JP6465375B2 - 活性炭の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は活性炭の製造方法に関する。
活性炭はnmサイズの細孔を有する炭素材である。活性炭の表面積は、活性炭1g当たりの表面積(比表面積)で表示される。一般に、活性炭の比表面積は800m/g以上とされる。
活性炭は気体の吸着性能が優れているため、脱臭、排煙浄化、空気中の有害物質の吸収(シックハウス対策)などに用いられる。また活性炭は液体中の不純物の吸着性能が優れているため、浄水器、工業製品の精製などに用いられる。また活性炭は電気二重層キャパシタの電極に用いられる。電気二重層キャパシタの、活性炭からなる電極には電解液が含浸される。電解液中の電解質イオンが活性炭の細孔に吸着することにより電荷が保持される。
電気二重層キャパシタに用いられる非水系電解液はイオン径が大きい。例えば、水系の電解液である硫酸や水酸化ナトリウムでのイオン径は約0.3nmであるのに対し、アンモニウム塩系の非水系電解液のイオン径は1.2nmと約4倍の大きさである。さらにイオンの周囲には溶媒分子が付着しているため、イオンと溶媒分子を合わせた大きさはイオン径より大きい。
活性炭の細孔が小さいとイオンの移動速度が遅くなり、電気二重層キャパシタの充放電の能力が低くなる。そのため電気二重層キャパシタに用いられる活性炭は、充放電に関しては、細孔が大きい方が好ましい。具体的には、細孔は、直径が2nm以上のメソ孔(直径2nm〜50nmの細孔)が好ましい。しかし一般に、活性炭の細孔が大きくなると比表面積は小さくなるため、電気二重層キャパシタの容量が少なくなる。
活性炭は有機物を炭化(炭素化)した後、賦活処理をして製造される。賦活処理は細孔の数を増やし、比表面積を大きくする処理である。賦活処理としてアルカリ賦活処理とガス賦活処理が知られている。
特許文献1(特開2008−98354)ではアルカリ賦活処理が用いられている。アルカリ賦活処理では、炭化物粉末と、例えば、水酸化カリウム粉末を混合し、混合物を不活性ガス中、700℃〜900℃で0.5時間〜3時間熱処理を行なう。この熱処理により、炭化物に細孔が形成される。
特許文献2(特開2008−50230)ではガス賦活処理が用いられている。ガス賦活処理では、炭化物(炭素化物)を処理室内で、例えば、700℃〜750℃で30分〜40分、水蒸気雰囲気あるいは二酸化炭素ガス雰囲気に置き、炭化物に細孔を形成する。
一般に、ガス賦活処理で形成された活性炭は、アルカリ賦活処理で形成された活性炭に比べて、細孔径が大きいが比表面積が小さい。ガス賦活処理で形成された活性炭の比表面積は1200m/g程度である。それに対して、アルカリ賦活処理で形成された活性炭は、ガス賦活処理で形成された活性炭に比べて、比表面積が大きいが細孔径が小さい。アルカリ賦活処理で形成された活性炭の比表面積は2000m/gを超えることもある。
ガス賦活処理とアルカリ賦活処理のいずれにおいても、比表面積を大きくしようとすると、ミクロ孔(直径が2nm未満の細孔)が多くなる。すなわち比表面積を大きくすることと細孔の径を大きくすることは、従来トレードオフの関係にあった。そのため従来は電気二重層キャパシタの電極に適した活性炭を製造することは難しかった。
活性炭の表面は、基本的には炭素(C−C)骨格で構成されている。しかし、完全なグラファイト結晶構造ではなく、グラファイト層の重なりにズレがあったり回転があったりする。ガス賦活処理あるいはアルカリ賦活処理を行なうと、グラファイト層の端面に酸素を含む官能基が形成される。形成される官能基としては、カルボキシル基、フェノール系水酸基、ラクトン基などが知られている。
活性炭の表面に官能基が多く存在すると、電気二重層キャパシタの容量は大きくなるが、充放電のサイクル特性が低下し、電気二重層キャパシタの信頼性が低下する。これを防ぐため、表面官能基が適量であることが必要である。表面官能基の量は、0.4mmol/g-carbon〜0.7mmol/g-carbonが適量とされる。
従来は活性炭の官能基量を調整するため、アルカリ賦活処理あるいはガス賦活処理の後、不活性ガス中あるいは還元性ガス中で熱処理を行なった。例えば特許文献3(特開2002−137911)の[0086]には「椰子ガラを主材とした有機物を常法により、炭化し賦活ガスを用い賦活処理した後、常圧下、実質的に酸素を含まない還元性ガスとしての水素ガスを活性炭体積比3倍容量毎分で通過処理しながら、温度200〜1000℃の範囲内で加熱処理を行った。加熱処理における保持時間は5分間とした」と記載されている。特許文献3に加熱処理の目的は記載されていないが、この加熱処理は活性炭の官能基量を調整するためと思われる。このような従来の方法では賦活処理とは別に熱処理が必要であり工程が長くなる。
