JP6463995B2 - 樹脂組成物、フィルム、積層フィルム、積層体、イージーピール用材料およびカバーテープ - Google Patents

樹脂組成物、フィルム、積層フィルム、積層体、イージーピール用材料およびカバーテープ Download PDF

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Description

本発明は、4−メチル−1−ペンテン共重合体0.5質量%以上50質量%未満と熱可塑性樹脂50質量%以上99.5質量%未満とを含む樹脂組成物に関する。また、前記樹脂組成物を含むフィルム、積層フィルム、前記積層フィルムを含む積層体、イージーピール用材料および前記イージーピール用材料を含むカバーテープに関する。
半導体や電子部品などのマイクロチップを輸送や保管するために、電子部品の形状に合わせて収納しうるエンボス成形されたポケットが連動的に形成されたキャリアテープや、カップ麺、ゼリー、ヨーグルトなどの各種飲料品、医薬品の容器には易開封性の蓋材を備えたプラスチック容器が広く使用されている。このような易開封性蓋材のシール層には押出ラミネート加工が可能なカバーテープやシール材料がこれまで数多く提案され、実用化されてきている。一般的にはエチレン・酢酸ビニル共重合体やエチレン・アクリル酸エチル共重合体と粘着付与剤との組成物、これにポリエチレンや、エチレン・α-オレフィン共重合体などを付与された組成物などが、密封性と易開封性を備えたシール材として提案されてきている(例えば、特許文献1〜5を参照)。
現在では、容器本体に使用されるプラスチック材料の種類も増えてきていること、用途によっては望まれるヒートシール特性が異なることなど、様々な要求に耐えられるようなシール材料が望まれている。たとえば、前述したキャリアテープなどは、従来ポリスチレン(PS)を基材として使用されていたが、近年は、生産性向上の観点からテープ強度が高く、従来のカバーテープで用いられていたシール材料とは接着しにくいポリカーボネート(PC)が使用される傾向にある。また加工コストの点から短時間での接着が求められており、従来シール材料の接着強度を上げることが検討されている。例えば特許文献5では、PCへの接着性を向上させたシール材料が提案されている。
特開平6−309472号公報 特開平10−337829号公報 特開2000−062116号公報 特開2005−041890号公報 特開2012−188509号公報
4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、ポリエチレンやポリプロピレンと比べて、耐熱性、透明性、離型性など優れた特徴を有した樹脂として離型フィルムや電子・情報用材料資材として利用されている。しかしながら、シール材料に添加する際に、シール材の原料の主成分であるエチレン系共重合体と融点が大きく異なることから、4−メチル−1−ペンテン系共重合体の成形温度である250℃以上だと未溶融樹脂が発生し、ゲル化などにより成形不良を招くおそれがある。
また、前記特許文献1〜5に記載のシーラント層やシーラント材にはエチレン−酢酸ビニル共重合体や低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂が使用されているが、成形温度を250℃以上に上昇させるとゲル化して成形不良となることがある。一方、シーラント層に高融点の樹脂を用いて成形を行うと、成形時のゲル化を防ぐことができるものの成形時に未融解樹脂があるため、成形不良と外観を損なうことがある。
さらに、従来の積層フィルムでは、製造時にロールからのフィルムの離脱性(離ロール性ともいう)が悪いため、加工速度が上げられず生産性が向上しにくい、という問題点もある。またロールから前記フィルムをはがす時に音鳴りがするため、フィルムの製造効率が低くなるといった問題がある。
また、シール強度が大きくなることで、シール材料を成形する際にフィルム巻き取り機のロールから剥がれにくくなるため、生産速度が低下する傾向がある。またロールから剥離する際にシール材料が伸びたり破断したりすることが懸念される。
本発明の課題は、粘着性やヒートシール性を大きく損なうことなく、離型性に優れたフィルムを提供することができる樹脂組成物、前記樹脂組成物を含むフィルム、積層フィルム、前記積層フィルムを含む積層体、イージーピール用材料および前記イージーピール用材料を含むカバーテープを提供することである。
前記課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> 4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む樹脂組成物であって、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が、前記樹脂組成物の全質量に対して0.5質量%以上50質量%未満であり、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記樹脂組成物の全質量に対して50質量%以上99.5質量%未満であり、
かつ前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[1]の要件を満たす、樹脂組成物。
[1]4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を99.5モル%〜60モル%、及び炭素原子数2〜20のα-オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)に由来する構成単位の総和が0.5モル%〜40モル%である。
<2> 前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[2]から[5]の要件をすべて満たす<1>に記載の樹脂組成物。
[2]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g〜5.0dl/gである
[3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
[4]密度が825kg/m〜860kg/mである
[5]示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が100℃〜199℃の範囲にある
<3> 前記熱可塑性樹脂(B)がオレフィン系樹脂である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4> 前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[6]の要件を満たす<1>から<3>のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[6]前記炭素原子数2〜20のα−オレフィンが、プロピレンである
<5> <1>から<4>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、フィルム。
<6> <1>から<5>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むシーラント層と、基材層と、の少なくとも2層を含む、積層フィルム。
<7> <6>に記載の積層フィルムを含む、積層体。
<8> <6>に記載の積層フィルムを含む、イージーピール用材料。
<9> <8>に記載のイージーピール用材料を含む、カバーテープ。
本発明によれば、粘着性やヒートシール性を大きく損なうことなく、離型性に優れたフィルムを提供することができる樹脂組成物、前記樹脂組成物を含むフィルム、積層フィルム、前記積層フィルムを含む積層体、イージーピール用材料および前記イージーピール用材料を含むカバーテープを提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
なお本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
