(第1の実施の形態)
本発明に係る経路案内システムの第1の実施の形態について、図1〜図7を参照して説明する。
図1〜図3に示されるように、本実施の形態の経路案内システム1は、走行動力源として電動機を有する電動車両(すなわち、電気自動車、以下EV車両とも記載)Cに搭載され、経路案内装置として具体化された車載機10(図1では図示略)と、こうした車載機10を搭載した複数のEV車両Cを管理する車両管理センター20とを備えて構成されている。また、この経路案内システム1を構成する車両管理センター20は、グリッドG1〜G3への給電を管理するグリッド給電管理センター30に接続されている。なお、各グリッドG2及びG3には、電車(すなわち、鉄道)に併設された駅Sb及びScがそれぞれ位置しており、これら駅Sb及びScは、EV車両Cを充電するための充電設備が設置された電動車両用駐車場(以下、EV駐車場とも記載)を有する。また、グリッドG1には、電車に併設された駅Saが位置しているが、この駅Saが有する駐車場Paには、EV車両Cを充電するための充電設備が設置されていない。ちなみに、グリッドとは、グリッド給電管理センター30から電力が供給される地域を複数の小区画に分割したもののうち各区画を意味し、電車、駅、及び駅が有するEV駐車場が特許請求の範囲に記載の公共交通機関、施設、及び公共交通機関の乗降地付近に設けられた電動車両用駐車場にそれぞれ相当する。
はじめに、図2を参照して、車載機10の構成及び機能について説明する。同図2に示されるように、車載機10は、車両側記憶部11、GPS受信部12、操作部13、車両側制御部14、車両側通信部15、音声出力部16、及び表示部17を備えて構成されており、EV車両Cの図示しない車載バッテリに接続された電流センサ18に接続されている。車両側制御部14は、公知のCPU及び内蔵メモリを有して構成されるコンピュータであり、そのCPUが、内蔵メモリに記憶されているプログラムを実行することによって各種機能を実現している。以下の説明では、便宜上、車両側制御部14は、現在地検出部141、充電状態検出部142、航続可能距離算出部143、通信制御部144、経路案内部145、地図画像描画部146、及び表示制御部147を有するものとして説明する。
車両側記憶部11は、例えばハードディスクドライブ装置、DVD(digital versatile disc)装置、CD(compact disc)装置、フラッシュメモリ等によって構成されており、上記駅の位置情報、上記EV駐車場の位置情報、及び道路データを含む地図情報、地図画像、並びに当該車載機10が搭載されたEV車両Cに固有の車両ID等が記憶されている。車両側記憶部11は、車両側制御部14に接続されている。当該車載機10が車両管理センター20から発せられた後述のマルチモーダル経路情報を受信すると、車両側記憶部11には、この受信したマルチモーダル経路情報が記憶される。また、航続可能距離算出部143から後述の消費充電量情報が入力されると、車両側記憶部11には、この入力された消費充電量情報が記憶される。
GPS受信部12は、例えばGPSアンテナを有して構成されており、図示しない複数のGPS衛星から発せられたGPS信号を受信する。また、GPS受信部12は、車両側制御部14に接続されており、この受信したGPS信号を車両側制御部14に出力する。
操作部13は、例えばタッチパネルや音声入力装置等の適宜の入力装置を有して構成されており、車両側制御部14に接続されている。当該車載機10のユーザは、上記適宜の入力装置を操作することにより、目的地を示す情報である目的地情報、経路探索の実行指示、及び経路案内の開始指示を、車両側制御部14に入力することができる。
なお、本実施の形態では、経路案内システム1は、目的地の最寄駅までの電車代(すなわち、公共交通機関の運賃)が最も安価となるマルチモーダル経路を探索する探索モードである安価優先モードにて、マルチモード経路を探索するものとする。ただし、この構成に限らない。経路案内システム1は、探索モードとして、上記安価優先モード、目的地の最寄駅に到達するのに必要な電車の乗り換え回数が最も少ないマルチモーダル経路を探索する探索モードである乗換回数優先モード、及び目的地に到達するのに必要な時間が最も短いマルチモーダル経路を探索する必要時間優先モード等の中から、ユーザによる操作部13の操作によって選択可能な構成としてもよい。また、操作部13が特許請求の範囲に記載の出発地情報取得手段及び目的地情報取得手段に相当する。
現在地検出部141は、車両側記憶部11及びGPS受信部12に接続されており、GPS受信部12によって受信されたGPS信号が入力されるとともに、車両側記憶部11に記憶されている地図情報を読み出し、これらGPS信号及び地図情報を利用してEV車両Cの現在地を逐次検出する。このEV車両Cの現在地の逐次検出においては、当該車載機10を搭載するEV車両Cの走行軌跡及び地図情報に基づいて周知のマップマッチングを実行することで、GPS信号に基づいて決定する現在地の誤差を逐次補正する。車載機10は、このようにして、現在地の情報である現在地情報を逐次取得する。また、現在地検出部141は、航続可能距離算出部143及び通信制御部144に接続されており、これら航続可能距離算出部143及び通信制御部144に現在地情報をそれぞれ出力する。なお、現在地検出部141が特許請求の範囲に記載の現在地情報取得手段に相当する。
充電状態検出部142は、上記電流センサ18に接続されており、車載バッテリの充放電量を積分し、満充電容量からその積分値を差し引いた値を満充電量で割ることにより、車載バッテリの充電率(以下、SOCと記載)を逐次算出する。充電状態検出部142は、航続可能距離算出部143及び通信制御部144に接続されており、このように算出したSOCの情報であるSOC情報を航続可能距離算出部143及び通信制御部144にそれぞれ出力する。なお、本実施の形態では、満充電容量として定格容量を用いており、充電状態検出部142及びSOC情報が特許請求の範囲に記載の充電状態情報取得手段及び充電状態情報にそれぞれ相当する。
航続可能距離算出部143は、上記現在地検出部141及び上記充電状態検出部142に接続されており、EV車両Cの現在地情報及びSOC情報に基づいて、EV車両Cの移動距離を算出するとともに、EV車両Cが所定の単位距離(例えば「10[km]等)を走行するに当たりに消費された充電量を逐次算出する。航続可能距離算出部143は、車両側記憶部11にも接続されており、その逐次算出された充電量の情報である消費充電量情報を車両側記憶部11に逐次記憶する。航続可能距離算出部143は、充電状態検出部142からSOC情報が入力されると、車両側記憶部11に記憶されている消費充電量情報を読み出し、これらSOC情報及び消費充電量情報を用いてEV車両Cの航続可能距離を逐次算出する。また、航続可能距離算出部143は、通信制御部144に接続されており、その算出した航続可能距離の情報である航続可能距離情報を通信制御部144に出力する。なお、航続可能距離算出部143が特許請求の範囲に記載の航続可能距離算出手段に相当する。
通信制御部144は、現在地検出部141、充電状態検出部142、航続可能距離算出部143、操作部13、及び適宜のアンテナを有して構成された車両側通信部15に接続されている。
通信制御部144は、現在地検出部141から現在地情報が入力される、操作部13によって目的地情報が入力される、充電状態検出部142からSOC情報が入力される、航続可能距離算出部143から航続可能距離情報が入力される、操作部13によって経路探索の実行指示が入力される、あるいは操作部13によって経路案内の開始指示が入力されると、車両側記憶部11に記憶されている車両IDを読み出し、入力された各種情報にこの読み出した車両IDを付加して、車両側通信部15を用いて車両管理センター20に対して送信する。
また、通信制御部144は、車両管理センター20から発せられた後述のマルチモーダル経路情報を車両側通信部15を用いて受信し、マルチモーダル経路情報を受信すると、この受信したマルチモーダル経路情報を車両側記憶部11に出力し記憶する。
経路案内部145は、車両側記憶部11、操作部13、現在地検出部141、及び地図画像描画部146に接続されている。経路案内部145は、操作部13から経路案内の開始指示が入力されると、車両側記憶部11からマルチモーダル経路情報を読み出すとともに、その読み出したマルチモーダル経路情報及び現在地検出部141から入力された現在地情報を地図画像描画部146に出力する。また、経路案内部145は、例えばスピーカ等によって構成される音声出力部16に接続されており、操作部13から経路案内の開始指示が入力されると、音声出力部16から音声案内を出力してユーザにマルチモーダル経路を案内する。
地図画像描画部146は、車両側記憶部11、経路案内部145、及び表示制御部147に接続されており、経路案内部145からマルチモーダル経路情報及び現在地情報が入力されると、車両側記憶部11から地図画像を読み出して、現在地及びマルチモーダル経路を含む平面視の地図画像である平面地図画像を描画するとともに、この描画した平面地図画像の情報である平面地図画像情報を表示制御部147に出力する。
表示制御部147は、地図画像描画部146に接続されており、この地図画像描画部146から平面地図画像情報が入力されると、例えばLCD等によって構成された表示部17の表示領域に平面地図画像を表示する。
以上のように構成されることで、車載機10は、現在地及び目的地までのマルチモーダル経路を含む平面地図画像を表示部17の表示領域に表示させながら、音声出力部16によって音声案内を行なうことができるようになる。
次に、図3を参照して、車両管理センター20の構成及び機能について説明する。同図3に示されるように、車両管理センター20は、センター側記憶部21、センター側通信部22、及びセンター側制御部23を備えて構成されている。また、センター側制御部23は、公知のCPU及び内蔵メモリを有して構成されるコンピュータであり、そのCPUが内蔵メモリに記憶されているプログラムを実行することによって各種機能を実現している。
