JP6462511B2 - 車両用ドアロック装置 - Google Patents
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Description
さらにロック装置は、ラッチ機構及びロック機構を収納するハウジングを備えている。
より具体的には、インサイドハンドルは、一部がハウジング内に位置する第一操作ワイヤを介してロック機構に接続されている。この第一操作ワイヤの大部分は、ハウジングによって支持された筒状の第一ケーシング内にスライド自在に挿入されている。第一操作ワイヤの両端部は第一ケーシングの両端部から外側に突出している。そして、第一操作ワイヤの一方の端部がインサイドハンドルに接続され、他方の端部がロック機構に接続されている。
また、アウトサイドハンドルはロッドを介してロック機構に接続されている。
さらにロックノブは、一部がハウジング内に位置する第二操作ワイヤを介してロック機構に接続されている。この第二操作ワイヤの大部分は、ハウジングによって支持された筒状の第二ケーシング内にスライド自在に挿入されている。第二操作ワイヤの両端部は第二ケーシングの両端部から外側に突出している。そして、第二操作ワイヤの一方の端部がロックノブに接続され、他方の端部がロック機構に接続されている。
その一方で、ドアが車体のドア開口を閉じかつラッチ機構が車両ドアを閉止状態に保持する場合に、ロックノブをロック位置に位置させたときは、インサイドハンドル又はアウトサイドハンドルを回転操作してもラッチ機構はラッチ状態を保持する。従って、この場合はドアを開放することができない。
さらにアウタパネルとインナパネルの間には、上下方向にスライド自在なスライドウィンドが配設されている。このスライドウィンドは、アウタパネル及びインナパネルの上縁部とドアサッシュとの間に形成された窓孔を塞ぐ閉位置と、閉位置から下降しかつ窓孔を開放する開位置と、の間をアウタパネル及びインナパネルに対してスライド可能である。
さらにインサイドハンドルやロックノブを操作すると、第一操作ワイヤと第二操作ワイヤが第一ケーシングと第二ケーシングに対してそれぞれスライドし、それらの露出部の一部が第一ケーシングと第二ケーシングの内部に引き込まれる。
このような問題は、第二操作ワイヤの露出部の第二ケーシング側端部に水が付着した場合も同様に生じる可能性がある。
仮に特許文献1のハウジングの外面に水が付着すると、水は当該外面を下方に向かって流れやがて水誘導リブの上面に流れる。すると水は水誘導リブの上面の傾斜に沿って水誘導リブの下端部側へ流れ、さらに水誘導リブの下端部から排出された後にハウジングの外面上を下方へ流れる。
そのため、ハウジングの下端部から下方に流れ落ちた水が、第一操作ワイヤの露出部や第二操作ワイヤの露出部に対して直接付着する可能性は低い。
特許文献1のロック装置を車内側から水平方向(即ち、車両ドアの厚み方向)に見たときに、第一操作ワイヤ及び第二操作ワイヤの露出部の真上に水誘導リブの下端部が位置するように、このロック装置が構成される場合が考えられる。
この場合は、水誘導リブの下端部から排出された後にハウジングの外面を下方へ流れかつハウジングの下端部から下方に流れ落ちた水が、第一操作ワイヤ及び第二操作ワイヤの露出部に付着するおそれがある。
本発明は、車体に取付けられたストライカとの係合によって車両ドアを閉止状態に保持可能なラッチ機構と、前記ラッチ機構を前記ストライカとの係合が解除可能なアンロック状態又は前記ストライカとの係合が解除不能なロック状態に設定するロック機構と、前記ラッチ機構及び前記ロック機構を収納するハウジングと、少なくとも一部が該ハウジング内に収納されかつ該ハウジングに支持されたケーシングと、該ケーシング内にスライド自在に挿入されかつ前記ケーシングから外側に突出した一端部が前記ロック機構に接続された、前記ロック機構を操作するための操作ワイヤと、を備え、該操作ワイヤの前記一端部が