以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、実施形態の微粒子検知システム1を搭載した車両AMの概略図である。図2は、本実施形態にかかる微粒子センサ10の断面図である。図3は、微粒子センサ10の分解斜視図である。図4は、微粒子検知システム1の概略図である。但し、図4では、微粒子検知システム1に含まれる制御装置200を中心に図示し、微粒子センサ10については一部(電線161等)のみを図示している。なお、図2において、微粒子センサ10の軸線方向GH(軸線AXが延びる方向、図2において上下方向)のうち、内側プロテクタ45が配置された側(図2において下方)を先端側GS、これと反対側の電線165,166等が延出する側(図2において上方)を基端側GKとする。
微粒子検知システム1(以下、単にシステム1ともいう)は、図1に示すように、微粒子センサ10と制御装置200とからなる。このシステム1は、車両AMに搭載したエンジンENGの排気管EPに装着され、排気管EP内を流通する排気ガスEG(被測定ガス)中のススなどの微粒子Sを検知する。詳細には、微粒子センサ10が、排気管EPに固定され、その先端側の一部が排気管EP内に配置されて、排気ガスEGに晒される(図2参照)。
制御装置200は、電線165〜168を介して微粒子センサ10に接続されており、微粒子センサ10を駆動するとともに、後述する信号電流Isを検知する回路を有している(図1、図4参照)。電線165〜168のうち、電線165,166は、三重同軸ケーブル(トライアキシャルケーブル)であり、電線167,168は、細径で単芯の絶縁電線である。このうち、電線165は、芯線(中心導体)として放電電位リード線161を含み、電線166は、芯線(中心導体)として補助電位リード線162を含む(図3,図4参照)。また、電線167は、芯線として第1ヒータリード線163を含み、電線168は、芯線として第2ヒータリード線164を含む(図3,図4参照)。
次に、制御装置200について、図4を参照して説明する。制御装置200は、信号電流検知回路230及びヒータ通電回路226を含む計測制御回路220と、イオン源電源回路210と、補助電極電源回路240とを有している。
このうち、イオン源電源回路210は、センサGND電位SGNDとされる第1出力端211と、放電電位PV2とされる第2出力端212とを有している。第2出力端212は、放電電位リード線161に接続されている。放電電位PV2は、センサGND電位SGNDを基準として、正の高電位(例えば、1〜2kV)とされている。なお、イオン源電源回路210は、その出力電流についてフィードバック制御され、自律的に、その実効値が予め定めた電流値(例えば、5μA)を保つ定電流電源を構成している。
一方、補助電極電源回路240は、センサGND電位SGNDとされる補助第1出力端241と、補助電位PV3(放電電位PV2とは異なる異電位)とされる補助第2出力端242とを有している。補助第2出力端242は、補助電位リード線162に接続されている。補助電位PV3は、センサGND電位SGNDを基準として、正の直流高電位とされている。但し、補助電位PV3は、放電電位PV2のピーク電位よりも低い電位(例えば、DC100〜200Vの電位)とされている。
さらに、計測制御回路220のうち、信号電流検知回路230は、信号入力端231と接地入力端232とを有している。このうち、信号入力端231は、センサGND電位SGNDとされるイオン源電源回路210の第1出力端211に接続している。一方、接地入力端232は、シャーシGND電位CGNDに接続している。シャーシGND電位CGNDとセンサGND電位SGNDとは、互いに電気的に絶縁されている。このような構成により、信号電流検知回路230は、信号入力端231(センサGND電位SGND)と接地入力端232(シャーシGND電位CGND)との間を流れる信号電流Isを検知する。
また、ヒータ通電回路226は、PWM制御によって、後述するセラミック素子100のヒータ部130に通電する回路である。このヒータ通電回路226は、第1ヒータリード線163に接続される第1ヒータ通電端226aと、第2ヒータリード線164に接続される第2ヒータ通電端226bを有する。なお、第2ヒータ通電端226b及び第2ヒータリード線164は、シャーシGND電位CGNDに導通して、このシャーシGND電位CGNDとされている。また、第1ヒータ通電端226a及び第1ヒータリード線163は、シャーシGND電位CGNDを基準とした電位とされている。
また、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240は、センサGND電位SGNDとされる内側回路ケース250に包囲されている。イオン源電源回路210の第1出力端211、補助電極電源回路240の補助第1出力端241、及び、信号電流検知回路230の信号入力端231は、この内側回路ケース250に接続している。
