JP6455142B2 - シリカゾル分散液及びシリカ多孔質膜形成用組成物 - Google Patents

シリカゾル分散液及びシリカ多孔質膜形成用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質で屈折率が低く、しかも透明性が高いシリカ多孔質膜の形成に好適なシリカゾル分散液及びシリカ多孔質膜形成用組成物に関するものである。
シリカ系の多孔質膜等は、一般に、ブラウン管、液晶、有機EL等のディスプレイパネルや太陽電池、光学レンズ、ショーケース用ガラス等において、入射する光の反射を防止するための反射防止膜のほか、濾過フィルターやインクジェット記録媒体が備えるインク受容層等にも広く利用されている。インクジェット記録用の媒体は、例えばシリカ微粒子等の無機微粒子を水系媒体に分散させて調製した分散液を、紙等の支持基材の上に塗布し、所望の空隙率を有するインク受容層を設けることによって作製される。このようなインク受容層の形成に係る技術として、水性媒体に、カチオン性高分子分散剤の添加量Dtと無機微粒子としてのシリカ微粒子の添加量Itとの比率(Dt/It)が、上記分散剤の最終添加量Dとシリカ微粒子の最終添加量Iとの比率(D/I)より小さくなる添加条件にて上記分散剤とシリカ微粒子を添加して調製を行う無機微粒子分散液の製造方法及び該方法により得られた無機微粒子分散液が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この無機微粒子分散液の製造方法では、上記方法により、無機微粒子の分散時における増粘を抑え、低い消費エネルギーで無機微粒子を均一に分散でき、経時滲み等の画像変化の少ないインクジェット記録媒体を製造できるとされている。
インクジェット記録用の媒体に要求される特性には、一般に、インクの吸収性及び保持効率が高いことや、長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像が滲まないこと等が挙げられる。このほか、クスミが少なく、彩度が高いことや、記録面の白色度が高いこと等の特性が求められ、高い色濃度と良好な発色性を得るという観点等から、インク受容層には良好な透明性等が要求される。
特開2005−238480号公報(請求項1〜5、段落[0009],段落[0010]、段落[0021])
しかしながら、上記特許文献1に示された無機微粒子分散液で形成された層或いは膜では、例えばディスプレイパネル前面側の反射防止膜等の光学用途に適応できる程度の十分な透明性を得るのが困難であった。その原因としては、インクの吸収性及び保持効率等を高めるため、空隙率が高い多孔質の膜に形成しようとすると、屈折率は低下するものの、透明性が逆に悪くなる傾向がみられ、低屈折率であることと透明性に優れることの両立が一般に困難であることが挙げられる。また、分散剤として使用されているカチオン性高分子分散剤は、比較的巨大な高分子構造をとるため、とりわけナノサイズの微粒子に対し、その粒子表面へ有効に吸着しづらく、液中に含まれるシリカ微粒子の分散性が依然として十分でないこと等が考えられる。
このため、上記特許文献1に示された無機微粒子分散液は、インクジェット記録媒体への用途には好適であるものの、光学用途等の他の用途には向かず、用途が限られることから汎用性の面等で劣る。そこで、多孔質で低屈折率であるとともに、透明性が高く、光学系機器等にも好適に利用できる材料の開発が求められていた。
本発明の目的は、多孔質で屈折率が低く、しかも透明性が高いシリカ多孔質膜の形成に好適なシリカゾル分散液及びシリカ多孔質膜形成用組成物を提供することにある。
本発明の第1の観点は、シリカ粒子と、分散剤及び溶媒を含有する液成分とを含み、シリカ粒子がこの粒子表面に親水性官能基を有する親水性シリカ粒子であり、分散剤が−COOH構造を分子中に1以上含み、かつ小数点以下を切り捨てて整数にしたときの分子量(以下、単に分子量という。)が192以下の化合物であり、親水性シリカ粒子と分散剤の質量比が100:1〜100:15であり、親水性シリカ粒子がヒュームドシリカであるシリカゾル分散液である。
本発明の第の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に親水性官能基がシラノール基であることを特徴とする。
本発明の第の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に分散剤がクエン酸又はシュウ酸であることを特徴とする。