、前記操作ワイヤが前記ケーシングに対して第一の所定位置に位置するときに前記ケーシングの端部から外側に突出する露出部を有し、前記ハウジングが、前記露出部より上方に位置する態様で前記ハウジングの外面に突設された水誘導リブを有し、前記水誘導リブが、該水誘導リブの延長方向の一方の端部から他方の端部側へ向かうにつれて徐々に下方に位置する形状であり、前記ドアロック装置を前記車両ドアの厚み方向に見たときに、前記露出部の前記ケーシング側の端部が、前記水誘導リブの下方において前記水誘導リブの前記一方の端部と前記他方の端部との間に位置し、前記ハウジングが、前記露出部の少なくとも一部に対して水平方向に対向する対向板部と、該対向板部の外面に突設され、かつ前記水誘導リブの前記露出部側の端部と隙間を形成しながら対向する線形形状の補強リブと、を備え、前記補強リブが、自身の延長方向の一方の端部から他方の端部側へ向かうにつれて徐々に下方に位置する形状であってもよい。
なお、本発明のドアは水平方向には回転するものである。即ち、本発明は水平方向に回転するサイドドアやバックドア等に適用可能である。さらにこの「水平方向」の「水平」には「略水平」も含まれる。
そのため、水誘導リブの下端部から流れ落ちた水が操作ワイヤの露出部のケーシング側の端部に付着するおそれは低い。
従って、操作ワイヤの露出部のケーシング側端部に水が付着しかつこの水がケーシングの開口端面に接触する氷となることにより、この氷が操作ワイヤの露出部のケーシングの内部への移動に対する抵抗として機能するおそれを小さくすることが可能である。
また、水が操作ワイヤの露出部のケーシング側端部に付着した後に、操作ワイヤをケーシング側に移動させると、この移動に伴って水がケーシング内に入り込みおそれがある。するとケーシング内に入った水が、ケーシングの内面及び操作ワイヤに付着した氷となって、操作ワイヤがケーシングに対してスライドする際の抵抗となるおそれがある。しかし、本発明ではこのようなおそれも小さくすることが可能である。
露出部はケーシングによって覆われていないので、操作ワイヤのケーシング内に位置する部位と比べて変形し易い。そのため操作ワイヤがケーシングに対して移動するときに、露出部が水平方向(即ち、操作ワイヤの軸線方向とは異なる方向)に変形するおそれがある。仮にこの変形量が大きくなるとロック機構の操作を円滑に行えなくおそれがある。
しかし、ハウジングが露出部の少なくとも一部に対して水平方向に対向する対向板部を有しかつ対向板部を補強リブによって補強するので、対向板部によって露出部の水平方向への大きな移動を阻止できる。従って、ロック機構の円滑な操作を実現し易くなる。
しかも、対向板部に形成した補強リブが水誘導リブの露出部側の端部と隙間を形成しながら対向している。そのため、水誘導リブの露出部側の端部から流れ出た水を、補強リブによって操作ワイヤの露出部に付着しないように下方へ流すことが可能になる。
さらに、この補強リブは対向板部の補強と水誘導リブから排出された水の案内という二つの機能を有している。そのため、それぞれの機能のみを有する二種類のリブをそれぞれ別個にハウジングに設ける場合と比べて、ハウジングの構造を簡単にし、ハウジングの製造コストを低くすることが可能である。
仮に操作ワイヤの露出部の内部進入部以外の部分に付着した水が氷となったとしても、操作ワイヤがケーシングに対して第一の所定位置から第二の所定位置まで移動するときに、この氷はケーシングに接触しない。即ち、この場合に氷が操作ワイヤのスライド動作に対する抵抗となることはない。
しかし、このように水誘導リブを複数にした場合は、仮に最も上方に位置する水誘導リブの側縁部から水が下方へ流れたとしても、この水は下方に位置する水誘導リブの上面によって受け止められ、下方に位置する水誘導リブの下端部から下方へ流れ落ちる可能性が高くなる。
従って、水誘導リブが一本の場合と比べて、水が操作ワイヤの露出部のケーシング側端部に付着するおそれを小さくすることが可能である。
