以下、図面等を参照して本発明の実施形態について説明する。
−第1の実施形態−
図1は、第1の実施形態における情報提供装置を備えた電動車両の構成、および電動車両とデータサーバとの関係を概略的に表した構成図である。この情報提供装置は、データサーバ10と、自車両を含む複数の電動車両EV1〜EVn(n:自然数)とから構成される。各電動車両EV1〜EVnは、コントローラ1、バッテリ2、GPS受信機3、ジャイロセンサ4、車速センサ5、送受信機6、ディスプレイ7、およびバッテリコントローラ8を備える。
以下、データサーバ10、および、電動車両EV1〜EVnがそれぞれ備える上記構成について、自車両である電動車両EV1を参照して具体的に説明する。
バッテリ2は、例えばリチウムイオン二次電池等の、充放電可能な高電圧バッテリである。バッテリ2は、電動車両EV1に搭載された種々の電気要素に電力を供給する。また、バッテリ2は、充電器コンセント(不図示)を介して、充電スポットに設置されている専用充電器に接続されて、充電することができる。
バッテリコントローラ8は、バッテリ2に付設され、バッテリ2の残存電力量いわゆる充電率(SOC:State Of Charge)やバッテリ温度等の内部情報を監視するとともに、バッテリ2の充放電動作を制御する。バッテリ2のSOC等の情報は、後述するコントローラ1に出力される。
送受信機6は、後述するデータサーバ10とデータ通信を行うための通信インターフェースであり、データサーバ10に情報を送信する送信手段およびデータサーバ10から情報を受信する受信手段として機能する。送受信機6は、自車両に備え付けられた専用の無線通信装置であってもよいし、例えば、携帯電話といったデータ通信機能を備えた携帯端末装置を利用してもよい。
GPS受信機3は、GPS衛星から送信される信号(GPSデータ)を受信して、GPSデータをコントローラ1に出力する。ジャイロセンサ4は、電動車両EV1の方位を検出する。車速センサ5は、電動車両EV1の車速を検出する。ジャイロセンサ4、車速センサ5が検出した方位および車速に係る情報は、コントローラ1に出力される。
コントローラ1は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータである。コントローラ1は、取得したGPSデータに基づき自車両の絶対位置を算出するとともに、ジャイロセンサ4および車速センサ5から取得した情報に基づいて、自車両の位置および方位を補完して、電動車両EV1の正確な現在位置および進行方位を常時把握する。
また、コントローラ1は、送受信機6を介して、充電スポットに関する情報や、自車両や目的とする充電スポットの周辺に存在する他車両に関する情報等の種々の情報提供依頼をデータサーバ10に対して行うことができる。この情報提供依頼を行う前提として、データサーバ10と通信可能な各電動車両EV1〜EVnは、自車両の現在位置を示す位置情報と、自車両の現在のSOC量とを、送受信機6を介してデータサーバ10に送信する。この情報送信は、各電動車両EV1〜EVnがそれぞれ備えるコントローラ1自身が一定の周期毎に行ってもよいし、データサーバ10からのリクエストを受信したことに対応して行ってもよい。
そして、コントローラ1は、自車両の位置、SOC、及び、データサーバ10から取得できる他車両および充電スポットに関する種々の情報に基づいて、自車両が目当てとする充電スポットに、自車両に対して僅かな時間差で先行される可能性のある他車両を検出する。
ディスプレイ7は、コントローラ1が取得、検出した各種情報を、車両の乗員に報知するために用いられる。ディスプレイ7は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、自車周辺の地図画像、充電スポットの位置、充電スポットまでの経路や所要時間、および、後述する所定の条件を満たす他車両の台数や位置情報等を表示する。なお、表示は、上記情報を搭乗者に報知するために行うものなので、搭乗者が認知できるのであれば、ディスプレイ7による画面表示に限らず、音声等の他の手段により報知してもよい。報知する情報の具体的な内容については後述する。
データサーバ10は、通信装置(不図示)を備え、この通信装置を介してデータサーバ10と通信可能な電動車両EVn毎に、電動車両EVnの位置情報およびSOC情報等の各種データを取得し、格納している。これらの情報は、周期的に、もしくはデータサーバ10からのリクエストに応じて、各電動車両EVnから送信される最新の位置情報およびSOC等の情報を受信することにより、随時更新される。また、これら情報は、定期的に、もしくは各電動車両からの情報提供依頼に応じて、情報提供依頼を行った電動車両EVnに送信される。
