JP6459518B2 - 事故点標定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、送配電線に発生した地絡事故の事故点を特定する事故点標定装置に関する。
送配電線に地絡事故が発生した場合、事故点の区間の両端の開閉器が動作して事故点が送配電線から切り離され停電が発生する。巡視員は、開閉器により切り離された事故区間を巡回し目視点検により事故点を探索する。送配電線の地絡の事故点を探索するものとして、地絡電流発生時に地絡電流波形を周波数解析して地絡電流の共振周波数を求め、求めた共振周波数から事故点を標定するようにしたものがある(例えば、非特許文献1参照)。
これは、下記の(1)式により、共振周波数f、単位長さあたりの線路インダクタンスLc、変圧器側から見たバンク・線路静電容量Cbを基に、事故点までの距離Dを算出するものである。
D={1/(2πf)2}×{1/(Lc×Cb)} …(1)
地絡電流の共振周波数fは、高速フーリエ変換FFTなどの周波数解析により算出する。また、単位長さあたりの線路インダクタンスLc、変圧器側から見たバンク・線路静電容量Cbは、送配電線の系統構成から計算した既知の線路定数を用いる。これにより、事故区間内の事故点の特定を容易にしている。
「電中研:研究報告:185016 配電線の間欠孤光地絡における電流波形形状の解明と事故点探査への適用:昭和60年12月発行」
しかし、従来のものでは、変電所から事故点までの距離が判明しても、送配電線が分岐回路を有している場合には、分岐回路の分岐点のいずれの先(方向)に事故点があるかが不明であるため、標定箇所が広範囲に及ぶ。
図10は、従来の事故点標定装置で事故点距離を算出した場合の分岐回路を有した送配電線での事故点箇所の説明図である。図10において、送配電線11は分岐回路11a〜11dを有しており、送配電線11には電圧や電流を計測する測定点12a、12b、12cが設けられ、変電所の変圧器13から送配電区間の末端14までの区間に接続されている負荷に電力を供給している。
このような分岐回路を有した送配電線11において、変電所13から事故点までの距離Dが事故点標定装置の計算により求められたとしても、事故点の位置に該当するのがg1〜g4の4箇所存在する。従って、分岐回路の分岐点のいずれの先に事故点があるかが不明であり、巡視員による事故点の探索範囲が広範囲に及ぶことになる。
また、従来のものでは、単位長さあたりの線路インダクタンスLcは送配電線の系統構成から計算した既知の線路定数を用いており、事故点の抵抗成分以外の回路定数成分(事故点インダクタンス)を考慮していないため正確な標定ができない。実際の送配電線では事故点の回路定数成分を推定できないケースも存在する。このため、事故点の回路定数成分を推定できない場合でも、一定範囲まで事故点を絞り込むことが求められる。同様に、バンク・線路静電容量Cbも送配電線の系統構成から計算した既知の線路定数を用いているので、実際の送配電線のバンク・線路静電容量と誤差が生じる場合がある。
本発明の目的は、分岐回路のどの分岐点以降で事故点があるかを判定でき、事故点の位置をより正確に標定できる事故点標定装置を提供することである。
請求項1の発明に係る事故点標定装置は、変圧器から負荷に電力を供給する送配電線に地絡事故が発生したときの地絡電流波形を周波数解析して地絡電流の共振周波数を求める共振周波数演算手段と、前記共振周波数演算手段で求めた共振周波数及び既知の線路定数を用いて変圧器から事故点までの第1事故点距離を演算する第1事故点距離算出手段と、前記共振周波数演算手段で求めた共振周波数及び既知の線路定数を用いて前記送配電線の末端から事故点までの第2事故点距離を演算する第2事故点距離算出手段と、前記第1事故点距離、前記第2事故点距離及び変圧器から前記送配電線の末端までの送配電線距離に基づいて、前記事故点が前記送配電線の分岐回路で発生しているときは事故点インダクタンスによる距離誤差を相殺して前記変圧器または前記送配電線の末端から前記分岐回路の分岐点までの分岐点距離を算出し、前記事故点が前記分岐回路でない箇所で発生しているときは事故点インダクタンスによる距離誤差を相殺して前記変圧器または前記送配電線の末端から前記事故点までの距離を算出する分岐点距離算出手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明に係る事故点標定装置は、請求項1の発明において、前記地絡事故の事故点様相に対応して予め事故点インダクタンスを記憶した事故点インダクタンス記憶部と、前記地絡電流波形に基づいて事故点様相を判定しその事故様相に対応する事故点インダクタンスを前記事故点インダクタンス記憶部から取り出す事故点様相判定手段と、前記事故点が前記分岐回路で発生しているときは前記事故点様相判定手段で取り出された事故点インダクタンスを距離に換算し、その換算した距離を前記第1事故点距離または前記第2事故点距離より差し引くことにより、前記変圧器または前記送配電線の末端から事故点までの事故点距離を算出する事故点距離算出手段とを備えたことを特徴とする。
