(実施例1)
以下、本発明の実施例1を、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施例1に係る微粒子検知システム1に含まれる微粒子センサ10の縦断面図である。図2は、微粒子センサ10の拡大断面図であり、図1とは軸線AXの周りに90度回転した側から見た拡大縦断面図である。図3は、微粒子センサ10の分解斜視図である。図4は、実施例1にかかる微粒子検知システム1の概略図である。但し、図4では、微粒子検知システム1に含まれる回路部200を中心に図示し、微粒子センサ10については一部(電線161等)のみを図示している。
なお、図1において、微粒子センサ10の軸線AXに沿う長手方向GHのうち、ガス取入管25が配置された側(図1において下方)を先端側GS、これと反対側の電線161,163等が延出する側(図1において上方)を基端側GKとする。
微粒子検知システム1は、内燃機関(エンジン)の排気管(通気管)EPを流通する排気ガス(被測定ガス)EG中に含まれる微粒子S(ススなど)の量を検知する。この微粒子検知システム1は、微粒子センサ10と、回路部200とから構成される(図1及び図4参照)。
まず、微粒子センサ10について詳細に説明する。微粒子センサ10は、接地電位PVEとされた金属製の排気管EPに装着される(図1参照)。具体的には、微粒子センサ10のうち内側金具20の先端側部分をなすガス取入管25が、排気管EPに設けられた取付開口EPOを通じて排気管EP内に配置される。そして、排気管EP内を流通する排気ガスEGのうち、ガス取入口65cからガス取入管25内に取り入れた取入ガスEGI中の微粒子Sに、イオンCPを付着させて帯電微粒子SCとし、取入ガスEGIと共にガス排出口60eから排気管EPへ排出する(図10参照)。
この微粒子センサ10は、ガス取入管25を有する内側金具20、外側金具70、絶縁スペーサ100、セラミック素子120、6本の電線161,163,171,173,175,177等から構成される(図1〜図3参照)。
このうち、内側金具20は、後述する回路部200のうち第1電位PV1とされる内側回路ケース250等に、後述する電線161,163の内側外部導体161g1,163g1を介して導通しており、接地電位PVEとは異なる第1電位PV1とされる。この内側金具20は、主体金具30と、内筒40と、内筒接続金具50と、ガス取入管25(内側プロテクタ60及び外側プロテクタ65)とから構成される。
主体金具30は、長手方向GHに延びる円筒状でステンレス製の部材である。この主体金具30は、径方向外側に膨出する円環状のフランジ部31を有する。主体金具30の内部には、カップ状の金属カップ33が配置されている。この金属カップ33の底部には孔が形成されており、この孔に後述するセラミック素子120が挿通されている。
主体金具30の内部には、セラミック素子120の周囲に、先端側GSから基端側GKに向けて順に、円筒状でアルミナからなるセラミックホルダ34と、滑石粉末を圧縮して構成した第1粉末充填層35及び第2粉末充填層36と、円筒状でアルミナからなるセラミックスリーブ37とが配置されている。なお、セラミックホルダ34及び第1粉末充填層35は、金属カップ33内に位置している。更に、主体金具30のうち最も基端側GKの加締部30kkは、径方向内側に加締められて、加締リング38を介してセラミックスリーブ37を先端側GSに押圧している。
また、主体金具30は、フランジ部31と先端部30sとの間に、雄ネジ部30nを有する。この雄ネジ部30nには、後述する絶縁スペーサ100を線パッキン39を介して係止するスペーサ止め輪32が螺合される。これにより、絶縁スペーサ100のうち、スペーサ本体101の厚肉部101fを、主体金具30のフランジ部31とスペーサ止め輪32で挟み、後述するように、絶縁スペーサ100を介して、主体金具30及びこれに保持されているセラミック素子120等を取付金具80に固定している。
内筒40は、長手方向GHに延びる円筒状でステンレス製の部材である。内筒40の先端部40sは、主体金具30の基端側部30kに外嵌され、基端側部30kにレーザ溶接されている。
内筒40の内部には、先端側GSから基端側GKに向けて順に、絶縁ホルダ43と、第1セパレータ44と、第2セパレータ45とが配置されている。このうち絶縁ホルダ43は、円筒状で絶縁体からなり、セラミックスリーブ37に基端側GKから当接している。この絶縁ホルダ43には、セラミック素子120が挿通されている。
また、第1セパレータ44は、絶縁体からなり、挿通孔44cを有する。この挿通孔44c内には、セラミック素子120が挿通されると共に、放電電位端子46の先端側部分が収容されている。そして、この挿通孔44c内において、セラミック素子120の後述する放電電位パッド135(図8及び図9参照)に、放電電位端子46が接触している。
一方、第2セパレータ45は、絶縁体からなり、第1挿通孔45c及び第2挿通孔45dを有する。第1挿通孔45c内に収容された放電電位端子46の基端側部分と、後述する放電電位リード線162の先端部とは、この第1挿通孔45c内で接続されている。
また、第2挿通孔45d内には、セラミック素子120の素子基端部120kが配置されているほか、補助電位端子47、第2−1ヒータ端子48及び第2−2ヒータ端子49が互いに絶縁された状態で収容されている。そして、この第2挿通孔45d内において、セラミック素子120の補助電位パッド147に補助電位端子47が接触し、セラミック素子120の第2−1ヒータパッド156に第2−1ヒータ端子48が接触し、セラミック素子120の第2−2ヒータパッド158に第2−2ヒータ端子49が接触している(図1、図2、図8、図9参照)。
さらに、第2挿通孔45d内には、後述する補助電位リード線164、第2−1ヒータリード線174及び第2−2ヒータリード線176の先端部がそれぞれ配置されている。そして、第2挿通孔45d内において、補助電位端子47と補助電位リード線164が接続され、第2−1ヒータ端子48と第2−1ヒータリード線174が接続され、第2−2ヒータ端子49と第2−2ヒータリード線176が接続されている。
内筒接続金具50は、ステンレス製の部材で、第2セパレータ45の基端側部分を包囲しつつ、内筒40の基端部40kに外嵌され、内筒接続金具50の先端部50sが内筒40の基端部40kにレーザ溶接されている。この内筒接続金具50には、電線171,177を除く、4本の電線161,163,173,175がそれぞれ挿通されている。このうち、後述する三重同軸ケーブルの電線161,163の内側外部導体161g1,163g1は、この内筒接続金具50に接続されている。
ガス取入管25は、内側プロテクタ60と外側プロテクタ65とから構成される。内側プロテクタ60は、有底円筒状でステンレス製の部材であり、外側プロテクタ65は、円筒状でステンレス製の部材である。外側プロテクタ65は、内側プロテクタ60の径方向周囲に配置されている。これら内側プロテクタ60及び外側プロテクタ65は、主体金具30の先端部30sに外嵌され、その先端部30sにレーザ溶接されている。ガス取入管25は、主体金具30から先端側GSに突出するセラミック素子120の先端側部分を径方向外側から包囲しており、セラミック素子120を水滴や異物から保護する一方、排気ガスEGをセラミック素子120の周囲に導く。
外側プロテクタ65の先端側部分には、排気管EP内を流通する排気ガスEGを、外側プロテクタ65の内部に取り入れるための、矩形状のガス取入口65cが複数形成されている。また、内側プロテクタ60には、排気管EP内を流通する排気ガスEGのうち外側プロテクタ65内に取り入れた取入ガスEGIを、更に内側プロテクタ60の内部に導入するため、その基端側部分に円形の第1内側導入孔60cが複数形成されている。また、内側プロテクタ60の先端側部分にも、三角形の第2内側導入孔60dが複数形成されている。更に、内側プロテクタ60の底部には、取入ガスEGIを排気管EPへ排出するための円形のガス排出口60eが形成されている。このガス排出口60eを含む内側プロテクタ60の先端部60sは、外側プロテクタ65の先端開口部65sから先端側GSに突出している。
ここで、微粒子センサ10の使用時における内側プロテクタ60及び外側プロテクタ65への排気ガスEGの取り入れ及び排出について、図10を参照して説明する。なお、図10において、排気ガスEGは、排気管EP内を左から右に向かって流通している。この排気ガスEGが、外側プロテクタ65及び内側プロテクタ60の周囲を通ると、その流速が内側プロテクタ60のガス排出口60eの外側で上昇し、ベンチュリ効果により、ガス排出口60e付近に負圧が生じる。