また、データサーバ10は、電動車両EV1から情報提供依頼を受信した場合、電動車両EV1が検索した充電スポット候補のリスト情報に基づいて、当該充電スポット候補毎に、電動車両EV1が充電スポット候補に到着する時点における当該充電スポット候補の混雑度(満空情報)を予測する。当該予測に基づく充電スポット候補の満空情報は、データサーバ10から送信されて、送受信機6を介して電動車両EV1が備えるコントローラ1に入力される。
以上を前提として、以下、第1の実施形態に係る情報提供装置により行われる処理の詳細を、図2を参照して説明する。なお、以下の説明において、電動車両EV1は自車両を示すものとする。
図2は、第1の実施形態における情報提供装置が備えるコントローラ1が実行する情報提供制御の流れを表したフローチャートである。
ステップS1では、自車両が備えるコントローラ1によって、充電スポットの検索を開始するか否かの判断が行われる。この判断は、乗員が手動で行う入力操作に基づいて行われてもよいし、例えば、SOCが所定値以下となった場合等の所定の条件に基づいて自動で行われてもよい。なお、ユーザーが行う入力操作は、ディスプレイ7の表示部分(タッチパネル)等の入力デバイスを手で操作するものに限らず、音声によるものでもよい。充電スポットの検索を開始すると判断した場合はステップS2へ進む。充電スポットの検索を開始しないと判断された場合は、充電スポットの検索を開始すると判断されるまで、ステップS1をループする。
ステップS2では、コントローラ1は、充電スポットの検索を開始する。コントローラ1は、コントローラ1の内部もしくは付設された記憶装置(不図示)に格納されているナビゲーションデータを参照して、自車両の現在の位置情報とSOCとに基づいて、自車両が到達可能な充電スポットを自車両が目当てとする充電スポット候補として検索するとともに、データサーバ10に対し、送受信機6を介して、各充電スポット候補の混雑度に関する情報(満空情報)の提供依頼を行う。情報提供依頼を受けたデータサーバ10は、自車両に対し、各充電スポット候補について予測した満空情報を送信する。
これにより、コントローラ1は、充電スポット候補リストのうち、自車両が充電スポット到達時点で空いていると予測される充電スポット(空き充電スポット)を把握することができる。なお、ここでの空き充電スポットには、当該満空情報では自車両の到着時点で他車両に先着されて空いていない可能性のある充電スポットであっても、実際に自車両が当該充電スポットに到着する時点では他車両を先行し得る可能性のある充電スポットも含まれるものとする。
しかしながら、上述の空き充電スポット情報には、目当ての充電スポットに僅かな時間差で先着されて先行充電されてしまう可能性のある他車両を特定することができる情報は含まれていない。したがって、目当ての充電スポット到着時に他車両がいわゆるタッチの差で先行して充電を開始し、充電開始待ちとなるリスクを認識することができなかった。
本実施形態に係る情報提供装置は、以下に説明する処理によって、このようなリスクを自車両の乗員が認知できる情報を提供する。これにより、自車両の乗員は、当該リスクを回避するために、例えば、先行充電されるリスクがより少ない他の空き充電スポットで充電を行うように走行計画を変更するといった判断が可能となる。以下、図2に戻って詳細を説明する。
ステップS3では、コントローラ1は、ステップS2で取得した空き充電スポット各々に対して、現在地から空き充電スポットに到達するまでに必要な所要時間Tを算出する。算出後、ステップS4へ進む。
ステップS4では、空き充電スポット各々に対して、ステップS3で算出した所要時間Tよりも所定時間短い第1の所要時間T1を算出する。算出された第1の所要時間T1は、目的とする充電スポットに現時点で自車両より先行している他車両の中でも、自車両に対し僅かな時間差で先着される可能性のある他車両を検出するために用いられる。
第1の所要時間T1は、上記空き充電スポットのうち、任意の一つの充電スポットを充電スポットAとし、自車両から充電スポットAまでの経路上にあって、かつ、充電スポットAに最も近い充電スポットを充電スポットBとし、自車両が充電スポットBから充電スポットAまで走行するのに必要な所要時間をaとした場合に、次式(1)により算出される。
