JP6464567B2 - ポリアミド樹脂及びそれを用いて製造される成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂及びそれを用いて製造される成形品に関するものである。
原料に、シュウ酸化合物を用いるポリアミド樹脂はポリオキサミド樹脂と呼ばれ、一般的なポリアミド樹脂と比較して飽和吸水率が低いことが知られている。これまでにジアミン成分として種々の脂肪族直鎖ジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が提案されている。例えば、非特許文献1には、ジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。非特許文献2には、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンであるポリオキサミド樹脂が開示されている。非特許文献3には、ジアミン成分が1,4−ブタンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。特許文献1には、種々ジアミン成分と、ジカルボン酸エステルとしてシュウ酸ジブチルを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。特許文献2には、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンの2種のジアミンを特定の比率で用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。特許文献3には、種々ジアミン成分と、シュウ酸を用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。
また特許文献4〜6に共重合系ポリオキサミドの合成方法が開示されており、ジアミン原料を混合してシュウ酸化合物と反応させることで重合を行っている。
特表平5−506466 WO2008−072754 米国特許2130948 特開2009−235224
S. W. Shalaby., J. Polym. Sci., 11, 1(1973) L. Franco et al., Macromolecules., 31, 3912(1998) R.J.Gaymans et al., J. Polym. Sci. Polym. Chem. Ed., 22, 137 3 (1984)
共重合ポリアミドは、アミド交換反応が起こる為、アミド結合を持たない重合体を主鎖に取り込んだポリアミド以外は、一般的に、ランダム共重合体であり、原料由来の構造が主鎖にランダムに含まれる為、ホモポリアミドに比べ、結晶構造をとりにくく、結晶化速度がホモポリアミドに比べ、遅く、共重合ポリアミドにおいても、結晶化速度の向上が求められる。結晶化速度が速くなることで、射出成型用材料としても好適に使用できる。
又、他の物性等を低下させることなく、結晶化速度を向上させる為には、共重合組成比をかえないことが望ましい。
本発明が解決しようとする課題は、従来の共重合ポリアミド樹脂と比較し、共重合組成比を変えることなく、結晶化速度が速いブロック共重合ポリアサミド樹脂を提供することにある。
本発明者らは、原料にシュウ酸化合物と2種類以上のジアミンを含むブロック共重合ポリアミド樹脂が上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、ジカルボン酸成分とジアミン成分を含むポリアミド樹脂であって、前記ジカルボン酸成分にシュウ酸化合物を含み、前記ジアミン成分に2種類以上のジアミンを含むブロック共重合ポリアミド樹脂である。
本発明により、従来の共重合ポリアミド樹脂と比較し、結晶化速度が速いブロック共重合ポリオキサミド樹脂が提供できる。
本発明は、ジカルボン酸成分とジアミン成分を含むポリアミド樹脂であって、前記ジカルボン酸成分にシュウ酸化合物を含み、前記ジアミン成分に2種類以上のジアミンを含むブロック共重合ポリアミド樹脂である。
[ブロック共重合ポリアミド]
本発明のブロック共重合ポリアミドは、従来の2種以上のポリアミドの原料を同時に重合した共重合ポリアミド(ランダム共重合ポリアミド)に比べ、ランダム性が少なく、ブロック性を有している為、同じジアミン成分とジカルボン酸成分が連続した構造を多く含むことになり、結晶化時間が短い。
本発明のブロック共重合ポリアミドは、従来のランダム共重合ポリアミドに比べ、よりブロック性を有する観点から、結晶化時間が1.5分以下であることが好ましく、1.2分以下であることがより好ましく、1.0分以下であることが更に好ましい。