すると、この負圧により内側プロテクタ60内に取り入れられた取入ガスEGIが、ガス排出口60eから排気管EPへ排出される。これと共に、外側プロテクタ65のガス取入口65c周囲の排気ガスEGが、このガス取入口65cから外側プロテクタ65内に取り入れられ、更に、内側プロテクタ60の第1内側導入孔60cを通じて、内側プロテクタ60内に取り入れられる。そして、内側プロテクタ60内の取入ガスEGIは、ガス排出口60eから排出される。このため、内側プロテクタ60内には、破線矢印で示すように、基端側GKの第1内側導入孔60cから先端側GSのガス排出口60eに向けて流れる取入ガスEGIの気流が生じる。
次に、外側金具70について説明する。図1及び図3に示すように、外側金具70は、円筒状で金属からなり、内側金具20の径方向周囲を内側金具20とは離間した状態で囲むと共に、接地電位PVEとされた排気管EPに装着されて接地電位PVEとされる。外側金具70は、取付金具80と外筒90とから構成される。
取付金具80は、長手方向GHに延びる円筒状で、ステンレス製の部材である。この取付金具80は、内側金具20のうち主体金具30及び内筒40の先端側部分の径方向周囲に、これらとは離間して配置されている。この取付金具80は、径方向外側に膨出して外形六角形状をなすフランジ部81を有する。また、取付金具80の内側には、段状をなす段状部83が設けられている。また、取付金具80のうちフランジ部81よりも先端側GSの先端側部80sの外周には、排気管EPへの固定に用いる雄ネジ(不図示)が形成されている。微粒子センサ10は、この先端側部80sの雄ネジによって、排気管EPに別途固定された金属製の取付用ボスBOに取り付けられ、この取付用ボスBOを介して排気管EPに固定される(図1参照)。
外側金具70と内側金具20との間、より具体的には、取付金具80と主体金具30との間には、後述する絶縁スペーサ100が配置されている。取付金具80のうち最も基端側GKの加締部80kkは、径方向内側GDIに加締められて、線パッキン87、押圧スリーブ110及び粉末充填体115を介して、絶縁スペーサ100の環状突出部103を先端側GSに押圧し、取付金具80の段状部83に圧接させて、絶縁スペーサ100を取付金具80に固定している。
外筒90は、長手方向GHに延びる筒状で、ステンレス製の部材である。この外筒90の先端部90sは、取付金具80の基端側部80kに外嵌され、この基端側部80kにレーザ溶接されている。外筒90のうち基端側GKに位置する小径部91の内部には、外筒接続金具95が配置され、更にその基端側GKには、フッ素ゴム製のグロメット97が配置されている。これら外筒接続金具95及びグロメット97には、後述する6本の電線161,163,171,173,175,177がそれぞれ挿通されている。これらのうち、後述する三重同軸ケーブルの電線161,163の外側外部導体161g2,163g2は、それぞれ外筒接続金具95に接続されている。この外筒接続金具95は、外筒90の小径部91と共に加締めによって径方向内側に縮径され、これにより外筒接続金具95及びグロメット97は、外筒90の小径部91内に固定されている。
次に、絶縁スペーサ100について説明する。絶縁スペーサ100は、図5及び図6に示すように、長手方向GHに延びる円筒状をなし、主としてアルミナからなる部材である。前述したように、この絶縁スペーサ100は、内側金具20と外側金具70との間に介在して両者を電気的に絶縁する。具体的には、内側金具20のうち主体金具30及び内筒40の先端側部分と、外側金具70のうち取付金具80及び外筒90の先端側部分との間に配置されている(図1参照)。
この絶縁スペーサ100は、概略円筒形状の筒状部100tと、この筒状部100tから径方向外側GDOに環状に突出する環状突出部103とからなる(図5及び図6参照)。絶縁スペーサ100の筒状部100tのうち、先端側GSの部位は、ガス接触部100sとなっている(図1、図2参照)。このガス接触部100sは、微粒子センサ10を排気管EPに装着した状態で、排気管EP内に露出して(排気管EP内を臨み)、排気ガスEGに接するガス接触面100mを有している(図1、図6参照)。
筒状部100tは、アルミナからなる円筒状のスペーサ本体101と、このスペーサ本体101の円筒面をなす外周面101g上に巻き付けられた層状ヒータ部102とを有する。層状ヒータ部102は、自身の周方向両端部が重なり合わないようにスペーサ本体101の外周面101gに巻き付けられて、一重の円筒状(断面C字状)をなしている。スペーサ本体101のうち、軸線AXに沿う長手方向GHのうち先端側GS寄りの部分には、肉厚の厚肉部101fと、これよりも先端側GSに位置し薄肉の先端薄肉部101sとを有する。
環状突出部103は、層状ヒータ部102に気密に外嵌され、絶縁スペーサ100の径方向外側GDOに向けて突出している。
層状ヒータ部102は、図7に示すように、層状のスペーサ用ヒータ105と、その内側に位置するアルミナからなるベース絶縁層108と、スペーサ用ヒータ105の外側に位置しアルミナからなるカバー絶縁層109とからなる。スペーサ用ヒータ105(図7参照)は、タングステンからなる層状の発熱抵抗体106と、ヒータリード部107とからなる。ヒータリード部107は、発熱抵抗体106の両端からそれぞれ延びるリード本体部107pと、層状ヒータ部102の表面に露出する端子パッド107mと、カバー絶縁層109を貫通してリード本体部107pと端子パッド107mとを導通するビア導体107vとからなる。
このうち、発熱抵抗体106は、メアンダ状(ジグザグ状)をなし、絶縁スペーサ100の周方向CDに延びた形態を有する。この発熱抵抗体106のうち、一方側CD1に位置する一方端部106pと、他方側CD2に位置する他方端部106qとは、図5に示すように、スペーサ本体101に巻き付けられることにより、互いに周方向CDに対向し近接して配置されている。この発熱抵抗体106は、絶縁スペーサ100のうちガス接触部100sの内部に配置されている(図5及び図6参照)。このため、スペーサ用ヒータ105の発熱抵抗体106を発熱させることで、発熱抵抗体106の熱がガス接触部100sに伝達されて、ガス接触部100sのガス接触面100mを適切に加熱することができる。
なお、スペーサ用ヒータ105の発熱抵抗体106は、カバー絶縁層109に覆われて、絶縁スペーサ100の内部に埋め込まれている。これにより、発熱抵抗体106に排気ガスEGが接触するのを防止できる。このため、排気ガスEGに含まれる異物(ススや水滴など)が発熱抵抗体106に付着することにより、スペーサ用ヒータ105に対する通電を適切に実行できなくなったり、発熱抵抗体106が劣化するのを抑制できる。従って、微粒子センサ10を長期間にわたって使用した場合にも、スペーサ用ヒータ105による加熱性能を良好に維持することができる。
環状突出部103は、アルミナからなる環状で、筒状部100t(具体的には、スペーサ本体101の外周に設けた層状ヒータ部102)に外嵌されたセラミックリング103cと、これを層状ヒータ部102に気密に固着するガラスからなるガラスシール部103gとにより構成されている。この環状突出部103は、図1に示すように、取付金具80の加締部80kkを加締めることにより、線パッキン87、押圧スリーブ110、及び粉末充填体115を介して、先端側GSに向けて押圧され、取付金具80の段状部83に圧接している。このように、絶縁スペーサ100に環状突出部103を設けることで、絶縁スペーサ100を取付金具80に容易かつ気密に固定することができる。
この絶縁スペーサ100は、次のようにして形成される。具体的には、仮焼したスペーサ本体101の外周に、パターン印刷により形成した発熱抵抗体106及びリード本体部107pを内部に含む未焼成の層状ヒータ部102を巻き付けて、これを焼成する。その後、これにセラミックリング103cを外嵌し、これをガラスで気密に固着しガラスシール部103gを設ける。これにより、絶縁スペーサ100が形成される。
この絶縁スペーサ100の層状ヒータ部102の2つのヒータリード部107は、図2に示すように、それぞれ単芯の電線171,177の芯線であるヒータリード線172,178に、接続端子181,182を介して接続されている。具体的には、端子パッド107m,107mにロウ付けされた接続端子181,182に、それぞれ、電線171のヒータリード線172及び電線177のヒータリード線178の先端部分が保持され導通している。