特開2008−98354号公報 特開2008−50230号公報 特開2002−137911号公報
本発明の目的は、細孔径と比表面積が共に大きい活性炭の製造方法を実現することである。更に本発明の目的は、短い工程により官能基量が適切な活性炭の製造方法を実現することである。
(1)[薬品賦活処理→ガス賦活処理]本発明の活性炭の製造方法は、有機物を非酸化性雰囲気で加熱して炭化物を得るステップと、炭化物に賦活作用を有する薬品を混合し、不活性ガス中で加熱して薬品賦活処理を行ない、薬品賦活処理物を得るステップと、薬品賦活処理物を酸化性ガス中で加熱してガス賦活処理を行なうステップを含む。
(2)[ガス賦活処理→薬品賦活処理]本発明の活性炭の製造方法は、有機物を非酸化性雰囲気で加熱して炭化物を得るステップと、炭化物を酸化性ガス中で加熱してガス賦活処理を行ない、ガス賦活処理物を得るステップと、ガス賦活処理物に賦活作用を有する薬品を混合し、不活性ガス中で加熱して薬品賦活処理を行なうステップを含む。
(3)[薬品の種類]本発明の活性炭の製造方法において、賦活作用を有する薬品は、アルカリ剤、塩化亜鉛、リン酸のいずれか、あるいはそれらの組み合わせからなる。
(4)[アルカリ剤の種類]本発明の活性炭の製造方法において、アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムのいずれか、またはそれらの組み合わせからなる。
(5)[水酸化カリウムの量]本発明の活性炭の製造方法において、アルカリ剤は水酸化カリウムであり、水酸化カリウムの混合量が、炭化物1重量部について、0.5重量部〜5重量部である。
(6)[ガスの種類]本発明の活性炭の製造方法において、酸化性ガスは、二酸化炭素ガス、水蒸気、空気のいずれか、またはそれらの組み合わせからなる。
(7)[二酸化炭素ガスの濃度]本発明の活性炭の製造方法において、酸化性ガスは二酸化炭素ガスであり、ガス賦活処理を行なう際の二酸化炭素ガスの濃度(体積%)は20%〜100%である。
(8)[二酸化炭素ガスの処理時間]本発明の活性炭の製造方法において、二酸化炭素ガス中でのガス賦活処理時間は10分〜70分である。
(9)[薬品処理の温度]本発明の活性炭の製造方法において、薬品賦活処理の際の加熱温度は400℃〜1000℃である。
(10)[水酸化カリウム賦活処理の雰囲気、温度、時間]本発明の活性炭の製造方法においては、アルカリ剤が水酸化カリウムであり、薬品賦活処理の条件は、雰囲気が不活性ガス雰囲気、温度が700℃〜900℃、時間が30分〜120分である。
(11)[ガス処理の温度]本発明の活性炭の製造方法において、ガス賦活処理の際の加熱温度は800℃〜1000℃である。
本発明の製造方法により、細孔径と比表面積が共に大きい活性炭が得られる。更に本発明により、短い工程により官能基量が適切な活性炭が得られる。本発明の製造方法により得られた活性炭を電気二重層キャパシタの電極に用いると、従来よりも容量が大きく、充放電の能力が高く、充放電のサイクル特性が良好な電気二重層キャパシタが得られる。
アルカリ賦活処理前の炭化物のX線回折グラフ アルカリ賦活処理15分の炭化物のX線回折グラフ アルカリ賦活処理90分の炭化物のX線回折グラフ アルカリ賦活処理120分の炭化物のX線回折グラフ (a)本発明に用いられるヨシの幹の斜視図、(b)ヨシの幹の切断線を示す説明図、(c)ヨシの個片の斜視図 (a)電気二重層キャパシタの電極の説明図、(b)電気二重層キャパシタのセルの断面図
[薬品賦活処理→ガス賦活処理]
本発明の活性炭の製造方法は、有機物を非酸化性雰囲気で加熱して炭化物を得るステップと、炭化物に賦活作用を有する薬品を混合し、不活性ガス中で加熱して薬品賦活処理を行ない、薬品賦活処理物を得るステップと、薬品賦活処理物を酸化性ガス中で加熱してガス賦活処理を行なうステップを含む。薬品賦活処理には、アルカリ賦活処理、リン酸賦活処理、塩化亜鉛賦活処理がある。
薬品賦活処理後にガス賦活処理を行なった場合、まず薬品賦活処理にて細孔の形成と炭素微結晶の形成(細孔形成領域が拡大)が進行する。次にガス賦活処理で微結晶部位への細孔形成(比表面積の増大)と既形成細孔の開口径の拡大が進行する。