なお、本実施形態では、内側回路ケース250は、イオン源電源回路210、補助電極電源回路240、及び、絶縁トランス270の二次側鉄心271Bを収容して包囲すると共に、イオン源電源回路210の第1出力端211及び補助電極電源回路240の補助第1出力端241に導通して、センサGND電位SGNDとされている。また、イオン源電源回路210の第1出力端211及び補助電極電源回路240の補助第1出力端241は、電線165,166の同軸二重の外部導体165G,166Gのうち、センサGND電位SGNDとされる内側の外部導体165G1,166G1に導通している。
絶縁トランス270は、その鉄心271が、一次側コイル272を捲回した一次側鉄心271Aと、電源回路側コイル273及び補助電極電源側コイル274が捲回された二次側鉄心271Bとに、分離して構成されている。このうち、一次側鉄心271Aは、シャーシGND電位CGNDに導通している。一方、二次側鉄心271Bは、センサGND電位SGND(イオン源電源回路210の第1出力端211)に導通している。
さらに、イオン源電源回路210、補助電極電源回路240、内側回路ケース250、及び、信号電流検知回路230とヒータ通電回路226とを含む計測制御回路220は、シャーシGND電位CGNDとされる外側回路ケース260に包囲されている。さらに、信号電流検知回路230の接地入力端232、ヒータ通電回路226の第2ヒータ通電端226b、及び、絶縁トランス270の一次側鉄心271Aは、この外側回路ケース260に接続して、シャーシGND電位CGNDとされている。
なお、本実施形態では、外側回路ケース260は、その内部に、イオン源電源回路210、補助電極電源回路240、内側回路ケース250、信号電流検知回路230とヒータ通電回路226とを含む計測制御回路220、及び、絶縁トランス270の一次側鉄心271Aを収容して包囲している。さらに、この外側回路ケース260は、電線165,166の同軸二重の外部導体165G,166Gのうち、シャーシGND電位CGNDとされる外側の外部導体165G2,166G2に導通している。
計測制御回路220は、レギュレータ電源PSを内蔵している。なお、このレギュレータ電源PSは、電源配線BCを通じて、車両AMに搭載された外部のバッテリBTと接続されており、このバッテリBTで駆動される。また、バッテリBTのGND電位は、シャーシGND電位CGNDと共通にされている。
また、計測制御回路220は、マイクロプロセッサ202を含み、通信線CCを介して内燃機関を制御する制御ユニットECUと通信可能となっている。これにより、前述した信号電流検知回路230の測定結果(信号電流Isの大きさ)、あるいは、これを微粒子量などに換算した値などを、制御ユニットECUに送信可能となっている。
また、レギュレータ電源PSを通じて、外部から計測制御回路220に入力された電力の一部は、絶縁トランス270を介して、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240に分配される。なお、絶縁トランス270においては、計測制御回路220の一部をなす一次側コイル272と、イオン源電源回路210の一部をなす電源回路側コイル273と、補助電極電源回路240の一部をなす補助電極電源側コイル274と、鉄心271(一次側鉄心271A,二次側鉄心271B)とは、互いに電気的に絶縁されている。このため、計測制御回路220から、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240に電力を分配できる一方、これらの間の電気的絶縁を保つことができる。
次に、微粒子センサ10について、図2及び図3を参照して説明する。
微粒子センサ10は、図2に示すように、軸線方向GH(図2において上下方向)に延びる形態をなしている。この微粒子センサ10は、軸線方向GHに延びる板状をなし、気中放電によりイオンを生成するセラミック素子100(センサ素子)を備える。このほか、このセラミック素子100と電気的絶縁を確保しつつ、セラミック素子100を保持し、且つ、センサGND電位SGNDとされる主体金具50を備える。また、主体金具50と電気的絶縁を確保しつつ、主体金具50を囲んで保持し、且つ、排気管EPに取り付けられて、シャーシGND電位CGNDとされる取り付け金具90を備える。
より具体的には、微粒子センサ10は、自身の先端側GSに、筒状の取り付け金具90を備える。この取り付け金具90は、径方向外側に膨出して外形六角形状をなすフランジ部91を有する。さらに、この取り付け金具90は、フランジ部91よりも先端側GSの先端部90sの外周に、微粒子センサ10を排気管EPに固定するための雄ネジを有する。従って、微粒子センサ10は、取り付け金具90の先端部90sの雄ネジを用いて、排気管EPに別途固定された金属製の取付用ボスBOに取り付けられ、この取付用ボスBOを介して、排気管EPに固定される。このため、取り付け金具90は、排気管EPと同じシャーシGND電位CGNDとされる。
