルン用バーナ装置の旋回羽根の旋回角度を説明するための模式的な図面である。 本発明のセメントキルン用バーナ装置及びセメントキルン用バーナ装置の運転方法による、可燃性固形廃棄物が着地燃料する割合(キルン内落下率)に係る燃焼シミュレーション結果を示すグラフである。
以下、本発明のセメントキルン用バーナ装置及びその運転方法の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の図面は模式的に示されたものであり、図面上の寸法比は実際の寸法比と一致していない。
図1は、本発明のセメントキルン用バーナ装置の一実施形態の先端部分を模式的に示す図面である。図1において、(a)がバーナ装置の横断面図であり、(b)が同縦断面図である。なお、横断面図とは、セメントキルン用バーナ装置を、同装置の軸方向に直交する平面で切断した断面図を指し、縦断面図とは、セメントキルン用バーナ装置を、同装置の軸方向に平行な平面で切断した断面図を指す。
なお、図1においては、セメントキルン用バーナ装置の軸方向(すなわち、空気流方向)をY方向とし、鉛直方向をZ方向とし、YZ平面に直交する方向をX方向として座標系を設定している。以下では、このXYZ座標系を用いて適宜説明する。
図1に示されるように、セメントキルン用バーナ装置1は、同心円状に複数の流路を備え、固体粉末燃料用流路2と、固体粉末燃料用流路2に隣接して外側に配置された第一の空気流路11と、第一の空気流路11に隣接して外側に配置された第二の空気流路12と、第二の空気流路12に隣接して最も外側に配置された第三の空気流路13と、固体粉末燃料用流路2に隣接して内側に配置された第四の空気流路14の合計5つの流路を備える。第四の空気流路14の内側には、油用流路7、可燃性固形廃棄物用流路8等が配置される。
本実施形態では、第三の空気流路13は、対応する円筒状部材の軸心を含み当該同心円筒状部材の軸方向に平行な平面(図1内のZ1−Z1平面)よりも鉛直下方側(−Z方向側)のみから空気流を噴出する噴出口である。
固体粉末燃料用流路2及び第一〜第四の空気流路11〜14のうち、固体粉末燃料用流路2、第一の空気流路11、及び第四の空気流路14には、各々旋回手段としての旋回羽根(2a,11a,14a)が、各流路のバーナ先端部に固定されている。すなわち、第一の空気流路11から噴霧される空気流は、固体粉末燃料用流路2から噴霧される固体粉末燃料流に対して外側に位置する旋回空気流(以下、適宜「第一の旋回外流」という。)を形成する。第四の空気流路14から噴霧される空気流は、固体粉末燃料用流路2から噴霧される固体粉末燃料流に対して内側に位置する旋回空気流(以下、適宜「第一の旋回内流」という。)を形成する。なお、各旋回羽根(2a,11a,14a)は、セメントキルン用バーナ装置1の運転開始前の時点において、旋回角度が調整可能に構成されている。
一方、第二の空気流路12及び第三の空気流路13には、旋回手段が設けられていない。すなわち、第二の空気流路12から噴霧される空気流は、固体粉末燃料用流路2から噴霧される固体粉末燃料流に対して外側に位置する直進空気流(以下、適宜「第一の直進外流」という。)を形成し、同様に、第三の空気流路13から噴霧される空気流は、固体粉末燃料流に対して外側に位置する直進空気流(以下、適宜「第二の直進外流」という。)を形成する。
図2は、図1に示すセメントキルン用バーナ装置1を含むセメントキルン用バーナシステムの構造の一例を模式的に示す図面である。図2に図示されたセメントキルン用バーナシステム20は、制御のし易さを重視して構成したものであって、5基の送風ファンF1〜F5を備える。
