JP2018031718A - 架空配電系統探査システムおよび架空配電系統探査方法 - Google Patents

架空配電系統探査システムおよび架空配電系統探査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】空配電系統に生じる事故点をより短時間で探索できる架空配電系統探査装置および架空配電系統探査システムを提供する。
【解決手段】架空配電系統探査システムは、要求される事故点の標定のための空間分解能に応じた周波数成分を含むパルス状の入力波を発生するパルス発生装置と、架空配電系統の任意の相についての電位の時間波形、架空配電系統の任意の相についての電流の時間波形、架空配電系統の任意の相間についての電圧の時間波形、のうち少なくとも一つを測定する測定装置と、架空配電系統を構成する2つの相の間にパルス発生装置からの入力波を印加したときに測定装置によって測定されるいずれかの相または相間の時間波形について、入力波が印加されてから当該入力波に対応する反射波が生じるまでの時間差に基づいて、事故点までの距離を算出する制御手段とを含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、架空配電系統に生じ得る事故を探査する技術に関するものである。
発電所で発生した電力は送電線により変電所まで運ばれ、変電所で所定電圧に変換された上で、配電線により電力消費先である需要家まで運ばれる。都市部などでは、地中配電線により電力が需要家まで運ばれるが、それ以外では、架空配電線により電力が需要家まで運ばれる。
架空配電線は、その線路が屋外にあるため、地中配電線に比較して、事故を生じさせる要因が多い。例えば、樹木が架空配電線に接触したり、鳥獣が架空配電線に接触したりするような場合である。万が一、このような事故が発生した場合、その事故点および事故原因を可能な限り早期に探索し、事故原因の除去および復旧を行なう必要がある。
特開2014−157028号公報(特許文献1)は、地上において配電線や事故電柱に流れるパルス電流を検出することによって、配電線の事故点を探査するに当たり、配電線を流れるパルス電流と事故電柱を流れるパルス電流とを区別して検出することが可能な事故点探査装置を開示している。
特開2014−157028号公報
上述したような架空配電線の事故点を探索するには、事故により電路が遮断されている区間(停電区間)に事故探索装置を設置して、探索用アンテナを用いて事故電流を検出する方法が用いられている。特開2014−157028号公報(特許文献1)には、配電線と大地との間にパルス発生装置を接続して、事故配電線を含む配電線にパルス電圧を印加する方法が開示されている。
このように、従来の探索手法によれば、区間切り分けなどにより、事故点を探索する必要があるため、事故区間の特定や事故探索装置の設置に時間を要し、早期の復旧を妨げる理由となっていた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、架空配電系統に生じる事故点をより短時間で探索できる架空配電系統探査システムを提供することである。
本発明のある局面に従う架空配電系統探査システムは、要求される事故点の標定のための空間分解能に応じた周波数成分を含むパルス状の入力波を発生するパルス発生装置と、架空配電系統の任意の相についての電位の時間波形、架空配電系統の任意の相についての電流の時間波形、架空配電系統の任意の相間についての電圧の時間波形、のうち少なくとも一つを測定する測定装置と、架空配電系統を構成する2つの相の間にパルス発生装置からの入力波を印加したときに測定装置によって測定されるいずれかの相または相間の時間波形について、入力波が印加されてから当該入力波に対応する反射波が生じるまでの時間差に基づいて、事故点までの距離を算出する制御手段または制御装置とを含む。
好ましくは、架空配電系統探査システムは、パルス発生装置と架空配電系統との間のインピーダンスを整合させるための整合回路をさらに含む。
好ましくは、制御手段は、パルス発生装置からの入力波を印加した2つの相と、当該入力波を印加された相、および、それ以外の相の各々の時間波形に含まれる波形特徴との組み合わせに基づいて、架空配電系統に生じている事故種別を特定する。
好ましくは、制御手段は、架空配電系統に事故が発生していない場合に、パルス発生装置からの入力波を印加したときに測定装置によって測定される時間波形を基準波形として格納する手段と、測定装置によって測定される時間波形と基準波形との差分波形を処理対象の波形として取り扱う手段とを含む。
好ましくは、制御手段は、実質的に同一条件下において、パルス発生装置からの入力波を異なるタイミングで印加したときにそれぞれ測定される時間波形の間の変化に基づいて、架空配電系統に存在する機器の劣化度合いを評価する手段を含む。
好ましくは、制御手段は、需要家機器を含む外部からのノイズを特定する手段を含む。
本発明の別の局面に従う架空配電系統探査方法は、要求される事故点の標定のための空間分解能に応じた周波数成分を含むパルス状の入力波を、架空配電系統を構成する2つの相の間に印加するステップと、架空配電系統の任意の相についての電位の時間波形、架空配電系統の任意の相についての電流の時間波形、架空配電系統の任意の相間についての電圧の時間波形、のうち少なくとも一つを測定するステップと、測定された時間波形について、入力波が印加されてから当該入力波に対応する反射波が生じるまでの時間差に基づいて、事故点までの距離を算出するステップとを含む。
本発明によれば、架空配電系統に生じる事故点をより短時間で探索できる。
