JP6458999B2 - ボトム衣類 - Google Patents

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Description

本発明は、ボトム衣類に関する。
従来から、ヒップアップ用のインナーボトム衣類として、ガードル、補整パンツ等が使用されている。これらのボトム衣類は、一般的に、本体に緊締力のある素材を使用し、臀部の下部に対応する領域に、前記本体よりも緊締力が強い機能を付与することで、着用者のヒップアップを実現している(例えば、特許文献1)。
特開平10−110304号公報
しかし、これらのボトム衣類では、緊締力の強い素材を本体に使用するため、つけ心地が楽ではなく、かつ、外観が悪く、お洒落さに欠けるという問題がある。また、これらのボトム衣類は、臀部全体を一枚の布で覆っていることから、運動時に裾がずれ上がりやすい。また、裾まわりに緊締力を持たせていることから、鼠蹊溝が不快という問題もある。
このように、従来のボトム衣類では、楽なつけ心地及び優れた外観と、ヒップアップ効果との両立が不可能であった。
そこで、本発明は、つけ心地が楽で、外観に優れ、かつ、ヒップアップ効果を有するボトム衣類を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のボトム衣類は、
ボトム衣類であって、
本体と、一対のヒップ支持部材と、一対の芯地とを含み、
前記一対のヒップ支持部材のうち、
一方は、着用時において、左臀溝に沿うように前記本体の肌側に配置され、かつ、その後中心側の一端が前記本体の股部付近と固定され、その他端が脇付近で前記本体と固定されており、
他方は、着用時において、右臀溝に沿うように前記本体の肌側に配置され、かつ、その後中心側の一端が前記本体の股部付近と固定され、その他端が脇付近で、前記本体と固定されており、
前記一対のヒップ支持部材は、それぞれ、その下辺で折り返されている折り返し形状であり、
前記一対の芯地のうち、
一方は、前記一方のヒップ支持部材の肌側と本体側との間に配置され、かつ、前記本体側に固定されているが、前記肌側から遊離されており、
他方は、前記他方のヒップ支持部材の肌側と本体側との間に配置され、かつ、前記本体側に固定されているが、前記肌側から遊離されており、
前記一対の芯地が、互いに分離されていることを特徴とする。
本発明によれば、つけ心地が楽で、外観に優れ、かつ、ヒップアップ効果を有するボトム衣類を提供可能である。
図1は、本発明のボトム衣類の第1の実施形態に係るショーツ1000を示す。図1(a)は、着用時におけるショーツ1000の正面斜視図を示し、図1(b)は、着用時におけるショーツ1000の背面斜視図を示す。図1(c)は、着用時におけるショーツ1000の一対のヒップ支持部材200A及び200B、一対の芯地300A及び300B、並びにベルト部材400の背面図を示す。図1(c)は、説明の便宜上、着用者を省略した図である。 図2は、図1に示すショーツ1000における一対のヒップ支持部材200A及び200B、一対の芯地300A及び300B、並びに本体100における股部500を示す図である。図2(a)は、図1のショーツ1000を平置きにした状態における、一対のヒップ支持部材200A及び200B、一対の芯地300A及び300B、並びに本体100における股部500を示す部分的な概略図であり、図2(b)は、図2(a)のI−I方向断面図である。 図3は、本発明のボトム衣類の第1の実施形態に係るショーツの別の一例であるショーツ1100を裏返し、前見頃側から見た概略図である。 図4は、本発明のボトム衣類の第1の実施形態に係るショーツの別の一例を示す。図4(a)は、着用時におけるショーツ2000の正面斜視図を示し、図4(b)は、着用時におけるショーツ2000の背面斜視図を示す。 図5は、本発明のボトム衣類の第1の実施形態に係るショーツの別の一例を示す。図5(a)は、着用時におけるショーツ3000の正面斜視図を示し、図5(b)は、着用時におけるショーツ3000の背面斜視図を示す。 図6は、着用評価における運動後のヒップの状態を示す模式図である。 図7は、伸長回復性試験に用いる伸び率と荷重との関係を示す曲線を示す図である。