微粉炭搬送配管22に供給された微粉炭Cは、送風ファンF1によって形成された空気流により、固体粉末燃料用流路2に供給される。送風ファンF2から供給される空気は、燃焼用空気Aとして、空気配管(30,31,34)を介してセメントキルン用バーナ装置1の第一の空気流路11及び第四の空気流路14へ供給される。送風ファンF3から供給される空気は、燃焼用空気Aとして、空気配管32を介してセメントキルン用バーナ装置1の第二の空気流路12へ供給される。送風ファンF4からの空気は、燃焼用空気Aとして、空気配管33を介してセメントキルン用バーナ装置1の第三の空気流路13へ供給される。そして、可燃性固形廃棄物搬送配管28に供給された可燃性固形廃棄物RFは、送風ファンF5によって形成された空気流により、可燃性固形廃棄物用流路8に供給される。
図2に図示されたセメントキルン用バーナシステム20は、空気配管(31,34)を通流する空気量を制御するために、それぞれ可変ダンパ(B1,B2)を備える。前記送風ファン(F1〜F5)と、これらの可変バンパ(B1,B2)により、各流路(2,8,11,12,13,14)を通流する空気量を独立して制御することができる。これによって、微粉炭、石油コークス、又はその他固形燃料等の固体粉末燃料の種類、廃プラスチック、肉骨粉又はバイオマス等の可燃性固形廃棄物の種類、並びに種々のセメントキルンの操業環境に対応した最適な火炎を得るための調整を容易に行うことができる。
なお、本明細書において、「バイオマス」とは、燃料等として利用可能な生物由来の有機質資源(但し、化石燃料を除く。)であり、例えば、廃畳の粉砕物、建設廃木材の粉砕物、木粉及びおが屑等が該当する。
また、油用流路7から重油等を供給してセメントキルン用バーナ装置1の着火時に利用したり、更には、微粉炭以外の固体燃料又は重油等の液体燃料を供給して、定常運転において微粉炭と混焼することもできる(不図示)。
すなわち、図1及び図2に一実施形態を示す本発明のセメントキルン用バーナ装置1(及びシステム20)は、固体粉末燃料用流路2の他に4つの空気流路(11,12,13,14)を備えた5チャンネル式のバーナ装置であり、セメントキルン用バーナ装置1の使用時には、5基の送気ファンF1〜F5を運転し、2基の可変ダンパB1及びB2を制御して各流路(2,8,11,12,13,14)を流れる空気量が制御可能に構成される。更に、これに加え、セメントキルン用バーナ装置1の使用前には、固体粉末燃料用流路2と、第一の空気流路11と、第四の空気流路14に設けられた旋回羽根(2a,11a,14a)の旋回角度も調整可能であるため、必要に応じた多様な制御が可能である。
本発明者らは、セメントキルン用バーナ装置1の燃焼シミュレーション(ソフトウェア:ANSYS JAPAN社製、FLUENT)によって、火炎内の上昇気流の形成の程度、バーナ火炎内への二次空気の取込みの程度、火炎形状とセメントキルン内の温度分布、セメントキルン運転データ(窯尻におけるNOx濃度、O2濃度、窯尻温度等)の解析等を行うことにより、制御因子を最適化するための基本的な限定領域を見出した。
下記表1は、以下のバーナ燃焼条件において見出した基本的限定領域の一例である。
<バーナ燃焼条件>
微粉炭Cの燃焼量:15t/時間
可燃性固形廃棄物RFとしての廃プラスチック(軟質プラスチック)処理量:1.5t/時間
可燃性固形廃棄物RFとしての廃プラスチックの寸法:φ20mm×T0.13mmの円形シート状
二次空気量と温度:144000Nm3/時間、750℃
対理論燃焼空気量一次空気比(A0比)の総和:11体積%
セメントキルン用バーナ装置1のバーナ先端の直径:650mm
Figure 0006917328
表1には、基本的限定領域として、上記固体粉末燃料用流路2、(第一の旋回外流を形成する)第一の空気流路11、(第一の直進外流を形成する)第二の空気流路12、(第二の直進外流を形成する)第三の空気流路13、(第一の旋回内流を形成する)第四の空気流路14、及び可燃性固形廃棄物流路8の、バーナ先端風速(m/秒)及び一次空気量(m3N/分)、並びに旋回羽根(2a,11a,14a)の旋回角度が列挙されている。