次に、セラミック素子120について説明する。このセラミック素子120は、長手方向GHに延びる板状でアルミナからなる絶縁性のセラミック基体121を有している(図8、図9参照)。セラミック基体121内には、放電電極体130、補助電極体140、及び素子用ヒータ150が埋設されており、これらがセラミック基体121と一体焼結されている。
具体的には、セラミック基体121は、アルミナグリーンシート由来のアルミナからなる3つのセラミック層122,123,124を積層してなり、これらの層間には印刷により形成されたアルミナからなる2つの絶縁被覆層125,126がそれぞれ介在している。このうちセラミック層122及び絶縁被覆層125は、セラミック層123,124及び絶縁被覆層126よりも、先端側GS及び基端側GKでそれぞれ長手方向GHに短くされている。そして、絶縁被覆層125とセラミック層123の間に放電電極体130が配置されている。また、セラミック層123と絶縁被覆層126の間に補助電極体140が配置され、絶縁被覆層126とセラミック層124の間に素子用ヒータ150が配置されている。
放電電極体130は、長手方向GHに延びる形態を有しており、先端側GSに位置する針状の針状電極部131と、基端側GKに位置する放電電位パッド135と、これらの間を結ぶリード部133とからなる。針状電極部131は、白金線からなる。一方、リード部133及び放電電位パッド135は、パターン印刷されたタングステンからなる。放電電極体130のうち、針状電極部131の基端側部131kとリード部133の全体は、セラミック基体121内に埋設されている。一方、針状電極部131のうち先端側部131sは、セラミック基体121のうち、セラミック層122よりも先端側GSで、セラミック基体121から突出している。また、放電電位パッド135は、セラミック基体121のうち、セラミック層122よりも基端側GKで露出している。この放電電位パッド135には、前述したように、第1セパレータ44の挿通孔44c内で放電電位端子46が接触する。
補助電極体140は、長手方向GHに延びる形態を有しており、パターン印刷により形成されて、その全体がセラミック基体121内に埋設されている。この補助電極体140は、先端側GSに位置し、矩形状をなす補助電極部141と、この補助電極部141に接続し基端側GKに延びるリード部143とからなる。リード部143の基端部143kは、絶縁被覆層126の貫通孔126cを通じて、セラミック層124の一方の主面124aに形成された導通パターン145に接続している。更に、この導通パターン145は、セラミック層124に貫通形成されたスルーホール導体146を通じて、セラミック層124の他方の主面124bに形成された補助電位パッド147に接続している。この補助電位パッド147には、前述したように、第2セパレータ45の第2挿通孔45d内で補助電位端子47が接触する。
素子用ヒータ150は、パターン印刷により形成されて、その全体がセラミック基体121内に埋設されている。素子用ヒータ150は、先端側GSに位置しこのセラミック素子120を加熱する発熱抵抗体151と、この発熱抵抗体151の両端に接続し基端側GKに延びる一対のヒータリード部152,153とからなる。一方のヒータリード部152の基端部152kは、セラミック層124に貫通形成されたスルーホール導体155を介して、セラミック層124の他方の主面124bに形成された第2−1ヒータパッド156に接続している。この第2−1ヒータパッド156には、前述したように、第2セパレータ45の第2挿通孔45d内で第2−1ヒータ端子48が接触する。また、他方のヒータリード部153の基端部153kは、セラミック層124に貫通形成されたスルーホール導体157を介して、セラミック層124の他方の主面124bに形成された第2−2ヒータパッド158に接続している。この第2−2ヒータパッド158には、前述したように、第2セパレータ45の第2挿通孔45d内で第2−2ヒータ端子49が接触する。
次に、電線161,163,171,173,175,177について説明する(図1、図3参照)。これら6本の電線のうち、2本の電線161,163は、三重同軸ケーブル(トライアキシャルケーブル)であり、残り4本の電線171,173,175,177は、細径で単芯の絶縁電線である。
このうち電線161は、芯線(中心導体)として放電電位リード線162を有し、この放電電位リード線162は、前述のように、第2セパレータ45の第1挿通孔45c内で放電電位端子46に接続している。また、電線163は、芯線(中心導体)として補助電位リード線164を有し、この補助電位リード線164は、第2セパレータ45の第2挿通孔45d内で補助電位端子47に接続している。また、これらの電線161,163の同軸二重の外部導体のうち、内側の内側外部導体161g1,163g1は、内側金具20の内筒接続金具50に接続しており、第1電位PV1とされる。一方、外側の外側外部導体161g2,163g2は、外側金具70に導通する外筒接続金具95に接続しており、接地電位PVEとされる。
また、電線171は、芯線としてヒータリード線172を有する。また、電線177は、芯線としてヒータリード線178を有する。このヒータリード線172,178は、前述のように、接続端子181,182を介して、絶縁スペーサ100の層状ヒータ部102の2つのヒータリード部107(具体的には、端子パッド107m,107m)に接続されている。また、電線173は、芯線として第2−1ヒータリード線174を有する。この第2−1ヒータリード線174は、第2セパレータ45の第2挿通孔45d内で第2−1ヒータ端子48に接続している。また、電線175は、芯線として第2−2ヒータリード線176を有する。この第2−2ヒータリード線176は、第2セパレータ45の第2挿通孔45d内で第2−2ヒータ端子49に接続している。
次に、回路部200について説明する。回路部200は、図4に示すように、微粒子センサ10の電線161,163,171,173,175,177に接続されており、微粒子センサ10を駆動すると共に、後述する信号電流Isを検知する。この回路部200は、イオン源電源回路210と、補助電極電源回路240と、計測制御回路220とを有する。
このうち、イオン源電源回路210は、第1電位PV1とされる第1出力端211と、第2電位PV2とされる第2出力端212とを有する。第2電位PV2は、第1電位PV1に対して、正の高電位とされる。
補助電極電源回路240は、第1電位PV1とされる補助第1出力端241と、補助電極電位PV3とされる補助第2出力端242とを有する。この補助電極電位PV3は、第1電位PV1に対して、正の直流高電位であるが、第2電位PV2のピーク電位よりも低い電位とされる。
計測制御回路220は、信号電流検知回路230と、第1ヒータ通電回路223と、第2ヒータ通電回路225と、マイクロプロセッサ221とを有する。このうち、信号電流検知回路230は、第1電位PV1とされる第1入力端231と、第2入力端232とを有する。信号電流検知回路230は、第1入力端231と第2入力端232との間を流れる信号電流Isを検知する。なお、第1電位PV1は、接地電位PVEに対し、オフセット電圧Voffset(具体的には、0.5V)だけ高い電位とされる。従って、第2入力端232は、接地電位PVEよりもオフセット電圧Voffset(具体的には、0.5V)だけ高い電位とされる。
また、第1ヒータ通電回路223は、電線171のヒータリード線172に接続される第1−1ヒータ通電端223aと、接地電位PVEとされる第1−2ヒータ通電端223bとを有する。この第1ヒータ通電回路223は、PWM制御により絶縁スペーサ100のスペーサ用ヒータ105に通電して、スペーサ用ヒータ105の発熱抵抗体106を発熱させる。
また、第2ヒータ通電回路225は、電線173の第2−1ヒータリード線174に接続される第2−1ヒータ通電端225aと、電線175の第2−2ヒータリード線176に接続されて接地電位PVEとされる第2−2ヒータ通電端225bとを有する。この第2ヒータ通電回路225は、PWM制御によりセラミック素子120の素子用ヒータ150に通電して、素子用ヒータ150の発熱抵抗体151を発熱させる。
