JP6823943B2 - 樹脂組成物及びそれらを用いた成形体、積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物及びそれらを用いた成形体、積層体に関する。
従来、容器等の包装材料の内面には、シーラントのように熱接着性のある材料が用いられている。包装材料の内面に内容物が付着しやすいと、内容物を取り出せる量が減り、包装材料を廃棄する際にも汚れが問題となる。内容物が付着しにくい材料として、フッ素系材料、シリコーン系材料などの剥離性材料が知られているが、これらの剥離性材料は熱接着性が低いため、包装材料の内面の材料に採用しにくい。
特許文献1には、下地樹脂層と内容物と直接接触する付着防止樹脂層の二層を順次積層した構造のシーラント層を備え、付着防止樹脂層に疎水性粒子が分散されることにより撥水性を有する蓋材フィルムが記載されている。
特許文献2には、微粒子表面がシランカップリング処理した撥水性微粒子を埋め込んだ撥水層を備えるシーラントが記載されている。
特開2014−156257号公報 特開2015−081129号公報
しかし、特許文献1の技術では内容物と直接接触する付着防止層に疎水性粒子としてポリテトラフルオロエチレン粒子、フッ素系シランカップリング剤あるいは疎水性酸化無機物粒子といった、オレフィン系樹脂とは全く混ざり合わないフッ素系材料、無機材料が使用されている。このため、例えば付着防止層を有しないポリエチレン層が表面層に設けられたカップ容器に対する蓋材フィルムとして使用する場合には、十分なイージーピール強度が得られる。しかし、特許文献1の技術は、同種のフィルム同士でヒートシールをして袋を作製するような包装袋に適用することはできない。これは、付着防止層がフッ素系材料または無機材料を含んでいるため、付着防止層同士でフィルムを接触させるとフィルム界面が完全に熱溶着せず、結果十分なヒートシール強度が出ないためである。
特許文献2の技術は、同種のシーラントと接着することができるのか、それとも特許文献1のように撥水性のないカップ用シーラントと接着する用途に限られるのかは明らかでないが、特許文献2には、撥水層を有するシーラント同士を接着した場合のシール強度については何ら開示されていない。無機系微粒子が埋め込まれることでフィルムが脆くなってしまい、結果ヒートシール強度も低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、撥水性とシール強度を兼ね備えた樹脂組成物及びそれらを用いた成形体、積層体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、密度が0.900g/cm以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)とがブレンドされたブレンド樹脂を樹脂成分とし、前記ブレンド樹脂100質量部に対し、前記ブレンド樹脂と共に溶融することが可能なアンチブロッキング剤(C)が2質量部以下の割合で混合され、前記ブレンド樹脂100質量部に対し、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が86〜99質量部、前記ポリメチルペンテン系樹脂(B)が1〜14質量部であり、前記アンチブロッキング剤(C)が炭素数8〜28の高級脂肪酸の金属塩または、平均粒径5〜200μmかつ重量平均分子量が50万以上の超高分子量ポリエチレン粉末であることを特徴とする樹脂組成物を提供する。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)がエチレン−ブテン1共重合体であってもよい。
また、本発明は、前記の樹脂組成物から形成される成形体を提供する。
前記成形体は、フィルムまたはシートであってもよい。
また、本発明は、基材の少なくとも片面に前記の樹脂組成物からなる層が積層された積層体を提供する。
また、本発明は、少なくとも片方の表面層として、前記の樹脂組成物からなる層を備える多層フィルムまたは多層シートであることを特徴とする積層体を提供する。
また、本発明は、前記の樹脂組成物の製造方法であって前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と前記ポリメチルペンテン系樹脂(B)と前記アンチブロッキング剤(C)とを溶融混合する工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明によれば、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)とのブレンド樹脂を樹脂成分としているので、さらに好ましくは、前記ブレンド樹脂と共に溶融することが可能なアンチブロッキング剤(C)が混合されているので、撥水性とシール強度を兼ね備えた樹脂組成物及びそれらを用いた成形体、積層体を得ることができる。
