JP6455202B2 - 暖房便座 - Google Patents

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本発明は、暖房便座に関する。
従来から、便座表面を形成する着座部材と、便座底面を形成する底壁部材の2部材から構成される便座を有し、着座部材の着座面の裏面に熱源となる加熱手段が設けられた暖房便座が知られている。
このような暖房便座において、特許文献1には、使用者の便座への着座による荷重に耐えられるように、着座部材の下面に着座部材と離間対向する荷重支持体を有した荷重受け部を備えた便座構造が開示されている。この構造では、振動溶着時に底壁部材及び着座部材と荷重支持体とが干渉しないように間に横方向に隙間が設けられている。
特開2013−236653号公報
しかしながら、特許文献1に記載の便座構造では、加熱手段からの熱が、暖房便座内の空間及びこの空間に連通する上記隙間を介して底壁部材側に逃げてしまうため、着座部材の保温性が不十分であった。
この保温性を高めるには、何らかの部材を支持体に新たに設けることも考えられるが、着座部材と底壁部材との振動溶着のため、上記隙間を無くすことができず、保温性を高めることが困難であった。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、振動溶着が行えることができると共に、着座部材の保温性を高めることができる暖房便座を提供することを目的の一つとしている。
本発明の第1態様に係る暖房便座は、断面視が略U字状の着座部材と、前記着座部材の裏面に設けられた加熱手段と、前記着座部材の縁部に溶着され、前記着座部材及び前記加熱手段の間に中空空間形成し、便器と対向する底面部を有する底壁部材と、前記中空空間内の前記底壁部材に載置され、前記着座部材を支持する支持体であって、前記着座部材及び前記底壁部材の溶着箇所から前記支持体までの間の前記底面部と平行な横方向の隙間を形成する前記支持体と、前記溶着箇所から、前記隙間の中間よりも前記支持体側まで突出する突出部と、を備える。

この構成によれば、着座部材及び底壁部材の溶着箇所から、隙間の中間よりも支持体側まで突出する突出部が存在することにより、少なくとも溶着箇所から隙間の中間までの間の隙間が突出部で小分けに仕切られる。このため、突出部の仕切りが壁となって、便座加熱手段による発熱が例えば中空空間から隙間の奥まで逃げ難くなり、着座部材の保温性を高めることができる。
また、この構成によれば、突出部を溶着箇所から突出させる構成とすることで、溶着時に溶着箇所から出るバリを突出部として有効活用する。突出部として活用するバリは、製造時において着座部材と底壁部材の振動溶着後に生成されるものなので、振動溶着開始時は邪魔となる突出部が無く、振動溶着ができる。
したがって、第1態様の暖房便座では、振動溶着が行えることができると共に、着座部材の保温性を高めることができる。
本発明の第2態様に係る暖房便座では、第1態様において、前記突出部は、前記支持体を挟んだ両側に設けられ、前記支持体と接触している。
この構成によれば、支持体が両側から突出部と接触するので、支持体を安定に保持することができる。また、溶着箇所から支持体までの間の隙間が突出部で二分されるため、温度差がある上下方向で発生する熱対流を抑制でき、着座部材の保温性をより高めることができる。
本発明の第3態様に係る暖房便座では、第2態様において、前記突出部は、前記暖房便座の周方向において前記支持体と線接触している。
この構成によれば、広範囲にわたって上下方向に隙間が二分されるため、温度差がある上下方向で発生する熱対流を抑制できる。
本発明の第4態様に係る暖房便座では、第1態様乃至第3態様の何れか1つの態様において、前記底壁部材には、前記突出部の根元を受ける受け部材が設けられている。
この構成によれば、振動溶着時に出るバリの根元を、受け部材で受けつつ支持体方向に案内しながら突出部として成長させることができる。
本発明の第5態様に係る暖房便座では、第4態様において、前記受け部材は、前記突出部側の面が、前記支持体の方向に向かって高く傾斜している。
この構成によれば、振動溶着時に出るバリが底壁部材側に垂れたとしても、支持体方向にバリを案内することができる。
本発明の暖房便座によれば、着座部材の保温性を高めることができると共に振動溶着が行えることができる。
本発明の第一実施形態に係る暖房便座の外観斜視図である。 図1のA−A矢視断面図である。 内周側接合面と内周凸部との溶着箇所を拡大した図である。 本発明の第二実施形態に係る暖房便座の部分断面拡大図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の複数の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第一実施形態>