本実施の形態に従う探査システムの装置構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う探査システムの回路構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う探査システム1において電流型のプローブを用いた測定構成の一例を示す図である。 本実施の形態に従う探査システムにより提供される事故点標定機能を説明するための模式図である。 本実施の形態に従う探査システムが架空配電系統に印加するパルス状の信号の一例を示す模式図である。 本実施の形態に従う探査システムの事故点標定機能に関して測定された結果の一例を示す図である。 本実施の形態に従う探査システムの事故種別特定機能に関して測定された事故種別毎の結果の一例を示す図である。 本実施の形態に従う探査システムにより提供される固有ノイズ取得機能を説明するための模式図である。 本実施の形態に従う探査システム1の固有ノイズ取得機能に関して測定された結果の一例を示す図である。 本実施の形態に従う探査システムのソフトウェア構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う探査システムで実行される代表的な処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に従う探査システムの事故種別特定機能に関して測定された結果の一例を示す図である。 本実施の形態に従う探査システムの実装形態の例を示す模式図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
<A.概要>
まず、本実施の形態に従う架空配電系統探査システム1(以下、単に「探査システム1」とも称す。)における構成および測定方法などについて概略する。
本実施の形態に従う探査システム1は、時間領域反射(TDR:Time Domain Reflectometry)測定を用いて、以下の(1)〜(4)に列挙するような機能を実現する。
(1)架空配電線に生じた事故の位置を特定する(事故点を標定する)機能(事故点標定機能)
(2)架空配電線に生じた事故の種別(短絡・地絡・断線など)を特定する機能(事故種別特定機能)
(3)(1)または(2)を実施する際に用いられる架空配電系統に固有なノイズを予め取得する機能(固有ノイズ取得機能)
(4)架空配電線において事故を生じ得る劣化度合いを診断する機能(劣化診断機能)
なお、(1)〜(4)に列挙する機能のすべてを単一の装置に実装する必要はなく、その一部のみを実装するようにしてもよい。あるいは、(1)〜(4)に列挙する機能を応用した派生機能を単一の装置に実装してもよい。製品化される装置の用途や目的などに応じて、必要な機能が実装されることになる。
図1は、本実施の形態に従う探査システム1の装置構成を示す模式図である。図1を参照して、探査システム1は、探査対象の架空配電系統100の一端または途中地点と電気的に接続される。探査システム1は、架空配電系統100に対して、パルス状の入力波104を印加(注入)するとともに、その入力波104が事故点102で反射されて生じる反射波106を検出する。探査システム1は、架空配電系統100のある地点において入力波104を印加してから、同一の地点において、入力波104に対応する反射波106が検出されるまでの時間に基づいて、入力波104を印加した位置を基準とした事故点102の位置を特定する。また、探査システム1は、反射波106の時間波形、または、入力波104に対する反射波106の波形変化に基づいて、架空配電系統100に生じた事故の種別を特定する。さらに、架空配電系統100に何らの事故も発生していない状態で入力波104を印加したときに、何らかの反射波が検出されるか否か、および、反射波の時間波形などに基づいて、架空配電系統に固有のノイズを取得し、あるいは、架空配電系統100の劣化状態の診断や需要家機器など外部からのノイズの特定などに利用する。
探査システム1は、主たる構成要素として、パルス発生装置10と、測定装置20と、制御装置50とを含む。パルス発生装置10および測定装置20は、いずれも架空配電系統100と電気的に接続される。パルス発生装置10は、探査に用いるパルス状の入力波を発生する信号発生器を含む。測定装置20は、架空配電系統100上に生じる電気的変化(電圧の時間的変化、電位の時間的変化、電流の時間的変化など)を検出する回路構成を含み、架空配電系統の任意の相についての電位の時間波形、架空配電系統の任意の相についての電流の時間波形、架空配電系統の任意の相間についての電圧の時間波形、のうち少なくとも一つを測定する。
制御装置50は、後述するような各種機能を実現するために、パルス発生装置10および測定装置20に対して必要な指令を与えるとともに、測定結果に対して特有の処理を実行して、その結果を出力する。
<B.探査システムの回路構成>
次に、探査システム1の回路構成について説明する。
図2は、本実施の形態に従う探査システム1の回路構成を示す模式図である。図2を参照して、探査システム1に含まれるパルス発生装置10は、接続配線12、整合回路30、選択回路40を介して、架空配電系統100に含まれる配電線のいずれかと電気的に接続される。