以下に本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物について詳説する。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含み、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が、前記樹脂組成物の全質量に対して0.5質量%以上50質量%未満であり、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記樹脂組成物の全質量に対して50質量%以上99.5質量%未満である。
本発明の樹脂組成物を用いることにより、粘着性やヒートシール性を大きく損なうことなく、離型性に優れたフィルムを提供することができる。
また、本発明の樹脂組成物を用いて積層フィルムを製造する場合、ロールからのフィルムの離脱性が優れているため、加工速度をあげることができ、生産性を向上させることができる。さらに、ロールから前記フィルムをはがす時の音鳴りの発生を抑制でき、フィルムの製造効率に優れている。
ロールに巻き取ったフィルムを二次加工する場合、フィルム間のブロッキングが生じて、フィルムが剥がしにくくなることが懸念される。そのため、ブロッキング防止にフィルムにアンチブロッキング剤を配合することや剥離層を設けることがあるが、それでもフィルムを剥がしにくく、さらに、フィルムと剥離層とを剥がすときに、離型性が十分ではないという問題がある。
一方、本発明の樹脂組成物を用いることにより、二次加工する場合、フィルム間のブロッキングが抑制され、かつ離型性に優れたフィルムが得られる。
〔4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)〕
以下、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)について説明する。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、4−メチル−1−ペンテンに由来する(から導かれる)構成単位を99.5モル%〜60モル%含み、炭素原子数2〜20のα-オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)に由来する構成単位を0.5モル%〜40モル%の割合で含むことを特徴とする。なお、炭素原子数2〜20のα−オレフィンとしては、1種類に限定されることなく、2種以上を選択してもよく、複数選択した場合、その構成単位の総和として、前記範囲を満たせばよい。
ここで、耐熱性、離型性、成形性の観点から、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の上限として99.5モル%含まれていることが好ましく、97モル%含まれていることがより好ましく、93モル%含まれていることがさらに好ましい。また4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の下限としては、60モル%含まれていることが好ましく、70モル%含まれていることがより好ましく、83モル%含まれていることがさらに好ましく、87モル%含まれていることが特に好ましい。
一方、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)に由来する構成単位の上限として40モル%含まれていることが好ましく、30モル%含まれていることがより好ましく、17モル%含まれていることがさらに好ましく、13モル%含まれていることが特に好ましい。また、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)に由来する構成単位の下限として、0.5モル%含まれていることが好ましく、3モル%含まれていることがより好ましく、7モル%含まれていることがさらに好ましい。ここで、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のα−オレフィンとの構成単位の合計は100モル%であることが好ましい。
4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)とにそれぞれ由来する構成単位の割合を前記範囲内にすることによって、得られる4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の融点を、要件[5]:示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が100℃〜199℃の範囲にある、を満たすように調整することができる。そのため、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む層からなるフィルムを製造する際、従来使用されている4−メチル−1−ペンテン系の重合体、特に4−メチル−1−ペンテンのホモ重合体に比べて成形温度を下げることができる。さらに構成単位の割合を前記範囲内とすることにより、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の耐熱性を高いレベルで維持することが可能となる。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、4−メチル−1−ペンテン構造単位連鎖と炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)に由来する構成単位で同種の構成単位が連続したブロックとを含むブロック共重合体であってもよい。また透明性、成形性の観点からは、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体が好ましい。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)に含まれる炭素原子数2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが好適な例として挙げられる。
また、炭素原子数2〜20のα−オレフィンとしては、共重合性および得られる共重合体の物性の観点からは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがより好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがさらに好ましい。これらのうち、炭素原子数2〜4のα−オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテンが好適な例として挙げられる。
これらの炭素原子数2〜20のα−オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。さらに共重合性、分散性の観点からは、プロピレンが最も好ましい。
なお、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、本発明の目的を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンおよび炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)以外の重合性化合物(以下、重合性化合物ともいう)に由来する構造単位を含んでいてもよい。
前記重合性化合物としては、例えばスチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;無水マレイン酸等の不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジエン類;1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等の非共役ポリエン類などが挙げられる。
本発明において、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、前記重合性化合物に由来する単位を、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)に含まれる全ての重合性化合物に由来する構造単位に対して、10モル%以下含有されていてもよく、5モル%以下、3モル%以下の量で含有していてもよい。
本発明において、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)に含まれる、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位、及び4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィンに由来する構成単位、の含有率(モル%)は、下記の方法により測定することができる。
