JP6453674B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関(以下、「エンジン」という)に燃料を噴射供給する燃料噴射弁に関する。
従来、ハウジングが有する複数の噴孔の開閉を複数のニードルの往復移動によって個別に制御しハウジング内の燃料を外側に噴射する燃料噴射弁が知られている。このような燃料噴射弁は、エンジンの運転状態に応じて複数の噴孔を使い分け、燃料の噴射量を広範囲に変更可能なよう構成されている。例えば、特許文献1には、中心軸に近い側に形成される内側噴孔及び内側噴孔の径方向外側に形成される外側噴孔を有するハウジング、ハウジングの中心軸上を往復移動可能に設けられるインナニードル、インナニードルの内側噴孔側に設けられ内側噴孔と連通する連通孔を有する筒状部材、インナニードル及び筒状部材を往復移動可能に収容するアウタニードル、などを備える燃料噴射弁が記載されている。
特許4660582号明細書
特許文献1に記載の燃料噴射弁では、筒状部材は、内側噴孔側の端部が内側噴孔と外側噴孔との間に形成されるハウジングの中間シート面に当接可能に形成されている。これにより、筒状部材が中間シート面に当接すると内側噴孔と外側噴孔とが遮断される。しかしながら、筒状部材の内側噴孔とは反対側の端部は、インナニードルの内側噴孔側の端部と当接可能に形成されている。特許文献1に記載の燃料噴射弁では、インナニードルが筒状部材から離間または筒状部材に当接すると内側噴孔は開閉するため、筒状部材には内側噴孔が開閉する度にハウジング内を移動するインナニードルが衝突する。このため、筒状部材は、インナニードルの衝突によって変形するおそれがある。筒状部材が変形すると、内側噴孔と外側噴孔との液密を維持できなくなり、内側噴孔及び外側噴孔のそれぞれから噴射される燃料の量を高精度に制御することができない。
本発明の目的は、複数の噴孔から噴射される燃料の量を高精度に制御する燃料噴射弁を提供することにある。
本発明は、燃料噴射弁であって、ハウジング、固定コア、可動コア、コイル、インナニードル、アウタニードル、中間部材、及び、付勢部材を備える。
ハウジングは、燃料を噴射する内側噴孔、内側噴孔の径方向外側に形成され燃料を噴射する外側噴孔、内壁のうち内側噴孔と外側噴孔との間に環状に形成される中間シート面、及び、内壁のうち外側噴孔の径方向外側に環状に形成される外側シート面を有する
インナニードルは、可動コアと一体に往復移動可能に設けられ、内側噴孔側の端部にインナ当接面を有する。
アウタニードルは、インナニードルに対し相対的に往復移動可能なようインナニードルの内側噴孔側の端部の径方向外側に設けられ、インナニードルの内側噴孔側の端部が挿入される挿入孔、内側噴孔と挿入孔とを連通する連通孔、内壁のうち連通孔の径方向外側に環状に形成されインナ当接面が当接可能な内側シート面、及び、外壁のうち連通孔の径方向外側に環状に形成され外側シート面に当接可能なアウタ当接面を有する。
中間部材は、連通孔の内壁に摺動しつつ往復移動可能なよう設けられ、内側噴孔が噴射する燃料が流れる内側噴孔用燃料通路、及び、内側噴孔側の端面のうち内側噴孔用燃料通路の径方向外側に環状に形成され中間シート面に当接可能な端面を有する。
第一付勢部材は、インナニードルを内側噴孔側に付勢する。
本発明の燃料噴射弁では、インナニードルが有するインナ当接面とアウタニードルが有する内側シート面とが離間または当接すると、内側噴孔が開閉する。中間部材は、アウタニードルが有する連通孔の内壁に摺動しつつ連通孔を往復移動可能なよう設けられており、内側噴孔が開閉する度にハウジング内を移動するインナニードルは、中間シート面に当接可能な端面を有し内側噴孔と外側噴孔とを遮断する中間部材に衝突しない。これにより、内側噴孔に向かって移動するインナニードルによって中間部材が変形することを防止する。
このように、本発明の燃料噴射弁では、中間シート面に当接可能な中間部材の変形を防止し、内側噴孔と外側噴孔との液密を確実に維持することができる。これにより、内側噴孔及び外側噴孔から噴射される燃料の噴射量を高精度に制御することができる。