整合回路30は、パルス発生装置10と架空配電系統100との間のインピーダンスを整合させる。より具体的には、整合回路30は、パルス発生装置10から架空配電系統100へ印加されるパルス状の入力波、および、架空配電系統100から戻ってくる反射波が、接続配線12と架空配電系統100との間で意図しない反射などを生じないように、接続部間のインピーダンスを調整する。すなわち、整合回路30は、パルス発生装置10側から見た、接続配線12と架空配電系統100との間のインピーダンスの不整合、および、架空配電系統100側から見た、架空配電系統100と接続配線12との間のインピーダンスの不整合を緩和する機能を果たす。なお、対象の架空配電系統によっては、整合回路30を省略してもよい。
図2に示す整合回路30は、線間に並列挿入される抵抗R1と、各相にそれぞれ直列挿入される抵抗R2,R3とを含む。パルス発生装置10の内部インピーダンスが十分に小さいとし、接続配線12が標準的な同軸線であれば、整合回路30側から見たパルス発生装置10の入力インピーダンスZinは、各相あたり50Ωとなる。架空配電系統100の特性インピーダンスZ0などを考慮して、整合回路30を構成する抵抗R1,R2,R3のそれぞれの値は、以下の関係が成立するように決定される。
1/(1/R1+1/(R2+R3+Z0))=2×Zin
1/(1/2×Zin+1/R1)+R2+R3=Z0
このような整合回路30を採用することによって、パルス発生装置10が発生したパルスは、経路の途中で反射または減衰することなく、架空配電系統100へ印加され、また、架空配電系統100内で生じた反射波も架空配電系統100の端で反射または減衰することなく、探査システム1へ入力する。
選択回路40は、パルス状の入力波を印加する架空配電系統100の任意の相または相間を選択する。具体的には、選択回路40の内部には、整合回路30の系統側にある2つの端子41,42と、架空配電系統100の各相と電気的に接続される3つの端子45,46,47とが設けられており、短絡部材43,44が、端子41,42を端子45,46,47のいずれかとそれぞれ電気的に接続する。短絡部材43,44が接続する対象の端子は、ユーザが任意に選択するようにしてもよいし、予め定められた順序に従って、自動的に接続されるようにしてもよい。
図2に示すように、探査システム1では、パルス発生装置10が選択された架空配電系統100の2つの相間(線間)にパルス状の入力波を印加するとともに、測定装置20が任意の相についての電位、架空配電系統の任意の相についての電流、架空配電系統の任意の相間についての電圧の大きさなどを測定する。探査システム1において、パルス発生装置10からの入力波は、いずれかの相と大地との間(すなわち、対地)ではなく、2つの相の間(2つの架空配電線の間)に印加される差動電圧または差動電流となる。
測定装置20のプローブ22は、測定対象の相と電気的に接続される。測定装置20での測定結果を用いて、以下のような処理が実行される。
本実施の形態に従う探査システム1では、このような電圧型の駆動および電圧型の検出だけではなく、電流型の駆動および/または電流型の検出を採用してもよい。これらのバリエーションについて、先に説明する。
図3は、本実施の形態に従う探査システム1において電流型のプローブを用いた測定構成の一例を示す図である。
図3(a)には、図2に示す構成に従って、パルス発生装置10から架空配電線に対して入力波を印加するとともに、測定対象の架空配電線に電流型のプローブを装着し、その電流型のプローブを介して、測定装置20を用いて、架空配電線に生じる電流の大きさを測定する構成例を示す。図3(a)の整合回路30は、測定対象の架空配電線とのインピーダンス整合を行なうためのものである。
図3(b)には、測定対象の架空配電線に電流型のプローブを装着し、パルス発生装置10からその電流型のプローブを介して、入力波を印加するとともに、図2に示す構成に従って、測定装置20を用いて、架空配電線に生じる電圧(電位)の大きさの時間波形を測定する構成例を示す。図3(b)の整合回路30は、パルス発生装置10と架空配電線とのインピーダンス整合を行なうためのものである。すなわち、図3(a)の整合回路30と、図3(b)の整合回路30とは意味合いが異なる。
さらに、電流型のプローブを用いて入力波を印加するとともに、電流型のプローブを用いて架空配電線に生じる電流の大きさの時間波形を測定するようにしても、十分に実用に耐える測定結果を得ることができる。
以上のように、本実施の形態に従う探査システム1においては、入力波として、電圧(電位)の大きさを時間的に変化させたパルス状の信号を用いてもよいし、電流(電位)の大きさを時間的に変化させたパルス状の信号を用いてもよい。また、測定対象の架空配電線に生じる電圧(電位)の大きさの時間波形を測定するようにしてもよいし、測定対象の架空配電線に生じる電流の大きさの時間波形を測定するようにしてもよい。これらの電圧型および電流型は任意に組み合わせることができる。
説明の便宜上、以下の説明においては、主として、架空配電線に時間的に電圧(電位)の大きさを変化させたパルス状の入力波を印加するとともに、測定対象の架空配電線に生じる電圧(電位)の大きさの時間波形を測定する構成について例示する。
<C.事故点標定機能>
次に、本実施の形態に従う探査システム1により提供される事故点標定機能について説明する。事故点標定機能では、架空配電線に生じた事故の位置(事故点)を特定することができる。
図4は、本実施の形態に従う探査システム1により提供される事故点標定機能を説明するための模式図である。図4(a)を参照して、探査システム1は、何らかの事故が発生している架空配電系統100の一端にプローブ48を装着し、図2に示すような回路を構成した上で、入力波を架空配電系統100へ印加するとともに、印加した入力波および架空配電系統100で生じる反射波の時間波形を測定する。