〜測定条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
本発明において、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.5dL/g〜5.0dL/gであることが好ましい。
ここで、極限粘度[η]は、1.0dL/g〜4.0dL/gの範囲であることが好ましく、1.2dL/g〜3.5dL/gの範であることがさらに好ましい。
前記極限粘度[η]の値は、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を製造する際の、重合時の水素の添加量により調整することが可能である。
極限粘度[η]の値が前記範囲にある4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、樹脂組成物製造時や各種成形時において良好な流動性を示す。また、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を用いることにより、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体をはじめとする熱可塑性樹脂(B)への分散性が良好となり、外観美麗な成形品が得られる。
前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の極限粘度[η]は、ウベローデ粘度計を用い、下記の方法により測定される値である。
約20mgの4−メチル1−ペンテン共重合体(A)をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、前記と同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求める(下記の式1参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜3.5であることが好ましい。ここで、分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜3.0の範囲であることが好ましく、さらには1.5〜2.5の範囲であることが好ましい。
前記分子量分布(Mw/Mn)の値は、後述するオレフィン重合用触媒の種類によって調整することが可能である。
分子量分布(Mw/Mn)の値が前記範囲にある4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物は、相対的に低い分子量成分の含有率が少ない傾向がある。そのため、前記低分子量体のブリードアウトが少なく、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物をペレットやフィルム成形を行った際に、ブロッキング性が低下し、フィルム物性全般、特に機械強度に優れ、外観美麗という観点から好ましい。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は下記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出される値である。
〜測定条件〜
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示唆屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の密度は、825kg/m〜860kg/mであることが好ましい。
ここで、密度は、830kg/m〜855kg/mの範囲であることが好ましく、830kg/m〜850kg/mの範囲であることがより好ましく、830kg/m〜845kg/mの範囲であることがさらに好ましい。
前記密度の値は、4−メチル−1−ペンテンと共に重合する他のα−オレフィンの種類や配合量を選択することにより、調整することが可能である。
密度の値が前記範囲にある4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物は、耐熱性と軽量性の観点から好ましい。
前記4−メチル1−ペンテン共重合体(A)の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定される値である。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)のメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)は、成形時の流動性の観点から、0.01g/10min〜100g/10minであることが好ましく、0.5g/10min〜50g/10minであることがより好ましく、0.5g/10min〜30g/10minであることが更に好ましい。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定される値である。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)のDSCで測定した融点(Tm)は、融点を持たない、または100℃〜199℃であることが好ましい。
ここで、融点(Tm)は、110℃〜190℃の範囲であることが好ましく、125℃〜185℃の範囲であることがより好ましく、125℃〜180℃の範囲であることがさらに好ましく、140℃〜180℃の範囲であることが特に好ましい。
前記融点(Tm)の値は、重合体の立体規則性ならびに共に重合するα−オレフィン量に依存して変化する値であり、後述するオレフィン重合用触媒を用いて所望の値に制御調整することが可能である。
融点(Tm)の値が前記範囲にある4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物は、室温でべたつきが少ないことからハンドリング性が良好となるなど成形性の観点から好ましい。
前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体の融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC:Differential scanning calorimetry)を用い、下記の方法により測定される値である。
約5mgの4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計(DSC220C型)の測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱する。4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却する。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行ない、この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を共重合体の融点(Tm)とする。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用する。
本発明において、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)は、オレフィン重合用触媒の存在下、4−メチル−1−ペンテンと上述した特定のα−オレフィン、さらに必要に応じて前記重合性化合物を重合することにより得ることができる。
オレフィン重合用触媒のうち、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を製造するに当たり、好ましい触媒の態様として、メタロセン触媒を挙げることができる。
好ましいメタロセン触媒としては、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3−193796号公報、特開平02−41303号公報中あるいは国際公開第06/025540号パンフレット、国際公開第2014/050817号パンフレット中に記載のメタロセン触媒が挙げられる。