なお、この計算は、上記空き充電スポット各々全てに対して行われる。ただし、事前に予約している等して、目的とする充電スポットが予め確定している場合はその限りではない。
続くステップS5では、空き充電スポット各々に対して、所要時間Tより所定時間長い第2の所要時間T2を算出する。算出した第2の所要時間T2は、目的とする充電スポットに自車両より遅れて到着するであろう車両の中でも、道路状況や車両速度のばらつきによって先行に転じる可能性がある他車両を検出するために用いられる。第2の所要時間T2は次式(2)により算出する。第2の所要時間T2算出後、ステップS6へ進む。
ただし、式(2)中のTを乗算する値1.1は例示であり、これに限定されない。
ステップS6では、コントローラ1は、第1の所要時間T1よりも長く、第2の所要時間T2よりも短い所要時間範囲に存在する自車両以外の他の電動車両(以下、ライバル車両候補と呼ぶ)を特定して、特定した車両の台数を空き充電スポット各々に対してカウントする。
ここで、これまで説明したライバル車両候補の特定方法を、図3を参照して概念的に説明する。
図3は、ライバル車両の特定方法を示す概念図である。自車両は、充電スポットAを中心とした、所要時間Tを半径とする円の円周上に存在する。コントローラ1は、同じく充電スポットAを中心とする、所要時間Tより所定時間短い第1の所要時間T1を半径とする円の円周と、所要時間Tより所定時間長い第2の所要時間T2を半径とする円の円周との間に存在する自車両以外の電動車両を検出する。この検出された電動車両EV2〜EV4が、自車両に対して、充電スポットAにタッチの差で先着される恐れのあるライバル車両候補として特定される。
図2に戻って説明を続ける。ステップS7では、ステップS6においてカウントしたライバル車両候補をさらに絞り込む。ステップS6で検出したライバル車両候補は、自車両が各充電スポットに到達するまでに必要な所要時間Tに基づいて検出された車両である。しかしながら、これらの車両全てが充電を要しているか否かの情報は加味されていない。したがって、これらライバル車両候補の中から、例えば、充電スポットに到着した時点で、SOC≦30%、または、SOCで走行可能な距離(DTE:distance-to-empty)≦40km、もしくは、SOCで走行可能な時間≦1hourといった条件に合致すると予測される車両を絞り込む。これにより、自車両の現在位置から充電スポットに到達するまでに必要な所要時間が近い車両であって、かつ、実際に充電スポットを利用する可能性の高いライバル車両を特定することができる。
そして、コントローラ1は、これら特定したライバル車両情報を、乗員に報知するために、ディスプレイ7に表示する。表示する内容は、例えば、充電スポット毎に対応するライバル車両のカウント数を表示してもよいし、ライバル車両の現在位置を各充電スポットの位置とともに地図上に表示してもよい。表示後、ステップS8へ進む。
乗員は、ステップS7において表示された一以上の充電スポットの中から、目当てとする充電スポットを画面上で選択することができる。ステップS8では、コントローラ1は、目当ての充電スポットが選択されたか否かを判別する。目当ての充電スポットが選択された場合は、ステップS9へ進む。選択されない場合は、情報提供制御を終了する。
ステップS9において、コントローラ1は、所定時間経過するのを待つ。本ステップは、ステップS10以降のライバル車両の特定に係る処理の更新周期を調整するために設けられたステップであり、経過時間は適宜設定される。本実施形態においては、5分経過後、ステップS10へ進む。
ステップS10では、ステップS8において選択された目当ての充電スポットに対して、ステップS3〜S6において説明した方法と同様の方法によって、再度ライバル車両候補を特定する。特定したライバル車両候補の台数をカウントした後、ステップS11へ進む。
ステップS11では、目当ての充電スポットに対して、ステップS7において説明した方法と同様の方法によって、ライバル車両を選定する。これにより、自車両の現在位置から目当ての充電スポットに到達するまでに必要な所要時間が近い車両であって、かつ、実際に自車両が目当てとする充電スポットを利用する可能性の高いライバル車両を特定することができる。ライバル車両を特定した後、ステップS12へと進む。