センター側記憶部21は、例えば大規模なハードディスクドライブ装置等によって構成されている。このセンター側記憶部21には、上記駅の位置情報、上記EV駐車場の位置情報、及び道路情報を含む地図情報、並びに公共交通機関の運賃を示す情報である運賃情報が記憶されている。なお、本実施の形態では、EV車両Cと併用する公共交通機関として電車を採用したがこれに限らない。他に例えば、EV車両Cと併用する公共交通機関としてバスを採用してもよい。バスを採用した場合、センター側記憶部21には、バス停の位置情報、及びバス停が有するEV駐車場の位置情報を含む地図情報、並びにバスの運賃情報が記憶されることになる。また、他に例えば、EV車両Cと併用する公共交通機関として飛行機を採用してもよい。飛行機を採用した場合、センター側記憶部21には、空港の位置情報、及び空港が有するEV駐車場の位置情報を含む地図情報、並びに飛行機の運賃情報が記憶されることになる。
センター側制御部23は、適宜のアンテナを有して構成されたセンター側通信部22に接続されており、このセンター側通信部22を用いて車載機10との間で無線通信を行う。なお、このセンター側制御部23が、特許請求の範囲に記載のマルチモーダル経路探索手段に相当する。
また、センター側制御部23は、センター側通信部22によって、現在地情報、目的地情報、あるいはSOC情報等を受信すると、これら受信した情報をEV車両Cの車両IDの別にセンター側記憶部21に記憶する。車両管理センター20は、このようにして車載機10を搭載する複数のEV車両Cを管理する。
また、センター側制御部23は、センター側通信部22によって、上記経路探索の実行指示を受信すると、現在地情報、目的地情報、航続可能距離情報、及び運賃情報と、センター側記憶部21に記憶されている地図情報とに基づいて、EV車両C及び電車を併用した現在地から目的地までの経路であって、現在地からEV駐車場までについてはEV車両Cを利用し、EV駐車場を有する駅から目的地の最寄駅までについては電車を利用し、目的地の最寄駅から目的地までについては徒歩にて移動する経路であるマルチモーダル経路を探索する。
マルチモーダル経路探索について詳しくは、センター側制御部23は、センター側記憶部21から運賃情報を読み出し、現在地情報、目的地情報、及び航続可能距離情報に加え、この読み出した運賃情報にも基づいて、電車に併設された駅が有するEV駐車場のうち、現在地から航続可能距離内に位置するEV駐車場であり、且つ、目的地までの電車代(運賃)が最も安価となるEV駐車場までの経路を含むマルチモーダル経路を探索する。マルチモーダル経路を探索すると、センター側制御部23は、その探索したマルチモーダル経路の情報であるマルチモーダル経路情報をセンター側通信部22によってEV車両Cに送信する。なお、センター側制御部23が特許請求の範囲に記載の運賃情報取得手段に相当する。
また、センター側制御部23は、例えば内部タイマー等の図示しない適宜の計時手段を有しており、マルチモーダル経路を探索完了した時点を基準として一定時間(例えば「10[分間]」)が経過すると、マルチモーダル経路を再探索する。なお、本実施の形態では、マルチモーダル経路を再探索する条件である再探索条件が成立したこととして、「マルチモーダル経路を探索完了した時点を基準として一定時間経過したこと」を採用したが、これに限らない。他の再探索条件については、後述する実施の形態において説明する。
なお、本実施の形態では、センター側制御部23は、上記経路探索の実行指示を受信したときにおけるEV車両Cの現在地を出発地としてマルチモーダル経路を探索するが、これに限らず、操作部13によって現在地とは異なる地点を出発地として設定可能とし、その設定された出発地から目的地までの経路であるマルチモーダル経路を探索することとしてもよい。換言すれば、出発地情報は現在地情報とは異なることとしてもよい。
また、センター側制御部23は、各EV車両Cのマルチモーダル経路情報及びSOC情報に基づいて、各EV駐車場における充電量を予測する。詳しくは、センター側制御部23は、「各EV車両Cが充電されるEV駐車場を含むグリッド(グリッド情報)」及び「各EV車両CがEV駐車場に到着する時刻」をマルチモーダル経路情報から、「各EV車両Cを予め定められた所定の目標充電状態(例えば「充電率100%(すなわち、満充電)」)まで充電するのに必要な充電量」をSOC情報から、それぞれ予測する。センター側制御部23は、各EV車両Cの充電量の予測結果に基づいて、各EV駐車場における充電量を予測し、各EV駐車場における充電量の予測結果に基づいて、各グリッドにおける充電量電力量を予測する。そして、センター側制御部23は、各グリッドにおける充電電力量の予測結果の情報である充電電力量予測情報をグリッド給電管理センター30に送信(提供)する。なお、センター側制御部23が特許請求の範囲に記載の充電電力量予測手段、グリッド予測手段、及び予測情報提供手段に相当する。
また、センター側制御部23は、EV駐車場Pb及びPcに接続されており、EV駐車場Pb及びPcの満空状況に関する情報である満空状況情報を逐次取得する。
なお、本実施の形態では、予め定められた所定の目標充電状態として「満充電状態」を採用したが、この他にも、「満充電の所定割合(例えば「80%」等)の状態」、や「充電しない状態」等を目標充電状態として採用してもよい。また、予め定めておくのではなく、ユーザ操作によって操作部13に入力することとしてもよい。さらに、車両管理センター20が車載機10に対しこうした目標充電状態を問い合わせてその入力を促すこととしてもよい。また、センター側制御部23は、特許請求の範囲に記載の充電電力量予測手段に相当する。
以上のように構成された経路案内システム1及びグリッド給電管理センター30の動作について、図4〜図6及び図7を用いてそれぞれ説明する。
図4に、車載機10によって実行されるマルチモーダル経路案内処理S100について、その処理手順を示す。
マルチモーダル経路案内処理S100を実行開始すると、車載機10は、まず、ステップS101の判断処理として、目的地情報及び経路探索の実行指示が操作部13から入力されたか否かを判断する。ここで、目的地情報及び経路探索の実行指示が入力されていない場合(ステップS101の判断処理で「No」)、車載機10は、ステップS101の判断処理を再度実行する一方、目的地情報及び経路探索の実行指示が入力された場合(ステップS101の判断処理で「Yes」)、車載機10は、続くステップS103の処理へ移行する。ステップS103の処理へ移行すると、車載機10は、目的地情報及び経路探索の実行指示を示す信号を車両管理センター20に送信し、続くステップS105の処理に移行する。
ステップS105の処理に移行すると、車載機10は、現在地情報、SOC情報、及び航続可能距離情報の車両管理センター20への逐次送信を開始し、続くステップS107の判断処理へ移行する。なお、車載機10は、当該マルチモーダル経路案内処理S100を実行し終えるまで、これら現在地情報、SOC情報、及び航続可能距離情報の車両管理センター20への逐次送信を継続する。このとき、車載機10は、後述する一定時間(ステップS215の判断処理参照)よりも十分に短い一定時間(例えば「5分おき」)にて繰り返し実行する。
ステップS107の判断処理に移行すると、車載機10は、車両管理センター20からマルチモーダル経路情報を受信したか否かを判断する。ここで、マルチモーダル経路情報を受信していない場合(ステップS107の判断処理で「No」)、車載機10は、当該ステップS107の判断処理を再度実行する一方、マルチモーダル経路情報を受信した場合(ステップS107の判断処理で「Yes」)、車載機10は、続くステップ109の判断処理に移行する。
ステップS109の判断処理に移行すると、車載機10は、操作部13から経路案内の開始指示が入力されたか否かを判断する。ここで、経路案内の開始指示が入力されていない場合(ステップS109の判断処理で「No」)、車載機10は、ステップS109の判断処理を再度実行する一方、経路案内の開始指示が入力された場合(ステップS109の判断処理で「Yes」)、車載機10は、続くステップ111の処理に移行する。ステップS111の処理へ移行すると、車載機10は、マルチモーダル経路の経路案内を実行し、続くステップS113の判断処理に移行する。
ステップS113の判断処理に移行すると、車載機10は、車両管理センター20から再探索されたマルチモーダル経路情報を受信したか否かを判断する。ここで、再探索されたマルチモーダル経路情報を受信していない場合(ステップS113の判断処理で「No」)、車載機10は、既に案内開始していたマルチモーダル経路の案内を継続して、続くステップS117に移行する一方、再探索されたマルチモーダル経路情報を受信した場合(ステップS113の判断処理で「Yes」)、車載機10は、続くステップ115の判断処理に移行し、既に案内開始していたマルチモーダル経路に替えてこの受信したマルチモーダル経路の経路案内を実行し、続くステップS117の判断処理に移行する。
ステップS117の判断処理に移行すると、車載機10は、マルチモーダル経路上のEV駐車場に到達したか否かを判断する。ここで、到達したと判断しなかった場合(ステップS117の判断処理で「No」)、車載機10は、ステップS113の判断処理を再度実行する一方、到達したと判断した場合(ステップS117の判断処理で「Yes」)、車載機10は、続くステップS119の処理としてマルチモーダル経路の経路案内を終了する。
マルチモーダル経路の経路案内を終了すると、車載機10は、続くステップS121の処理として、マルチモーダル経路の経路案内を終了した旨を示す経路案内終了通知を車両管理センター20へ出力し、このステップS100の処理をそのまま終了する。
図5に、車両管理センター20によって実行されるマルチモーダル経路探索処理S200について、その処理手順を示す。
マルチモーダル経路探索処理S200を実行開始すると、車両管理センター20は、まず、ステップS201の判断処理として、目的地情報及び経路探索の実行指示を示す信号をセンター側通信部22によって受信したか否かを判断する。ここで、これら目的地情報及び経路案内の開始指示を示す信号を受信していない場合(ステップS201の判断処理で「No」)、車両管理センター20は、当該ステップS201の判断処理を再度実行する一方、これら目的地情報及び経路探索の実行指示を示す信号を受信した場合(ステップS201の判断処理で「Yes」)、車両管理センター20は、続くステップS203の処理へ移行する。
ステップS203の処理に移行すると、車両管理センター20は、車載機10から逐次送信される現在地情報及び航続可能距離情報の逐次受信を開始し、続くステップS205の処理へ移行する。なお、車両管理センター20は、当該マルチモーダル経路探索処理S200を実行し終えるまで、これら現在地情報及び航続可能距離情報の逐次受信を継続する。