請求項3の発明に係る事故点標定装置は、請求項1の発明において、前記変圧器または前記送配電線の末端から所定距離地点で振動波形が発生する地絡事故を発生させて、前記第1事故点距離算出手段で演算して得られた第1事故点距離または前記第2事故点距離算出手段で演算して得られた第2事故点距離と、前記地絡事故を発生させた前記変圧器または前記送配電線の末端からの実際の事故点距離との相関を予め求めておき、その相関式を記憶した相関式記憶部と、前記地絡事故が振動波形の発生する地絡事故であるときは、前記第1事故点距離算出手段で演算した第1事故点距離または前記第2事故点距離算出手段で演算した第2事故点距離を入力し、前記相関式記憶部に記憶した相関式に基づき前記変圧器または前記送配電線の末端から事故点までの実際の事故点距離を推定する事故点距離推定手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の事故点標定装置。
請求項4の発明に係る事故点標定装置は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記共振周波数演算手段で求めた地絡電流の共振周波数、前記地絡電流及び地絡電圧に基づいて変圧器から見たバンク・線路静電容量を算出するバンク・線路静電容量算出手段を設け、前記第1事故点距離算出手段は、前記共振周波数演算手段で求めた共振周波数及びバンク・線路静電容量を用いて変圧器から事故点までの第1事故点距離を算出することを特徴とする。
請求項5の発明に係る事故点標定装置は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、変圧器から負荷に電力を供給する送配電線の末端にコンデンサを接続したことを特徴とする。
本発明によれば、変圧器から事故点までの第1事故点距離と、送配電線の末端から事故点までの第2事故点距離との双方を求め、事故点が分岐回路で発生しているときは、事故点インダクタンスによる距離誤差を相殺して、変圧器または送配電線の末端から分岐回路の分岐点までの分岐点距離を算出するので、分岐点距離を正確に算出できる。また、事故点が分岐回路でない箇所で発生しているときは、事故点インダクタンスによる距離誤差を相殺して、変圧器から事故点までの距離を算出するので、事故点インダクタンスによる距離誤差を除去した事故点距離を算出できる。
また、振動波形が発生する地絡事故を発生させたときの第1事故点距離算出手段で演算して得られた第1事故点距離または第2事故点距離算出手段で演算して得られた第2事故点距離と、変圧器または送配電線の末端からの地絡事故を発生させた実際の事故点距離との相関を予め求めてその相関式を記憶しておき、地絡事故が振動波形の発生する地絡事故であるときは、第1事故点距離算出手段で演算した第1事故点距離または第2事故点距離算出手段で演算した第2事故点距離を入力し、相関式に基づき変圧器または送配電線の末端から事故点までの実際の事故点距離を推定するので、事故点インダクタンスによる距離誤差を除去した事故点距離を推定できる。
また、事故点が分岐回路で発生しているときは事故点様相に応じて事故点インダクタンスを距離に換算し、その換算した距離を事故点距離より差し引くので、変圧器または送配電線の末端から事故点までの事故点距離をより正確に算出できる。また、地絡電流の共振周波数、地絡電流及び地絡電圧に基づいて変圧器から見たバンク・線路静電容量を算出するので、変圧器から事故点までの第1事故点距離をより正確に算出できる。
本発明の第1実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図。 本発明の第1実施形態に係る事故点標定装置で送配電線の事故に対し事故点距離を算出する場合の説明図。 本発明の第2実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図。 本発明の第3実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図。 振動波形が発生する地絡事故の場合に変圧器から地絡点までのインダクタンスLlと事故点インピーダンスLgとの間の相関の一例を示すグラフ。 (21)式で求めた変圧器から地絡点までの事故点距離換算インダクタンスLlと、(24)式により第1事故点距離換算インダクタンスLaを用いて求めた変圧器から地絡点までのインダクタンスLlcalとの間の相関の一例を示すグラフ。 本発明の第4実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図。 本発明の第5実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図。 本発明の第6実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図。 従来の事故点標定装置で事故点距離を算出した場合の分岐回路を有した送配電線での事故点箇所の説明図
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図である。本発明の第1実施形態に係る事故点標定装置は、送配電線に地絡事故が発生したときの地絡電流波形を検出する電流検出器15と、地絡電流波形の共振周波数を求めその共振周波数と既知の線路定数を用いて事故点を標定する演算装置16と、演算装置の演算処理結果を出力する出力装置17とから構成される。
電流検出器15は測定点12に設けられ、送配電線に地絡事故が発生したときの地絡電流波形を検出するものであり、電流検出器単体として設けてもよいし、IT開閉器(電流・電圧センサー付の自動開閉器)の電流センサーを用いてもよい。IT開閉器はセンサ内蔵のインテリジェントな自動開閉器である。
