JP6456692B2 - 藍乾燥葉からなる染毛剤の製造方法と得られた染毛剤を用いた染毛方法 - Google Patents

藍乾燥葉からなる染毛剤の製造方法と得られた染毛剤を用いた染毛方法 Download PDF

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Description

本発明は、乾燥藍葉のみを用いた染毛剤とそれを用いた染毛方法に関する。
髪の染毛が一般化し、広く使われるようになってきているが、多くの染毛剤は、染料のみならず、媒染剤、酸化・還元剤、界面活性剤、溶剤、キレート剤など様々な化学物質が用いられており、これらの化学物質により、毛髪のみならず皮膚などへの影響が懸念されている。そこで皮膚や髪に優しい天然素材の開発が望まれており、植物性の染料が注目されてきている。
天然色素であるヘナや藍を用いた染毛剤が開発されている。ヘナは昔から染毛や爪先の染色などに利用されている。ヘナは黒系統の染毛力が弱く、それを増強するために、水溶性高分子、酸やアルカリ剤、金属イオンを用いる染色法が開発されている(文献1)。また、ヘナは赤色系の染毛に用いられ、黒く染めにくく、ヘナと藍を用いる方法が開発されている。
藍は染料や顔料として利用されている。藍葉中には、グルコースを結合したインジカンが含まれており、切り取られるとインジカン分解酵素により、グルコースが外れ、水可溶性のインドキシルとなり、水に溶出し、繊維に付き、空気酸化により不溶性のインジゴとなり染色される。また、インジゴは還元酵素や還元剤により、ロイコインジゴとなり、溶解する。これが繊維に付着・酸化され、繊維を染色する。インドキシルはイサチンの存在下、加熱するとインジルビンとなり、紫色になる。
なお、藍葉中には抗アレルギー効果や抗菌効果を示すトリプタントリンやグアヤコールなどのポロフェノールが含まれており、プラス効果も期待され得る。
特許文献1にはヘナからのみなる第1調整剤を熱湯でペースト状にして処理し、次いで、ヘナと藍を所定割合で混合した第2調整剤で処理して染毛する方法が規定されている。特許文献2にはヘナの乾燥粉末とインド藍の乾燥粉末を混合して、染毛することが書かれている。タデ藍や琉球藍ではインジカン分解酵素が乾燥中に働き、インジゴが生成し、染毛できない。インド藍中のインジカン分解酵素の働きは遅く、乾燥中にインジゴが生成することなく、染毛時にインジカンが分解して、染毛できることが書かれている。
特許文献3〜5には藍の生葉あるいは生葉の絞り汁を凍結乾燥した粉末、または、すくも、あるいは沈殿藍とアルカリ剤と還元剤を用いた染毛剤、これらに植物成分や媒染剤として金属塩を用いることが記されている。また、インジカン含有粉末とβ−グルコシダーゼを含む製剤に他の植物性染毛剤、毛髪付着性を高めるための増粘剤や媒染剤などが用いられている。藍だけを用いた染毛剤、染毛方法はない。
特開昭61−143315号公報 特開2003−300845号公報 特開2001−64131号公報 特開2001−64134号公報 特開2004−2475号公報
本発明は、インジカン分解酵素を失活させたインジカン含有乾燥藍葉粉末とインジカン分解酵素を失活させることなく、50℃以下の低温で乾燥させた藍葉粉末の二つの藍葉粉末の組み合わせを特徴とする染毛剤を提供することを目的とする。
本発明は、該染毛剤を頭髪の染毛に用いる場合、人に優しい天然素材だけからなる、すなわち、藍の葉の乾燥物からなる染毛剤を提供することを目的とする。