また、取り付け金具90の基端側GKには、金属製で筒状の外筒95が固設されている。具体的には、取り付け金具90の基端部90kに、外筒95の先端部95sが外嵌され、取り付け金具90の基端部90kと外筒95の先端部95sとがレーザ溶接されることで、取り付け金具90と外筒95とが一体とされている。
取り付け金具90の径方向内側には、電気絶縁材からなる第1絶縁スペーサ60及び第2絶縁スペーサ61を介して、筒状の主体金具50及びこれと一体とされた内筒80が配置されている。また、これらと共に、取り付け金具90内には、筒状のスリーブ62及び環状の線パッキン63も配置されている。
具体的には、主体金具50は、略円筒状をなし、径方向外側に膨出する円環状のフランジ部51を有している。また、内筒80は、金属からなり、軸線方向GHに延びる円筒状をなし、その先端部分が円環状のフランジ部81となっている。詳細には、内筒80は、円筒状の基端部80kと、これよりも先端側GSに位置し、基端部80kよりも径大の円筒状の径大部80gと、その先端側GSに位置するフランジ部81とを有している。そして、主体金具50のフランジ部51に内筒80のフランジ部81が当接するようにして、主体金具50の基端部50kに内筒80(径大部80g)の先端部80sが外嵌され、主体金具50の基端部50kと内筒80の先端部80sとをレーザ溶接することで、主体金具50と内筒80とが一体とされている。
また、一体とされた主体金具50及び内筒80は、両者のフランジ部51,81が、先端側GSに位置する第1絶縁スペーサ60と基端側GKに位置する第2絶縁スペーサ61とに挟まれて、取り付け金具90内に配置されている。さらに、第2絶縁スペーサ61の基端側GKには、スリーブ62が配置されている。取り付け金具90の最基端部90kkとスリーブ62との間には、線パッキン63が配置され、取り付け金具90の最基端部90kkは、径方向内側に屈曲して加締められている。
また、主体金具50の内部には、カップ状の金属カップ52が配設されている。さらに、この金属カップ52の底部には孔52bが空いており、この孔52bに、セラミック素子100が挿通されている。また、セラミック素子100の周りには、先端側GSから基端側GKに向けて順に、アルミナからなりセラミック素子100を保持する筒状のセラミックホルダ53、滑石粉末を圧縮して構成した第1粉末充填層54、及び、第2粉末充填層55、さらには、アルミナからなる筒状のセラミックスリーブ56が配設されている。このうち、セラミックホルダ53及び第1粉末充填層54は、金属カップ52内に位置している。
さらに、主体金具50の最基端部50kkと、セラミックスリーブ56との間には、加締リング57が配置されている。主体金具50の最基端部50kkは、径方向内側に屈曲して加締められ、加締リング57を介してセラミックスリーブ56を押圧している。これにより、第2粉末充填層55の粉末が圧縮されて、主体金具50内に金属カップ52及びセラミックスリーブ56が固定されると共に、セラミック素子100も主体金具50によって気密に保持される。
また、主体金具50の先端部50sには、セラミック素子100の先端部分を径方向外側から包囲する態様で、ステンレス製で二重の筒状をなす内側プロテクタ45及び外側プロテクタ40が固設されている。この内側プロテクタ45及び外側プロテクタ40は、セラミック素子100を水滴や異物から保護する一方、排気ガスEGをセラミック素子100の周囲に導く。なお、内側プロテクタ45及び外側プロテクタ40は、次のようにして、主体金具50の先端部50sに固設されている。具体的には、主体金具50の先端部50sに、内側プロテクタ45の基端側GKの径大部47を外嵌し、さらに、その外側に、外側プロテクタ40の基端側GKの径大部42を外嵌した後、これら嵌合部をレーザ溶接することで固設されている。
外側プロテクタ40のうち、筒状の胴部41には、その先端側GSの周上に、排気ガスEGを内部に導入するため長方形の外側導入孔40Iが複数形成されている。また、内側プロテクタ45の筒状の胴部46には、その先端側GS及び基端側GKの周上に、それぞれ三角形と丸型の内側導入孔45Iが複数形成されている(図2及び図3参照)。さらに、内側プロテクタ45の先端部分には、取り入れた排気ガスEG(被測定ガス)を排出するための丸型の排出口45Oが形成されており、この排出口45Oを含む内側プロテクタ45の先端部分は、外側プロテクタ40の先端部分の開口43から外部に突出している。
ここで、図7を参照して、微粒子センサ10の使用時における内側プロテクタ45及び外側プロテクタ40への排気ガスEGの取り入れ及び排出について説明する。なお、図7において、排気ガスEGは、排気管EP内を左から右に向けて流通している。この排気管EP内を流通する排気ガスEGが、微粒子センサ10の外側プロテクタ40及び内側プロテクタ45の周囲を通ると、その流速が、内側プロテクタ45の排出口45Oの外側で上昇し、ベンチュリ効果により、排出口45O付近に負圧が生じる。