電流検出器15で検出された地絡電流波形は、演算装置16の共振周波数演算手段18に入力される。共振周波数演算手段18は、送配電線に地絡事故が発生したときの地絡電流波形を周波数解析して地絡電流の共振周波数fを求めるものである。地絡電流の共振周波数fは地絡電流波形を高速フーリエ変換FFTにより周波数解析して求める。
ここで、共振周波数fは、事故点までの線路インダクタンスをLall、事故点までの静電容量をCallとすると、(2)式で示される。
f=1/{2π(Lall×Call)1/2 } …(2)
事故点までの線路インダクタンスLallは、(3)式で示される。(3)式において、Lc1〜Lciは線路区間1〜iの線路種別毎の単位長あたりの線路インダクタンス、Lgは事故点インダクタンス、d1〜diは線路区間1〜iの距離である。
Lall=Σ(Lci×di)+Lg …(3)
線路種別毎の単位長あたりの線路インダクタンスLc1〜Lciは、異なる値であるが、説明の便宜のために仮に同じ値であるとする。つまり、Lc1〜Lciを同じ値Lcに近似すると、事故点までの線路インダクタンスLallは、(4)式で示される。なお、事故点までの距離Σdiをd(d=Σdi)としている。
Lall=Lc×d+Lg …(4)
また、変圧器側から見た場合の事故点までの静電容量Callは、(5)式で示される。(5)式において、Cは変圧器より末端側に接続されている送配電線の静電容量の合計値であるバンク静電容量であり、Cc1〜Cciは線路区間1〜iの単位長あたりの線路静電容量、d1〜diは線路区間1〜iの距離である。なお、地絡事故の場合には事故点静電容量は無視できるので無視している。
Call=C+Σ(Cci×di) …(5)
バンク静電容量Cは、線路静電容量Σ(Cci×di)よりはるかに大きいので、線路静電容量Σ(Cci×di)は変圧器側から見た場合には無視できる。従って、変圧器側から見た場合の事故点までの静電容量Callは、(6)式に示すように、バンク静電容量Cに近似できる。
Call=C …(6)
一方、送配電線の末端側から見た場合の事故点までの静電容量Callにはバンク静電容量Cがないので、送配電線の末端側から見た場合の事故点までの静電容量Callは、(7)式に示すように、線路静電容量Σ(Cci×di)となる。
Call=Σ(Cci×di) …(7)
単位長あたりの線路静電容量Cc1〜Cciは、異なる値であるが、説明の便宜のために仮に同じ値であるとする。つまり、Cc1〜Cciを同じ値Ccに近似すると、事故点までの線路静電容量Callは、(8)式で示される。なお、事故点までの距離Σdiをd(d=Σdi)としている。
Call=Cc×d …(8)
次に、共振周波数演算手段18で求められた地絡電流の共振周波数fは、第1事故点距離算出手段19及び第2事故点距離算出手段20に入力される。第1事故点距離算出手段19は、共振周波数演算手段18で求めた共振周波数f及び既知の線路定数(Lc、C)を用いて、(1)式により変圧器から見た第1事故点距離D1を演算する。第1事故点距離算出手段19では、単位長あたりの線路インダクタンスLcを(1)式のLcに代入し、バンク静電容量Cを(1)式のCbに代入して変圧器から見た第1事故点距離D1を演算する。
第2事故点距離算出手段20は、共振周波数演算手段18で求めた共振周波数f及び既知の線路定数(Lc、Cci)を用いて、(1)式により送配電線の末端から見た第2事故点距離D2を演算する。第2事故点距離算出手段20では、単位長あたりの線路インダクタンスLcを(1)式のLcに代入し、(8)式により求めた線路静電容量Callを、(1)式のCbに代入して送配電線の末端から見た第2事故点距離D2を演算する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る事故点標定装置で送配電線の事故に対し事故点距離を算出する場合の説明図である。いま、変圧器13から送配電線の末端14までの全長がD0であり、分岐点22から分岐回路11Xを有している送配電線11を考える。そして、分岐回路11Xの事故点gxで地絡事故が発生したとする。
送配電線11は、変圧器13から送配電線の末端14までの線路区間として、変圧器13から測定点12aまでの距離d1の第1区間、測定点12aから測定点12bまでの距離d2の第2区間、測定点12bから分岐点22までの距離d3の第3区間、分岐点22から測定点12cまでの距離d4の第4区間、測定点12cから送配電線の末端14までの距離d5の第5区間を有し、分岐回路11Xの分岐点22から事故点gxまでの線路区間を第6区間とする。そして、変圧器13から分岐点22までの距離をc1(c1=d1+d2+d3)、送配電線の末端14から分岐回路11Xの分岐点22までの距離をc2(c2=d4+d5)、分岐点22から事故点gxまでの距離をc3とする。
前述したように、第1事故点距離算出手段19では、地絡電流の共振周波数f及び既知の線路定数(Lc、C)を用いて、(1)式により変圧器13から見た第1事故点距離D1を演算する。そのため、事故点インダクタンスLgを考慮していないので、変圧器13から見た第1事故点距離D1には誤差が生じる。