図4(b)に示すように、探査システム1にて測定される入力波104を印加してから反射波106が検出されるまでの時間差tは、図4(a)に示す、プローブ48を装着した位置から事故点までの距離xに比例することになる。より具体的には、入力波104の伝搬速度をvとし、入力波104と反射波106との間の時間差をt(図4(b)参照)とすると、プローブ48から事故点までの距離xは、以下の数式に従って算出できる。
x=v×t/2
探査システム1の測定装置20は、架空配電系統100上の対象となる相の電圧、電位、電流のいずれかの時間波形を測定しておき、入力波104に対応する時間波形が生じてから、反射波106に対応する時間波形が生じるまでの時間差tを算出し、この算出した時間差tに基づいて、事故点を標定することになる。
このように、探査システム1は、架空配電系統を構成する2つの相の間にパルス発生装置10からの入力波を印加したときに測定装置20によって測定されるいずれかの相または相間の時間波形について、入力波が印加されてから当該入力波に対応する反射波が生じるまでの時間差tに基づいて、事故点までの距離を算出する。
本実施の形態に従う事故点標定機能においては、入力波と反射波との間の時間差を測定できればよいので、時間的に振幅が変化する信号を入力波として印加すればよい。すなわち、要求される事故点の標定のための空間分解能に応じた周波数成分を含むパルス状の入力波を用いればよい。標定のための空間分解能とは、何らかの事故点を特定可能な精度(区間幅)を意味する。この入力波は、所定周波数以上の周波数成分を含む。例えば、数〜数100MHzのパルス波を用いてもよい。但し、ノイズを含み得る測定信号内から入力波と反射波とを分離するためには、時間的に急峻に変化するパルス状の信号が好ましい。
図5は、本実施の形態に従う探査システム1が架空配電系統100に印加するパルス状の信号の一例を示す模式図である。探査システム1のパルス発生装置10は、図5に示すような、振幅2V、パルス幅50ns(振幅50%での値)、パルス立ち上り時間・パルス立ち下り時間1.6ns(いずれも同一)のパルスを発生し、架空配電系統100へ印加する。
パルス幅は、標定のための空間分解能に影響を与えることになる。本実施の形態においては、架空配電系統の事故点を標定するために必要な電柱間距離の分解能を確保できるように、nsオーダ(MHzオーダ)のパルスを用いる。
図6は、本実施の形態に従う探査システム1の事故点標定機能に関して測定された結果の一例を示す図である。図6に示す測定結果例は、実設備を想定した線路長さ約1kmの架空配電系統を用いて測定したものであり、断線事故を想定した回路構成を適用した。図6に示すように、パルス状の入力波104を架空配電系統100に印加したところ、識別可能な振幅を有する反射波106が測定できていることが分かる。入力波104を印加してから反射波106が戻ってくるまでの時間差t(数μs程度)に基づいて、事故点を標定することができる。
図6に示すように、振幅が数ボルト程度の入力波104を印加するだけで、十分に識別可能な反射波106が測定されていることが分かる。
なお、後述するように、事故種別によって反射波が生じる相が変化するので、測定された時間波形に応じて、事故点を特定するために用いる対象の時間波形(測定対象の相)を切り替えてもよい。具体的には、短絡事故の場合には、入力波を印加した相で生じた反射波に基づいて事故点を標定できる。これに対して、地絡事故および断線事故については、入力波を印加した相で生じた反射波、または、入力波を印加した相とは異なる相で生じた反射波に基づいて事故点を標定できる。
<D.事故種別特定機能>
次に、本実施の形態に従う探査システム1により提供される事故種別特定機能について説明する。事故種別特定機能では、架空配電線に生じた事故の種別(短絡・地絡・断線など)を特定することができる。図7は、本実施の形態に従う探査システム1の事故種別特定機能に関して測定された事故種別毎の結果の一例を示す図である。
図7(a)には、A相−B相間で短絡事故が発生した状態において、A相−B相間に入力波104を印加した場合のA相の測定結果例を示す。図7(a)に示す測定結果例においては、正極性の入力波104に対して、その極性とは逆の負極性を有する反射波106Aが生じていることが分かる。
図7(b)には、C相で地絡事故が発生した状態において、B相−C相間に入力波104を印加した場合のB相の測定結果例を示す。図7(b)に示す測定結果例においては、正極性の入力波104に対して、その極性とは逆の負極性を有する反射波106Bが生じていることが分かる。
図7(c)には、A相で断線事故が発生した状態において、A相−C相間に入力波104を印加した場合のA相の測定結果例を示す。図7(c)に示す測定結果例においては、正極性の入力波104に対して、その極性と同極性を有する反射波106Cが生じていることが分かる。
図7(a)〜図7(c)に示すように、入力波104を印加する相もしくは相間、ならびに、反射波106を検出する相もしくは相間を適切に選択することで、架空配電線に生じた事故の位置(事故点)を特定(標定)するだけではなく、事故の種別(短絡・地絡・断線など)を特定することもできる。
<E.固有ノイズ取得機能>
次に、本実施の形態に従う探査システム1により提供される固有ノイズ取得機能について説明する。固有ノイズ取得機能では、探査対象の架空配電系統に存在する機器(開閉器、柱上トランス、引き留め部材など)によって、印加された入力波が反射することがあり、このような反射波はノイズになり得る。