従って、この場合は水が操作ワイヤの露出部に付着するおそれをより小さくすることが可能である。
また、ハウジングの外面を下方に流れた水が取付溝の天井面と挿入突条との間の隙間へ流れ込もうとする場合がある。しかしながら挿入突条が取付溝の天井面に対して接触しているので、取付溝の天井面と挿入突条との間の隙間に水が流れ込むおそれは小さい。即ち、この場合にこの水が取付溝を介して露出部に付着するおそれは殆どない。
図1に示す車両の車両ドア10はサイドドアであり、その前端部が車体(図示略)に対して上下方向の回転軸まわりに回転可能として支持されている。車両ドア10は、車体の側面に形成された開口部を完全に開放する開位置と、この開口部を塞ぐ閉位置と、の間を車体に対して水平方向に回転可能である。なお、以下の説明中の「前後方向」及び「車内外方向」は、車両ドア10が閉位置に位置する場合を基準とした方向である。
さらにアウタパネルとインナパネルの間には、上下方向にスライド自在なスライドウィンド14が配設されている。このスライドウィンド14は、アウタパネル及びインナパネルの上縁部とドアサッシュ12との間に形成された窓孔を塞ぐ閉位置(図1の位置)と、閉位置から下降しかつ窓孔を開放する開位置と、の間をスライド可能である。
さらにトリム13の上端部には、ロックノブ19が上下方向にスライド自在として設けられている。ロックノブ19はトリム13に対してアンロック位置(図1の位置)と、アンロック位置よりも下方に位置するロック位置(図示略)と、の間をトリム13に対してスライド可能である。
このロック装置20は、ハウジング21と、共にハウジング21の内部に収納されたラッチ機構36及びロック機構40と、を備えている。
ハウジング21の後端面には、その車内側端部が開放されたストライカ進入溝22が形成されている。第一構成部23の車内側面には、第一上方水誘導リブ26、第一下方水誘導リブ27、第二上方水誘導リブ28、及び第二下方水誘導リブ29が一体的に設けられている。
さらに段差板部31及び対向板部32の車内側面には、両者に跨る態様で前方補強リブ33及び後方補強リブ34が一体的に設けられている。前方補強リブ33及び後方補強リブ34は共に略上下方向に延びる直線形状である。さらに前方補強リブ33及び後方補強リブ34は、互いに平行かつ互いに前後方向に並んでいる。前方補強リブ33及び後方補強リブ34は、後方から前方へ向かうにつれて徐々に下方に位置する傾斜方向に延びている。前方補強リブ33及び後方補強リブ34の第一構成部23からの車内側への突出量は互いに等しい。さらに前方補強リブ33の一部が第二上方水誘導リブ28及び第二下方水誘導リブ29の後端部と隙間を形成しながら第二上方水誘導リブ28及び第二下方水誘導リブ29の延長方向に対向している。
これらラッチ機構36及びロック機構40は周知の構造である。そのため、本明細書ではラッチ機構36及びロック機構40についての詳細な説明は行わない。但し、一部の構成部品にのみ符号を付した上で、ラッチ機構36及びロック機構40について以下簡単に説明する。
一方、ポールを付勢手段の付勢力に抗して非係合位置側に回転させると、ラッチ37がアンラッチ位置側へ回転可能となる。そのためラッチ機構36は、ストライカを解放可能な「アンラッチ状態」となる。
アクティブレバー42とロックノブ19は、一部がハウジング21内に位置しかつ可撓性を有する金属製の操作ワイヤ45によって互いに連係されている。この操作ワイヤ45の大部分は、樹脂製の可撓性部材であるアウターチューブ46(ケーシング)の内部に挿入されている。アウターチューブ46の一方の端部は硬質樹脂製の端部支持筒47(ケーシング)に対して同軸的に固定されており、操作ワイヤ45の一方の端部は端部支持筒47の内部を通り抜けて端部支持筒47から後方に突出しかつアクティブレバー42に接続されている。図示するように端部支持筒47は第二構成部24に対して固定されている。一方、操作ワイヤ45の他方の端部はアウターチューブ46の内部を通り抜けてアウターチューブ46の前端部から前方に突出しかつロックノブ19に接続されている。
