JP6465236B1 - 制御装置、制御方法、制御システム、学習装置、及びモデルデータの生成方法 - Google Patents

制御装置、制御方法、制御システム、学習装置、及びモデルデータの生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】界磁磁石の減磁をより高い信頼性で検出できる制御装置を提供する。【解決手段】制御装置100は、界磁磁石23及びステータ30を有する電動機10に駆動電力を供給する電力供給回路200と、電動機10の電機子鎖交磁束に関する磁束関連データを取得する磁束推定器324と、磁束関連データから高調波成分を抽出する高調波抽出部350と、高調波成分の増加に基づいて、界磁磁石23の減磁を検出する減磁検出部360と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、制御装置、制御方法、制御システム、学習装置、及びモデルデータの生成方法に関する。
特許文献1には、電力変換器が印加する交流電圧と電流センサが検出したモータ電流とに基づいて適応磁束オブザーバが無負荷運転時に推定する永久磁石同期電動機の磁束と、予め設定された磁束参照値とを比較して減磁の有無を診断する減磁診断装置が開示されている。
国際公開第2014/118958号
本開示は、界磁磁石の減磁をより高い信頼性で検出できる制御装置を提供することを目的とする。
本開示の一側面に係る制御装置は、界磁磁石及び電機子を有する電動機に駆動電力を供給する電力供給回路と、電動機の電機子鎖交磁束に関するデータである磁束関連データを取得するデータ取得部と、磁束関連データから高調波成分を抽出する高調波抽出部と、高調波成分の増加に基づいて、界磁磁石の減磁を検出する減磁検出部と、を備える。
本開示の他の側面に係る制御方法は、界磁磁石及び電機子を有する電動機に駆動電力を供給するように電力供給回路を制御することと、電動機の電機子鎖交磁束に関するデータである磁束関連データを取得することと、磁束関連データから高調波成分を抽出することと、高調波成分の増加に基づいて、界磁磁石の減磁を検出することと、を含む。
本開示の更に他の側面に係る制御システムは、制御装置と、学習装置とを備え、制御装置は、界磁磁石及び電機子を有する電動機に駆動電力を供給する電力供給回路と、電動機の電機子鎖交磁束に関するデータである磁束関連データを取得するデータ取得部と、磁束関連データから高調波成分を抽出する高調波抽出部と、複数の次数における高調波成分の大きさと、界磁磁石の減磁状態との関係を示すように機械学習により構築されたモデルに基づいて界磁磁石の減磁を検出する減磁検出部と、を有し、学習装置は、複数の次数における高調波成分の大きさに関するデータと、界磁磁石の減磁状態に関するデータとの組み合わせデータを蓄積するデータ蓄積部と、データ蓄積部に蓄積された組み合わせデータに基づく機械学習によりモデルを構築するモデル構築部と、を有する。
本開示の更に他の側面に係る学習装置は、界磁磁石及び電機子を有する電動機の電機子鎖交磁束のうち、複数の次数における高調波成分の大きさに関するデータと、界磁磁石の減磁状態を示すデータと、の組み合わせデータを蓄積するデータ蓄積部と、複数の次数における高調波成分の大きさと、界磁磁石の減磁状態との関係を示すモデルを、蓄積した組み合わせデータに基づく機械学習により構築するモデル構築部と、を備える。
本開示の更に他の側面に係るモデルデータの生成方法は、界磁磁石及び電機子を有する電動機の電機子鎖交磁束のうち、複数の次数における高調波成分の大きさに関するデータと、界磁磁石の減磁状態を示すデータと、の組み合わせデータを蓄積することと、複数の次数における高調波成分の大きさと、界磁磁石の減磁状態との関係を示すモデルを特定するデータを、蓄積した組み合わせデータに基づく機械学習により導出することと、を含むモデルデータの生成方法。
本開示によれば、界磁磁石の減磁をより高い信頼性で検出できる制御装置を提供することができる。
制御装置の概略構成を示す模式図である。 電動機の構造を単純化して示す模式図である。 制御回路の機能的な構成を示すブロック図である。 減磁診断器の機能的な構成を示すブロック図である。 学習装置の機能的な構成を示すブロック図である。 制御システムのハードウェア構成図である。 減磁診断手順を示すフローチャートである。 モデル構築手順を示すフローチャートである。
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
〔駆動システム〕
図1に示す駆動システム1は、電力により駆動対象を駆動するためのシステムである。駆動システム1は、電動機10と、位置センサ50と、制御装置100とを備える。
(電動機)
電動機10は、界磁磁石及び電機子を有する。電動機10は、例えば回転型のモータである。図2は、電動機10の一例として、回転界磁型モータの構造の一例を単純化して示す模式図である。図2に示すように、電動機10は、ロータ20とステータ30とを有する。ロータ20は、シャフト21と、シャフト21の外周に設けられたロータコア22と、ロータコア22に取り付けられた界磁磁石23とを有する。界磁磁石23は、例えば永久磁石である。ステータ30(電機子)は、ステータコア41と、複数のコイル42とを有する。ステータコア41は、ロータ20を包囲するヨーク41aと、ヨーク41aからロータ20側に突出した複数のティース41bとを含む。複数のティース41bは、ヨーク41aの内周に沿って実質的に等間隔に配置されている。複数のコイル42は、複数のティース41bにそれぞれ装着されており、電力の供給に応じて回転磁界を発生させる。図においては、単純化のために、3相3スロットのステータ30を示しているが、ステータ30のスロット数はこれに限られない。