そこで、本実施の形態に従う探査システム1の固有ノイズ取得機能では、このような探査対象の架空配電系統に固有に生じ得るノイズ(固有ノイズ)を予め取得しておき、測定結果からこの予め取得された固有ノイズを差し引いたものに基づいて、上述したような、事故点の標定および事故種別の特定を行なうようにしてもよい。
図8は、本実施の形態に従う探査システム1により提供される固有ノイズ取得機能を説明するための模式図である。図8に示すように、架空配電系統100の任意の位置にプローブ48を装着し、図2に示すような回路を構成した上で、入力波を架空配電系統100へ印加するとともに、印加した入力波および架空配電系統100で生じる反射波を測定する。入力波は、架空配電線を伝搬していき、架空配電線の末端で反射して、反射波として逆方向に伝搬する。架空配電線の両側に末端が用意されている場合には、それぞれの末端で反射した反射波(反射波Aおよび反射波B)がそれぞれ探査システム1で測定できる。また、架空配電系統に配置されている何らかの機器で入力波が反射されて、反射波(反射波C)が発生する場合などもある。
図8に示す各反射波は、何らの事故も生じてない状態(健全な状態)においても生じ得る。探査システム1では、入力波を印加してから、各反射波を検出するまでのそれぞれの時間差に基づいて、プローブ48が装着された位置から各末端までの距離(距離LAおよびLB)ならびにノイズである反射波Cが発生した場所(ノイズ箇所)までの距離(L)を特定することができる。
図9は、本実施の形態に従う探査システム1の固有ノイズ取得機能に関して測定された結果の一例を示す図である。図9を参照して、何らの事故も生じてない状態(健全な状態)においても、測定された時間波形には、いくつかの反射波成分(図9中の矢印部分)が含まれていることが分かる。このような反射波成分については、上述したような測定においてはノイズ成分となるので、このような固有ノイズを予め取得しておき、実際の測定においては、これらの固有ノイズを差し引くことで、事故点標定および事故種別特定をより高い空間分解能で実現する。
このように、探査システム1は、架空配電系統に事故が発生していない場合に、パルス発生装置10からの入力波を印加したときに測定装置20によって測定される時間波形を基準波形として格納する。そして、探査システム1では、測定装置20によって測定される時間波形と基準波形との差分波形を処理対象の波形として取り扱われる。
<F.劣化診断機能>
次に、本実施の形態に従う探査システム1により提供される架空配電線において事故を生じ得る劣化度合いを診断する機能(劣化診断機能)について説明する。上述の事故点標定機能および事故種別特定機能では、何らかの事故が生じた後に実施される処理について説明したが、特に、経年劣化などに起因する事故については、前段階として架空配電系統に存在する機器が劣化し、その結果、事故に進展するという事象も多い。そのため、本実施の形態に従う探査システム1では、架空配電系統に対して入力波を印加するとともに、その反射波などの特性を測定することを定期的に行なうことで、機器の劣化度合いを推定し、事故に至る前に交換や補修を行なうといった予防保全に利用することもできる。
短絡事故の発生によって、時間波形が大きく変化し得る。このような時間波形の変化(差分)の度合いは、劣化状態に依存すると推定できる。例えば、劣化などによりインピーダンスが徐々に変化することになり、このようなインピーダンスの変化は、時間波形の差分を定期的に監視することで捉えることができる。
このような劣化診断機能として、探査システム1は、実質的に同一条件下において、パルス発生装置10からの入力波を異なるタイミングで印加したときにそれぞれ測定される時間波形の間の変化に基づいて、架空配電系統に存在する機器の劣化度合いを評価する。
具体的には、上述の固有ノイズ取得機能において説明したような方法および構成によって、予め対象の架空配電系統に固有の時間波形を取得しておき、これを基準波形に設定する。そして、各測定時期において測定された時間波形とこの基準波形に設定された時間波形との差分を算出し、その算出した差分の時間波形の特徴量に基づいて、劣化の有無および状態を判断することができる。
この判断手法の一つとしては、時間波形の差分に現れる最大振幅が予め定められたしきい値に到達しているか否かに基づいて判断することができる。あるいは、時間波形の差分に現れるピーク(反射波)の数に基づいて判断するようにしてもよい。さらにあるいは、時間波形を周波数変換し、それに含まれる周波数成分基づいて判断するようにしてもよい。
このような劣化の有無および劣化状態を判断する手法としては、公知の方法を採用することができる。さらに、複数回の測定によって劣化が進展している兆候が見られた場合には、公知の予測技術(例えば、外挿や内挿手法など)を用いて、寿命などを推定するようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態に従う探査システム1によれば、事故が発生した後の探査だけではなく、事故に至る前の予防保全的な機能を発揮させることもできる。
<G.外部ノイズ特定機能>
上述の劣化診断機能において説明したのと同様の処理を採用することで、需要家機器などから発生する、外部からのノイズを特定することもできる。例えば、需要家機器として配置されているインバータなどから発生する高調波ノイズの大きさや、架空配電系統に現れる高調波ノイズの発生源などを特定することができる。
以上のように、本実施の形態に従う探査システム1によれば、事故が発生した後の探査だけではなく、需要家機器などの外部からのノイズを特定する機能を発揮させることもできる。