また、本発明のブロック共重合ポリアミドは、同じ共重合組成比のランダム共重合ポリアミドの結晶化時間に比べ、結晶化時間が5%以上短縮されていることが好ましく、30%以上短縮されていることがより好ましい。以下、この短縮率を結晶化短縮率と称する。
結晶化時間は、DSCを用いて窒素雰囲気下で測定する。測定は、融点+20℃まで100℃/分の速度で昇温し、融点+20℃で10分保持したのち、融点−20℃まで500℃/分の速度で降温し、融点−20℃で保持し等温結晶化させ、融点−20℃に到達してから結晶化による発熱ピークのピークトップが確認されるまでの時間を結晶化時間とする。結晶化時間の測定で用いる融点は、窒素雰囲気下でDSCを用い、30℃から300℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、300℃で3分保持したのち、30℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に340℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温セカンドランと呼ぶ)、昇温セカンドランの吸熱ピークの高温側のピーク端の温度とする。
結晶性は、ポリアミド中の結晶が融解するのに必要と思われるDSCで測定される融解熱量で判断する。
本発明のブロック共重合ポリアミドは、従来のランダム共重合ポリアミドに比べ、よりブロック性を有する観点から、融解熱量(ΔH)が、35J/g以上であることが好ましく、40J/g以上であることがより好ましく、45J/g以上であることがさらに好ましい。
(1)ジカルボン成分
本発明のジカルボン酸成分は、蓚酸化合物を含む。
本発明のポリアミド樹脂に用いるシュウ酸化合物は、蓚酸由来の単位を提供する化合物であり、蓚酸及び/又は蓚酸ジエステル等の蓚酸に由来した化合物であり、アミノ基との反応性を有するものであればよい。重合温度を高くして、ポリアミド樹脂を製造する場合、蓚酸そのものを原料として使用すると、蓚酸が熱分解することもあることから、重合温度を高くして、製造する場合の蓚酸化合物は、蓚酸に由来した化合物が好ましい。
蓚酸に由来した化合物としては、重縮合反応における副反応を抑制する観点から蓚酸ジエステルが好ましい。
蓚酸ジエステルとしては、脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、及び芳香族アルコールの蓚酸ジエステルが挙げられる。
脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステルとしては、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジn−(又はi−)プロピル、蓚酸ジn−(又はi−、又はt−)ブチルが挙げられ、炭素原子数が3を超える脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステルが好ましく、蓚酸ジn−ブチル、蓚酸ジi−ブチル及び/又は蓚酸ジt−ブチルがより好ましく、蓚酸ジn−ブチルがさらに好ましい。
脂環式アルコールの蓚酸ジエステルとしては、蓚酸ジシクロヘキシル等が挙げられる。
芳香族アルコールの蓚酸ジエステルとしては、蓚酸ジフェニル等が挙げられる。
上記の蓚酸ジエステルの中でもジアミンとの反応性の観点から、炭素原子数が3を超える脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、脂環式アルコールの蓚酸ジエステル及び芳香族アルコールの蓚酸ジエステルからなる群より選択される少なくとも1種の蓚酸ジエステルが好ましく、蓚酸ジブチル及び/又は蓚酸ジフェニルがより好ましい。
これらの蓚酸化合物は、単独で、あるいは2種以上で、蓚酸化合物を原料とするポリアミド樹脂の製造時に添加することができる。
全ジカルボン酸成分中に含まれる蓚酸化合物の量は、結晶性と低吸水性に優れたポリアミド樹脂を得る観点から、80mol%以上100mol%以下が好ましく、90mol%以上100mol%以下がより好ましく、95mol%以上100mol%以下がさらに好ましい。
また、ジカルボン酸成分には、本発明の効果を損なわない範囲で他の蓚酸化合物以外のジカルボン酸化合物を含む事ができる。
蓚酸化合物以外のジカルボン酸化合物としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン、芳香族ジカルボン酸およびそれに由来した化合物が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸が挙げられる。
