JP2015178562A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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聡史 西岡
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聡史 西岡
知之 中川
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知之 中川
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Shuichi Maeda
修一 前田
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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、且つ高い結晶性を有するポリアミド樹脂を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂組成物は、ジカルボン酸成分由来の単位として、蓚酸化合物由来の単位を含むポリアミド樹脂を含む。ポリアミド樹脂は、ジアミン成分由来の単位として、1,5−ペンタンジアミン由来の単位及び1,6−ヘキサンジアミン由来の単位とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド6、ポリアミド66等に代表される結晶性ポリアミド樹脂は、その優れた特性と溶融成形の容易さから、衣料用、産業資材用繊維、あるいは汎用のエンジニアリングプラスチックとして広く用いられている。但し、ポリアミド樹脂は、アミド結合を有しているため、吸水しやすい。ポリアミド樹脂が吸水すると、ポリアミド樹脂材の寸法や物性が変化する。このため、吸水率が低いポリアミド樹脂に対する要求が高まっている。
吸水率が低いポリアミド樹脂としては、ジカルボン酸成分として蓚酸化合物を用いるポリオキサミド樹脂が知られている(特許文献1を参照。)。これまでに、ジアミン成分として種々の脂肪族直鎖ジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が提案されている。例えば、非特許文献1には、ジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。非特許文献2には、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂(以下、PA92ともいう。)が開示されている。非特許文献3には、ジアミン成分として1,4−ブタンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。特許文献2には、ジアミン成分として炭素数2〜20のジアミンを用い、ジカルボン酸エステルとして蓚酸ジブチルを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。特許文献3には、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンの2種のジアミンを特定の比率で用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。特許文献4には、種々ジアミン成分と、蓚酸とを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。
また特許文献5には、ジアミン成分として、1,6−ヘキサンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が示されている。特許文献5には、特許文献5に記載のポリオキサミド樹脂は、高耐熱性で溶融成形性に優れることが述べられている。
特開2006−57033号公報 特表平5−506466号公報 国際公開第2008/072754号公報 米国特許第2130948号 国際公開第2011/136263号公報
S. W. Shalaby, J. Polym. Sci., 11, 1 (1973) L. Franco et al., Macromolecules, 31, 3912 (1998) R. J. Gaymans et al., J. Polym. Sci. Polym. Chem. Ed., 22, 1373 (1984)
ポリアミド樹脂を用いる成形品の生産性を向上させる為、成形サイクルを短縮したいという要望がある。
本発明の主な目的は、成形サイクルを短縮できるポリアミド樹脂を提供することにある。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を含む。ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分由来の単位と、ジアミン成分由来の単位とを含む。ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分由来の単位として、蓚酸化合物由来の単位を含む。本発明に係るポリアミド樹脂は、ジアミン成分由来の単位として、1,5−ペンタンジアミン由来の単位及び1,6−ヘキサンジアミン由来の単位とを含む。