なお、電動機10は、界磁磁石及び電機子を有する限りいかに構成されていてもよい。例えば、図においては界磁磁石23がロータコア22の表面に設けられたSPM(Surface Permanent Magnet)モータを例示しているが、これに限られない。電動機10は、界磁磁石23がロータコア22内に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnet)モータであってもよい。また、単純化のために界磁を2極とし、電機子を3相3スロットにして図示しているが、界磁の極数及び電機子のスロット数はこれに限られない。電動機10は、回転電機型モータであってもよいし、リニアモータであってもよい。
(位置センサ)
位置センサ50は、少なくとも電動機10の動作速度に関する情報を検出するセンサである。例えば位置センサ50は、ロータリーエンコーダであり、ロータ20の回転速度に比例した周波数のパルス信号を発生させる。
(制御装置)
図1に戻り、制御装置100は、電力供給回路200と、電流センサ111,112,113と、制御回路300とを備える。電力供給回路200は、電動機10に駆動電力を供給する。整流回路210は、例えばダイオードブリッジ回路であり、交流電源PSの電力を直流化して直流母線201,202に出力する。平滑コンデンサ220は直流母線201,202間に接続されており、直流母線201,202間の直流電圧を平滑化する。
インバータ回路230は、直流母線201,202の直流電力を交流電力(例えば三相交流電力)に変換して電動機10に出力する回路である。インバータ回路230は、スイッチング回路240とゲート駆動回路250とを含む。
スイッチング回路240は、複数のスイッチング素子241を有するブリッジ回路であり、当該複数のスイッチング素子241のオン・オフを切り替えることにより、直流電力を交流電力に変換する。スイッチング素子241は、例えばパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等であり、ゲート駆動信号に応じてオン・オフを切り替える。
ゲート駆動回路250は、制御回路300からの指令(例えば電圧指令)に応じたゲート駆動信号を生成し、スイッチング回路240のスイッチング素子241に出力する。ゲート駆動回路250は、上アーム(正極の直流母線201側のスイッチング素子241)及び下アーム(負極の直流母線202側のスイッチング素子241)が同時にオンとなることを防止するデッドタイム回路(不図示)を含んでいてもよい。
電力供給回路200は、電動機10に駆動電力を供給するように構成される限り、いかに構成されてもよい。例えば電力供給回路200は、整流回路210と、平滑コンデンサ220と、インバータ回路230とを有し、電動機10に電圧を供給する電圧形インバータや、平滑コンデンサ220に代えて直流リアクトルを備え、電動機10に電流を供給する電流形インバータであってもよく、さらには、交流電源PS側の交流電力と電動機10側の交流電力との間で双方向の電力変換を行うマトリクスコンバータ回路であってもよい。
電流センサ111,112,113は、インバータ回路230から電動機10への電流を検出する。電流センサ111はu相電流(三相交流のU相の電流)を検出し、電流センサ112はv相電流(三相交流のV相の電流)を検出し、電流センサ113はw相電流(三相交流のW相の電流)を検出する。
制御回路300は、電動機10に駆動電力を供給するように電力供給回路200を制御することと、駆動電力に基づいて、コイル42の鎖交磁束(電機子鎖交磁束)に関する磁束関連データを導出することと、磁束関連データから高調波成分を抽出することと、高調波成分の増加に基づいて、界磁磁石23の減磁を検出することと、を実行するように構成されている。以下、制御回路300の構成をより詳細に説明する。その説明において、「αβ座標系」は電動機10のステータ30に固定された固定座標系を意味する。αβ座標系は互いに直交する「α軸」及び「β軸」を有する。α軸及びβ軸は、いずれもシャフト21の中心線に直交している。「dq座標系」は電動機10のロータ20と共に回転する回転座標系を意味する。dq座標系は互いに直交する「d軸」及び「q軸」を有する。d軸及びq軸はいずれもシャフト21の中心線に直交している。
図3に例示するように、制御回路300は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、指令生成部310と、情報検出部320とを有する。
指令生成部310は、電動機10の速度を目標速度に追従させるように電力供給回路200への指令値を生成する。指令値は、電圧指令値であってもよく、電流指令値であってもよい。例えば指令生成部310は、より細分化されたモジュールとして、速度制御器311と、電流制御器312と、座標変換器313とを有する。
速度制御器311は、目標速度ω_refと、電動機10の速度ω(例えばステータ30に対するロータ20の回転角速度)との偏差を縮小させるためのq軸電流指令iq_refを生成する。q軸電流とは、q軸方向の電流(q軸方向の磁束をステータ30に発生させるための電流)を意味する。例えば速度制御器311は、目標速度ω_refと速度ωとの偏差に比例演算、比例・積分演算、又は比例・積分・微分演算を行ってq軸電流指令iq_refを生成する。