[ガス賦活処理→薬品賦活処理]
本発明の活性炭の製造方法は、有機物を非酸化性雰囲気で加熱して炭化物を得るステップと、炭化物を酸化性ガス中で加熱してガス賦活処理を行ない、ガス賦活処理物を得るステップと、ガス賦活処理物に賦活作用を有する薬品を混合し、不活性ガス中で加熱して薬品賦活処理を行なうステップを含む。
ガス賦活処理後に薬品賦活処理を行なった場合、まずガス賦活処理にて炭素表面の細孔形成が進行する。次に薬品賦活処理で微結晶の形成(細孔形成領域の増大、比表面積の増加)と既形成細孔の開口径の拡大が進行する。
[有機物]
有機物としては、例えば、ビールかす、竹、ヨシ、もみがら、ヤシ殻、木材チップなどのバイオマス原料、石炭やタール、ピッチなどの石炭系原料、ポリアクリロニトリル(PAN)などの石油系原料が用いられる。
竹、ヨシ、ヤシ殻、木材チップの試料の適切な大きさは、炭化炉の大きさにもよるが、大きすぎると炭化時間が長くなる上、均一な炭化物を得ることが難しい。逆に粉末状態では飛散しやすく、収率や取り扱いの点で問題がある。このため竹、ヨシ、ヤシ殻、木材チップの試料の大きさは、1cm程度の片状あるいは粒状が適切である。
[炭化の非酸化性雰囲気]
炭化の際の非酸化性雰囲気として、例えば、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気のような不活性ガス雰囲気、酸素濃度が10ppm以下の空気などが用いられる。市販の窒素ガスは酸素濃度が5ppm以下であるため、酸素濃度が10ppm以下の空気の非酸化性は窒素ガスとほぼ同等である。酸素濃度が10ppm以下の空気は、液体空気から酸素を分離させて得られる。窒素ガス雰囲気は、雰囲気の制御がしやすく、コストも安いので好ましい。
[炭化の加熱条件]
有機物を炭化する際の雰囲気温度は600℃〜1000℃、時間は5分〜60分が好ましい。窒素雰囲気中の有機物の熱重量測定(TG測定: Thermo Gravimetry測定)の結果によれば、有機物を炭化する際の雰囲気温度が600℃未満の場合有機物が十分に分解しないおそれがある。また時間が5分未満の場合も有機物が十分に分解しないおそれがある。逆に有機物を炭化する際の雰囲気温度が1000℃を超えると炭化炉の損傷およびコストアップのおそれがある。時間が60分を超えたときも炭化炉の損傷およびコストアップのおそれがある。
[炭化物]
炭化物として結晶構造が不完全なグラファイトが得られる。炭化物の表面は、基本的には炭素(C−C)骨格で構成されている。しかし、完全なグラファイト結晶構造ではなく、グラファイト層の重なりにズレがあったり回転があったりする。賦活処理前の炭化物の比表面積は100m/g程度であるから、活性炭として使用することはできない。
[賦活作用を有する薬品]
賦活作用を有する薬品としては、アルカリ剤、塩化亜鉛、リン酸のいずれか、あるいはそれらの組み合わせが用いられる。特にアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムのいずれか、またはそれらの組み合わせが用いられる。炭化物を粉砕し、炭化物粉末と賦活作用を有する薬品の粉末を混合して不活性ガス中で加熱し、薬品賦活処理を行なう。アルカリ賦活処理の場合、冷却後試料を取り出し、酸にて中和し、水洗を行なってアルカリ賦活物を得る。
賦活作用を有する薬品としてアルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムのいずれか、またはそれらの組み合わせ)を用いた場合、不活性ガス雰囲気で賦活処理を行なう。賦活温度は500〜1000℃が好ましく、600℃〜1000℃が更に好ましい。アルカリ賦活の場合、賦活時に発生する水性ガスシフト反応が500℃以上で発生しはじめ、800℃以上でさらに反応が進行する。しかし1000℃を超えると、反応速度の制御が困難になる上、炉の損傷が大きくなるため好ましくない。
アルカリ賦活の場合、昇温速度は5℃/分〜20℃/分が好ましい。活性炭の比表面積は、昇温速度が遅い方が増加する傾向がある。しかし昇温速度が5℃/分未満では昇温時間が長くなりすぎるため好ましくない。また昇温速度が20℃/分を超えると昇温のためのエネルギーが過大となりエネルギーコストが大きくなるため好ましくない。
アルカリ賦活の場合、賦活処理時間は15分〜120分が好ましく、30分〜90分がより好ましい。賦活処理時間が15分未満では十分な賦活ができないおそれがある。賦活処理時間が120分を超えると比表面積がむしろ減少するおそれがある。