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂の、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融解熱量が47J/g以上であることが好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂の、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融点が250℃以上であることが好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂の、窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した結晶化温度と、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定したポリアミド樹脂の融点との温度差が20℃以下であることが好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物では、1,5−ペンタンジアミン由来の単位と、1,6−ヘキサンジアミン由来の単位とのモル比(1,5−ペンタンジアミン由来の単位:1,6−ヘキサンジアミン由来の単位)が、5:95〜95:5であることが好ましい。
本発明によれば、成形サイクルを短縮できるポリアミド樹脂を提供することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ジカルボン酸成分由来の単位と、ジアミン成分由来の単位とを含むポリアミド樹脂を含む。ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分由来の単位として、蓚酸化合物由来の単位を含む。本発明において、ポリアミド樹脂は、ジアミン成分由来の単位として、1,5−ペンタンジアミン由来の単位及び1,6−ヘキサンジアミン由来の単位を含む。
一般に、ポリアミド樹脂は、下記式(1):
(式中、Rは、単結合又は2価の有機基である。)で表されるジカルボン酸成分由来の単位と、下記式(2):
(式中、R′は、2価の有機基である)で表されるジアミン成分由来の単位とが、アミド結合を形成して結合したユニットを有するポリマーである。
[ジカルボン酸成分]
本発明において、ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分由来の単位として蓚酸化合物由来の単位を含む。すなわち、本発明において、ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分由来の単位として、下記式(1′)
で表される蓚酸化合物由来の単位を含む。
本発明において、「蓚酸化合物」は、蓚酸又は蓚酸の他の物質との化合物との総称である。本発明において、蓚酸化合物には、例えば、蓚酸、蓚酸塩、蓚酸エステル、蓚酸エステル塩等が含まれる。
蓚酸化合物由来の単位を構成するために用いる蓚酸化合物は、ジアミン成分が有するアミノ基とアミド結合を形成し得、かつ上記式(1′)で表される単位を誘導しうる化合物であればよい。好ましく用いられる蓚酸化合物としては、蓚酸、蓚酸塩、蓚酸モノエステル、蓚酸モノエステル塩、蓚酸ジエステル等が挙げられる。
重縮合反応における副反応を抑制する観点から、蓚酸ジエステルが好ましく用いられる。好ましく用いられる蓚酸ジエステルの具体例としては、例えば、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジノルマルプロピル、蓚酸ジイソプロピル、蓚酸ジノルマルブチル、蓚酸ジイソブチル、蓚酸ジセカンダリブチル、蓚酸ジターシャリブチル、炭素数が1から6であるアルコキシ基を有するシュウ酸ジエステル、炭素数が2から6であるシクロアルコキシ基を有するシュウ酸ジエステル、蓚酸ジアリールエステル等が挙げられる。中でも蓚酸ジブチル及び蓚酸ジフェニルがより好ましく、蓚酸ジブチルがさらに好ましく用いられる。炭素数が1から6であるアルコキシ基を有するシュウ酸ジエステルの具体例としては、例えば、蓚酸ジヘキシル等が挙げられる。炭素数が2から6であるシクロアルコキシ基を有するシュウ酸ジエステルの具体例としては、例えば、蓚酸ジシクロヘキシル等が挙げられる。蓚酸ジアリールエステルの具体例としては、例えば、蓚酸ジフェニル等が挙げられる。
本発明の効果を発揮する観点から、本発明において、ポリアミド樹脂中に含まれるジカルボン酸成分由来の単位全量に対し、蓚酸化合物由来の単位が75モル%以上100モル%以下含まれる事が好ましく、85モル%以上100モル%以下含まれる事がより好ましく、90モル%以上100モル%以下含まれる事がさらに好ましく、95モル%以上100モル%以下含まれる事がなお好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、蓚酸化合物以外の他のジカルボン酸成分由来の単位や、多価カルボン酸成分由来の単位を含んでもよい。したがって、本発明において、ポリアミド樹脂の製造において、ジカルボン酸成分として、蓚酸化合物に加えて、他のジカルボン酸を併用してもよい。そのような他のジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等が挙げられる。脂環式ジカルボン酸の具体例としては、例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。これらのジカルボン酸の一種又は二種以上を、蓚酸化合物に加えて、重縮合反応時に添加することもできる。さらに、溶融成形が可能な範囲内で、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を蓚酸化合物に加えて、重合反応時に添加することもできる。