以下、本発明のボトム衣類について、図1〜図5を用いて、例をあげて説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定及び制限されない。なお、図1〜図5において、同一部分には同一の符号を付している。
以下、「前」「後」とは、着用時において、前身頃側を前、後身頃側を後とした場合の前後方向をいい、「上」「下」とは、着用時における上下方向をいい、「左」「右」とは、着用時における左右方向をいう。
(第1の実施形態)
図1に、本発明のボトム衣類の第1の実施形態に係るショーツ1000を示す。図1(a)は、着用時におけるショーツ1000の正面斜視図を示し、図1(b)は、着用時におけるショーツ1000の背面斜視図を示す。図1(a)及び(b)において、点線で囲まれる領域は、対応する部材200及び300が、着用時における本体100の肌側に設けられていることを示す。図1(c)は、着用時のショーツ1000における、一対のヒップ支持部材200A及び200B、一対の芯地300A及び300B、並びにベルト部材400の背面を示す部分的な概略図を示す。図1(c)は、説明の便宜上、着用者を省略した図である。
図2(a)は、図1のショーツ1000を平置きにした状態における、一対のヒップ支持部材200A及び200B、並びに一対の芯地300A及び300Bと、本体100における股部500とを示す部分的な概略図であり、図2(b)は、図2(a)のI−I方向断面図である。ヒップ支持部材200A及び200Bは、伸縮性部材であり、図2(a)および(b)に示すように、それぞれ、一重の伸縮性部材を折り返して二重にした折り返し形状であり、その内部、すなわち、肌側と本体側との間に、一対の芯地300A及び300Bが配置されている。
図1に示すように、本実施形態のショーツ1000は、ショートタイプのショーツである。ショーツ1000は、本体100と、一対のヒップアップ支持部材200A及び200Bと、一対の芯地300A及び300Bと、ベルト部材400とを含む。以下、一対のヒップアップ支持部材200A及び200Bをまとめて一対のヒップアップ支持部材200ということがあり、一対の芯地300A及び300Bをまとめて一対の芯地300ということがある。
本体100は、図1に示すように、例えば、前身頃領域101と、前身頃領域101に対向する後身頃領域102とを含む。本発明において、本体100は、この形態には限定されない。本体100において、着用者の股付近に対応する領域を、股部といい(股領域ともいう)、前記股部は、例えば、マチ領域、またはクロッチ領域ともいう。本体100は、例えば、前身頃領域101と後身頃領域102とで構成され、前身頃領域101及び後身頃領域102における一部が前記股部となってもよい。また、本体100は、例えば、前身頃領域と後身頃領域と股部とで構成されてもよい。この場合、前記股部は、例えば、前記前身頃領域と前記後身頃領域との間であって、着用者の股付近に対応する領域に配置され、前記両者に連結されてもよい。本体100は、例えば、前記股部に、さらに股布が配置されてもよい。前記股布は、例えば、前身頃領域101及び後身頃領域102と同じ部材でもよいし、異なる部材でもよい。
本発明において、「連結」とは、特に制限されず、例えば、縫合による連結、接着による固定、両部材を一体として編み上げる方法等があげられ、特に制限されないが、十分な固定強度の点から、縫合による連結が好ましい(以下、同様)。
一方のヒップ支持部材200Aは、図1(b)に示すように、着用時において、左臀溝に沿うように本体100の肌側に配置される。そして、図2において、ヒップ支持部材200Aは、その後中心側の一端(P付近)が本体100の股部500付近に固定され、その他端(Q付近)が脇付近で本体100に固定されている。具体例として、図2において、ヒップ支持部材200Aは、例えば、後中心側の一端であるPとP’の間およびPとP’’の間において、本体100の股部500付近に固定され、他端であるQとQ’の間およびQとQ’’の間において、本体100の脇付近で本体に固定されている。