本発明の第の観点は、第1ないし第の観点に基づく発明であって、更に親水性シリカ粒子の平均一次粒子径が10nm以下であることを特徴とする。
本発明の第の観点は、第1ないし第の観点に基づく発明であって、更に親水性シリカ粒子の平均二次粒子径が200〜280nmであることを特徴とする。
本発明の第の観点は、第1ないし第の観点のシリカゾル分散液に更にバインダを添加、混合して得られたシリカ多孔質膜形成用組成物である。
本発明の第1の観点のシリカゾル分散液では、シリカ粒子と、分散剤及び溶媒を含有する液成分とを含み、シリカ粒子が粒子表面に親水性官能基を有する親水性シリカ粒子であり、分散剤が−COOH構造を分子中に1以上含み、かつ分子量が所定値以下の化合物であり、これらを所望の割合で含む分散液である。このように、シリカ粒子に親水性シリカ粒子を使用し、かつ分散剤に所定の化合物を使用することで、これらの組み合わせによる相互作用によって非常に高い分散安定効果が得られる。また、使用する分散剤は、分子量が所定値以下であるため、シリカ粒子がナノサイズであっても、分散剤同士が互いに干渉を起こすことなく、効率良く粒子表面へ吸着される。このような理由から、液中における親水性シリカ粒子の分散性に非常に優れるため、このシリカ粒子分散液を使用すれば、多孔質で屈折率が低く、しかも透明性が高いシリカ多孔質膜を形成できる。
また本発明の第の観点のシリカゾル分散液では、親水性シリカ粒子がヒュームドシリカであることにより、例えば湿式法で得られたシリカを使用する場合に比べて、低屈折率の膜が容易に得られる点でより高い効果が得られる。
本発明の第の観点のシリカゾル分散液では、親水性官能基がシラノール基であることにより、他の親水性官能基が粒子表面に有する親水性シリカ粒子を使用した場合に比べて、より高い透明性の膜が得られる。
本発明の第の観点のシリカゾル分散液では、分散剤がクエン酸又はシュウ酸であることにより、分散剤に、これら以外のものを使用した場合に比べて、より高い透明性の膜が得られる。
本発明の第の観点のシリカゾル分散液は、親水性シリカ粒子の平均一次粒子径が10nm以下であることにより、より高い透明性の膜が得られる。
本発明の第の観点のシリカゾル分散液は、親水性シリカ粒子の平均二次粒子径が200〜280nmであり、分散性に非常に優れるため、形成される膜においてより高い透明性が得られる。また、粒子同士の凝集が少ないため、粘度の制御がしやすくなり、膜ムラ等の不具合を防止する効果が高められる。
本発明の第の観点のシリカ多孔質膜形成用組成物は、分散性に優れた本発明のシリカゾル分散液を使用しているため、多孔質で屈折率が低く、しかも透明性が高いシリカ多孔質膜を形成できる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
本発明のシリカゾル分散液は、シリカ粒子と、分散剤及び溶媒を含有する液成分とを含む。分散液中に含まれるシリカ粒子は、この粒子表面に親水性官能基を有する親水性シリカ粒子である。分散液中に含まれるシリカ粒子を親水性シリカ粒子に限定したのは、後述する特定の分散剤との組み合わせによる相互作用により高い分散安定効果が得られるからである。これによって、シリカ粒子の分散性を大幅に向上させることができ、形成される膜において非常に高い透明性が得られる。分散性が高いと、形成される膜の透明性も高くなる技術的な理由は、分散性が向上し、シリカ粒子径が小さくなるに伴い、膜内部のシリカ粒子表面で可視光域での光散乱が抑制され、結果として人間の目で色みとして認識されにくくなるため、と推察される。
母体となるシリカ粒子は、例えば珪酸ソーダ水溶液の酸又はアルカリ金属塩による中和により得られた、いわゆる湿式法(液相法)シリカと、ハロゲン化ケイ素化合物等の揮発性ケイ素化合物の火炎加水分解を行う火炎噴霧法(気相法又は乾式法)によって得られた、いわゆるヒュームドシリカ等に大別される。本発明で使用する親水性シリカ粒子は、ヒュームドシリカであることが好ましい。これは、湿式法シリカに比べ、ヒュームドシリカ粒子は、製造法上の理由から、分散性を十分に高めた状態でも、粒子内部に適度な空隙を有した状態で存在していることが多く、結果として塗布膜内部に多孔質構造を形成やすく、屈折率が低下しやすいからである。