ステップS12では、コントローラ1は、ディスプレイ7を用いて、これまでの処理により取得、検出した充電スポット情報、及びライバル車両情報を自車両の搭乗者に報知する。具体的には、ディスプレイ7の画面上に、目当ての充電スポットに対するライバル車両のカウント数、もしくは、目当ての充電スポットおよびライバル車両の地図上での位置等の情報が表示される。自車両の搭乗者は、これらの情報に基づいて、目当ての充電スポットを、よりライバル車両の少ない他の充電スポットに変更するか否かの判断をすることができる。
また、時間経過に伴い自車両が目当ての充電スポットに近づくにつれて、充電スポットまでの所要時間Tと、第1の所要時間T1が小さくなるが、上述した式(1)に係る第1の所要時間T1の値が0に近接していることを搭乗者に報知してもよい。T1=0の時点は、前述の充電拠点Aを目当ての充電スポットとすると、目当ての充電スポットへ走行中の自車両が、目当ての充電スポットまでの経路上にあって、かつ、目当ての充電スポットに最も近い他の充電スポットに到達する時点である。この時点を越えてしまうと、目当ての充電スポットまでの経路上に他の充電スポットは存在しない。したがって、T1が0に近接していることを搭乗者に報知することで、搭乗者に、目当ての充電スポットまでの経路中において、目当ての充電スポットを手前の充電スポットに変更するか否かの最後の判断を促すことができる。
続くステップS13では、コントローラ1は、搭乗者が目当ての充電スポットを変更するか否かを判断する。この判断は、搭乗者による画面上での入力操作等に基づいて行われる。目当ての充電スポットを変更すると判断した場合は、ステップS2へ戻る。目当ての充電スポットを変更しない場合は、ステップS14へ進む。
ステップS14では、コントローラ1は、自車両が目当てとする充電スポットに到着したか否かを判断する。目当ての充電スポットに到着したと判断されれば、本情報提供制御は終了となる。目当ての充電スポットにまだ到着していなければ、現在選択中の充電スポットを目当ての充電スポットとして継続したまま、ステップS8へ戻る。
以上、第1の実施形態に係る情報提供装置によれば、電動車両に設けられ、他の電動車両の状態情報を通信により取得し、乗員に所定の情報を提供する情報提供装置において、少なくとも1以上の充電スポットを検出し、検出した充電スポットに自車両が到達するのに必要な所要時間Tを検出する。そして、検出した所要時間Tに対して、所定時間短い第1の所要時間T1と、所定時間長い第2の所要時間T2とを設定して、充電拠点から第1の所要時間T1よりも長く、第2の所要時間T2よりも短い所要時間範囲に存在する他の電動車両を特定車両(本実施形態においてはライバル車両候補)として選定し、特定車両の位置および台数の少なくとも一方を表示する。また、情報提供装置によれば、検出した複数の充電スポットのうち、任意の一つの充電スポットAに自車両が到達するのに必要な所要時間をTとし、充電スポットAと、自車両から充電スポットAまでの経路付近上にあって、充電スポットAに最も近い充電スポットBとの間を自車両が走行するのに必要な所要時間をaとした場合に、第1の所要時間T1は、上記式(1)を用いて算出される。
これにより、自車両の搭乗者は、目当ての充電スポットに到着する前に、自車両に対し僅かな時間差で先行される可能性のある他車両を区別して認識することができるので、目当ての充電スポットに他車両がタッチの差で先着されるリスクを自車ドライバーが判断し、目当ての充電スポットを、よりリスクの少ない他の充電スポットに変更することができる。
また、上記式(1)によれば、T1=0となった時点で、自車両付近に目当てとする充電スポットA以外の他の充電スポットBが存在する。したがって、コントローラ1は、ディスプレイ7等を介してT1が0に近接していることを搭乗者に報知するように構成されてもよい。これにより、例えば、目当ての充電スポットAまでの経路中において、目当ての充電スポットAを手前の充電スポットBに変更するか否かの最後の判断機会を担保することができる。
また、第1の実施形態の情報提供装置によれば、目当ての充電スポットから、第1の所要時間T1よりも長く、第2の所要時間T2よりも短い所要時間範囲に存在する他車両の中から、他車両が目当ての充電スポットに到着した時点での当該他車両のバッテリSOC、もしくはDTEが所定値以下になると予測される車両をライバル車両(特定車両)として選定する。これにより、目当ての充電スポットに実際に立ち寄る可能性の高い、より確定度の高いライバル車両を特定することができる。
−第2の実施形態−