すると、この負圧により、内側プロテクタ45内に取り入れられた取入排気ガスEGIが排出口45Oから排出される。これと共に、外側プロテクタ40の外側導入孔40I周囲の排気ガスEGが、この外側導入孔40Iから外側プロテクタ40内に取り入れられ、さらに、内側プロテクタ45の内側導入孔45Iを通じて、さらに内側プロテクタ45内に取り入れられる。そして、内側プロテクタ45内の取入排気ガスEGIは、排出口45Oから排出されるので、内側プロテクタ45内には、基端側GKの内側導入孔45Iから先端側GSの排出口45Oに向けて流れる取入排気ガスEGIの気流が生じる。
また、本実施形態の微粒子センサ10では、図2に示すように、主体金具50の基端側GK(具体的には、セラミックスリーブ56の基端側GK)で、内筒80の内側には、電気絶縁材からなる絶縁ホルダ70が配置されている。この絶縁ホルダ70には、絶縁ホルダ70を軸線方向GHに貫通する挿通孔70cが形成されており(図3参照)、この挿通孔70cにセラミック素子100が挿通されている。
また、絶縁ホルダ70の基端側GKには、第1絶縁部材71が、絶縁ホルダ70に隣接して配置されている。この第1絶縁部材71は、電気絶縁材からなり、軸線方向GHに延びる筒状をなしている。さらに、第1絶縁部材71の基端側GKには、第2絶縁部材72が、第1絶縁部材71に隣接して配置されている。この第2絶縁部材72は、電気絶縁材からなり、軸線方向GHに延びる筒状をなしている。第1絶縁部材71と第2絶縁部材72とは、軸線方向GHに隣接して配置され、いずれも内筒80の内側に収容されている。
第1絶縁部材71は、自身を軸線方向GHに貫通する挿通孔71cを有する。この挿通孔71c内には、セラミック素子100が挿通されると共に、セラミック素子100のうち放電電位パッド113が位置する放電パッド部100P(図5参照)、及び、放電電位端子部材73が収容されている。
一方、第2絶縁部材72は、自身を軸線方向GHに貫通する第1挿通孔72c及び第2挿通孔72dを有する。この第2挿通孔72d内には、セラミック素子100のうち、放電電位PV2とは異なる異電位(具体的には、補助電位PV3)とされる補助電位パッド125(異電位パッド)が位置する異電位パッド部100R(図5参照)が収容されている。また、この第2絶縁部材72は、第2挿通孔72d内に、後述する補助電位端子部材75、第1ヒータ端子部材76、及び、第2ヒータ端子部材77を、互いに絶縁した状態で収容している。
なお、第1絶縁部材71は、挿通孔71c内において、放電電位端子部材73を、セラミック素子100の放電電位パッド113(図5参照)に接触導通させつつ、放電電位端子部材73を保持している。詳細には、放電電位端子部材73が、挿通孔71c内において、セラミック素子100の放電電位パッド113と第1絶縁部材71の挿通孔71cを構成する内壁面との間に挟まれる態様で保持されている(図2参照)。これにより、放電電位端子部材73が、挿通孔71c内において、セラミック素子100の放電電位パッド113に接触して導通している。これと共に、第1絶縁部材71は、放電電位端子部材73と内筒80とを電気的に絶縁している。
また、第2絶縁部材72は、第2挿通孔72d内において、補助電位端子部材75(異電位端子部材)を、セラミック素子100の補助電位パッド125(異電位パッド)に接触導通させつつ、補助電位端子部材75を保持している。さらに、第2絶縁部材72は、第2挿通孔72d内において、第1ヒータ端子部材76を、セラミック素子100の第1ヒータパッド136に接触導通させつつ、第1ヒータ端子部材76を保持している。さらに、第2絶縁部材72は、第2挿通孔72d内において、第2ヒータ端子部材77を、セラミック素子100の第2ヒータパッド137に接触導通させつつ、第2ヒータ端子部材77を保持している。これと共に、第2絶縁部材72は、補助電位端子部材75、第1ヒータ端子部材76、及び、第2ヒータ端子部材77を、内筒80と電気的に絶縁している。
さらに、第2絶縁部材72の第1挿通孔72c内において、放電電位端子部材73が、放電電位リード線161の一端部161tに接続されている。これにより、放電電位端子部材73は、放電電位PV2とされる。
また、第2絶縁部材72の第2挿通孔72d内において、補助電位端子部材75が、補助電位リード線162(異電位リード線)の一端部162tに接続されている。これにより、補助電位端子部材75は、補助電位PV3とされる。さらに、第2挿通孔72d内において、第1ヒータ端子部材76が、第1ヒータリード線163の一端部163tに接続されている。これにより、第1ヒータ端子部材76は、第1ヒータ電位PVhtとされる。さらに、第2挿通孔72d内において、第2ヒータ端子部材77が、第2ヒータリード線164の一端部164tに接続されている。これにより、第2ヒータ端子部材77は、シャーシGND電位CGNDとされる。