親水性シリカ粒子の平均一次粒子径は10nm以下であることが好ましい。平均一次粒子径が上限値を越えると、形成される膜のヘーズが大きくなり、透明性が悪くなる傾向がみられる。親水性シリカ粒子の平均一次粒子径が大きすぎると、形成される膜のヘーズが増大する理由は、一次粒子径の増大に伴い、膜内部のシリカ粒子表面で可視光域における光散乱が増大し、結果として人間の目で色みとして認識されやすくなるためと推察される。なお、本明細書中、平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡で粒子2500個以上の粒子径を測定し、個数平均により求めた粒子径の平均値である。また、一次粒子の比表面積は200〜400m/gであることが好ましい。
また、親水性シリカ粒子の平均二次粒子径は、200〜280nmであることが好ましい。親水性シリカ粒子の平均二次粒子径が下限値未満では、二次粒子同士の凝集作用が強くなる傾向がみられ、分散液の粘度制御が困難になり、成膜時に膜ムラ等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を超えると、形成される膜のヘーズが高くなり、透明性を悪化させる場合がある。このうち、親水性シリカ粒子の平均二次粒子径は、210〜240nmであることが特に好ましい。なお、本明細書中、平均二次粒子径とは、動的光散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製 型式名:LB-550)を用いて、分散液中の粒子径を測定した二次粒子の平均粒子径をいう。なお、分散液中の粒子のほぼ全ては二次粒子として存在している。
親水性シリカ粒子に、一次粒子の小さいものを選んだり、二次粒子径を小さくすると、上述のように、形成される膜のヘーズを低くすることができ、良好な透明性が確保できるものの、使用する分散剤の種類等によっては、分散剤としての化合物が高分子構造をとること等に起因して、分散性を十分に付与できない場合がある。これにより、形成される膜において十分な透明性が得られにくくなる。一方、本発明では、親水性シリカ粒子と、後述する特定の種類の分散剤との組み合わせによる相互作用等によって、高い分散安定効果が得られる。そのため、ナノサイズの微細な親水性シリカ粒子を使用しても、所定の分散剤との組み合わせによって、非常に優れた分散性が得られることから、透明性が非常に高いシリカ多孔質膜を形成できる。
分散剤は−COOH構造を分子中に1以上含み、かつ小数点以下を切り捨てて整数にしたときの分子量が192以下の化合物である。分散剤を上記のものに限定することによって、親水性シリカ粒子との相互作用により高い分散安定効果が得られる理由は、分散剤構造中の、比較的低分子である親水性部が粒子表面のシラノール基に効率よく吸着することで、粒子最表面のシラノール基の割合が減少し、親水性粒子同士の凝集力を強く抑制するためと推察される。また、小数点以下を切り捨てて整数にしたときの分子量が192以下のものに限定する理由は、分子量が192を越えると、分散剤を構成する化合物が高分子構造をとることにより、親水性シリカ粒子表面への吸着が、分散剤を構成する化合物同士の衝突等によって阻害され、良好な分散性が得られない等の不具合が生じるためと考えられる。このうち、分子量は90以下であることが好ましい。
分散剤として用いられる上記化合物としては、具体的には、クエン酸又はシュウ酸が挙げられる。
溶媒には、水系溶媒のほか、アルコール、ケトン、グリコールエーテル又はグリコールエーテルアセテート等の有機溶媒を使用することができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール又はエチレングリコール等が挙げられる。また、ケトンとしては、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン等が挙げられる。また、グリコールエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。また、グリコールエーテルアセテートとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。このうち、非常に高い分散性が得られることから、アルコールを使用するのが特に好ましい。これらは、1種でも使用できるが、2種以上を混合して使用しても良い。
シリカゾル分散液中の親水性シリカ粒子と分散剤の質量比(親水性シリカ粒子:分散剤)は、100:1〜100:15である。シリカゾル分散液中の親水性シリカ粒子と分散剤の質量比を上記範囲に限定したのは、親水性シリカ粒子に対する分散剤の割合が下限値未満になると分散剤の吸着不足により十分な分散性が得られないという不具合が生じ、一方、上限値を超えると過剰に存在する液中の分散剤が変性し、塗布膜の透明性を損なうことがある等の不具合が生じるからである。このうち、100:1〜100:10であることが好ましい。
