JP6459518B2 - 事故点標定装置 - Google Patents
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Description
地絡電流の共振周波数fは、高速フーリエ変換FFTなどの周波数解析により算出する。また、単位長さあたりの線路インダクタンスLc、変圧器側から見たバンク・線路静電容量Cbは、送配電線の系統構成から計算した既知の線路定数を用いる。これにより、事故区間内の事故点の特定を容易にしている。
事故点までの線路インダクタンスLallは、(3)式で示される。(3)式において、Lc1〜Lciは線路区間1〜iの線路種別毎の単位長あたりの線路インダクタンス、Lgは事故点インダクタンス、d1〜diは線路区間1〜iの距離である。
線路種別毎の単位長あたりの線路インダクタンスLc1〜Lciは、異なる値であるが、説明の便宜のために仮に同じ値であるとする。つまり、Lc1〜Lciを同じ値Lcに近似すると、事故点までの線路インダクタンスLallは、(4)式で示される。なお、事故点までの距離Σdiをd(d=Σdi)としている。
また、変圧器側から見た場合の事故点までの静電容量Callは、(5)式で示される。(5)式において、Cは変圧器より末端側に接続されている送配電線の静電容量の合計値であるバンク静電容量であり、Cc1〜Cciは線路区間1〜iの単位長あたりの線路静電容量、d1〜diは線路区間1〜iの距離である。なお、地絡事故の場合には事故点静電容量は無視できるので無視している。
バンク静電容量Cは、線路静電容量Σ(Cci×di)よりはるかに大きいので、線路静電容量Σ(Cci×di)は変圧器側から見た場合には無視できる。従って、変圧器側から見た場合の事故点までの静電容量Callは、(6)式に示すように、バンク静電容量Cに近似できる。
一方、送配電線の末端側から見た場合の事故点までの静電容量Callにはバンク静電容量Cがないので、送配電線の末端側から見た場合の事故点までの静電容量Callは、(7)式に示すように、線路静電容量Σ(Cci×di)となる。
単位長あたりの線路静電容量Cc1〜Cciは、異なる値であるが、説明の便宜のために仮に同じ値であるとする。つまり、Cc1〜Cciを同じ値Ccに近似すると、事故点までの線路静電容量Callは、(8)式で示される。なお、事故点までの距離Σdiをd(d=Σdi)としている。
次に、共振周波数演算手段18で求められた地絡電流の共振周波数fは、第1事故点距離算出手段19及び第2事故点距離算出手段20に入力される。第1事故点距離算出手段19は、共振周波数演算手段18で求めた共振周波数f及び既知の線路定数(Lc、C)を用いて、(1)式により変圧器から見た第1事故点距離D1を演算する。第1事故点距離算出手段19では、単位長あたりの線路インダクタンスLcを(1)式のLcに代入し、バンク静電容量Cを(1)式のCbに代入して変圧器から見た第1事故点距離D1を演算する。
=c1+d6 …(9)
例えば、事故点gxに事故点インダクタンスLgの地絡事故が発生した場合は、変圧器13から事故点gxまでの線路インダクタンスLallは、(3)式より、(10)式で求められる。なお、線路区間第1区間、第2区間、第3区間、第6区間において、単位長あたりの線路インダクタンスLciは同じ値のLcとしている。
=Lc×(c1+c3)+Lg …(10)
また、事故点インダクタンスLgを距離に換算した事故点インダクタンス換算距離dgは、下記の(11)式で示される。
(11)式を(10)式に代入すると、(12)式が得られる。
すなわち、第1事故点距離算出手段19は、地絡電流の共振周波数f及び既知の線路定数(Lc、C)を用いて、(1)式により変圧器13から見た第1事故点距離D1を演算するので、変圧器13から見た実際の事故点距離dx1は、(dx1=c1+c3)であるが、(12)式に示すように、変圧器13から見た第1事故点距離D1は、(c1+c3+dg)となり、(9)式及び(12)式から仮想距離d6は(c3+dg)となることがわかる。
=c2+d6 …(13)
第2事故点距離算出手段20の場合も、第1事故点距離算出手段19の場合と同様に、送配電線の末端14から事故点gxまでの線路インダクタンスLallは、(3)式より、(14)式で求められる。なお、線路区間第4区間、第5区間、第6区間において、単位長あたりの線路インダクタンスLciは同じ値のLcとしている。
=Lc×(c2+c3)+Lg …(14)
また、事故点インダクタンスLgを距離に換算した事故点インダクタンス換算距離dgは、(11)式で示されるので、送配電線の末端14から見た線路インダクタンスLallは(15)式で示される。