本発明の第1の発明は、(A)収穫後直ちに藍葉を70℃以上熱水、高温蒸気、熱風あるいはマイクロ波加熱で加熱し、乾燥し、粉砕することにより、インジカン分解酵素が失活しているインジカン含有加熱乾燥藍葉粉末を製造する、
(B)藍葉を50℃以下の低温自然乾燥、冷風乾燥あるいはマイクロ波減圧乾燥し、粉砕することにより、インジカン分解酵素が失活していない状態にある藍葉粉末を製造する、
(C)上記(A)及び(B)で得られた二つの藍葉粉末を混ぜ合わせることを特徴とする、染毛剤を製造する方法である
本発明の第の発明は、第1発明の方法で製造された染毛剤を用いて染毛することを特徴とする染毛方法である。
本発明の第の発明は、第の発明の染毛方法において、上記の二つの藍葉粉末を混ぜ合わせた藍葉粉末および水を適量加えて、混練し、ペースト状にし、該ペーストを毛髪に塗布し、その後、洗髪することを特徴とする。
本発明は、インジカン分解酵素が失活しているインジカン含有加熱乾燥藍葉粉末とインジカン分解酵素失活していない状態にある50℃以下の低温自然乾燥、冷風乾燥あるいはマイクロ波減圧乾燥藍葉粉末の組み合わせを特徴とする染毛剤を提供することができる。
本発明は、該染色剤を頭髪の染毛に用いる場合、人に優しい天然素材だけからなる、すなわち、藍の葉の乾燥物からなる染毛剤を提供することができる。
[作用]
インジカン分解酵素を失活させて乾燥した粉末藍葉中のインジゴ濃度は非常に小さく、インジカン濃度が高く、インジカンのまま保持されていることが分かった。インジカンにインジカン分解酵素が作用すると、グルコースが切り取られて、インドキシルとなって水に溶解する。このインドキシルが酸化されインジゴになり、条件によってはインジルビン(赤色)などが副生成する。本発明では素早く酵素を失活させ、インジカンとして閉じ込めるのである。
一方、自然乾燥(低温)した粉末藍葉中にはインジゴ濃度が高く、インジカン濃度が低下していることが観察された。
インジカンにインジカン分解酵素が作用すると、グルコースが切り取られて、インドキシルとなって水に溶解する。このインドキシルが酸化されインジゴになり、条件によってはインジルビン(赤色)などが副生成する。本発明では素早く酵素を失活させ、インジカンとして閉じ込めた酵素を失活させた乾燥葉と、必要なときに酵素が失活していない乾燥葉を水とともに混合してペーストにすると、インジカンにインジカン分解酵素が作用することとなり赤、青、黄色が任意の組み合わせで混じった茶色、藍色、紫色、黒色に染色、染毛させることができる。染毛時に、インジカンを含有する粉末藍葉と酵素活性の高い低温乾燥藍葉粉末及び水を混合すると、藍葉中のインジカンが酵素により、分解され、インドキシルに変換し、このインドキシルが毛髪に結合し、着色する。洗髪後に、インドキシルが酸化され、徐々に濃厚な色に変化し、染毛する。
これまでの染毛剤は髪をブリーチング剤で痛め、中に染毛剤を入れ込むものと、静電的に髪に付着させて染色させるものであった、藍の場合、インドキシルがタンパク質の末端基と反応し、酸化されてインジゴとして定着されるもので、永く染色できるものである。
茶色、藍色、紫色、黒色に染毛できるが、藍の葉を収穫後、酵素反応が動き出す前に、素早く酵素を失活させるのが効果的である。
熱水ブランチング処理した乾燥藍葉粉末と低温乾燥葉及びマイクロ波低温乾燥葉による染色試験結果を示す写真である。 湯通し(熱水)ブランチング乾燥藍葉による染毛結果を示す写真である。 100〜110℃の蒸気処理した場合の染毛試験結果を示す写真である。 130〜160℃蒸気処理した乾燥藍葉粉末による染色試験結果を示す写真である。 電子レンジ乾燥藍葉粉末による染毛試験結果を示す写真である。 熱風乾燥藍葉による染毛試験結果を示す写真である。 各種ブランチング処理乾燥藍葉からエタノール抽出した成分のTLC分析結果である。 各種条件でブランチング処理した乾燥藍葉を用いた人毛の染色試験結果である。