蓚酸化合物以外のジカルボン酸成分を使用する場合、蓚酸化合物以外のジカルボン酸の割合は、ジカルボン酸成分全量に対して、25モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下がなお好ましく、0モル%であること(即ち、ジカルボン酸成分が実質的に蓚酸化合物のみからなること)がさらに好ましい。本発明において、ポリアミド樹脂において、蓚酸化合物以外のジカルボン酸由来の単位の割合は、ジカルボン酸由来の単位全量に対して、25モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下がなお好ましく、0モル%であることがさらに好ましい。
[ジアミン成分]
本発明において、ポリアミド樹脂は、ジアミン成分由来の単位として1,5−ペンタンジアミン由来の単位と、1,6−ヘキサンジアミン由来の単位との両方を含む。本発明において、ポリアミド樹脂は、ジアミン成分由来の単位として、1,5−ペンタンジアミン由来の単位及び1,6−ヘキサンジアミン由来の単位を含む。1,5−ペンタンジアミン由来の単位は、上記式(2)において、R′が、ペンタメチレンである単位である。1,6−ヘキサンジアミン由来の単位は、上記式(2)において、R′が、ヘキサメチレンである単位である。
1,5−ペンタンジアミン由来の単位と、1,6−ヘキサンジアミン由来の単位とのモル比(1,5−ペンタンジアミン由来の単位:1,6−ヘキサンジアミン由来の単位)は、5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましく、15:85〜85:15であることがさらに好ましい。
本発明の効果を発揮する観点から、本発明において、ポリアミド樹脂中に含まれるジアミン成分由来の単位全量に対し、1,5−ペンタンジアミン由来の単位及び1,6−ヘキサンジアミン由来の単位の合計が75モル%以上100モル%以下含まれる事が好ましく、85モル%以上100モル%以下含まれる事がより好ましく、90モル%以上100モル%以下含まれる事がさらに好ましく、95モル%以上100モル%以下含まれる事がなお好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、1,5−ペンタンジアミン由来の単位及び1,6−ヘキサンジアミン由来の単位以外の他のジアミン成分由来の単位を含んでもよい。本発明において、ポリアミド樹脂の製造において、ジアミン成分として、1,5−ペンタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミンに加えて、他のジアミンを併用してもよい。そのような他のジアミン成分としては、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。好ましく用いられる脂肪族ジアミンの具体例としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等が挙げられる。好ましく用いられる脂環式ジアミンの具体例としては、例えば、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。芳香族ジアミンの具体例としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミン等が挙げられる。これらのジアミンの内の一種又は二種以上を、1,5−ペンタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミンに加えて、重縮合反応時に添加することもできる。
1,5−ペンタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミン以外のジアミンの割合は、全ジアミンに対して、25モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることがなお好ましく、0モル%(即ち、ジアミン成分が、実質的に、1,5−ペンタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミンのみからなること)がさらに好ましい。
1,5−ペンタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミン以外のジアミン由来の単位の割合は、全ジアミン由来の単位に対して25モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることがなお好ましく、0モル%がさらに好ましい。
[ポリアミド樹脂]
本発明に用いられるポリアミド樹脂において、ジカルボン酸成分とジアミン成分の割合(モル比)(ジカルボン酸成分:ジアミン成分)は、0.8〜1.5であることが好ましく、0.91〜1.1であることがより好ましく、0.99〜1.01であることがさらに好ましい。
[ポリアミド樹脂の相対粘度ηr]
ポリアミド樹脂の濃度が1.0g/dlの96%濃硫酸溶液を用い、25℃で測定した相対粘度ηrは、好ましくは1.5〜6.0であり、より好ましくは1.6〜4.5であり、さらに好ましくは1.8〜3.5であり、なお好ましくは1.8〜3.0である。ポリアミド樹脂の相対粘度を上記のような範囲とすることにより、溶融成形により得られた成形物の脆弱性を低下させることができる。また、溶融成形時の溶融樹脂の粘度を低くできるため、加工性を改善することができる。
なお、相対粘度ηrは、例えば、後述するポリアミド樹脂の後重合工程での溶融重合における減圧度を調節することにより調節することができる。具体的には、減圧度を高めることにより、相対粘度ηrを増大させることができる。