電流制御器312は、q軸電流指令iq_refとq軸電流iqとの偏差を縮小させるためのq軸電圧指令Vq_refを生成する。q軸電圧とは、q軸電流と同方向の電圧を意味する。例えば電流制御器312は、q軸電流指令iq_refとq軸電流iqとの偏差に比例演算、比例・積分演算、又は比例・積分・微分演算を行ってq軸電圧指令Vq_refを生成する。
これと同様に、電流制御器312は、d軸電流指令id_refとd軸電流idとの偏差を縮小させるためのd軸電圧指令Vd_refを生成する。d軸電流とは、d軸方向の電流(d軸方向の磁束をステータ30に発生させるための電流)を意味する。d軸電流指令id_refは、例えば操作者の入力により設定される。d軸電圧とは、d軸電流と同方向の電圧を意味する。
座標変換器313は、q軸電圧指令Vq_ref及びd軸電圧指令Vd_refに座標変換を施してu相電圧指令Vu_ref、v相電圧指令Vv_ref、及びw相電圧指令Vw_refを生成し、これらをインバータ回路230のゲート駆動回路250に出力する。u相電圧はU相の電圧であり、v相電圧はV相の電圧であり、w相電圧はW相の電圧である。
情報検出部320は、指令生成部310による制御処理等に必要な各種情報を検出する。例えば情報検出部320は、より細分化されたモジュールとして、座標変換器321と、位置導出器322と、速度導出器323と、磁束推定器324と、減磁診断器330と、減磁報知器326とを有する。
座標変換器321は、電流センサ111,112,113によりそれぞれ検出されたu相電流iu、v相電流iv及びw相電流iwに座標変換を施してd軸電流id及びq軸電流iqを導出する。
位置導出器322は、位置センサ50により検出される情報に基づいて、ロータ20の位置情報(例えばαβ座標系に対するdq座標系の回転角度θ)を導出する。例えば位置導出器322は、位置センサ50からのパルス信号をカウントして回転角度θを導出する。位置導出器322により導出された回転角度θは、上記座標変換器313,321における座標変換に用いられる。
速度導出器323は、位置センサ50により検出される情報に基づいてロータ20の速度情報(例えば上記速度ω)を導出する。例えば速度導出器323は、位置センサ50からのパルス信号の周波数に基づいて速度ωを導出する。速度導出器323により導出された速度ωは上記速度制御器311にフィードバックされる。
なお、位置導出器322及び速度導出器323は、ロータ20の位置情報及び速度情報をそれぞれ導出する限りいかに構成されていてもよい。例えば速度導出器323は、位置センサ50により検出される情報に代えて、d軸電流id及びq軸電流iqに基づくトルク推定値の積分により速度ωを導出するように構成されていてもよい。位置導出器322は、速度導出器323により導出された速度ωの積分により回転角度θを導出するように構成されていてもよい。
磁束推定器324(データ取得部)は、コイル42の鎖交磁束に関するデータである磁束関連データを取得する。例えば磁束推定器324は、電力供給回路200が電動機10に供給する駆動電力に基づいて、コイル42の鎖交磁束に関する推定データを磁束関連データとして導出する。例えば磁束推定器324は、d軸電流id、q軸電流iq、d軸電圧指令Vd_ref及びq軸電圧指令Vq_refに基づいて、α軸磁束推定値Φα及びβ軸磁束推定値Φβを算出する。α軸磁束推定値Φαはα軸方向の磁束推定値であり、β軸磁束推定値Φβはβ軸方向の磁束推定値である。より具体的に、磁束推定器324は、次式に基づいてα軸磁束推定値Φα及びβ軸磁束推定値Φβを導出する。
Figure 0006465236

Φd : d軸磁束推定値
Φq : q軸磁束推定値
Vd_ref : d軸電圧指令
Vq_ref : q軸電圧指令
id : d軸電流
iq : q軸電流
R : 電動機の巻線抵抗
Ld : d軸インダクタンス
Lq : q軸インダクタンス
ω : 速度
Figure 0006465236

θ : 回転角度
なお、上記式(1)は、次の電圧・電流方程式(3)に基づいている。ロータ20が一定速度で回転している定常状態においては、式(3)の微分項を無視することが可能である。微分項を無視した式(3)を変形し、更に電圧値を電圧指令値に置き換えると式(1)が得られる。
Figure 0006465236

Vd : d軸電圧
Vq : q軸電圧
なお、磁束関連データの導出手法はここに例示するものに限られない。例えば、u相電圧指令Vu_ref、v相電圧指令Vv_ref及びw相電圧指令Vw_refに代えて、電圧センサ等による実測値を用いてもよい。また、磁束関連データは、少なくともコイル42の鎖交磁束に相関するデータであればよく、必ずしもコイル42の鎖交磁束自体を示すデータでなくてもよい。また、磁束関連データは、必ずしも駆動電力に基づいて導出される推定データでなくてもよく、磁束センサ等による実測値であってもよい。
減磁診断器330は、磁束推定器324により導出された磁束関連データに基づいて、界磁磁石23の減磁の有無を診断する。減磁報知器326は、減磁診断器330が界磁磁石23の減磁を検出した場合に、操作者に界磁磁石23の減磁を報知する。例えば減磁報知器326は、操作画面上の表示又は表示灯の点灯等により界磁磁石23の減磁を報知する。図4に例示するように、減磁診断器330は、より細分化されたモジュールとして、基本波抽出部340と、複数の高調波抽出部350と、減磁検出部360とを含む。
基本波抽出部340は、磁束推定器324により導出された磁束関連データから基本波成分を抽出する。基本波成分とは、ロータ20の回転に同期した周波数の振動成分である。例えば基本波抽出部340は、振幅導出器341を含む。振幅導出器341は、α軸磁束推定値Φα及びβ軸磁束推定値Φβの振幅(以下、「基本波振幅|Φ|」という。)を導出する。例えば振幅導出器341は、α軸磁束推定値Φα及びβ軸磁束推定値Φβの二乗和の平方根を基本波振幅|Φ|として導出する。