=Lc×(c2+c3+dg) …(15)
すなわち、送配電線の末端14から見た実際の事故点距離dx2は、(dx2=c2+c3)であるが、(15)式に示すように、送配電線の末端14から見た第2事故点距離D2は(c2+c3+dg)となり、第2事故点距離算出手段20の場合も、仮想距離d6は(c3+dg)となる。
ここで、ε1は、想定される事故点インダクタンス換算距離dg分の距離誤差である。これは、仮想距離d6が想定される事故点インダクタンス換算距離dg分の距離誤差ε1より大きいときは、分岐回路11Xで事故点gxがあると判定できるからである。変圧器13から分岐点22までの分岐点距離c1は、(17)式で示され、仮想距離d6は(18)式で示される。
d6=D1−c1 …(18)
(17)式及び(18)式を(16)式に代入すると、(19)式が得られる。
つまり、分岐点距離算出手段21は、事故点gxが送配電線11の分岐回路11Xで発生しているか否かの判定を、(19)式で判定する。
(17)式及び(20)式には、事故点インダクタンス換算距離dgを含む仮想距離d6がないので、事故点インダクタンスLgによる距離誤差を相殺できる。従って、事故点インダクタンスLgによる距離誤差を除去した分岐点距離c1、c2を算出できる。
また、図5の縦軸の事故点インダクタンスLgは、第1事故点距離算出手段19で算出された第1事故点距離D1をインダクタンスLa(La=D1×Lc)に換算し、(22)式に示すように、第1事故点距離換算インダクタンスLaから(21)式で求めた変圧器から地絡点までのインダクタンスLlを減算することで求めた。
図5から分かるように、振動波形が発生する地絡事故の場合には、事故点インピーダンスLgは、(23)式に示すように、変圧器から地絡点までのインダクタンスLlの一次関数に近似できることが分かる。(23)式のα、βは定数である。
(22)式及び(23)式から事故点インピーダンスLgを消去すると、変圧器から地絡点までのインダクタンスLlは、(24)式に示すように、第1事故点距離換算インダクタンスLaの関数で示される。
第1事故点距離算出手段19で演算して得られた第1事故点距離D1を第1事故点距離換算インダクタンスLa(La=D1×Lc)に換算して、(24)式に代入すると、変圧器から地絡点までのインダクタンスLlが得られる。そして、変圧器から地絡点までのインダクタンスLl(Ll=dx1×Lc)を変圧器13からの事故点距離dx1(=Ll/Lc)に換算する。これにより、第1事故点距離D1から実際の事故点距離dx1(=c1+c3)を求めることができる。(24)式に、(La=D1×Lc)、(Ll=dx1×Lc)を代入して、距離の式にすると(25)式が得られる。この(25)式を相関式とし、相関式記憶部28に記憶しておく。
図6は、(21)式で求めた変圧器から地絡点までの事故点距離換算インダクタンスLlと、(24)式により第1事故点距離換算インダクタンスLaを用いて求めた変圧器から地絡点までのインダクタンスLlcalとの間の相関の一例を示すグラフである。横軸は(21)式で求めた事故点距離換算インダクタンスLlであることから、実際の事故点距離の真値に近い値であり、縦軸は(24)式により第1事故点距離換算インダクタンスLaを用いて求めた変圧器から地絡点までのインダクタンスLlcalであることから、多少の誤差が含まれる。図6に示すように、多少のばらつきはあるが、(24)式により第1事故点距離換算インダクタンスLaを用いて求めた変圧器から地絡点までのインダクタンスLlcalは、(21)式で求めた変圧器から地絡点までの事故点距離換算インダクタンスLlにほぼ等しい。このことから、(24)式により第1事故点距離換算インダクタンスLaを用いて変圧器から地絡点までのインダクタンスLlを求めてもよいことが分かる。
このように、第3実施形態では、変圧器または送配電線の末端から所定距離地点で振動波形が発生する地絡事故を発生させて、第1事故点距離算出手段19で演算して得られた第1事故点距離D1または第2事故点距離算出手段20で演算して得られた第2事故点距離D2と、地絡事故を発生させた変圧器または送配電線の末端からの実際の事故点距離dx1、dx2との相関を予め相関式として求めておき、相関式記憶部28に記憶しておく。そして、事故点距離推定手段29は、地絡事故が振動波形の発生する地絡事故であるときは、第1事故点距離算出手段19で演算した第1事故点距離D1または第2事故点距離算出手段20で演算した第2事故点距離D2を入力し、相関式記憶部28に記憶した相関式に基づき変圧器または送配電線の末端から事故点までの実際の事故点距離を推定する。これにより、第2実施形態と同様に、事故点インダクタンスによる距離誤差を除去した事故点距離を推定できる。