いま、事故点インダクタンスLgを考慮した分岐点22から事故点gxまでの仮想距離をd6とする。この仮想距離d6には、事故点インダクタンスLgを距離に換算した事故点インダクタンス換算距離dgが含まれる。第1事故点距離算出手段19で計算される変圧器13から見た第1事故点距離D1は(9)式で示される。
D1=d1+d2+d3+d6
=c1+d6 …(9)
例えば、事故点gxに事故点インダクタンスLgの地絡事故が発生した場合は、変圧器13から事故点gxまでの線路インダクタンスLallは、(3)式より、(10)式で求められる。なお、線路区間第1区間、第2区間、第3区間、第6区間において、単位長あたりの線路インダクタンスLciは同じ値のLcとしている。
Lall=Lc×(d1+d2+d3+c3)+Lg
=Lc×(c1+c3)+Lg …(10)
また、事故点インダクタンスLgを距離に換算した事故点インダクタンス換算距離dgは、下記の(11)式で示される。
Lg=Lc×dg …(11)
(11)式を(10)式に代入すると、(12)式が得られる。
Lall=Lc×(c1+c3+dg) …(12)
すなわち、第1事故点距離算出手段19は、地絡電流の共振周波数f及び既知の線路定数(Lc、C)を用いて、(1)式により変圧器13から見た第1事故点距離D1を演算するので、変圧器13から見た実際の事故点距離dx1は、(dx1=c1+c3)であるが、(12)式に示すように、変圧器13から見た第1事故点距離D1は、(c1+c3+dg)となり、(9)式及び(12)式から仮想距離d6は(c3+dg)となることがわかる。
一方、第2事故点距離算出手段20においても、前述したように、地絡電流の共振周波数f及び既知の線路定数(Lc、Cci)を用いて、(1)式により送配電線の末端14から見た第2事故点距離D2を演算する。そのため、事故点インダクタンスLgを考慮していないので、送配電線の末端14から見た第2事故点距離D2には誤差が生じる。第2事故点距離算出手段20で計算される送配電線の末端14から見た第2事故点距離D2は(13)式で示される。
D2=d4+d5+d6
=c2+d6 …(13)
第2事故点距離算出手段20の場合も、第1事故点距離算出手段19の場合と同様に、送配電線の末端14から事故点gxまでの線路インダクタンスLallは、(3)式より、(14)式で求められる。なお、線路区間第4区間、第5区間、第6区間において、単位長あたりの線路インダクタンスLciは同じ値のLcとしている。
Lall=Lc×(d4+d5+c3)+Lg
=Lc×(c2+c3)+Lg …(14)
また、事故点インダクタンスLgを距離に換算した事故点インダクタンス換算距離dgは、(11)式で示されるので、送配電線の末端14から見た線路インダクタンスLallは(15)式で示される。
Lall=Lc×(c2+c3)+Lc×dg
=Lc×(c2+c3+dg) …(15)
すなわち、送配電線の末端14から見た実際の事故点距離dx2は、(dx2=c2+c3)であるが、(15)式に示すように、送配電線の末端14から見た第2事故点距離D2は(c2+c3+dg)となり、第2事故点距離算出手段20の場合も、仮想距離d6は(c3+dg)となる。
このように、仮想距離d6には、事故点インダクタンスLgを距離に換算した事故点インダクタンス換算距離dgが含まれる。従って、事故点gxが送配電線11の分岐回路11Xで発生しているときは、第1事故点距離算出手段19で計算された第1事故点距離D1、第2事故点距離算出手段20で計算された第2事故点距離D2には、事故点インダクタンスLgによる距離誤差dgが含まれる。
そこで、分岐点距離算出手段21では、事故点gxが送配電線11の分岐回路11Xで発生しているときは、事故点インダクタンスLgによる距離誤差を相殺して変圧器13から分岐回路11Xの分岐点22までの分岐点距離c1を算出する。
分岐点距離算出手段21は、まず、事故点gxが送配電線11の分岐回路11Xで発生しているか否かを判定する。事故点gxが送配電線11の分岐回路11Xで発生しているか否かの判定は、(16)式で判定する。
d6>ε1 …(16)
ここで、ε1は、想定される事故点インダクタンス換算距離dg分の距離誤差である。これは、仮想距離d6が想定される事故点インダクタンス換算距離dg分の距離誤差ε1より大きいときは、分岐回路11Xで事故点gxがあると判定できるからである。変圧器13から分岐点22までの分岐点距離c1は、(17)式で示され、仮想距離d6は(18)式で示される。
c1=(D1−D2+D0)/2 …(17)
d6=D1−c1 …(18)
(17)式及び(18)式を(16)式に代入すると、(19)式が得られる。
d6=(D1+D2−D0)/2>ε1 …(19)
つまり、分岐点距離算出手段21は、事故点gxが送配電線11の分岐回路11Xで発生しているか否かの判定を、(19)式で判定する。
事故点が送配電線11の分岐回路11Xで発生していると判定したときは、分岐点距離c1、c2を求める。変圧器13から分岐点22までの分岐点距離c1は(17)式から既に算出されている。送配電線の末端14から分岐点22までの分岐点距離c2は(20)式で算出する。
c2=D0−c1 …(20)
(17)式及び(20)式には、事故点インダクタンス換算距離dgを含む仮想距離d6がないので、事故点インダクタンスLgによる距離誤差を相殺できる。従って、事故点インダクタンスLgによる距離誤差を除去した分岐点距離c1、c2を算出できる。