他方のヒップ支持部材200Bは、図1(b)に示すように、着用時において、右臀溝に沿うように本体100の肌側に配置される。そして、ヒップ支持部材200Bは、その後中心側の一端(R付近)が本体100の股部付近に固定され、その他端(S付近)が脇付近で本体100に固定されている。具体例として、図2において、ヒップ支持部材200Bは、例えば、後中心側の一端であるRとR’の間およびRとR’’の間において、本体100の股部500付近に固定され、他端であるSとS’の間およびSとS’’の間において、本体100の脇付近で本体100に固定されている。
図1(a)に示すショーツ1000では、一対のヒップ支持部材200のそれぞれの他端(Q付近及びS付近)は、前身頃領域101寄りに位置しているが、脇付近であれば、これに限定されず、例えば、脇線上に位置してもよいし、後身頃領域102寄りに位置していてもよい。
図1及び図2に示すショーツ1000では、一方のヒップ支持部材200Aの一端における点P及び点P’と他方のヒップ支持部材200Bの一端における点R及びR’とが一致しているが、本実施形態では、これに限定されず、一致していなくてもよい。
本発明において、「固定」とは、特に制限されず、例えば、縫合による固定、接着による固定等があげられ、特に制限されないが、十分な固定強度の点から、縫合による固定が好ましい(以下、同様)。
一対のヒップ支持部材200A及び200Bは、図2(a)および(b)に示すように、それぞれ、一重の部材を、その下辺Lで折り返して二重にした折り返し形状である。ヒップ支持部材200A及び200Bは、二重構造であるともいえる。折り返し部分である下辺Lは、「わさ」ともいう。このため、一対のヒップ支持部材200A及び200Bは、それぞれ、例えば、着用時において前記わさが下側に位置するように形成される。
一対の芯地300A及び300Bは、図2(a)および(b)に示すように、それぞれ、折り返し形状であるヒップ支持部材200A及び200Bにおいて、その肌側と本体100側との間に配置される。一対の芯地300A及び300Bは、それぞれ、本体100側に固定されているが、前記肌側からは遊離されており、一対の芯地300A及び300Bは、互いに分離されている。
ベルト部材400は、伸縮性部材であり、例えば、図1に示すように、その下辺Vにおいて、本体100の上端領域に固定されている。なお、本発明において、ベルト部材400は、任意の構成要素である。
本発明は、前述のように、芯地300を有するヒップ支持部材200を備える。この構成により、本発明のボトム衣類は、まず、ヒップ支持部材200によって、着用者の臀部を持ち上げるヒップアップの補整効果を奏する。そして、本発明では、さらに、ヒップ支持部材200は、それぞれ、後中心側の一端とその他端とにおいて、本体100に固定され、また、その形状は、それぞれ、わさが下側に位置する折り返し形状であって、その内部に、芯地300が挟まれ、芯地300は、それぞれ肌とは反対の本体側に固定されている。この構成により、本発明のボトム衣類は、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、本発明のボトム衣類は、ヒップ支持部材200の肌側が、ヒップの動きに追随して、位置がずれてしまう場合がある。しかしながら、ヒップ支持部材200は折り返し形状となっており、その肌側と本体側とは別々に動くため、前記本体側に固定されている芯地300の位置は、臀溝付近からはずれ難い。つまり、ヒップに動きが生じて、ヒップ支持部材200の肌側にずれが生じても、芯地300は、サポートしたい適切な位置への配置が維持できる。そして、本体100も、ヒップ支持部材200の前記肌側の動きに追随しない。このため、本発明のボトム衣類は、例えば、フィット感に優れ、裾もずり上がり難く、着用者が動いた後でも、造形性を保つことができる。
また、本発明のボトム衣類は、本体100にヒップ支持部材200の一部が固定されているが、ヒップ支持部材200内部の芯地300は、本体100ではなく、ヒップ支持部材200の本体側に固定化されている。このため、例えば、ヒップアップに寄与する芯地300に、本体100よりも相対的に緊締力が強い素材を使用しても、芯地300が本体100に固定されていないため、本体100に負荷がかかり、破損してしまうことも回避できる。