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリオレフィン系のブレンド樹脂を樹脂成分としている。また、前記ブレンド樹脂に対し、アンチブロッキング剤が混合されてもよい。
ブレンド樹脂としては、2種以上のポリオレフィン系樹脂のブレンド樹脂が好ましく、なかでも、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)とのブレンド樹脂が好ましい。本実施形態の樹脂組成物は、前記ブレンド樹脂を本質的な樹脂成分とする(他の樹脂成分を実質的に含まない)構成が好ましく、さらに樹脂成分以外の添加物が混合されてもよい。ただし、本実施形態の樹脂組成物は、フッ素系材料を含まないことが好ましく、シリコーン系材料を含まないことが好ましく、無機酸化物粒子を含まないことが好ましい。本実施形態の樹脂組成物は、樹脂成分と添加物とが均一に混合した樹脂組成物であるか、または、添加物を含まず樹脂成分が均一に混合した樹脂組成物であることが好ましい。樹脂組成物を構成する各成分、特に(A)〜(C)の成分が相分離せずに混合されていてもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)としては、直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.910〜0.925cm)より低密度で、密度(ρ)は0.900g/cm以下が好ましく、0.850〜0.900g/cmがより望ましく、0.860〜0.880g/cmがさらに望ましい。
α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン1、ヘキセン1、オクテン1等の1種または2種以上が挙げられる。ブレンド樹脂には、エチレン・α−オレフィン共重合体に属する1種または2種以上のポリマーをブレンドすることができる。エチレン・α−オレフィン共重合体はエチレン−ブテン1(C4)共重合体であることが望ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、例えば三井化学株式会社のタフマー(登録商標)、住友化学株式会社のエクセレン(登録商標)FX、ダウ・ケミカル・カンパニーのエンゲージ(登録商標)などが挙げられる。
ポリメチルペンテン系樹脂としては、メチルペンテンのホモポリマー又はコポリマーであればよく、ポリメチルペンテン、メチルペンテンコポリマーなどが該当する。メチルペンテンコポリマーに共重合させるコモノマーとしては、例えば、エチレン、α−オレフィン、シクロオレフィン等、1種または2種以上のオレフィン類が挙げられる。ブレンド樹脂には、ポリメチルペンテン系樹脂に属する1種または2種以上のポリマーをブレンドすることができる。ポリメチルペンテン系樹脂の具体例としては、例えば三井化学株式会社のメチルペンテンコポリマーTPX(登録商標)などが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)との割合としては、ブレンド樹脂100質量部に対し、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が86〜99質量部、ポリメチルペンテン系樹脂(B)が1〜14質量部の割合が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、エチレン、α−オレフィン、メチルペンテン等のオレフィン類を主成分としているので、高い撥水性とともに、高いヒートシール強度が得られる。このため、本実施形態の樹脂組成物は、単層フィルム、多層フィルム等の積層体におけるシーラント層や成形体等において、内容物の付着を抑制するための内面層として好適である。
本実施形態の樹脂組成物は、発明の目的を損なわない範囲で、適宜の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤等の1種または2種以上が挙げられる。添加剤の添加タイミングは、ブレンド樹脂のブレンド前、ブレンド中、ブレンド後のいずれでもよい。
本実施形態の樹脂組成物の製造工程においては、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)とを溶融混合する工程を有することが好ましい。また、アンチブロッキング剤(C)を使用する場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)とアンチブロッキング剤(C)とを溶融混合する工程を有することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物を単層フィルム、多層フィルム、単層シート、多層シートに使用する場合は、フィルムまたはシートとして巻き取り後のブロッキングを抑制するため、前記ブレンド樹脂にアンチブロッキング剤を添加することが好ましい。多層フィルムまたは多層シートからなる積層体において、本実施形態の樹脂組成物からなる表面層が、巻取時に他の層と接触することにより、ブロッキングが抑制される場合は、アンチブロッキング剤の添加を省略してもよい。アンチブロッキング剤の添加を省略できる場合としては、本実施形態の樹脂組成物からなる層が積層体の片方のみの表面層(シーラント層)として使用され、積層体の他方の表面層が、本実施形態の樹脂組成物以外の層からなる場合が挙げられる。積層体が3層以上からなる場合、一方または両方の表面層が本実施形態の樹脂組成物からなる層であればよく、表面層以外の層(中間層)は任意である。
