JP6826397B2 - マイクロ波乾燥藍葉、その製造方法およびその用途 - Google Patents
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Description
熟成とは生藍葉中の酵素がマイクロ波で活性化され、酵素反応が促進され、酵素活性が高まることを意味する。
そこで、本発明は、酵素活性が高い状態で酵素を含む乾燥藍葉を提供すること、該乾燥藍葉を効率よく製造する方法を開発することを目的とする。
さらにまた、本発明は、インジカン分解酵素の活性が高められるだけでなく、タデ藍の主要な生理活性物質に着目して、その用途を開発することを目的とする。より詳細には、医薬品用、化粧品用、石鹸用、染色用、または機能性食品用沈殿藍に適した乾燥藍葉を提供することを目的とする。
藍葉を低温乾燥させる前に、大気圧下、マイクロ波照射下、40℃以下の条件で熟成すると、藍葉が緑色から濃緑色に変化し、インジカンが無くなり、インジゴとなっていることを認め、この熟成藍葉を低温マイクロ波減圧乾燥した結果、本乾燥藍葉にはインジカン分解酵素(β-グルコシダーゼ)の高い活性度を保持したまま乾燥藍葉が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、このように低温マイクロ波熟成藍葉は、インジカン分解酵素の活性が高められるだけでなく、タデ藍の主要な生理活性物質であり、抗菌活性、抗アレルギー活性を有するトリプタントリンおよび神経活性物質であるイサチンが自然乾燥葉の1.5〜66倍以上もの高濃度で含有することが確認された。
よって、本発明は、そのままの状態ではもちろんのこと、水等の溶媒で抽出した藍エキスや沈殿藍等が、機能性食品、化粧品、石鹸および医薬品としての用途にも用いられる高機能性乾燥藍葉、その粉末およびその抽出物を提供するに至った。
藍葉中の酵素を失活させるブランチングにおいては、水の存在する系と存在しない系では、インジルビンの生成が異なる。熱水系あるいは高温蒸気系ではブランチング過程でインジルビンが生成しているが、水を加えない熱風系およびマイクロ波加熱ブランチング系ではインジルビンの生成は認められず、水の存在下でブランチングした系の乾燥藍葉で染毛した場合、紫色に染毛された。
以下、本発明の詳細を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されない。
乾燥葉抽出液のβ−グルコシダーゼ活性(インジカン分解酵素活性)は、以下の手順で測定する。測定値は、3回の平均値を求めて結果の値とした(n=3)。
(1)乾燥葉粉末0.5gにイオン精製水40mlを加え、室温で3時間以上撹拌し、藍葉抽出液を得る。
(2)p-ニトロフェニル β-D-グルコピラノシド(β-NPG)75.31mgにイオン精製水を加えて10mlにして25mM β-NPG溶液を調製する。
(3)25mM β-NPG基質水溶液8μlを200μlのバッファー溶液に溶かして基質反応溶液を調製する。
(4)測定試料は、ウエルに20μl注入し、基質反応溶液200μlを加える。陽性対照試料は、イオン精製水20μlに、タートラジンからなる標準溶液10ml(250U/L相当)200μlを加える。陰性対照試料は、イオン精製水220μlをウエルに注入する。
(5)加える試料と試薬類を37℃でインキュベーションしておき、各試料をウエルに仕込んだ後(37℃)、マイクロプレートリーダーを用いて、0分後と20分後の吸光度(405nm)を測定する。
(6)20分後のODから0分後のODを差し引いた値を、陽性対照試料のODから陰性対照試料のODを差し引いた値で割り、250(U/L)を掛けた値が、酵素活性値(U/L)となる。酵素活性値(U/kg)は、酵素活性値(U/L)に80を乗じて計算する。
乾燥葉に含まれる染色成分は、乾燥葉粉末0.5gに、DMSO 40mlを加え、MW出力500W、60℃、15分間撹拌して抽出する。得られた抽出液をシリンジフィルターでろ過し、インジカン、イチサン、インジゴ、インジルビン、トリプタトリンのHPLC分析による定量を行う。
HPLC分析では、Inertsil ODS-3Vカラムを使用する。溶離液は、アセトニトリル水溶液を40℃、1.0ml/分の流量で流す。溶離液のグラジエントプログラムは、15%(0分);85%(15分);85%(20分)である。測定波長は、インジカン測定時に215〜230nm、イサチン、インジゴ、インジルビン、トリプタントリン測定時に290〜310nmを使用する。