回路部200において、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240は、第1電位PV1とされる内側回路ケース250に包囲されている。また、この内側回路ケース250は、絶縁トランス270の二次側鉄心271bを収容して包囲すると共に、電線161,163のうち、第1電位PV1とされる内側外部導体161g1,163g1に導通している。絶縁トランス270は、その鉄心271が、一次側コイル272を捲回した一次側鉄心271aと、電源回路側コイル273及び補助電極電源側コイル274を捲回した二次側鉄心271bとに、分離して構成される。このうち一次側鉄心271aは、接地電位PVEに導通し、二次側鉄心271bは、第1電位PV1に導通している。
更に、イオン源電源回路210、補助電極電源回路240、内側回路ケース250、及び計測制御回路220は、接地電位PVEとされる外側回路ケース260に包囲されている。また、この外側回路ケース260は、絶縁トランス270の一次側鉄心271aを収容して包囲すると共に、電線161,163のうち、接地電位PVEとされる外側外部導体161g2,163g2に導通している。
計測制御回路220は、レギュレータ電源PSを内蔵している。このレギュレータ電源PSは、電源配線BCを通じて外部のバッテリBTで駆動される。レギュレータ電源PSを通じて計測制御回路220に入力された電力の一部は、絶縁トランス270を介して、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240に分配される。また、計測制御回路220は、マイクロプロセッサ221を有し、通信線CCを介して内燃機関を制御する制御ユニットECUと通信可能となっており、前述した信号電流検知回路230の測定結果(信号電流Isの大きさ)などの信号を、制御ユニットECUに送信可能となっている。
次いで、微粒子検知システム1の電気的機能及び動作について説明する。セラミック素子120の放電電極体130は、電線161の放電電位リード線162を介して、イオン源電源回路210の第2出力端212に接続、導通しており、第2電位PV2とされる(図4、図8、図9参照)。一方、セラミック素子120の補助電極体140は、電線163の補助電位リード線164を介して、補助電極電源回路240の補助第2出力端242に接続、導通しており、補助電極電位PV3とされる。更に、内側金具20は、電線161,163の内側外部導体161g1,163g1を介して、内側回路ケース250等に接続、導通しており、第1電位PV1とされる(図1、図3、図4参照)。加えて、外側金具70は、電線161,163の外側外部導体161g2,163g2を介して、外側回路ケース260等に接続、導通しており、接地電位PVEとされる。
ここで、放電電極体130の針状電極部131に、回路部200のイオン源電源回路210から、電線161の放電電位リード線162、放電電位端子46、及び放電電位パッド135を通じて、正の高電圧(例えば、1〜2kV)の第2電位PV2を印加する。すると、この針状電極部131の針状先端部131ssと、第1電位PV1とされた内側プロテクタ60との間で、気中放電、具体的にはコロナ放電を生じ、針状先端部131ssの周囲でイオンCPが生成される(図10参照)。
前述したように、ガス取入管25の作用により、内側プロテクタ60内には、排気ガスEGが取り入れられ、セラミック素子120付近において、基端側GKから先端側GSに向かう取入ガスEGIの気流が生じている。このため、生成されたイオンCPは、取入ガスEGI中の微粒子Sに付着する。これにより、微粒子Sは、正に帯電した帯電微粒子SCとなって、取入ガスEGIと共に、ガス排出口60eに向けて流れ、排気管EPへ排出される(図10参照)。
一方、補助電極体140の補助電極部141には、回路部200の補助電極電源回路240から、電線163の補助電位リード線164、補助電位端子47、及び補助電位パッド147を通じて、所定の電位(例えば、100〜200Vの正の直流電位)とされた補助電極電位PV3を印加する。これにより、生成したイオンCPのうち、微粒子Sに付着しなかった浮遊イオンCPFに、補助電極部141からその径方向外側の内側プロテクタ60(捕集極)に向かう斥力を与える。そして、浮遊イオンCPFを、捕集極(内側プロテクタ60)の各部に付着させて捕集を補助する(図10参照)。かくして、確実に浮遊イオンCPFを捕集することができ、浮遊イオンCPFまでもがガス排出口60eから排出されるのを防止する。
そして、この微粒子検知システム1では、ガス排出口60eから排出された帯電微粒子SCに付着していた排出イオンCPHの電荷量に対応する信号(信号電流Is)を、信号電流検知回路230で検知する。これにより、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量(濃度)を検知できる。このように、本実施例1では、気中放電で発生させたイオンCPを、ガス取入管25の内部に取り入れた排気ガスEG中に含まれる微粒子Sに付着させて、帯電した帯電微粒子SCを生成し、第1電位PV1と接地電位PVEとの間に、帯電微粒子SCの量に応じて流れる信号電流Isを用いて排気ガスEG中の微粒子Sの量を検知する。
更に、微粒子センサ10は、セラミック素子120に素子用ヒータ150を有する。この素子用ヒータ150の第2−1ヒータパッド156は、第2−1ヒータ端子48及び電線173の第2-1ヒータリード線174を介して、回路部200の第2ヒータ通電回路225の第2−1ヒータ通電端225aに導通している。また、素子用ヒータ150の第2−2ヒータパッド158は、第2−2ヒータ端子49及び電線175の第2-2ヒータリード線176を介して、第2ヒータ通電回路225の第2−2ヒータ通電端225bに導通している。
このため、第2ヒータ通電回路225から、第2−1ヒータパッド156と第2−2ヒータパッド158との間に所定のヒータ通電電圧を印加すると、素子用ヒータ150の発熱抵抗体151が通電により発熱する。これにより、セラミック素子120を加熱して、セラミック素子120に付着した異物(水滴やスス等)を除去できるので、セラミック素子120の絶縁性を回復或いは維持できる。
ところで、本実施例1の絶縁スペーサ100は、そのガス接触面100mにおいて、排気管EP内を流通する排気ガスEGに接する。このため、排気ガスEGに含まれる異物(例えば、水分やススなど)が、絶縁スペーサ100のガス接触面100mに付着することがある。このような異物がガス接触面100mに付着すると、絶縁スペーサ100の絶縁性が低下して、第1電位PV1とされる内側金具20と接地電位PVEとされる外側金具70との間の絶縁性が低下し、排気ガスEGに含まれる微粒子Sの量を適切に検知できない虞がある。
これに対し、本実施例1の微粒子センサ10は、絶縁スペーサ100にスペーサ用ヒータ105を有する。スペーサ用ヒータ105の一方の端子パッド107mは、接続端子181及び電線171のヒータリード線172を介して、第1ヒータ通電回路223の第1−1ヒータ通電端223aに接続している。また、スペーサ用ヒータ105の他方の端子パッド107mは、接続端子182及び電線177のヒータリード線178を介して、第1ヒータ通電回路223の第1−2ヒータ通電端223bに接続している。これにより、第1ヒータ通電回路223により、スペーサ用ヒータ105(発熱抵抗体106)への通電が可能となっている。
このため、第1ヒータ通電回路223により、スペーサ用ヒータ105への通電を行うと、スペーサ用ヒータ105の発熱抵抗体106が発熱する。これにより、絶縁スペーサ100のガス接触部100s(ガス接触面100m)を加熱して、ガス接触部100sのガス接触面100mに付着している異物(水やススなど)を除去することができる。これにより、水やススなどの異物がガス接触面100mに付着したことにより低下した絶縁スペーサ100の絶縁性(ガス接触面100mの絶縁性)を、回復させることができる。
以下に、本実施例1における内側金具20と外側金具70との間の絶縁性回復方法について、詳細に説明する。
本実施例1の微粒子検知システム1では、エンジンの運転が開始された後、内側金具20(第1電位PV1)と外側金具70(接地電位PVE)との間の絶縁性の程度が許容範囲内であるか否かを検査する。具体的には、前述のように、内側金具20(第1電位PV1)と外側金具70(接地電位PVE)との間にはオフセット電圧Voffset(具体的には、0.5V)が印加される。このため、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度に応じて、内側金具20と外側金具70との間を流れる漏れ電流Imが生じる。この漏れ電流Imは、信号電流検知回路230によって検知される。マイクロプロセッサ221は、信号電流検知回路230によって検知された漏れ電流Imの大きさが、許容範囲内であるか否か(具体的には、予め設定した基準値Ims(閾値)以下であるか否か)を判定する。本実施例1では、「絶縁性の程度」は、漏れ電流Imの大きさで示される。