アンチブロッキング剤(C)としては、前記ブレンド樹脂と共に溶融することが可能なアンチブロッキング剤が好ましく、特に炭素数8〜28の高級脂肪酸の金属塩または、平均粒径5〜200μmかつ重量平均分子量が50万以上の超高分子量ポリエチレン粉末が良い。
高級脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸等があるが、例えば、オクタン酸(カプリル酸)、デカン酸(カプリン酸)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられる。金属塩としては、例えばNa塩、K塩、Li塩、Ca塩、Mg塩、Ba塩、Zn塩、Al塩等が挙げられる。高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、例えばラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、ラウリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛などの金属石鹸と呼ばれる金属塩が挙げられる。組成の異なる2種以上の金属塩同士をブレンドして使用しても構わない。
超高分子量ポリエチレン粉末としては、例えば、三井化学株式会社のハイゼックスミリオン(登録商標)、ミペロン(登録商標)、セラニーズ・コーポレーションのGUR(登録商標)などが挙げられる。分子量や平均粒径が異なる超高分子量ポリエチレン粉末同士をブレンドして使用しても構わない。ここで、ペレット状(粒状形)の超高分子量ポリエチレンでは樹脂成分と均一に溶融混合されないため、アンチブロッキング剤としての効果は得られない。
本実施形態の樹脂組成物にアンチブロッキング剤(C)を添加する場合、ブレンド樹脂100質量部に対し、アンチブロッキング剤(C)2質量部以下の割合が好ましい。例えば、0.01〜2質量部が挙げられる。アンチブロッキング剤(C)が、ブレンド樹脂と共に溶融可能であることにより、樹脂組成物の溶融混合時や樹脂組成物を用いたシーラント材料のヒートシール時など樹脂組成物が溶融する際、アンチブロッキング剤(C)が溶融可能であるので、組成の不均一性化や、成形体、積層体等の強度低下を抑制することができる。
本実施形態の樹脂組成物からフィルム、シート等の成形体を成形する方法は特に制約ないが、Tダイ成形、インフレーション成形等が挙げられる。Tダイ成形後にフィルム、シート等を冷却ロールで急冷することがより効果的である。長尺のフィルム、シート等を連続的に成形する場合には、成形後にフィルム、シート等の長尺成形体を巻き取ると、生産性に優れるので好ましい。
積層体は、基材とシーラント層、必要に応じて他の中間層を積層した構成が例示される。すなわち、積層体は、その一方の最表面となるシーラント層と基材とを有するだけでもよいし、さらに他の中間層、接着剤層やアンカー剤層などの1または2以上の層を有することができる。基材または他の中間層とシーラント層との積層は、接着剤層またはアンカー剤層を介しても良いし、基材に直接積層されていても良い。中間層としては、補強層、ガスバリア層、遮光層、印刷層など、適宜、一層または複数層を選択することができる。基材は、積層体の他方の最表面であってもよいし、他方の最表面層より内側に積層されてもよい。シーラント層とは、ヒートシールに用いられる層であり、包装材料としては内容品に接する最内層に配置される。ヒートシールは、シーラント層を溶融させることにより接着させる方法であるが、シール方法には特に制約はなく、熱板シール、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等が挙げられる。
積層体の基材としては、耐熱性や強度などの機械的特性、印刷適性に優れた延伸フィルムが好ましく、具体的には、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(O−PET)フィルム、2軸延伸ナイロン(O−Ny)フィルム、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等を挙げることができる。前記基材の厚さは通常10〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