(27)式で算出されたバンク・線路静電容量Cbは、地絡電流の続流の電流値Ig、地絡電流の続流の電圧値Vg、地絡電流の共振周波数fに基づいて、算出されたバンク・線路静電容量Cbであるので、変圧器13から事故点gxまでの実際のバンク・線路静電容量Cbである。従って、第1事故点距離算出手段19は、(27)式で算出されたバンク・線路静電容量Cbを用いて第1事故点距離D1を計算するので、第1事故点距離D1は、誤差の少ないものとなる。これにより、既存のバンク・線路静電容量Cbの誤差による影響を除去したより正確な変圧器13から事故点gxまでの第1事故点距離D1を算出できる。なお、地絡事故が間欠地絡などの事故であり、地絡電流の続流が発生しない場合は、第1実施形態と同様に、送配電線の系統構成から計算した既知の線路定数を用いることになる。
Claims (5)
- 変圧器から負荷に電力を供給する送配電線に地絡事故が発生したときの地絡電流波形を周波数解析して地絡電流の共振周波数を求める共振周波数演算手段と、
前記共振周波数演算手段で求めた共振周波数及び既知の線路定数を用いて変圧器から事故点までの第1事故点距離を演算する第1事故点距離算出手段と、
前記共振周波数演算手段で求めた共振周波数及び既知の線路定数を用いて前記送配電線の末端から事故点までの第2事故点距離を演算する第2事故点距離算出手段と、
前記第1事故点距離、前記第2事故点距離及び変圧器から前記送配電線の末端までの送配電線距離に基づいて、前記事故点が前記送配電線の分岐回路で発生しているときは事故点インダクタンスによる距離誤差を相殺して前記変圧器または前記送配電線の末端から前記分岐回路の分岐点までの分岐点距離を算出し、前記事故点が前記分岐回路でない箇所で発生しているときは事故点インダクタンスによる距離誤差を相殺して前記変圧器または前記送配電線の末端から前記事故点までの距離を算出する分岐点距離算出手段とを備えたことを特徴とする事故点標定装置。 - 前記地絡事故の事故点様相に対応して予め事故点インダクタンスを記憶した事故点インダクタンス記憶部と、
前記地絡電流波形に基づいて事故点様相を判定しその事故様相に対応する事故点インダクタンスを前記事故点インダクタンス記憶部から取り出す事故点様相判定手段と、
前記事故点が前記分岐回路で発生しているときは前記事故点様相判定手段で取り出された事故点インダクタンスを距離に換算し、
その換算した距離を前記第1事故点距離または前記第2事故点距離より差し引くことで、前記変圧器または前記送配電線の末端から事故点までの事故点距離を算出する事故点距離算出手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の事故点標定装置。 - 前記変圧器または前記送配電線の末端から所定距離地点で振動波形が発生する地絡事故を発生させて、前記第1事故点距離算出手段で演算して得られた第1事故点距離または前記第2事故点距離算出手段で演算して得られた第2事故点距離と、前記地絡事故を発生させた前記変圧器または前記送配電線の末端からの実際の事故点距離との相関を予め求めておき、その相関式を記憶した相関式記憶部と、
前記地絡事故が振動波形の発生する地絡事故であるときは、前記第1事故点距離算出手段で演算した第1事故点距離または前記第2事故点距離算出手段で演算した第2事故点距離を入力し、前記相関式記憶部に記憶した相関式に基づき前記変圧器または前記送配電線の末端から事故点までの実際の事故点距離を推定する事故点距離推定手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の事故点標定装置。 - 前記共振周波数演算手段で求めた地絡電流の共振周波数、前記地絡電流及び地絡電圧に基づいて変圧器から見たバンク・線路静電容量を算出するバンク・線路静電容量算出手段を設け、前記第1事故点距離算出手段は、前記共振周波数演算手段で求めた共振周波数及びバンク・線路静電容量を用いて変圧器から事故点までの第1事故点距離を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の事故点標定装置。
- 変圧器から負荷に電力を供給する送配電線の末端にコンデンサを接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の事故点標定装置。
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