これらの蓚酸化合物以外のジカルボン酸化合物は、単独で、あるいは2種以上で、ポリアミド樹脂の製造時に添加することができる。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸を蓚酸化合物以外のジカルボン酸の有無に関わらず、溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
蓚酸化合物を原料とするポリアミド樹脂に含まれる蓚酸化合物以外のジカルボン酸及び/又は多価カルボン酸由来の単位の含有量は、蓚酸化合物を原料とするポリアミド樹脂に含まれる全ジカルボン酸及び全多価カルボン酸由来の単位の総量中に、50モル%未満が好ましく、20モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下がさらに好ましく、1モル%以下がさらに好ましい。
(2)ジアミン成分
本発明のジアミン成分は2種以上のジアミンを含む。ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミン、1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミン等をあげることができ、これらのうち2種以上を使用することができる。
上記のジアミンの中でも、得られるブロック共重合ポリアミド樹脂の成形加工性の観点から、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンよりなる群から選択される2種類以上のジアミンが好ましく、1,6−ヘキサンジアミン及び1,10−デカンジアミンがより好ましい。
本発明のブロック共重合ポリアミド樹脂の全ジアミン成分中に含まれる1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンよりなる群から選択される2種類以上のジアミン2種以上のジアミンの量は、得られるブロック共重合ポリアミド樹脂の成形加工性の観点から、50mol%以上100mol%以下が好ましく、60mol%以上100mol%以下がより好ましく、80mol%以上100mol%以下がさらに好ましい。
[ブロック共重合ポリアミド樹脂の製造方法]
本発明のポリアミド樹脂の製造方法は、2種類以上のジアミンの内、少なくとも1種のジアミンをシュウ酸化合物中に先に投入(1回目の投入)し、その後、先に投入した少なくとも1種のジアミンとは別のジアミンを含むジアミンを投入(2回目の投入)することができればよい。1回目と2回目の投入間隔は、ジアミンとシュウ酸化合物がある程度重合していれば良く、ジアミンとシュウ酸化合物の反応は非常に早く、また、調整も可能である為、特に制限はなく、数秒から数時間でもかまわない。本発明のポリアミド樹脂の製造方法の具体例としては、例えば、まずシュウ酸化合物を容器内に仕込み、窒素置換する。容器は、後に行う重縮合反応の温度および圧力に耐え得るものであれば、特に制限されない。その後、ジアミンの投入温度まで昇温させる。次いで1種以上のジアミンを投入し、重合を開始させる。次いで1回目のジアミンとは別のジアミンを含むジアミンを投入し、さらに重合させる。さらにジアミンを投入する場合は(3回目以降の投入)、同様の操作を繰り返す。尚、ジアミンを3回以上投入する場合は、3回以上の内の1回以上他の回と異なるジアミンを投入すればよい。
ジアミンの投入温度は、シュウ酸化合物および投入するジアミンの融点以上、沸点未満の温度が好ましく、かつシュウ酸化合物と投入したジアミンの反応により製造されるブロック共重合ポリアミドが熱分解しない温度であれば良い。例えば、シュウ酸化合物としてシュウ酸ジブチルを用い、1回目に1,6−ヘキサンジアミンを投入し、2回目で1,10−デカンジアミンを投入する場合、投入温度は70℃から280℃が好ましい。投入温度が反応によって生成するアルコールの沸点以上の場合、アルコールを留去、凝縮する装置を備えた容器を用いるのが望ましい。また、反応によって生成するアルコール存在下で加圧重合する場合には、耐圧容器を用いる。ここで、高い結晶性を有するブロック共重合ポリアミドを製造する観点から、シュウ酸化合物と各回で投入するジアミンのモル比は、シュウ酸化合物/各回で注入するジアミンで10〜1.1、好ましくは5〜1.2である。また高分子量のブロック共重合ポリアミドを製造する観点から、シュウ酸化合物と投入したジアミン全量のモル比は、シュウ酸化合物/ジアミン全量で、0.8〜1.2、好ましくは0.91〜1.09、更に好ましくは0.98〜1.02である。