以下、第2の実施形態について、特に、これまで説明した第1の実施形態との差異点について説明する。具体的には、第2の実施形態に係る情報提供装置は、第1の実施形態において説明した情報提供制御中のステップS11後に絞り込み処理を実行する点が異なる(図4参照)。以下、図4に示す絞り込み処理S20の詳細を、図5を参照して説明する。
図5は、図4に係る情報提供制御中の絞り込み処理S20の詳細を表したフローチャートである。第2の実施形態の情報提供装置は、絞り込み処理S20を実行することにより、図2のステップS11において特定したライバル車両のさらなる絞り込みを行う。以下、フローに即して説明する。
ステップS21では、コントローラ1は、目当ての充電スポットまでの現時刻における所要時間Tが、5分前に算出した所要時間Tよりも小さいか否か判別する。換言すると、ステップS8において目当ての充電スポットを選択した後に、自車両が目当ての充電スポットに時間的に近づいているか否かを判断する。近づいていると判断されれば、ステップS22が実行され、近づいていなければ、ステップS23が実行される。
ステップS22では、コントローラ1は、5分前の処理におけるライバル車両と、今回の処理におけるライバル車両とで、共通する車両の台数をカウントする。
続くステップS23において、ライバル車両をさらに絞り込む。具体的には、充電スポットに到着するまでループして行われるステップS8以降の処理によって絞り込まれたライバル車両情報に基づき、20分前から現時刻までにおいて共通して選定された車両、もしくは、選定重複率の高い車両を特定する。この処理により、自車両が目当ての充電スポットに到達する過程において、20分前から常に自車両のライバル車両として目当ての充電スポットに近づいている、より確定度の高いライバル車両を特定することができる。
なお、設定した20分は、一定の時間継続してライバル関係にある他車両を抽出するために設定した値であり、これに限定されない。当該ライバル車両を特定し、台数をカウントした後は、絞り込み処理S20を終了し、ステップS12へと進む。
ステップS12では、コントローラ1は、絞り込み処理S20により選定された、目当ての充電スポットに対するより確定度の高いライバル車両のカウント数および位置情報の少なくとも一方をディスプレイ7に表示して、搭乗者に報知する。
以上、第2の実施形態に係る情報提供装置によれば、現時刻での所要時間Tが、任意の過去時刻(例えば5分前)に検出した所要時間Tより小さい場合に、現時刻に選定したライバル車両のうち、現時刻および任意の過去時刻の両方の時刻で共通して選定されたライバル車両を特定する。これにより、現時刻に検出したライバル車両のうち、自車両と同様に目当ての充電スポットに向かって走行している可能性の高いライバル車両を特定することができる。
また、第2の実施形態によれば、所定の時間毎に複数回(例えば5分間隔で4回)検出したライバル車両において、今回選定されたライバル車両と、過去の選定において少なくとも一回選定されたライバル車両とで、選定重複率が所定値以上の車両を特定する。これにより、目当ての充電スポットまでの任意の過去時刻から現時刻における走行過程において、自車両と同様に目当ての充電スポットに向かって走行している可能性の高い、より確定度の高いライバル車両を特定することができる。
−第3の実施形態−
以下に説明する第3の実施形態に係る情報提供装置は、第1の実施形態に係る情報提供装置とは、コントローラ1での第1の所要時間T1の算出方法のみが異なる。この差異点について、以下説明する。
本実施形態に係る情報提供装置が備えるコントローラ1によれば、第1の所要時間T1は、自車両の現在位置を中心として、自車両が所定の所要時間t以内に到達可能な領域R1に存在する充電スポットの密度dを用いて、以下(3)式により算出される。
この、自車両が所要時間t以内に到達可能な領域R1は、図6のように概念的に表すことができる。すなわち、領域R1は、自車両の現在位置を中心とし、自車両が所要時間tで到達可能な地点までを半径とする円の内側領域である。したがって、この領域内にある充電スポットの数を検出することで、任意に設定した所要時間t以内に到達可能な自車両周辺領域における充電スポット密度dを算出することができる。