<H.ソフトウェア構成>
次に、探査システム1に実装される上述した各種機能を実現するための構成について説明する。図10は、本実施の形態に従う探査システム1のソフトウェア構成を示す模式図である。
図10に示す構成は、典型的には、探査システム1を構成する制御装置50にソフトウェア的および/またはハードウェア的に実装される。制御装置50は、プログラムを実行するプロセッサ、当該プログラムを格納する記憶装置、プログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶するワークメモリなどを含む。図10に示す各種モジュールは、制御装置50のプロセッサが制御プログラムを実行することで実現される。但し、このようなプログラム実装に限らず、図10に示す各種モジュールの一部または全部をハードワイヤードな回路を用いて実装してもよい。
図10を参照して、制御装置50は、その制御構造として、コントロールモジュール502と、平均化モジュール510と、固有ノイズ除去モジュール512と、固有ノイズ保持部514と、時間波形保持部516と、ピーク位置算出モジュール520と、距離算出モジュール522と、波形特徴抽出モジュール530と、パターン判別モジュール532と、判別パターン保持部534とを含む。
コントロールモジュール502は、探査システム1全体の処理を司るモジュールであり、ユーザなどからの探査指令に応じて、パルス発生装置10にパルスを発生させるためのトリガーを与えるとともに、選択回路40に対して状況に応じた選択指令を与える。また、コントロールモジュール502は、パルス発生装置10および選択回路40に与える指令に対応して、入力波を印加している相および測定している相の情報を時間波形保持部516へ出力する。
平均化モジュール510は、測定装置20によって測定された時間波形の複数の入力を受付けるとともに、同一条件で測定された複数の時間波形について平均化処理を行なう。この平均化処理は、測定される時間波形に含まれる局所的なノイズを低減するためのものである。なお、測定装置20によって測定された時間波形に対して、所定のローパスフィルタを適用して、高調波のノイズ成分を低減するようにしてもよい。
固有ノイズ除去モジュール512は、平均化モジュール510によって平均化処理後の時間波形に対して、探査対象の架空配電系統に固有に生じ得るノイズ(固有ノイズ)を差し引くことで、定常状態からの差分を示す時間波形を生成する。固有ノイズは、上述した固有ノイズ取得機能によって取得され、固有ノイズ保持部514に予め格納されているとする。
時間波形保持部516は、固有ノイズ除去モジュール512から出力される時間波形の各々を、コントロールモジュール502から与えられる入力波印加相および測定相の情報を対応付けて保持する。すなわち、時間波形保持部516には、入力波が与えられる2つの相と、測定対象となる相との組み合わせ毎に、時間波形が格納される。
ピーク位置算出モジュール520は、時間波形保持部516に格納される時間波形に現れるそれぞれのピーク位置を特定し、入射波から反射波までの時間差を距離算出モジュール522へ出力する。距離算出モジュール522は、ピーク位置算出モジュール520からの時間差と、入力波の伝搬速度とに基づいて、事故点までの距離を算出(事故点の位置を標定)する。すなわち、ピーク位置算出モジュール520および距離算出モジュール522が上述の事故点標定機能の主たる処理を実行する。
波形特徴抽出モジュール530は、時間波形保持部516に保持される時間波形の各々について、その波形特徴を抽出する。
パターン判別モジュール532は、波形特徴抽出モジュール530によって、それぞれの時間波形から抽出された波形特徴を判別パターン(図11参照)に適用して、事故種別を特定する。すなわち、抽出されたそれぞれの時間波形の波形特徴に基づいて、最も適合している判別パターンを決定する。判別パターン保持部534は、図11に示す判別パターンを予め保持している。
このように、波形特徴抽出モジュール530、パターン判別モジュール532、判別パターン保持部534は、上述の事故種別特定機能の主たる処理を実行する。
<I.処理手順>
次に、探査システム1で実行される代表的な処理手順について説明する。図11は、本実施の形態に従う探査システム1で実行される代表的な処理手順を示すフローチャートである。図11に示す各ステップは、上述したように、制御装置50がプログラムを実行することで実現されるようにしてもよい。
図11を参照して、制御装置50は、探査指令を受信したか否かを判断する(ステップS2)。探査指令を受信していなければ(ステップS2においてNOの場合)、ステップS2の処理が繰返される。
探査指令を受信していれば(ステップS2においてYESの場合)、制御装置50は、パルス状の入力波を印加する2つの相の組み合わせのうち、対象の相の組み合わせを選択して、選択回路40に指令を与える(ステップS4)。これによって、パルス発生装置10が選択された2つの相と電気的に接続可能な状態になる。
続いて、制御装置50は、測定対象の相を選択して、選択回路40に指令を与える(ステップS6)。これによって、測定装置20が選択された測定対象の相と電気的に接続可能な状態になる。