さらに、高分子量にするには、後重合を行なうのが好ましい。具体的には、雰囲気温度を製造されるブロック共重合ポリアミドの融点以上かつ熱分解しない温度以下に昇温し(例えば、1,6−ヘキサンジアミンと1,10−デカンジアミンとシュウ酸ジブチルから製造されるブロック共重合ポリアミドの場合、240℃から330℃に昇温するのが好ましい。)、生成したアルコールを留去しながら必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下を継続して重合を行う。加圧重合した場合の後重合は、放圧しながら、生成したアルコールを留去し、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重合を行う。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は760〜0.1Torrである。また、生成したアルコールは水冷コンデンサで冷却して液化し、回収するのが好ましい。
また、本発明のブロック共重合ポリアミド樹脂には本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のブロック共重合ポリアミド樹脂以外のポリアミドを含んでもよい。たとえば、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドなどが挙げられる。ブロック共重合ポリアミド樹脂以外のポリアミドは、ブロック共重合ポリアミド樹脂全量に対し、0wt%以上〜40wt%以下含むことが好ましく、0wt%以上〜20wt%以下含むことがより好ましい。
更に、本発明のブロック共重合ポリアミド樹脂には本発明の効果を損なわない範囲でポリアミド以外の熱可塑性樹脂を含んでよい。ポリアミド以外の熱可塑性樹脂は、ブロック共重合ポリアミド樹脂全量に対し、0wt%以上〜30wt%以下含むことが好ましく、0wt%以上〜10wt%以下含むことがより好ましい。
本発明のブロック共重合ポリアミド樹脂には本発明の効果を損なわない範囲で、ガラス繊維、、炭素繊維、タルク、難燃剤、難燃助剤、可塑剤等の各種充填材を含んでもよい。同様に銅化合物などの安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、潤滑剤等の各種添加剤を含んでよい。
これらの樹脂、充填材、添加剤は、重合時、溶融混練時、乾燥時、ブレンド時、成形時等のいつ段階でも、本発明のブロック共重合ポリアミド樹脂に含めてよい。
(5)ポリアミド樹脂の成形加工
本発明のブロック共重合ポリアミド樹脂の成形方法としては、射出、押出、中空、プレス、ロール、発泡、真空・圧空、延伸などポリアミドに適用できる公知の成形加工法はすべて可能であり、これらの成形法によってフィルム、シート、成形品、繊維などに加工することができる。
(6)ポリアミド成形物の用途
本発明のブロック共重合ポリアミド樹脂の成形物は、従来ポリアミド成形物が用いられてきた各種成形品、シート、フィルム、パイプ、チューブ、モノフィラメント、繊維、容器等として自動車部材、コンピューター及び関連機器、光学機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木・建築用品、医療用品、家庭用品など広範な用途に使用できる。
[評価方法]
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。なお、以下の方法で成形、測定、評価を行った。
(1)相対粘度(ηr)
オストワルド型粘度計を用い、96質量%硫酸と、96質量%硫酸を溶媒に用いたポリアミド濃度1.0g/dlの溶液の25℃での落下時間を測定し、式(1)より相対粘度を求めた。
相対粘度(ηr)
=ポリアミド濃度1.0g/dlの溶液の落下時間/96質量%硫酸の落下時間(1)
(2)融点(Tm)、結晶化温度(Tc)及び融解熱量(ΔH)
PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSCを用いて窒素雰囲気下で、以下の実施例・比較例のポリアミド樹脂の融点Tm、結晶化温度Tc及び融解熱量ΔHを測定した。手順は、30℃から300℃まで10℃/分の速度で昇温する昇温ファーストランを行い、300℃で3分保持したのち、30℃まで10℃/分の速度で降温する降温ファーストランを行い、340℃まで10℃/分の速度で昇温する昇温セカンドランを行なう。
得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度を結晶化温度Tcとした。さらに昇温セカンドランの吸熱ピーク温度を融点Tmとし、その吸熱ピーク面積から融解熱ΔHを算出した。
(3)結晶化時間(tmax)