シリカゾル分散液を調製するには、先ず、上述の溶媒に、分散剤を添加して液成分の調製を行う。次に、調製した液成分に親水性のシリカ粉末を添加し、混合することにより混合物を得る。使用するシリカ粉末には、調製する分散液中の一次粒子と二次粒子の平均粒子径を、上述の所望の範囲に制御するため、比表面積が好ましくは200〜400m/g、平均一次粒子径が5〜10nmのものを使用するのが好ましい。なお、本明細書中、比表面積とは、BET法により測定された比表面積をいう。各成分の割合は、親水性シリカ粒子に対する分散剤の割合が上述の範囲を満たすように調整する。溶媒の割合については、シリカ多孔質膜の用途や目的によって膜厚等が異なるため、目的の粘度に応じて適宜調整可能であるが、シリカ粉末の重さを100質量部としたとき、475〜599質量部となる割合とするのが好ましい。シリカ粉末と、溶媒又は分散剤のいずれかを予め混合し、最後に溶媒又は分散剤のいずれかを添加する方法では粒子表面への分散剤の吸着作用が均一に起こらなくなり、分散性が悪化する等の不具合が生じる場合がある。そのため、上述のように、溶媒に分散剤を添加して液成分を調製した後、この調製した液成分にシリカ粉末を添加する方法が望ましい。そして、この混合物を、ビーズ分散機や高圧ホモジナイザー等の装置により、好ましくは0.5〜30時間混合し、親水性シリカ粒子を十分に分散させる。
以上の工程により、本発明のシリカゾル分散液が得られる。このシリカゾル分散液を用いてシリカ多孔質膜形成用組成物を調製するには、シリカゾル分散液に更にバインダを添加して混合する。使用するバインダは、透明性を損なわないこと、多孔質の膜に形成できること等の性質を有するものが望ましい。具体的には、ケイ素アルコキシドの加水分解物が透明性や機械的強度の面から特に好ましい。このケイ素アルコキシドの加水分解物、即ちバインダーは、上記ケイ素アルコキシド1質量部に対して、水を0.5〜5.0質量部、有機酸又は無機酸を0.005〜0.5質量部、アルコール、グリコールエーテル、又はグリコールエーテルアセテートの有機溶媒を1.0〜5.0質量部の割合で混合して上記ケイ素アルコキシドの加水分解反応を進行させることで得られる。この加水分解物のSiO濃度(SiO分)は1〜20質量%であり、5〜15質量部であることが特に望ましい。加水分解物のSiO濃度が下限値未満では膜の密着性の低下やクラックの発生が起こりやすく、上限値を超えると反応液がゲル化してシリカゾルと混合できなくなる等のおそれがある。ここで、水の割合を上記範囲に限定したのは、水の割合が下限値未満では加水分解速度が遅くなるために多孔質構造の保持性や塗布膜の密着性が不十分になり、一方、上限値を超えると加水分解反応中に反応液がゲル化してシリカゾルゲルと混合できなくなる等の不具合を生じるからである。このうち、水の割合は0.8〜3.0質量部が好ましい。水としては、不純物の混入防止のため、イオン交換水や純水等を使用するのが望ましい。
組成物を調製する際のシリカゾル分散液とバインダの割合は、シリカゾル分散液中のSiO量とバインダ中の固形分量の合計100質量%中に占めるシリカゾル分散液中のSiO量の割合が、40〜99質量%になる割合とするのが好ましい。シリカゾル分散液の割合が下限値未満になると、所望の多孔質構造が形成されない等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を超えると、膜が脆くなる場合がある。このうち、シリカゾル分散液の割合は、70〜98質量%とするのが特に好ましい。
このように調製されたシリカ多孔質膜形成用組成物は、分散性に非常に優れた上述のシリカゾル分散液を使用して調製されるため、多孔質で屈折率が低く、しかも透明性が高いシリカ多孔質膜を形成できる。シリカ多孔質膜の形成は、例えば、以下の方法により行うことができる。先ず、ガラス基板等の基材を用意し、その表面に、上述のシリカ多孔質膜形成用組成物を一般的な塗布法を利用して塗布することにより、塗布膜を形成する。塗布法については、特に限定されず、塗布する基材の種類や用途、後処理の有無等に応じて適宜選択可能であるが、塗布膜の均一性の点から、スピンコート法やバーコート法等が好ましい。なお、使用目的や用途に適した膜厚等に調整するため、使用前に溶媒で希釈して所望の粘度になるように調整してもよい。希釈する際に使用する溶媒には、シリカゾル分散液の調製に用いられる上述の溶媒のほか、水、アルコール系又はグリコールエーテル系等の溶媒を使用するのが好ましい。塗布膜を形成した後は、雰囲気焼成炉を用いて80〜500℃の温度で5〜60分間焼成をして塗布膜を硬化させる。