車両管理センター20は、続くステップS205の処理として、センター側記憶部21から運賃情報を読み出し、続くステップS207の処理として、目的地情報、現在地情報、及び航続可能距離情報に加え、この読み出した運賃情報にも基づいて、電車が有する複数のEV駐車場のうち、現在地から航続可能距離内に位置するEV駐車場であり、且つ、目的地までの運賃が最も安価となるEV駐車場までの経路を含むマルチモーダル経路を探索する。
このようにしてマルチモーダル経路を探索すると、車両管理センター20は、続くステップS209の判断処理として、先のステップS207の処理にて探索されたマルチモーダル経路に含まれるEV駐車場に空きがあるか否かを判断する。ここで、EV駐車場に空きがないと判断した場合(ステップS209の判断処理で「No」)、車両管理センター20は、先のステップS207の処理に移行し、電車が有する複数のEV駐車場のうち、空きがなかったEV駐車場を除き、現在地から航続可能距離内に位置するEV駐車場であり、且つ、目的地までの運賃が最も安価となるEV駐車場までの経路を含むマルチモーダル経路を再度探索する。一方、EV駐車場に空きがあると判断した場合、車両管理センター20は、続くステップS211の処理として、先のステップS207の処理にて探索されたマルチモーダル経路を決定し、続くステップS213の処理として、その決定したマルチモーダル経路情報を車載機10に対し送信する。なお、ステップS213の処理が特許請求の範囲に記載の送信手段に相当する。
マルチモーダル経路情報を送信すると、車両管理センター20は、続くステップS215の判断処理として、マルチモーダル経路を決定してから一定時間が経過したか否かを判断する。ここで、マルチモーダル経路を決定してから一定時間が経過した場合(ステップS215の判断処理で「Yes」)、車両管理センター20は、先のステップS207の処理に移行し、再度、マルチモーダル経路を探索する。一方、マルチモーダル経路を決定してから一定時間が経過しなかった場合(ステップS215の判断処理で「No」)、車両管理センター20は、続くステップS217の判断処理に移行する。
ステップS217の判断処理に移行すると、車両管理センター20は、経路案内が終了したか否か、すなわち、上記経路案内終了通知を受信したか否かを判断する。ここで、上記経路案内終了通知を受信していない場合(ステップS217の判断処理で「No」)、センター側制御部23は、先のステップS215の判断処理を再度実行する一方、上記経路案内終了通知を受信した場合(ステップS217の判断処理で「Yes」)、センター側制御部23は、このマルチモーダル経路探索処理S200の処理をそのまま終了する。
図6に、車両管理センター20によって実行される充電量予測処理S220について、その処理手順を示す。なお、車両管理センター20は、上記マルチモーダル経路探索処理S200を既に実行し、当該車両管理センター20が管理する各EV車両Cについてマルチモーダル経路情報を既に取得しているものとする。
充電量予測処理S220を実行開始すると、車両管理センター20は、まず、ステップS221の処理として、車載機10から逐次送信されるSOC情報の逐次受信を開始し、続くステップS223の処理として、マルチモーダル経路情報及びSOC情報に基づいて、各EV車両Cが満充電となるのに必要な充電量を予測する。なお、各EV車両Cには、EV駐車場に駐車中のEV車両C及びEV駐車場に到着予定のEV車両Cが含まれる。各EV車両Cの充電量を予測すると、車両管理センター20は、続くステップS225の処理として、これら各EV車両Cの充電量の予測結果に基づいて、各EV駐車場における充電量を予測する。各EV駐車場における充電量を予測すると、車両管理センター20は、続くステップS227の処理として、この各EV駐車場の充電量の予測結果に基づいて、各グリッドにおける充電電力を予測する。各グリッドにおける充電電力を予測すると、車両管理センター20は、続くステップS229の処理として、この各グリッドにおける充電電力量の予測結果の情報である充電電力量予測情報をグリッド給電管理センター30に送信(提供)する。充電電力量予測情報をグリッド給電管理センター30に送信(提供)すると、車両管理センター20は、この充電量予測処理S220をそのまま終了する。
図7に、グリッド給電管理センター30によって実行される給電処理S320について、その処理手順を示す。
給電処理が実行開始されると、グリッド給電管理センター30は、ステップS321の判断処理として、車両管理センター20から充電電力予測情報を受信したか否か(すなわち、提供されたか否か)を判断する。ここで、充電電力予測情報を受信していない場合(ステップS321の判断処理で「No」)、グリッド給電管理センター30は、先のステップS321の判断処理を再度実行する一方、充電電力予測情報が提供された場合(ステップS321の判断処理で「Yes」)、グリッド給電管理センター30は、続くステップS323の処理に移行する。ステップS323の処理に移行すると、グリッド給電管理センター30は、車両管理センター20から提供された充電電力予測情報に基づいて、グリッド単位での給電計画を立て、続くステップS325の処理に移行する。ステップS325の処理に移行すると、グリッド給電管理センター30は、先のステップS323の処理において立てたグリッド単位での給電計画に沿って、各グリッドに給電する。各グリッドに給電すると、グリッド給電管理センター30は、この給電処理S320をそのまま終了する。
以上のように構成された経路案内システム1の動作例について、先の図1を参照して説明する。図1に示されるように、あるいは既述したように、グリッドG1内に位置する駅Saが有する駐車場Paには、EV車両Cを充電するための充電設備は設置されておらず、グリッドG2内に位置する駅Sbが有するEV駐車場Pb及びグリッドG3内に位置する駅Scが有するEV駐車場Pcには、EV車両Cを充電するための充電設備がそれぞれ設置されている。また、駅SdはEV車両Cのユーザの目的地の最寄駅であり、駅Sa及び駅Sd間の電車代は「500円」、駅Sb及び駅Sd間の電車代は「400円」、駅Sc及び駅Sd間の電車代は「250円」となっている。また、分岐点P11〜P16、地点P17、駐車場Pa、並びに、EV駐車場Pb及びPc間は、図1に示すように距離a〜距離i、距離c1だけ離間している(ちなみに、(距離h+距離i)>(距離e+距離j)とする)。なお、分岐点とは、交差点を意味する。
ここで、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離Laが「(距離a+距離f)<(距離a+距離b+距離c+距離g)<航続可能距離La<(距離a+距離b+距離c+距離d+距離e+距離j)」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。換言すれば、駐車場Pa及びEV駐車場Pbは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置するものの、EV駐車場Pcは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置しないものと仮定する。
この仮定の下では、経路案内システム1は、航続可能距離La内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図1において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。
また、分岐点P11から分岐点P14までの間は下り勾配のある道路であるものとし、EV車両Cがこの分岐点P11から分岐点P14までの間を走行するとその充電量が増加して航続可能距離が著しく伸び、これら分岐点P11及び分岐点P14間に位置する地点P17におけるEV車両Cの航続可能距離L17が「(距離c1+距離g)<(距離c1+距離d+距離e+距離j)<航続可能距離L17」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。
こうした仮定の下では、経路案内システム1は、分岐点P11においては、航続可能距離La内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図1において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになるが、地点P17においては、航続可能距離L17内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pcまでの経路を含むマルチモーダル経路(図1において実線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。このようにして、経路案内システム1では、航続可能距離が伸びた場合にその伸びた航続可能距離を有効に活用することができるようになる。
以上説明した第1の実施の形態では、車載機10は、EV車両Cに搭載されて、当該EV車両Cの現在地情報及び目的地情報を取得するとともに当該EV車両Cの航続可能距離を算出し、これら現在地情報及び目的地情報並びに航続可能距離情報を車両管理センター20に無線通信により送信する。車両管理センター20は、無線通信により受信した現在地情報及び目的地情報並びに航続可能距離情報を各EV車両Cについて管理し、EV車両C及び電車を併用した、現在地から目的地までの経路であって、現在地からEV駐車場までについてはEV車両Cを利用し、EV駐車場を有する駅から目的地の最寄駅までについては電車を利用し、目的地の最寄駅から目的地までについては徒歩にて移動する経路であるマルチモーダル経路を探索するとともに、その探索したマルチモーダル経路情報を車載機10に無線通信により送信する。また、車載機10は、現在地情報及びマルチモーダル経路を用いて、マルチモーダル経路を案内する。そして、車両管理センター20は、電車に併設された駅が有するEV駐車場のうち、現在地から航続可能距離内に位置するEV駐車場であり、且つ、目的地の最寄駅までの電車代が最も安価となるEV駐車場までの経路を含むマルチモーダル経路を探索するとともに、マルチモーダル経路を探索・決定してから一定時間が経過したことに基づいて、マルチモーダル経路を再探索することとした。これにより、例えば航続可能距離が著しく伸びた場合等においては、目的地の最寄駅までの電車代をより安くすることができるようになる。このようにして、航続可能距離が伸びた場合にその伸びた航続可能距離を有効に活用することができるようになる。また、目的地の最寄駅までの電車代をより安くすることができるため、ユーザの経済的負担を軽減することができるようになる。
