JP6455293B2 - セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩を含む製剤 - Google Patents

セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩を含む製剤 Download PDF

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本発明は、セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩を含む製剤に関する。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(以下、本明細書において、「SSRI」ということがある。)は、鬱病、鬱状態、パニック障害等の治療や予防の効果・効能を有することが知られており、従来より、SSRIに関する様々な製剤が開発されている。
例えば、特許文献1には、SSRIの一種であるセルトラリンの製剤が開示されている。
また、現在市販されているセルトラリンの製剤としては、ファイザー株式会社製のジェイゾロフト(登録商標)が広く知られている。
特許第3786715号
しかしながら、上記特許文献1の実施例に具体的態様として記載されたセルトラリンの製剤や、上記ジェイゾロフト(登録商標)は、薬物安定性の面で問題があり、特にセルトラリンの類縁物質が増加するという問題がある。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩の薬物安定性が高い製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、少なくともヒドロキシプロピルセルロースをセルトラリンの製剤に配合しないことにより、セルトラリンの類縁物質の増加を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩と、ヒドロキシプロピルセルロース以外の結合剤とを含み、
錠剤の形態であり、ヒドロキシプロピルセルロースを含有しない、製剤。
(2) ポリエチレングリコールを含有しない、(1)に記載の製剤。
(3) 前記結合剤が、2質量%水溶液の20℃における粘度が、1.0〜7.0mPa・sである化合物を含む、(1)又は(2)に記載の製剤。
(4) 前記結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、(1)から(3)のいずれかに記載の製剤。
(5) 前記結合剤の含有量が、製剤全体の質量に対して10質量%未満である、(1)から(4)のいずれかに記載の製剤。
(6) 錠剤本体と、前記錠剤本体を被覆するコーティングと、を備える製剤であって、
前記錠剤本体は、セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩と、ヒドロキシプロピルセルロース以外の結合剤とを含み、ヒドロキシプロピルセルロースを含まず、
前記コーティングはポリエチレングリコールを含まない、製剤。
本発明によれば、セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩の薬物安定性が高い製剤を提供することができる。
(a)は、比較例1に係る製剤についての、曝光条件下での保存期間(日)と、類縁物質量(質量%)との関係を示すグラフの図である。(b)は、実施例1に係る製剤についての、曝光条件下での保存期間(日)と、類縁物質量(質量%)との関係を示すグラフの図である。
以下、本発明の実施形態について、説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明の製剤は、セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩と、ヒドロキシプロピルセルロース以外の結合剤とを含み、錠剤の形態であり、ヒドロキシプロピルセルロースを含有しない。これにより、本発明の製剤は、セルトラリンの類縁物質の増加を抑制して、薬物安定性を向上させることができる。
セルトラリンの薬学上許容される塩としては、特に限定されないが、例えば、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸との塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等の有機酸との塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属との塩、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属との塩、エチレンジアミン塩、ジエタノールアミン塩、N−メチルグルカミン塩等の有機塩基との塩等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。薬学上許容される塩は、薬物安定性がより向上することから、無機酸との塩を用いることが好ましく、無機酸との塩のうち、塩酸塩を用いることがより好ましい。また、セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩は、これらの無水物であってもよく、水和物等の溶媒和物であってもよい。