シーラント層の内側には、シーラント層を基材または他のフィルムと接着するため、アンカー剤層または接着剤層が介在されてもよい。シーラント層を押出ラミネート法で形成する場合には、シーラント層の内側に接するアンカー剤層が形成される。予め単層フィルムとして作製したシーラント層をドライラミネート法によって基材または他のフィルムと接着する場合には、シーラント層の内側に接する接着剤層が形成される。また、共押出法を用いる場合は酸変性ポリオレフィンなどの接着性樹脂を用いても良い。
前記アンカー剤層を構成するアンカー剤としては、ポリウレタン系、ポリエーテル系、アルキルチタネート(有機チタン化合物)系等、一般的に押出ラミネート法に使用されるアンカー剤が使用でき、積層体の構成や用途に合わせて選択可能である。前記接着剤層を構成する接着剤としては、ポリウレタン系、ポリエーテル系等、一般的にドライラミネート法に使用される接着剤を使用でき、積層体の構成や用途に合わせて選択可能である。
前記シーラント層の内側のアンカー剤層または接着剤層と前記基材との間には、中間層としてガスバリア層や補強層などが存在していても構わない。補強層は積層体の強度特性を補完する役割であって、補強層を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(O−PET)、2軸延伸ナイロン(O−Ny)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等を挙げることができる。補強層の厚みは、通常5〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
ガスバリア層は、酸素や水蒸気等のガスが積層体を透過することを遮断するためガスバリア性を付与する機能を有する。このようなガスバリア層としては、金属箔、アルミニウムや無機酸化物の蒸着層、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン等のガスバリア性樹脂層が挙げられる。なお、バリア層を補強層として共用しても構わない。これらのガスバリア層は、基材または補強層を構成するフィルムの片面に設けることができ、一般には基材とシーラント層との間の中間層として設けられる。無機酸化物蒸着層の場合は、基材よりも外側の最外層(積層体においてシーラント層の反対側の最表面層)としても利用できる。ガスバリア層の厚みは、金属箔またはガスバリア性樹脂層による場合は通常5〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。ガスバリア層として金属蒸着層または無機酸化物蒸着層を用いる場合には、これより薄くすることができる。
本実施形態の樹脂組成物を用いた層を1層以上含む積層体の製造方法としては、特に限定されることなく、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出法またはこれらの併用により、積層体を構成する各層を適宜積層すればよい。本実施形態の積層体において、シーラント層の厚さは、包装材料の用途にも依存し、特に限定されるものではないが、通常は5〜150μm程度であり、好ましくは15〜80μmである。
本実施形態の積層体は、ヒートシール性と加工適性がともに優れるので、通常の製袋機や製袋充填機を用いた製袋にも適している。本実施形態の包装袋は、本実施形態の積層体をシーラント層によりヒートシールしてなるものであり、内容物の非付着性に優れているから、飲食物や化粧品、薬剤等の包装袋として好適に利用できる。内容物が接触する内面の撥水性に優れていることから、水分を含む内容物の包装に好適である。シーラント層のヒートシール性に優れることから、固体包装向けにも、液体包装向けにも、好適である。包装袋の形態は、三方袋、四方袋、合掌貼り袋、ガゼット袋、自立袋等の包装袋(パウチ)のほか、例えばバッグインボックス用の内袋やドラム缶内装袋などの大型の袋等、特に限定なく適用可能である。
本実施形態の包装袋に注出口を設ける場合、注出口としては、包装袋を構成する積層体のシーラント層と接合して密封性が確保できれば好適に使用できるが、より好ましくは、積層体のシーラント層とヒートシール可能な樹脂からなる注出口を用いて、注出口と積層体とをヒートシールによって接合することが望ましい。積層体と注出口をヒートシールする場合、シーラント層を内側として積層体を重ね合わせた間に注出口を挿入してヒートシールしてもよいし、注出口の一端にフランジ部や舟形形状の融着基部を設け、このフランジ部や融着基部を積層体に設けた穴の周縁や包装袋の開口部内面とヒートシールしてもよい。
本実施形態の樹脂組成物及びそれらを用いた成形体、積層体によれば、次に列挙する効果が得られる。
1)水が主成分である内容物の包装袋のシーラントとして使用することで、ポリエチレン樹脂をシーラントとした包装袋よりも液残りを減らすことが可能となる。
2)フッ素系材料を使用することなく、オレフィン系樹脂をベース樹脂として撥水性の高いシーラント材料が得られるので、従来のフッ素系材料を使用した撥水性材料よりも自然環境への残留性が少ない。