制御装置50は、パルス発生装置10にトリガーを与えて、探査対象の架空配電系統に対してパルス状の入力波を印加する(ステップS8)とともに、測定装置20をアクティブにして対象の架空配電線に生じる電圧(電位)または電流の時間波形を取得する(ステップS10)。すなわち、パルス発生装置10は、要求される事故点の標定のための空間分解能に応じた周波数成分を含むパルス状の入力波を、架空配電系統を構成する2つの相の間に印加し、測定装置20は、架空配電系統の任意の相についての電位の時間波形、架空配電系統の任意の相についての電流の時間波形、架空配電系統の任意の相間についての電圧の時間波形、のうち少なくとも一つを測定する。
制御装置50は、ステップS8およびS10を複数回繰返すことで取得される複数の時間波形に対して平均化処理を行ない(ステップS12)、その平均化処理後の時間波形から予め取得されていた固有ノイズを示す時間波形を差し引いた上で(ステップS14)、測定された時間波形として格納する(ステップS16)。
制御装置50は、測定対象の相のうち、選択されていない相が残っているか否かを判断する(ステップS18)。選択されていない相が残っていれば(ステップS18においてYESの場合)、制御装置50は、選択されていない相のうちいずれかを測定対象の相として選択して、選択回路40に指令を与える(ステップS20)。これによって、測定装置20が選択された別の測定対象の相と電気的に接続可能な状態になる。そして、ステップS8以下の処理が実行される。
これに対して、選択されていない相が残っていなければ(ステップS18においてNOの場合)、制御装置50は、パルス状の入力波を印加する2つの相の組み合わせのうち、選択されていない相の組み合わせが残っているか否かを判断する(ステップS22)。選択されていない相の組み合わせが残っていれば(ステップS22においてYESの場合)、制御装置50は、選択されていない相の組み合わせのうちいずれかを対象の相の組み合わせとして選択して、選択回路40に指令を与える(ステップS24)。これによって、パルス発生装置10が選択された2つの相と電気的に接続可能な状態になる。そして、ステップS6以下の処理が実行される。
選択されていない相の組み合わせが残っていなければ(ステップS22においてNOの場合)、制御装置50は、ステップS16において格納された測定された時間波形の各々について、ピークが存在するか否かを判断する(ステップS26)。ピークが存在していれば(ステップS26においてYESの場合)、制御装置50は、入射波から反射波までの時間差を算出し、この算出した時間差に基づいて事故点までの距離を算出する(ステップS28)。すなわち、制御装置50は、測定された時間波形について、入力波が印加されてから当該入力波に対応する反射波が生じるまでの時間差に基づいて、事故点までの距離を算出する。
続いて、制御装置50は、ステップS16において格納された測定された時間波形の各々について、波形特徴を抽出する(ステップS30)。そして、制御装置50は、抽出した波形特徴と予め取得している判別パターンとを対応させて、事故種別を決定する(ステップS32)。そして、処理は終了する。
一方、ピークが存在していなければ(ステップS26においてNOの場合)、処理は終了する。
図12は、本実施の形態に従う探査システム1の事故種別特定機能に関して測定された結果の一例を示す図である。図11に示すような処理手順に従って、図12に示すような判別パターンに基づいて事故種別を判断できる。
上述したような測定結果例によれば、本実施の形態に従う探査システム1の事故種別特定機能を適用することで、実用的な識別能力を得られることが分かる。
<J.実装形態>
次に、本実施に従う探査システム1の実装形態のいくつかについて説明する。図13は、本実施の形態に従う探査システム1の実装形態の例を示す模式図である。
(i1:可搬式システム)
図13(a)に示すように、本実施に従う探査システム1を可搬式に構成することができる。典型的には、少なくとも、パルス発生装置10および測定装置20を一体的に構成するとともに、必要に応じて制御装置50を当該構成に組み入れる。このように、パルス発生装置10、測定装置20および制御装置50を一体的に構成することで、架空配電系統に何らの事故が発生した場合に、対象の架空配電系統に装着することで、事故点の標定および事故種別の特定を迅速に行なうことができる。
図13(b)に示すように、パルス発生装置10および測定装置20に通信装置60を組み合わせるとともに、遠隔地(例えば、変電所、開閉所、開閉器(自動区分開閉器))に配置された制御装置50と通信(光ファイバなどを用いた有線通信、または、公衆通信回線などを用いた無線通信)するように構成するようにしてもよい。このような構成を採用することで、何らかの事故が発生した架空配電系統にパルス発生装置10および測定装置20を装着するとともに、複数の事故点の標定および事故種別の特定を集中して遠隔地で行なうことができる。
(i2:定常監視型システム)
図13(c)に示すように、変電所や開閉所などの複数の架空配電系統が集線している部分に、パルス発生装置10、測定装置20および制御装置50を配置するとともに、回線選択装置70を用いて、探査対象の架空配電線を適宜切り替えるようにしてもよい。図13(c)に示すような構成を採用することで、事故発生時だけではなく、健全な状態においても、架空配電系統を探査することができる。
図13(c)に示す定常監視型システムを採用することで、複数の架空配電系統のうち、いずれかの架空配電系統において何らの事故が発生した場合に、事故が発生した架空配電系統における事故点の標定および事故種別の特定を中央監視所などで一括して行なうことができる。また、架空配電線において事故を生じ得る劣化度合いを診断する機能(劣化診断機能)の運用をより容易に行なうことができる。
<K.利点>