本発明の第一実施形態による燃料噴射弁の断面図である。 図1のII部拡大図である。 図2のIII部拡大図である。 図3のIV矢視図である。 本発明の第一実施形態による燃料噴射弁の作用を説明する断面図であって、図2とは異なる作用を説明する断面図である。 本発明の第一実施形態による燃料噴射弁の作用を説明する断面図であって、図2、5とは異なる作用を説明する断面図である。 本発明の第二実施形態による燃料噴射弁の断面図である。 本発明の第三実施形態による燃料噴射弁の断面図である。 図8のIX部拡大図である。 図9のX部拡大図である。 (a)本発明の第三実施形態による燃料噴射弁の一部拡大断面図である。(b)比較例の燃料噴射弁の一部拡大断面図である。 本発明の第三実施形態による燃料噴射弁の作用を説明する断面図であって、図10とは異なる作用を説明する断面図である。 本発明の第三実施形態による燃料噴射弁の作用を説明する断面図であって、図10、12とは異なる作用を説明する断面図である。 本発明の第三実施形態による燃料噴射弁の作用を説明する断面図であって、図10、12、13とは異なる作用を説明する断面図である。 本発明のその他の実施形態による燃料噴射弁が備える筒状部材の断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態による燃料噴射弁1を図1〜6に示す。なお、図1〜3、5、6には、アウタニードル50が噴射部251から離間する方向である開弁方向、及び、アウタニードル50が噴射部251に当接する方向である閉弁方向を図示する。
燃料噴射弁1は、例えば図示しない直噴式ガソリンエンジンの燃料噴射装置に用いられ、燃料としてのガソリンを高圧でエンジンに噴射供給する。燃料噴射弁1は、ハウジング20、インナニードル40、アウタニードル50、「中間部材」としての筒状部材60、可動コア35、固定コア30、コイル37、「第一付勢部材」としてのスプリング31、スプリング32などを備える。
ハウジング20は、図1に示すように、第一筒部材21、第二筒部材22、第三筒部材23及び噴射ノズル25などから構成されている。第一筒部材21、第二筒部材22及び第三筒部材23は、いずれも円筒状に形成され、第一筒部材21、第二筒部材22、第三筒部材23の順に同軸となるよう配置され、互いに接続している。
第一筒部材21及び第三筒部材23は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により形成され、磁気安定化処理が施されている。第一筒部材21及び第三筒部材23は、硬度が比較的低い。一方、第二筒部材22は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料により形成されている。第二筒部材22の硬度は、第一筒部材21及び第三筒部材23の硬度よりも高い。
噴射ノズル25は、第一筒部材21の第二筒部材22とは反対側の端部に設けられている。噴射ノズル25は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により有底筒状に形成されており、第一筒部材21に溶接されている。噴射ノズル25は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。噴射ノズル25は、噴射部251及び筒部252から形成されている。
噴射部251は、燃料噴射弁1の中心軸と同軸のハウジング20の中心軸CA0を対称軸として線対称に形成されている。噴射部251の外壁253は、噴射ノズル25の内部空間250から中心軸CA0の方向に突出するよう形成されている。噴射部251には、ハウジング20の内側と外側とを連通する噴孔が複数形成されている。
第一実施形態による燃料噴射弁1では、図2〜4に示すように、複数の噴孔のうち一つの噴孔が中心軸CA0上に形成されている。中心軸CA0上に形成されている噴孔を「内側噴孔」としての中央噴孔26とする。また、図4に示すように、中央噴孔26の径方向外側であって、中心軸CA0上の点を中心とする仮想円C0の円周上に形成される複数の噴孔を外側噴孔27とする。
筒部252は、噴射部251の径方向外側を囲み、噴射部251の外壁253が突出する方向とは反対の方向に延びるように設けられている。筒部252は、一方の端部が噴射部251に接続し、他方の端部が第一筒部材21に接続している。
インナニードル40は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により形成されている。インナニードル40は、噴射ノズル25の硬度とほぼ同等の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。