まず、本発明の第一実施形態に係る暖房便座について説明する。
―――暖房便座の全体構成―――
図1は、本発明の第一実施形態に係る暖房便座100の外観斜視図である。
図1に示すように、暖房便座100は、大便器Tの前方(図中右方向)の上部に設けられている。この暖房便座100は、例えば環状である。暖房便座100は、後方部が軸支されており、前方部が上下に動くことで、大便器Tに対して開閉自在である。また、暖房便座100は、使用者が着座するための部材であり、且つ、着座の際に臀部を暖めるようになっている。
図2は、図1のA−A矢視断面図である。
暖房便座100は、着座部材110と、底壁部材120と、を備えている。
着座部材110は、断面視が略U字状である。この着座部材110は、使用者が着座する面を構成し可撓性のある着座部111と、この着座部111から滑らかに連続した着座部材110の側面を構成する側部(内周側の内周部112および外周側の外周部113)とを有している。
内周部112の底面には、着座部材110の縁部となる、略水平の内周側接合面112aが設けられている。同様に、外周部113の底面には、着座部材110の縁部となる、略水平の外周側接合面113aが設けられている。
また、底壁部材120は、大便器Tと対向する底面部121と、内周側接合面112aに対向する内周凸部122と、外周側接合面113aに対向する外周凸部123と、を有している。
そして、内周側接合面112aと内周凸部122、および外周側接合面113aと外周凸部123がそれぞれ振動溶着により接合されることで、着座部材110と底壁部材120が接合されている。これにより、着座部材110と底壁部材120と間に中空空間Vが形成されている。
さらに、着座部材110の着座部111の裏面にはそれ自体が加熱することで着座部111を介して使用者の臀部を加熱する便座加熱手段130が貼付されている。
便座加熱手段130は、線状の発熱体である線状発熱体131と、着座部111の裏側ほぼ全面に貼付されると共に線状発熱体131が敷設され、線状発熱体131が発した熱を着座部111の全域へと拡散する熱拡散シート133と、この熱拡散シート133と共に線状発熱体131を挟持する固定シート134と、を備えている。
さらに、便座加熱手段130は、熱拡散シート133と固定シート134との間に、線状発熱体131の他に、断面形状が矩形のスペーサー132を後述する支持体140の荷重支持部143から予め定められた距離だけ上方に離れた位置に、さらに備えている(図2では離れていないが、拡大すれば離れている。)。
つまり、熱拡散シート133及び固定シート134が、線状発熱体131及び線状発熱体131と異なる位置にあるスペーサー132を挟持している。これにより、スペーサー132の熱拡散シート133からのはく離が抑制されると共にスペーサー132が位置決めされる。
また、中空空間V内には、使用者が着座していない際に便座加熱手段130と離間対向しており、使用者の着座等により着座部111が撓んだ際に便座加熱手段130と当接し着座部111にかかる荷重を支持する支持体140が設けられている。これにより、着座時に着座部材110が支持体140と当接する際に着座部111にかかる荷重を支持体140が支持する。
支持体140は、水平基部141と、複数の垂下部142(142a、142b、142c、142d)と、荷重支持部143(荷重支持部143a、143b)と、で構成されている。
水平基部141は、着座部111とほぼ平行に対向し着座部材110の内壁近傍まで延びる基部である。
垂下部142(142a、142b、142c、142d)は、この水平基部141から下方に垂れ下がり底壁部材120と当接する。そして、垂下部142aは水平基部141の最内周側から垂下しており、垂下部142dは水平基部141の最外周側から垂下している。
また、垂下部142b、142cは、垂下部142aと垂下部142bの間で水平基部141から垂下しており、垂下部142bが垂下部142cより内周側に位置している。
荷重支持部143(143a、143b)は、水平基部141から上方に立ち上がり使用者が着座していない際に便座加熱手段130と対向して便座加熱手段130に向かって上方に突出すると共に着座部材110からの荷重を支持する。
着座部材110の変形により着座部111が撓み、着座部111が便座加熱手段130を介して荷重支持部143と接触した際には、荷重支持部143は着座部111にかかる荷重を支持する。
―――溶着箇所200付近の構成―――