一方、分岐点距離算出手段21は、(19)式により、事故点gxが送配電線11の分岐回路11Xでない箇所(送配電線11の本線)で発生していると判定したときは、分岐点22が事故点gxであると判断する。これにより、事故点インダクタンスLgによる距離誤差を相殺した変圧器13から事故点gxまでの距離を算出できる。
分岐点距離算出手段21は、このようにして算出した変圧器13から分岐回路11Xの分岐点22までの分岐点距離c1、送配電線の末端14から分岐点22までの分岐点距離c2、変圧器13または送配電線の末端14から事故点gxまでの距離を出力装置17に出力する。出力装置17は、印刷装置、表示装置、記憶装置、通信装置などである。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図である。この第2実施形態は、図1に示した第1実施形態に対し、地絡事故の事故点様相に対応して予め事故点インダクタンスを記憶した事故点インダクタンス記憶部23と、地絡電流波形に基づいて事故点様相を判定しその事故様相に対応する事故点インダクタンスを事故点インダクタンス記憶部23から取り出す事故点様相判定手段24と、事故点が分岐回路で発生しているときは変圧器から事故点までの分岐点距離を算出する事故点距離算出手段25とを追加して設けたものである。
すなわち、第1実施形態では、事故点が分岐回路で発生しているときは分岐点22までの分岐点距離c1しか分からない。そこで、第2実施形態では、事故点までの分岐点距離を算出するようにしたものである。図1と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
事故点インダクタンス記憶部23には、地絡事故の事故点様相に対応して予め事故点インダクタンスLgが記憶されている。地絡事故の事故点様相には、例えば、樹木が電線に接触して地絡事故が発生したもの、金属同士が接触して地絡事故が発生したもの(腕金に電線が接触、パンザーマストに電線が接触など)、飛来物が電線に接触して地絡事故が発生したもの、動物が電線に接触して地絡事故が発生したものなどがある。このような地絡事故の事故様相によって事故点インダクタンスLgは異なった値となる。
過去の地絡事故データから、送配電線の箇所によって発生し易い地絡事故の様相が予め分かっている。すなわち、特定の分岐回路の分岐点の先で発生した地絡事故の場合には、特定の事故様相の地絡事故が多く発生していることが過去の地絡事故データから分かっている。そこで、過去の地絡事故データに基づき、分岐点に対応付けて予め事故点インダクタンスLgを事故点インダクタンス記憶部23に記憶しておく。
また、地絡電流波形は、地絡事故の様相によって異なった特有の波形となる。事故点様相判定手段24は、電流検出器15で検出された地絡電流を入力し、地絡電流波形に基づいて事故点様相を判定する。そして、その事故様相に対応する事故点インダクタンスLgを事故点インダクタンス記憶部23から取り出し事故点距離算出手段25に出力する。
事故点距離算出手段25は、分岐点距離算出手段21から事故点gxが分岐回路で発生しているとの通知を入力すると、事故点様相判定手段24で取り出された事故点インダクタンスLgを距離に換算する。事故点インダクタンスLgの距離への換算は、(11)式に基づいて事故点インダクタンス換算距離dgを算出することで行う。そして、事故点距離算出手段25は、求めた事故点インダクタンス換算距離dgを第1事故点距離D1または第2事故点距離D2より差し引く(減算する)ことで、変圧器13または送配電線の末端14から事故点gxまでの分岐点距離c1、c2を算出する。
本発明の第2実施形態では、事故点gxが分岐回路で発生しているときは、事故点様相に応じて事故点インダクタンスを距離に換算し、その換算した事故点インダクタンス換算距離dgを事故点距離D1、D2より差し引く(減算する)ことで、変圧器13または送配電線の末端14から事故点gxまでの事故点距離dx1(=c1+c3)、dx2(=c2+c3)をより正確に算出できる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。図4は、本発明の第3実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図である。この第3実施形態は、図1に示した第1実施形態に対し、第1事故点距離算出手段で演算して得られた第1事故点距離または第2事故点距離算出手段で演算して得られた第2事故点距離と、変圧器または送配電線の末端からの実際の事故点距離との相関を示す相関式を予め記憶した相関式記憶部28と、第1事故点距離算出手段で演算した第1事故点距離または第2事故点距離算出手段で演算した第2事故点距離を入力し、相関式記憶部28に記憶した相関式に基づき変圧器または送配電線の末端から事故点までの実際の事故点距離を推定する事故点距離推定手段29とを追加して設けたものである。
すなわち、第3実施形態は、第2実施形態と同様に、分岐点22までの分岐点距離c1に加え、事故点までの分岐点距離を算出できるようにしたものである。図1と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