上記各項目の中では、第二の直進外流のバーナ先端風速(m/秒)及び一次空気量(m3N/分)が特に重要である。なぜなら、上述したように、第三の空気流路13は、同心円筒状部材の鉛直方向に係る中央位置よりも鉛直下方側のみから空気流を噴出する噴出口であるため、第三の空気流路13から噴出される空気流(第二の直進外流)が上昇流を形成して、可燃性固形廃棄物RFの浮遊状態が維持されるからである。また、この第二の直進外流による上昇流によって、高温ガスである二次空気を火炎中に取り込んで可燃性固形廃棄物RFの昇温が迅速化されるからである。しかしながら、第二の直進外流による上昇流が過剰になると、バーナ火炎の短炎化が生じてしまうために、可燃性固形廃棄物RFの燃焼が浮遊状態中に完了しない場合が生じ得る。
かかる事情に鑑み、第三の空気流路13から供給される空気流(第二の直進外流)のバーナ先端風速は、130m/秒〜260m/秒であるのが好ましい。この空気流は、固体粉末燃料流、可燃性固形廃棄物流、及び他の全ての一次空気流の中で、最も大きな風速である。また、第二の直進外流の一次空気量(m3N/分)は、この値とバーナ先端風速(m/秒)の積(バーナ先端風速(m/秒)×一次空気量(m3N/分))が、固体粉末燃料流、可燃性固形廃棄物流、及び他の全ての一次空気流の中で、最も大きくなる空気量である。
第三の空気流路13から供給される空気流において、前記積の値、すなわちバーナ先端風速(m/秒)×一次空気量(m3N/分)の値が小さい場合、火炎内の上昇流の形成が不充分になる場合がある。また、バーナ先端風速が260(m/秒)を超える空気流では、火炎内の上昇流の形成が過剰になり、バーナ火炎の短炎化が生じてしまうおそれがある。
次に重要となる基本的限定領域は、上記固体粉末燃料用流路2、(第一の旋回外流を形成する)第一の空気流路11、及び(第一の旋回内流を形成する)第四の空気流路14の旋回角度(°)である。その理由は、旋回羽根(2a,11a,14a)によって発生する旋回流により、バーナ装置の着火の安定性、及び保炎機能を持たせる内部循環が形成されるからである。更に、旋回羽根(2a,11a,14a)の旋回角度は、通常、バーナ装置が運転中は固定されてしまい、運転中に最適化の調整ができないからである。
なお、旋回羽根の旋回角度とは、例えば、図1に示す旋回羽根が固定されている円筒状部材を図3に示すように平面上に展開した場合に、セメントキルン用バーナ装置1の軸線9と、旋回羽根の中心線10とのなす角θであり、バーナ先端における固体粉末燃料流又は一次空気流の旋回角度に一致する。図3では、例示的に、固体粉末燃料用流路2の旋回羽根2aについて図示されており、固体粉末燃料用流路2の先端位置2bにおける微粉炭C(固体粉末燃料)の噴出方向が、円筒状部材の軸線9の方向(図面上Y方向)に対して角度θだけ旋回されている。他の旋回羽根(11a,14a)における旋回角度についても同様に定義される。
上記固体粉末燃料用流路2の旋回羽根2aによる固体粉末燃料流の旋回角度は、好ましくは3°〜15°に設定される。この旋回角度が3°未満の場合、固体粉末燃料用流路2から噴出する固体粉末燃料(微粉炭C)と、固体粉末燃料用流路2、空気流路(11〜14)、及び火炎内に取り込まれた上記二次空気との混合が不充分となり、かかる固体粉末燃料によって形成される火炎の温度が低下すると共に過剰に長炎化してしまい、得られるセメントクリンカの品質が低下してしまうおそれがある。
また、固体粉末燃料流の旋回角度が15°を超える場合、上記その他空気流との混合が激しくなりすぎて、火炎の形状の制御が困難になり、得られるセメントクリンカの品質が低下してしまうおそれがある。