なお、当該領域は領域R1で示したような自車両を中心とする円形状に限らず、適宜変形することができる。例えば、図6の点線で示す領域R2のような扇形形状としてもよい。その場合は、例えば、中心角120°の頂点を自車両の現在位置とし、所要時間tを半径とした目当ての充電スポット方向に向けた扇形形状とする。このような形状の領域R2に設定することで、式(3)中のdに係る自車両周辺の充電スポット密度には、自車両がすでに通過した自車両後方の充電スポットは考慮されなくなる。なお、その際の領域R2における充電スポット密度dは、充電スポット数/(t2π/3)と表現できる。
以上、第3の実施形態によれば、検出した複数の充電スポットのうち、任意の一つの充電スポットAに自車両が到達するのに必要な所要時間をTとし、自車両の現在位置を中心として自車両が所定の所要時間t以内に到達可能な領域に存在する充電スポットの密度をdとした場合に、第1の所要時間T1は、上記式(3)を用いて算出される。この式によれば、T1=0となった時点で、自車両付近に目当てとする充電スポットA以外の他の充電スポットが少なくとも一つ以上存在する可能性が高い。したがって、T1が0に近接していることを搭乗者に報知することで、目当ての充電スポットまでの経路中になされる、目当ての充電スポットを手前の充電スポットに変更するか否かの最後の判断機会を見過ごす可能性を低減することができる。
−第1から第3の実施形態の変形例−
以下、これまで説明した第1から第3の実施形態の変形例について説明する。第1から第3の実施形態においてのライバル車両の特定に係る情報提供制御は、自車両の現在位置から充電スポットに到達するまでに必要な所要時間Tに基づいて行われた。本変形例に係る情報提供装置でのライバル車両の特定に係る処理は、所要時間Tではなく、自車両の現在位置から充電スポットまでの経路距離Dに基づいて行う。以下、経路距離Dに基づいてライバル車両を特定することに伴う変更点について具体的に説明する。なお、以下に列挙して説明する変更点以外は、これまで説明したものと同様である。
まず、第1の実施形態の変形例について説明する。この変形例では、第1の実施形態の説明で用いたフローチャート(図2)におけるステップS3〜ステップS5およびステップS10と、それぞれのステップで用いた式(1)〜(3)は、以下のように置き換えることができる。
本変形例におけるステップS3では、コントローラ1は、ステップS2で取得した空き充電スポット各々に対して、自車両の現在位置から空き充電スポットまでの経路距離Dを算出する。
続くステップS4では、空き充電スポット各々に対して、ステップS3で算出した経路距離Dよりも所定距離短い第1の経路距離D1を算出する。
第1の経路距離D1は、上記空き充電スポットのうち、任意の一つの充電スポットを充電スポットAとし、自車両から充電スポットAまでの経路上にあって、かつ充電スポットAに最も近い充電スポットを充電スポットBとし、充電スポットBから充電スポットAまでの経路距離をaとした場合に、次式(4)により算出される。
続くステップS5では、空き充電スポット各々に対して、経路距離Dより所定距離長い経路距離D2を算出する。D2は、次式(5)により算出する。
ただし、式(5)中のDを乗算する値1.1は例示であり、これに限定されない。例えば、車速や、道路状況等に応じて、可変としてもよい。
そして、続くステップS6では、ステップS4で算出した第1の経路距離D1と、ステップS5にて算出した経路距離D2との経路距離範囲内に存在する自車両以外の他の電動車両(ライバル車両候補)を特定して、空き充電スポット各々に対して台数をカウントする。
このように、本変形例においても、第1の経路距離D1を設定することにより、目的とする充電スポットに自車両より先行する可能性がある他車両の中でも、タッチの差で先行される可能性の高い車両を検出することができる。また、第2の経路距離D2を設定することにより、目的とする充電スポットに自車両より遅れて到着するであろう車両の中でも、道路状況や車両速度のばらつきによって先行に転じる可能性がある車両を検出することができる。このような第1の実施形態の変形例においても、上述した第1の実施形態と同じ効果を奏することができる。
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。第2の実施形態の変形例では、第2の実施形態の説明で用いた情報提供制御における絞り込み処理中の、ステップS21に係る処理を以下の通りに置き換える。