また、本発明は、ヒップアップ機能を奏するヒップ支持部材200を折り返し形状とし、ヒップ支持部材200の内部に芯地300の挟み込む形態である。このため、例えば、ヒップ支持部材200に張りを出すことができ、それに伴って、芯地300を所望の大きさに広げる設計が可能である。芯地300の大きさとは、例えば、着用時において、臀溝に略沿う方向の長さ、及び、前記臀溝方向に対する略直交方向の長さ等である。以下、本発明のボトム衣類およびその各構成部材について、着用時において臀溝に略沿う方向を、「臀溝方向」といい、前記臀溝方向に対する略直交方向を、直交方向という。
また、本発明は、前述のように、芯地300が、互いに分離されている。この構成により、本発明のボトム衣類は、例えば、片方の臀部の動きが、前記臀部に対応する側の芯地を介して、他方の芯地に伝わらない。このため、本発明のボトム衣類は、例えば、一方の臀部の動きによって、他方の臀部側の裾がずり上がり難い。身体の中でも臀部は、左右が対称であるものの、その動きは、それぞれ分離しているため、本発明のように、一方の臀部の動きが反対の臀部に対応する箇所に及ぼす影響を低減できることは有利な効果といえる。
また、本発明は、前述のように、ヒップアップ機能を奏するヒップ支持部材200が、本体100の肌側に配置されており、且つ、ヒップ支持部材200の本体100への固定位置が、全周囲ではなく前記両端である。この構成により、例えば、ヒップ支持部材200が外観からはわかり難く、着け心地や見た目が軽く、本体100によって、可愛く、おしゃれな外観に自由にデザインできる。また、本発明は、このような構造から、例えば、ショーツに限定されず、ペチコートやタップパンツ等のランジェリー、水着等の様々なボトム衣類のアイテム展開や、デザイン展開も可能となる。また、本発明は、本体100に、芯地300を有するヒップ支持部材200が設けられているため、例えば、ボトム衣類とは別個に補整用アイテムを着用することなく、本発明のボトム衣類の一枚履きで、ヒップアップ機能を得ることができる。
また、本発明は、これらの構造とすることによって、例えば、従来のボトム衣類(例えば、特許文献1)のように、緊締力の強い素材を本体100に使用する必要がないため、全体を締め付けず、軽い着用感で、つけ心地が良く、一日中楽に着用できる。また、本発明は、そのような緊締力の強い素材を使用することによってお洒落さを損なうこともない。
本実施形態のショーツは、例えば、図1に示すように、ヒップ支持部材200A及び200Bが、それぞれ、他端Q付近及びS付近において、ベルト部材400に固定されていることが好ましい。
図1(c)に示すように、ヒップ支持部材200及びベルト部材400が、ベルト部材400に固定化されることによって、略逆三角形(略デルタ形状ともいう)のフレームが形成されている。なお、図1(c)において、点線は、未着用時におけるヒップ支持部材200とベルト部材400の状態を示し、実線は、着用時におけるヒップ支持部材200とベルト部材400状態を示す。ショーツ1000は、着用することによって、ベルト部材400が、未着用時の位置から、矢印Yの方向(横方向)に引き伸ばされる。そして、ベルト部材400に固定されたヒップ支持部材200の下点Nが、矢印Zの方向(上方向)に引き伸ばされ、矢印Wの方向にヒップを押し上げる作用が働く。このようにベルト部材400を備えることで、ベルト部材400がウエスト付近を穏やかに押さえながら、ヒップ支持部材200をより効果的に吊り上げ、ヒップアップ効果をより安定に保つことができる。
一対の芯地300は、一対のヒップ支持部材200の本体側に固定されていればよく、前記本体側における固定位置は、特に制限されない。図2に示すように、芯地300A及び300Bは、それぞれ、例えば、臀溝方向における向かい合う一対の辺、すなわち、その上辺Gの一部及び下辺Hの一部において、ヒップ支持部材200A及び200Bの本体100側に固定されている。このように、芯地300の全周囲とは異なり、その一対の辺である上辺Gの一部及びその下辺Hの一部で固定することによって、芯地300の動きによるヒップ支持部材200のよれの発生を防止できる。
図2に示すように、芯地300の上辺G及び下辺Hは、それぞれ、例えば、左臀溝及び右臀溝に略平行であることが、ヒップアップの補整効果の観点から好ましい。