3)例えば複数の成形体または積層体をヒートシールにより連結して、大面積のシートを製造することもできるため、屋外用防水シートなどにも使用可能である。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本実施形態の樹脂組成物を用いた成形体は、フィルムまたはシートに限らず、チューブ、カップ、ボトル等に用いることも可能である。これらの各種成形体は、本実施形態の樹脂組成物からなる単層構成でもよく、本実施形態の樹脂組成物からなる層を1層以上と他の層を1層以上とを複合した多層(ラミネート)構成でもよい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
Figure 0006823943
なお、表1において用いた略語の意味は、次のとおりである。
(樹脂成分)
「E−B1(1)」・・・エチレン−ブテン1共重合体(ρ=0.870g/cm、Tm=55℃、MFR=1.2g/10min(190℃、2.16kgf)、エチレン含有率85モル%、ブテン1含有率15モル%)
「E−B1(2)」・・・エチレン−ブテン1共重合体(ρ=0.862g/cm、Tm=44℃、MFR=1.2g/10min(190℃、2.16kgf)、エチレン含有率80モル%、ブテン1含有率20モル%)
「PMP」・・・TPX(登録商標)DX845(メチルペンテンコポリマー、ρ=0.833g/cm、Tm=232℃、MFR=9g/10min(260℃、5kgf)、三井化学(株)製)
「PE(1)」・・・チーグラー触媒重合C8−LLDPE(ρ=0.917g/cm、Tm=119℃、MFR=1.3g/10min(190℃、2.16kgf))
(アンチブロッキング剤)
「AB(1)」・・・12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム(C18のアルカリ金属塩)
「AB(2)」・・・12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛(C18の金属塩)
「AB(3)」・・・モンタン酸ナトリウム(C28のアルカリ金属塩)
「AB(4)」・・・ミペロン(登録商標)XM−220(超高分子量ポリエチレン粉末、ρ=0.940g/cm、Tm=136℃、平均粒径30μm、重量平均分子量200万、三井化学(株)製)
(サンプル作製方法)
表1に示す組成により樹脂組成物を配合し、実施例1〜6および比較例1〜5の溶融混合フィルム50μmをTダイ押出機により作製した。実施例7、8では、E−B1(2)及びPMPの溶融混合フィルム30μmを、PE(2)20μmと共押出して二層構成の積層体を作製した。ここで、PE(2)の意味は、次のとおりである。
「PE(2)」・・・メタロセン触媒重合C6−LLDPE(ρ=0.937g/cm、Tm=126℃、MFR=3.5g/10min(190℃、2.16kgf))
(評価方法)
(1)フィルム巻取後のブロッキング評価方法
各実施例および比較例のフィルム製膜品を巻取機で紙管に巻き取り、巻き取り後のフィルムのブロッキングを官能評価した。ブロッキングしないもの、多少ブロッキングしているが問題なく繰り出せるものを○、繰り出せるがブロッキングがきついものを△、ブロッキングがきつく繰り出せないものを×としている。
(2)ヒートシール強度の測定方法
各実施例および比較例のフィルム製膜品をPETフィルムおよびAl箔とドライラミネートにより貼り合わせ、PET12μm/Al箔9μm/フィルム製膜品50μmの層構成を有する積層フィルムを得た。なお、実施例7、8の場合は、フィルム製膜品50μmのうち、PE(2)20μmがAl箔側、E−B1(2)+PMPブレンド樹脂30μmが表面層側である。
JIS Z 1526に準じて、積層フィルムをヒートシールし、そのシール強度を引張速度300mm/分、幅15mmにて測定した。ヒートシール条件は、シール温度は120℃、140℃、160℃、180℃の4通り、圧力0.2MPa、加熱時間1秒である。
(3)フィルムの水接触角の測定方法
各実施例および比較例のフィルム製膜品からサンプリングしたフィルムを、23℃、50%RH環境下で接触角測定機を用いて評価して、フィルムと水との間の接触角(静的接触角)を測定した。水に対する接触角(水接触角)が大きいほど、親水性(濡れ性)が高いと考えられる。
(4)滑落角の測定方法
静的接触角の値よりも実用的な撥水性の評価との相関性があるとされている滑落角を、23℃、50%RH環境下で接触角測定機を用いて水により測定した(測定条件:2°/秒の割合で傾斜角を増加させ、フィルム上の水滴が0.4mm動き出す角度を記録)。水滴の滑落角が小さいほど、撥水性(液除去性)が高いと考えられる。
(5)袋の排水性評価方法