本実施形態におけるステップS21では、目当ての充電スポットまでの現時点における経路距離Dが、5分前に算出した経路距離Dよりも小さいか否か判別する。換言すると、ステップS8(図2参照)において目当ての充電スポットを選択した後に、自車両が目当ての充電スポットに距離的に近づいているか否かを判別する。このような第2の実施形態の変形例によっても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、第3の実施形態において説明した、所要時間T1の算出方法は、経路距離D1の算出方法として、以下のように置き換えることができる。
第3の実施形態の変形例に係る第1の経路距離D1は、自車両の現在位置を中心として、自車両から所定の経路距離内[km2]に存在する充電スポットの密度dを用いて、以下(6)式により算出する。
以上、上記変形例に係る情報提供装置をまとめると、以下の通りとなる。情報提供装置は、バッテリ2に充電された電力を走行駆動源として利用する電動車両において、少なくとも1以上の充電スポットを検出し、自車両から検出した充電スポットまでの経路距離Dを検出する。そして、検出した経路距離Dに対して、所定距離短い第1の経路距離D1と、所定時間長い第2の経路距離D2とを設定して、充電拠点から第1の経路距離D1よりも長く、第2の経路距離D2よりも短い経路距離範囲に存在する他の電動車両を特定し、特定した他の電動車両の位置、または台数、もしくはそれら両方を表示する。これにより、自車両の搭乗者は、目当ての充電スポットに到着する前に、自車両に対し僅かな時間差で先行される可能性のある他車両を区別して認識することができるので、目当ての充電スポットに他車両がタッチの差で先着されるリスクを自車ドライバーが判断し、手前の他の充電スポットに目当ての充電スポットを変更することができる。また、判断指標を自車両から充電スポットまでの経路距離に基づくものとすることで、演算負荷を低減することができる。
また、本変形例に係る情報提供装置によれば、検出した複数の充電スポットのうち、任意の一つの充電スポットAと自車両との間の経路距離をDとし、充電スポットAと、自車両から充電スポットAまでの経路付近上にあって、充電スポットAに最も近い充電スポットBとの間の経路距離をaとした場合に、第1の経路距離D1は、上記式(4)を用いて算出される。この式によれば、D1=0となった時点で、自車両付近に目当てとする充電スポットA以外の他の充電スポットBが存在する。したがって、D1が0に近接していることを搭乗者に報知することで、たとえば、目当ての充電スポットAまでの経路中になされる、目当ての充電スポットAを手前の充電スポットBに変更するか否かの最後の判断機会を担保することができる。
また、本変形例に係る情報提供装置によれば、現時刻での経路距離Dが、任意の過去時刻(例えば5分前)に検出した経路距離Dより小さい場合に、現時刻に選定したライバル車両のうち、現時刻および任意の過去時刻の両方の時刻で共通して選定されたライバル車両を特定する。これにより、現時刻に検出したライバル車両のうち、自車と同様に目当ての充電スポットに向かって走行している可能性の高いライバル車両を特定することができる。
またさらに、本変形例に係る情報提供装置によれば、検出した複数の充電スポットのうち、任意の一つの充電スポットAと自車両との間の経路距離をDとし、自車両から所定の経路距離内[km2]に存在する充電スポットの密度をdとした場合に、第1の経路距離D1は、上記式(6)を用いて算出してもよい。この式によれば、D1=0となった時点で、自車両付近に目当てとする充電スポットA以外の他の充電スポットが少なくとも一つ以上存在する可能性が高い。したがって、D1が0に近接していることを搭乗者に報知することで、目当ての充電スポットまでの経路中になされる、目当ての充電スポットを手前の充電スポットに変更するか否かの最後の判断機会を見過ごす可能性を低減することができる。これにより、自車ドライバーが道中に安心して、好きなタイミングで目当ての充電スポットの変更判断を検討することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。例えば、上述したライバル車両の検出に係る種々の処理は主にコントローラ1が担っていたが、必ずしもコントローラ1が全て行う必要はなく、データサーバ10と適宜分担して行ってもよい。また、バッテリ2のSOC等を監視するバッテリコントローラ8の機能を、コントローラ1が担うことも可能である。
また、本発明に係る情報提供装置および情報提供方法は、電気自動車以外に、例えば、プラグインハイブリッド自動車や、電動二輪車等の、充電を必要とする車両全般に適用することも可能である。