図2に示すように、芯地300A及び300Bと股部500との間であり且つ左右の芯地300Aと300Bとの間には、伸縮性領域Eが設けられていることが好ましい。伸縮性領域Eは、例えば、伸縮性部材であるヒップ支持部材200A(又は200B)において、本体100の股部500から一定距離を有し且つ他方のヒップ支持部材200B(又は200A)から一定距離を有する部位に、芯地300A(又は300B)を配置することにより、確保できる。このように、伸縮性領域Eを有することによって、例えば、着用時における一方の臀部の動きに対し、他方の臀部に対応する芯地に与える影響を、より効果的に抑えることができ、芯地300A及び300Bが、それぞれ独立して、別々の動きをすることができる。
本体100の素材は、特に制限されず、例えば、編物、織物等の生地が挙げられる。前記編物は、例えば、経編でも緯編でもよい。具体例としては、例えば、天竺、トリコット、パワーネット、ツーウェイラッセル、ダブルラッセル等の素材が挙げられる。本体100の前身頃領域101及び後身頃領域102は、例えば、同一素材から構成された一体化物でもよいし、異なる素材が連結されたものでもよい。
本体100において股部500の素材は、例えば、前身頃領域101及び後身頃領域102と同一素材でもよいし、異なる素材でもよい。
ヒップ支持部材200の素材は、特に制限されず、緊締力を有する素材であればよく、本体100よりも強い緊締力の素材であることが好ましく、具体的には、本体100よりも大きい緊締力の素材であることが好ましい。前記素材としては、例えば、パワーネット、サテンパワーネット、ツーウェイトリコット等の伸縮素材等が挙げられる。
「緊締力」は、例えば、素材が対象物を締め付ける力を表す物性である。前記緊締力は、例えば、素材の伸長力(A)と緊迫力(B)との平均値((A+B)/2)から算出することができる。前記伸長力および緊迫力は、例えば、後述する伸長回復性試験により求めることができる。以下、例示する緊締力は、前記伸長回復性試験における30%伸長時の伸長力の平均値(cN)および緊迫力の平均値(cN)として示す。
ヒップ支持部材200の緊締力は、特に制限されないが、例えば、本体100の緊締力よりも相対的に大きい(強い)ことが好ましい。ヒップ支持部材200の緊締力と本体100の緊締力との関係は、例えば、着用時における同方向の緊締力の関係であることが好ましく、具体的には、着用時における前記臀溝方向の緊締力の関係であることが好ましい。
ヒップ支持部材200の緊締力は、特に制限されず、例えば、100〜160cNである。ヒップ支持部材200は、例えば、着用時における前記臀溝方向の緊締力が前記範囲であることが好ましい。本体100の素材が緊締力を有する素材である場合、本体100の緊締力は、特に制限されず、例えば、30〜100cNであり、ヒップ支持部材200の緊締力は、例えば、本体100の緊締力の1.2〜5倍であることが好ましい。
ヒップ支持部材200は、前述のように、その下辺Lは、折り返されているが、その上辺は、スムージング仕様であることが好ましい。ヒップ支持部材200は、例えば、その上辺がスムージング仕様であることによって、臀部における段差の発生を防止できる。
ヒップ支持部材200の大きさは、特に制限されず、例えば、本発明のボトム衣類を裏返して平置きした場合、着用時の前記臀溝方向の長さが、例えば、24〜30cmであり、着用時の前記直交方向の長さが、例えば、6〜15cmである。ここで、ヒップ支持部材200について、前記臀溝方向とは、例えば、図2(a)で示すL1方向であり、長手方向ともいい、前記直交方向とは、例えば、図2(a)で示すL2方向であり、短手方向ともいう。
芯地300の素材は、特に制限されず、例えば、安定してヒップアップ補整効果を奏するとの観点から、ハリ及びコシがある素材が好ましく、具体的には、例えば、非伸縮素材又は難伸縮性素材であることが好ましい。前記非伸縮性素材又は難伸縮性素材としては、例えば、ワンウェイサテンパワーネット等のパワーネット等が挙げられる。