なお、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度の許容範囲、具体的には、漏れ電流Imの基準値Ims(閾値)は、微粒子検知システム1によって排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知することができる絶縁性の程度の範囲に設定されている。絶縁スペーサ100のガス接触部100sのガス接触面100mに、水滴やススなどの異物が付着している場合は、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内でない、具体的には、漏れ電流Imが基準値Ims(閾値)よりも大きいと判定され得る。
本実施例1の微粒子検知システム1では、上述のように、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内でない(具体的には、漏れ電流Imが基準値Imsよりも大きい)と判定された場合に、第1ヒータ通電回路223によりスペーサ用ヒータ105に通電して発熱抵抗体106を発熱させて、絶縁スペーサ100のガス接触部100s(ガス接触面100m)を加熱する、ヒータ通電を行う。
より具体的には、エンジンの運転が開始された後、漏れ電流Imが基準値Imsよりも大きいと判定された場合、ガス接触面100mに付着した異物(水やススなど)が除去される温度(具体的には、500〜600℃の範囲内の温度)にまでスペーサ用ヒータ105を昇温させる、ヒータ通電を行う。これにより、絶縁スペーサ100のガス接触面100mに付着している異物(水やススなど)を除去し、当該異物がガス接触面100mに付着したことにより低下した絶縁スペーサ100の絶縁性(ガス接触面100mの絶縁性)を回復させる。
ところで、前述のヒータ通電(具体的には、500〜600℃の範囲内の温度までスペーサ用ヒータ105を昇温させる通電)を行うと、絶縁スペーサ100の温度が上昇するので、絶縁スペーサ100の体積抵抗率(体積固有抵抗)が低下する。このため、前述のヒータ通電を行った直後は、絶縁スペーサ100によって、内側金具20と外側金具70との間を適切に電気絶縁できない虞がある。このような場合において、ヒータ通電を行った後、微粒子センサ10を駆動して排気ガスEG中の微粒子Sの量を検知した場合には、排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知できない虞がある。
これに対し、本実施例1の微粒子検知システム1では、前記ヒータ通電が行われた場合に、その後、微粒子センサ10を駆動するときは、前記ヒータ通電が終了してから一定の冷却時間tcが経過した後に、微粒子センサ10を駆動するようにしている。ヒータ通電が終了した後、一定の冷却時間tcが経過することで、絶縁スペーサ100の温度が低下するので、絶縁スペーサ100の体積抵抗率(体積固有抵抗)を回復させることができる。これにより、絶縁スペーサ100によって、内側金具20と外側金具70との間を適切に電気絶縁することができる。その後、微粒子センサ10を駆動させることで、排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知することができる。
一方、前記ヒータ通電が行われることなく、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内である(具体的には、漏れ電流Imが基準値Ims以下である)と判定された場合は、その後、冷却時間tcの経過を待つことなく、微粒子センサ10を駆動する。これにより、排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知することができる。
なお、本実施例1では、「一定の冷却時間tc」は、ヒータ通電により昇温した絶縁スペーサ100の温度が、ヒータ通電を行う前の温度にまで低下すると見込まれる時間(例えば、10分間)に設定されている。
また、本実施例1の微粒子検知システム1では、信号電流Isが微小となるが、前述のように、漏れ電流Imが基準値Ims以下であると判定された場合に、微粒子の量の検知を行う。または、漏れ電流Imが基準値Imsより大きいと判定された場合でも、ヒータ通電によりガス接触面100mに付着している異物を除去し、その後、一定の冷却時間tcが経過してから、微粒子Sの量の検知を行うようにしている。これにより、微粒子検知システム1では、漏れ電流Imの影響を受けることなく、微小な信号電流Isを適切に検知できるので、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量を適切に検知することができる。
次に、本実施例1の微粒子検知の流れについて説明する。図11は、実施例1に係る微粒子検知の流れを示すフローチャートである。
エンジンのキースイッチ(図示なし)がONにされ、エンジンの運転が開始されると、ステップS1において、マイクロプロセッサ221の指令に基づいて、信号電流検知回路230は、第1入力端231と第2入力端232との間、すなわち、内側金具20(第1電位PV1)と外側金具70(接地電位PVE)との間を流れる漏れ電流Imを検知する。次いで、ステップS2において、マイクロプロセッサ221は、信号電流検知回路230によって検知された漏れ電流Imの大きさが、許容範囲内であるか否か(具体的には、予め設定した基準値Ims以下であるか否か)を判定する。
漏れ電流Imが基準値Ims以下である(YES)と判定された場合は、ステップS3に進み、マイクロプロセッサ221は、微粒子センサ10を駆動させる。具体的には、前述のように、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240を駆動させて、コロナ放電によりイオンCPを生成する等の処理を行う。
次いで、ステップS4に進み、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量を検知する。具体的には、前述のように、排出イオンCPHの電荷量に対応する信号(信号電流Is)を、信号電流検知回路230で検知する。これにより、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量(濃度)を検知できる。
一方、ステップS2において、漏れ電流Imが基準値Imsより大きい(NO)と判定された場合は、ステップS5に進み、ヒータ通電を開始する。具体的には、マイクロプロセッサ221からの指令に基づいて、第1ヒータ通電回路223は、PWM制御によりスペーサ用ヒータ105に通電して、ガス接触面100mに付着している異物(水やススなど)が除去される温度(具体的には、500〜600℃の範囲内の温度)までスペーサ用ヒータ105を昇温させる。
その後、ステップS6において、マイクロプロセッサ221は、第1ヒータ通電回路223からスペーサ用ヒータ105への通電を開始してから所定時間が経過したか否か(例えば、第1ヒータ通電回路223からスペーサ用ヒータ105への通電時間が、予め設定した一定の通電時間に達したか否か)を判定する。なお、所定時間(一定の通電時間)は、例えば、ガス接触部100sに付着している異物を除去するのに必要十分な時間に設定するのが好ましい。
ステップS6において、通電開始から所定時間が経過した(YES)と判定されると、ステップS7に進み、マイクロプロセッサ221からの指令に基づいて、第1ヒータ通電回路223は、スペーサ用ヒータ105への通電を終了する。ステップS6において、スペーサ用ヒータ105への通電開始から所定時間が経過していない(NO)と判定された場合は、所定時間が経過するまでステップS6の判定処理を繰り返す。ステップS5〜S7の処理を行うことにより、ヒータ通電が実行され、絶縁スペーサ100のガス接触面100mに付着している異物が除去される。