本発明の製剤におけるセルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩の含有量は、特に限定されないが、薬物安定性がより高くなることから、製剤全体の質量に対して、5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、25〜40質量%であることが更に好ましく、34〜38質量%であることが最も好ましい。また、本発明の製剤におけるセルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩の、製剤全体の質量に対する質量を、30質量%以上と高くしても、本発明の製剤はヒドロキシプロピルセルロースを含まないことから、高い安定性を保つことができる。なお、本明細書において、「製剤全体の質量」とは、本発明の製剤が後述のコーティングを有する場合、錠剤本体とコーティングとの合計質量であり、コーティングを有さない場合、錠剤本体の質量である。
本発明の製剤に含まれる結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース以外のものであれば、特に限定されず、従来の公知のいずれの結合剤を用いることができるが、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロースポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート等の合成高分子(例えば、分子量10000〜1000000の合成高分子)、アラビアガム、ゼラチン、シェラック等の天然物質等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、ヒドロキシプロピルセルロースを含まなくても、十分な溶出性を有することから、結合剤としてはヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましい。
本発明において結合剤として使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロースの1分子あたりのメトキシ基の置換基の数は、特に限定されないが、薬物安定性が向上することから、1分子あたりの全置換基の数に対して、25.0〜33.0%の割合であることが好ましく、26.0〜32.0%であることがより好ましく、28〜30%であることが更に好ましい。また、本発明において結合剤として使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロースの1分子あたりのヒドロキシプロポキシ基の置換基の数は、特に限定されないが、薬物安定性が向上することから、全置換基の数に対して、4.0〜15.0%の割合であることが好ましく、5.0〜12.0%の割合であることがより好ましく、7.0〜12.0%の割合であることが更に好ましい。なお、本発明の製剤に含まれうるヒドロキシプロピルメチルセルロースの一部として、上記メトキシ基の置換基の数又はヒドロキシプロポキシ基の置換基の数の範囲を満たすヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでもよく、本発明の製剤に含まれうるヒドロキシプロピルメチルセルロースの全体が、上記メトキシ基の置換基の数又はヒドロキシプロポキシ基の置換基の数の範囲を満たすヒドロキシプロピルメチルセルロースであってもよく、あるいは、上記メトキシ基の置換基の数又はヒドロキシプロポキシ基の置換基の数の範囲は、本発明の製剤に含まれうるヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均のメトキシ基の置換基の数又は平均のヒドロキシプロポキシ基の置換基の数の範囲であってもよい。
結合剤に用いられる合成高分子は、上記で例示したような、従来の公知のものを使用することができるが、主に、粘性を有する化合物を用いることができ、例えば、2質量%水溶液の20℃における粘度が、1.0mPa・s以上の化合物を用いることができる。本発明の製剤は、高い粘性の化合物を用いなくても、十分な溶出性を得ることができる。このことから、結合剤に用いられる合成高分子としては、2質量%水溶液の20℃における粘度が20mPa・s以下の化合物を用いることが好ましく、2質量%水溶液の20℃における粘度が10mPa・s以下の化合物を用いることがより好ましく、2質量%水溶液の20℃における粘度が7.0mPa・s以下の化合物を用いることが更に好ましく、2質量%水溶液の20℃における粘度が、4.0mPa・s以下の化合物を用いることが最も好ましい。また、2質量%水溶液の20℃における粘度が4.0mPa・s以下の化合物は、特に、十分な溶出性を得ることができることから、2質量%水溶液の20℃における粘度が4.0mPa・s以下であるヒドロキシプロピルメチルセルロースであることが好ましい。