インナニードル40は、ハウジング20の内側に往復移動可能に収容されている。インナニードル40は、インナ本体部42、インナ摺接部43、「インナニードルの内側噴孔側の端部」としてのインナシール部44、インナ鍔部45などから構成されている。インナ本体部42、インナ摺接部43、インナシール部44及びインナ鍔部45は、一体に形成される。
インナ本体部42は、中央噴孔26とは反対側の端部が中空状の棒状部位である。インナ本体部42は、中央噴孔26とは反対側の端部が可動コア35に挿通され、かつ、可動コア35から中央噴孔26とは反対側に突出するよう設けられている。インナ本体部42の中央噴孔26とは反対側の端部の内側には、噴射ノズル25に向かう燃料が流れる流路400が形成されている。流路400は、流路400の噴射部251側において径方向に貫通するよう形成される孔411と連通している。すなわち、孔411は、流路400とインナ本体部42の外側とを連通する。
インナ本体部42の中央噴孔26側の端部は、後述するアウタニードル50の挿入孔501に挿入されている。インナ本体部42の挿入孔501に挿入されている端部の径方向外側には、アウタニードル50と係合可能な係合部材421が設けられている。
インナ摺接部43は、インナ本体部42の中央噴孔26側の端部に設けられている棒状部位である。インナ摺接部43の外径は、インナ本体部42の外径より小さい。インナ摺接部43は、アウタニードル50が有する挿入孔502を形成する内壁に摺動している。これにより、インナニードル40の往復移動が案内される。
インナシール部44は、インナ摺接部43のインナ本体部42とは反対側の端部に設けられている棒状部位である。インナシール部44の外径は、インナ摺接部43の外径より小さい。また、インナシール部44のインナ摺接部43とは反対側の端部の外径は、連通孔503の内径より大きい。インナシール部44のインナ摺接部43とは反対側の端部は、インナ当接面441を有する。インナ当接面441は、アウタニードル50の中央噴孔26側でアウタニードル50の内側と外側とを連通する連通孔503の径方向外側に環状に形成される内側シート面532に当接可能に形成されている。
燃料噴射弁1では、インナシール部44の外壁とアウタニードル50の内壁と筒状部材60の内壁とによって中央噴孔26に連通するインナサック260が形成される(図3参照)。
インナ鍔部45は、略円環状に形成され、可動コア35に対して中央噴孔26とは反対側のインナ本体部42の端部の径方向外側に設けられている。インナ鍔部45の外径は、インナ本体部42の外径より大きい。インナ鍔部45の中央噴孔26側の端面451は、可動コア35の中央噴孔26とは反対側の端面351に当接可能に形成されている。
アウタニードル50は、インナニードル40の中央噴孔26側の端部の径方向外側に設けられている筒状部材である。アウタニードル50は、インナニードル40の往復移動に連動してハウジング20の内側を往復移動する。アウタニードル50は、アウタ係合部51、アウタ摺接部52、アウタシール部53などから構成されている。アウタ係合部51、アウタ摺接部52及びアウタシール部53は、一体に形成されている。
アウタニードル50は、前述したように、三つの孔を有する。アウタニードル50の中央噴孔26とは反対側の端部が有する挿入孔501は、内径が比較的大きい。挿入孔501に連通する挿入孔502は、内径が挿入孔501に比べて小さい。挿入孔502に連通する連通孔503は、内径が挿入孔502に比べて小さい。挿入孔501、502、連通孔503は、中心軸CA0上に中央噴孔26とは反対側からこの順番に並ぶよう形成されている。
アウタ係合部51は、アウタニードル50の中央噴孔26とは反対側に設けられている。アウタ係合部51は、アウタ係合部51の径方向に挿入孔501とアウタニードル50の外側とを連通する切り欠き511が形成されている。切り欠き511を形成する内壁のうち、中央噴孔26とは反対側の内壁512は、係合部材421が係合可能である。
アウタ摺接部52は、アウタ係合部51の中央噴孔26側に設けられている。アウタ摺接部52は、径方向外側に噴射ノズル25の筒部252の内壁254に摺動可能な突起521が設けられている。これにより、アウタニードル50の往復移動が案内される。