本発明の樹脂組成物における4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量は、樹脂組成物の全質量に対して、0.5質量%以上50質量%未満が好ましく、1質量%以上40質量%以下がより好ましく、3質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。前記範囲にあると、熱可塑性樹脂(B)との親和性が高いため、系中に4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を微分散させることが可能となることから、該熱可塑性樹脂組成物を用いてフィルムを製造した際に、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が脱落していくことが少なく離ロール性を向上できるほか、長期間にわたりフィルムの耐ブロッキング性を維持することが可能である。
〔熱可塑性樹脂(B)〕
本発明において、熱可塑性樹脂(B)は、オレフィン系重合体;例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体;例えば、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体;例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体エチレン・クロトン酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル、エチレン・(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、エチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル、エチレン・(メタ)アクリル酸シクロヘキシル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体;例えば、エチレン・酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、アイオノマー、スチレン系樹脂;例えば、ポリスチレン、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体およびその水添物、スチレン・イソプレン共重合体およびその水添物、スチレン・イソブチレン共重合体、スチレン・イソブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラメチレングリコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリフェニレンテレフタルアミド、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリベンゾイミダゾール、シリコーン樹脂、ポリブタジエン、セルロース樹脂、およびこれらの重合体の混合物であり、その中でも、オレフィン系重合体(オレフィン系樹脂)を用いることが好ましい。
オレフィン系重合体の中でも特に、エチレン系重合体を用いることが好ましい。エチレン系重合体は公知のエチレンを主体とする重合体であり、そのような例としては、エチレン単独重合体、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体;例えばエチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレンと他のビニルモノマー;例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体;例えば、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体;例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体エチレン・クロトン酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル、エチレン・(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、エチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル、エチレン・(メタ)アクリル酸シクロヘキシル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体;例えば、エチレン・酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、アイオノマー、およびこれらの混合物等を挙げることができる。また、これらの重合体には必要に応じてポリプロピレン、ポリ1−ブテン、スチレン系樹脂、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のポリオレフィン系重合体を添加することも可能である。
〔その他の樹脂〕
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内において、上述の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)及び熱可塑性樹脂(B)以外のその他の樹脂を含有していてもよい。
〔添加剤〕
本発明の樹脂組成物は、特定量の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と特定量の熱可塑性樹脂(B)とを含有し、更に、本発明の目的を損なわない範囲内において、例えば、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機又は有機の充填剤、有機系又は無機系の発泡剤、架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤、導電フィラー等の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明において、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物(以下、熱可塑性樹脂組成物という)には、その成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め結晶化速度を速めるために、特定の任意成分である核剤が配合されていてもよい。
この場合、例えば核剤はジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6−ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド等であり、配合量は特に制限されないが、該(共)樹脂組成物100質量部に対して0.1質量部〜1質量部程度があることが好ましい。配合タイミングに特に制限は無く、重合中、重合後、あるいは成形加工時での添加が可能である。
該熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに必要に応じて、二次抗酸化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、塩酸吸収剤や、他のオレフィン系重合体などを配合することができる。配合量は特に制限されないが、該熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、通常0質量部〜50質量部であり、0質量部〜30質量部が好ましく、0質量部〜10質量部がさらに好ましく、0質量部〜1質量部が特に好ましい。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、イオウ系酸化防止剤、ラクトーン系酸化防止剤、有機ホスファイト化合物、有機ホスフォナイト化合物、あるいはこれらを数種類組み合わせたものが使用できる。
滑剤としては、例えばラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のナトリウム、カルシウム、マグネシウム塩などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。またかかる滑剤の配合量は、該熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して通常0.1質量部〜3質量部が好ましく、0.1〜2質量部がさらに好ましい。