内筒80の基端部80kには、センサGND接続金具82の先端部82sが外嵌され、レーザ溶接されている。また、センサGND接続金具82には、電線165〜168が挿通されている。なお、電線165,166の外部導体165G,166Gのうち、内側の外部導体165G1,166G1は、センサGND接続金具82に導通している。これにより、センサGND接続金具82に導通する内筒80、主体金具50、内側プロテクタ45、及び、外側プロテクタ40は、いずれもセンサGND電位SGND(第1基準電位)とされている。
さらに、外筒95のうち、基端側GKの小径部96内には、フッ素ゴム製のグロメット84とシャーシGND接続金具83とが配設され、これらに、電線165〜168が挿通されている。なお、電線165,166の外部導体165G,166Gのうち、外側の外部導体165G2,166G2は、それぞれシャーシGND接続金具83に導通している。
シャーシGND接続金具83は、外筒95の小径部96と共に径方向内側に加締められている。これにより、グロメット84及びシャーシGND接続金具83は、外筒95の小径部96内に固定されている。これにより、排気管EP及び取付用ボスBOに導通する取り付け金具90、外筒95、及び、シャーシGND接続金具83は、いずれもセンサGND電位SGNDとは絶縁されたシャーシGND電位CGNDとされる。また、このシャーシGND電位CGNDは、前述したように、車両AMに搭載されたバッテリBT(図4参照)のGND電位と共通にされている。
次いで、セラミック素子100(センサ素子)について詳細に説明する。セラミック素子100は、図5及び図6に示すように、軸線方向GHに延びる板状をなし、電気絶縁材(具体的にはアルミナ)からなるセラミック基体101(絶縁基体)を有している。このセラミック基体101内には、放電電極体110、補助電極体120、及び、ヒータ部130が埋設されて一体焼結されている。
より具体的には、セラミック基体101は、アルミナグリーンシート由来のアルミナからなる3つのセラミック層102,103,104が重なっており、これらの層間には印刷により形成されたアルミナからなる2つの絶縁被覆層105,106が介在している。そして、絶縁被覆層105とセラミック層103との間には、放電電極体110が配置されている。さらに、セラミック層103と絶縁被覆層106の間には、補助電極体120が配置されている。さらに、絶縁被覆層106とセラミック層104の間には、ヒータ部130が配置されている。そして、これらが一体化して、セラミック素子100(センサ素子)が形成されている。
なお、本実施形態では、セラミック素子100のセラミック基体101(絶縁基体)は、図5に示すように、セラミック層103,104からなる第1セラミック部101A上に、セラミック層103,104よりも軸線方向GHの長さが短くされた、セラミック層102からなる第2セラミック部101Bを積層した形態を有する。また、第2セラミック部101Bのうち軸線方向GHの先端側GSに位置する第2先端101BSは、第1セラミック部101Aのうち軸線方向GHの先端側GSに位置する第1先端101ASよりも軸線方向GHの基端側GKに引き下がっている。
放電電極体110は、軸線方向GHに延びる形態を有している。この放電電極体110は、白金線からなる針状電極部112、及び、この針状電極部112に導通するリード部111を有する。さらに、セラミック素子100は、放電電極体110のリード部111に導通する放電電位パッド113を有する。なお、リード部111と放電電位パッド113とは、セラミック層103の一方の表面103S1上に、パターン印刷により一体に形成されている。また、リード部111と、針状電極部112のうち基端側GKの埋設部112Aとは、絶縁被覆層105及びセラミック層102で被覆されて、セラミック基体101内に(具体的には、セラミック層102とセラミック層103の層間に)埋設されている。即ち、セラミック基体101は、放電電極体110のうち、リード部111及び針状電極部112の埋設部112Aを内包している。
一方、白金線からなる針状電極部112のうち先端側GSの露出部112Bは、第2セラミック部101Bの第2先端101BSから露出している(図5参照)。しかも、この露出部112Bのうち先端側GSで先細の針状先端部112Sは、自身の先端がセラミック層103の表面103S1から2〜3mm離れるように折り曲げられて(従って、セラミック層103の表面103S1から離間して)、セラミック基体101外の空中に突出している。
放電電位パッド113は、セラミック基体101のうち軸線方向GHの基端側GKに位置する基体基端部101Kにおいて、第1主面101S1上(セラミック層103の表面103S1上)に形成されている。なお、前述したように、放電電位パッド113には、放電電位端子部材73が接触し導通する。