また、上記第1の実施の形態では、車載機10は、EV車両Cに搭載されて、当該EV車両CのSOC情報を算出し、その算出したSOC情報を車両管理センター20に無線通信により送信する。車両管理センター20は、探索したマルチモーダル経路情報及び無線通信により受信したSOC情報を各EV車両Cについて管理し、マルチモーダル経路上のEV駐車場が位置する各グリッドにおける充電電力を予測するとともに、その予測した充電電力に係る情報である充電電力予測情報を各グリッドへの給電を管理するグリッド給電管理センター30に提供することとした。これにより、充電電力量予測情報及びグリッド情報をグリッド給電管理センター30、すなわち電力会社に提供することができるようになり、電力会社は、経路案内システム1から提供された充電電力量予測情報及びグリッド情報に基づいて、グリッド単位での給電計画を立て、その立てた給電計画に沿って各グリッドに給電することができるようになり、ひいては、電力ニーズに適するように各グリッドに電力を供給することができるようになる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る経路案内システムの第2の実施の形態について、図8〜図11を参照して説明する。なお、図8は、先の図1に対応する図であって、グリッド給電管理センター30を含め、経路案内システム2の全体構成を示す図である。また、図9及び図10は、先の図4に対応する図であって、車載機10によって実行されるマルチモーダル経路案内処理S100aの処理手順を示すフローチャートである。図11は、車両管理センター20によって実行されるマルチモーダル経路探索処理S200aの処理手順を示すフローチャートである。
第1の実施の形態の経路案内システム1では、マルチモーダル経路を探索・決定してから一定時間が経過する毎に、再度、マルチモーダル経路を探索していたが、第2の実施の形態の経路案内システム2では、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cがそのマルチモーダル経路上のEV駐車場の周辺に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索する。これにより、経路案内システム1と比較して、経路案内システム2に係る演算負荷を低減するとともに、車載機10と車両管理センター20との間の無線通信の通信量を低減しようとしている。
具体的には、図9に示すように、車載機10は、先のステップS101の処理を終えてステップS103aの処理に移行すると、目的地情報、現在地情報、航続可能距離情報、及び経路探索の実行指示を示す信号を車両管理センター20に送信する。すなわち、この第2の実施の形態では、先の第1の実施の形態とは異なり、車載機10は、現在地情報及び航続可能距離情報を逐次送信しない。そして、車載機10は、ステップS103aの処理を実行すると、続くステップS107の処理に移行する。
また、図10に示すように、車載機10は、先のステップS111の処理を終えてステップS123の判断処理に移行すると、EV車両CがEV駐車場の周辺に到達したか否かを判断する。ここで、EV車両CがEV駐車場の周辺に到達したとは、既に案内開始していたマルチモーダル経路上のEV駐車場を中心として一定距離(例えば「5[km]」)を半径とする円内に到達したことを意味する。
ここで、車載機10は、EV車両CがEV駐車場の周辺に到達したと判断した場合(ステップS123の判断処理で「Yes」)、続くステップS125の処理として、マルチモーダル経路を再探索するべく、現在地情報及び航続可能距離情報を車両管理センター20に無線通信にて送信する。一方、車載機10は、EV車両CがEV駐車場の周辺に到達したと判断しなかった場合(ステップS123の判断処理で「No」)、当該ステップS123の判断処理を再度実行する。
また、図11に示すように、車両管理センター20は、ステップS201aの判断処理として、目的地情報、現在地情報、航続可能距離情報、及び経路探索の実行指示を示す信号を受信するか否かを判断する。ここで、これら各種情報及び信号を受信していない場合(ステップS201aの判断処理で「No」)、車両管理センター20は、当該ステップS201aの判断処理を再度実行する。一方、これら各種情報及び信号を受信した場合(ステップS201aの判断処理で「Yes」)、車両管理センター20は、続くステップS205の処理へ移行する。すなわち、この第2の実施の形態では、先の第1の実施の形態とは異なり、車両管理センター20はこれら情報を逐次受信しない。
また、車両管理センター20は、ステップS213の処理として、マルチモーダル経路情報を送信すると、続くステップS215aの判断処理として、車載機10から無線通信にて送信された現在地情報及び航続可能距離情報を受信したか否かを判断する。ここで、現在地情報及び航続可能距離情報を受信した場合(ステップS215aの判断処理で「Yes」)、車両管理センター20は、先のステップS207の処理に移行し、再度、マルチモーダル経路を探索する。一方、現在地情報及び航続可能距離情報を受信しなかった場合(ステップS215aの判断処理で「No」)、車両管理センター20は、先のステップS217の判断処理に移行する。
以上のように構成された経路案内システム2の動作例について、図8を参照して説明する。図8に示されるように、分岐点P11〜P16、地点P27、駐車場Pa、並びに、EV駐車場Pb及びPc間は、距離a〜距離i、距離c2だけ離間している。なお、地点P27は、分岐点P11において探索されたマルチモーダル経路上であり、且つ、EV駐車場Pbを中心として一定距離を半径とする円C2上の地点である。
ここで、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離Laが「(距離a+距離f)<(距離a+距離b+距離c+距離g)<航続可能距離La<(距離a+距離b+距離c+距離d+距離e+距離j)」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。換言すれば、駐車場Pa及びEV駐車場Pbは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置するものの、EV駐車場Pcは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置しないものと仮定する。
この仮定の下では、経路案内システム1は、航続可能距離La内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図8において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。
また、分岐点P11から分岐点P14までの間は下り勾配のある道路であるものとし、EV車両Cがこの分岐点P11から分岐点P14までの間を走行するとその充電量が増加して航続可能距離が著しく伸び、これら分岐点P11及び分岐点P14間に位置する地点P27におけるEV車両Cの航続可能距離L27が「(距離c2+距離g)<(距離c2+距離d+距離e+距離j)<航続可能距離L27」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。
こうした仮定の下では、経路案内システム2は、分岐点P11においては、航続可能距離La内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図8において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになるが、地点P27においては、航続可能距離L27内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pcまでの経路を含むマルチモーダル経路(図8において実線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。このようにして、経路案内システム1では、航続可能距離が伸びた場合にその伸びた航続可能距離を有効に活用することができるようになる。
以上説明した第2の実施の形態では、先の第1の実施の形態に準じた作用効果を得ることができるようになるだけでなく、さらに、次のような作用効果を得ることができるようにもなる。すなわち、経路案内システム2では、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cがそのマルチモーダル経路上のEV駐車場の周辺に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索することとした。これにより、マルチモーダル経路を探索・決定してから一定時間が経過する毎に、再度、マルチモーダル経路を探索する経路案内システム1よりも、経路案内システム2に係る演算負荷を低減するとともに、車載機10と車両管理センター20との間の無線通信の通信量を低減することができるようになる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る経路案内システムの第3の実施の形態について、図12、先の図9及び図13、並びに、図14及び図15を参照して説明する。なお、図12は、先の図1や図8に対応する図であって、グリッド給電管理センター30を含め、経路案内システム3の全体構成を示す図である。また、図13は、先の図10に対応する図であって、車載機10によって実行されるマルチモーダル経路案内処理S100bの処理手順のうち、先の図9に示した処理手順に続く処理手順を示すフローチャートである。また、図14は、車両管理センター20によって実行されるマルチモーダル経路探索処理200bの処理手順を示すフローチャートである。また、図15は、そのマルチモーダル経路探索処理S200bにおいて利用される判定表を示す図である。