アウタ摺接部52は、アウタ摺接部52の径方向に挿入孔502とアウタニードル50の外側とを連通するアウタ流路522が形成されている。アウタ流路522は、内部空間250と挿入孔502とを連通する。
アウタシール部53は、アウタ摺接部52の中央噴孔26側に設けられている。アウタシール部53は、中心軸CA0の方向に中央噴孔26に向かうに従って外径が小さくなるよう形成されている。アウタシール部53は、中心軸CA0上に連通孔503を有する。アウタシール部53は、外壁のうち連通孔503の径方向外側に環状に形成されるアウタ当接面531を有する。アウタ当接面531は、中央噴孔26の内側開口からみて外側噴孔27の外側、すなわち、外側噴孔27の内側開口の径方向外側に位置する噴射部251の外側シート面271に当接可能に形成されている。
燃料噴射弁1では、アウタシール部53の外壁と噴射ノズル25の内壁とによって外側噴孔27に連通するアウタサック270が形成される(図3参照)。
筒状部材60は、アウタシール部53の連通孔503を形成する内壁に摺動しつつ往復移動可能に設けられている筒状部材である。筒状部材60は、中心軸CA0上に筒状部材60を貫通する「内側噴孔用燃料通路」としての貫通孔601を有している。貫通孔601の内径は、中央噴孔26の内径より大きい。
貫通孔601の内側開口側の縁部が有する受圧面602は、図3に示すように、中央噴孔26に近づくにつれて筒状部材60の径方向外側から径方向内側に向かうよう傾斜している。
筒状部材60は、貫通孔601の中央噴孔26側の縁部に「中間シート面に当接可能な端面」としての端面603を有する。端面603は、貫通孔601の径方向外側に環状に形成され、中央噴孔26の内側開口と外側噴孔27の内側開口との間に環状に形成される噴射部251の中間シート面255に当接可能なよう形成されている。
可動コア35は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により筒状に形成されている。可動コア35は、固定コア30の中央噴孔26側にハウジング20に対して往復移動可能に設けられている。可動コア35は、インナ本体部42が挿通される可動コア挿通孔352、及び、可動コア35の固定コア30側と噴射部251側を連通する流路353を有する。
固定コア30は、ハウジング20の第三筒部材23と溶接され、ハウジング20の内側に固定されるよう設けられている。固定コア30は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料から形成され、表面に例えばクロムめっきを施し、可動コア35との当接に耐えるための必要な硬度を確保している。固定コア30は、磁気安定化処理が施され、後述するコイル37が形成する磁界内に設けられている。
コイル37は、筒状に形成され、主に第二筒部材22及び第三筒部材23の径方向外側を囲むよう設けられている。コイル37は、電力が供給されると周囲に磁界を形成する。磁界が形成されると、固定コア30、可動コア35、第一筒部材21、第三筒部材23、及び、後述するホルダ17に磁気回路が形成される。
スプリング31は、一端がインナ鍔部45の中央噴孔26とは反対側の端面452に当接するよう設けられている。スプリング31の他端は、固定コア30の内側に圧入固定されたアジャスティングパイプ11の中央噴孔26側の端面111に当接している。スプリング31は、インナニードル40を中央噴孔26の方向、すなわち、閉弁方向に付勢している。
スプリング32は、一端が可動コア35の中央噴孔26側の端面354に当接するよう設けられている。スプリング32の他端は、第一筒部材21の内壁211に当接している。スプリング32は、可動コア35を中央噴孔26の方向とは反対の方向、すなわち、閉弁方向に付勢している。
第一実施形態では、スプリング31の付勢力Fsp1は、スプリング32の付勢力Fsp2より大きくなるよう設定されている。これにより、コイル37に電力が供給されていないとき、インナニードル40には、(Fsp1−Fsp2)の大きさの力が閉弁方向に作用するため、インナシール部44は、アウタシール部53に当接した状態となり、かつ、アウタシール部53はハウジング20に当接した状態となる。