スリップ剤としては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ヘベニン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のアミド、あるいはこれらの飽和または不飽和脂肪酸のビスアマイドを用いることが好ましい。これらのうちでは、エルカ酸アミドおよびエチレンビスステアロアマイドが特に好ましい。これらの脂肪酸アミドは本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、通常0.01質量部〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
〔製造方法〕
各成分の混合方法については、種々公知の方法、例えば、多段重合法、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラー、ブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用することができる。該方法により、各成分および添加剤が均一に分散混合された高品質の該熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明においては、特に、熱可塑性樹脂(B)に4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を1質量部〜90質量部(樹脂組成物全体を100質量部とする)含むマスターバッチをあらかじめ作製し、それを適宜配合して所定の4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の濃度として用いることもできる。
本発明のフィルムの成形加工温度は、140℃〜250℃が好ましく、180℃〜230℃がより好ましく、190℃〜220℃の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)のうち高い方が、100℃以上の熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂組成物のTgまたはTmは110℃以上がより好ましく、120℃以上であるとさらに好ましい。またTgまたはTmは250℃以下が適切であり、200℃以下であることが好ましい。Tg、またはTmが前記範囲を満たすことにより、熱可塑性樹脂組成物は高温の成形加工温度を必要とせず、そのため成形時に素材が劣化することを抑制できる。なお、本発明において、ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)はJIS K7121に規定される方法にて測定される。
本発明のフィルムは、上述した熱可塑性樹脂組成物を、シリンダー温度を通常180℃〜300℃の範囲で溶融押出して得ることができる。
本発明のフィルムは、例えば、上述した熱可塑性樹脂組成物を、押出し機を用いて、混練、溶融押出ししてシート状フィルムとなし、該シート状フィルムは第一ロールに誘導され、第一ロールから離脱するまでの間に第一ロールにて冷却され、その後、第二ロールへと誘導されることで製造することができる。さらに、第二ロールにより冷却固化してシート状フィルム、最終的には巻き取られてシート状積層体を製造することができる。第一ロール及び第二ロールの温度に関しては、特に制限は無いが、冷却効率を高め、生産性を向上させるためには、15℃〜150℃の範囲が好ましい。シート状フィルムの生産効率向上のためには、100℃以下に維持することが望まく、80℃以下がさらに好ましい。冷却ロールの表面形状は、鏡面仕上げされたポリッシュロ―ルであっても、エンボス加工が施されたエンボスロールであってもよい。また、第二ロール以降の後工程に、複数のロールを有していてもよい。
本発明のフィルムは、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が熱可塑性樹脂(B)と親和性高く存在していることから、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が脱落していくことが少なく、長期間にわたり耐ブロッキング性に優れている。
なお、本発明において「フィルム」とは、熱可塑性樹脂組成物の外観構造を示すための便宜上の名称であって、「フィルム」とは平面上の成形物の総称であり、これにはフィルムの他、シート、膜(メンブレン)、テープなども含む概念である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、既知の方法によってフィルム、シート成形ができる。具体的な成形方法としては、溶融押出成形、プレス成形、射出成形、カレンダー成形、キャスト法による成形方法が使用される。また、Tダイ押出成形法などによりフィルム、シート状に成形して得た成形品を、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸して得たものであることも好ましい。
〔積層フィルム〕
また、本発明の積層フィルムは、上述した4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物から得られる単層フィルムのほか、いずれか一層に基材層を有する積層フィルムを含む。また、二層以上の多層体や前記積層フィルムを巻き取ってロール状にしたものを積層体ともいう。このような積層フィルムを得る方法については特に制限は無いが、あらかじめT−ダイ成形またはインフレーション成形にて得られた表面層フィルム上に、押出ラミネーション、押出コーティング等の公知の積層法により積層する方法や、複数のフィルムを独立して成形した後、各々のフィルムをドライラミネーションにより積層する方法等が挙げられるが、生産性の点から、複数の成分を多層の押出機に供して成形する共押出成形が好ましい。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物から得られるフィルムの厚みは特に限定されないが、通常500μm以下であり、1μm〜250μmが好ましく、更に好ましくは、2μm〜100μmである。
〔シーラント層〕
本発明において、シーラント層は、それ単独で使用することも可能である。前記シーラント層は4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含み、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が全質量に対して1質量%以上50質量%未満であり、前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が全質量に対して50質量%以上99質量%未満であり、かつ前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[1]から[5]の要件すべてを満たす。
[1]4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を99.5モル%〜60モル%、及び炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)に由来する構成単位の総和が0.5モル%〜40モル%である。
[2]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g〜5.0dl/gである。
[3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である。
[4]密度が825kg/m〜860kg/mである。
[5]示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が100℃〜199℃の範囲にある。
前記シーラント層は、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)及び熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂組成物であり、それぞれの組成は樹脂組成物の項で説明した4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の組成及び熱可塑性樹脂(B)の組成と同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは、説明を省略する。