有機物の炭化物は不完全なグラファイト結晶であり、グラファイト層の重なりにズレがあったり回転があったりする。そのためグラファイト層の端面(エッジ)が不安定である。アルカリ賦活処理では、炭化物のグラファイト層の端面がアルカリ剤(例えば水酸化カリウム)と反応して欠落し、細孔が形成される。細孔は炭化物の内部に網目状に繋がって形成される。
賦活作用を有する薬品としてアルカリ剤を用いた場合、活性炭の比表面積は2000m/g〜3000m/gと、非常に大きな比表面積の形成が可能である。アルカリ剤を用いた薬品賦活処理のみの場合、平均細孔直径は2nm前後であり、ミクロ孔(細孔直径2nm以下の細孔)が多くできる。つまりアルカリ剤を用いた薬品賦活処理のみの場合、比表面積は比較的大きく、ミクロ孔が多くできること(径の小さい細孔が多いこと)が特徴である。
賦活作用を有する薬品として塩化亜鉛を用いた場合、不活性ガス雰囲気で賦活処理を行ない、賦活温度は400℃〜700℃(昇温速度は5℃/分程度)であり、賦活時間(保持時間)は60分程度が好ましい。温度が400℃未満のときは、反応速度が遅く細孔の形成も少ないため、実用上適さない。温度が700℃を超えると、塩化亜鉛の回収率(塩化亜鉛は回収して再利用する)がほぼ0%となるため、コストが大幅にアップする。温度が700℃を超えると、塩化亜鉛の回収率が極端に落ちる理由は、塩化亜鉛の沸点が750℃付近のためである。
賦活作用を有する薬品としてリン酸を用いた場合、不活性ガス雰囲気で賦活処理を行ない、賦活処理温度は400℃〜700℃(昇温速度は5℃/分程度)が好ましく、400℃〜600℃がより好ましい。賦活処理温度が400℃未満であると、細孔の発達が遅く、比表面積の増加に長時間を要する。賦活処理温度が700℃を超えると、反応が過度に進行し、比表面積がむしろ低下するおそれがある。
賦活作用を有する薬品としてリン酸を用いた場合、賦活処理時間は60分程度が好ましい。賦活処理時間が短かすぎると細孔形成が不十分で比表面積が増加しない。一方、賦活処理時間が長すぎると逆に過度の細孔形成により、細孔の口径が大きくなり過ぎるとともに比表面積が低下する。
賦活作用を有する薬品として塩化亜鉛、リン酸を用いた薬品賦活処理のみの場合、活性炭の比表面積は1500m/g以下になることが多い。細孔の平均直径は2nm〜4nm程度の比較的大きなものになる。つまり塩化亜鉛、リン酸を用いた薬品賦活処理のみの場合、比表面積は比較的小さく、メソ孔(細孔直径が2nm〜50nmの細孔)が多くできる(径の大きい細孔が多い)ことが特徴である。
[賦活作用を有する薬品の混合量]
賦活作用を有する薬品としてアルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムのいずれか、またはそれらの組み合わせ)を用いた場合、アルカリ剤の量は炭化物1重量部に対して、0.5重量部〜5重量部が好ましい。アルカリ剤の量が0.5重量部未満のときは、比表面積が増加しないおそれがある。アルカリ剤の量が5重量部を超えると、コストが非常に高くなるおそれがある。
賦活作用を有する薬品として塩化亜鉛またはリン酸を用いた場合、塩化亜鉛またはリン酸の量は炭化物1重量部に対して、1重量部〜3重量部が好ましい。塩化亜鉛またはリン酸の量が1重量部未満のときは、比表面積が増加しないおそれがある。塩化亜鉛またはリン酸の量が3重量部を超えると、コストが非常に高くなるおそれがある。
本発明の活性炭の製造方法において、賦活作用を有する薬品としてはアルカリ剤が好ましく、アルカリ剤としては水酸化カリウムが特に好ましい。
水酸化カリウムの混合量は、炭化物1重量部について0.5重量部〜5重量部であることが好ましく、0.5重量部〜1.5重量部であることがより好ましい。炭化物1重量部について水酸化カリウムの混合量を0.5重量部〜5重量部とすると、活性炭の比表面積が大きくなり、しかも平均細孔直径が大きくなる。炭化物1重量部について水酸化カリウムの混合量を0.5重量部〜1.5重量部とすると、更に表面官能基量も適量となるため、電気二重層キャパシタの電極として好適となる。
[不活性ガス]
薬品賦活処理を行なう際の不活性ガスは、例えば、窒素ガス、アルゴンガスが用いられる。窒素ガスはコストが安いため好ましい。薬品賦活処理の際の不活性ガス中での加熱処理温度(賦活処理温度)は500℃〜1000℃が好ましく、600℃〜1000℃が更に好ましい。賦活処理温度が500℃未満の場合は賦活処理が十分に進行しないおそれがある。賦活処理温度が1000℃を超えると、反応速度の制御が困難になる上、炉の損傷が大きくなるため好ましくない。