[ポリアミド樹脂の熱特性及び低吸水性]
本発明において、ポリアミド樹脂の融点Tmは、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃〜320℃である。ポリアミド樹脂の融点を上記の範囲とことにより、高い耐熱性を実現することができる。また、後述するポリアミド樹脂の溶融重合時の温度を低下させることができる。このため、ポリアミド樹脂の溶融重合時において、熱分解が起こり高分子量化が阻害されることを抑制し得る。よって、ポリアミド樹脂を高分子量化し、溶融されたポリアミド樹脂の相対粘度を増加させることが可能となる。
なお、本発明において、ポリアミド樹脂の融点Tmは、別に記載のない限り、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定したDSCチャートにおける吸熱ピーク温度を意味する。
窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定したDSCチャートにおける吸熱ピーク面積から算出されるポリアミド樹脂の融解熱量ΔHmは、好ましくは45J/g以上であり、より好ましくは48J/g以上であり、さらに好ましくは50J/g以上であり、なお好ましくは60J/g以上であり、さらに好ましくは70J/g以上である。ポリアミド樹脂の融解熱量ΔHmをこのような範囲とすることにより、ポリアミド樹脂の結晶性をさらに向上させ得る。
本発明において、ポリアミド樹脂の結晶化温度Tcは、240℃以上であることが好ましく、240℃〜300℃の範囲内にあることがより好ましく、244℃〜295℃の範囲内にあることがさらに好ましい。ポリアミド樹脂の結晶化温度を上記の範囲とすることにより、溶融されたポリアミド樹脂の優れた成形性と、高い結晶性とを両立させ得る。
なお、本発明において、ポリアミド樹脂の結晶化温度Tcは、別に記載のない限り、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定したDSCチャートにおける発熱ピーク温度を意味する。
本発明において、ポリアミド樹脂は、高い結晶性を有している。このため、本発明のポリアミド樹脂組成物は、従来のポリオキサミド樹脂に比べて成形サイクル性が高い。より高い成形サイクル性を有する観点から、本発明において、ポリアミド樹脂の結晶化温度Tcと融点Tmとの温度差は、好ましくは20℃以下、より好ましくは18℃以下、さらに好ましくは15℃以下である。このようにすることにより、溶融した樹脂が冷却されて固化するまでの時間が短くなり、1回の成形にかかる時間を短縮することができる。以下、この特性のことを、「成形サイクル性」と称する。
本発明において、ポリアミド樹脂の飽和吸水率は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%〜2.8%の範囲、さらに好ましくは1.0%〜2.5%の範囲である。ポリアミド樹脂の飽和吸水量を上記の範囲とすることにより、ポリアミド樹脂が吸水したときの物性変化や寸法変化の度合いを小さくすることができる。
なお、本発明において、ポリアミド樹脂の飽和吸水率の測定は、別に記載のない限り、後述する実施例に記載の測定法によるものである。
[ポリアミド樹脂の製造]
本発明において、ポリアミド樹脂は、例えば、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。本発明において、ポリアミド樹脂の好ましい製造方法としては、高分子量化および生産性の観点から、ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させる方法が挙げられる。
ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させる方法には、(i)二段重合法と、(ii)加圧重合法とがある。(i)二段重合法と(ii)加圧重合法とは、それぞれ、前重縮合工程と後重縮合工程とを備える。
(i)二段重合法:前重縮合工程
まず、反応器内を窒素置換する。その後、1,5−ペンタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミンを含むジアミン成分と、蓚酸化合物を含むジカルボン酸成分とを混合する。例えば、ジアミン成分を溶解させたトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対してジカルボン酸成分を加える。
ジアミン成分とジカルボン酸成分とを混合する場合に、ジアミン成分及びジカルボン酸成分が共に可溶な溶媒を用いても良い。ジアミン成分及びジカルボン酸成分が共に可溶な溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、フェノール系溶媒、ハロゲン化アルコール系溶媒等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素系溶媒の具体例としては、トリクロロベンゼン等が挙げられる。フェノール系溶媒の具体例としては、フェノール、クレゾール等が挙げられる。ハロゲン化アルコール系溶媒の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエタノール等が挙げられる。これらの溶媒のなかでも、トルエンがより好ましく用いられる。
ジカルボン酸成分とジアミン成分との仕込み比は、高分子量化の観点から、ジカルボン酸成分/ジアミン成分で、0.8〜1.5(モル比)であることが好ましく、0.91〜1.1(モル比)であることがより好ましく、0.99〜1.01(モル比)であることがさらに好ましい。