第1の実施の形態の経路案内システム1では、マルチモーダル経路を探索・決定してから一定時間が経過する毎に、再度、マルチモーダル経路を探索していたが、第3の実施の形態の経路案内システム3では、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cが案内中のマルチモーダル経路上の分岐点に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索する。これにより、経路案内システム1と比較して、経路案内システム3に係る演算負荷を低減するとともに、車載機10と車両管理センター20との間の無線通信の通信量を低減しようとしている。
具体的には、図13に示すように、車載機10は、先のステップS111の処理(図9参照)を終えてステップS123bの判断処理に移行すると、EV車両Cが案内中のマルチモーダル経路上の分岐点に到達したか否かを判断する。ここで、EV車両Cが案内中のマルチモーダル経路上の分岐点に到達したとは、既に案内開始していたマルチモーダル経路上の分岐点であって、EV駐車場よりも手前(すなわち、当該EV車両C側)に位置する分岐点に到達したことを意味する。
ここで、車載機10は、EV車両Cが分岐点に到達したと判断した場合(ステップS123bの判断処理で「Yes」)、続くステップS125の処理として、マルチモーダル経路を再探索するべく、現在地情報及び航続可能距離情報を車両管理センター20に無線通信にて送信する。一方、車載機10は、EV車両Cが分岐点に到達したと判断しなかった場合(ステップS123bの判断処理で「No」)、当該ステップS123bの判断処理を再度実行する。
また、図14に示すように、車両管理センター20は、ステップS207aの処理として、目的地情報、現在地情報、航続可能距離情報、及び運賃情報に加え、図15に示す判定表Tb1を用いて、電車に併設された駅が有するEV駐車場のうち、案内中のマルチモーダル経路上の分岐点から航続可能距離内に位置するEV駐車場であり、且つ、目的地までの運賃が最も安価となるEV駐車場までの経路を含むマルチモーダル経路を探索する。
判定表Tb1の使用方法について図12及び図15を参照して説明する。車両管理センター20は、EV車両Cが分岐点P11に到達した場合、分岐点P11において算出された航続可能距離Laが「(距離a+距離b+距離c+距離g)+(距離g+距離c+距離b+距離f)」以上であるとき、EV駐車場Pbが分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内にあると判断する。また、車両管理センター20は、EV車両Cが分岐点P12に到達した場合、分岐点P12において算出された航続可能距離Lbが「(距離b+距離c+距離g)+(距離g+距離c+距離b+距離f)」以上であるとき、EV駐車場Pbが分岐点P12におけるEV車両Cの航続可能距離内にあると判断する。また、車両管理センター20は、EV車両Cが分岐点P13に到達した場合、分岐点P13において算出された航続可能距離Lcが「(距離c+距離d+距離e+距離j)+(距離j+距離e+距離d+距離g)」以上であるとき、EV駐車場Pcが分岐点P13におけるEV車両Cの航続可能距離内にあると判断する。また、車両管理センター20は、EV車両Cが分岐点P14に到達した場合、分岐点P14において算出された航続可能距離Ldが「(距離d+距離e+距離j)+(距離j+距離e+距離d+距離g)」以上であるとき、EV駐車場Pcが分岐点P14におけるEV車両Cの航続可能距離内にあると判断する。
このように、車両管理センター20は、分岐点の最寄駅よりも次に目的地の最寄駅側の駅が有するEV駐車場がその分岐点におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置するか否かについて、「その分岐点におけるEV車両Cの航続可能距離が、その分岐点からその分岐点の最寄駅よりも次に目的地の最寄駅側の駅が有するEV駐車場までの経路に沿った距離と、次に目的地の最寄駅側の駅が有するEV駐車場からその分岐点の最寄駅が有するEV駐車場までの経路に沿った距離との和以上であるか否か」に基づいて判断する。
以上のように構成された経路案内システム3の動作例について、図12を参照して説明する。図12に示されるように、グリッドG1内に位置する駅Saが有するEV駐車場Pa、グリッドG2内に位置する駅Sbが有するEV駐車場Pb、及びグリッドG3内に位置する駅Scが有するEV駐車場Pcには、EV車両Cを充電するための充電設備がそれぞれ設置されている。また、分岐点P11〜P16、EV駐車場Pa〜Pc間は、図12に示すように距離a〜距離iだけ離間している。
ここで、分岐点P12におけるEV車両Cの航続可能距離Lbが「{(距離b+距離c+距離g)+(距離g+距離c+距離b+距離f)}<航続可能距離Lb」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。換言すれば、分岐点P12における航続可能距離Lbは、分岐点P12からEV駐車場Pbまでの経路に沿った距離とEV駐車場PbからEV駐車場Paまでの経路に沿った距離との和以上であるものと仮定する。
この仮定の下では、経路案内システム3は、航続可能距離Lb内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図12において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。
また、分岐点P11から分岐点P14までの間は下り勾配のある道路であるものとし、EV車両Cが分岐点P12から分岐点P13までの間を走行するとその充電量が増加して航続可能距離が著しく伸び、これら分岐点P11及び分岐点P14間に位置する分岐点P13におけるEV車両Cの航続可能距離Lcが「{(距離c+距離d+距離e+距離j)+(距離j+距離e+距離d+距離g)}<航続可能距離Lc」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。
こうした仮定の下では、経路案内システム3は、分岐点P12においては、航続可能距離Lb内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図12において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになるが、分岐点P13においては、航続可能距離Lc内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pcまでの経路を含むマルチモーダル経路(図12において実線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。このようにして、経路案内システム3では、航続可能距離が伸びた場合にその伸びた航続可能距離を有効に活用することができるようになる。
また、分岐点P11から分岐点P14までの間は下り勾配のある道路であるものとし、EV車両Cが分岐点P12から分岐点P13までの間を走行するとその充電量が増加して航続可能距離が伸び、分岐点P13におけるEV車両Cの航続可能距離Lcは「(距離c+距離d+距離e+距離j)<航続可能距離Lc<{(距離c+距離d+距離e+距離j)+(距離j+距離e+距離d+距離g)}」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。
こうした仮定の下では、経路案内システム3は、分岐点P13においては、航続可能距離Lc内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図12において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。
先の第1の実施の形態の経路案内システム1や第2の実施の形態の経路案内システム2では、例えば、EV車両Cが分岐点P16からEV駐車場Pcまでの間を走行中に激しい渋滞に巻き込まれたり、EV車両Cが分岐点P16からEV駐車場Pcまでの間を走行中にEV駐車場Pcが満車になったりした場合等においては、EV車両Cの充電量不足のためにEV駐車場Pbに引き返すことができなくなってしまう事態も生じ得る。
しかしながら、本実施の形態の経路案内システム3では、そのような場合であっても、EV駐車場PcからEV駐車場Pbまでの経路に沿った距離分だけ余裕をみていることから、EV車両Cの充電量不足のためにEV駐車場Pbに引き返すことができなくなる上記事態が生じることはほとんどない。
以上説明した第3の実施の形態では、先の第1の実施の形態に準じた作用効果を得ることができるようになるだけでなく、さらに、次のような作用効果を得ることができるようにもなる。すなわち、経路案内システム3では、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cが案内中のマルチモーダル経路上の分岐点に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索することとした。これにより、マルチモーダル経路を探索・決定してから一定時間が経過する毎に、再度、マルチモーダル経路を探索する経路案内システム1よりも、経路案内システム3に係る演算負荷を低減するとともに、車載機10と車両管理センター20との間の無線通信の通信量を低減することができるようになる。