[酸化性ガス]
ガス賦活処理を行なう際の酸化性ガスとしては、例えば、二酸化炭素ガス、水蒸気、空気のいずれか、またはそれらの組み合わせが用いられる。二酸化炭素ガスは、雰囲気の制御がしやすく、設備コストもランニングコストも安いので好ましい。ガス賦活処理の際の酸化性ガス中での加熱処理温度は800℃〜1000℃が好ましい。賦活処理温度が800℃未満のときは、ガス賦活処理が十分に進行しないおそれがある。賦活処理温度が1000℃を超えると比表面積がむしろ減少するおそれがある。
ガス賦活処理では、グラファイト層の端面(エッジ)が水蒸気あるいは二酸化炭素ガスと反応して端面が欠落し細孔が形成される。細孔は炭化物の内部に網目状に繋がって形成される。
ガス賦活処理を行なう際の二酸化炭素ガスの濃度(体積%)は、20%〜100%が好ましく、80%〜100%がより好ましい。二酸化炭素ガスの濃度を20%〜100%とすると、活性炭の比表面積が大きくなり、平均細孔直径が大きくなる。二酸化炭素ガスの濃度を80%〜100%とすると、活性炭の比表面積が大きくなり、平均細孔直径が大きくなり、更に表面官能基量も適量となる。二酸化炭素ガスの濃度が20%未満になるとガス賦活処理が不十分となるおそれがある。
ガス賦活処理時間は10分〜70分が好ましく、25分〜70分がより好ましい。二酸化炭素ガス中でのガス賦活処理時間を10分〜70分とすると、活性炭の比表面積が大きくなり、平均細孔直径が大きくなる。二酸化炭素ガス中でのガス賦活処理時間を25分〜70分とすると、更に表面官能基量が適量となる。
[アルカリ賦活処理のミクロな効果]
アルカリ賦活処理のミクロな効果についてX線回折グラフを用いて説明する。図1はアルカリ賦活処理前(ガス賦活処理も行なっていない)の炭化物のX線回折グラフである。横軸は回折角度2θ(単位:°)であり、縦軸は回折されたX線の強度(単位:cps)である。横軸の25°付近に回折強度のブロードなピークが見られる。ピークの中心値はグラファイトの層間距離0.335nmに対応する。つまりアルカリ賦活処理前の炭化物は平均0.335nm間隔の炭素平面骨格の繰り返し構造をもつ。
図2はアルカリ賦活処理時間15分(ガス賦活処理は行なっていない)の炭化物のX線回折グラフである。アルカリ剤は水酸化カリウムである。水酸化カリウムの混合量は炭化物1重量部に対して5重量部である。賦活処理温度は800℃、雰囲気は窒素ガス雰囲気である。
図2では横軸の25°付近に図1と同位置に同程度の強度、拡がりの回折ピークが見られる。このピークからアルカリ賦活処理時間15分の炭化物は、平均0.335nm間隔の炭素平面骨格の繰り返し構造をもつ事が分かる。本願発明者の研究によると、炭化物の大部分が平均0.335nm間隔の炭素平面骨格の繰り返し構造をもち、炭素微結晶領域が少ない場合、アルカリ賦活処理後にガス賦活処理を行なっても、比表面積が大きく細孔径も大きい活性炭はほとんど得られない。
図3はアルカリ賦活処理時間90分(ガス賦活処理は行なっていない)の炭化物のX線回折グラフである。アルカリ剤は水酸化カリウムである。水酸化カリウムの混合量は炭化物1重量部に対して5重量部である。賦活処理温度は800℃、雰囲気は窒素ガス雰囲気である。
図3でも横軸の25°付近に回折強度のブロードなピークが見られるが、図1および図2に比べてピークの強度がかなり低い。これはアルカリ賦活処理90分により、平均0.335nm間隔の炭素平面骨格の繰り返し構造がかなり破壊され、炭素微結晶領域が拡大したことを示す。本願発明者の研究によると、図3のように、アルカリ賦活処理により炭素微結晶領域が拡大した炭化物に対して、アルカリ賦活処理後にガス賦活処理を行なうと、比表面積が大きく細孔径も大きい活性炭が得られる。
図4はアルカリ賦活処理時間120分(ガス賦活処理は行なっていない)の炭化物のX線回折グラフである。アルカリ剤は水酸化カリウムである。水酸化カリウムの混合量は炭化物1重量部に対して5重量部である。賦活処理温度は800℃、雰囲気は窒素ガス雰囲気である。
図4では、図1〜図3に見られた横軸の25°付近の回折強度のピークが消失している。すなわち、アルカリ賦活処理120分により、平均0.335nm間隔の炭素平面骨格の繰り返し構造がほぼ完全に破壊され、ほとんどの部分が炭素微結晶領域になっている。図4から、アルカリ賦活処理により平均0.335nm間隔の炭素平面骨格の繰り返し構造が破壊され、炭素微結晶領域が拡大することが明確に分かる。図3の場合も図4より程度は少ないが同様の現象が起きていることは明らかである。