芯地300の緊締力は、特に制限されないが、それぞれ、着用時における前記臀溝方向における緊締力が、着用時における前記直交方向における緊締力よりも相対的に大きいことが好ましい。芯地300の素材は、特に制限されず、例えば、このような物性を有する素材を、適宜選択し、前記臀溝方向と前記直交方向の関係に従って配置すればよい。ここで、芯地300について、前記臀溝方向とは、例えば、図2(a)で示すL1方向であり、前記直交方向とは、例えば、図2(a)で示すL2方向である。
芯地300は、着用時において、前記臀溝方向(L1方向)及び前記直交方向(L2方向)の一方又は両方が、例えば、実質的に伸びないものでもよいし、前記臀溝方向(L1方向)及び前記直交方向(L2方向)が、緊締力を有するものでもよい。前者の場合、「実質的に伸びない」とは、例えば、緊締力が0cNということができる。前記臀溝方向(L1方向)及び前記直交方向(L2方向)の一方が実質的に伸びない場合、他方の緊締力は、特に制限されず、例えば、120〜170cNである。また、後者の場合、着用時において、前記臀溝方向(L1方向)の緊締力及び前記直交方向(L2方向)の緊締力は、それぞれ、例えば、120〜170cNであり、「前記L1方向の緊締力>前記L2方向の緊締力」の関係を満たしていることが好ましい。芯地300は、前記臀溝方向の緊締力が相対的に大きい程、例えば、十分にヒップをサポートでき、前記臀溝方向の緊締力が相対的に小さい程、例えば、十分にヒップにフィットし、芯地がある領域と無い領域との間における着用者の肉による段差の発生を十分に回避できる。前記臀溝方向(L1方向)の緊締力と前記直交方向(L2方向)の緊締力との差は、その下限が、例えば、120cN以上であり、その上限が、例えば、170cN以下である。
芯地300の緊締力は、例えば、本体100の緊締力及びヒップ支持部材200の緊締力よりも相対的に大きい(強い)ことが好ましい。芯地300の緊締力は、例えば、本体100の緊締力の1.2〜5.7倍であることが好ましく、また、ヒップ支持部材200の緊締力の1.2〜1.7倍であることが好ましい。芯地300の緊締力と、本体100の緊締力及びヒップ支持部材200の緊締力との関係は、例えば、着用時における同方向の緊締力の関係であることが好ましく、具体的には、着用時における前記臀溝方向の緊締力の関係であることが好ましい。
芯地300の大きさは、特に制限されず、例えば、本発明のボトム衣類を裏返して平置きした場合、着用時の前記臀溝方向の長さが、例えば、10〜16cmであり、着用時の前記直交方向の長さが、例えば、5〜14cmである。
以下に、素材の緊締力の測定法を説明する。なお、本発明は、この測定法により限定されるものではない。
緊締力は、前述のように、伸長回復性試験における30%伸長時の伸長力(A)と緊迫力(B)との平均値((A+B)/2)(単位:cN)として示すことができる。前記伸長回復試験は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、測定対象の素材から、160mm×25mmの試験片を採取する。本発明のボトム衣類(ショーツ100)における前記臀溝方向(L1方向)の緊締力を評価する場合は、前記臀溝方向(L1方向)の長さを160mmとし、前記直交方向(L2方向)の長さを25mmとした長手方向試験片とし、本発明のボトム衣類(ショーツ100)における前記直交方向(L2方向)の緊締力を評価する場合は、前記直交方向(L2方向)の長さを160mmとし、前記臀溝方向(L1方向)の長さを25mmとした短手方向試験片とする。
そして、前記試験片について、160mmの長さ方向を上下方向に向けて、その両端をクリップで挟み、定速伸長型引張試験機(島津製作所製、商品名オートグラフ AG−500D)に取り付ける。前記クリップによる上部のつかみ長さは25mm、下部のつかみ長さは35mmとし、その間の距離(つかみ間隔)を100mmとする。そして、前記定速伸長型引張試験機により、前記試験片を、300mm±20mm/分の速度で伸び率80%になるまで上下方向に伸長させ、その後、回復させる。この際、伸び率0〜30%の範囲における、各伸び率(%)に対する荷重(cN)を測定する。前記伸び率は、下記式で表される。この伸長回復の操作を3回繰り返し、伸び率(%)と、これに対応する測定した荷重(cN)とに基づき、図7に示す伸び率と荷重との関係を示す曲線を作成する。荷重は、伸長時の荷重が「伸長力」を示し、回復時の荷重が「緊迫力」を示す。この曲線から、30%伸長時における、伸長回復の1回目と3回目の伸長力(cN)および緊迫力(cN)をそれぞれ測定し、伸長力および緊迫力について、それぞれ2回の測定の平均値を整数位で表す。前記整数位の結果を、30%伸長時の伸長力(cN)と30%伸長時の緊迫力(cN)とする。