高調波抽出部350は、磁束推定器324により導出された磁束関連データから高調波成分を抽出する。高調波成分とは、基本波成分の周波数を整数倍した周波数の振動成分である。例えば高調波抽出部350は、座標変換器351と、ローパスフィルタ352,353と、振幅導出器354とを含む。
座標変換器351は、α軸磁束推定値Φα及びβ軸磁束推定値Φβに座標変換を施して、dhqh座標系の磁束推定値Φdh及び磁束推定値Φqhを導出する。dhqh座標系は、dq座標系に比較して整数h倍の角速度で回転する座標系であり、d軸に対応するdh軸及びq軸に対応するdq軸を有する。磁束推定値Φdhは、dh軸方向の磁束推定値であり、磁束推定値Φqhはqh軸方向の磁束推定値である。ローパスフィルタ352,353は磁束推定値Φdh,Φqhから低周波成分をそれぞれ抽出するフィルタである。振幅導出器354は、ローパスフィルタ352,353により抽出された低周波成分の振幅(以下、「h次高調波振幅|Φh|」という。)を導出する。例えば振幅導出器354は、ローパスフィルタ352,353により抽出された低周波成分の二乗和の平方根をh次高調波振幅|Φh|として導出する。
なお、高調波成分の導出手法はここに例示するものに限られない。例えば高調波抽出部350は、座標変換器351の出力である磁束推定値Φdh,Φqhをローパスフィルタ352,353に先立って振幅導出器354に入力し、振幅導出器354の出力をローパスフィルタに通してh次高調波振幅|Φh|を導出してもよい。また、高調波抽出部350は、α軸磁束推定値Φα及びβ軸磁束推定値Φβをバンドパスフィルタに通してh次高調波振幅|Φh|を導出してもよい。更に高調波抽出部350は、α軸磁束推定値Φα及びβ軸磁束推定値Φβに高速フーリエ変換を施してh次高調波振幅|Φh|を導出してもよい。
複数の高調波抽出部350は、複数種類の高調波成分をそれぞれ抽出する。図は、複数の高調波抽出部350が、2次の高調波成分を抽出する高調波抽出部350Aと、6次の高調波成分を抽出する高調波抽出部350Bと、12次の高調波成分を抽出する高調波抽出部350Cとを含んでいる場合を例示している。
減磁検出部360は、高調波抽出部350により抽出される高調波成分の増加に基づいて、界磁磁石23の減磁を検出する。減磁検出部360は、少なくとも偶数次の高調波成分の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよく、少なくとも2次の高調波成分(高調波抽出部350Aにより抽出される高調波成分)の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよく、少なくとも6次の高調波成分(高調波抽出部350Bにより抽出される高調波成分)の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよく、複数の次数における高調波成分の合計値の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよい。また、減磁検出部360は、基本波成分に対する高調波成分の相対的な増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよい。例えば減磁検出部360は、指標導出器361と、積算器362と、比較器363とを含む。
指標導出器361は、高調波抽出部350により抽出される高調波成分及び基本波抽出部340による検出される基本波成分に基づいて、界磁磁石23の減磁に関する指標値を導出する。例えば指標導出器361は、高調波抽出部350A,350B,350Cにより抽出される高調波成分の合計値を導出し、基本波成分に対する当該合計値の相対値を導出する。より具体的に、指標導出器361は、2次高調波振幅|Φ2|、6次高調波振幅|Φ6|及び12次高調波振幅|Φ12|の合計値を導出し、当該合計値を基本波振幅|Φ|により除算して指標値を導出する。なお、指標値は、基本波成分の大きさに対する高調波成分の大きさの相対値を示す限りいかなる値であってもよい。例えば指標値は、基本波振幅|Φ|を上記合計値により除算した値であってもよい。積算器362は、指標導出器361により順次導出された所定数の指標値の積算値を導出する。
比較器363は、積算器362により導出された積算値と、予め設定された閾値とを比較し、これらの関係に基づいて界磁磁石23の減磁の有無を判定する。例えば、上記合計値を基本波振幅|Φ|により除算して上記指標値が導出されている場合、比較器363は、上記積算値が閾値を超えている場合に界磁磁石23の減磁があると判定する(界磁磁石23の減磁を検出する)。基本波振幅|Φ|を上記合計値により除算して上記指標値が導出されている場合、比較器363は、上記積算値が閾値未満である場合に界磁磁石23の減磁があると判定する。
比較器363は、上記積算値の変化レートに基づいて界磁磁石23の減磁の有無を判定してもよい。例えば、上記合計値を基本波振幅|Φ|により除算して上記指標値が導出されている場合、比較器363は、上記積算値の増加レートが閾値を超えている場合に界磁磁石23の減磁があると判定してもよい。基本波振幅|Φ|を上記合計値により除算して上記指標値が導出されている場合、比較器363は、上記積算値の減少レートが閾値を超えている場合に界磁磁石23の減磁があると判定してもよい。
(学習装置)