ジアミン成分である、1,5−ペンタンジアミンと1,6−ヘキサンジアミンとの仕込み比(モル比)は、1,5−ペンタンジアミン:1,6−ヘキサンジアミンで、5:95〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましく、15:85〜85:15であることがさらに好ましい。
次に、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを溶解させた液を導入した反応器内を攪拌及び窒素バブリングの少なくとも一方をしながら、常圧下で反応温度まで昇温する。反応温度は、最終到達温度が80℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃の範囲になるように制御することが好ましい。最終到達温度での反応時間は3時間〜6時間であることが好ましい。
(i)二段重合法:後重縮合工程
さらに高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において徐々に昇温する(昇温工程)。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度から、最終的に、好ましくは260℃以上350℃以下、より好ましくは270℃以上350℃以下、さらに好ましくは270℃以上345℃以下、なお好ましくは270℃以上340℃以下の温度にまで到達させ、昇温時間を含めて好ましくは1時間〜8時間、より好ましくは2時間〜6時間保持することが好ましい。後重合工程は、必要に応じて減圧雰囲気下で行ってもよい。後重合工程を減圧雰囲気下で行う場合の好ましい最終到達圧力は、0.1MPa未満13.3Pa以上である。
(ii)加圧重合法
ジアミン成分を耐圧容器内に入れ窒素置換した後、封圧下において反応温度まで昇温する。その後、反応温度において封圧状態を保ったまま蓚酸化合物を耐圧容器内に注入し、重縮合反応を開始させる。重縮合反応の反応温度は、ジアミン成分とジカルボン酸成分との反応によって生じるポリアミド樹脂が、スラリー状、もしくは溶液状態を維持でき、かつ熱分解しない程度の温度であれば特に制限されない。例えば、本発明の1,5−ペンタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミンと蓚酸ジブチルを原料として重縮合反応を行いポリオキサミド樹脂を合成する場合、重縮合反応の反応温度は、150℃から250℃であることが好ましい。
重縮合反応における、ジカルボン酸成分とジアミン成分との仕込み比(モル比)は、高分子量化の観点から、ジカルボン酸成分/ジアミン成分で、0.8〜1.5であることが好ましく、0.91〜1.1であることがより好ましく、0.99〜1.01であることがさらに好ましい。
ジアミン成分である、1,5−ペンタンジアミンと1,6−ヘキサンジアミンの仕込み比(モル比)は、1,5−ペンタンジアミン:1,6−ヘキサンジアミンで、5:95〜95:10であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましく、15:85〜85:15であることがさらに好ましい。
1,5−ペンタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミンと蓚酸ジブチルを原料とするポリオキサミド樹脂の融点は、250℃〜320℃である。このため、反応温度は、好ましくは260℃以上340℃以下であり、より好ましくは270℃以上340℃以下であり、更に好ましくは270℃以上330℃以下である。所定温度に到達するまでの耐圧容器内の圧力は、生成するアルコールの飽和蒸気圧から、好ましくはおよそ0.1MPaG以上、より好ましくは0.2MPaGから1MPaGであることが好ましい。所定温度に到達後は、生成したアルコールを留去しながら放圧し、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は、0.1MPa〜13.3Paである。 [成形及び成形品]
[ポリアミド樹脂組成物]
本発明の効果を発揮する観点から、本発明に用いられるポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂組成物全量に対し、60質量%以上100質量%以下が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく、80質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明に用いられるポリアミド樹脂以外のポリオキサミドや、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド等のポリアミド樹脂やポリアミド以外の熱可塑性ポリマー、エラストマー、を40質量%以下含んでいてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、フィラーや、補強繊維をポリアミド樹脂全量に対し、40質量%以下含んでもよい。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、銅化合物等の安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、ガラス繊維、可塑剤、潤滑剤等を重縮合反応時、またはその後に1質量%以下添加されていてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の成形方法としては、例えば、射出、押出、中空、プレス、ロール、発泡、真空・圧空、延伸等の従来のポリアミドに適用できる公知の成形加工法等が挙げられる。