ステップS7において、スペーサ用ヒータ105への通電を終了することによりヒータ通電を終了したら、ステップS8に進み、ヒータ通電(第1ヒータ通電回路223によるスペーサ用ヒータ105への通電)が終了してから一定の冷却時間tcが経過したか否かを判定する。冷却時間tcが経過していない(NO)と判定された場合は、冷却時間tcが経過するまでステップS8の判定処理を繰り返す。その後、ステップS8において、冷却時間tcが経過した(YES)と判定されると、ステップS3及びS4に進み、前述した処理を行って、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量を検知する。
このように、本実施例1では、エンジン(内燃機関)の運転が開始された後、微粒子センサ10の駆動の開始に先立って、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内であるか否か(具体的には、内側金具20と外側金具70との間を流れる漏れ電流Imが基準値Ims以下であるか否か)を検査する。
そして、絶縁性の程度が許容範囲内である(具体的には、漏れ電流Imが基準値Ims以下である)と判定された場合に、微粒子センサ10を駆動して微粒子Sの量の検知を行う。また、絶縁性の程度が許容範囲内でない(具体的には、漏れ電流Imが基準値Imsより大きい)と判定された場合でも、ヒータ通電によりガス接触面100mに付着している異物を除去し、その後、一定の冷却時間tcが経過してから、微粒子Sの量の検知を行う。
従って、本実施例1の微粒子検知システム1によれば、エンジン(内燃機関)の運転が開始された後、エンジンから排出される排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知することができる。
なお、ステップS1,S2の処理を行うマイクロプロセッサ221及び信号電流検知回路230が、「絶縁性検査手段」に相当する。また、ステップS3の処理を行うマイクロプロセッサ221、イオン源電源回路210、及び、補助電極電源回路240が、「センサ駆動手段」に相当する。また、ステップS5〜S7の処理を行うマイクロプロセッサ221及び第1ヒータ通電回路223が、「ヒータ通電手段」に相当する。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例2は、実施例1と比較して、微粒子検知の流れ(具体的には、ヒータ通電及びその後の処理)が異なり(従って、マイクロプロセッサ221にインプットされている制御プログラムが異なる)、その他については同様である。このため、ここでは、実施例1と異なる点を中心に説明し、同様な点については説明を省略または簡略化する。
本実施例2の微粒子検知システム301(図1、図4参照)では、実施例1の微粒子検知システム1と同様に、エンジンの運転が開始された後、内側金具20(第1電位PV1)と外側金具70(接地電位PVE)との間の絶縁性の程度が許容範囲内であるか否かを検査する。具体的には、信号電流検知回路230が漏れ電流Imを測定し(図12のステップT1)、マイクロプロセッサ221が、測定された漏れ電流Imの大きさが許容範囲内であるか否か(具体的には、予め設定した基準値Ims(閾値)以下であるか否か)を判定する(図12のステップT2)。
内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内でない(具体的には、漏れ電流Imが基準値Imsよりも大きい)と判定された場合は、第1ヒータ通電回路223によりスペーサ用ヒータ105に通電して発熱抵抗体106を発熱させて、絶縁スペーサ100のガス接触部100sを加熱する、ヒータ通電を行う。但し、本実施例2では、実施例1のヒータ通電とは異なるヒータ通電(第1ヒータ通電という)を行う。
具体的には、本実施例2では、エンジンの運転が開始された後、漏れ電流Imが基準値Imsよりも大きいと判定された場合、まず、ガス接触面100mに付着した水が除去される温度(例えば、100〜150℃の範囲内の温度)にまでスペーサ用ヒータ105を昇温させる、第1ヒータ通電を行う(図12のステップT5〜T7)。これにより、絶縁スペーサ100のガス接触面100mに付着している水を、除去する(蒸発させる)ことができる。
ところで、ガス接触面100mには、排気ガスEGに含まれている水分以外の異物(ススや油分など)が付着することがある。このような異物がガス接触面に付着すると、ガス接触面100mの絶縁性が低下し、これにより、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性が低下して、排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知することができなくなる虞がある。このような異物は、前述の第1ヒータ通電では除去できないことがある。
これに対し、本実施例2の微粒子検知システム301では、上述の第1ヒータ通電が終了した後(絶縁スペーサ100のガス接触面100mに付着している水分を除去した後)、再び、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内であるか否か(具体的には、漏れ電流Imが基準値Ims以下であるか否か)を検査する(図12のステップT8〜T9)。
そして、絶縁性の程度が許容範囲内でない(具体的には、漏れ電流Imが基準値Imsよりも大きい)と判定された場合、今度は、第1ヒータ通電とはスペーサ用ヒータ105への通電条件が異なる第2ヒータ通電を行う(図12のステップT10〜T12)。具体的には、第1ヒータ通電回路223によりスペーサ用ヒータ105に通電して、ガス接触面100mに付着している第1ヒータ通電では除去できない異物(ススや油分など)が除去される温度(第1ヒータ通電による温度よりも高い温度、500〜600℃の範囲内の温度)にまでスペーサ用ヒータ105を昇温させる。
このような第2ヒータ通電を行うことで、前述の第1ヒータ通電では除去できなかった、ガス接触面100mに付着している異物(ススや油分など)を、除去する(焼き飛ばす)ことができる。これにより、スス等の異物がガス接触面100mに付着したことにより低下した絶縁スペーサ100の絶縁性(ガス接触面100mの絶縁性)を、回復させることができる。
なお、本実施例2では、第1ヒータ通電と第2ヒータ通電との切替は、第1ヒータ通電回路223によるPWM制御のデューティー比を変更することにより実行される。第1ヒータ通電回路223によるPWM制御のデューティー比を変更することで、スペーサ用ヒータ105に印加される実効電圧の大きさを変更している。
ところで、前述の第1ヒータ通電を行うことにより、絶縁スペーサ100の温度が上昇するので、その体積抵抗率(体積固有抵抗)が低下する。しかしながら、本実施例2では、第1ヒータ通電により絶縁スペーサ100の温度が上昇しても、絶縁スペーサ100のガス接触面100mから異物が除去されたならば、絶縁スペーサ100によって内側金具20と外側金具70との間を適切に電気絶縁できる(換言すれば、漏れ電流Imが基準値Ims以下になる)ように、絶縁スペーサ100の寸法(具体的には、内側金具20と外側金具70との間に介在する絶縁スペーサ100の厚み)が確保されている。
このため、本実施例2では、第1ヒータ通電後、冷却時間の経過を待つことなく、速やかに微粒子センサ10を駆動させたとしても、適切に(絶縁スペーサ100の温度上昇に伴う体積抵抗率の低下の影響を受けることなく)、微粒子検知を行うことができる。また、第1ヒータ通電後、冷却時間の経過を待つことなく、前記絶縁性の検査を行ったとしても、ガス接触面100mに水が付着したことにより低下した内側金具20と外側金具70との間の絶縁性が回復したか否かを、適切に(絶縁スペーサ100の温度上昇に伴う体積抵抗率の低下の影響を受けることなく)判定することができる。このため、本実施例2では、第1ヒータ通電に対する第1冷却時間を「0」に設定し、第1ヒータ通電後、冷却時間の経過を待つことなく、前記絶縁性の検査を行い(図12のステップT8)、絶縁性の程度が許容範囲内である(具体的には、漏れ電流Imが基準値Ims以下である)と判定された場合は、速やかに、微粒子センサ10を駆動し(図12のステップT3)、微粒子検知を行う(図12のステップT4)ようにしている。
一方、前述の第2ヒータ通電を行った場合は、第1ヒータ通電を行った場合に比べて、絶縁スペーサ100の温度上昇が大きく、絶縁スペーサ100の体積抵抗率(体積固有抵抗)の低下が大きくなる。このため、第2ヒータ通電を行った直後は、絶縁スペーサ100によって、内側金具20と外側金具70との間を適切に電気絶縁できない虞がある。このような場合において、第2ヒータ通電を行った後、微粒子センサ10を駆動して排気ガスEG中の微粒子Sの量を検知した場合には、排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知できない虞がある。