即ち、ロックノブ19がロック位置に位置するときアクティブレバー42がロック位置に位置し、その結果、オープンリンク41がロック位置に位置する。ロックノブ19がロック位置に位置するとき、操作ワイヤ45はアウターチューブ46及び端部支持筒47に対して図6に示す第一の所定位置に位置し、操作ワイヤ45の後端部が端部支持筒47から後方に突出する。このときの操作ワイヤ45の突出部が露出部45aを構成している。さらに図6に示した露出部45a中の点Aより端部支持筒47側に位置する部位が、露出部45aの一部をなす内部進入部45bを構成している。露出部45aは、ロックノブ19及びアクティブレバー42の位置に拘わらず常にその後端が前端に比べて下方に位置する。
そして、操作ワイヤ45が第一の所定位置に位置する場合にロック装置20を車内側から水平方向(即ち、車両ドア10の厚み方向)に見ると、図6に示すように、端部支持筒47の後端部及び露出部45a全体が、第二上方水誘導リブ28及び第二下方水誘導リブ29の下方において第二上方水誘導リブ28及び第二下方水誘導リブ29の後端部より前方かつ第二上方水誘導リブ28及び第二下方水誘導リブ29の前端部より後方に位置する。
一方、アウトサイドハンドル17をラッチ解除位置へ回転させた場合は、押圧位置へ移動したアウトサイドオープンレバーの一部をなす支持部がリフトレバーに対して接近しながらオープンリンク41を同じ方向に移動させる。但し、オープンリンク41がロック位置に位置する場合にオープンリンク41をリフトレバー側へ移動させても、オープンリンク41はリフトレバーとは係合せずリフトレバーに対して空振りする(即ち、操作力を伝達しない)。そのため、アウトサイドハンドル17をラッチ解除位置へ操作する時点でラッチ機構36がラッチ状態にある場合は、ラッチ機構36はラッチ状態を維持し続ける。その一方で、オープンリンク41がアンロック位置に位置する場合にオープンリンク41をリフトレバー側へ移動させると、オープンリンク41はリフトレバーと係合してリフトレバーと一体化したポールを非係合位置に位置させる。そのため、アウトサイドハンドル17をラッチ解除位置へ操作する時点でラッチ機構36がラッチ状態にある場合は、ラッチ機構36はアンラッチ状態へ移行する。
インサイドオープンレバー43とインサイドハンドル18は、一部がハウジング21内に位置しかつ可撓性を有する金属製の操作ワイヤ49によって互いに連係されている。この操作ワイヤ49の大部分は、樹脂製の可撓性部材であるアウターチューブ50(ケーシング)の内部に挿入されている。アウターチューブ50の一方の端部は硬質樹脂製の端部支持筒51(ケーシング)に対して同軸的に固定されており、操作ワイヤ49の一方の端部は端部支持筒51の内部を通り抜けて端部支持筒51から後方に突出しかつインサイドオープンレバー43に接続されている。図示するように端部支持筒51は第二構成部24に対して固定されている。一方、操作ワイヤ49の他方の端部はアウターチューブ50の内部を通り抜けてアウターチューブ50の前端部から前方に突出しかつインサイドハンドル18に接続されている。
即ち、インサイドハンドル18が初期位置に位置するときインサイドオープンレバー43が非押圧位置に位置する。このときインサイドオープンレバー43はアウトサイドオープンレバーに対して何ら力を及ぼさない。図6に示すように、インサイドハンドル18が初期位置に位置するとき操作ワイヤ49は、その後端部が端部支持筒51から後方に突出する第一の所定位置に位置している。このときの操作ワイヤ49の突出部が露出部49aを構成している。さらに図6に示した露出部49a中の点Bより端部支持筒51側に位置する部位が、露出部49aの一部をなす内部進入部49bを構成している。露出部49aは、インサイドハンドル18とインサイドオープンレバー43の位置に拘わらず常にその後端が前端に比べて下方に位置する。