図1に戻り、駆動システム1は、学習装置400を更に備えてもよい。すなわち駆動システム1は、制御装置100と学習装置400とを有する制御システムCS1を備えていてもよい。学習装置400は、複数の次数における高調波成分の大きさと、界磁磁石23の減磁状態との関係を示すモデルを機械学習により構築する。
図5に例示するように、学習装置400は、機能モジュールとして、磁束データ取得部411と、減磁データ取得部412と、データ蓄積部413と、モデル構築部414と、モデル保持部415とを有する。
磁束データ取得部411は、複数の次数における高調波成分の大きさに関するデータを複数の高調波抽出部350から取得する。以下、磁束データ取得部411が取得するデータを「高調波プロファイル」という。
減磁データ取得部412は、界磁磁石23の減磁状態に関するデータを取得する。例えば減磁データ取得部412は、減磁状態を実測により確認した操作者による入力を取得する。以下、減磁データ取得部412が取得するデータを「減磁実績データ」という。
データ蓄積部413は、磁束データ取得部411により取得された高調波プロファイルと、減磁データ取得部412により取得された減磁実績データとの組み合わせデータを蓄積する。例えばデータ蓄積部413は、磁束データ取得部411及び減磁データ取得部412により、実質的に同じタイミングで同じ電動機10について取得された高調波プロファイル及び減磁実績データを組み合わせて蓄積する。実質的に同じタイミングとは、高調波プロファイル及び減磁実績データの間に相関が認められる程度にこれらの取得タイミングが近いことを意味する。
モデル構築部414は、データ蓄積部413に蓄積された組み合わせデータに基づく機械学習により上記モデルを構築する。例えばモデル構築部414は、データ蓄積部413に蓄積された組み合わせデータに基づくディープラーニングによって、上記モデルに相当するニューラルネットのパラメータデータを導出する。モデル保持部415は、モデル構築部414により構築されたモデルを特定するデータ(例えば上記パラメータデータ)を記憶する。
駆動システム1が学習装置400を備える場合、減磁検出部360は、学習装置400により構築されたモデルに基づいて界磁磁石23の減磁を検出するように構成されていてもよい。例えば減磁検出部360は、複数の次数における高調波成分の大きさに関するデータを上記モデルに入力し、これにより得られる出力データに基づいて界磁磁石23の減磁を検出するように構成されていてもよい。
(ハードウェア構成の例示)
続いて、制御回路300及び学習装置400のハードウェア構成を例示する。図6に示すように、制御回路300は、一つ又は複数のプロセッサ391と、メモリ392と、ストレージ393と、入出力ポート394と、通信ポート395と、表示デバイス396とを有する。ストレージ393は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の制御手順を制御装置100に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ392は、ストレージ393の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ391による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ391は、メモリ392と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。
入出力ポート394は、プロセッサ391からの指令に従って、電流センサ111,112,113、位置センサ50及びゲート駆動回路250との間で電気信号の入出力を行う。通信ポート395は、プロセッサ391からの指令に従って、学習装置400等との間で情報通信を行う。表示デバイス396は、例えば液晶パネル等であり、プロセッサ391からの指令に従って各種情報を表示する。例えば表示デバイス396は、界磁磁石23の減磁を報知する上記減磁報知器326としても利用可能である。
学習装置400は、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。例えば学習装置400は、一つ又は複数のプロセッサ491と、メモリ492と、ストレージ493と、通信ポート494と、表示デバイス495と、入力デバイス496とを有する。ストレージ493は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述のモデル構築手順を学習装置400に実行させるためのプログラムの記憶領域と、上記データ蓄積部413に割り当てられる記憶領域とを含む。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ492は、ストレージ493の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ491による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ491は、メモリ492と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。
通信ポート494は、プロセッサ491からの指令に従って、制御回路300の通信ポート395との間で情報通信を行う。表示デバイス495は、例えば液晶パネル等、プロセッサ491からの指令に従って各種情報を表示するデバイスである。入力デバイス496は、例えばキーボード及びマウス等、操作者による入力データを取得するデバイスである。例えば入力デバイス496は、界磁磁石23の減磁状態に関するデータを取得する上記磁束データ取得部411としても利用可能である。
