JP6456950B2 - 摺動部品 - Google Patents
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Description
発明が開示されている(以下、「従来技術1」という。)。
また、上記従来技術2は、摺動面の内・外周の差圧の大きさに関係することなく漏れ防止と潤滑の両機能を奏する点で画期的な発明であるが、各ディンプル50の基本的な形状がクランク状であることにより、上流側のキャビテーション形成領域50aから下流側の正圧発生領域50bへの流体移動において若干スムーズさを欠くため、正圧発生領域50bの低圧流体側Xにおける動圧発生が過大になり漏れにつながるおそれがあり、また、動圧発生領域の圧力ピーク位置から低圧流体側までの距離がそれほど大きくとれないため漏れにつながるおそれがあるという問題があった。さらに、上流側のキャビテーション形成領域を低圧流体側に寄って配置する関係上、キャビテーション形成領域の径方向の幅を大きくすることができず、負圧発生起点を大きくできないという問題があった。
また、同時に、負圧発生起点を大きくすると共に、低圧流体側のほぼ全周にわたってキャビテーション領域を配設することにより、より一層、漏れ防止の機能を向上させた摺動部品を提供することを目的とするものである。
この特徴によれば、上流側のディンプルの正圧発生領域から低圧流体側に漏洩しようとする流体は下流側のディンプルのキャビテーション形成領域の上流側に流入することになり、低圧流体側への漏洩が阻止され密封性が向上される。すなわち、低圧流体側のほぼ全周にわたってキャビテーション形成領域が配設されるため、より一層、漏れ防止の機能を向上させることができる。
また、キャビテーション形成領域の径方向の幅を大きくすることできるため、負圧発生起点を大きくすることができ、密封性を向上することができる。
さらに、キャビテーション形成領域が大きくなるため、摺動面のせん断抵抗を小さくすることができ、摺動部品の低トルク化を図ることができる。
さらに、キャビテーション形成領域に流入した流体は正圧発生領域にスムーズに流れ、低圧流体側の縁にぶつかった流体の流れにおいて正圧が立たないため、正圧発生領域の先端側の低圧流体側における動圧発生を抑えることができ、低圧流体側に漏洩する流体の量を低減することができる。
さらに、正圧発生領域において正圧が発生する正圧発生部の先端側の圧力ピーク位置から低圧流体側までの距離が大きくなり、その結果、圧力勾配が小さくなり、漏れ量を低減することができる。
この特徴によれば、高圧流体側に配設されたレイリーステップからなる正圧発生機構で流体膜を形成して潤滑できると共に、低圧流体側に配設されたディンプルで密封と潤滑とを行うことができるものであって、ディンプルによる密封作用を確実なものとすることができる。
この特徴によれば、高圧流体側に配設されたレイリーステップからなる正圧発生機構で流体膜を形成して潤滑し、低圧流体側に配設されたディンプルで密封と潤滑とを行うものであって、半径方向溝及び圧力開放溝のような深溝を設ける必要がないため、加工が容易であるというメリットがある。
(1)上流側のディンプルの正圧発生領域から低圧流体側に漏洩しようとする流体は下流側のディンプルのキャビテーション形成領域の上流側に流入することになり、低圧流体側への漏洩が阻止され密封性が向上される。すなわち、低圧流体側のほぼ全周にわたってキャビテーション形成領域が配設されるため、より一層、漏れ防止の機能を向上させることができる。
また、キャビテーション形成領域の径方向の幅を大きくすることできるため、負圧発生起点を大きくすることができ、密封性を向上することができる。
さらに、キャビテーション形成領域が大きくなるため、摺動面のせん断抵抗を小さくすることができ、摺動部品の低トルク化を図ることができる。
さらに、キャビテーション形成領域に流入した流体は正圧発生領域にスムーズに流れ、低圧流体側の縁にぶつかった流体の流れにおいて正圧が立たないため、正圧発生領域の先端側の低圧流体側における動圧発生を抑えることができ、低圧流体側に漏洩する流体の量を低減することができる。
なお、本実施例においては、メカニカルシールを構成する部品が摺動部品である場合を例にして説明する。