結晶化時間(tmax)の測定には、(2)で得られた昇温セカンドランのDSCチャートの吸熱ピークの高温側ピーク端の温度をTm’として用いる。
PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSCを用いて窒素雰囲気下で以下の実施例・比較例のポリアミド樹脂の結晶化時間(tmax)を測定した。手順は、Tm’+20℃まで100℃/分の速度で昇温し、Tm’+20℃で10分保持したのち、Tm’−20℃まで500℃/分の速度で降温し、Tm’−20℃で保持し等温結晶化させた。Tm’−20℃に到達してから結晶化による発熱ピークのピークトップが確認されるまでの時間を結晶化時間(tmax)とした。
(4)結晶化時間短縮率
(3)で測定した結晶化時間(tmax)を用いて、同じ共重合組成比のランダム共重合体の結晶化時間(tmax’)に対する短縮率、即ち、結晶化時間短縮率を以下の式(2)より求めた。
結晶化時間短縮率(%)=100−(100×tmax/tmax’)(2)
[実施例1]
撹拌機、窒素導入管、原料投入口、ブタノール留出管を備えた内容積が500mLのセパラブルフラスコの容器内を13.3Pa以下の減圧下に保ち、次いで窒素ガスを常圧まで導入する操作を5回繰り返した後、漏斗を用いてシュウ酸ジブチル110g(0.544モル)を仕込んだ。このセパラブルフラスコをオイルバス中に設置して120℃に昇温した後、1,6−ヘキサンジアミン25.3g(0.218モル)を容器内に注入した。注入後2時間反応させ、次いで1,10−デカンジアミン56.2g(0.326モル)を容器内に注入した。ジアミン注入により、重縮合反応で生成した重合物が容器内に析出し、同時に生成したブタノールの一部が留出した。なお、原料仕込みから反応終了までの全ての操作は100ml/分の窒素気流下で行った。
上記操作によって得られた前重合物約10gを撹拌機、空冷管、窒素導入管を備えた直径約35mmφのガラス製反応管に仕込み、反応管内を13.3Pa以下の減圧下に保ち、次いで窒素ガスを常圧まで導入する操作を5回繰り返した後に、190℃に保った塩浴に移し、50ml/分の窒素気流下、2時間重縮合反応を行った。1時間かけて塩浴の温度を265℃とした後、さらに4時間反応させた。続いて塩浴から取り出し、50ml/分の窒素気流下で室温まで冷却して生成物を得た。得られたものは白色の強靭な重合物であった。
[実施例2]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、ポリマー取出口、及び直径1/8インチのSUS316製配管によって原料フィードポンプを直結させた原料投入口を備えた5Lの耐圧容器に、シュウ酸ジブチル1015g(5.02モル)を仕込み、耐圧容器内を窒素ガスで3.0MPaGに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出し、封圧下、系内を昇温した。20分間かけて内部温度を190℃にした後、1,6−ヘキサンジアミン292g(2.51モル)を原料フィードポンプにより反応容器内に注入した。注入後、2時間反応させ、次いで1,10−デカンジアミン432g(2.51モル)を同様に注入した。ジアミン全量注入直後の耐圧容器内の内圧は、重縮合反応により生成した1−ブタノールによって0.60MPaGまで上昇し、内部温度は195℃まで上昇した。注入直後から生成したブタノールの留去を開始し、内圧を0.50MPaGに保持したまま、2時間かけて内部温度を255℃まで昇温させた。内部温度が255℃に達した直後から放圧口より重縮合反応によって生成した1−ブタノールを20分間かけて抜き出した。放圧後、260ml/分の窒素気流下において昇温を開始し、1時間かけて内部温度を280℃まで昇温し、280℃において1時間保持した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で3MPaGに加圧して10分間静置した後、内圧0.5MPaGまで放圧し、重合物を圧力容器下部より抜き出した。抜き出した重合物は、直ちに水で冷却し回収した。
[実施例3]
シュウ酸ジブチル1008g(4.98モル)、1,6−ヘキサンジアミン347g(2.99モル)、1,10−デカンジアミン344g(2.00モル)を用い、0.50MPaG下で260℃まで昇温させ、窒素気流下で285℃まで昇温させた以外は実施例2と同様に行った。
[比較例1]