そして、操作ワイヤ49が第一の所定位置に位置する場合にロック装置20を車内側から水平方向(即ち、車両ドア10の厚み方向)に見ると、図6に示すように、端部支持筒47の後端部及び内部進入部49b全体が、第二上方水誘導リブ28及び第二下方水誘導リブ29の下方において第二上方水誘導リブ28及び第二下方水誘導リブ29の後端部より前方かつ第二上方水誘導リブ28及び第二下方水誘導リブ29の前端部より後方に位置する。
第一構成部23の車内側面を伝って下方へ流れた水が第一上方水誘導リブ26の上面に到達すると、この水は第一上方水誘導リブ26の上面に沿って前斜め下方へ流れる。そして、第一上方水誘導リブ26の前端部から下方へ流れ落ち、第一構成部23の車内側面を伝わりながらやがて第二上方水誘導リブ28の上面の前端近傍部に流れる(図2、図6の矢印X参照)。さらに、この水は第二上方水誘導リブ28の上面に沿って後斜め下方へ流れ、第二上方水誘導リブ28の後端部から斜め下方へ流れ落ちる。
また、第二上方水誘導リブ28の後端部から流れ落ちた水は、前方補強リブ33に接触することなく対向板部32の車内側面を下方に流れた後に、対向板部32の下縁部から対向板部32の下方へ流れ落ちることがある。しかしながらこの場合も、対向板部32の下縁部から対向板部32の下方へ流れ落ちた水が露出部49aに付着するおそれは小さく、さらに内部進入部49bに付着するおそれは殆どない。同様に、対向板部32の下縁部から対向板部32の下方へ流れ落ちた水が露出部45a(内部進入部45b)に付着するおそれも殆どない。
しかも、第一上方水誘導リブ26と第一下方水誘導リブ27の間の間隔は狭い(例えば、0.5mm〜2.0mm)ので、第一上方水誘導リブ26と第一下方水誘導リブ27の間に流れた水はその表面張力等によって第一上方水誘導リブ26と第一下方水誘導リブ27の間の空間に留まろうとする。換言すると、この水が第一下方水誘導リブ27の前端部に到達する前に第一下方水誘導リブ27の側縁部を下方へ乗り越えるおそれは殆どない。
従って、第一下方水誘導リブ27の上面に流れた水は、第一下方水誘導リブ27の前端部から第二上方水誘導リブ28の上面の前端近傍部に流れる可能性が高い。そのため、この場合も水は最終的に対向板部32の下縁部から対向板部32の下方へ流れ落ちる可能性が高い。即ち、対向板部32の下縁部から対向板部32の下方へ流れ落ちた水が露出部45a、49a(内部進入部45b、49b)に付着するおそれは殆どない。
さらに第二上方水誘導リブ28と第二下方水誘導リブ29の間の間隔は狭い(例えば、0.5mm〜2.0mm)ので、第二上方水誘導リブ28と第二下方水誘導リブ29の間に流れた水はその表面張力等によって第二上方水誘導リブ28と第二下方水誘導リブ29の間の空間に留まろうとする。換言すると、この水が第二下方水誘導リブ29の後端部に到達する前に第二下方水誘導リブ29の側縁部を下方へ乗り越えるおそれは殆どない。
従って、第二下方水誘導リブ29の上面に流れた水は、第二下方水誘導リブ29の後端部から下方へ流れる可能性が高い。そのため、この場合も水は最終的に対向板部32の下縁部から対向板部32の下方へ流れ落ちる可能性が高い。即ち、この場合も対向板部32の下縁部から対向板部32の下方へ流れ落ちた水が露出部45a、49a(内部進入部45b、49b)に付着するおそれは殆どない。
しかし本実施形態では、水が操作ワイヤ45の内部進入部45b及び操作ワイヤ49の内部進入部49bに付着するおそれが殆どないので、操作ワイヤ45や操作ワイヤ49の前方スライドが妨げられるおそれは殆どない。