本願発明者の研究によれば、単にアルカリ賦活処理(一般的には薬品賦活処理)とガス賦活処理を組み合わせても、比表面積が大きく細孔径も大きい活性炭が得られるわけではない。比表面積が大きく細孔径も大きい活性炭を得るためには、アルカリ賦活処理(一般的には薬品賦活処理)により、平均0.335nm間隔の炭素平面骨格の繰り返し構造の少なくとも一部が破壊され、炭素微結晶領域が拡大していることが必要である。炭素微結晶領域が拡大しているとき、アルカリ賦活処理(一般的には薬品賦活処理)とガス賦活処理を組み合わせると、比表面積が大きく細孔径も大きい活性炭が得られる。
本願発明者の研究によれば、アルカリ剤が水酸化カリウムの場合、ガス賦活処理と組み合わせて比表面積が大きく細孔径も大きい活性炭が得られるアルカリ賦活の条件は、水酸化カリウムの混合量が炭化物1重量部に対して0.5重量部〜5重量部であり、賦活の雰囲気が窒素雰囲気で、温度が700℃〜900℃、時間が30分〜120分である。
[炭化]
琵琶湖岸に植生するヨシ(葦)を伐採した。ヨシの幹11は図5(a)に示すような中空円筒形をしている。ヨシの幹11を図5(b)に示す破線に沿って切断した。切断されたヨシの幹11は図5(c)に示すヨシの個片12となった。ヨシの個片12の大きさは約10mm×約10mm×約2mmであった。ヨシの個片12を窒素ガス雰囲気中、室温から800℃まで10℃/分の速度で昇温し、800℃、20分間保持して炭化し、炭化物を得た。
[アルカリ賦活処理]
炭化物を粉砕し、炭化物粉末1gに対し水酸化カリウム粉末(1g、3g、5gの3種類...詳細後述)を加え混合した後、窒素ガス雰囲気中で、800℃、60分間保持してアルカリ賦活処理を行なった。このとき室温から400℃までは10℃/分の速度で昇温し、400℃から800℃までは5℃/分の速度で昇温した。冷却後試料を取り出し、塩酸にて中和し、水洗を行なってアルカリ賦活物を得た。
[ガス賦活処理]
アルカリ賦活物(粉末)0.5gを炉に入れ、窒素ガス雰囲気にて、昇温速度10℃/分で900℃まで昇温した後、温度900℃を維持したまま、二酸化炭素ガス(流量1リットル/分)を流入させ窒素ガスと置換した。二酸化炭素ガス濃度100%の900℃の雰囲気でガス賦活処理を行なった。賦活処理時間は15分、30分、60分の3種類とした(詳細後述)。
[電極塗工]
図6(a)に示すように、アルカリ賦活処理およびガス賦活処理を経て得られた粉末活性炭に、導電助剤(アセチレンブラック)、バインダー(濃度5%のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)のNMP(Nメチルピロリドン)溶液)を混ぜてスラリー21を作製した。次にスラリー21を銅箔22に膜状に塗工し、電極20を得た。スラリーの配合量は、活性炭:86重量%、導電助剤:5重量%、バインダー:9重量%であった。
[電気二重層キャパシタ]
図6(a)に示すように、銅箔22にスラリー21を塗工して形成された電極20を、打ち抜き線23に沿って円形に打ち抜いた。次に図6(b)に示すように、セパレータ24を介して、2枚の電極20のスラリー21同士を対向させたセル30を作製した。1枚の電極20を作用極、他の電極20を対極とし、参照電極25を配した3極のセル30を作製し、充放電測定を行なった。電解液26として、濃度1モル/リットルのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカーボネート溶液を用いた。充放電測定はBiologic社製SP−50を用い、100mA/gの定電流にて、0V〜0.5Vまで充放電測定を行ない、セル30の静電容量(F/g)を求めた。
表1に実施例比較例および参考例の活性炭のBET比表面積、細孔容積、平均細孔直径、電気二重層キャパシタの静電容量、表面官能基量を示す。BET比表面積、平均細孔直径、電気二重層キャパシタの静電容量は大きい程良い。表面官能基量は0.4mmol/g-carbon〜0.7mmol/g-carbonが適量とされる。表1の実施例1〜4、比較例3〜6および参考例1〜3は本願発明者が試作・測定したものである。実施例1〜4、比較例3〜6および参考例1〜3は、前述の方法によりヨシを原料として炭化物を作製し、表1に示すそれぞれの条件で賦活処理を行なったものである。