また、経路案内システム3では、分岐点の最寄駅よりも次に目的地の最寄駅側の駅が有するEV駐車場がその分岐点におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置するか否かについて、「その分岐点におけるEV車両Cの航続可能距離が、その分岐点からその分岐点の最寄駅よりも次に目的地の最寄駅側の駅が有するEV駐車場までの経路に沿った距離と、次に目的地の最寄駅側の駅が有するEV駐車場からその分岐点の最寄駅が有するEV駐車場までの経路に沿った距離との和以上であるか否か」に基づいて判断することとした。これにより、例えば渋滞や満車等に起因して、分岐点の最寄駅よりも次の目的地の最寄駅側の駅に併設されたEV駐車場に到達できない状況となっても、分岐点の最寄駅に引き返すことができるようになる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る経路案内システムの第4の実施の形態について、図16、図17及び図18、並びに、図19を参照して説明する。なお、図16は、先の図1や図8に対応する図であって、グリッド給電管理センター30を含め、経路案内システム4の全体構成を示す図である。また、図17は、先の図9に対応する図であって、車載機10によって実行されるマルチモーダル経路案内処理S100cの処理手順を示す図である。また、図18は、先の図10や図13に対応する図であって、車載機10によって実行されるマルチモーダル経路案内処理S100cの処理手順のうち、図17に示した処理手順に続く処理手順を示すフローチャートである。また、図19は、先の図11や図14に対応する図であって、車両管理センター20によって実行されるマルチモーダル経路探索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第1の実施の形態の経路案内システム1では、マルチモーダル経路を探索・決定してから一定時間が経過する毎に、再度、マルチモーダル経路を探索していたが、第4の実施の形態の経路案内システム4では、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cがユーザ操作により設定された再探索地点に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索する。これにより、経路案内システム1と比較して、経路案内システム4に係る演算負荷を低減するとともに、車載機10と車両管理センター20との間の無線通信の通信量を低減しようとしている。
具体的には、当該車載機10のユーザは、操作部13を構成する上記適宜の入力装置を操作することにより、目的地の情報である目的地情報、経路探索の実行指示、及び経路案内の開始指示に加え、マルチモーダル経路を再探索する再探索地点の情報である再探索地点情報を入力することができる。なお、操作部13が特許請求の範囲に記載の再探索地点情報取得手段に相当する。
図17に示すように、マルチモーダル経路案内処理S100cを実行開始すると、車載機10は、まず、ステップS101cの判断処理として、目的地情報、再探索地点情報、及び経路探索の実行指示が操作部13から入力されたか否かを判断する。ここで、目的地情報、再探索地点情報、及び経路探索の実行指示が入力されていない場合(ステップS101cの判断処理で「No」)、車載機10は、ステップS101cの判断処理を再度実行する一方、目的地情報、再探索地点情報、及び経路探索の実行指示が入力された場合(ステップS101cの判断処理で「Yes」)、車載機10は、続くステップS103cの処理へ移行する。ステップS103cの処理へ移行すると、車載機10は、目的地情報、現在地情報、航続可能距離情報、再探索地点情報、及び経路探索の実行指示を示す信号を車両管理センター20に送信し、続くステップS107の処理に移行する。
また、図18に示すように、車載機10は、先のステップS111の処理(図17参照)を終えてステップS123cの判断処理に移行すると、EV車両Cが再探索地点に到達したか否かを判断する。
ここで、車載機10は、EV車両Cが再探索地点に到達したと判断した場合(ステップS123cの判断処理で「Yes」)、続くステップS125の処理として、マルチモーダル経路を再探索するべく、現在地情報及び航続可能距離情報を車両管理センター20に無線通信にて送信する。一方、車載機10は、EV車両Cが再探索地点に到達したと判断しなかった場合(ステップS123cの判断処理で「No」)、当該ステップS123cの判断処理を再度実行する。
また、図19に示すように、車両管理センター20は、ステップS201cの判断処理として、目的地情報、現在地情報、航続可能距離情報、再探索地点情報、及び経路探索の実行指示を示す信号を受信するか否かを判断する。ここで、これら各種情報及び信号を受信していない場合(ステップS201cの判断処理で「No」)、車両管理センター20は、当該ステップS201cの判断処理を再度実行する。一方、これら各種情報及び信号を受信した場合(ステップS201cの判断処理で「Yes」)、車両管理センター20は、続くステップS205の処理へ移行する。なお、車両管理センター20は、車載機10から受信した再探索地点情報をセンター側記憶部21に記憶する。このようにして、EV車両C(すなわち車載機10)のユーザは車両管理センター20に再探索地点を登録することができる。
以上のように構成された経路案内システム4の動作例について、図16を参照して説明する。図16に示されるように、分岐点P11〜P16、EV駐車場Pa〜Pc間は、距離a〜距離iだけ離間している。なお、再探索地点P47〜P49は、操作部13でのユーザ操作により登録された地点である。
ここで、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離Laが「(距離a+距離f)<(距離a+距離b+距離c+距離g)<航続可能距離La<(距離a+距離b+距離c+距離d+距離e+距離j)」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。換言すれば、駐車場Pa及びEV駐車場Pbは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置するものの、EV駐車場Pcは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置しないものと仮定する。
この仮定の下では、経路案内システム4は、航続可能距離La内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図16において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。
また、分岐点P11から分岐点P14までの間は下り勾配のある道路であるものとし、EV車両Cがこの分岐点P11から分岐点P14までの間を走行するとその充電量が増加して航続可能距離が著しく伸び、分岐点P13及び分岐点P14間に設定された再探索地点P47におけるEV車両Cの航続可能距離L47が「(距離c3+距離g)<(距離c3+距離d+距離e+距離j)<航続可能距離L47」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。
こうした仮定の下では、経路案内システム4は、分岐点P11においては、航続可能距離La内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図16において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになるが、再探索地点P47においては、航続可能距離L47内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pcまでの経路を含むマルチモーダル経路(図16において実線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。このようにして、経路案内システム4では、航続可能距離が伸びた場合にその伸びた航続可能距離を有効に活用することができるようになる。
以上説明した第4の実施の形態では、先の第1の実施の形態に準じた作用効果を得ることができるようになるだけでなく、さらに、次のような作用効果を得ることができるようにもなる。すなわち、経路案内システム4では、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cがユーザ操作により登録された再探索地点に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索することとした。ユーザが例えばマルチモーダル経路上の分岐点の近傍等の適切な位置に適切な数だけ再探索地点を登録することによりマルチモーダル経路の再探索回数を減らすことができることから、マルチモーダル経路を探索・決定してから一定時間が経過する毎に、再度、マルチモーダル経路を探索する経路案内システム1よりも、あるいは、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cがそのマルチモーダル経路上の分岐点に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索する経路案内システム3よりも、経路案内システム4に係る演算負荷を低減するとともに、車載機10と車両管理センター20との間の無線通信の通信量を低減することができるようになる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係る経路案内システムの第5の実施の形態について、図20、図21及び図22、並びに、図23を参照して説明する。なお、図20は、先の図16等に対応する図であって、グリッド給電管理センター30を含め、経路案内システム5の全体構成を示す図である。また、図21は、先の図17等に対応する図であって、車載機10によって実行されるマルチモーダル経路案内処理S100dの処理手順を示す図である。図22は、先の図18等に対応する図であって、車載機10によって実行されるマルチモーダル経路案内処理S100dの処理手順のうち、図21に示した処理手順に続く処理手順を示すフローチャートである。また、図23は、先の図19等に対応する図であって、車両管理センター20によって実行されるマルチモーダル経路探索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第4の実施の形態の経路案内システム4では、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cがユーザ操作により登録された再探索地点に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索していたが、第5の実施の形態の経路案内システム5では、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cがユーザ操作により登録された再探索地点及びこの登録された再探索地点に隣接する分岐点を含む再探索エリア内に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索する。これにより、経路案内システム4と比較して、経路案内システム5に係る演算負荷を低減するとともに、車載機10と車両管理センター20との間の無線通信の通信量を低減しようとしている。