図3は、内周側接合面112aと内周凸部122との溶着箇所200を拡大した図である。
図3に示すように、内周側接合面112aと内周凸部122との間には、横方向に振動溶着されることで溶着箇所200が形成されている。溶着箇所200は、図中では、実線と点線との間の領域に示されている。
ここで、溶着箇所200が形成される前において、着座部材110の縁部から底壁部材120に渡って支持体140との間には、中空空間Vと連通し横方向に振動溶着するための隙間Gが形成されている。より具体的には、隙間Gは、内周部112の上端部から内周凸部122の下端部に渡って、これらと支持体140の垂下部142aとの横方向の間に形成されている。
そして、横方向に振動溶着されている間に、溶着箇所200が形成されつつ、且つ、その横方向、すなわち隙間Gと、その反対方向に、溶着箇所200から突出する突出部としてのバリ202が発生し始める。なお、溶着箇所200に対して隙間Gと反対方向に突出するバリ202については、その後、削られて、図3では不図示となっている。また、図3以降では、バリ202のハッチングは省略している。
隙間Gに突出するバリ202は、振動溶着の時間を長くしたり、荷重や振幅を大きくしたり、元々隙間Gを短くしておいたり等の工夫によって、溶着箇所200が形成された後においては、隙間Gの中間よりも支持体140側まで突出している。本実施形態では、バリ202は、支持体140まで突出して、支持体140の垂下部142aと接触し、さらには、当該垂下部142aと接合している。また、バリ202は、図示は省略するが、暖房便座100の周方向において支持体140と線接触し、垂下部142aと接合している。
このバリ202の突出によって、隙間Gが上下方向に二分割されており、上方向の隙間Gは中空空間Vと連通しつつも、下方向の隙間Gは中空空間Vと連通しなくなっている。
また、図2に戻って、上記同様に、外周側接合面113aと外周凸部123との間にも、溶着箇所200が形成され、当該溶着箇所200からバリ202が形成されている。すなわち、バリ202は、支持体140を挟んだ両側に設けられている。
―――効果―――
本発明の第一実施形態に係る暖房便座100によれば、着座部材110及び底壁部材120の溶着箇所200から、隙間Gの中間よりも支持体140側まで突出する突出部としてのバリ202が存在することにより、少なくとも溶着箇所200から隙間Gの中間までの間の隙間がバリ202で小分けに仕切られる。このため、バリ202の仕切りが壁となって、便座加熱手段130による発熱が例えば中空空間Vから隙間Gの奥(底壁部材120側)まで逃げ難くなり、着座部材110の保温性を高めることができる。
また、この構成によれば、突出部を溶着箇所から突出させる構成とすることで、溶着時に溶着箇所200から出るバリ202を突出部として有効活用する。突出部として活用するバリ202は、製造時において着座部材110と底壁部材120の振動溶着後に生成されるものなので、振動溶着開始時は邪魔となる突出部が無く、振動溶着ができる。
したがって、第1態様の暖房便座100では、振動溶着が行えることができると共に、着座部材110の保温性を高めることができる。
また、溶着の工程で突出部としてのバリ202を生成することができ、突出部の生成工程を短縮化することができ、保温性を高めるための製造コストを抑制できる。
また、隙間Gを上下方向に二分されるため、何らかの事象により隙間G内に水が浸入したとしても、電装部品である便座加熱手段130がある中空空間Vの上部への水の浸入を抑制するため、便座加熱手段130の漏電を抑制することができる。
また、暖房便座100によれば、バリ202は、支持体140を挟んだ左右両側に設けられ、支持体140と接触しているため、支持体140を安定に保持することができる。また、溶着箇所200から支持体140までの間の隙間Gがバリ202で上下に二分されるため、温度差がある上下方向で発生する熱対流を抑制でき、着座部材110の保温性をより高めることができる。
また、バリ202は、暖房便座100の周方向において支持体と線接触しているため、広範囲にわたって上下方向に隙間Gが二分されるため、温度差がある上下方向で発生する熱対流を抑制できる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る暖房便座について説明する。
図4は、本発明の第二実施形態に係る暖房便座300の部分断面拡大図である。
暖房便座300は、第一実施形態と同様の構成を備える他、さらに、底壁部材120の内周凸部122に設けられた、バリ202の根元を受ける受け部材302を備えている。