まず、マイクロ波照射装置として、撹拌機能のないキャビティ型装置(SMW107、最大出力1.5kw)を用い、キャビティ内に1〜2lの容量のガラス容器を入れて、その中に50gほどの生藍葉と若干量の水を入れてマイクロ波照射した。温度40℃のマイクロ波照射による熟成時間と40〜45℃のマイクロ波減圧乾燥による加熱時間を変化させた。加熱後の乾燥は、40℃の定温乾燥で行った(実験例1〜6)。
水耕藍葉の品種千本を、水耕場所の3つの異なる場所から刈り取った。(水耕1〜3)
実験例1 水耕1の藍葉、熟成 15分、加熱 20分
実験例2 水耕1の藍葉、熟成 30分、加熱 20分
実験例3 水耕2の藍葉、熟成 30分、加熱 なし
実験例4 水耕2の藍葉、熟成 30分、加熱 20分
実験例5 水耕3の藍葉、熟成 60分、加熱 10分
実験例6 水耕3の藍葉、熟成 30分、加熱 7分
比較例1 水耕1の藍葉 室温乾燥
刈り取った生藍葉の軸を取って水切りした後、藍葉はザルに2、3kg入れて多段にセットし、12rpmでゆっくり回転させながら、36〜40℃の温度で30分間マイクロ波照射して熟成させた。熟成後、40〜45℃で0.01MPaの減圧下でマイクロ波減圧乾燥させた後、定温乾燥機に入れて40℃で乾燥した。実験例7〜10は、同じ条件で日を変えて4回マイクロ波熟成乾燥させたものである。
実験例11は、刈り取った藍葉の軸を取ってから、脱水のためによく水切りして、カッターでみじん切りにしてから、実験例7〜10と同じ条件で、熟成乾燥させたものである。
同様に、イサチン濃度も実験例1〜11の全てで、顕著に高くなる。比較例1の56(ppm)に比べ、283〜3688(ppm)と高くなり、5倍から66倍高くなる。その結果、インジカンが酵素分解されたインドキシルが酸化されて生成されるインジゴおよびイサチンの量比も変化し、インジゴ濃度/イサチン濃度は、比較例1の自然乾燥葉では112であるのに対して、実験例1〜11では、いずれも40以下となっている。図1は、インジゴ濃度/イチサン濃度を縦軸にして、実験例の番号を横軸に示したものである。比較例1を室温乾燥としてプロットした。
また、実験例11のように、生藍葉にみじん切り等の物理的処理を施して藍葉を傷つけてから熟成すると、酵素活性がより高まることが確認された。
マイクロ波照射により熟成させた乾燥藍葉粉末中の酵素活性は、対照のものより高く、トリプタントリン濃度の高かった。
以上の通り、本発明は、(1)生藍葉中の酵素がマイクロ波で活性化され、酵素反応が促進され、高まった酵素活性が維持された状態で乾燥されたマイクロ波熟成乾燥藍葉、および(8)生藍葉を30〜50℃に制御しながらマイクロ波を照射し、藍葉内の酵素を活性化するとともに酵素反応を促進し、その後50℃以下の温度でマイクロ波減圧乾燥したことを特徴とするマイクロ波熟成乾燥藍葉の製造方法であり、本発明によれば、生藍葉に温度を30〜50℃に制御しながらマイクロ波照射することにより、藍葉中の酵素、インジカン分解酵素等を活性化するとともに、酵素反応を促進、熟成した藍葉中には、低温乾燥葉、自然乾燥葉と比べて1.3倍〜10倍以上高いインジカン分解酵素活性を持った乾燥藍葉を提供でき、その乾燥葉を染毛剤や染色材料として用いると素早くインジカンが分解し、インドキシルが生成するため、短時間に染毛、染色ができる、また、タデ藍の主要な生理活性物質であり、抗菌活性、抗アレルギー活性を有するトリプタントリンおよび神経活性物質であるイサチンが1.5〜66倍もの高濃度で含有することが確認され、本発明の高機能性乾燥藍葉または抽出物は、そのまま食することができる機能性食品や、化粧品および医薬品素材として使用でき、さらに、本発明の高機能性乾燥藍葉粉末または抽出物は、イサチン含量も高いため、パーキンソン病等に効果のある神経活性物質として用いられる可能性もあるという効果を奏するとともに、以下の(2)ないし(7)および(9)ないし(14)の態様を包含する。
(3)インジカン分解酵素活性が自然乾燥葉に比べて1.3倍以上高いことを特徴とする上記(1)または(2)に記載したマイクロ波熟成乾燥藍葉。
(4)イサチンの含有量が自然乾燥葉に比べて2倍以上増加している、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のマイクロ波熟成乾燥藍葉。
(5)トリプタントリンの含有量が自然乾燥葉に比べて1.5倍以上増加している、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の乾燥藍葉。