これに対し、本実施例2の微粒子検知システム301では、第2ヒータ通電が行われた後、微粒子センサ10を駆動するときは、第2ヒータ通電が終了してから第2冷却時間t2が経過した後に(図12のステップT13)、微粒子センサ10を駆動するようにしている。第2ヒータ通電が終了した後、第2冷却時間t2が経過することで、絶縁スペーサ100の温度が低下するので、絶縁スペーサ100の体積抵抗率(体積固有抵抗)を回復させることができる。これにより、絶縁スペーサ100によって、内側金具20と外側金具70との間を適切に電気絶縁することができる。その後、微粒子センサ10を駆動させることで、排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知することができる。
なお、「第2冷却時間t2」は、「第2ヒータ通電によるスペーサ用ヒータ105への通電条件(例えば、第1ヒータ通電回路223によるPWM制御のデューティー比)に応じて設定された冷却時間」であり、第2ヒータ通電に対して予め設定された冷却時間である。本実施例2では、「第2冷却時間t2」は、第2ヒータ通電により昇温した絶縁スペーサ100の温度が、第2ヒータ通電を行う前の温度にまで低下すると見込まれる時間(例えば、10分間)に設定されている。
次に、本実施例2の微粒子検知の流れについて説明する。図12は、実施例2に係る微粒子検知の流れを示すフローチャートである。なお、図12において破線で記載されているステップT14は、後述する変形例1で行う処理であり、本実施例2では行わない処理である。
エンジンのキースイッチ(図示なし)がONにされ、エンジンの運転が開始されると、ステップT1において、実施例1のステップS1と同様に、漏れ電流Imを検知する。次いで、ステップT2において、実施例1のステップS2と同様に、漏れ電流Imの大きさが許容範囲内であるか否か(具体的には、予め設定した基準値Ims以下であるか否か)を判定する。
ステップT2において、漏れ電流Imが基準値Ims以下である(YES)と判定された場合は、ステップT3に進み、実施例1のステップS3と同様に、微粒子センサ10を駆動させる。次いで、ステップT4に進み、実施例1のステップS4と同様に、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量を検知する。
一方、ステップT2において、漏れ電流Imが基準値Imsより大きい(NO)と判定された場合は、ステップT5に進み、第1ヒータ通電を開始する。具体的には、マイクロプロセッサ221からの指令に基づいて、第1ヒータ通電回路223は、第1ヒータ通電を実行するためのPWM制御によりスペーサ用ヒータ105に通電して、ガス接触面100mに付着した水が除去される温度(例えば、100〜150℃の範囲内の温度)にまでスペーサ用ヒータ105を昇温させる。本実施例2では、スペーサ用ヒータ105に印加される実効電圧が、「スペーサ用ヒータ105の温度を、ガス接触面100mに付着した水が除去される温度(例えば、100〜150℃の範囲内の温度)にできる値」となるように、第1ヒータ通電回路223によるPWM制御のデューティー比を設定して、第1ヒータ通電を実行する。
その後、ステップT6において、マイクロプロセッサ221は、第1ヒータ通電回路223からスペーサ用ヒータ105への通電を開始してから所定時間が経過したか否か(例えば、第1ヒータ通電回路223からスペーサ用ヒータ105への通電時間が、予め設定した第1通電時間に達したか否か)を判定する。なお、所定時間(第1通電時間)は、例えば、ガス接触部100sに付着している水を蒸発させるのに必要十分な時間に設定するのが好ましい。
ステップT6において、通電開始から所定時間が経過した(YES)と判定されると、ステップT7に進み、マイクロプロセッサ221からの指令に基づいて、第1ヒータ通電回路223は、スペーサ用ヒータ105への通電を終了する。ステップT6において、スペーサ用ヒータ105への通電開始から所定時間が経過していない(NO)と判定された場合は、所定時間が経過するまでステップT6の判定処理を繰り返す。ステップT5〜T7の処理を行うことにより、第1ヒータ通電が実行され、絶縁スペーサ100のガス接触面100mに付着している水が除去される(蒸発する)。
ステップT7において、スペーサ用ヒータ105への通電を終了することにより第1ヒータ通電を終了したら、ステップT8に進み、前述のステップT1と同様に、漏れ電流Imを検知する。次いで、ステップT9に進み、前述のステップT2と同様に、検知された漏れ電流Imの大きさが許容範囲内であるか否か(具体的には、予め設定した基準値Ims以下であるか否か)を判定する。
ステップT9において、漏れ電流Imが基準値Ims以下である(YES)と判定された場合は、ステップT3及びT4に進み、前述した処理を行って、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量を検知する。
一方、ステップT9において、漏れ電流Imが基準値Imsより大きい(NO)と判定された場合は、ステップT10に進み、第2ヒータ通電を開始する。具体的には、マイクロプロセッサ221からの指令に基づいて、第1ヒータ通電回路223は、第2ヒータ通電を実行するためのPWM制御により(先の第1ヒータ通電よりもデューティー比を大きくしたPWM制御により)スペーサ用ヒータ105に通電して、ガス接触面100mに付着している第1ヒータ通電では除去できない異物(ススや油分など)が除去される温度(第1ヒータ通電よりも高い温度、例えば500〜600℃の範囲内の温度)にまでスペーサ用ヒータ105を昇温させる。本実施例2では、スペーサ用ヒータ105に印加される実効電圧が、「スペーサ用ヒータ105の温度を、ガス接触面100mに付着している第1ヒータ通電では除去できない異物(ススや油分など)が除去される温度(例えば、500〜600℃の範囲内の温度)にできる値」となるように、第1ヒータ通電回路223によるPWM制御のデューティー比を設定して、第2ヒータ通電を実行する。
その後、ステップT11において、マイクロプロセッサ221は、第1ヒータ通電回路223からスペーサ用ヒータ105への通電を開始してから所定時間が経過したか否か(例えば、第1ヒータ通電回路223からスペーサ用ヒータ105への通電時間が、予め設定した第2通電時間に達したか否か)を判定する。なお、所定時間(第2通電時間)は、例えば、ガス接触部100sに付着しているススを除去する(焼失させる)のに必要十分な時間に設定するのが好ましい。
ステップT11において、通電開始から所定時間が経過した(YES)と判定されると、ステップT12に進み、マイクロプロセッサ221からの指令に基づいて、第1ヒータ通電回路223は、スペーサ用ヒータ105への通電を終了する。ステップT11において、スペーサ用ヒータ105への通電開始から所定時間が経過していない(NO)と判定された場合は、所定時間が経過するまでステップT11の判定処理を繰り返す。ステップT10〜T12の処理を行うことにより、第2ヒータ通電が実行され、絶縁スペーサ100のガス接触面100mに付着しているスス等の異物(第1ヒータ通電では除去できなかった異物)が除去される。これにより、スス等の異物がガス接触面100mに付着したことにより低下した絶縁スペーサ100の絶縁性(ガス接触面100mの絶縁性)を、回復させることができる。
ステップT12において、スペーサ用ヒータ105への通電を終了することにより第2ヒータ通電を終了したら、ステップT13に進み、第2ヒータ通電が終了してから第2冷却時間t2が経過したか否かを判定する。第2冷却時間t2が経過していない(NO)と判定された場合は、第2冷却時間t2が経過するまでステップT13の判定処理を繰り返す。その後、第2冷却時間t2が経過した(YES)と判定された場合は、ステップT3及びT4に進み、前述した処理を行って、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量を検知する。
このように、本実施例2でも、エンジン(内燃機関)の運転が開始された後、微粒子センサ10の駆動の開始に先立って、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内であるか否か(具体的には、内側金具20と外側金具70との間を流れる漏れ電流Imが基準値Ims以下であるか否か)を検査する。