本発明の製剤が、後述のコーティングを有する場合、錠剤本体に含まれる結合剤は、2質量%水溶液の20℃における粘度が4.0mPa・s以下である化合物であることが好ましく、また、コーティングに含まれる2質量%水溶液の20℃における粘度が1.0mPa・s以上である化合物は、2質量%水溶液の20℃における粘度の上限が、7.0mPa・s以下であることが好ましい。また、本発明の製剤が、後述のコーティングを有さない場合、本発明の製剤に含まれる結合剤は、2質量%水溶液の20℃における粘度が4.0mPa・s以下である化合物であることが好ましい。
本発明において、2質量%水溶液の20℃における粘度は、日本薬局方(第16改正)の基準に基づいて測定する。
結合剤の含有量は、特に限定されず、他の成分の含有量に応じて適宜設定することができるが、より高い薬物安定性を有することから、製剤全体の質量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましく、1〜12質量%であることが更に好ましく、3〜10質量%であることが最も好ましい。別の観点で、上記の結合剤として、薬物の徐放性を与える化合物を用いる場合、このような粘性の高い化合物を多量に用いると、セルトラリンと反応し得る化合物が増えることになり、ヒドロキシプロピルセルロースを含まないことにより高めれた薬物安定性が損なわれる可能性が高くなる。そのため、例えば、結合剤として、2質量%水溶液の20℃における粘度が1.0mPa・s以上の化合物を用いる場合は、該化合物の含有量は、製剤全体の質量に対して、15質量%以下であることが好ましく、10質量%未満であることがより好ましく、9.0質量%以下であることが更に好ましい。特に、2質量%水溶液の20℃における粘度が1.0〜4.0mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いる場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が、薬剤全体の質量に対して、10質量%未満であることが好ましく、9.0質量%以下であることがより好ましく、7.0質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の製剤に含まれない「ヒドロキシプロピルセルロース」は、少なくとも分子量が30000〜200000であるヒドロキシプロピルセルロースを含むものを指す。本発明の製剤は、薬物安定性が向上することから、13000〜1000000の分子量のヒドロキシプロピルセルロースを含まないことが好ましい。また、本発明の製剤に含有されないヒドロキシプロピルセルロースは、全ての分子量のヒドロキシプロピルセルロースであることがより好ましい。
本発明の製剤は、ポリエチレングリコールを含有してもよいが、ポリエチレングリコールの含有量が多いと、セルトラリンの類縁物質が増加しやすいため、少ない方が好ましい。この観点で、ポリエチレングリコールの含有量は、製剤全体の質量に対して、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、0.01質量%以下であることがより一層好ましく、ポリエチレングリコールを含まないことが最も好ましい。
本発明の製剤に含有される、あるいは含有されないポリエチレングリコールは、特に限定されないが、例えば、分子量が5000〜9000であるポリエチレングリコールや、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール6000、マクロゴール4000、マクロゴール20000、マクロゴール35000等が挙げられる。これらのうち、薬物安定性を向上させることができることから、分子量が5000〜9000であるポリエチレングリコール、あるいは、マクロゴール6000を少量含むか、含まないことが好ましい。なお、本発明の製剤に含有されないポリエチレングリコールは、全ての分子量のポリエチレングリコールであってもよい。
本発明の製剤は、上記で述べた成分の他、従来の公知の製剤に用いられる成分を、更に含有してもよく、含有しなくてもよい。そのような成分としては、特に限定されないが、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、防腐剤、抗酸化剤等が挙げられる。
賦形剤としては、特に限定されず、従来の公知のいずれの賦形剤を用いることができるが、例えば、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム水和物、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、二酸化ケイ素等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、より高い薬物安定性を有することから、結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム水和物を用いることが好ましく、結晶セルロースとリン酸水素カルシウム水和物を併用することが、最も好ましい。