〔基材層〕
基材層の素材としては、特に限定されないが、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミドなどのアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン−アクリロニトリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどの疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロン(登録商標)などのハロゲン含有樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の高水素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチック系樹脂等が挙げられる。
これらの中で、二軸延伸されたポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンや、Kコートと呼ばれるポリ塩化ビニリデンをコートした二軸延伸されたポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、および、シリカ、アルミナ、アルミ蒸着されたポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリスチレン、強帯電防止用途OPP(AS−OP)などが好ましく使用される。
なお、基材層の素材としては、廃棄時や、リサイクル時の環境保護性を考慮すれば、炭素と水素とからのみなる樹脂や、炭素と水素と酸素とのみからなる樹脂が好ましい。
本発明の積層フィルムとしては、基材層の少なくとも一部が4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む層(例えば、シーラント層)と接触していることが好ましい。ここで、「少なくとも一部が4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む層と接触している」とは、基材層が4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む層の一部分と接触しているか、或いは、基材層が熱可塑性樹脂組成物を含む層の全体と接触していることを意味し、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む層と基材層との接触割合が、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む層の総面積に対して、30%〜100%であることが好ましく、50%〜100%であることがより好ましい。
前記好ましい形態としてフィルム表面層に本発明のフィルムを含む多層型の離型フィルムに対して好適に利用できる。
〔用途〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物およびフィルム、積層フィルム、積層体、積層フィルムを含むイージーピール用材料、および、イージーピール用材料を含むカバーテープは各種包装材料として使用することができる。の具体的な用途としては、例えば下記のような易開封性シール材料、特に包装材料の易開封性シール材料、キャリアテープ(搬送用包装体)、キャリアテープ用カバーテープ等に使用することができる。
例えば、紙(セルロース)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等のシートおよび容器の蓋材としても利用できる。このようなシートおよび容器は、例えば、ゼリー、プリン、ヨーグルト、乳酸飲料、和菓子、加工肉などの飲食品、マイクロチップ、ICチップやコンデンサ、静電気敏感性デバイス、トナー等の電子部品、薬品、輸液、医療器具などの医療機器などの各種包装、搬送用包装に使用することができる。
〔カバーテープ〕
カバーテープは、電子部品の収納容器であるキャリアテープの蓋材として用いる。キャリアテープとは、電子部品を収納するための窪みを有した幅8mmから100mm程度の帯状物である。カバーテープを蓋材としてヒートシールする場合、キャリアテープ材質としては、特に限定されず、市販のものを用いることができ、例えばポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等を使用することができる。キャリアテープは、やカーボンナノチューブを樹脂中に練り込むことにより、導電性を付与したもの、帯電防止剤や導電フィラーが練り込まれたもの、あるいは表面に界面活性剤型の帯電防止剤やポリピロール、ポリチオフェンなどの導電物をアクリルなどの有機バインダーに分散した塗工液を塗布し、帯電防止性を付与したものも用いることが出来る。
電子部品包装体は、例えば、キャリアテープの電子部品収納部に電子部品等を収納した後にカバーテープを蓋材とし、カバーテープの長手方向の両縁部を連続的にシールして包装し、リールに巻き取ることで得られる。この形態に包装することで電子部品等は保管、搬送される。電子部品等を収納した電子部品包装体は、キャリアテープの長手方向の縁部に設けられた送り用の孔で搬送しながら断続的にカバーテープを引き剥がし、ピックアップ装置により電子部品等の存在、向き、位置を確認しながら取り出すことができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例において各物性は以下のように測定した。
〔組成〕
共重合体中の4−メチル−1−ペンテン及びプロピレン(炭素原子数3のα−オレフィン)の含有率(モル%)は、13C−NMRにより測定した。測定条件は、下記のとおりである。
〜測定条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
〔極限粘度[η]〕
共重合体の極限粘度[η]は、測定装置としてウベローデ粘度計を用い、デカリン溶媒中、135℃で測定した。
具体的には、約20mgの粉末状の共重合体をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、前記と同様にして比粘度ηspを測定した。
この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(下記の式1参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
〔重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
共重合体の重量平均分子量(Mw)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。測定条件は、下記のとおりである。
〜測定条件〜
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示唆屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
〔メルトフローレート(MFR)〕
共重合体のメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定した。単位は、g/10min)である。
〔密度〕
共重合体の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定した。この密度(kg/m)を軽量性の指標とした。
〔融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)〕
共重合体の融点(Tm)は、測定装置として示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル(株)製)を用い、以下のようにして測定した。
約5mgの共重合体を測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱した。共重合体を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行なった。この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を共重合体の融点(Tm)、ガラス転移に相当する変位点をガラス転移温度(Tg)とした。この共重合体の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)のうち高い方の温度を耐熱性の指標とした。