図1は、メカニカルシールの一例を示す縦断面図であって、摺動面の外周から内周方向に向かって漏れようとする高圧流体側の被密封流体を密封する形式のインサイド形式のものであり、高圧流体側のポンプインペラ(図示省略)を駆動させる回転軸1側にスリーブ2を介してこの回転軸1と一体的に回転可能な状態に設けられた円環状の回転環3と、ポンプのハウジング4に非回転状態かつ軸方向移動可能な状態で設けられた円環状の固定環5とが、この固定環5を軸方向に付勢するコイルドウェーブスプリング6及びベローズ7によって、ラッピング等によって鏡面仕上げされた摺動面S同士で密接摺動するようになっている。すなわち、このメカニカルシールは、回転環3と固定環5との互いの摺動面Sにおいて、被密封流体が回転軸1の外周から大気側へ流出するのを防止するものである。
なお、本発明は、インサイド形式のものに限らず、摺動面の内周から外周方向に向かって漏れようとする高圧流体側の被密封流体を密封するアウトサイド形式のものにも適用できることはいうまでもない。
なお、回転環3の摺動面にディンプルが形成される場合も同じである
各ディンプル10のキャビテーション形成領域10aの低圧流体側の縁10cは低圧流体側と摺動面S1で離隔され、また、同じく高圧流体側の縁10dは高圧流体側と摺動面S2で離隔されている。
各ディンプル10のキャビテーション形成領域10aで吸入された流体は当該ディンプル内を通って正圧発生領域10bで動圧(正圧)を発生し、径方向に近い側の高圧流体側に戻されるようになっている。
なお、各ディンプル10の径方向の幅aは、摺動面の径方向の幅をbとすると、a=(1/5〜4/5)×bに設定されるのが望ましい。
なお、上流側の始端10eと低圧流体側の縁10fとが「ほぼ平行」とは、両者の交角が0゜〜30°の範囲に有ることを意味する。
また、上流側の始端10eが上流側に配置されたディンプル10の正圧発生領域10bにおいて正圧が発生するハッチングで示された略三角形の領域Pの部分と径方向において重複するように配設されることにより、上流側のディンプル10の正圧発生領域10bから低圧流体側に漏洩しようとする矢印Rで示される流体は下流側のディンプル10のキャビテーション形成領域10aの上流側に流入することになり、低圧流体側への漏洩が阻止され密封性が向上される。すなわち、低圧流体側のほぼ全周にわたってキャビテーション形成領域が配設されるため、より一層、漏れ防止の機能を向上させることができる。
さらに、キャビテーション形成領域の径方向の幅を大きくすることできるため、負圧発生起点を大きくすることができ、密封性を向上することができる。
さらに、キャビテーション形成領域が大きくなるため、摺動面のせん断抵抗を小さくすることができ、摺動部品の低トルク化を図ることができる。
その際、正圧発生領域10bの低圧流体側の縁10dのテーパ角θは、低圧流体側の縁10dにぶつかった流体がスムーズに流れ正圧が立たないようにする観点から小さいほど望ましい。
また、正圧発生領域10bに関しては、正圧発生領域10bの低圧流体側の縁10fは、低圧流体側から高圧流体側に向けて相手摺動面の回転方向に沿って傾斜するテーパ形状をなし、キャビテーション形成領域10aの低圧流体側の縁10cと滑らかに接続されていればよく、例えば、船体の船首部の側面のような形状でよい。
図3(a)において、矢印で示すように、固定環5に対して回転環3が反時計方向に回転移動するが、固定環5の摺動面Sにディンプル10が形成されていると、該ディンプル10の下流側には狭まり隙間(段差)11が存在する。相対する回転環3の摺動面は平坦である。
回転環3が矢印で示す方向に相対移動すると、回転環3及び固定環5の摺動面間に介在する流体が、その粘性によって、回転環3の移動方向に追随移動しようとするため、その際、狭まり隙間(段差)11の存在によって破線で示すような動圧(正圧)が発生される。
回転環3が矢印で示す方向に相対移動すると、回転環3及び固定環5の摺動面間に介在する流体が、その粘性によって、回転環3の移動方向に追随移動しようとするため、その際、拡がり隙間(段差)12の存在によって破線で示すような動圧(負圧)が発生される。