賦形剤の含有量は、特に限定されず、他の成分の含有量に応じて適宜設定することができるが、より高い薬物安定性を有することから、製剤全体の質量に対して、10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることが更に好ましく、47〜52質量%であることが最も好ましい。特に、結晶セルロースとリン酸水素カルシウムとを併用する場合、結晶セルロースの含有量が、製剤全体の質量に対して、20〜38質量%であり、かつ、リン酸水素カルシウムの含有量が、製剤全体の質量に対して、10〜30質量%であることが好ましく、結晶セルロースの含有量が、製剤全体の質量に対して、27〜33質量%であり、かつ、リン酸水素カルシウムの含有量が、製剤全体の質量に対して、17〜22質量%であることがより好ましい。
崩壊剤は、特に限定されず、従来の公知のあらゆる崩壊剤を用いることができるが、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、デンプングリコール酸ナトリウムを用いることが好ましい。
崩壊剤の含有量は、特に限定されず、他の成分の含有量に応じて適宜設定することができるが、より高い薬物安定性を有することから、製剤全体の質量に対して、0.08〜19質量%であることが好ましく、0.4〜13質量%であることがより好ましく、0.9〜9.0質量%であることが更に好ましく、2.0〜7.0質量%であることが最も好ましい。
滑沢剤は、特に限定されず、従来の公知のあらゆる滑沢剤を用いることができるが、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、ステアリン酸マグネシウムを用いることが好ましい。
滑沢剤の含有量は、特に限定されず、他の成分の含有量に応じて適宜設定することができるが、より高い薬物安定性を有することから、製剤全体の質量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5.0質量%であることがより好ましく、0.1.0〜2.0質量%であることが更に好ましく、0.6〜1.4質量%であることが最も好ましい。
また、本発明の製剤は、錠剤本体と、錠剤本体を被覆するコーティングと、を備える製剤であってもよい。この場合、錠剤本体は、上記で述べた錠剤の形態である製剤と同様のものを用いることができる。
本発明の製剤がコーティングを有する場合、コーティングに含まれる成分は、従来のコーティング剤として用いられる成分を用いることができ、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート等の上記結合剤としても用いられる合成高分子や、酸化チタン、ショ糖等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと酸化チタンとを併用することが好ましい。上記結合剤としても用いられる合成高分子は、2質量%水溶液の20℃における粘度が1.0mPa・s以上である化合物であってもよく、2質量%水溶液の20℃における粘度が1.0mPa・s未満である化合物であってもよいが、2質量%水溶液の20℃における粘度が7.0mPa・s以下である化合物であることが好ましい。
本発明の製剤におけるコーティングの質量は、特に限定されないが、より薬物安定性が向上することから、製剤全体の質量に対して、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜7.0質量%であることがより好ましく、2.0〜4.0質量%でることが更に好ましい。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースと酸化チタンとを併用する場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が、コーティング全体の質量に対して、90〜99.5質量%であり、かつ、酸化チタンの含有量が、コーティング全体の質量に対して、0.1〜9.0質量%であることが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が、コーティング全体の質量に対して、95〜98質量%であり、かつ、酸化チタンの含有量が、コーティング全体の質量に対して、1.0〜4.0質量%であることがより好ましい。
コーティングは、上記コーティング剤に加え、光沢剤を含んでもよい。光沢剤は、特に限定されないが、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ウルシロウ等のワックス類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、本発明の製剤をPTP包装により封入した場合、より封入しやすくなることから、カルナウバロウを用いることが好ましい。
光沢剤の含有量は特に限定されないが、コーティング全体の質量に対して、0.01〜9.9質量%であることが好ましく、0.1〜1.0質量%であることがより好ましい。
本発明の製剤が、コーティングを有する場合、薬物安定性が向上する観点から、錠剤本体にヒドロキシプロピルセルロースを含有しないことが好ましい。また、本発明の製剤がコーティングを有し、かつ、ポリエチレングリコールを含有しない場合、薬物安定性が向上する観点から、少なくともコーティングにポリエチレングリコールを含まないことが好ましい。また、より一層薬物安定性が向上する観点から、本発明の製剤がコーティングを有する場合、錠剤本体及びコーティングのいずれにも、ヒドロキシプロピルセルロース及びポリエチレングリコールを含有しないことが好ましい。