相関式記憶部28には、第1事故点距離算出手段19で演算して得られた第1事故点距離D1または第2事故点距離算出手段20で演算して得られた第2事故点距離D2と、変圧器13または送配電線11の末端14からの実際の事故点距離dx1(=c1+c3)、dx2(=c2+c3)との相関を示す相関式が予め記憶されている。この相関式は、変圧器または送配電線の末端から所定距離地点で地絡事故を発生させて、得られたデータから取得した。以下の説明では、変圧器から所定距離地点で地絡事故を発生させた場合、つまり、第1事故点距離算出手段19で演算して得られた第1事故点距離D1と、変圧器13からの実際の事故点距離dx1(=c1+c3)との相関を示す相関式を求める場合について説明する。
前述したように、地絡事故の事故点様相には、樹木が電線に接触して地絡事故が発生したもの、金属同士が接触して地絡事故が発生したもの(腕金に電線が接触、パンザーマストに電線が接触など)、飛来物が電線に接触して地絡事故が発生したもの、動物が電線に接触して地絡事故が発生したものなどがある。そこで、変圧器から所定距離地点で各種の事故点様相の地絡事故を発生させて、変圧器から地絡点までのインダクタンスLlと事故点インピーダンスLgとのデータを取得した。その結果、事故様相として、金属同士が接触して地絡事故が発生した場合には、つまり、振動波形が発生する地絡事故の場合に変圧器から地絡点までのインダクタンスLlと事故点インピーダンスLgとの間に相関があることが判明した。
図5は、振動波形が発生する地絡事故の場合に、変圧器から地絡点までのインダクタンスLlと事故点インピーダンスLgとの間の相関の一例を示すグラフである。変圧器から地絡点までのインダクタンスLlは、地絡点と配電線の線種が既知であることから単位長さあたりの線路インダクタンスLcは既知である。また、地絡点までの事故点距離dxも既知である。よって、図5の横軸の変圧器から地絡点までのインダクタンスLlは(21)式で求めた。
Ll=Lc×dx …(21)
また、図5の縦軸の事故点インダクタンスLgは、第1事故点距離算出手段19で算出された第1事故点距離D1をインダクタンスLa(La=D1×Lc)に換算し、(22)式に示すように、第1事故点距離換算インダクタンスLaから(21)式で求めた変圧器から地絡点までのインダクタンスLlを減算することで求めた。
Lg=La−Ll …(22)
図5から分かるように、振動波形が発生する地絡事故の場合には、事故点インピーダンスLgは、(23)式に示すように、変圧器から地絡点までのインダクタンスLlの一次関数に近似できることが分かる。(23)式のα、βは定数である。
Lg=α×Ll+β …(23)
(22)式及び(23)式から事故点インピーダンスLgを消去すると、変圧器から地絡点までのインダクタンスLlは、(24)式に示すように、第1事故点距離換算インダクタンスLaの関数で示される。
Ll=(La−β)/(1+α) …(24)
第1事故点距離算出手段19で演算して得られた第1事故点距離D1を第1事故点距離換算インダクタンスLa(La=D1×Lc)に換算して、(24)式に代入すると、変圧器から地絡点までのインダクタンスLlが得られる。そして、変圧器から地絡点までのインダクタンスLl(Ll=dx1×Lc)を変圧器13からの事故点距離dx1(=Ll/Lc)に換算する。これにより、第1事故点距離D1から実際の事故点距離dx1(=c1+c3)を求めることができる。(24)式に、(La=D1×Lc)、(Ll=dx1×Lc)を代入して、距離の式にすると(25)式が得られる。この(25)式を相関式とし、相関式記憶部28に記憶しておく。
dx1=(D1−β/Lc)/(1+α) …(25)
図6は、(21)式で求めた変圧器から地絡点までの事故点距離換算インダクタンスLlと、(24)式により第1事故点距離換算インダクタンスLaを用いて求めた変圧器から地絡点までのインダクタンスLlcalとの間の相関の一例を示すグラフである。横軸は(21)式で求めた事故点距離換算インダクタンスLlであることから、実際の事故点距離の真値に近い値であり、縦軸は(24)式により第1事故点距離換算インダクタンスLaを用いて求めた変圧器から地絡点までのインダクタンスLlcalであることから、多少の誤差が含まれる。図6に示すように、多少のばらつきはあるが、(24)式により第1事故点距離換算インダクタンスLaを用いて求めた変圧器から地絡点までのインダクタンスLlcalは、(21)式で求めた変圧器から地絡点までの事故点距離換算インダクタンスLlにほぼ等しい。このことから、(24)式により第1事故点距離換算インダクタンスLaを用いて変圧器から地絡点までのインダクタンスLlを求めてもよいことが分かる。
以上の説明は、第1事故点距離算出手段19で演算して得られた第1事故点距離D1と、変圧器13からの実際の事故点距離dx1(=c1+c3)との相関を示す相関式を求める場合について説明したが、第2事故点距離算出手段20で演算して得られた第2事故点距離D2と、送配電線11の末端14からの実際の事故点距離dx2(=c2+c3)との相関を示す相関式を求める場合も同様である。その場合の相関式は、(26)式で示される。
dx2=(D2−β/Lc)/(1+α) …(26)