藍の葉にはインジゴの原料であるインジカン(indican)が含まれている。インジカン は、無色の有機化合物で、水によく溶ける。インジゴの前駆体である。インジカンは、β-D-グルコースとインドキシルが脱水縮合してできた配糖体であり、容易に加水分解してグルコースとインドキシルになる。葉の組織が破壊されるとなかに含まれている酵素により分解して、インドキシル(無色)になる。
インドキシルは穏やかな酸化剤で空気中の酸素によってインジゴ染料を生ずる。すなわち、空気にさらすなどして緩やかに酸化すると、インドキシルの2分子が酸化的に結合してインジゴ(青色)に変換される。インジゴは暗青色の結晶性固体で、融点は390−392℃である。水、アルコール、エーテルには溶けないが、クロロホルム、ニトロベンゼン、濃硫酸には可溶である。
藍葉にはグルコースの付いたインジカンが含まれており、葉の組織が破壊されるとインジカン分解酵素が働き、グルコースが切り取られて、インドキシルとなって水に溶解する。タンパク質系繊維等にイオン的に結合し、酸化されて、インジゴとなって定着、染色する。これが生葉染めである。インジゴを還元して水溶性のロイコインジゴにして、染色するのが一般的な、すくもによる染色法である。
藍中のインジカンは分解されやすく、インドキシル、インジゴへの変化がはやく、染毛しにくい。藍はヘナやその他の色素と併用したり、媒染剤が用いられている。
藍葉が切り取られ組織が破壊されたと認識すると酵素がインジカンに作用し、インドキシルとして溶解してくる。このインドキシルが酸化されインジゴになり、条件によってはインジルビン(赤色)などが副生成する。本発明では素早く酵素を失活させ、インジカンとして閉じ込め、必要なときに酵素を作用させて染色、染毛させるものである。インジルビン(赤色)は、インジゴの異性体で、分子式は全く同じであるが原子のつながり方が異なる分子である。インドキシルが単分子的に酸化されてイサチンが出来ると、未酸化のインドキシルと結合してインジルビンができる。一般に、インドキシルからインジルビンを多く生成させる条件は、pH10〜12のアルカリ性条件や、高温が好ましい。紫色は、このインジゴとインジルビンが混ざった色で単一の紫の色素ではない。赤味の紫になるか青味の紫になるかは、インドキシルから、二方向の酸化のどちらが起こりやすいかによって決まる。
例えば湯通し(熱水法)法で酵素を失活させ、熱風乾燥した粉末の藍葉(1)と酵素活性を保持したまま乾燥した低温乾燥した粉末の藍葉(2)の粉末を50:1〜1:1の範囲(これに限定するものではない)の所定割合で混合し、水または40℃以下の湯でペースト状にし、毛髪に塗布し、髪に良くなじませ、1〜60分間放置した後、洗髪した。乾燥藍葉と水と混じり合うと、直ちにインドキシル(無色)が生成する。毛髪は緑色に発色し、時間とともに、濃緑色から黒色に変色し、染毛される。インジカン分解酵素を失活させて乾燥した粉末藍葉中のインジゴ濃度は非常に小さく、インジカン濃度が高く、インジカンのまま保持されていることが分かった。一方、自然乾燥(低温)した粉末藍葉中にはインジゴ濃度が高く、インジカン濃度が低下していることが観察された。
本発明は、藍葉中のインジカン分解酵素を素早く失活させ、インジカン含有量の高い乾燥粉末を作り、一方、活性なインジカン分解酵素を含有する乾燥粉末を作る。この二つの藍の乾燥粉末を適当な範囲で混合し、水またはお湯を用いてペースト状にして毛髪に塗り、所定時間放置した後、洗髪することにより、染毛できることを見いだした。