実施例3および比較例1のフィルム製膜品をPETフィルムおよびAl箔とドライラミネートにより貼り合わせ、PET12μm/Al箔9μm/溶融混合フィルム50μmの層構成を有する積層フィルムを得た後、シール温度160℃、圧力0.2MPa、加熱時間1秒という条件で外寸8cm×8cm、内寸7cm×6cm(接触総面積84cm)の三方シール袋を作製し袋の重量を測定した。袋の中に蒸留水5mlを注入し、蒸留水入りの袋の重量を測定し、注入した水の重量を正確に求めた。その後、口部をシールせずにそのまま3秒間口部を真下に向けて袋から排水した。そして、排水後の袋の重量を測定し、そこから空袋の重量を差し引き水の残量を求め、次の式により、袋内の水の残存率、単位面積当たりの水の残存付着量を算出した。
(水の残存率)=(排水後の水の残量/注入した水の重量)×100(%)
(残存付着量)=(排水後の水の残量/接触総面積)(g/cm
表2に(1)〜(4)、表3に(5)の評価結果を示す。比較例2、4では、ブロッキングがきつく繰り出しが困難なため、(2)〜(4)の評価ができなかった。
Figure 0006823943
Figure 0006823943
表2の結果から、本発明の実施例1〜8によれば、エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、必要に応じてアンチブロッキング剤を所定の配合領域で溶融混合した樹脂を使用することで、PE単体(比較例1)よりも静的接触角が高く、滑落角も低く撥水性が高いという結果が得られた。また、二層構成(実施例7、8)にすることでアンチブロッキング剤を加えることなくブロッキングを抑えられ、撥水性が得られることも確認できた。
また、実施例1〜8のフィルム製膜品を用いた積層フィルムについて、140℃から180℃の温度範囲内で20N/15mm以上のヒートシール強度が得られる温度条件を少なくとも1つ見出し、包装袋として実用可能なヒートシール強度を有することを確認できた。
密度が0.900g/cmより高いPE単体(比較例1)は、十分なヒートシール強度は確認できたものの、水接触角が100°未満であった。
エチレン・α−オレフィン共重合体単体、もしくはアンチブロッキング剤のみを配合した場合(比較例2、3、4)では巻取後のブロッキングが激しく、比較例2、4においては巻取後のブロッキングが非常に強く、繰り出しが不可能なため評価そのものができなかった。比較例3においては何とかフィルム製膜品を紙管から繰り出して評価することができたが、滑落角が本実施例よりも若干劣る結果となった。
ポリメチルペンテン系樹脂単体(比較例5)はPE単体(比較例1)よりも接触角は高いが、接触角が100°未満と本発明には及ばず、またヒートシールが全くできなかった。
表3に示す袋の排水性評価において、PE単体シーラント(比較例1)よりも本発明(実施例3)のフィルム製膜品を用いた袋は、排水後の水の残存率が低いという結果が得られていることからも本発明の方が撥水性は高いと言える。

Claims (7)

  1. 密度が0.900g/cm以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)とがブレンドされたブレンド樹脂を樹脂成分とし、前記ブレンド樹脂100質量部に対し、前記ブレンド樹脂と共に溶融することが可能なアンチブロッキング剤(C)が2質量部以下の割合で混合され
    前記ブレンド樹脂100質量部に対し、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)が86〜99質量部、前記ポリメチルペンテン系樹脂(B)が1〜14質量部であり、
    前記アンチブロッキング剤(C)が炭素数8〜28の高級脂肪酸の金属塩または、平均粒径5〜200μmかつ重量平均分子量が50万以上の超高分子量ポリエチレン粉末であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)がエチレン−ブテン1共重合体であることを特徴とする請求項に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物から形成される成形体。
  4. フィルムまたはシートである請求項に記載の成形体。
  5. 基材の少なくとも片面に請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる層が積層された積層体。
  6. 少なくとも片方の表面層として、請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる層を備える多層フィルムまたは多層シートであることを特徴とする積層体。
  7. 請求項1または2に記載の樹脂組成物の製造方法であって
    前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と前記ポリメチルペンテン系樹脂(B)と前記アンチブロッキング剤(C)とを溶融混合する工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
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