補助電極体120は、パターン印刷により、セラミック層103のうち表面103S1とは逆側の表面103S2上に形成されている。この補助電極体120は、セラミック素子100の先端側GSに配置されて矩形状をなす補助電極部122、及び、この補助電極部122に導通してセラミック素子100の基端側GKに延びる補助電極リード部121を有する。この補助電極体120(補助電極リード部121及び補助電極部122)は、絶縁被覆層106で被覆されて、セラミック基体101内に(具体的には、セラミック層103とセラミック層104の層間に)埋設されている。
なお、補助電極体120の補助電極部122は、セラミック基体101の第1セラミック部101Aのうち、第2セラミック部101Bの第2先端101BSよりも軸線方向GHの先端側GSの内部(セラミック層103とセラミック層104の層間)に埋設されている。
一方、補助電極体120の補助電極リード部121は、基端側GKの端部123から絶縁被覆層106の貫通孔106cを通じて、セラミック層104の一方の表面104S1上に形成した導通パターン124に導通している。さらに、この導通パターン124は、セラミック層104を貫通するスルーホール104h1を通じて、セラミック層104の他方の表面104S2上(即ち、セラミック基体101の基体基端部101Kにおける第2主面101S2上)に形成した補助電位パッド125に導通している。なお、前述したように、補助電位パッド125には、補助電位端子部材75が接触して導通する。
また、セラミック層104の一方の表面104S1上には、ヒータ部130が、パターン印刷により形成されている。ヒータ部130は、セラミック素子100の先端側GSに配置されてセラミック素子100を加熱する発熱部131、及び、この発熱部131に導通してセラミック素子100の基端側GKに延びる2本のヒータリード部132,133を有する。このヒータ部130は、セラミック層104の一方の表面104S1上に形成されて、絶縁被覆層106で被覆されている。
また、ヒータリード部132は、その基端側GKの端部134から、セラミック層104を貫通するスルーホール104h2を通じて、セラミック層104の他方の表面104S2上(即ち、セラミック基体101の第2主面101S2上)に形成された第1ヒータパッド136に導通している。さらに、ヒータリード部133は、その基端側GKの端部135から、セラミック層104を貫通するスルーホール104h2を通じて、セラミック層104の他方の表面104S2上に形成された第2ヒータパッド137に導通している。なお、前述したように、第1ヒータパッド136には、第1ヒータ端子部材76が接触して導通する。また、第2ヒータパッド137には、第2ヒータ端子部材77が接触し導通する。
次いで、微粒子検知システム1による微粒子検知について説明する。
セラミック素子100の放電電極体110は、放電電位リード線161を通じて、制御装置200のイオン源電源回路210に接続されている(図4参照)。また、補助電極体120は、補助電位リード線162を通じて、制御装置200の補助電極電源回路240に接続されている。また、ヒータ部130は、第1,第2ヒータリード線163,164を通じて、制御装置200のヒータ通電回路226に接続されている(図4参照)。
また、電線165,166の内側の外部導体165G1,166G1も、制御装置200のうち、イオン源電源回路210の第1出力端211及び補助電極電源回路240の補助第1出力端241に接続され、センサGND電位SGND(第1基準電位)とされている。さらに、外部導体165G1,166G1に導通するセンサGND接続金具82等を介して、セラミック素子100の周囲に配置された内側プロテクタ45も、センサGND電位SGND(第1基準電位)とされている。
ここで、放電電極体110の針状電極部112に、制御装置200のイオン源電源回路210から、放電電位リード線161、放電電位端子部材73、及び、放電電位パッド113を通じて、正の高電圧(例えば、1〜2kV)の放電電位PV2(図4参照)を印加する。すると、この針状電極部112の露出部112Bの針状先端部112Sと、センサGND電位SGND(第1基準電位)とされた内側プロテクタ45(第1部材)との間で、気中放電(具体的には、コロナ放電)を生じ、針状先端部112Sの周囲で、イオンCP(陽イオン)が生成される(図7参照)。
前述したように、外側プロテクタ40及び内側プロテクタ45の作用により、内側プロテクタ45内には、排気ガスEGが取り入れられ、セラミック素子100付近において、基端側GKから先端側GSに向かう取入排気ガスEGIの気流が生じている。このため、生成されたイオンCPは、図7に示すように、取入排気ガスEGI中の微粒子Sに付着する。これにより、微粒子Sは、正に帯電した帯電微粒子SCとなって、取入排気ガスEGIと共に、排出口45Oに向けて流れ、排出される。