この受け部材302は、支持体140側に水平に突出している。受け部材302は、バリ202の成長方向を案内するという観点から、隙間Gの中間よりも支持体140側まで突出していることが好ましい。ただし、振動溶着で邪魔とならないように、受け部材302の先端と支持体140との間には、隙間を有している。また、受け部材302は、底壁部材120と一体的に形成されてもよく、別に形成されてもよい。
以上、本発明の第二実施形態に係る暖房便座300によれば、振動溶着時に出るバリ202の根元を、受け部材302で受けつつ支持体140方向に案内しながら突出部として成長させることができる。
<変形例>
以上、本願の開示する技術の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものではない。
例えば、第一実施形態では、荷重支持部143は便座加熱手段130と離間対向している場合を説明したが、接触していてもよい。
また、第一実施形態では、バリ202は、支持体140まで突出して、支持体140の垂下部142aと接触し、さらには、当該垂下部142aと接合している場合を説明したが、バリ202は、隙間Gの中間よりも支持体140側まで突出していれば、支持体140の垂下部142aと接触していなくてもよい。ただし、接触していた方が、隙間Gを分割できるため好ましい。
また、バリ202は、暖房便座100の周方向において支持体140と線接触している場合を説明したが、全部又は一部が線接触していなくてもよい。
また、バリ202は、支持体140を挟んだ両側に設けられている場合を説明したが、何れか一方にのみ設けられていてもよい。
また、第一実施形態では、隙間Gの左右方向の長さについては、特に限定していないが、暖房便座100の周方向のうち、バリ202が発生し難い箇所、例えば前方部又は後方部の箇所において隙間Gの左右方向の長さを短くするようにしてもよい。こうすることで、隙間Gの中間までの距離が短くなり、バリ202を、隙間Gの中間よりも支持体140側まで突出させ易くすることができる。一方で、暖房便座100の周方向のうち、バリ202が発生し易い箇所、例えば左右方向の箇所において隙間Gの左右方向の長さを長くするようにしてもよい。こうすることで、隙間Gの中間までの距離が長くなり、バリ202が発生し易い箇所に対して、バリ202と支持体140との間の長さ調整を行うことができる。
また、第二実施形態で説明した受け部材302は、図4と異なり、バリ202側の面が、支持体140の方向に向かって高く傾斜していてもよい。こうすることで、振動溶着時に出るバリ202が底壁部材120側に重力で垂れたとしても、支持体140方向にバリ202を案内することができる。また、受け部材302は、暖房便座300の周方向において全部又は一部に設けられていてもよいが、製造容易という観点から、一部に設けることが好ましい。この場合であっても、一部の受け部材302がバリの成長を案内することで、その周囲の部分のバリの成長も案内することができる。
前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
100,300…暖房便座300
110…着座部材
120…底壁部材
130…便座加熱手段(加熱手段)
140…支持体
200…溶着箇所
202…バリ(突出部)
302…受け部材
G…隙間
V…中空空間

Claims (5)

  1. 断面視が略U字状の着座部材と、
    前記着座部材の裏面に設けられた加熱手段と、
    前記着座部材の縁部に溶着され、前記着座部材及び前記加熱手段の間に中空空間形成し、便器と対向する底面部を有する底壁部材と、
    前記中空空間内の前記底壁部材に載置され、前記着座部材を支持する支持体であって、
    前記着座部材及び前記底壁部材の溶着箇所から前記支持体までの間の前記底面部と平行な横方向の隙間を形成する前記支持体と、
    記溶着箇所から、前記隙間の中間よりも前記支持体側まで突出する突出部と、
    を備える暖房便座。
  2. 前記突出部は、前記支持体を挟んだ両側に設けられ、前記支持体と接触している、
    請求項1に記載の暖房便座。
  3. 前記突出部は、前記暖房便座の周方向において前記支持体と線接触している、
    請求項2に記載の暖房便座。
  4. 前記底壁部材には、前記突出部の根元を受ける受け部材が設けられている、
    請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の暖房便座。
  5. 前記受け部材は、前記突出部側の面が、前記支持体の方向に向かって高く傾斜している、
    請求項4に記載の暖房便座。
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