このように、第3実施形態では、変圧器または送配電線の末端から所定距離地点で振動波形が発生する地絡事故を発生させて、第1事故点距離算出手段19で演算して得られた第1事故点距離D1または第2事故点距離算出手段20で演算して得られた第2事故点距離D2と、地絡事故を発生させた変圧器または送配電線の末端からの実際の事故点距離dx1、dx2との相関を予め相関式として求めておき、相関式記憶部28に記憶しておく。そして、事故点距離推定手段29は、地絡事故が振動波形の発生する地絡事故であるときは、第1事故点距離算出手段19で演算した第1事故点距離D1または第2事故点距離算出手段20で演算した第2事故点距離D2を入力し、相関式記憶部28に記憶した相関式に基づき変圧器または送配電線の末端から事故点までの実際の事故点距離を推定する。これにより、第2実施形態と同様に、事故点インダクタンスによる距離誤差を除去した事故点距離を推定できる。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。図7は、本発明の第4実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図である。この第4実施形態は、図1に示した第1実施形態に対し、地絡電圧を検出する電圧検出器26とバンク・線路静電容量算出手段27とを追加して設け、バンク・線路静電容量算出手段27は、共振周波数演算手段18で求めた地絡電流の共振周波数f、電流検出器15で検出した地絡電流及び電圧検出器26で検出した地絡電圧に基づいて変圧器13から見たバンク・線路静電容量Cbを算出し、第1事故点距離算出手段19は、共振周波数演算手段18で求めた共振周波数f及びバンク・線路静電容量Cbを用いて、変圧器13から事故点gxまでの第1事故点距離D1を算出するようにしたものである。図1と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
地絡事故の発生時に続流が発生する場合は、電流検出器15で地絡電流の続流が検出され、電圧検出器26で地絡電流の続流による地絡電圧が検出される。バンク・線路静電容量算出手段27は、電流検出器15で検出された地絡電流の続流の電流値Ig、電流検出器15で検出された地絡電流の続流の電圧値Vg、共振周波数演算手段18で求めた地絡電流の共振周波数fに基づいて、下記の(27)式によりバンク・線路静電容量Cbを算出する。
Cb≒Ig/2πf×Vg …(27)
(27)式で算出されたバンク・線路静電容量Cbは、地絡電流の続流の電流値Ig、地絡電流の続流の電圧値Vg、地絡電流の共振周波数fに基づいて、算出されたバンク・線路静電容量Cbであるので、変圧器13から事故点gxまでの実際のバンク・線路静電容量Cbである。従って、第1事故点距離算出手段19は、(27)式で算出されたバンク・線路静電容量Cbを用いて第1事故点距離D1を計算するので、第1事故点距離D1は、誤差の少ないものとなる。これにより、既存のバンク・線路静電容量Cbの誤差による影響を除去したより正確な変圧器13から事故点gxまでの第1事故点距離D1を算出できる。なお、地絡事故が間欠地絡などの事故であり、地絡電流の続流が発生しない場合は、第1実施形態と同様に、送配電線の系統構成から計算した既知の線路定数を用いることになる。
次に、本発明の第5実施形態を説明する。図8は、本発明の第5実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図である。この第5実施形態は、図1に示した第1実施形態に対し、図3に示した事故点インダクタンス記憶部23、事故点様相判定手段24、事故点距離算出手段25、及び図7に示した電流検出器26、バンク・静電容量算出手段27を追加して設けたものである。これらの要素は、図3及び図7と同じであるので重複する説明は省略する。
本発明の第5実施形態では、図3に示した第2実施形態の効果及び図7に示した第4実施形態の効果の双方の効果を有する。すなわち、事故点インダクタンス換算距離dgを事故点距離D1、D2より差し引く(減算する)ことで、変圧器13または送配電線の末端14から事故点gxまでの事故点距離c1+c3、c2+c3をより正確に算出でき、既存のバンク・線路静電容量Cbの誤差による影響を除去した変圧器13から事故点gxまでのより正確な第1事故点距離D1を算出できる。
次に、本発明の第6実施形態を説明する。図9は、本発明の第6実施形態に係る事故点標定装置のブロック構成図である。この第6実施形態は、図1に示した第1実施形態に対し、図4に示した相関記憶部28、事故点距離推定手段29、及び図7に示した電流検出器26、バンク・静電容量算出手段27を追加して設けたものである。これらの要素は、図4及び図7と同じであるので重複する説明は省略する。
本発明の第6実施形態では、図4に示した第3実施形態の効果及び図7に示した第4実施形態の効果の双方の効果を有する。すなわち、第1事故点距離算出手段で演算して得られた第1事故点距離または第2事故点距離算出手段で演算して得られた第2事故点距離と、変圧器または送配電線の末端からの実際の事故点距離との相関を示す予め用意した相関式に基づき変圧器または送配電線の末端から事故点までの実際の事故点距離を推定するので、変圧器13または送配電線の末端14から事故点gxまでの事故点距離c1+c3、c2+c3をより正確に算出でき、既存のバンク・線路静電容量Cbの誤差による影響を除去した変圧器13から事故点gxまでのより正確な第1事故点距離D1を算出できる。