第三筒部材23の中央噴孔26とは反対側の端部には、筒状の燃料導入パイプ12が圧入及び溶接されている。燃料導入パイプ12の内側には、フィルタ13が設けられている。フィルタ13は、燃料導入パイプ12の導入口14から流入した燃料に含まれる異物を捕集する。
燃料導入パイプ12及び第三筒部材23の径方向外側は、樹脂によりモールドされている。当該モールド部分にコネクタ15が設けられている。コネクタ15には、コイル37へ電力を供給するための端子16がインサート成形されている。また、コイル37の径方向外側には、コイル37を覆うよう筒状のホルダ17が設けられている。
燃料導入パイプ12の導入口14からハウジング20の内側に流入する燃料は、固定コア30の内側、アジャスティングパイプ11の内側、流路400、孔411、第一筒部材21とインナ本体部42との間を流れ、噴射ノズル25の内部空間250及び挿入孔501、502に導かれる。すなわち、燃料導入パイプ12の導入口14から第一筒部材21とインナ本体部42との間までが噴射ノズル25の内部空間250及び挿入孔502に燃料を導く燃料通路18となる。
次に、燃料噴射弁1の作用について説明する。
コイル37に電力が供給されていないとき、インナニードル40、アウタニードル50及び筒状部材60は、図2に示す位置関係となっている。具体的には、アウタシール部53のアウタ当接面531と噴射部251の外側シート面271とは当接している。これにより、噴射ノズル25の内部空間250とアウタサック270及び外側噴孔27とは遮断される。内部空間250及び挿入孔501、502の燃料の圧力をPf0、アウタ当接面531と外側シート面271とのシート径をシート径S27(図3参照)とすると、アウタニードル50に作用する力の大きさは以下の式(1)で表わされる。
(Fsp1−Fsp2)+Pf0×{π/4×(S27)2}・・・(1)
また、インナシール部44のインナ当接面441とアウタシール部53の内側シート面532とは当接している。これにより、挿入孔502とインナサック260及び中央噴孔26とは遮断される。インナ当接面441と内側シート面532とのシート径をシート径S26(図3参照)とすると、インナニードル40に作用する力の大きさは以下の式(2)で表わされる。
(Fsp1−Fsp2)+Pf0×{π/4×(S26)2}・・・(2)
コイル37に電力が供給されていないとき、図2に示すように、インナ当接面441と内側シート面532とは当接しているが、インナシール部44と筒状部材60との間には隙間が形成されているため、筒状部材60にはスプリング31の付勢力Fsp1は作用していない。
コイル37に電力が供給されると、コイル37の周囲に磁界が形成される。コイル37の周囲に磁界が形成されると、固定コア30、可動コア35、第一筒部材21、ホルダ17及び第三筒部材23を通る磁気回路が形成される。当該磁気回路が形成されると、可動コア35に開弁方向の磁気吸引力Fmgが作用する。磁気吸引力Fmgが式(2)の値より大きくなると、図5に示すように、インナニードル40が開弁方向に移動し、インナ当接面441が内側シート面532から離間する。インナ当接面441が内側シート面532から離間すると、挿入孔502を満たしている燃料が図5の実線矢印F5に示すように、インナサック260、貫通孔601、及び、中央噴孔26を通って外側に噴射される。
中央噴孔26から燃料が噴射されるとき、挿入孔502を満たしている燃料の圧力が筒状部材60の受圧面602に作用する。これにより、筒状部材60は、中間シート面255に押しつけられる。
可動コア35がさらに開弁方向に移動すると、係合部材421が切り欠き511の内壁512に当接する。可動コア35に作用する開弁方向の磁気吸引力Fmgが式(1)の値より大きくなると、係合部材421に係合するアウタニードル50は開弁方向に移動する。これにより、アウタ当接面531と外側シート面271とが離間し、内部空間250の燃料が図6の実線矢印F6に示すように、外側噴孔27から噴射される。すなわち、図6の状態では、実線矢印F5に示すように中央噴孔26から燃料が噴射されるとともに実線矢印F6に示すように外側噴孔27から燃料が噴射される。