本発明の製剤は、従来の公知のいずれの方法によっても、包装することができ、例えば、瓶、PTP(Press Through Package)等により包装することができる。これらのうち、薬物安定性が高く、十分な溶出性を安定して得ることができることから、瓶又はPTPにより包装することが好ましい。
本発明の製剤は、水を含んでもよく、含まなくてもよいが、薬物安定性を向上させることができることから、水の量が少ない方が好ましく、例えば、水の含有量が、製剤全体の質量に対し、1.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、含まないことが更に好ましい。
本発明の製剤に含まれる各成分の含有量は、従来の方法により測定する。例えば、結合剤に用いるヒドロキシプロピルメチルセルロースは、GC法(ガスクロマトグラフィー法)により定量することができる。
本発明の製剤は、従来の公知のいずれの方法によっても、製造することができるが、例えば、セルトラリン、賦形剤を混合し、水等の溶媒に溶解した結合剤を加えて流動層造粒機により造粒を行い、造粒後の混合物に対して、整粒した後に、崩壊剤、光沢剤等を混合し、打錠して錠剤化することで製造することができる。また、製剤をコーティングする場合、コーティング剤を水等の溶媒に溶かし、この液体を用いて、錠剤に対してフィルムコーティングを行うことができる。このフィルムコーティングを行う際に、光沢剤を同時に加えてもよく、フィルムコーティング後に別途光沢剤を加えてもよい。
<製剤の準備>
(実施例1)
製剤が表1に記載された処方の量となるように、塩酸セルトラリン、結晶セルロース、及びリン酸水素カルシウム水和物を混合し、造粒機によりこの混合物に対して造粒を行った。造粒を行う際に、製剤が表1に記載された処方の量となるように、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、TC−5(登録商標)E、置換基タイプ:2910)及び精製水を加えた。造粒後の混合物に対して、整粒機により、整粒した。整粒後、更に、製剤が表1に記載された処方の量となるように、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを混合し、錠剤機(VIRG0512SS2AZ,菊水製作所)により、打錠を行い、錠剤を作製した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、TC−5(登録商標)R、置換基タイプ:2910)、酸化チタンを精製水に溶かし、この水溶液を用いて、打錠後の錠剤に対して、コーティング装置により、フィルムコーティングを行い、その後、更に、カルナウバロウを、混合し、78mgの実施例1に係る製剤を作製した。各成分は、製剤の処方が後述の表1に「実施例1」の欄に記載されたとおりになる量を加えた。
(実施例2)
製剤の処方が後述の表1に「実施例2」の欄に記載されたとおりになる量を加えた点以外は、実施例1と同様の方法により、155mgの実施例2に係る製剤を作製した。
(比較例1)
ヒドロキシプロピルセルロースをヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の代わりに、流動層造粒を行う際に用いた点と、フィルムコーティング時に、ポリエチレングリコール(マクロゴール6000、三洋化成工業株式会社製)を更に用いた点と、製剤の処方が後述の表1に「比較例1」の欄に記載されたとおりになる量を加えた点以外は、実施例1と同様の方法により、78mgの比較例1に係る製剤を作製した。
(比較例2)
ファイザー株式会社製のジェイゾロフト(登録商標)の50mg錠(有効成分:塩酸セルトラリン56mg、セルトラリンとして50mg)を準備し、これを比較例2に係る製剤とした。
以下の表1に、実施例1〜2及び比較例1に係る製剤の1錠あたりの処方と、比較例2に係る製剤の1錠あたりに含まれる成分を示す。表1中、「○」は、その成分を含有することを示し、「−」は、その成分を含有しないことを示す。
Figure 0006455293
<薬物安定性試験>
(曝光試験)
実施例1及び比較例1に係る製剤に対して、14日間曝光条件下で保存を行い、時間の経過とともに、類縁物質の量を測定し、薬物安定性を評価した。曝光条件下での保存は、2000 lxの条件で行った。その結果を、図1に示す。図1中、(a)が、比較例1に係る製剤についての、保存期間(日)と、類縁物質量(質量%)との関係を示し、(b)が、実施例1に係る製剤についての、保存期間(日)と、類縁物質量(質量%)との関係を示す。なお、類縁物質量は、HPLCにより測定した。
図1に示すように、ヒドロキシプロピルセルロースとポリエチレングリコールが配合された比較例1に係る製剤が、類縁物質が時間経過とともに増加したのに対し、ヒドロキシプロピルセルロースとポリエチレングリコールが配合されてない実施例1に係る製剤は、ほとんど類縁物質が増加しなかった。