また、仮に内部進入部45b、49bに水が付着した場合は、内部進入部45b、49bが端部支持筒47、51の内部に引き込まれたときに水が端部支持筒47、51の内部に一緒に引き込まれてしまう。そのため、この場合は端部支持筒47の内面及び操作ワイヤ45に跨って凍結した氷や端部支持筒51の内面及び操作ワイヤ49に跨って凍結した氷が、操作ワイヤ45、49のアウターチューブ46、50及び端部支持筒47、51に対する前方スライドに対する抵抗となるおそれがある。しかし本実施形態では、このようなおそれも殆どない。
さらに、内部進入部45b、49bの端部支持筒47、51側の端部に水が付着して氷となった場合は、この氷が内部進入部45b、49bの端部支持筒47、51内への前方スライドに対する抵抗となってしまう。しかし本実施形態では、このようなおそれも殆どない。
従って、雨水等の水がアウタパネルとインナパネルの間の空間に流れ込んだ場合であっても、その後にロック装置20を円滑かつ確実に操作できる可能性が高い。
しかしハウジング21は、露出部49aに対して車内側から水平方向に対向する対向板部32と、対向板部32を強度的に補強する前方補強リブ33及び後方補強リブ34と、を備えている。従って、対向板部32によって露出部49aの水平方向への大きな移動を阻止できる。従って、対向板部32、前方補強リブ33及び後方補強リブ34を具備しない場合と比べて、ロック装置20の円滑な操作を実現し易い。
本実施形態のロック装置55の特徴はハウジング56の構造にある。
本実施形態のハウジング56も、少なくともロック装置55の車内側面を構成する樹脂製の第一構成部57(本体部)と、第一構成部57より車外側に位置しかつ少なくともハウジング56の車外側面を構成する樹脂製の第二構成部64(本体部)と、少なくともハウジング56の車内側面の下部を構成する第三構成部65と、を備えた中空体である。第一構成部57と第二構成部64は互いに固定されており、第三構成部65はその一部が第二構成部64の下端部に対して固定されている。そして、ラッチ機構36及びロック機構40が第一構成部57と第二構成部64との間に収納されている。
また、第一構成部57の車内側面には取付溝60の底面を構成する下方水誘導リブ61が車内側に向けて突設されている。また、第一構成部57の車内側面には、取付溝60の上縁部に沿って延びる上方水誘導リブ62が車内側に向けて突設されている。下方水誘導リブ61は取付溝60に沿って延びる形状、即ち前方から後方へ向かうにつれて徐々に下方に位置する方向に傾斜する線形形状である。そのため、下方水誘導リブ61の全体形状も直線形状ではない。上方水誘導リブ62は略直線形状であり、その全長は下方水誘導リブ61の半分以下である。
なお第一構成部57の車内側面には、第1実施形態の第一上方水誘導リブ26、第一下方水誘導リブ27、前方補強リブ33及び後方補強リブ34に対応するリブは設けられていない。
カバー部68のヒンジ部67と反対側の側縁部には切欠孔69が形成されている。さらにカバー部68の一方の面(カバー部68が第一構成部57の下端部に装着されたときの車内側面)には、切欠孔69の直下に位置する凹部70が形成されている。
カバー部68の他方の面(カバー部68が取付溝60に装着されたときの車外側面)のヒンジ部67と反対側の側縁部には、カバー部68の前端部と切欠孔69との間に位置しかつ全体形状が下方水誘導リブ61と略同一である挿入突条71が突設されている。さらに挿入突条71には係止突起72が突設されている。
その一方で、ヒンジ部67を撓ませながら図9の状態からカバー部68を上方に移動させて、車内側から挿入突条71を第一構成部57の取付溝60に挿入すると、ハウジング56の車内側面の下部がカバー部68によって塞がれる(図8、図10−図12参照)。即ち、カバー部68が露出部45a、49a全体に対して車内側から水平方向に対向する。さらに係止突起72が係止孔58に対して嵌合することにより、挿入突条71が取付溝60に挿入しかつ挿入突条71の上面が取付溝60の天井面に対して接触する状態が保持される。そして、このようにしてカバー部68によってハウジング56の車内側面の下部を塞ぐと、図11に示すように上方水誘導リブ62がカバー部68の車内側面よりも車内側に位置する。さらに図10、図12に示すように、取付溝60の排出端部60aに対してカバー部68の切欠孔69が車内側から対向する。