インジカンとその分解酵素を含有する乾燥藍葉粉末とインジカン分解酵素を失活させることなく、50℃以下の低温で乾燥させた藍葉粉末の混合比は、50:1〜1:1の範囲でもでも良く染まる。一方がさらに少量でも染毛可能であるが、好ましくは20:1から1:1の範囲である。
刈り取った藍葉を直ちにインジカン分解酵素失活処理(ブランチング)を行う。ブランチング法としては、熱水に短時間浸漬処理、高温蒸気処理、熱風処理、あるいはマイクロ波加熱処理などが用いられる。インジカン分解酵素の失活法(ブランチング法)としては、70℃以上の熱水に所定時間浸漬する方法、高温蒸気を吹き付ける高温蒸気法、マイクロ波で急速加熱する方法が用いられる。
藍葉中でインドキシルが生成した状態で加熱処理すると、インジルビンなどの色素が発生し、染毛時に、インドキシル濃度の低い状態では副成した色素と同時に作用し、茶色や紫色に染毛される。
酵素失活(ブランチング)処理後、乾燥して粉末化する。乾燥法としては、酵素失活藍葉の場合は、自然乾燥法、冷風低温乾燥法、熱風乾燥法、マイクロ波乾燥法のいずれの方法でも良い。酵素の活性を保持したままの乾燥法としては、50℃以下で自然乾燥、冷風乾燥あるいはマイクロ波減圧乾燥法などが用いることができる。
さらに、染毛方法として2つの乾燥葉と水を混合するだけで染毛できることができる。二つの乾燥粉末と水を良く混ぜ合わせて、ペー-ストにすると1〜15分でインドキシルが生成し、このペーストを髪になじませるだけで染毛できる。
加熱ブランチング処理条件を制御することにより、副成する色素を制御した乾燥藍葉、また、各種条件でブランチングした乾燥藍葉を混合して用いることにより、染毛の色を制御することができる。
刈り取った藍葉を80〜85℃の熱水中に10秒浸漬した後、63℃で熱風乾燥した(1)。生藍葉を低温冷風乾燥に入れ、40℃で20時間乾燥した(2)。生藍葉(405g)をマイクロ波減圧乾燥装置で、最高温度55℃で、90分減圧乾燥した後、37℃の低温乾燥機中に保持した。乾燥後の重量は49gであった(3)。これらの乾燥粉末をDMSO中に入れ、マイクロ波法で溶解してLCでインジカンとインジゴを定量した。乾燥粉末藍葉中のインジカンとインジゴ濃度測定結果を表1に示す。
なお、実施例6との対比のために、表1の単位「インジカン濃度/mmol・kg−1」を「インジカン濃度/mg・kg−1」で計算し直して表2とした。
低温乾燥葉中にはインジカン濃度が減少し、インジゴが生成しているが、湯通し法で酵素を死活させた(ブランチング処理した)藍葉中にはインジカン濃度が高く、インジゴ濃度が非常に低く、インジゴの生成が抑えられていることが分かる。また、低温マイクロ波減圧乾燥法ではインジカンがほとんどなく、インジゴ濃度が高かった。
湯通し乾燥葉(1)と低温乾燥葉(2)と水を、同様に、湯通し(熱水処理)乾燥葉(1)と低温マイクロ波乾燥葉(3)と水を5:1:25の割合で混合し、ペースト状にした。このペースト中に毛糸を混ぜ込み、1時間放置した後、水洗した。毛糸はいずれも緑色に染色され、放置すると青く変化し、さらに時間がたつと紫がかった黒になる。染色された毛糸の写真を図1に示す。(a)は染色前の毛糸、(b)は低温乾燥葉を用いた場合の染色された毛糸、(c)は低温マイクロ波乾燥葉を用いた場合である。いずれも紫に染色されており、低温乾燥葉及び低温マイクロ波乾燥葉とも、酵素が活性であることが分かる。