このため、ディンプル10内の上流側には負圧が発生し、下流側には正圧が発生することになる。そして、上流側の負圧発生領域にはキャビテーションが発生する。
レイリーステップ20は、狭まり段差21、グルーブ部22及び高圧流体側と連通する半径方向溝23から構成されており、レイリーステップ20とディンプル10との間には高圧流体側と半径方向溝23を介して連通された圧力開放溝24が設けられている。グルーブ部22は、一定幅の摺動面S3を介して高圧流体側とは隔離されて配設され、円弧状をなすように一定幅を有して周方向に延びている。グルーブ部22の深さは、ディンプル10の深さの数倍である。圧力開放溝24は、レイリーステップ20で発生した動圧(正圧)を高圧側流体の圧力まで開放することで、流体が低圧流体側のディンプル10に流入し、ディンプル10の負圧発生能力が弱まることを防止するためのものであり、高圧流体側のレイリーステップ20で発生した正圧により低圧流体側に流入しようとする流体を圧力開放溝24に導き、高圧流体側に逃す役割を果たすものである。
図4の場合、ディンプル10は6等配に設けられ、レイリーステップ20は8等配に設けられている。
レイリーステップ30は、狭まり段差31、グルーブ部32及びグルーブ部32の上流側において高圧流体側と連通する半径方向溝33から構成されており、レイリーステップ30とディンプル10との間には摺動面Sが介在されている。
半径方向溝33の深さは、グルーブ部32の深さと同程度であり、ディンプル10の深さの数倍である。そのため、グルーブ部32には高圧流体の流入が容易であり、摺動面Sの潤滑が十分に行われる。
2 スリーブ
3 回転環
4 ハウジング
5 固定環
6 コイルドウェーブスプリング
7 ベローズ
10 ディンプル
10a キャビテーション形成領域
10b 正圧発生領域
10c キャビテーション形成領域の低圧流体側の縁
10d キャビテーション形成領域の高圧流体側の縁
10e キャビテーション形成領域の上流側の始端
10f 正圧発生領域の低圧流体側の縁
11 狭まり隙間(段差)
12 拡がり隙間(段差)
20 レイリーステップ(正圧発生機構)
21 狭まり段差
22 グルーブ部レイリーステップ
23 半径方向溝
24 圧力開放溝
30 レイリーステップ
31 狭まり段差
32 グルーブ部
33 半径方向溝
S 摺動面
P 正圧発生部
θ1 上流側の始端の低圧流体側の縁に対するテーパ角
θ2 正圧発生領域の低圧流体側の縁のキャビテーション形成領域の低圧流体側の縁に対するテーパ角
R 正圧発生領域から低圧流体側に漏洩しようとする流体
a 各ディンプルの径方向の幅
b 摺動面の径方向の幅
Claims (3)
- 一対の摺動部品の互いに相対摺動する一方側の摺動面に複数のディンプルが周方向に独立して設けられ、各ディンプルは上流側のキャビテーション形成領域から下流側の正圧発生領域まで略一定の幅で周方向に沿って形成され、前記キャビテーション形成領域の上流側の始端は、低圧流体側から高圧流体側に向けて相手摺動面の回転方向に沿って傾斜するテーパ形状をなすと共に上流側に配置されたディンプルの正圧発生領域と径方向において重複するように配設され、前記正圧発生領域の前記低圧流体側の縁は、前記低圧流体側から前記高圧流体側に向けて相手摺動面の回転方向に沿って傾斜するテーパ形状をなすと共に前記キャビテーション形成領域の前記低圧流体側の縁と滑らかに接続されることを特徴とする摺動部品。
- 請求項1に記載の摺動部品において、前記ディンプルが設けられた前記摺動面の前記高圧流体側、又は、他方の摺動面の前記高圧流体側には前記高圧流体側と半径方向溝を介して連通するレイリーステップからなる正圧発生機構が配設され、前記正圧発生機構と前記ディンプルとの間に圧力開放溝が設けられ、前記圧力開放溝は高圧流体側と前記半径方向溝を介して連通されていることを特徴とする摺動部品。
- 請求項1に記載の摺動部品において、前記ディンプルが設けられた前記摺動面の前記高圧流体側、又は、他方の摺動面の前記高圧流体側には前記高圧流体側と連通するレイリーステップからなる正圧発生機構が配設されていることを特徴とする摺動部品。
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