なお、カバー部68を手で摘みながらカバー部68に移動力を与えて係止突起72を係止孔58から脱出させると、カバー部68が下方へ回転するので、ハウジング56は車内側面の下部が開放された図9に示す状態となる。
しかし、カバー部68によって車内側から露出部45a、49a全体を覆っているので、露出部45a、49aの一部が車内側に露出している第1実施形態のロック装置20と比べて、ロック装置55は水が露出部45a、49aに付着するおそれを低減できる。
上方水誘導リブ62の後端部から下方へ排出された水は、図11の矢印Y1に示したように下方へ落ちる。そして図11に示すように、第一構成部57は鉛直方向に対して僅かに傾斜しており、上方水誘導リブ62の車内側端部はカバー部68の車内側端部に比べて車内側に位置している。そのため矢印Y1に沿って下方へ向かった水が取付溝60側へ流れる可能性は殆どない。即ち、この水が取付溝60を介してハウジング56の内部へ流れて操作ワイヤ45の内部進入部45b及び操作ワイヤ49の内部進入部49bに付着するおそれは殆どない。
なお、上方水誘導リブ62の後端部から下方へ排出された水がカバー部68の車内側面に付着すると、この水はカバー部68の車内側面に沿って下方へ流れ、カバー部68の車内側面の下端からロック装置55の下方へ落下する。従って、この場合も水が操作ワイヤ45の内部進入部45b及び操作ワイヤ49の内部進入部49bに付着するおそれは殆どない。
しかしながら、上述したように挿入突条71の上面は取付溝60の天井面に対して接触しているので、取付溝60の天井面と挿入突条71と間の隙間に水が流れ込むおそれは小さい。即ち、この場合にこの水が取付溝60を介してハウジング56の内部へ流れて操作ワイヤ45の内部進入部45b及び操作ワイヤ49の内部進入部49bに付着するおそれは殆どない。
しかし上述したように、この排出端部60aは、アクティブレバー42がロック位置に位置する場合の操作ワイヤ45の内部進入部45bの後端(点A)及びインサイドオープンレバー43が非押圧位置に位置する場合の操作ワイヤ49の内部進入部49bの後端(点B)よりも後方に位置している。
そのため、仮に水が下方水誘導リブ61の排出端部60aと対応する部位を介してカバー部68の車外側へ流れたとしても、この水が操作ワイヤ45の内部進入部45b及び操作ワイヤ49の内部進入部49bに付着するおそれは殆どない。
例えば、第二上方水誘導リブ28、第二下方水誘導リブ29の後端及び/又は取付溝60の排出端部60aと対応する部位を、アクティブレバー42がロック位置に位置する場合の操作ワイヤ45の内部進入部45bの後端(点A)及び/又はインサイドオープンレバー43が非押圧位置に位置する場合の操作ワイヤ49の内部進入部49bの後端(点B)より前方かつ端部支持筒47、51の後端より後方に位置させてもよい。
このように構成した場合は、第二上方水誘導リブ28や下方水誘導リブ61の下端部から流れ落ちた水が、アクティブレバー42がロック位置に位置する場合に操作ワイヤ45の露出部45aの前端(端部支持筒47側の端部)に付着したり、インサイドオープンレバー43が非押圧位置に位置する場合に操作ワイヤ49の露出部49aの前端(端部支持筒51側の端部)に付着したりするおそれは殆どない。そのため操作ワイヤ45や操作ワイヤ49の当該部分に付着した水が氷となり、さらにこの氷が操作ワイヤ45、49の内部進入部45b、49bの端部支持筒47、51の内部への移動に対する抵抗として機能するおそれは殆どない。
操作ワイヤ45、49に対応する操作ワイヤの一方の端部を、アクティブレバー42及びインサイドオープンレバー43とは異なるロック機構40の構成部材に接続してもよい。