刈り取った藍葉を熱水(85℃)に所定時間、浸漬処理(湯通し)した後、温風乾燥機に設置し、25分かけて63℃まで昇温し、20分間63℃に保持した。次いで50℃に保持して乾燥した。この乾燥葉と40℃以下の温度で乾燥した藍葉粉末及び水を5:1:25の割合で混練して、ペースト状にしたものを人毛に塗布し、ラップをかけて1時間放置した後、水洗した。時間とともに、色が濃くなった。
図2に湯通し時間を変えて処理した人毛の染色状況を示す。湯通し(熱水)処理の場合、湯通し(熱水)処理が3秒という短時間でも酵素の死活ができ、人毛が染色された。なお、湯通し時間を長くするとインジルビンが生成し、少し紫色がかってくる。
藍葉収穫後、直ちに加熱蒸気を吹き付けてブランチング処理を行った。100〜110℃あるいは130〜160℃の蒸気を吹き付け、所定時間後、熱風乾燥を行った。25分かけて63℃にし、20分間保持した後、50℃で乾燥した。
これらの乾燥粉末、低温乾燥藍葉及び水を5:1:25の割合で混合してペースト状にする。このペーストを人毛に塗布し、ラップして60分間放置した後、洗浄した。図3に100〜110℃の蒸気を吹き付けた場合の染色状況を、図4に130〜160℃の蒸気を吹き付けた場合の染色状況を示す。100℃の短時間吹き付けた場合は、酵素の死活が不十分で乾燥時にインジカンが減少し、染毛が不十分だったと思われる。1分以上で染色されている。高温蒸気の場合は30秒で酵素が死活し、良好に染色されている。
藍葉を電子レンジ中で乾燥し、粉末化したものと低温乾燥葉及び水を5:1:25の割合で混合し、ペースト状にした。このペーストを人毛に塗布し、ラップをかけて60分間放置した後、洗髪した。その結果を図5に示す。黒く染まっており、インジカンがよく保持されていることが分かる。
収穫した藍葉を熱風乾燥機内に設置し、75℃で40分乾燥した。乾燥葉は青く変色し、インジゴの生成が示唆された。この乾燥葉と低温乾燥葉及び水を5:1:25の割合で混合してペースト状に人毛に塗布、ラップして60分放置した後、洗髪した。図6に示すように、インジカン濃度が減少したため、黒く染毛することはできなかった。
刈り取った藍葉を75℃、85℃、沸騰水中に浸漬して酵素の失活(ブランチング)処理を行った。熱水処理した藍葉を熱風乾燥し、粉末化した。乾燥藍葉粉末をDMSO(ジメチルスルホキシド)中に入れ、マイクロ波加熱して溶解させ、HPLC分析法でインジカンとインジゴ濃度を定量した。表3に各温度で30秒間加熱処理したものの分析結果を示す。
75℃以上の熱水で処理した藍葉中にはインジカン濃度が高く、インジゴ濃度が非常に低く、インジゴの生成が抑えられていることが分かる。温度が高いほどインジゴ濃度が低く、酵素が失活していることが分かる。
刈り取った藍葉に高温蒸気(120℃、160℃)や熱風(100℃)を所定時間吹き付けて加熱処理を行い、また、電子レンジ中で所定時間加熱処理した。加熱処理藍葉を熱風乾燥した。得られた乾燥藍葉中のインジカン濃度及びインジゴ濃度を実施例1と同様の方法で分析した。加熱処理した乾燥葉の分析結果を表4に示す。
熱水処理に比べ、蒸気及び熱風処理では酵素の失活速度が遅く、インジカン濃度が低下し、インジゴ濃度が高くなっている。熱水に比べ熱が伝わりにくく、酵素を失活させるのに時間を要することが分かる。熱風の場合、加熱処理過程で分解反応のみならず熱化学反応の進行が推察される。