旋回羽根11aによる第一の旋回外流(第一の空気流路11からの空気流)の旋回角度、及び、旋回羽根14aによる第一の旋回内流(第四の空気流路14からの空気流)の旋回角度は、好ましくはそれぞれ30°〜50°に設定される。これらの旋回角度が30°未満の場合、固体粉末燃料用流路2から噴出する固体粉末燃料と、第一の旋回外流及び/又は第一の旋回内流との混合が不充分となり、得られるセメントクリンカの品質が低下してしまうと共に排ガスのNOxを十分に低くすることが困難な場合がある。一方で、上記旋回角度が50°を超える場合、固体粉末燃料流との混合が激しくなりすぎて、火炎の形状の制御が困難になり、得られるセメントクリンカの品質が低下してしまう場合がある。
各流路(2,8,11、12,13,14)の一次空気量(m3N/分)は、火炎内の還元領域を安定的に形成するという観点からは、可能な限り低減するのが好ましいが、過剰に低減すると火炎の形状が変化して高温域がセメントキルン内部に移行することによって、得られるセメントクリンカの品質が低下してしまう。上記表1に示した例では、固体粉末燃料用流路2からの空気流、第一の直進外流(第二の空気流路12からの空気流)、及び第二の直進外流(第三の空気流路13からの空気流)の量(一次空気量)が、他の空気流よりも大きく設定されている。これは、高温の二次空気を火炎内に円滑に取り込み、固体粉末燃料C及び可燃性固形廃棄物RFを急速に高温化することで、揮発分の放出を促して、火炎の還元状態を安定化するためである。
以上のように、本発明によれば、セメントキルン用バーナ装置1の運転前に、固体粉末燃料用流路2、第一の空気流路11(第一の旋回外流)、及び第四の空気流路14(第一の旋回内流)の各旋回羽根(2a,11a,14a)の旋回角度を表1に示した範囲内に設定し、更に、セメントキルン用バーナ装置1の運転時に、送気ファン(F1,F2)による空気配管(22,30)を流れる一次空気量の調整、並びに可変ダンパ(B1,B2)による空気配管(31,34)を流れる一次空気量の調整を行って各流路(2,11,12,13,14)のバーナ先端風速及び一次空気量を表1に示した範囲内に設定することにより、セメントキルン用バーナ装置1の運転条件を短期間に最適化することができる。
次に、第二の直進外流(第三の空気流路13からの空気流)のバーナ先端風速(m/秒)を変化させた場合の、可燃性固形廃棄物RF(ここでは軟質プラスチック)が着地燃焼する割合(キルン内落下率)に係る燃焼シミュレーションについて説明する。
具体的には、以下のバーナ燃焼条件を固定して、第二の直進外流のバーナ先端風速(m/秒)を変化させた場合に、種々の大きさを有する軟質プラスチックの燃え切りが、火炎中又はキルン内壁のどちらで生じるかをシミュレーション(ソフトウェア:ANSYS JAPAN社製、FLUENT)によって検証した。
<バーナ燃焼条件>
微粉炭Cの燃焼量:15t/時間
可燃性固形廃棄物RFとしての廃プラスチック(軟質プラスチック)処理量:1.5t/時間
可燃性固形廃棄物RFとしての廃プラスチックの寸法:厚さ0.13mmシートを、直径15、20、25、30mmに打ち抜いた円形シート状
固体粉末燃料流のバーナ先端風速と一次空気量:40m/秒、75m3N/分
第一の旋回外流のバーナ先端風速と一次空気量:120m/秒、25m3N/分
第一の直進外流のバーナ先端風速と一次空気量:140m/秒、95m3N/分
第一の旋回内流のバーナ先端風速と一次空気量:120m/秒、25m3N/分
可燃性固形廃棄物流のバーナ先端風速と一次空気量(m3N/分):40m/秒、75m3N/分
二次空気量と温度:144000Nm3/時間、750℃
対理論燃焼空気量一次空気比(A0比)の総和:11体積%
セメントキルン用バーナ装置1のバーナ先端の直径:650mm