このように形成されたシリカ多孔質膜には、膜内部に、好ましくは10〜200nmの所望の空孔径を有する空孔が形成される。これにより、屈折率が好ましくは1.1〜1.3の低屈折率のシリカ多孔質膜に形成される。また、ヘーズ値が好ましくは0.1〜0.9と非常に小さく、透明性が非常に高いシリカ多孔質膜となる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。以下に示す実施例5は実施例ではなく、参考例である。
<実施例1〜10及び比較例1〜6>
以下の表2に示す割合でシリカゾル分散液とケイ素アルコキシドの加水分解物からなるバインダを混合することによりシリカ多孔質膜形成用組成物を調製した。なお、表2中、シリカゾル分散液とバインダの割合(組成)は、シリカゾル分散液中のSiO量とバインダ中の固形分量の質量割合で示したものであり、「A」は、シリカゾル分散液中に含まれるSiO量を示し、「B」はバインダ中の固形分量を示す。また、表2に示す分類I〜XIIのシリカゾル分散液について、調製に使用した各成分及び割合を以下の表1に示す。なお、表1中、シリカ粒子の平均一次粒子径及びシリカ粒子の平均二次粒子径は、前述した方法で測定した粒子径である。
分類Iでは、次の手順によりシリカゾル分散液を調製した。具体的には、先ず、シリカ粒子として、火炎噴霧法(気相法又は乾式法)で得られた親水性ヒュームドシリカ(比表面積400m/g、親水性官能基:シラノール基、ワッカーケミー社製 商品名:T40(登録商標)」)を用意した。また、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に、分散剤としてクエン酸(分子量:192)を添加して液成分を調製した。次に、調製した液成分に、上記シリカ粒子を添加し、混合することにより混合物を得た。そして、この混合物を、該混合物中のシリカ粒子1質量部に対して5質量部となる量のジルコニアビーズ(直径:0.5mmφ)とともにガラス管に詰めて密閉した後、ビーズ分散機にて10時間分散させることによりシリカゾル分散液を得た。
分類IIでは、クエン酸の代わりに、シュウ酸(分子量:90)を分散剤として使用したこと以外は、分類Iと同様にしてシリカゾル分散液を得た。
分類IIIでは、クエン酸の代わりに、高分子分散剤(日本ルーブリゾール社製 商品名:「SOLSPERSE 43000(登録商標)」)を分散剤として使用したこと以外は、分類Iと同様にしてシリカゾル分散液を得た。なお、この分散剤は、酸性官能基を有し、小数点以下を切り捨てて整数にしたときの分子量が192を越えるものである。
分類IVでは、クエン酸の代わりに、ラウリン酸(分子量:200)を分散剤として使用したこと以外は、分類Iと同様にしてシリカゾル分散液を得た。
分類Vでは、クエン酸の代わりに、エチレンジアミン(分子量:60)を分散剤として使用したこと以外は、分類Iと同様にしてシリカゾル分散液を得た。
分類VI〜IXでは、各成分の含有割合を、以下の表1に示す割合としたこと以外は、分類Iと同様にしてシリカゾル分散液を得た。
分類Xでは、シリカ粒子として、液相法で得られた親水性シリカ(比表面積230m/g、日産化学工業社製 商品名:「PGM-ST(登録商標)」)を使用したこと以外は、分類Iと同様にしてシリカゾル分散液を得た。
分類XIでは、シリカ粒子として、火炎噴霧法(気相法又は乾式法)で得られたヒュームドシリカに表面処理を施した、疎水性シリカ粒子(比表面積250m/g、ワッカーケミー社製 商品名:H30(登録商標)」)を使用したこと以外は、分類Iと同様にしてシリカゾル分散液を得た。
分類XIIでは、PGMEの代わりに、メチルエチルケトン(MEK)を溶媒として使用したこと以外は、分類Iと同様にしてシリカゾル分散液を得た。
<比較試験及び評価>
実施例1〜10及び比較例1〜6で調製したシリカゾル分散液組成物を用いて、以下の(i)〜(iii)の評価を行った。これらの結果を以下の表2に示す。