乾燥藍葉について、エタノール抽出を行い、溶出した成分についてTLC(薄層クロマトグラフィー)分析を行った。藍乾燥葉0.5000gをエタノール40mLに加え、テフロン容器に仕込んでマイクロ波加熱を行い、80℃,15分間加熱して抽出し、得られた抽出液をろ過し、エバポレーターで濃縮し分析に供した。展開溶媒としてヘキサン:ジエチルエーテル=1:2溶液を調製・展開した。TLCプレートをスキャンして画像を得た。結果を図7に示す。
(1)は85℃の熱水で30秒処理した乾燥藍葉のTLC結果、(2)は120℃蒸気処理したもの、(3)は160℃蒸気処理葉、(4)は熱風処理した乾燥藍葉の結果、(5)が電子レンジ処理した乾燥葉のTLC分析結果である。インジカンを多く保持している熱水処理乾燥藍葉に比べ、酵素失活処理速度が遅い、蒸気処理や熱風処理乾燥藍葉では赤色などの色素が認められ、インジカンの分解生成物のインドキシルなどが反応し、赤色などの色素成分が生成していることが分かる。
藍葉を熱水、蒸気、熱風、電子レンジ処理した乾燥藍葉粉末と活性な酵素含有する低温乾燥藍葉粉末及び水を5:1:25の割合で混練して、ペースト状にしたものを人毛試料に塗布し、良く練り合わせ1時間放置した後、水洗した。時間とともに、色が濃くなった。
なお、インジカン含有藍葉と活性な酵素を含有する乾燥藍葉の混合比は20:1でも染毛できることを確認している。
図8に各種条件で熱処理した乾燥葉を用いて、染毛試験を行った人毛試料の写真を示す。(1)は熱水処理乾燥藍葉、(2)120℃蒸気処理乾燥藍葉、(3)は160℃蒸気乾燥葉、(4)は熱風処理乾燥葉、(5)電子レンジによる加熱処理乾燥葉による染毛試験結果である。熱水処理乾燥葉で染色したものは紫色に染まった。低温蒸気乾燥葉の場合、処理時間の短い乾燥葉では茶色に、長時間処理し、インジカンが多く残っている場合は濃く染まる。
熱風の場合、酵素を作用させてもインジカンが少なく、藍色には染まらず、茶色く染色されることが分かる。電子レンジ処理乾燥藍葉では黒っぽく染色されることが分かった。
近年、頭髪の染毛は老若男女を問わず、広く実施されてきているが、染毛剤中には様々な化学物質が含まれており、髪が傷むだけではなく、アレルギーを引き起こすなど様々な事例が報告されている。このため、人に優しい天然素材のみからなる染毛剤の開発が望まれている。本発明の染毛剤は天然の藍のみからなるもので、一切の化学処理も行っていない。抗アレルギー剤として知られているトリプタントリンや抗菌効果などが期待されるグアヤコールなどのポリフェノールを含んでおり、人に優しい染毛剤として期待される。

Claims (3)

  1. (A)収穫後直ちに藍葉を70℃以上熱水、高温蒸気、熱風あるいはマイクロ波加熱で加熱し、乾燥した後、粉砕することにより、インジカン分解酵素が失活しているインジカン含有加熱乾燥藍葉粉末を製造する、
    (B)藍葉を50℃以下の低温自然乾燥、冷風乾燥あるいはマイクロ波減圧乾燥し、粉砕することにより、インジカン分解酵素が失活していない状態にある藍葉粉末を製造する、
    (C)上記(A)及び(B)で得られた二つの藍葉粉末を混ぜ合わせることを特徴とする、染毛剤を製造する方法。
  2. 請求項1方法で製造された染毛剤を用いて染毛することを特徴とする染毛方法。
  3. 上記の二つの藍葉粉末を混ぜ合わせた染毛剤に水を適量加えて、混練し、ペースト状にし、該ペーストを毛髪に塗布し、その後、洗髪することを特徴とする請求項2の染毛方法。
JP2014554595A 2012-12-28 2013-12-27 藍乾燥葉からなる染毛剤の製造方法と得られた染毛剤を用いた染毛方法 Active JP6456692B2 (ja)

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