これらの成形法によって、本発明のポリアミド樹脂組成物を、フィルム、シート、成形品、繊維等に加工することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の成形物は、従来のポリアミド樹脂の成形物が用いられてきた各種成形品、シート、フィルム、パイプ、チューブ、モノフィラメント、繊維、容器等として自動車部材、コンピューター及び関連機器、光学機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木・建築用品、医療用品、家庭用品等の広範な用途に使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
[物性測定、成形、評価方法]
実施例中の相対粘度、融点、融解熱、結晶化温度及び飽和吸水率の測定、並びに耐薬品性及び耐加水分解性の評価は以下の方法により行った。
(1)相対粘度ηr
相対粘度ηrは、実施例1−4及び比較例1−4のそれぞれで得られたポリアミドの96%硫酸溶液(濃度:1.0g/dl)を使用して、オストワルド型粘度計を用いて25℃で測定した。
(2)融点Tm、融解熱ΔHm、結晶化温度Tc及び結晶化熱ΔHc
融点Tm及び結晶化温度Tcは、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSCを用いて窒素雰囲気下で測定した。
実施例1−5及び比較例1−5のそれぞれで得られたポリアミドの融点Tm及び結晶化温度Tcの測定に際しては、30℃から340℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ。)、340℃で3分保持した後、30℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ。)、次に340℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ。)。
得られたDSCチャートから求められる降温ファーストランの発熱ピーク温度を結晶化温度Tcとした。DSCチャートから求められる昇温セカンドランの吸熱ピーク温度を融点Tmとし、昇温セカンドランの吸熱ピーク面積から融解熱ΔHmを算出した。
得られた結晶化温度Tcおよび融点Tmから(Tm−Tc)を算出し、(Tm−Tc)が18℃以下の場合を成形サイクル性が優良であると評価した。(Tm−Tc)が19℃以上20℃以下の場合を、成形サイクル性が良であると評価した。(Tm−Tc)が21℃以上30℃以下である場合を、成形サイクル性が可であると評価した。(Tm−Tc)が31℃以上である場合を、成形サイクル性が不可である場合を評価した。
表1においては、成形サイクル性が、
優良である場合「◎」、
良である場合を「○」、
可である場合を「△」、
不可である場合を「×」で示した。
(3)フィルム成形
実施例1−5及び比較例6、7のそれぞれで得られたポリアミドに対し、東邦マシナリー社製真空プレス機TMB−10を用いて以下の方法でフィルム成形を行った。
各実施例及び比較例で得られたポリアミドを、500Pa〜700Paの減圧雰囲気下260℃〜330℃で3分間加熱溶融させた後、10MPaで1分間プレスを行いフィルム成形した。次に、減圧雰囲気を常圧まで昇圧した後、室温、5MPaで3分間冷却結晶化させてフィルム(厚さ:0.25mm)を得た。
(4)飽和吸水率
実施例1−5及び比較例6、7のそれぞれで得られたポリアミドを上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ:0.25mm;重量:約0.05g)を、23℃のイオン交換水に浸漬し、所定時間ごとにフィルムを取り出し、フィルムの重量を測定した。先に測定されたフィルムの重量に対して、フィルム重量の増加率が0.2%以下である測定が3回続いた場合にポリアミド樹脂フィルムにおいて水分が飽和したと判断した。水に浸漬する前のフィルムの重量(Xg)と飽和に達したときのフィルムの重量(Yg)から下記式(1)により飽和吸水率(%)を算出した。
(5)耐薬品性
実施例3、及び比較例6、7のそれぞれで得られたポリアミドを上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ:0.25mm;重量:約0.05g)を、各薬品(濃塩酸、64%硫酸、30%水酸化ナトリウム水溶液、5%過マンガン酸カリウム水溶液、及びベンジルアルコール)中に7日間浸漬した後に、フィルムの重量残存率(%)及び外観の変化を観測した。なお、フィルムの重量残存率は、薬品に浸漬前のフィルムの重量に対する、薬品に7日間浸漬した後のフィルムの重量の比((薬品に7日間浸漬した後のフィルムの重量)/(薬品に浸漬前のフィルムの重量))を百分率で示した値である。
なお、濃塩酸、64%硫酸、30%水酸化ナトリウム水溶液、及び5%過マンガン酸カリウム水溶液を用いた場合は、薬品の温度を23℃に保持した。ベンジルアルコールを用いた場合は、薬品の温度を50℃に保持した。
(6)耐加水分解性
実施例3及び比較例6のそれぞれで得られたポリアミドを上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ:0.25mm;重量:約0.05g)を、オートクレーブに入れ、水、0.5モル/l硫酸、1モル/l水酸化ナトリウム水溶液中でそれぞれ121℃、60分間処理した後の重量残存率(%)及び外観変化を観測した。フィルムの重量残存率は、処理前のフィルムの重量に対する、処理後のフィルムの重量の比((処理後のフィルムの重量)/(処理前のフィルムの重量))を百分率で示した値である。