なお、学習装置400は制御回路300から離れた位置に設けられていてもよい。この場合、通信ポート395,494の間にローカルエリアネットワークが介在してもよいし、インターネット等のワイドエリアネットワークが更に介在してもよい。制御回路300及び学習装置400のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば上述の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
〔制御手順〕
続いて、電動機10の制御方法の一例として、制御回路300により実行される制御手順を説明する。この制御手順は、電動機10に駆動電力を供給するように電力供給回路200を制御することと、駆動電力に基づいて、コイル42の鎖交磁束に関する磁束関連データを導出することと、磁束関連データから高調波成分を抽出することと、高調波成分の増加に基づいて、界磁磁石23の減磁を検出することと、を含む。制御回路300は、所定の制御手順を一定の周期で繰り返す。以下では一周期分の制御手順を説明する。
図7に示すように、制御回路300は、まずステップS01,S02を順に実行する。ステップS01では、電流センサ111,112,113により検出されたu相電流iu、v相電流iv及びw相電流iwを座標変換器321が取得してd軸電流id及びq軸電流iqに変換し、位置センサ50が発生する信号に基づいて位置導出器322及び速度導出器323が回転角度θ及び速度ωをそれぞれ導出する。ステップS02では、各種指令値と、ステップS01において取得されたデータとに基づいて、指令生成部310が上記指令値を生成して電力供給回路200に出力する。
次に、制御回路300はステップS03,S04,S05を順に実行する。ステップS03では、電力供給回路200が電動機10に供給する駆動電力に基づいて、磁束推定器324がコイル42の鎖交磁束に関する上記磁束関連データを導出する。ステップS04では、基本波抽出部340が磁束関連データから基本波成分を抽出し、高調波抽出部350が磁束関連データから高調波成分を抽出し、抽出された基本波成分及び高調波成分に基づいて指標導出器361が上記指標値を導出する。ステップS05では、積算器362が上記指標値を積算する。例えば積算器362は、h次高調波振幅|Φh|の上記合計値を基本波振幅|Φ|により除算して上記指標値を算出する。
次に、制御回路300はステップS06を実行する。ステップS06では、積算器362が、所定数の指標値の積算が完了したか否かを確認する。ステップS06において、指標値の積算数が上記所定数に満たないと判定した場合、制御回路300は以後の処理を実行することなく当該周期の制御手順を完了する。
ステップS06において、指標値の積算数が上記所定数に達したと判定した場合、制御回路300はステップS07を実行する。ステップS07では、上記指標値の積算値が上記閾値を超えているか否かを比較器363が確認する。ステップS07において、上記積算値は上記閾値を超えていないと判定した場合、制御回路300は以後の処理を実行することなく当該周期の制御手順を完了する。
ステップS07において、上記積算値は上記閾値を超えていると判定した場合、制御回路300はステップS08を実行する。ステップS08では、減磁報知器326が、界磁磁石23の減磁を操作者に報知する。以上で当該周期の制御手順が完了する。
〔モデルの構築手順〕
続いて、モデルデータの生成方法の一例として、学習装置400が実行する上記モデルの構築手順を説明する。この手順は、コイル42の鎖交磁束のうち、複数の次数における高調波成分の大きさに関するデータと、界磁磁石23の減磁状態を示すデータと、の組み合わせデータを蓄積することと、複数の次数における前記高調波成分の大きさと、界磁磁石23の減磁状態との関係を示すモデルを特定するデータを、蓄積した組み合わせデータに基づく機械学習により導出することと、を含む。
図8に示すように、学習装置400は、まずステップS11,S12を順に実行する。ステップS11では、磁束データ取得部411が、複数の高調波抽出部350からの上記高調波プロファイルの受信を待機する。ステップS12では、磁束データ取得部411が、複数の高調波抽出部350から受信した高調波プロファイルを取得してデータ蓄積部413に蓄積する。
次に、学習装置400はステップS13を実行する。ステップS13では、減磁データ取得部412が減磁実績データの入力の有無を確認する。ステップS13において、減磁実績データの入力はないと判定した場合、学習装置400は処理をステップS11に戻す。以後、減磁実績データの入力があるまで、学習装置400は高調波プロファイルの取得と蓄積を繰り返す。
ステップS13において、減磁実績データの入力があると判定した場合、学習装置400はステップS14を実行する。ステップS14では、減磁データ取得部412が、入力された減磁実績データを取得し、当該減磁実績データをデータ蓄積部413に蓄積する。この際に、減磁データ取得部412は、当該減磁実績データと同じ電動機10を対象とする高調波プロファイルの最新のデータに対応付けて当該減磁実績データをデータ蓄積部413に蓄積する。これにより、上記組み合わせデータがデータ蓄積部413に蓄積される。
次に、学習装置400はステップS15を実行する。ステップS15では、データ蓄積部413に所定数の上記組み合わせデータが蓄積されたか否かをモデル構築部414が確認する。ステップS15において、組み合わせデータの蓄積数が所定数に満たないと判定した場合、学習装置400は処理をステップS11に戻す。以後、組み合わせデータの蓄積数が所定数に達するまで、組み合わせデータの蓄積が繰り返される。