伸び率(%) = [(b−a)/a]×100(%)
a:伸長前の試験片の長さ(伸長前のつかみ間隔の試験片の長さ)
b:伸長後の試験片の長さ(伸長後のつかみ間隔の試験片の長さ)
ベルト部材400は、例えば、ヒップ支持部材と同様に、一重の部材を、折り返して二重にした折り返し形状であり、その上辺Uで折り返されていることが好ましい。折り返し部分である上辺Uは、「わさ」ともいう。このため、ベルト部材400は、例えば、着用時において前記わさが上側に位置するように形成される。
ベルト部材400の素材は、特に制限されず、例えば、ヒップ支持部材と同様の素材が使用できる。
本実施形態において、本体100は、前述の構成には構成されず、例えば、さらに、股布520と前当布510とを備えてもよい。図3に、本体100が股布520と前当布510とを有するショーツ1100を示す。図3は、ショーツ1100を裏返し、前見頃側から見た概略図である。図3において、図1及び図2と同じ部位には、同一符号を付している。図3に示すように、本体100は、股部500に股布520が配置され、前当布510は、股布520の前見頃側の上端とベルト部材400の下辺Vの前見頃側とを連結している。この形態によれば、例えば、股布520を介して、前当布510とヒップ支持部材200とが互いに引っ張り合う状態になるため、ヒップ支持部材200の位置が安定し、より高いヒップアップ効果が得られる。
以上、本実施形態のボトム衣類として、ショーツを例として説明したが、本実施形態のボトム衣類はこれに限定されず、例えば、ランジェリータイプのボトム衣類等に適用できる。
具体的なランジェリータイプのボトム衣類の一例としては、例えば、図4に示すショーツ2000のように、タップパンツのタイプのものが挙げられる。図4(a)は、着用時におけるショーツ2000の正面図を示し、図4(b)は、着用時におけるショーツ2000の背面図を示す。図4に示すショーツ2000は、本体600を構成する前身頃領域601及び後身頃領域602がタップパンツのタイプで構成されていること以外は、図1に示すショーツ1000または図3に示すショーツ1100と同様である。
具体的なランジェリータイプのボトム衣類の別の一例としては、例えば、図5に示すショーツ3000のように、ペチコートのタイプのものが挙げられる。図5(a)は、着用時におけるショーツ3000の正面図を示し、図5(b)は、着用時におけるショーツ3000の背面図を示す。図5に示すショーツ3000は、本体700を構成する前身頃領域701及び後身頃領域702がペチコートのタイプで構成されていること以外は、図1に示すショーツ1000または図3に示すショーツ1100と同一である。
本発明のボトム衣類として、図3に示すショーツ1100を作製し、着用評価を行った。また、比較例として、ヒップ支持部材200及び芯地300を備えていない従来の一般的なショーツ、参考例として、本体全体に緊迫力があるヒップ補整機能を示す従来のガードルについても、同様に着用評価を行った。
被検者に、実施例のショーツ、比較例のショーツ及び参考例のガードルをそれぞれ着用させ、屈伸運動を2回と、腿上げ運動を左右2回ずつ行わせた。その後、外観から、ヒップアップ効果とヒップ下のたるみの解消を評価した。この結果を、図6に示す。図6において、(a)が比較例のショーツを着用した運動後の状態を示す模式図であり、(b)が実施例のショーツを着用した運動後の状態を示す模式図であり、(c)が参考例のガードルを着用した運動後の状態を示す模式図である。図6において、水平に描かれた点線は、実施例のショーツのヒップトップの位置を示しており、黒矢印は、それぞれ、実施例のショーツ、比較例のショーツ及び参考例のガードルのヒップトップの位置を示している。