[実施例1]
(i)前重縮合工程:撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、原料投入口を備えた内容積が1Lのセパラブルフラスコの内部を純度が99.9999%の窒素ガスで置換した。セパラブルフラスコに、脱水済みトルエン700ml、1,5−ペンタンジアミン5.11g(0.05モル)、1,6−ヘキサンジアミン52.2g(0.449モル)を仕込んだ。このセパラブルフラスコをオイルバス中に設置して50℃に昇温した後、蓚酸ジブチル101g(0.499モル)を仕込んだ。次に、オイルバスの温度を130℃まで昇温し、還流下、5時間反応を行った。なお、原料仕込みから反応終了までの全ての操作は50ml/分の窒素気流下で行った。
(ii)後重縮合工程:上記操作によって得られた前重合物を撹拌機、空冷管、窒素導入管を備えた直径約35mmφのガラス製反応管に仕込んだ。反応管内を13.3Pa以下の減圧下に保ち、次に常圧まで窒素ガスを導入する操作を5回繰り返した。その後、反応管を50ml/分の窒素気流下320℃に保った塩浴に移し、容器内を約66.5Paまで減圧し4時間反応させた。続いて常圧まで窒素ガスを導入したのち、塩浴から取り出し50ml/分の窒素気流下で室温まで冷却してポリアミド樹脂を得た。
[実施例2]
前重合工程において容積が300mlのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン120ml、1,5−ペンタンジアミン2.04g(0.02モル)、1,6−ヘキサンジアミン9.30g(0.08モル)、蓚酸ジブチル20.3g(0.100モル)を仕込み、後重合工程において310℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。
[実施例3]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、ポリマー取出口、及び直径1/8インチのSUS316製配管によって原料フィードポンプを直結させた原料投入口を備えた5Lの耐圧容器に、1,5−ペンタンジアミン256g(2.51モル)と1,6−ヘキサンジアミン292g(2.51モル)を仕込み、耐圧容器内を窒素ガスで3.0MPaGに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出し、封圧下、系内を昇温した。20分間かけて内部温度を190℃にした後、蓚酸ジブチル1015g(5.02モル)を原料フィードポンプにより流速65ml/分で反応容器内に注入した。全量注入直後の耐圧容器内の内圧は、重縮合反応により生成した1−ブタノールによって0.65MPaGまで上昇し、内部温度は197℃まで上昇した。
注入直後から生成したブタノールの留去を開始し、内圧を0.50MPaGに保持したまま、2時間かけて内部温度を270℃まで昇温させた。内部温度が270℃に達した直後から放圧口より重縮合反応によって生成した1−ブタノールを20分間かけて抜き出した。放圧後、260ml/分の窒素気流下において昇温を開始し、1時間かけて内部温度を280℃まで昇温し、280℃において1時間保持した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で3MPaGに加圧して10分間静置した後、内圧0.5MPaGまで放圧し、重合物を圧力容器下部より抜き出した。抜き出した重合物は、直ちに水で冷却し回収した。
[実施例4]
前重合工程において容積が300mlのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン120ml、1,5−ペンタンジアミン8.17g(0.08モル)、1,6−ヘキサンジアミン2.32g(0.02モル)、蓚酸ジブチル20.3g(0.100モル)を仕込み、後重合工程において290℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。
[実施例5]
前重合工程において容積が300mlのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン120ml、1,5−ペンタンジアミン9.20g(0.09モル)、1,6−ヘキサンジアミン1.16g(0.01モル)、蓚酸ジブチル20.3g(0.100モル)を仕込み、後重合工程において300℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。
[比較例1]
前重合工程において容積が300mlのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,6−ヘキサンジアミン8.62g(0.0742モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン2.16g(0.0186モル)、蓚酸ジブチル18.8g(0.0928モル)を仕込み、後重合工程において285℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。
[比較例2]
1,6−ヘキサンジアミン293g(2.525モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン293g(2.525モル)、蓚酸ジブチル1021g(5.05モル)を用い、0.50MPaG下で280℃まで昇温させ、窒素気流下で285℃まで昇温させた以外は実施例3と同様に行った。