ステップS15において、組み合わせデータの蓄積数が所定数に達したと判定した場合、学習装置400はステップS16を実行する。ステップS16では、モデル構築部414が、データ蓄積部413に蓄積された組み合わせデータに基づく機械学習により上記モデルを構築し、これをモデル保持部415に保存する。例えばモデル構築部414は、上記モデルを特定するデータ(例えばニューラルネットのパラメータデータ)を生成し、これをモデル保持部415に保存する。以上でモデルの構築手順が完了する。
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、制御装置100は、界磁磁石23及びステータ30を有する電動機10に駆動電力を供給する電力供給回路200と、コイル42の鎖交磁束に関するデータである磁束関連データを取得する磁束推定器324と、磁束関連データから高調波成分を抽出する高調波抽出部350と、高調波成分の増加に基づいて、界磁磁石23の減磁を検出する減磁検出部360と、を備える。
減磁が生じると、コイル42の鎖交磁束の基本波成分は減少する一方で、コイル42の鎖交磁束の高調波成分は増加する。基本波成分の減少は、減磁以外の要因(例えば脱調現象や弱め磁束制御)でも生じ得るのに対し、高調波成分の増加は、減磁以外の要因では生じ難い。このため、高調波成分の増加に基づくことで、界磁磁石23の減磁をより高い信頼性で検出することができる。
減磁検出部360は、少なくとも偶数次の高調波成分の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよい。ロータ20に回転トルクを発生させるためにステータ30が発生させる磁束Φe(回転磁界の磁束)は、界磁磁石23の磁極方向であるd軸からずれた位置に作用する(図2参照)。これにより、界磁磁石23の減磁は、d軸から回転方向側にずれた位置に生じる傾向がある。このような減磁が生じると、コイル42の鎖交磁束の波形において対称性(例えば電機子鎖交磁束が最大となる時刻を基準とする対称性)が低下する。このため、減磁に起因する高調波成分の増加は、奇数次に比較して偶数次に生じ易い傾向がある。したがって、少なくとも偶数次の高調波成分の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出することで、界磁磁石23の減磁をより高い信頼性で検出することができる。
減磁検出部360は、少なくとも2次の高調波成分の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよい。減磁に起因する高調波成分の増加は、3次以上の次数に比較して2次において大きくなる傾向がある。このため、少なくとも2次の高調波成分の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出することで、界磁磁石23の減磁をより高い信頼性で検出することができる。
減磁検出部360は、少なくとも6次の高調波成分の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよい。界磁磁石23の減磁が生じた場合、デッドタイム補償のタイミングのずれに起因して、6次の高調波成分の増加が大きくなる場合がある。このような場合、少なくとも6次の高調波成分の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出することで、界磁磁石23の減磁をより高い信頼性で検出することができる。
減磁検出部360は、複数の次数における高調波成分の合計値の増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよい。この場合、界磁磁石23の減磁をより高い信頼性で検出することができる。
減磁検出部360は、複数の次数における高調波成分の大きさと、界磁磁石23の減磁状態との関係を示すように機械学習により構築されたモデルに基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよい。この場合、界磁磁石23の減磁をより高い信頼性で検出することができる。
制御装置100は、磁束関連データから基本波成分を抽出する基本波抽出部340を更に備え、減磁検出部360は、基本波成分に対する高調波成分の相対的な増加に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよい。減磁とは別の要因にてコイル42の鎖交磁束の高調波成分が増加する場合、例えば強め磁束制御では、基本波成分も共に増加する可能性が高い。このような場合であっても、基本波成分に対する高調波成分の相対的な増加は生じ難い。したがって、基本波成分に対する高調波成分の相対的な増加に基づくことで、界磁磁石23の減磁をより高い信頼性で検出することができる。
制御装置100は、電動機10の速度を目標速度ω_refに追従させるように電力供給回路200への指令値(電圧指令値あるいは電流指令値等)を生成する指令生成部310を更に備えてもよく、減磁検出部360は、目標速度に対する指令値の相対的な増加と、高調波成分の増加との両方に基づいて界磁磁石23の減磁を検出してもよい。減磁が生じていない場合、指令値は目標速度に比例する傾向がある。例えば指令値は、電動機10の誘起電圧定数を目標速度ω_refに乗算した値に概ね一致する傾向がある。これに対し、減磁が生じると、目標速度ω_refへの追従および所望されるトルクの発生のために、より多くの電力が求められるので、目標速度に対する指令値の相対的な増加が生じる。したがって、目標速度ω_refに対する指令値の相対的な増加と、高調波成分の増加との両方に基づいて界磁磁石23の減磁を検出することで、界磁磁石23の減磁をより高い信頼性で検出することができる。