ハウジング21から第一上方水誘導リブ26と第一下方水誘導リブ27の少なくとも一方を省略したり、第一上方水誘導リブ26及び第一下方水誘導リブ27と平行かつ第一上方水誘導リブ26及び第一下方水誘導リブ27と上下方向に並ぶ1本以上のリブを追加したりしてもよい。
バックドアの右側縁部が車両本体に対して回転可能に支持されている場合は、例えば、操作ワイヤが第一の所定位置に位置するときにロック装置を前方から水平方向(即ち、バックドアの厚み方向)に見た場合に、操作ワイヤの露出部全体(又は右端部のみ)が、水誘導リブの左端部より右側かつ水誘導リブの右端部より左側に位置するように構成する。
Claims (4)
- 車体に取付けられたストライカとの係合によって車両ドアを閉止状態に保持可能なラッチ機構と、
前記ラッチ機構を前記ストライカとの係合が解除可能なアンロック状態又は前記ストライカとの係合が解除不能なロック状態に設定するロック機構と、
前記ラッチ機構及び前記ロック機構を収納するハウジングと、
少なくとも一部が該ハウジング内に収納されかつ該ハウジングに支持されたケーシングと、
該ケーシング内にスライド自在に挿入されかつ前記ケーシングから外側に突出した一端部が前記ロック機構に接続された、前記ロック機構を操作するための操作ワイヤと、
を備え、
該操作ワイヤの前記一端部が、前記操作ワイヤが前記ケーシングに対して第一の所定位置に位置するときに前記ケーシングの端部から外側に突出する露出部を有し、
前記ハウジングが、前記露出部より上方に位置する態様で前記ハウジングの外面に突設された水誘導リブを有し、
前記水誘導リブが、該水誘導リブの延長方向の一方の端部から他方の端部側へ向かうにつれて徐々に下方に位置する形状であり、
前記ドアロック装置を前記車両ドアの厚み方向に見たときに、前記露出部の前記ケーシング側の端部が、前記水誘導リブの下方において前記水誘導リブの前記一方の端部と前記他方の端部との間に位置し、
前記ハウジングが、
前記露出部の少なくとも一部に対して水平方向に対向する対向板部と、
該対向板部の外面に突設され、かつ前記水誘導リブの前記露出部側の端部と隙間を形成しながら対向する線形形状の補強リブと、
を備え、
前記補強リブが、自身の延長方向の一方の端部から他方の端部側へ向かうにつれて徐々に下方に位置する形状である、車両用ドアロック装置。 - 請求項1に記載の車両用ドアロック装置において、
前記露出部が、前記操作ワイヤが前記ケーシングに対して前記第一の所定位置とは異なる第二の所定位置までスライドしたときに前記ケーシング内に引き込まれる内部進入部を有し、
前記操作ワイヤが前記第一の所定位置に位置する場合に前記ドアロック装置を前記車両ドアの厚み方向に見たときに、前記内部進入部の前記ケーシングと反対側の端部が、前記水誘導リブの前記他方の端部より前記一方の端部側に位置する、車両用ドアロック装置。 - 請求項1または2に記載の車両用ドアロック装置において、
前記水誘導リブが、
互いに平行をなしかつ互いに上下に並んだ複数の水誘導リブを備える、車両用ドアロック装置。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用ドアロック装置において、
前記ハウジングが、
前記水誘導リブを備える本体部と、
該本体部の下端部に対して着脱可能であり、該本体部に装着したときに前記露出部全体に対して水平方向に対向するカバー部と、
を備え、
前記本体部の外面の下縁部に前記水誘導リブが突設され、
前記本体部の外面の前記水誘導リブの直上部に、該水誘導リブに沿って延びかつ該水誘導リブによって底面が構成された取付溝が形成され、
前記カバー部の内面に、前記本体部の下端部に対して装着されるときに前記取付溝に対して前記ハウジングの外側から進入しかつ該取付溝の天井面に接触する挿入突条が形成された、車両用ドアロック装置。
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