コイル37への電力の供給が停止すると、可動コア35に作用する磁気吸引力Fmgが徐々に小さくなる。磁気吸引力Fmgが(Fsp1−Fsp2)より小さくなると、インナニードル40が閉弁方向に移動する。インナ当接面441と内側シート面532とが当接すると、アウタニードル50は、インナニードル40とともに閉弁方向に移動する。閉弁方向に移動するアウタニードル50のアウタ当接面531と噴射部251の外側シート面271とが当接すると、内部空間250とアウタサック270とが遮断されるとともに、挿入孔502とインナサック260及び中央噴孔26とが遮断される。
(a)第一実施形態による燃料噴射弁1では、中央噴孔26の弁座に相当するアウタシール部53の内側シート面532とインナシール部44のインナ当接面441とが離間または当接すると、中央噴孔26は開閉する。中央噴孔26が開くと、中央噴孔26から比較的少量の燃料が噴射される。また、外側噴孔27の弁座に相当する噴射部251の外側シート面271とアウタシール部53のアウタ当接面531とが離間または当接すると、外側噴孔27は開閉する。中央噴孔26が開いた後に外側噴孔27が開くと、中央噴孔26及び外側噴孔27の二種類の噴孔から同時に燃料が噴射されるため、比較的多量の燃料が噴射される。
このように、燃料噴射弁1では、一つのコイル37への電力の供給によってインナニードル40及びアウタニードル50を駆動し、中央噴孔26及び外側噴孔27のそれぞれを別々に開閉することができる。したがって、燃料噴射弁1は、中央噴孔26のみを使用した比較的少量の燃料噴射から中央噴孔26及び外側噴孔27を使用した比較的多量の燃料噴射まで広範囲の噴射量をカバーする燃料噴射を行うことができる。
(b)また、燃料噴射弁1では、中央噴孔26が閉じられているとき、インナニードル40は筒状部材60と当接しておらず、アウタニードル50が有する内側シート面532に当接している。これにより、中央噴孔26を閉じるとき、閉弁方向に移動するインナニードル40が筒状部材60に衝突することはない。したがって、閉弁方向に移動するインナニードル40との衝突によって筒状部材60が変形したりインナニードル40との衝突の勢いによってハウジング20と摩擦し摩耗したりすることを防止し、中央噴孔26と外側噴孔27との液密を確実に維持することができる。
加えて、燃料噴射弁1では、筒状部材60は、挿入孔502の燃料の圧力によって中間シート面255に押し付けられる。これにより、筒状部材60は、中央噴孔26に連通するインナサック260と外側噴孔27に連通するアウタサック270とを確実に遮断し、例えば、中央噴孔26のみから燃料を噴射しているとき、インナサック260の燃料がアウタサック270を通って外側噴孔27から燃料噴射弁1の外側に噴射されることを防止 する。
このように、燃料噴射弁1では、筒状部材60の変形を防止するとともにインナサック260とアウタサック270との液密を確実に維持し、中央噴孔26及び外側噴孔27のそれぞれから噴射される燃料の噴射量を高精度に制御することができる。
(c)筒状部材60は、インナニードル40とアウタニードル50とは別部材となっている。これにより、内側噴孔と外側噴孔との間の中間シート面に当接可能な筒状部材を備えない燃料噴射弁のように、内側噴孔と外側噴孔との液密を維持しつつ外側噴孔の開閉を制御可能とする複雑な形状のアウタニードルが不要となり、アウタニードルの外壁を比較的単純な形状とすることができる。したがって、アウタニードルの形状に由来する燃料噴射弁の信頼性の低下を防止することができる。
(d)また、燃料噴射弁1では、アウタニードルの外壁を比較的単純な形状とすることができる。これにより、複雑な形状のアウタニードルを備える燃料噴射弁に比べ、燃料噴射弁1の製造工数を低減することができる。
(e)アウタニードル50は、挿入孔502と内部空間250とを連通するアウタ流路522を有する。これにより、内部空間250の燃料を挿入孔502に供給することができるため、中央噴孔26から噴射される燃料の噴射量を十分な量とすることができる。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態による燃料噴射弁を図7に基づいて説明する。第二実施形態は、アウタニードルを付勢するスプリングを備える点が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、図7には、アウタニードル50が噴射部251から離間する方向である開弁方向、及び、アウタニードル50が噴射部251に当接する方向である閉弁方向を図示する。