表中、BET比表面積とは、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法により測定された比表面積である。BET比表面積は次のように算出する。BET法では分子が積み重なって無限に吸着し、吸着層間に相互作用がないと仮定する。BET法では次のBET式を用いる。
1/[W{(P0/P)-1}]={(C-1)/Wm}(P/P0)(1/Wm)...BET式
ここでP:気体の圧力、P0:飽和蒸気圧、W:吸着量、Wm:単分子層吸着量、C:BET定数である。
BET式の左辺を縦軸とし、P/P0を横軸とするグラフ(BETプロット)を作成する。グラフの直線部分の、勾配S=(C-1)/(Wm-C)と切片i=1/(Wm・C)の和の逆数:1/(S+i)として、単分子吸着量Wmを得る。Wmが得られたら、窒素ガスの吸着断面積を0.16nmとして、試料1g当たりの表面積(比表面積)を求める。細孔容積は液体窒素温度における窒素ガス吸着量から算出する。平均細孔直径は、細孔が円筒形であると仮定して、BET比表面積と細孔容積から、平均細孔直径=4000×細孔容積/BET比表面積、として求めた。
活性炭の表面官能基量は次に述べるBoehmの滴定法により測定した。
(1)活性炭を0.1g〜0.2g秤量し、0.1N−NaOH水溶液30mlを混合し、25℃で48時間振とうさせる。
(2)活性炭とNaOH水溶液の混合物を濾過し、濾液を20ml採取し、0.1N−HClで滴定する。
(3)活性炭1gあたりの表面官能基量を算出する。
Figure 0006465375
(特許庁提出時にここに表1が挿入されます)
実施例は水酸化カリウム1gでアルカリ賦活処理(窒素ガス雰囲気、800℃、60分)をした後、二酸化炭素ガスでガス賦活処理(900℃、30分)をしたものである。二酸化炭素ガスのガス賦活処理が15分の実施例1と比べ、BET比表面積は大きいが、平均細孔直径は僅かに小さい。静電容量は大きい。参考例1と実施例を比較すると、ガス賦活処理は15分より30分の方が効果的である。表面官能基量は適量である。
実施例は水酸化カリウム1gでアルカリ賦活処理(窒素ガス雰囲気、800℃、60分)をした後、二酸化炭素ガスでガス賦活処理(900℃、60分)をしたものである。二酸化炭素ガスの賦活処理が30分の実施例2と比べ、BET比表面積、平均細孔直径、静電容量の全てが大きい。実施例と実施例を比較すると、二酸化炭素ガスの賦活処理は30分より60分の方が効果的である。表面官能基量は適量である。ガス賦活処理の際、従来の熱処理の効果も得られ、官能基量が減少したと考えられる。
実施例は水酸化カリウム3gでアルカリ賦活処理(窒素ガス雰囲気、800℃、60分)をした後、二酸化炭素ガスでガス賦活処理(900℃、60分)をしたものである。ガス賦活処理を行なわない比較例5と比べ、BET比表面積、平均細孔直径、静電容量の全てがかなり大きい。ガス賦活処理が効果的と考えられる。
実施例は水酸化カリウム5gでアルカリ賦活処理(窒素ガス雰囲気、800℃、60分)をした後、二酸化炭素ガスでガス賦活処理(900℃、60分)をしたものである。ガス賦活処理が15分の参考と比べ、BET比表面積、平均細孔直径は大きいが、静電容量は小さい。
比較例1はA社製の市販の電気二重層キャパシタ用の活性炭である。比較例1のBET比表面積は中程度の大きさであるが、平均細孔直径が小さい。静電容量は中程度の値である。表面官能基量は適量である。
比較例2はナカライテスク社製の市販のヤシ殻活性炭である。比較例2はBET比表面積が小さく、平均細孔直径も小さい。静電容量も小さく、電気二重層キャパシタには適していない。表面官能基量は適量である。
比較例3は二酸化炭素ガスでガス賦活処理(900℃、40分)をしたものである。アルカリ賦活処理はしていない。平均細孔直径は大きくても、BET比表面積が小さいため、静電容量が小さい。そのため電気二重層キャパシタには適していない。表面官能基量は測定できなかった。
比較例4は水酸化カリウム1gでアルカリ賦活処理をしたものである。ガス賦活処理はしていない。BET比表面積が小さく、平均細孔直径も小さい。静電容量も小さく、電気二重層キャパシタには適していない。表面官能基量は適量より多い。
比較例5は水酸化カリウム3gでアルカリ賦活処理をしたものである。ガス賦活処理はしていない。水酸化カリウム1gでアルカリ賦活処理をした比較例4に比べ、BET比表面積、平均細孔直径、静電容量の全てがかなり大きい。水酸化カリウム1gと3gでは大きな差がある。表面官能基量は適量より多い。