この結果より、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールを含まないことにより、セルトラリンの類縁物質の増加を抑え、薬物安定性を向上できることがわかった。
<加速試験>
(瓶包装製剤の作製)
実施例1及び2に係る製剤を、それぞれ500錠、瓶(材質:ポリエチレン)により包装し、これを1ロットとして、合計3ロットの瓶に包装された実施例1及び2に係る製剤(以下、本明細書において「瓶包装製剤」ということがある。)をそれぞれ作製した。
(PTP包装製剤の作製)
実施例1及び2に係る製剤を、それぞれ500錠、PTP(Press Through Package)(材質:PVC(ポリ塩化ビニル))により包装し、これを1ロットとして、合計3ロットのPTPに包装された実施例1及び2に係る製剤(以下、本明細書において「PTP包装製剤」ということがある。)をそれぞれ作製した。
瓶包装製剤及びPTP包装製剤のそれぞれロットの製剤について、n=3とし、加速条件下で、時間経過とともに、セルトラリンの含有量及び類縁物質の質量を測定した。加速条件は、40℃/75%RH(Relative Humidity)の条件とし、合計6箇月行った。セルトラリンについての結果を表2、3に示し、類縁物質についての結果を表4、5に示す。また、実施例1についての結果を表2、4に、実施例2についての結果を表3、5に示す。表2の値は、25mgを100としたときのそれぞれの段階の1錠中のセルトラリンの平均の相対含有量であり、表3の値は、50mgを100としたときのそれぞれの時間経過時の1錠中のセルトラリンの相対含有量である。また、表4中の値は、25mgを100としたときの、それぞれの時間経過時の1錠中の類縁物質の相対含有量であり、表5中の値は、50mgを100としたときの、それぞれの時間経過時の1錠中の類縁物質の相対含有量である。なお、セルトラリン及び類縁物質の含有量は、HPLCにより測定した。
Figure 0006455293
Figure 0006455293
Figure 0006455293
Figure 0006455293
表2、3に示すように、実施例1と実施例2のいずれの瓶包装製剤及びPTP包装製剤においても、加速条件下で6箇月経過しても、セルトラリンの質量はほとんど減少しないことが確認された。また。表4、5にしめすように、加速条件下で6箇月経過しても、類縁物質の質量はほぼ増加しなかったことが確認された。
以上で述べた結果より、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールを含まないことにより、セルトラリンの類縁物質の増加を抑制し、薬物安定性が著しく向上することがわかった。
<溶出性試験>
実施例2に係る製剤と、比較例2に係る製剤とを用いて、日本薬局方(第16改正)の溶出試験に準じて(n=12)溶出挙動を評価したところ、実施例2に係る製剤は、比較例2に係る製剤と同程度の溶出挙動を示した。また、実施例1に係る製剤についても、同様に、溶出挙動を評価したところ、実施例2に係る製剤と同程度の溶出挙動を示した。
また、実施例1及び2に係る製剤について、上記加速試験時に、時間経過とともに、溶出率の変化を測定したところ(本溶出性試験における「溶出率」とは、実施例1に係る製剤についてはセルトラリン25mgを、又は実施例2に係る製剤については50mgをそれぞれ100%としたときの、それぞれの時間経過時の1錠中のセルトラリンの平均溶出質量の割合を示す)、溶出率が90%以上を示し、加速時の溶出率も安定することが確認された。
以上のことから、セルトラリンの製剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールを含有しないことで、薬物の安定性が向上することがわかった。また、結合剤であるヒドロキシプロピルセルロース及びコーティング剤であるポリエチレングリコールを含まないにもかかわらず、比較例2に係る製剤(ファイザー株式会社製のジェイゾロフト(登録商標))と同等の溶出率を示したことから、適量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることで、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールを含まなくとも、セルトラリンが適切な溶出性を保てるように製剤中に保持できることが示された。

Claims (2)

  1. 錠剤本体と、前記錠剤本体を被覆するコーティングと、を備える製剤であって、
    前記錠剤本体は、セルトラリン及び/又はその薬学上許容しうる塩と、ヒドロキシプロピルセルロース以外の結合剤とを含み、ヒドロキシプロピルセルロースを含まず、
    前記コーティングはポリエチレングリコールを含まず、
    前記結合剤は、2質量%水溶液の20℃における粘度が、1.0〜7.0mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースである、製剤。
  2. 前記結合剤の含有量が、製剤全体の質量に対して10質量%未満である、請求項1に記載の製剤。
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