(6)食品素材用、化粧品素材、または医薬品素材である、上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のマイクロ波熟成乾燥藍葉。
(11)藍葉中の酵素が失活している乾燥藍葉が、生藍葉が70℃以上の温度で加熱処理され、その後で乾燥されたものである、上記(10)に記載の乾燥藍葉組成物。
(12)染毛、染色用、または沈殿藍用である、上記(10)または(11)に記載の乾燥藍葉組成物。
生藍葉にマイクロ波照射することで、藍葉中の酵素を活性化するとともに、酵素反応を促進・熟成して藍葉を熟成させることのできるマイクロ波熟成乾燥法を完成させることができた。この方法によれば、熟成乾燥が短時間で行え、しかも、インジカン分解酵素の活性が高められるだけでなく、タデ藍の主要な生理活性物質であり、抗菌活性、抗アレルギー活性、抗腫瘍活性を有するトリプタントリン、イサチンが1.5〜66倍以上の高濃度で含有することが確認された。本発明は、そのまま食することもできる機能性食品、化粧品、石鹸および医薬品としての用途にも用いられる高機能性乾燥藍葉粉末を提供し、さらに、藍葉中の酵素を失活させた乾燥藍葉粉末と混合した組成物は、染毛剤、染色剤としてだけでなく、沈殿藍用としてそれを添加した石鹸、クリーム等の化粧品は、アトピー性皮膚炎に効くことが期待され、また、青色に着色され、かつ生薬としての機能を有する機能性食品も製造できる。
また、熟成乾燥藍葉をアルコールなどで抽出すると、高機能成分を多く含んだ藍エキスが得られ、多方面に利用可能となる。
さらに、高トリプタントリン含量により、沈殿藍で染色した布は、アトピー性皮膚炎に効能のある布となり、また、染毛時には頭皮を保護するという効果も生じる。トリプタントリン含有量が高い乾燥藍葉を沈殿藍用として用いると、それを添加した石鹸、クリーム等の化粧品は、アトピー性皮膚炎に効き目があるので効能が高まる。
また、イサチン含量も高いため、パーキンソン病等に効果のある神経活性物質として用いられる可能性もある
Claims (14)
- 生藍葉中の酵素がマイクロ波で活性化され、酵素反応が促進され、高まった酵素活性が維持された状態で乾燥されている、インジカン分解酵素活性が自然乾燥葉に比べて1.3倍以上高いことを特徴とするマイクロ波熟成乾燥藍葉。
- イサチン含有量および/またはトリプタントリン含有量が自然乾燥葉に比べて高い、請求項1に記載したマイクロ波熟成乾燥藍葉。
- イサチンの含有量が自然乾燥葉に比べて2倍以上増加している、請求項1または2に記載のマイクロ波熟成乾燥藍葉。
- トリプタントリンの含有量が自然乾燥葉に比べて1.5倍以上増加している、請求項1ないし3のいずれかに記載のマイクロ波熟成乾燥藍葉。
- 食品素材用、化粧品素材、または医薬品素材である、請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロ波熟成乾燥藍葉。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のマイクロ波熟成乾燥藍葉を水および/または溶媒で抽出したことを特徴とする乾燥藍葉抽出物。
- 生藍葉を30〜50℃に制御しながらマイクロ波を照射し、藍葉内の酵素を活性化するとともに酵素反応を促進し、その後50℃以下の温度でマイクロ波減圧乾燥したことを特徴とするマイクロ波熟成乾燥藍葉の製造方法。
- 生藍葉がみじん切りした生藍葉である、請求項7に記載のマイクロ波熟成乾燥藍葉の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のマイクロ波熟成乾燥藍葉に、藍葉中の酵素が失活している乾燥藍葉を混合したことを特徴とする乾燥藍葉組成物。
- 藍葉中の酵素が失活している乾燥藍葉が、生藍葉が70℃以上の温度で加熱処理され、その後で乾燥されたものである、請求項9に記載の乾燥藍葉組成物。
- 染毛、染色用、または沈殿藍用である、請求項9または10に記載の乾燥藍葉組成物。
- 請求項11に記載の乾燥藍葉組成物に、2〜20倍の水を加えてペースト状にし、髪に塗布した後洗髪すること特徴とする染毛方法。
- 請求項11に記載の乾燥藍葉組成物に5〜50倍の水を加え、良くもみ、色素を水に抽出した後、藍葉をろ別した溶液中に、布を入れ、染色することを特徴とする染色方法。
- 請求項9ないし11のいずれかに記載の乾燥藍葉組成物を水に懸濁した水溶液に、石灰を加え、空気酸化させることを特徴とする、医薬品用、化粧品用、石鹸用、染色用、または機能性食品用沈殿藍の調製方法。
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