一方、補助電極体120の補助電極部122には、制御装置200の補助電極電源回路240から、補助電位リード線162、補助電位端子部材75、及び、補助電位パッド125を通じて、所定の電位(例えば、100〜200Vの正の直流電位)とされた補助電位PV3が印加される(図4参照)。これにより、生成したイオンCPのうち、微粒子Sに付着しなかった浮遊イオンCPF(図7参照)に、補助電極部122からその径方向外側の内側プロテクタ45(捕集極)に向かう斥力を与える。これにより、浮遊イオンCPFを、捕集極(内側プロテクタ45)の各部に付着させて捕集を補助する。かくして、確実に浮遊イオンCPFを捕集することができ、浮遊イオンCPFまでもが排出口45Oから排出されるのを防止する。
本システム1では、排出口45Oから排出された帯電微粒子SCに付着していた排出イオンCPHの電荷量に対応する信号(信号電流Is)を、信号電流検知回路230で検知する。なお、信号電流Isは、センサGND電位SGND(内側プロテクタ45等の電位)とシャーシGND電位CGND(排気管EP等の電位)との間を流れることになる。これにより、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量(濃度)を検知することができる。
なお、前述したように、本実施形態では、セラミック素子100の周囲の内側プロテクタ45をセンサGND電位SGNDとし、放電電極体110の針状電極部112との間でコロナ放電を生じさせた。さらに、この内側プロテクタ45を、浮遊イオンCPFを捕集する捕集極としても用いている。即ち、本実施形態では、内側プロテクタ45(捕集極)で浮遊イオンCPFの捕集を行うための捕集電位は、センサGND電位SGNDに等しい。
また、本システム1では、制御装置200の計測制御回路220のヒータ通電回路226から、第1ヒータリード線163及び第1ヒータ端子部材76、並びに第2ヒータリード線164及び第2ヒータ端子部材77を通じて、第1ヒータパッド136と第2ヒータパッド137の間に所定のヒータ通電電圧を印加する。すると、ヒータ部130の発熱部131が通電により発熱し、セラミック素子100を加熱して、このセラミック素子100に付着した水滴や煤等の異物を除去することができる。これにより、セラミック素子100の電気絶縁性を、回復あるいは維持することができる。
なお、本実施形態では、ヒータ通電電圧として、車両AMのバッテリBTの直流のバッテリ電圧(DC12Vまたは24V)をヒータ通電回路226によりパルス制御した電圧を印加する。具体的には、第1ヒータリード線163及び第1ヒータ端子部材76を通じて、第1ヒータパッド136に印加される第1ヒータ電位PVhtは、このバッテリ電圧(DC12Vまたは24V)をパルス制御したプラス側の電位とされる。また、第2ヒータリード線164及び第2ヒータ端子部材77を通じて、第2ヒータパッド137に印加される第2ヒータ電位は、バッテリBTのGND電位と共通のシャーシGND電位CGNDとされる(図4参照)。
ところで、従来の微粒子センサ510では、第1絶縁部材471の外周面471bが、内筒480の内周面480cと接触していた(図10参照)。このため、第1絶縁部材471の表面に水滴が付着したり、第1絶縁部材471が高温になるなどして、第1絶縁部材471の表面の絶縁性が低下した場合には、第1絶縁部材471の表面を通じて、放電電位端子部材473(放電電位)と内筒480(第1基準電位)との間で、放電(スパーク放電)あるいは電流リークが発生する虞があった。
例えば、図12に拡大して示すように、第1絶縁部材471の底面471dを通じて、第1絶縁部材471と放電電位端子部材473との接触点Aから第1絶縁部材471と内筒480との接触点Bに至る経路で、放電電位端子部材473と内筒480との間でスパーク放電が発生する虞があった。このような放電(スパーク放電)あるいは電流リークが発生すると、被測定ガス中の微粒子を適切に検知することができなくなる虞があった。
これに対し、本実施形態の微粒子センサ10では、センサGND電位SGND(第1基準電位、放電電位PV2よりも低電位である)とされる内筒80を、放電電位PV2とされる放電電位端子部材73を保持する第1絶縁部材71に接触させていない(図2参照)。さらに、内筒80は、軸線方向GHに直交する方向(径方向)について、筒状の空間SP(空間SP内の気体)を挟んで第1絶縁部材71と離間している。詳細には、第1絶縁部材71の外周面71bの全体が、内筒80の径大部80gの内周面80cによって包囲されており、内筒80の径大部80gの内径(内周面80cの直径)を、第1絶縁部材71の外径(外周面71bの直径)よりも大きくしている。これにより、第1絶縁部材71の外周面71bの全体が、軸線方向GHに直交する方向(径方向)について、筒状の空間SP(空間SP内の気体)を挟んで、内筒80の径大部80gの内周面80cと離間している(図2、図8参照)。