前述したように、送配電線の末端側から見た場合の事故点までの静電容量Callにはバンク静電容量Cがないので、送配電線の末端側から見た場合の事故点までの静電容量Callは、(7)式に示すように、線路静電容量Σ(Cci×di)となり、(6)式で示す変圧器側から見た場合の静電容量Call(=C)より小さいものとなる。特に、送配電線の末端の近傍に事故点gxが発生した場合には、送配電線の末端側から見た場合の事故点までの静電容量Callは非常に小さいものとなる。
送配電線の末端側から見た場合の事故点までの静電容量Callが非常に小さいと、事故電流も小さいものとなるので、送配電線の末端側から見た場合の事故電流を測定できるように、送配電線の末端14にコンデンサCxを接続する。これにより、送配電線の末端側から見た場合の事故点までの静電容量Callが大きくなり、送配電線の末端側から見た場合の事故電流を大きくすることができ、送配電線の末端近傍の電流検出器16での事故電流の検出が容易にできる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…送配電線、12…測定点、13…変圧器、14…送配電線の末端、15…電流検出器、16…演算装置、17…出力装置、18…共振周波数演算手段、19…第1事故点距離算出手段、20…第2事故点距離算出手段、21…分岐点距離算出手段、22…分岐点、23…事故点インダクタンス記憶部、24…事故点様相判定手段、25…事故点距離算出手段、26…電圧検出器、27…バンク・線路静電容量算出手段、28…相関式記憶部、29…事故点距離推定手段

Claims (5)

  1. 変圧器から負荷に電力を供給する送配電線に地絡事故が発生したときの地絡電流波形を周波数解析して地絡電流の共振周波数を求める共振周波数演算手段と、
    前記共振周波数演算手段で求めた共振周波数及び既知の線路定数を用いて変圧器から事故点までの第1事故点距離を演算する第1事故点距離算出手段と、
    前記共振周波数演算手段で求めた共振周波数及び既知の線路定数を用いて前記送配電線の末端から事故点までの第2事故点距離を演算する第2事故点距離算出手段と、
    前記第1事故点距離、前記第2事故点距離及び変圧器から前記送配電線の末端までの送配電線距離に基づいて、前記事故点が前記送配電線の分岐回路で発生しているときは事故点インダクタンスによる距離誤差を相殺して前記変圧器または前記送配電線の末端から前記分岐回路の分岐点までの分岐点距離を算出し、前記事故点が前記分岐回路でない箇所で発生しているときは事故点インダクタンスによる距離誤差を相殺して前記変圧器または前記送配電線の末端から前記事故点までの距離を算出する分岐点距離算出手段とを備えたことを特徴とする事故点標定装置。
  2. 前記地絡事故の事故点様相に対応して予め事故点インダクタンスを記憶した事故点インダクタンス記憶部と、
    前記地絡電流波形に基づいて事故点様相を判定しその事故様相に対応する事故点インダクタンスを前記事故点インダクタンス記憶部から取り出す事故点様相判定手段と、
    前記事故点が前記分岐回路で発生しているときは前記事故点様相判定手段で取り出された事故点インダクタンスを距離に換算し、
    その換算した距離を前記第1事故点距離または前記第2事故点距離より差し引くことで、前記変圧器または前記送配電線の末端から事故点までの事故点距離を算出する事故点距離算出手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の事故点標定装置。
  3. 前記変圧器または前記送配電線の末端から所定距離地点で振動波形が発生する地絡事故を発生させて、前記第1事故点距離算出手段で演算して得られた第1事故点距離または前記第2事故点距離算出手段で演算して得られた第2事故点距離と、前記地絡事故を発生させた前記変圧器または前記送配電線の末端からの実際の事故点距離との相関を予め求めておき、その相関式を記憶した相関式記憶部と、
    前記地絡事故が振動波形の発生する地絡事故であるときは、前記第1事故点距離算出手段で演算した第1事故点距離または前記第2事故点距離算出手段で演算した第2事故点距離を入力し、前記相関式記憶部に記憶した相関式に基づき前記変圧器または前記送配電線の末端から事故点までの実際の事故点距離を推定する事故点距離推定手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の事故点標定装置。
  4. 前記共振周波数演算手段で求めた地絡電流の共振周波数、前記地絡電流及び地絡電圧に基づいて変圧器から見たバンク・線路静電容量を算出するバンク・線路静電容量算出手段を設け、前記第1事故点距離算出手段は、前記共振周波数演算手段で求めた共振周波数及びバンク・線路静電容量を用いて変圧器から事故点までの第1事故点距離を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の事故点標定装置。
  5. 変圧器から負荷に電力を供給する送配電線の末端にコンデンサを接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の事故点標定装置。
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