図6に示すように、比較例のショーツでは、ヒップトップが、参考例のガードルの着用時よりも下の位置となり、また、白抜き矢印で示すようにヒップ下のたるみが見られた。これに対して、実施例のショーツは、ヒップトップが、参考例のガードルの着用時と同等であり、また、ヒップ下のたるみも見られなかった。このことから、本発明のショーツ1100は、一般的な補整用ガードルと同様の十分なヒップアップ効果を奏することがわかった。
また、モニター6名による、ショーツ1100の着用に関する主観的評価を行った結果、「ゆったり楽な感じ」、「下腹がサポートされている」、「やさしくヒップアップを助けてくれる」、「鏡を見るとヒップトップが高い」、「ヒップアップを感じるのにはいた見た目は普通のボーイレングスのショーツのよう」との回答が得られた。このことから、本発明のショーツ1100は、つけ心地が楽で、外観に優れ、かつ、ヒップアップ効果を有することを確認できた。
以上、本実施形態のボトム衣類として、ショーツ及びランジェリータイプのボトム衣類を例として説明したが、本実施形態のボトム衣類はこれに限定されず、例えば、太ももの付け根を超えて丈がある、いわゆる一分丈ショーツ等のボトム部を有する衣類、ガードル等の補整ボトム等に適用できる。
本発明のボトム衣類は、種々の態様が可能である。例えば、上記の実施形態のようなファンデーション衣類以外にも、水着等のスポーツ衣類、アウター等、各種のボトム部を有する衣類に適用できる。
100、600、700 本体
101、601、701 前身頃領域
102、602、702 後身頃領域
200 一対のヒップ支持部材
200A、200B ヒップ支持部材
300 一対の芯地
300A、300B 芯地
400 ベルト部材
500 股部
510 前当布
520 股布
1000、1100、2000、3000 ショーツ
E 伸縮性領域
G 芯地の上辺
H 芯地の下辺
O 後中心
P、P’、P’’、Q、Q’、Q’’、R、R’、R’’、S、S’,S’’ ヒップ支持部材の一端
U ベルト部材の上辺
V ベルト部材の下辺
L ヒップ支持部材の下辺
L1、L2 方向
N 下点
W、Y、Z 矢印

Claims (6)

  1. ボトム衣類であって、
    本体と、一対のヒップ支持部材と、一対の芯地とを含み、
    前記一対のヒップ支持部材のうち、
    一方は、着用時において、左臀溝に沿うように前記本体の肌側に配置され、かつ、その後中心側の一端が前記本体の股部付近に固定され、その他端が脇付近で前記本体に固定されており、
    他方は、着用時において、右臀溝に沿うように前記本体の肌側に配置され、かつ、その後中心側の一端が前記本体の股部付近に固定され、その他端が脇付近で、前記本体に固定されており、
    前記一対のヒップ支持部材は、それぞれ、その下辺で折り返されている折り返し形状であり、
    前記一対の芯地のうち、
    一方は、前記一方のヒップ支持部材の肌側と本体側との間に配置され、かつ、前記本体側に固定されているが、前記肌側から遊離されており、
    他方は、前記他方のヒップ支持部材の肌側と本体側との間に配置され、かつ、前記本体側に固定されているが、前記肌側から遊離されており、
    前記一対の芯地が、互いに分離されていることを特徴とするボトム衣類。
  2. さらに、ベルト部材を含み、
    前記ベルト部材は、前記本体の上端領域に固定されており、
    前記一対のヒップ支持部材は、それぞれ、前記他端が前記ベルト部材で固定されている、請求項1記載のボトム衣類。
  3. 前記一対の芯地は、それぞれ、臀溝に略沿う方向における向かい合う一対の辺が、対応する前記一対のヒップ支持部材の前記本体側に固定されている、請求項1又は2記載のボトム衣類。
  4. 前記一対の芯地は、それぞれ、臀溝に略沿う方向の緊締力が、前記方向に対する略直交方向の緊締力よりも、相対的に大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載のボトム衣類。
  5. 前記芯地の緊締力が、前記本体の緊締力及び前記ヒップ支持部材の緊締力よりも相対的に大きい、請求項1から4のいずれか一項に記載のボトム衣類。
  6. 前記ボトム衣類が、ショーツである、請求項1から5のいずれか一項に記載のボトム衣類。
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