第二実施形態による燃料噴射弁2は、図7に示すように、第一筒部材21の内側に「第二付勢部材」としてのスプリング65を備えている。
スプリング65は、一端がアウタニードル50の中央噴孔26とは反対側の端面513に当接している。スプリング65の他端は、第一筒部材21の内側において第一筒部材21に固定されている支持部材66の中央噴孔26側の端面661に当接している。スプリング65は、アウタニードル50を中央噴孔26の方向、すなわち、閉弁方向に付勢している。
燃料噴射弁2では、インナニードル40がアウタニードル50から離間し中央噴孔26から燃料が噴射されているとき、スプリング65の付勢力によってアウタニードル50と噴射ノズル25とが当接している。これにより、係合部材421がアウタニードル50に係合するまでアウタニードル50が噴射ノズル25から離間することを防止する。
また、燃料の噴射を終了するとき、アウタニードル50は、スプリング65の付勢力によってインナニードル40とアウタニードル50とが当接する前に噴射ノズル25に当接し、外側噴孔27を閉じることができる。すなわち、燃料噴射弁2では、開弁時及び閉弁時のアウタニードル50の自由な移動を防止し、不意な燃料噴射を防止することができる。したがって、第二実施形態は、第一実施形態の効果(a)〜(e)を奏するとともに、中央噴孔26及び外側噴孔27から噴射される燃料の噴射量をさらに高精度に制御することができる。
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態による燃料噴射弁を図8〜14に基づいて説明する。第三実施形態は、筒状部材の形状が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、図8〜14には、アウタニードル80が噴射部251から離間する方向である開弁方向、及び、アウタニードル80が噴射部251に当接する方向である閉弁方向を図示する。
第三実施形態による燃料噴射弁3は、インナニードル70、アウタニードル80、筒状部材90などを備える。
ハウジング20の内側に往復移動可能に収容されているインナニードル70は、インナ第一本体部71、インナ第二本体部72、インナ摺接部73、「インナニードルの内側噴孔側の端部」としてのインナシール部74、インナ鍔部75などから構成されている。
インナ第一本体部71は、中央噴孔26とは反対側の端部が中空状の棒状部位である。インナ第一本体部71は、可動コア35に挿通され、可動コア35の中央噴孔26側及び中央噴孔26とは反対側の両側から突出するよう形成されている。インナ第一本体部71の中央噴孔26とは反対側の端部は、噴射ノズル25に向かう燃料が流れる流路700を有する。流路700は、流路700の中央噴孔26側において径方向に貫通するよう形成される孔711と連通している。すなわち、孔711は、流路700とインナ第一本体部71の外側とを連通する。
インナ第二本体部72は、インナ第一本体部71の中央噴孔26側に設けられる棒状部位である。インナ第一本体部71とインナ第二本体部72とは、インナ第一本体部71のインナ第二本体部72側の端部及びインナ第二本体部72のインナ第一本体部71側の端部のそれぞれの径方向外側に設けられる筒状の接続部材701によって相対移動不能に接続されている。
インナ第二本体部72は、中央噴孔26側の端部がアウタニードル80に挿入されている。インナ第二本体部72のアウタニードル80に挿入されている端部は、アウタニードル80と係合可能な係合部材721を有する。
インナ摺接部73は、インナ第二本体部72の係合部材721が設けられる側の端部に設けられている棒状部位である。インナ摺接部73は、アウタニードル80の内壁に摺動している。これにより、インナニードル70の往復移動は、アウタニードル80によって案内される。
インナシール部74は、インナ摺接部73のインナ第二本体部72とは反対側の端部に設けられている棒状部位である。インナシール部74は、アウタニードル80の内部に挿入されている。インナシール部74の中央噴孔26側の端部は、インナ当接面741を有する。インナ当接面741は、アウタニードル80の中央噴孔26側でアウタニードル80の内側と外側とを連通する連通孔832の径方向外側に環状に形成される内側シート面834に当接可能に形成されている。インナシール部74の中央噴孔26側の端部の外径は、連通孔832の内径より大きい。