撹拌機、窒素導入管、原料投入口、ブタノール留出管を備えた内容積が500mLのセパラブルフラスコの容器内を13.3Pa以下の減圧下に保ち、次いで窒素ガスを常圧まで導入する操作を5回繰り返した後、漏斗を用いてシュウ酸ジブチル106g(0.524モル)を仕込んだ。このセパラブルフラスコをオイルバス中に設置して120℃に昇温した後、1,6−ヘキサンジアミン24.4g(0.210モル)と1,10−デカンジアミン54.2g(0.315モル)を容器内に注入した。ジアミン注入により、重縮合反応で生成した重合物が容器内に析出し、同時に生成したブタノールの一部が留出した。なお、原料仕込みから反応終了までの全ての操作は100ml/分の窒素気流下で行った。
上記操作によって得られた前重合物約10gを撹拌機、空冷管、窒素導入管を備えた直径約35mmφのガラス製反応管に仕込み、反応管内を13.3Pa以下の減圧下に保ち、次いで窒素ガスを常圧まで導入する操作を5回繰り返した後に、190℃に保った塩浴に移し、50ml/分の窒素気流下、2時間重縮合反応を行った。1時間かけて塩浴の温度を265℃とした後、さらに4時間反応させた。続いて塩浴から取り出し、50ml/分の窒素気流下で室温まで冷却して生成物を得た。得られたものは白色の強靭な重合物であった。
[比較例2]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、ポリマー取出口、及び直径1/8インチのSUS316製配管によって原料フィードポンプを直結させた原料投入口を備えた5Lの耐圧容器に、シュウ酸ジブチル1013g(5.01モル)を仕込み、耐圧容器内を窒素ガスで3.0MPaGに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出し、封圧下、系内を昇温した。20分間かけて内部温度を190℃にした後、1,6−ヘキサンジアミン291g(2.50モル)と1,10−デカンジアミン432g(2.51モル)を反応容器に注入した。ジアミン全量注入直後の耐圧容器内の内圧は、重縮合反応により生成した1−ブタノールによって0.65MPaGまで上昇し、内部温度は198℃まで上昇した。注入直後から生成したブタノールの留去を開始し、内圧を0.50MPaGに保持したまま、2時間かけて内部温度を265℃まで昇温させた。内部温度が265℃に達した直後から放圧口より重縮合反応によって生成した1−ブタノールを20分間かけて抜き出した。放圧後、260ml/分の窒素気流下において昇温を開始し、1時間かけて内部温度を285℃まで昇温し、285℃において1時間保持した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で3MPaGに加圧して10分間静置した後、内圧0.5MPaGまで放圧し、重合物を圧力容器下部より抜き出した。抜き出した重合物は、直ちに水で冷却し回収した。
[比較例3]
シュウ酸ジブチル1010g(4.99モル)、1,6−ヘキサンジアミン348g(2.99モル)、1,10−デカンジアミン344g(2.00モル)を用い、0.50MPaG下で275℃まで昇温させ、窒素気流下で290℃まで昇温させた以外は比較例2と同様に行った。
実施例1〜3、および比較例1〜3によって得られたポリアミド樹脂の相対粘度、融点Tm、結晶化温度Tc、融解熱量ΔH、結晶化時間tmax、結晶化時間短縮率を表1に示す。
Figure 0006464567
表1の実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3を比べると、実施例は結晶化時間tmaxが小さく結晶化が早いことがわかる。加えて、実施例は融解熱量ΔHが大きく結晶性が高いことがわかる。本発明のポリアミド樹脂はブロック性を有する共重合ポリアミド樹脂であることがわかる。
本発明のポリアミド樹脂は、以上詳述したように、結晶性が高く、結晶化速度が速いブロック共重合系ポリオキサミド樹脂である。このブロック共重合系ポリオキサミドは、結晶化速度が速いため射出成型用材料としても好適に使用できる。
Figure 0006464567

Claims (3)

  1. ジカルボン酸成分とジアミン成分を含むポリアミド樹脂であって、
    前記ジカルボン酸成分にシュウ酸化合物を含み、
    前記ジアミン成分に2種以上のジアミンを含み、
    前記ジアミンが、炭素数2〜18の2種以上のジアミンであるブロック共重合ポリアミド樹脂。
  2. 前記ジアミンが、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンよりなる群から選択される2種以上のジアミンである請求項1に記載のブロック共重合ポリアミド樹脂。
  3. 請求項1または2に記載のブロック共重合ポリアミド樹脂を用いて製造される成形品。
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