具体的には、当該車載機10のユーザは、操作部13を構成する上記適宜の入力装置を操作することにより、目的地の情報である目的地情報、経路探索の実行指示、及び経路案内の開始指示に加え、マルチモーダル経路を再探索する再探索地点の情報である再探索地点情報を入力することができる。再探索地点情報が入力されると、車載機10は、再探索地点を中心とし、隣接する分岐点を少なくとも1つ含む円形領域である再探索エリアを設定する。なお、操作部13が特許請求の範囲に記載の再探索エリア情報取得手段に相当する。
図21に示すように、マルチモーダル経路案内処理S100dを実行開始すると、車載機10は、まず、ステップS101dの判断処理として、目的地情報、再探索地点(すなわち再探索エリア)、及び経路探索の実行指示が操作部13から入力されたか否かを判断する。ここで、目的地情報、再探索エリアの情報である再探索エリア情報、及び経路探索の実行指示が入力されていない場合(ステップS101dの判断処理で「No」)、車載機10は、ステップS101dの判断処理を再度実行する一方、目的地情報、再探索エリア情報、及び経路探索の実行指示が入力された場合(ステップS101dの判断処理で「Yes」)、車載機10は、続くステップS103dの処理へ移行する。ステップS103dの処理へ移行すると、車載機10は、目的地情報、現在地情報、航続可能距離情報、再探索エリア情報、及び経路探索の実行指示を示す信号を車両管理センター20に送信し、続くステップS107の処理に移行する。
また、図22に示すように、車載機10は、先のステップS111の処理(図21参照)を終えてステップS123dの判断処理に移行すると、EV車両Cが再探索エリア内に到達したか否かを判断する。
ここで、車載機10は、EV車両Cが再探索エリア内に到達したと判断した場合(ステップS123dの判断処理で「Yes」)、続くステップS125の処理として、マルチモーダル経路を再探索するべく、現在地情報及び航続可能距離情報を車両管理センター20に無線通信にて送信する。一方、車載機10は、EV車両Cが再探索エリア内に到達したと判断しなかった場合(ステップS123dの判断処理で「No」)、当該ステップS123dの判断処理を再度実行する。
また、図23に示すように、車両管理センター20は、ステップS201dの判断処理として、目的地情報、現在地情報、航続可能距離情報、再探索エリア情報、及び経路探索の実行指示を示す信号を受信するか否かを判断する。ここで、これら各種情報及び信号を受信していない場合(ステップS201dの判断処理で「No」)、車両管理センター20は、当該ステップS201dの判断処理を再度実行する。一方、これら各種情報及び信号を受信した場合(ステップS201dの判断処理で「Yes」)、車両管理センター20は、続くステップS205の処理へ移行する。なお、車両管理センター20は、車載機10から受信した再探索エリア情報をセンター側記憶部21に記憶する。このようにして、EV車両C(すなわち車載機10)のユーザは車両管理センター20に再探索エリアを登録することができる。
以上のように構成された経路案内システム5の動作例について、図20を参照して説明する。図20に示されるように、分岐点P11〜P16、EV駐車場Pa〜Pc間は、距離a〜距離iだけ離間している。なお、再探索地点P47及びP49は、操作部13でのユーザ操作により定められた地点であり、車載機10は、再探索地点P47を中心として当該再探索地点P47に隣接する分岐点P13を含む円形領域である再探索エリアA57を設定するとともに、再探索地点P49を中心として当該再探索地点P49に隣接する分岐点P15及びP16を含む円形領域である再探索エリアA59を設定する。
ここで、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離Laが「(距離a+距離f)<(距離a+距離b+距離c+距離g)<航続可能距離La<(距離a+距離b+距離c+距離d+距離e+距離j)」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。換言すれば、駐車場Pa及びEV駐車場Pbは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置するものの、EV駐車場Pcは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置しないものと仮定する。
この仮定の下では、経路案内システム5は、航続可能距離La内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図20において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。
また、分岐点P11から分岐点P14までの間は下り勾配のある道路であるものとし、EV車両Cがこの分岐点P11から分岐点P14までの間を走行するとその充電量が増加して航続可能距離が著しく伸び、分岐点P13及び分岐点P14間に登録された再探索地点P47を中心に設定された再探索エリアA57に到達した地点におけるEV車両Cの航続可能距離L57が「(距離c3+距離g)<(距離c3+距離d+距離e+距離j)<航続可能距離L57」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。
こうした仮定の下では、経路案内システム5は、分岐点P11においては、航続可能距離La内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図20において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになるが、再探索エリアA57内に到達した地点においては、航続可能距離L57内にあって電車代が最も安価であるEV駐車場Pcまでの経路を含むマルチモーダル経路(図20において実線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。このようにして、経路案内システム5では、航続可能距離が伸びた場合にその伸びた航続可能距離を有効に活用することができるようになる。
以上説明した第5の実施の形態では、先の第1の実施の形態に準じた作用効果を得ることができるようになるだけでなく、さらに、次のような作用効果を得ることができるようにもなる。すなわち、経路案内システム5では、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cがユーザ操作により登録された再探索地点及びこの再探索地点に隣接する分岐点を含む再探索エリア内に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索することとした。ユーザが例えばマルチモーダル経路上の分岐点の近傍等の適切な位置に適切な数だけ再探索地点を設定することによりマルチモーダル経路の再探索回数を減らすことができることから、マルチモーダル経路を探索・決定してから一定時間が経過する毎に、再度、マルチモーダル経路を探索する経路案内システム1よりも、あるいは、マルチモーダル経路を探索・決定した後、EV車両Cがそのマルチモーダル経路上の分岐点に到達した場合に、再度、マルチモーダル経路を探索する経路案内システム3よりも、経路案内システム5に係る演算負荷を低減するとともに、車載機10と車両管理センター20との間の無線通信の通信量を低減することができるようになる。また、再探索地点を大雑把に定めてもよいため、車載機10の操作に係るユーザの負担を経路案内システム4よりも軽減することができるようになる。
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係る経路案内システムの第6の実施の形態について、図24、図25及び先の図10、並びに、図26を参照して説明する。なお、図24は、先の図20等に対応する図であって、グリッド給電管理センター30を含め、経路案内システム6の全体構成を示す図である。また、図25は、先の図21等に対応する図であって、車載機10によって実行されるマルチモーダル経路案内処理S100eの処理手順を示す図である。また、図26は、先の図23等に対応する図であって、車両管理センター20によって実行されるマルチモーダル経路探索処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第6の実施の形態の経路案内システム6は、EV車両C及び電車を併用した、現在地から立寄地を経由した目的地までの経路であって、現在地からEV駐車場まではEV車両Cを利用し、EV駐車場を有する駅と立寄地の最寄駅との往復については電車を利用し、立寄地の最寄駅から立寄地までについては徒歩にて移動し、EV駐車場から目的地までについてはEV車両Cを利用する経路であるマルチモーダル経路を探索する。また、経路案内システム6では、EV車両Cのユーザが立寄地からEV車両Cを駐車したEV駐車場に電車を利用して戻る予定時刻までに、このEV車両Cを駐車したEV駐車場を出発して目的地に到達するのに必要な充電量をEV車両Cに充電することが可能なEV駐車場までの経路を含むマルチモーダル経路を探索する。これにより、EV車両Cのユーザが、目的地へ向けて駐車場を出発する際に、充電量不足に起因した航続可能距離不足を心配する必要をなくすことにより、EV車両Cのユーザの心理的不安を解消しようとしている。
具体的には、EV車両Cのユーザは、操作部13を構成する上記適宜の入力装置を操作することにより、目的地の情報である目的地情報、経路探索の実行指示、及び経路案内の開始指示に加え、立寄地の情報である立寄地情報、及びEV車両Cのユーザが立寄地からEV車両Cを駐車したEV駐車場に電車を利用して戻る予定時刻(例えば「14時」等)の情報である予定時刻情報を入力することができる。したがって、操作部13が特許請求の範囲に記載の立寄地情報取得手段及び予定時刻情報取得手段に相当する。なお、EV車両Cのユーザは、EV車両Cの充電状態が満充電である場合の航続可能距離以内にある地点を目的地として入力できるものとする。また、EV駐車場Pa〜Pcに設置されている充電設備は、通常の家庭電源を用いた充電設備である通常充電設備であり、EV車両Cを充電する電圧である充電電圧は例えば「100[V]」等である。