[合成例1]4−メチル−1−ペンテン共重合体の製造(A−1)
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4−メチル−1−ペンテンを750ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌を開始した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.17MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.005mmolを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を130℃、減圧下で12時間乾燥した。得られた共重合体の質量は35.2gで、共重合体中の4−メチル−1−ペンテン含量は、93.0mol%、プロピレン含量は、7.0mol%であった。重合体のTmは180.2℃であり、極限粘度[η]は1.66dl/g、密度は832kg/mであった。
[合成例2]4−メチル−1−ペンテン共重合体の製造(A−2)
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサン300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4−メチル−1−ペンテンを450ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌機を回した。次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.19MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmolとジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmolとを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状のポリマーを100℃、減圧下で12時間乾燥した。得られた共重合体の質量は44.0gで、共重合体中の4−メチル−1−ペンテン含量は84mol%、プロピレン含量は16mol%であった。共重合体の融点(Tm)は132℃であり、極限粘度[η]は1.5dl/gであった。各種物性について測定した結果を表1に示す。
[合成例3]4−メチル−1−ペンテン共重合体の製造(A−3)
オートクレーブを内温60℃まで加熱し、プロピレンで加圧する際、全圧を0.17MPa(ゲージ圧)から0.20MPa(ゲージ圧)に変更したこと以外は、前述の(A−1)と同様の操作を行ない、共重合体を得た。
得られた共重合体の質量は40.3gで、共重合体中の4−メチル−1−ペンテン含量は、90.1mol%、プロピレン含量は、9.9mol%であった。重合体のTmは162.1℃であり、極限粘度[η]は1.65dl/g、密度は833kg/mであった。各種物性について測定した結果を表1に示す。
〔実施例1〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体A−1 3質量部と、エチレン系重合体(三井デュポンポリケミカル社製CMPS 銘柄:V−70)97質量部と、を混合(ドライブレンド)した。次いで、得られた混合物を、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を230℃、ダイス温度を230℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み50μmで押し出し、キャスト成形することにより、実施例1のシート状フィルムを得た。またヒートシール強度測定用に、リップ幅200mmの2種3層フィルム成形用のTダイを設置した20mmφの単軸押出機(2種3層シート成形機、(株)テクノベル)を用い、中間層(基材層)にエチレン系重合体(プライムポリマー社製エボリュー 銘柄:SP2540)、表面層(シーラント層)に上記で得られた混合物を、シリンダー温度を230℃、ダイス温度を230℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み70μm(20μm/30μm/20μm)で押し出し、キャスト成形することにより、実施例1のシート状積層フィルムを得た。
〔実施例2〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体A−1 5質量部と、エチレン系重合体(三井デュポンポリケミカル社製CMPS 銘柄:V−70)95質量部と、を混合(ドライブレンド)した。次いで、得られた混合物を、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を230℃、ダイス温度を230℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み50μmで押し出し、キャスト成形することにより、実施例2のシート状積層フィルムを得た。
〔実施例3〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体A−1 10質量部と、エチレン系重合体(三井デュポンポリケミカル社製CMPS 銘柄:V−70)90質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、シート状積層フィルムを得た。
〔実施例4〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体A−2 5質量部と、エチレン系重合体(三井デュポンポリケミカル社製CMPS 銘柄:V−70)95質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、シート状積層フィルムを得た。
〔比較例1〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を入れずにエチレン系重合体(三井デュポンポリケミカル社製CMPS 銘柄:V−70)のみでフィルム成形したこと以外は、実施例1と同様の方法により、シート状積層フィルムを得た。
〔評価〕
実施例1〜4及び比較例1のフィルムについて、以下の評価を行なった。評価結果を下記の表2および表3に示す。
〔ロールからの身離れ・音鳴り〕
音鳴りバックグラウンドレベルが70dB以下の環境において、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む樹脂組成物のフィルムを成形する。その際に、ダイスから出てくるシート状の溶融樹脂を引き取りロール機にて一定速度(1.5〜4m/分)で移す。まず、最初のロール(第1ロール;温度20℃、表面鏡面仕上げ)から、シート状のフィルムが剥がれるか否かを目視で確認した。
ロール(第1ロール;温度20℃、表面鏡面仕上げ)から剥がれて、次のロール(第2ロール;表面鏡面仕上げ)へ問題なく移行できた場合を○、ロールに貼りつき、次のロールへ移行することが困難であった場合を×とした。○が実用性能を有す。
また、前記ロールからシート状フィルムが剥がれるときに異音が発生する場合を音鳴り大、発生しない場合を音鳴り小とした。小が実用性能を有す。
〔ロール状積層体からの繰り出し時の音鳴り〕
100mの積層フィルムを巻き取り、ロール状積層体を作製した。このロール状積層体から、4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を含む積層フィルムを繰り出す際に、異音が発生する場合を音鳴り大、発生しない場合を音鳴り小とした。小が実用性能を有す。
実施例1に対して、4−メチル−1−ペンテン共重合体を含まない比較例1を用いた場合を比較すると、(A−1)や(A−2)を用いることによりロールからの身離れが優れ、かつロールから剥がれる際に音鳴りがなく、離ロール性がよいことがわかる。また、実施例1に対して、4−メチル−1−ペンテン共重合体を含まない比較例1を用いた場合を比較すると、積層フィルムを繰り出す際に音鳴りが発生しないことがわかる。