本実施の形態に従う探査システム1では、パルス状の入力波を架空配電系統へ印加するとともに、その入力波の印加から架空配電系統内で反射波が生じるまでの時間差に基づいて、事故点を標定できる。直流パルスを架空配電線へ印加し、検査用検出器で電流検出できるか否かで事故点を切り分ける従来法に比較して、より簡単かつ迅速に、事故点を標定できる。
また、本実施の形態に従う探査システム1では、パルス状の入力波を架空配電系統へ印加するとともに、その入力波の印加によって各相で生じる反射波の波形特徴の組み合わせに基づいて、事故種別を特定できる。地絡事故または短絡事故については変電所において動作したリレーの特定により、また、断線故障についてはセンサ付開閉器を用いることで特定する従来法に比較して、より簡単かつ迅速であって、検出用の設備などを追加することなく、事故種別を特定できる。
また、本実施に形態に従う探査システム1では、パルス状の入力波を健全な架空配電系統へ印加したときに測定される時間波形に含まれる固有なノイズを予め取得しておき、この取得した固有なノイズからの変化分(差分波形)に基づいて、事故点の標定および/または事故種別の特定を行なうことができる。このような固有ノイズを予め取得しておくことで、架空配電系統に固有のノイズ成分と、何らかの事故によって生じた成分とを分離でき、これによって、事故点の標定および/または事故種別の特定の標定のための空間分解能を高めることができる。また、予め取得した固有ノイズからの変化分(差分波形)に基づいて、劣化度合いを診断することもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 架空配電系統探査システム(探査システム)、10 パルス発生装置、12 接続配線、20 測定装置、22,48 プローブ、30 整合回路、40 選択回路、41,42,45,46,47 端子、43,44 短絡部材、50 制御装置、60 通信装置、70 回線選択装置、100 架空配電系統、102 事故点、104 入力波、106,106A,106B,106C,A,B,C 反射波、110 静電容量、502 コントロールモジュール、510 平均化モジュール、512 固有ノイズ除去モジュール、514 固有ノイズ保持部、516 時間波形保持部、520 ピーク位置算出モジュール、522 距離算出モジュール、530 波形特徴抽出モジュール、532 パターン判別モジュール、534 判別パターン保持部、R1,R2,R3 抵抗。

Claims (7)

  1. 要求される事故点の標定のための空間分解能に応じた周波数成分を含むパルス状の入力波を発生するパルス発生装置と、
    架空配電系統の任意の相についての電位の時間波形、架空配電系統の任意の相についての電流の時間波形、架空配電系統の任意の相間についての電圧の時間波形、のうち少なくとも一つを測定する測定装置と、
    前記架空配電系統を構成する2つの相の間に前記パルス発生装置からの前記入力波を印加したときに前記測定装置によって測定されるいずれかの相または相間の時間波形について、前記入力波が印加されてから当該入力波に対応する反射波が生じるまでの時間差に基づいて、事故点までの距離を算出する制御手段とを備える、架空配電系統探査システム。
  2. 前記パルス発生装置と前記架空配電系統との間のインピーダンスを整合させるための整合回路をさらに備える、請求項1に記載の架空配電系統探査システム。
  3. 前記制御手段は、前記パルス発生装置からの前記入力波を印加した2つの相と、当該入力波を印加された相、および、それ以外の相の各々の時間波形に含まれる波形特徴との組み合わせに基づいて、前記架空配電系統に生じている事故種別を特定する、請求項1または2に記載の架空配電系統探査システム。
  4. 前記制御手段は、
    前記架空配電系統に事故が発生していない場合に、前記パルス発生装置からの前記入力波を印加したときに前記測定装置によって測定される時間波形を基準波形として格納する手段と、
    前記測定装置によって測定される時間波形と前記基準波形との差分波形を処理対象の波形として取り扱う手段とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の架空配電系統探査システム。
  5. 前記制御手段は、実質的に同一条件下において、前記パルス発生装置からの前記入力波を異なるタイミングで印加したときにそれぞれ測定される時間波形の間の変化に基づいて、前記架空配電系統に存在する機器の劣化度合いを評価する手段を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の架空配電系統探査システム。
  6. 前記制御手段は、需要家機器を含む外部からのノイズを特定する手段を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の架空配電系統探査システム。
  7. 要求される事故点の標定のための空間分解能に応じた周波数成分を含むパルス状の入力波を、架空配電系統を構成する2つの相の間に印加するステップと、
    架空配電系統の任意の相についての電位の時間波形、架空配電系統の任意の相についての電流の時間波形、架空配電系統の任意の相間についての電圧の時間波形、のうち少なくとも一つを測定するステップと、
    測定された時間波形について、前記入力波が印加されてから当該入力波に対応する反射波が生じるまでの時間差に基づいて、事故点までの距離を算出するステップとを備える、架空配電系統探査方法。
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