図25に示すように、マルチモーダル経路案内処理S100eを実行開始すると、車載機10は、まず、ステップS101eの判断処理として、目的地情報、立寄地情報、予定時刻情報、及び経路探索の実行指示が操作部13から入力されたか否かを判断する。ここで、目的地情報、立寄地情報、及び経路探索の実行指示が入力されていない場合(ステップS101eの判断処理で「No」)、車載機10は、ステップS101eの判断処理を再度実行する一方、目的地情報、立寄地情報、予定時刻情報、及び経路探索の実行指示が入力された場合(ステップS101eの判断処理で「Yes」)、車載機10は、続くステップS103eの処理へ移行する。ステップS103eの処理へ移行すると、車載機10は、目的地情報、立寄地情報、予定時刻情報、現在地情報、航続可能距離情報、SOC情報、及び経路探索の実行指示を示す信号を車両管理センター20に送信し、続くステップS107の処理に移行する。
また、先の図10に示すように、車載機10は、先のステップS111の処理を終えてステップS123の判断処理に移行すると、EV車両CがEV駐車場の周辺に到達したか否かを判断する。ここで、車載機10は、EV車両CがEV駐車場の周辺に到達したと判断した場合(ステップS123の判断処理で「Yes」)、続くステップS125の処理として、マルチモーダル経路を再探索するべく、現在地情報及び航続可能距離情報を車両管理センター20に無線通信にて送信する。一方、車載機10は、EV車両CがEV駐車場の周辺に到達したと判断しなかった場合(ステップS123の判断処理で「No」)、当該ステップS123の判断処理を再度実行する。
また、図26に示すように、車両管理センター20は、ステップS201eの判断処理として、目的地情報、立寄地情報、予定時刻情報、現在地情報、航続可能距離情報、SOC情報、及び経路探索の実行指示を示す信号を受信するか否かを判断する。ここで、これら各種情報及び信号を受信していない場合(ステップS201eの判断処理で「No」)、車両管理センター20は、当該ステップS201eの判断処理を再度実行する。一方、これら各種情報及び信号を受信した場合(ステップS201eの判断処理で「Yes」)、車両管理センター20は、続くステップS205の処理へ移行する。
車両管理センター20は、続くステップS205の処理として、センター側記憶部21から運賃情報を読み出し、続くステップS207eの処理として、目的地情報、立寄地情報、予定時刻情報、現在地情報、SOC情報、及び航続可能距離情報に加え、この読み出した運賃情報及び図示しない適宜の手段によって取得した現在の時刻情報である現在時刻情報に基づいて、電車に併設された駅が有するEV駐車場のうち、現在地から航続可能距離内に位置するEV駐車場であり、ユーザが立寄地から電車を利用して戻る予定時刻までに目的地に到達するに必要な充電量を充電することが可能なEV駐車場であり、且つ、立寄地の最寄駅までの電車代が最も安価となるEV駐車場までの経路を含むマルチモーダル経路を探索する。
こうしたEV駐車場の検索について詳述する。車両管理センター20は、まず、現在地情報及び航続可能距離情報を用いて「現在地から当該現在地における航続可能距離内に位置するEV駐車場」を探索する。次に、車両管理センター20は、現在地情報及び現在時刻情報を用いて、EV車両CがEV駐車場に到着して充電設備にて充電開始される時刻である充電開始時刻を予測し、その予測した充電開始時刻の情報である充電開始時刻情報及び予定時刻情報を用いて、充電開始時刻から予定時刻までにEV駐車場に設置された充電設備にてEV車両Cに充電することの可能な充電量である充電可能充電量を算出する。また、車両管理センター20は、現在地情報及びSOC情報を用いて、EV車両CがEV駐車場に到着時におけるEV車両Cの充電量を予測し、その予測した到着時充電量の情報である到着時充電量情報、及び、上記充電可能充電量の情報である充電可能受電量情報を用いて、予定時刻におけるEV車両Cの充電量である予定時刻充電量を予測する。また、車両管理センター20は、EV車両CがEV駐車場を出発して目的地に到達するに必要なEV車両Cの充電量である必要充電量を算出する。そして、車両管理センター20は、上記予定時刻充電量の情報である予定時刻充電量情報、及び、上記必要充電量の情報である必要充電量情報を用いて、「現在地から当該現在地における航続可能距離内に位置するEV駐車場」の中から「予定時刻充電量が必要充電量を上回るEV駐車場」を探索する。さらに、車両管理センター20は、「予定時刻充電量が必要充電量を上回るEV駐車場」の中から「立寄地の最寄駅までの電車代が最も安価となるEV駐車場」を探索する。
このようにしてEV駐車場を探索し、このEV駐車場までの経路を含むマルチモーダル経路を探索すると、車両管理センター20は、続くステップS209の判断処理に移行する。
以上のように構成された経路案内システム6の動作例について、図24を参照して説明する。図24に示されるように、分岐点P11〜P16、地点P27、駐車場Pa、並びに、EV駐車場Pb及びPc間は、距離a〜距離i、距離c2だけ離間している。なお、地点P27は、分岐点P11において探索されたマルチモーダル経路上であり、且つ、EV駐車場Pbを中心として一定距離(例えば「5[km]」)を半径とする円C2上の地点である。
ここで、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離Laが「(距離a+距離f)<(距離a+距離b+距離c+距離g)<航続可能距離La<(距離a+距離b+距離c+距離d+距離e+距離j)」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。換言すれば、駐車場Pa及びEV駐車場Pbは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置するものの、EV駐車場Pcは、分岐点P11におけるEV車両Cの航続可能距離内に位置しないものと仮定する。
さらに、EV車両CをEV駐車場Paに駐車した場合、予定時刻におけるEV車両Cの充電量はEV駐車場Paを出発して目的地に到達するに必要な充電量を下回るものの、EV車両CをEV駐車場Pbに駐車した場合、予定時刻におけるEV車両Cの充電量はEV駐車場Pbを出発して目的地に到達するに必要な充電量を上回るものと仮定する。
こうした仮定の下では、経路案内システム6は、航続可能距離La内にあり、予定時刻までに目的地に到達するに必要な充電量を充電することが可能であり、且つ、電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図24において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。
また、分岐点P11から分岐点P14までの間は下り勾配のある道路であるものとし、EV車両Cがこの分岐点P11から分岐点P14までの間を走行するとその充電量が増加して航続可能距離が著しく伸び、これら分岐点P11及び分岐点P14間に位置する地点P27におけるEV車両Cの航続可能距離L27が「(距離c2+距離g)<(距離c2+距離d+距離e+距離j)<航続可能距離L27」との関係を満足するように算出されたものと仮定する。
さらに、EV車両CをEV駐車場Pbに駐車した場合、予定時刻におけるEV車両Cの充電量はEV駐車場Pbを出発して目的地に到達するに必要な充電量を上回り、EV車両CをEV駐車場Pcに駐車した場合、予定時刻におけるEV車両Cの充電量はEV駐車場Pcを出発して目的地に到達するに必要な充電量を上回るものと仮定する。
こうした仮定の下では、経路案内システム6は、分岐点P11においては、航続可能距離La内に位置し、予定時刻までに目的地に到達するに必要な充電量を充電することが可能であり、且つ、電車代が最も安価であるEV駐車場Pbまでの経路を含むマルチモーダル経路(図24において破線の矢印にて示す)を探索・案内することになるが、地点P27においては、航続可能距離L27内にあり、予定時刻までに目的地に到達するに必要な充電量を充電することが可能であり、且つ、電車代が最も安価であるEV駐車場Pcまでの経路を含むマルチモーダル経路(図24において実線の矢印にて示す)を探索・案内することになる。このようにして、経路案内システム6では、航続可能距離が伸びた場合にその伸びた航続可能距離を有効に活用することができるようになる。
以上説明した第6の実施の形態では、先の第1の実施の形態に準じた作用効果を得ることができるようになるだけでなく、さらに、次のような作用効果を得ることができるようにもなる。すなわち、経路案内システム6では、EV車両Cのユーザが立寄地からEV車両Cを駐車したEV駐車場に電車を利用して戻る予定時刻までに、このEV車両Cを駐車したEV駐車場を出発して目的地に到達するのに必要な充電量をEV車両Cに充電することが可能なEV駐車場までの経路を含むマルチモーダル経路を探索することとした。これにより、EV車両Cのユーザが、目的地へ向けてEV駐車場を出発する際に、充電量不足に起因した航続可能距離不足を心配する必要をなくすことにより、EV車両Cのユーザの心理的不安を解消することができるようになる。
なお、上記第6の実施の形態では、EV駐車場Pa〜Pcには、通常の家庭電源を用いた充電設備である通常充電設備が設置されているものとしていたが、これに限らない。EV駐車場Pa〜Pcには、通常の家庭電源ではない専用電源を用いて家庭電源よりも高い充電電圧(例えば「200[V]等)にてEV車両Cを充電可能な充電設備である急速充電設備が設置されているものとしてもよく、これら通常充電設備及び急速充電設備が双方とも設置されているものとしてもよい。なお、急速充電設備は、通常充電設備よりも高い充電電圧にてEV車両Cを充電することが可能であることから、より短い充電時間にて同一の充電量を充電することが可能である。そして、これら通常充電設備及び急速充電設備が双方とも設置されている場合には、車両管理センター20は、充電設備の種類に応じて上記充電可能充電量を算出することとなる。
(他の実施の形態)
なお、本発明に係る経路案内システム、車両管理センター、及び車載機は、上記第1〜第6の実施の形態にて上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記各実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
上記各実施の形態では、車両管理センター20にてマルチモーダル経路を探索していたが、これに限らない。車載機10にてマルチモーダル経路を探索することとしてもよい。