目標速度ω_refに対する指令値の相対的な増加を示すデータの具体例としては、目標速度ω_refに比例する基準指令値(例えば電動機10の誘起電圧定数を目標速度に乗算した値)によって指令値を除算した値が挙げられる。以下、これを「指令倍率」という。例えば上記指標導出器361は、高調波抽出部350により抽出されるh次高調波振幅|Φh|の合計値を基本波振幅|Φ|によって除算して得られる値に、上記指令倍率を乗算して上記指標値を算出するように構成されていてもよい。
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
10…電動機、23…界磁磁石、30…ステータ(電機子)、100…制御装置、200…電力供給回路、324…磁束推定器(データ取得部)、350…高調波抽出部、360…減磁検出部、400…学習装置、413…データ蓄積部、414…モデル構築部、ω_ref…目標速度。

Claims (12)

  1. 界磁磁石及び電機子を有する電動機に駆動電力を供給する電力供給回路と、
    前記電動機の速度に同期した基本波成分を含む、前記電動機の電機子鎖交磁束に関するデータである磁束関連データを前記駆動電力に基づき取得するデータ取得部と、
    前記磁束関連データから前記基本波成分に対する高調波成分を抽出する高調波抽出部と、
    前記高調波成分の増加に基づいて、前記界磁磁石の減磁を検出する減磁検出部と、を備える制御装置。
  2. 前記減磁検出部は、少なくとも偶数次の前記高調波成分の増加に基づいて前記界磁磁石の減磁を検出する、請求項1記載の制御装置。
  3. 前記減磁検出部は、少なくとも2次の前記高調波成分の増加に基づいて前記界磁磁石の減磁を検出する、請求項2記載の制御装置。
  4. 前記減磁検出部は、少なくとも6次の前記高調波成分の増加に基づいて前記界磁磁石の減磁を検出する、請求項2又は3記載の制御装置。
  5. 前記減磁検出部は、複数の次数における前記高調波成分の合計値の増加に基づいて前記界磁磁石の減磁を検出する、請求項1〜4のいずれか一項記載の制御装置。
  6. 前記減磁検出部は、複数の次数における前記高調波成分の大きさと、前記界磁磁石の減磁状態との関係を示すように機械学習により構築されたモデルに基づいて前記界磁磁石の減磁を検出する、請求項1〜4のいずれか一項記載の制御装置。
  7. 前記磁束関連データから基本波成分を抽出する基本波抽出部を更に備え、
    前記減磁検出部は、前記基本波成分に対する前記高調波成分の相対的な増加に基づいて前記界磁磁石の減磁を検出する、請求項1〜6のいずれか一項記載の制御装置。
  8. 前記電動機の速度を目標速度に追従させるように前記電力供給回路への指令値を生成する指令生成部を更に備え、
    前記減磁検出部は、前記目標速度に対する前記指令値の相対的な増加と、前記高調波成分の増加との両方に基づいて前記界磁磁石の減磁を検出する、請求項1〜7のいずれか一項記載の制御装置。
  9. 界磁磁石及び電機子を有する電動機に駆動電力を供給するように電力供給回路を制御することと、
    前記電動機の速度に同期した基本波成分を含む、前記電動機の電機子鎖交磁束に関するデータである磁束関連データを前記駆動電力に基づき取得することと、
    前記磁束関連データから前記基本波成分に対する高調波成分を抽出することと、
    前記高調波成分の増加に基づいて、前記界磁磁石の減磁を検出することと、を含む制御方法。
  10. 制御装置と、学習装置とを備え、
    前記制御装置は、
    界磁磁石及び電機子を有する電動機に駆動電力を供給する電力供給回路と、
    前記電動機の電機子鎖交磁束に関するデータである磁束関連データを取得するデータ取得部と、
    前記磁束関連データから高調波成分を抽出する高調波抽出部と、
    複数の次数における前記高調波成分の大きさと、前記界磁磁石の減磁状態との関係を示すように機械学習により構築されたモデルに基づいて前記界磁磁石の減磁を検出する減磁検出部と、を有し、
    前記学習装置は、
    前記複数の次数における前記高調波成分の大きさに関するデータと、前記界磁磁石の減磁状態に関するデータとの組み合わせデータを蓄積するデータ蓄積部と、
    前記データ蓄積部に蓄積された前記組み合わせデータに基づく機械学習により前記モデルを構築するモデル構築部と、を有する制御システム。
  11. 界磁磁石及び電機子を有する電動機の電機子鎖交磁束のうち、複数の次数における高調波成分の大きさに関するデータと、前記界磁磁石の減磁状態を示すデータと、の組み合わせデータを蓄積するデータ蓄積部と、
    前記複数の次数における前記高調波成分の大きさと、前記界磁磁石の減磁状態との関係を示すモデルを、蓄積した前記組み合わせデータに基づく機械学習により構築するモデル構築部と、を備える学習装置。
  12. 界磁磁石及び電機子を有する電動機の電機子鎖交磁束のうち、複数の次数における高調波成分の大きさに関するデータと、前記界磁磁石の減磁状態を示すデータと、の組み合わせデータを蓄積することと、
    前記複数の次数における前記高調波成分の大きさと、前記界磁磁石の減磁状態との関係を示すモデルを特定するデータを、蓄積した前記組み合わせデータに基づく機械学習により導出することと、を含むモデルデータの生成方法。
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