〔ヒートシール強度〕
上記実施例1〜4および比較例1を用いて、ヒートシール強度を測定した。シール条件は下記の通り2条件で実施した。
条件1(シーラント層同士);シール温度=120、140、160℃、シール条件=0.3MPa、0.5秒
条件2(CPP);シール温度=120、140、160℃、シール条件=0.3MPa、1.0秒
条件2では、CPPとして、ホモポリプロピレン(プライムポリマー株式会社製プライムポリプロ(登録商標) 銘柄:F107BV)を用いた。実施例1〜4および比較例1と同様に単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)を用いてCPPを成形し、成形された厚み100μmのキャストフィルムを被着体とした。
また、剥離試験は、いずれの条件においても、15mm幅のシーラント部分に対して、引張速度300mm/minで剥離した時のシール強度を記録した。
〔実施例5〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A−3) 3質量部と、エチレン系重合体(B−3(三井デュポンポリケミカル社製エバフレックス 銘柄:EV−550)97質量部と、を混合(ドライブレンド)した。次いで、得られた混合物を、リップ幅240mmのTダイを設置した20mmφの単軸押出機(単軸シート形成機、(株)田中鉄工所製)のホッパーに投入した。そして、シリンダー温度を210℃、ダイス温度を210℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み50μmで押し出し、50μmのPETフィルム(東レ(株)製ルミラーフィルム)でラミネートしてキャスト成形することにより、実施例5のシート状積層フィルム(PETフィルム層/熱可塑性樹脂層)を得た。
〔実施例6〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A−3) 10質量部と、エチレン系重合体(B−3)(三井デュポンポリケミカル社製エバフレックス 銘柄:EV−550)90質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例5と同様の方法により、シート状積層フィルムを得た。
〔実施例7〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A−3) 10質量部と、エチレン系重合体(B−2)(三井デュポンポリケミカル社製エバフレックス 銘柄:EV−250)90質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例5と同様の方法により、シート状積層フィルムを得た。
〔比較例2〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を入れずにエチレン系重合体(B−2)(三井デュポンポリケミカル社製エバフレックス 銘柄:EV−250)のみでフィルム成形したこと以外は、実施例5と同様の方法により、シート状積層フィルムを得た。
〔比較例3〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)を入れずにエチレン系重合体(B−3)(三井デュポンポリケミカル社製エバフレックス 銘柄:EV−550)のみでフィルム成形したこと以外は、実施例5と同様の方法により、シート状積層フィルムを得た。
実施例5〜7及び比較例2、3で用いたエチレン系重合体(B−2)(三井デュポンポリケミカル社製エバフレックス 銘柄:EV−250)及びエチレン系重合体(B−3)(三井デュポンポリケミカル社製エバフレックス 銘柄:EV−550)のメルトフローレート(MFR)、密度、酢酸ビニル含量(VA%)及び融点(Tm)をそれぞれ測定した。メルトフローレート(MFR)、密度及び融点(Tm)を、前述の共重合体と同様の方法で測定し、酢酸ビニル含量(VA%)を、JIS K7192に準拠して測定した。結果は以下の通りである。
B−2:MFR 15g/10min、密度 950kg/m、VA% 28質量%、Tm 72℃
B−3:MFR 15g/10min、密度 930kg/m、VA% 14質量%、Tm 89℃
〔剥離強度評価〕
粘着シートの試験方法(JIS Z0237−2000)に準拠して剥離強度を測定した。具体的には、実施例5〜7及び比較例2、3で得られたシート状積層フィルムを、温度23℃、相対湿度50%の一定環境下に3日間置いた後、温度23℃相対湿度50%の環境で、180°方向に、速度300mm/分でPETフィルム層と熱可塑性樹脂層とを引き剥がしたときの剥離力を測定し、23℃での剥離強度と定めた。また、シート状積層フィルムを、温度50℃のオーブンに3日間置いた後、温度23℃相対湿度50%の環境で、180°方向に、速度300mm/分でPETフィルム層と熱可塑性樹脂層とを引き剥がしたときの剥離力を測定し、50℃での剥離強度と定めた。
表2および表3に示されるように、実施例1〜4で得られたフィルムは、粘着性やヒートシール性を大きく損なうことなく、離型性に優れたフィルムであることがわかる。表4に示されるように、実施例5〜実施例7で得られたフィルムは、熱可塑性樹脂層が4−メチル−1−ペンテン共重合体を含まない比較例2および比較例3で得られたフィルムと比較したとき、PETフィルムからの23℃での剥離強度が小さく、離形性および耐ブロッキング性に優れたフィルムであることがわかる。
また、実施例5〜実施例7で得られたフィルムは、熱可塑性樹脂層が4−メチル−1−ペンテン共重合体を含まない比較例2および比較例3で得られたフィルムと比較したとき、50℃で加熱した後のPETフィルムからの剥離強度が小さく、離形性および耐ブロッキング性に優れたフィルムであることがわかる。
本発明に係るフィルムは、十分なヒートシール特性を有しており、また成形時の離ロール性に優れるうえ、低温成形により得ることが可能である。
これにより包装材料などのシーラントフィルム、イージーピール用材料、カバーテープ等、として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)とエチレンを主体とする重合体とを含む樹脂組成物であって、前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)の含有量が、前記樹脂組成物の全質量に対して0.5質量%以上50質量%未満であり、前記エチレンを主体とする重合体の含有量が、前記樹脂組成物の全質量に対して50質量%以上99.5質量%未満であり、かつ前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[1]の要件を満たす、樹脂組成物。
    [1]4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位が99.5モル%〜60モル%、及びプロピレンに由来する構成単位が0.5モル%〜40モル%である
  2. 前記4−メチル−1−ペンテン共重合体(A)が下記[2]から[5]の要件をすべて満たす、請求項1に記載の樹脂組成物。
    [2]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g〜5.0dl/gである
    [3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
    [4]密度が825kg/m〜860kg/mである
    [5]示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が100℃〜199℃の範囲にある
  3. 請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物を含む、フィルム。
  4. 請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物を含むシーラント層と、基材層と、の少なくとも2層を含む、積層フィルム。
  5. 請求項4に記載の積層フィルムを含む、積層体。
  6. 請求項4に記載の積層フィルムを含む、イージーピール用材料。
  7. 請求項6に記載のイージーピール用材料を含む、カバーテープ。
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