(i) ヘーズ:先ず、シリカゾル分散液組成物をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)で希釈し、この希釈した組成物を、基材としてのガラス基板の表面にスピンコート法により塗布して塗布膜を形成した。次に、この塗布膜が形成されたガラス基板を、雰囲気焼成炉を用いて120℃の温度で30分間焼成して硬化させることにより、厚さ約100nmのシリカ多孔質膜を形成した。次に、ヘーズメーター (スガ試験機社製 HZ-2)を用いて、上記得られたシリカ多孔質膜のヘーズ値を測定した。このヘーズ値を、エリプソメトリー(J.A.Woollam社製 型番:M-2000DI)による測定及び解析から求めたシリカ多孔質膜の膜厚で除することにより、膜厚100nm当たりのヘーズ値に換算し、この値をシリカ多孔質膜のヘーズとして評価した。
(ii) 屈折率:上述のガラス基板上に形成した厚さ約100nmのシリカ多孔質膜について、上記エリプソメーターを用いた測定及び解析により、波長550nmにおける屈折率を評価した。
(iii) 塗布均一性: 上述のガラス基板上に形成した厚さ約100nmのシリカ多孔質膜について、その表面を目視により観察した際に、塗り斑が確認された場合を「不可」とし、塗り斑が確認されなかった場合を「良好」とした。
Figure 0006455142
Figure 0006455142
表2から明らかなように、実施例1〜10と比較例1〜6とを比較すると、高分子系の分散剤を使用した比較例1では、得られたシリカ多孔質膜の塗布均一性の評価は良好であったが、ヘーズ値が高い値を示し、十分な透明性が得られなかった。また、分子量が所定値を超える分散剤を使用した比較例2では、塗布均一性の評価は良好であったが、ヘーズ値が高い値を示し、十分な透明性が得られなかった。また、分子量は所定値である192以下であるが、−COOH構造を分子中に含まないエチレンジアミンを分散剤として使用した比較例3では、不適当な分散剤を用いたために、低粘度で安定性の高いシリカゾルを調製できず、エリプソメーターによる屈折率と膜厚100nm当たりのヘーズ値の測定ができないほどに、塗布均一性に劣るものであった。
また、親水性シリカ粒子に対する分散剤の割合(質量比)が所定値に満たないシリカゾル分散液を使用した比較例4では、低粘度で安定性の高いシリカゾルを調製できず、エリプソメーターによる屈折率と膜厚100nm当たりのヘーズ値の測定ができないほどに、塗布均一性に劣るものであった。一方、分散剤の割合(質量比)が所定値を超えるシリカゾル分散液を使用した比較例5では、塗布均一性の評価は良好であったが、ヘーズ値が高い値を示し、十分な透明性が得られなかった。また、疎水性シリカ粒子を使用した比較例6では、−COOH構造を分子中に1以上含み、かつ分子量が所定値以下の化合物を分散剤として使用しても、相互作用による分散安定効果が得られず、低粘度で安定性の高いシリカゾルを調製できず、エリプソメーターによる屈折率と膜厚100nm当たりのヘーズ値の測定ができないほどに、塗布均一性に劣るものであった。
これに対して、実施例1〜10では、ヘーズ、屈折率及び塗布均一性の全ての評価において優れた結果が得られた。
本発明は、ディスプレイパネルや太陽電池、光学レンズ、ショーケース用ガラス等の製造のほか、インクジェット記録媒体や、濾過フィルター等の製造にも利用できる。

Claims (6)

  1. シリカ粒子と、分散剤及び溶媒を含有する液成分とを含み、
    前記シリカ粒子がこの粒子表面に親水性官能基を有する親水性シリカ粒子であり、
    前記分散剤が−COOH構造を分子中に1以上含み、かつ小数点以下を切り捨てて整数にしたときの分子量が192以下の化合物であり、
    前記親水性シリカ粒子と前記分散剤の質量比(親水性シリカ粒子:分散剤)が100:1〜100:15であり、
    前記親水性シリカ粒子がヒュームドシリカであるシリカゾル分散液。
  2. 前記親水性官能基がシラノール基である請求項1記載のシリカゾル分散液。
  3. 前記分散剤がクエン酸又はシュウ酸である請求項1又は2記載のシリカゾル分散液。
  4. 前記親水性シリカ粒子の平均一次粒子径が10nm以下である請求項1ないしいずれか1項に記載のシリカゾル分散液。
  5. 前記親水性シリカ粒子の平均二次粒子径が200〜280nmである請求項1ないしいずれか1項に記載のシリカゾル分散液。
  6. 請求項1ないしいずれか1項に記載のシリカゾル分散液に更にバインダを添加、混合して得られたシリカゾル分散液組成物。
JP2014264290A 2014-12-26 2014-12-26 シリカゾル分散液及びシリカ多孔質膜形成用組成物 Active JP6455142B2 (ja)

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