そして、絶縁性の程度が許容範囲内である(具体的には、漏れ電流Imが基準値Ims以下である)と判定された場合に、微粒子センサ10を駆動して微粒子Sの量の検知を行う。また、絶縁性の程度が許容範囲内でない(具体的には、漏れ電流Imが基準値Imsより大きい)と判定され、第1ヒータ通電を行った後、絶縁性の程度が許容範囲内であると判定された場合も、その後、微粒子センサ10を駆動して、微粒子Sの量の検知を行う。
一方、第1ヒータ通電を行った後も、絶縁性の程度が許容範囲内でないと判定された場合は、第2ヒータ通電を行って、絶縁スペーサ100のガス接触面100mからススなどの異物を除去した後、第2冷却時間t2の経過により絶縁スペーサ100の絶縁性(体積抵抗率)を回復さてから、微粒子センサ10を駆動して微粒子Sの量の検知を行う。
従って、本実施例2の微粒子検知システム301によれば、エンジン(内燃機関)の運転が開始された後、エンジンから排出される排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知することができる。
なお、ステップT1,T2の処理を行うマイクロプロセッサ221及び信号電流検知回路230と、ステップT8,T9の処理を行うマイクロプロセッサ221及び信号電流検知回路230が、「絶縁性検査手段」に相当する。また、ステップT3の処理を行うマイクロプロセッサ221、イオン源電源回路210、及び、補助電極電源回路240が、「センサ駆動手段」に相当する。また、ステップT5〜T7の処理を行うマイクロプロセッサ221及び第1ヒータ通電回路223と、ステップT10〜T12の処理を行うマイクロプロセッサ221及び第1ヒータ通電回路223が、「ヒータ通電手段」に相当する。
(変形例1)
次に、本発明の変形例1について説明する。本変形例1は、実施例2と比較して、微粒子検知の流れの一部が異なり(従って、マイクロプロセッサ221にインプットされている制御プログラムが異なる)、その他については同様である。このため、ここでは、実施例2と異なる点を中心に説明し、同様な点については説明を省略または簡略化する。
前述のように、実施例2では、第1ヒータ通電に対する第1冷却時間を「0」に設定し、第1ヒータ通電後、冷却時間の経過を待つことなく、前記絶縁性の検査を行い、絶縁性の程度が許容範囲内である(具体的には、漏れ電流Imが基準値Ims以下である)と判定された場合は、速やかに、微粒子センサ10を駆動し、微粒子検知を行うようにした(図12参照)。このような処理が可能である理由は、実施例2では、第1ヒータ通電により絶縁スペーサ100の温度が上昇しても、絶縁スペーサ100のガス接触面100mから異物が除去されたならば、絶縁スペーサ100によって内側金具20と外側金具70との間を適切に電気絶縁できる(換言すれば、漏れ電流Imが基準値Ims以下になる)ように、絶縁スペーサ100の寸法(具体的には、内側金具20と外側金具70との間に介在する絶縁スペーサ100の厚み)が確保されていたからである。
これに対し、本比較例1の微粒子検知システム501では、絶縁スペーサ100の寸法(具体的には、内側金具20と外側金具70との間に介在する絶縁スペーサ100の厚み)が、「第1ヒータ通電により絶縁スペーサ100の温度が上昇すると、絶縁スペーサ100のガス接触面100mから異物が除去されていても、絶縁スペーサ100によって内側金具20と外側金具70との間を適切に電気絶縁できない(換言すれば、漏れ電流Imが基準値Imsより大きくなる)ような小さい寸法」となっている。このため、本変形例1では、第1ヒータ通電後、第1冷却時間t1の経過により、絶縁スペーサ100の絶縁性(体積抵抗率)の回復を待つ必要がある。なお、図12(破線で記載したステップT14を含む)は、本変形例1に係る微粒子検知の流れを示すフローチャートである。
具体的には、本変形例1では、図12に破線で示すように、ステップT7において、スペーサ用ヒータ105への通電を終了することにより第1ヒータ通電を終了したら、ステップT14に進み、第1ヒータ通電が終了してから第1冷却時間t1が経過したか否かを判定する。第1冷却時間t1が経過していない(NO)と判定された場合は、第1冷却時間t1が経過するまでステップT14の判定処理を繰り返す。その後、第1冷却時間t1が経過した(YES)と判定された場合は、ステップT8に進み、漏れ電流Imを検知する。その後、ステップT9において、検知された漏れ電流Imの大きさが許容範囲内である(具体的には、予め設定した基準値Ims以下である)と判定された場合は、ステップT3及びT4に進み、排気ガスEG中に含まれる微粒子Sの量を検知する。
なお、「第1冷却時間t1」は、「第1ヒータ通電によるスペーサ用ヒータ105への通電条件(例えば、第1ヒータ通電回路223によるPWM制御のデューティー比)に応じて設定された冷却時間」であり、第1ヒータ通電に対して予め設定された冷却時間である。この第1冷却時間t1は、第1ヒータ通電により昇温した絶縁スペーサ100の温度が、第1ヒータ通電を行う前の温度にまで低下すると見込まれる時間(例えば、5分間)に設定するのが好ましい。
以上において、本発明を実施例1,2及び変形例1に即して説明したが、本発明は上述の実施例等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施例等では、タングステンからなる発熱抵抗体106を用いたが、発熱抵抗体106の構成材料はこれに限定されない。白金やモリブデンなどの他の金属材料や、導電性セラミック材を用いてもよい。
また、実施例等では、具体的な微粒子検知の流れとして、図11または図12のフローチャートに記載した流れを例示したが、微粒子検知の流れはこれに限定されない、例えば、実施例等では、ステップS1(T1,T8)において1回だけ漏れ電流Imを測定し、ステップS2(T2,T9)においてこの漏れ電流Imの大きさが許容範囲内であるか否か(具体的には、予め設定した基準値Ims以下であるか否か)を判定し、漏れ電流Imの大きさが許容範囲内である場合には、ステップS3(T3)において微粒子センサ10を駆動させるようにした。すなわち、1回だけの漏れ電流Imの測定結果に基づいて、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内であるか否かを判定した。
しかしながら、漏れ電流Imを複数回測定し、複数回の測定結果に基づいて内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内であるか否かを判定するようにしても良い。例えば、漏れ電流Imを3回測定し、3回全てにおいて、漏れ電流Imの大きさが許容範囲内である(具体的には、予め設定した基準値Ims以下である)場合に、内側金具20と外側金具70との間の絶縁性の程度が許容範囲内であると判定し、ステップS3(T3)において微粒子センサ10を駆動させるようにしても良い。このように、複数回の漏れ電流Imの測定結果に基づいて絶縁性の程度が許容範囲内であるか否かを判定することで、絶縁性判定の信頼性を高めることができ、ひいては微粒子検知の信頼性を高めることができる。
また、実施例2では、第2ヒータ通電を開始してから、予め設定した所定時間(第2通電時間)が経過した後、第2ヒータ通電を終了するようにした(図12のステップT10〜T12を参照)。しかしながら、第2ヒータ通電を開始した後、漏れ電流Imの測定(ステップT1の処理)と漏れ電流Imの大きさが許容範囲内であるか否かの判定(ステップSTの処理)を一定時間毎に行い、漏れ電流Imの大きさが許容範囲内であると判定された後、第2ヒータ通電を終了するようにしても良い。
また、第1ヒータ通電と第2ヒータ通電とでは、スペーサ用ヒータ105への通電条件が異なり、第1ヒータ通電後と第2ヒータ通電後とでは絶縁スペーサ100の温度が異なることになるため、実施例2及び変形例1では、それぞれのヒータ通電における通電条件に応じた冷却時間(第1冷却時間と第2冷却時間)を設定した。しかしながら、それぞれのヒータ通電における通電条件に拘わらず、第1ヒータ通電後の冷却時間と第2ヒータ通電後の冷却時間を等しくする(一定の冷却時間に統一する)ようにしても良い。この場合の「一定の冷却時間」は、第2ヒータ通電後に、絶縁スペーサ100によって内側金具20と外側金具70との間を適切に電気絶縁できるようになるまで、絶縁スペーサ100の絶縁性(体積抵抗率)が回復する時間に設定するのが好ましい。