[比較例3]
前重合工程において容積が300mLのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,6−ヘキサンジアミン2.30g(0.0198モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン9.19g(0.0791モル)、蓚酸ジブチル20.0g(0.0989モル)を仕込み、後重合工程において230℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。
[比較例4]
前重合工程において容積が300mLのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,6−ヘキサンジアミン11.7g(0.101モル)、蓚酸ジブチル20.4g(0.101モル)を仕込み、後重合工程において340℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。
[比較例5]
前重合工程において容積が300mLのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,5−ペンタンジアミン10.3g(0.101モル)、蓚酸ジブチル20.4g(0.101モル)を仕込み、後重合工程において310℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。
[比較例6]
ポリアミド樹脂に替えて、ナイロン6(宇部興産製、UBEナイロン 1015B)を用いて、上記(3)の条件でフィルム(厚さ:0.25mm)を成形した。得られたナイロン6のフィルムは無色透明の強靭なフィルムであった。このフィルムの飽和吸水率、耐薬品性、及び耐加水分解性を評価した。
[比較例7]
ポリアミド樹脂に替えて、ナイロン66(宇部興産製、UBEナイロン 2020B)を用いて、上記(3)の条件でフィルム(厚さ:0.25mm)を成形した。得られたナイロン66のフィルムは無色透明の強靭なフィルムであった。このフィルムの飽和吸水率、耐薬品性を評価した。
実施例1〜5及び比較例1〜5のそれぞれで得られたポリアミド樹脂のジアミン組成、相対粘度ηr、融点Tm、融解熱ΔHm及び結晶化温度Tcの測定の結果、並びに温度差(Tm−Tc)及び成形サイクル性の評価の結果を表1に示す。また実施例1〜5及び比較例6、7のポリアミド樹脂より得られたフィルムの飽和吸水率の測定の結果、並びに耐薬品性及び耐加水分解性の評価の結果を表2に示す。
表1より、実施例1〜5のポリアミド樹脂が、高い成形サイクル性(温度差(Tm−Tc))を有し、比較例1〜5のポリオキサミド樹脂と同等の耐熱性(融点Tm)及び結晶性(融解熱ΔHm)を有することがわかる。
表2より、実施例1〜5において得られた成形品(フィルム)が、比較例1〜5において得られた成形品よりも優れた低吸水性を有すると共に、優れた耐薬品性や耐加水分解性を有することがわかる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、産業資材、工業材料、家庭用品等の成形材料として好適に使用することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物は、例えば、各種成形品、シート、フィルム、パイプ、チューブ、モノフィラメント、繊維、容器等として自動車部材、コンピューター及び関連機器、光学機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木・建築用品、医療用品、家庭用品等広範な用途に使用できる。

Claims (5)

  1. ジカルボン酸成分由来の単位と、ジアミン成分由来の単位とを含むポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂組成物であって、
    前記ポリアミド樹脂は、
    前記ジカルボン酸成分由来の単位として、蓚酸化合物由来の単位を含み、
    前記ジアミン成分由来の単位として、1,5−ペンタンジアミン由来の単位及び1,6−ヘキサンジアミン由来の単位とを含む、ポリアミド樹脂組成物。
  2. 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した前記ポリアミド樹脂の融解熱量が47J/g以上である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した前記ポリアミド樹脂の融点が250℃以上である、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した前記ポリアミド樹脂の結晶化温度と、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した前記ポリアミド樹脂の融点との温度差が20℃以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記1,5−ペンタンジアミン由来の単位と、前記1,6−ヘキサンジアミン由来の単位とのモル比(1,5−ペンタンジアミン由来の単位:1,6−ヘキサンジアミン由来の単位)が、5:95〜95:5である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
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