このため、第1絶縁部材71の表面に水滴が付着したり、第1絶縁部材71が高温になるなどして、第1絶縁部材71の表面の絶縁性が低下した場合でも、第1絶縁部材71の表面を通じた、放電電位端子部材73と内筒80との間での放電及び電流リークが、発生し難くなる。
しかも、本実施形態の微粒子センサ10では、図8に示すように、内筒80(径大部80g)の内周面80cは円筒状をなし、第1絶縁部材71の外周面71bも円筒状をなしており、内筒80と第1絶縁部材71とが同軸状に配置されている。そして、空間SPを挟んで離間する内筒80(径大部80g)の内周面80cと第1絶縁部材71の外周面71bとの間の径方向距離RDが、全周にわたって一定とされている。このようにすることで、局所的に電界が集中することを防止することができるので、内筒80の内周面80cと第1絶縁部材71の外周面71bとの間においてスパーク放電が発生する不具合を、より一層抑制することができる。なお、径方向距離RDの寸法は、放電電位端子部材73に印加される放電電位PV2の大きさを考慮しつつ、内筒80の内周面80cと第1絶縁部材71の外周面71bとの間においてスパーク放電が発生するのを防止できる値に適宜設定されれば良く、本実施形態では、径方向距離RDを2.0mmとしている。
さらに、本実施形態の微粒子センサ10では、内筒80が、第2絶縁部材72に接触しつつ、第2絶縁部材72及び第1絶縁部材71を固定する固定部80dを有する(図9参照)。具体的には、固定部80dは、内筒の基端部80kの基端側部分であり、第2絶縁部材72の鍔部72f(径方向外側に膨出する部位)の外周面72gに接触する第1固定部80hと、径方向内側に屈曲するように加締められて第2絶縁部材72の鍔部72fの基端面72hに接触する第2固定部80jとを有している。
さらに、第1絶縁部材71のうち基端側GKに位置する基端部71kには、第2絶縁部材72の先端側GSの部位である先端部72sが挿入される挿入孔71jが形成されている(図3、図9参照)。この挿入孔71jは、段状をなしており、第2絶縁部材72の先端部72sの外周面が接触する内周面71gと、第2絶縁部材72の先端面72tが当接する当接面71mとを有している(図3参照)。
さらに、第1絶縁部材71のうち先端側GSに位置する先端部71sには、絶縁ホルダ70の基端部70kが挿入される挿入孔71pが形成されている(図3、図9参照)。この挿入孔71pは、段状をなしており、絶縁ホルダ70の基端部70kの外周面が接触する内周面71qと、絶縁ホルダ70の基端面70tが当接する当接面71rとを有している(図9参照)。また、絶縁ホルダ70の先端面70fは、主体金具50内に固定されているセラミックスリーブ56に当接している。
これにより、軸線方向GHに隣接(当接)して配置されている第2絶縁部材72、第1絶縁部材71、及び絶縁ホルダ70は、内筒80の第2固定部80jとセラミックスリーブ56との間に挟まれる態様で、軸線方向GHに固定される。
また、内筒80の第1固定部80hにより、第2絶縁部材72が径方向(軸線方向GHに直交する方向)に固定されている。さらに、この第2絶縁部材72の先端部72sが、第1絶縁部材71の挿入孔71j内に挿入されているので、第1絶縁部材71の挿入孔71jを構成する内周面71gが、第2絶縁部材72の先端部72sの外周面に接触する態様で、第1絶縁部材71も径方向に固定される。さらに、この第1絶縁部材71の挿入孔71p内に、絶縁ホルダ70の基端部70kが挿入されているので、絶縁ホルダ70の基端部70kの外周面が、第1絶縁部材71の挿入孔71pを構成する内周面71qに接触する態様で、絶縁ホルダ70も径方向に固定される。
このようにして、本実施形態では、第1絶縁部材71を、内筒80(筒状体)に接触させることなく、内筒80(筒状体)の内側に適切に固定している。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態では、放電電位PV2を正の高電位としたが、放電電位PV2を負の高電位としても良い。
また、実施形態では、セラミック素子100(センサ素子)として、アルミナからなるセラミック基体101(絶縁基体)が、放電電極体110の埋設部112Aを内包する形態を示した。しかしながら、センサ素子において、放電電極体を絶縁基体に設ける構造は、これに限られない。例えば、アルミナ等の絶縁性セラミックからなる基体の表面に放電電極体を印刷等により形成した上で、その一部をガラスコートして埋設部とすることにより、セラミック基体及びガラスコートからなる絶縁基体に放電電極体を設けたセラミック素子(センサ素子)を用いるようにしても良い。
また、実施形態では、第1絶縁部材71を1部材で構成したが、複数部材により構成しても良い。複数部材で構成する形態としては、例えば、径方向内側に位置する筒状の内側部材と径方向外側に位置する筒状の外側部材とからなり、内側部材の外周面全体を外側部材で覆うようにした形態が挙げられる。