比較例6は水酸化カリウム5gでアルカリ賦活処理をしたものである。ガス賦活処理はしていない。水酸化カリウム3gでアルカリ賦活処理をした比較例5に比べ、BET比表面積、平均細孔直径、静電容量の全てがかなり大きい。水酸化カリウム3gと5gでは大きな差がある。表面官能基量は適量より多い。
参考例1は水酸化カリウム1gでアルカリ賦活処理(窒素ガス雰囲気、800℃、60分)をした後、二酸化炭素ガスでガス賦活処理(900℃、15分)をしたものである。水酸化カリウム1gでアルカリ賦活処理のみをした比較例4と比べ、BET比表面積、平均細孔直径、静電容量の全てが大きい。これはガス賦活処理の効果と考えられる。
参考は水酸化カリウム5gでアルカリ賦活処理(窒素ガス雰囲気、800℃、60分)をした後、二酸化炭素ガスでガス賦活処理(900℃、15分)をしたものである。水酸化カリウム5gでアルカリ賦活処理のみをした比較例6と比べ、BET比表面積、平均細孔直径、静電容量の全てが大きい。特に静電容量は差がある。これはガス賦活処理の効果と考えられる。
参考は水酸化カリウム5gでアルカリ賦活処理(窒素ガス雰囲気、800℃、60分)をした後、二酸化炭素ガスでガス賦活処理(900℃、30分)をしたものである。ガス賦活処理が15分の実施例5と比べ、BET比表面積、平均細孔直径は大きいが、静電容量はかなり小さい。
表1に示した試作結果から、アルカリ賦活処理後にガス賦活処理を行なえば、従来トレードオフであったBET比表面積と平均細孔直径が、必ずしもトレードオフにはならないことが分かる。すなわち、アルカリ賦活処理条件とガス賦活処理条件が適切であれば、BET比表面積と平均細孔直径の両方が大きい活性炭が得られる。
特に、実施例(KOH:1gのアルカリ賦活処理→二酸化炭素ガス30分のガス賦活処理)と、実施例(KOH:1gのアルカリ賦活処理→二酸化炭素ガス60分のガス賦活処理)は、表面官能基量を考慮しても、電気二重層キャパシタの電極に適切である。すなわち、電気二重層キャパシタの電極に用いるためには、水酸化カリウムの混合量は炭化物1重量部について0.5重量部〜1.5重量部が好ましく、二酸化炭素ガス中でのガス賦活処理時間は25分〜70分が好ましい。
本発明の活性炭の製造方法により得られた活性炭を電気二重層キャパシタに用いると、静電容量の大きい電気二重層キャパシタが得られる。また充放電のサイクル特性が良好な電気二重層キャパシタが得られる。
本発明の活性炭の製造方法によれば、ガス賦活処理の際に官能基量を調整するための熱処理も同時に行なうことができる。そのため別に熱処理をする必要がなく、工程が短くできる。
本発明の活性炭の製造方法により、細孔径と比表面積が共に大きい活性炭が得られる。更に、本発明の活性炭の製造方法により、短い工程により官能基量が適切な活性炭が得られる。本発明の製造方法により得られた活性炭を電気二重層キャパシタの電極に用いると、従来よりも容量が大きく、充放電の能力が高く、充放電のサイクル特性が良好な電気二重層キャパシタが得られる。
11 ヨシの幹
12 ヨシの個片
20 電極
21 スラリー
22 銅箔
23 打ち抜き線
24 セパレータ
25 参照電極
26 電解液
30 セル

Claims (5)

  1. 有機物を非酸化性雰囲気で加熱して炭化物を得るステップと、
    前記炭化物に賦活作用を有する薬品として該炭化物1重量部につき0.5〜5重量部の水酸化カリウムを混合し、60〜120分、不活性ガス中で加熱して薬品賦活処理を行ない、薬品賦活処理物を得るステップと、
    前記薬品賦活処理物を二酸化炭素ガス中で、25〜70分、加熱してガス賦活処理を行なうステップを含む電気二重層キャパシタの電極に用いる活性炭の製造方法。
  2. 前記ガス賦活処理を行なう際の二酸化炭素ガスの濃度が20%〜100%である請求項に記載の活性炭の製造方法。
  3. 前記薬品賦活処理の際の加熱温度が400℃〜1000℃である請求項1または2に記載の活性炭の製造方法。
  4. 前記薬品賦活処理の条件が、雰囲気が不活性ガス雰囲気、温度が700℃〜900℃である請求項のいずれかに記載の活性炭の製造方法。
  5. 前記ガス賦活処理の際の加熱温度が800℃〜1000℃である請求項1〜のいずれかに記載の活性炭の製造方法。
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