このシミュレーション結果を、下記表2及び図4に示す。なお、第二の直進外流のバーナ先端風速が300(m/秒)を超える場合には、火炎形状が不安定となりシミュレーション結果が得られなかった。
Figure 0006917328
表2及び図4の結果によれば、本発明のセメントキルン用バーナ装置、及びセメントキルン用バーナ装置の運転方法によれば、粒径30mmまでの可燃性固形廃棄物RFを、着地燃焼させることなく、バーナ火炎内で有効に燃え切らせることができることが確認される。
[別実施形態]
図2の例では、セメントキルン用バーナシステム20が、5基の送風ファン(F1〜F5)と、2基の可変バンパ(B1,B2)を備える場合を例示しているが、この態様は一例であり、本発明をかかる構成に限定する趣旨ではない。例えば、図2の例では、第一の空気流路11に供給するための燃焼用空気Aと、第四の空気流路14に供給するための燃焼用空気Aとが、共通の送風ファンF2によって生成されているが、これらを別々の送風ファンから供給された空気流とすることも可能である。反対に、第二の空気流路12と第三の空気流路13とに空気流を導くための送風ファン(F3,F4)を共通化しても構わない。
1 : セメントキルン用バーナ装置
2 : 固体粉末燃料用流路
2a : 固体粉末燃料用流路に設けられた旋回羽根
2b : 固体粉末燃料用流路の先端位置
7 : 油用流路
8 : 可燃性固形廃棄物用流路
9 : 軸線
11 : 第一の空気流路
11a : 第一の空気流路に設けられた旋回羽根
12 : 第二の空気流路
13 : 第三の空気流路
14 : 第四の空気流路
14a : 第四の空気流路に設けられた旋回羽根
20 : セメントキルン用バーナシステム
22 : 微粉炭搬送配管
28 : 可燃性固形廃棄物搬送配管
30,31,32,33,34 : 空気配管
A : 燃焼用空気
C : 微粉炭
F1,F2,F3,F4,F5 : 送風ファン
RF : 可燃性固形廃棄物

Claims (4)

  1. 複数の同心円筒状部材に仕切られた複数の流路を備えるセメントキルン用バーナ装置であって、
    固体粉末燃料流の旋回手段を備える固体粉末燃料用流路と、
    前記固体粉末燃料用流路に隣接して外側に配置され、空気流の旋回手段を備える第一の空気流路と、
    前記第一の空気流路に隣接して外側に配置され、空気流の直進手段を備える第二の空気流路と、
    前記第二の空気流路に隣接して外側に配置され、空気流の直進手段を備える第三の空気流路と、
    前記固体粉末燃料用流路に隣接して内側に配置され、空気流の旋回手段を備える第四の空気流路と、
    前記第四の空気流路の内側に配置された可燃性固形廃棄物用流路を備え
    前記第三の空気流路は、対応する前記同心円筒状部材の軸心を含み当該同心円筒状部材の軸方向に平行な平面よりも鉛直下方側のみから空気流を噴出することを特徴とするセメントキルン用バーナ装置。
  2. 前記第三の空気流路は、対応する前記同心円筒状部材の軸方向から見てU字形状に形成された領域から空気流を噴出することを特徴とする、請求項に記載のセメントキルン用バーナ装置。
  3. 前記固体粉末燃料用流路からのバーナ先端における固体粉末燃料流の旋回角度が、3°〜15°であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセメントキルン用バーナ装置。
  4. 前記第一の空気流路からのバーナ先端における空気流の旋回角度、及び前記第四の空気流路からのバーナ先端における空気流の旋回角度が、30°〜50°であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメントキルン用バーナ装置。
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