第三実施形態では、インナシール部74の外壁とアウタニードル80の内壁と筒状部材90の内壁とによって中央噴孔26に連通するインナサック260が形成される(図10参照)。
インナ鍔部75は、略円環状に形成され、インナ第一本体部71の中央噴孔26とは反対側の端部の径方向外側に設けられている。インナ鍔部75の外径は、インナ第一本体部71の外径より大きい。インナ鍔部75の中央噴孔26側の端面751は、可動コア35の中央噴孔26とは反対側の端面351に当接可能に形成されている。
アウタニードル80は、インナニードル70の中央噴孔26側の端部の径方向外側に設けられている筒状部材である。アウタニードル80は、インナニードル70の往復移動に連動してハウジング20の内側を往復移動する。アウタニードル80は、アウタ係合部81、アウタ摺接部82、アウタシール部83などから構成されている。アウタニードル80では、アウタ係合部81とアウタ摺接部82及びアウタシール部83とは別部材となっている。アウタニードル80は、中心軸CA0方向にアウタニードル50を貫通する貫通孔を有する。
アウタ係合部81は、インナ第二本体部72の径方向外側であって、係合部材721の中央噴孔26とは反対側に設けられる。アウタ係合部81は、インナ第二本体部72の外径より大きい内径を有する挿入孔811を有する。挿入孔811にはインナ第二本体部72の中央噴孔26側の端部が挿入されている。
アウタ摺接部82は、アウタ係合部81の中央噴孔26側に設けられる。アウタ係合部81とアウタ摺接部82とは、アウタ係合部81のアウタ摺接部82側の端部及びアウタ摺接部82のアウタ係合部81側の端部のそれぞれの径方向外側に設けられる筒状の接続部材801によって相対移動不能に接続されている。
アウタ摺接部82は、径方向外側に噴射ノズル25の筒部252の内壁254に摺動可能な突起821が設けられている。これにより、アウタニードル80の往復移動が案内される。
アウタ摺接部82は、内径が異なる二つの空間を有している。
アウタ摺接部82のアウタ係合部81側は、収容空間822を有する。収容空間822の内径は、挿入孔811の内径より大きく、かつ、係合部材721の外径より大きい。収容空間822は、係合部材721を中心軸CA0方向に往復移動可能に収容する。
アウタ摺接部82の中央噴孔26側は、挿入孔823を有する。挿入孔823は、収容空間822と連通している。挿入孔823の内径は、収容空間822の内径より小さい。挿入孔823にはインナ摺接部73及びインナシール部74が挿入されている。挿入孔823を形成するアウタ摺接部82の内は、インナ摺接部73の外壁731と摺接している。
アウタ摺接部82は、アウタ摺接部82の径方向に挿入孔823とアウタニードル80の外側とを連通するアウタ流路824を有する。アウタ流路824の内径d824から算出されるアウタ流路824の断面積A824は、中央噴孔26の内径d26から算出される中央噴孔26の断面積A26より小さい。アウタ流路824は、噴射ノズル25の内部空間250と挿入孔823とを連通する。
アウタシール部83は、アウタ摺接部52の中央噴孔26側に設けられている。アウタシール部83は、中心軸CA0の方向に中央噴孔26に向かうに従って外径が小さくなるよう形成されている。アウタシール部83は、中心軸CA0上に二つの孔を有する。
アウタシール部83のアウタ摺接部52側は、挿入孔831を有する。挿入孔831は、内径が挿入孔823と同じ内径であって、挿入孔823と連通している。挿入孔831には、インナシール部74が挿入されている。
アウタシール部83の中央噴孔26側は、連通孔832を有する。連通孔832は、筒状部材90を往復移動可能に収容している。アウタシール部83は、外壁のうち連通孔832の径方向外側に環状に形成されるアウタ当接面833を有する。アウタ当接面833は、中央噴孔26の内側開口からみて外側噴孔27の外側、すなわち、外側噴孔27の内側開口の径方向外側に位置する噴射部251の外側シート面271に当接可能に形成されている。
燃料噴射弁3では、アウタシール部83の外壁と噴射ノズル25の内壁とによって外側噴孔27に連通するアウタサック270が形成される(図10参照)。
筒状部材90は、アウタシール部83の連通孔832を形成する内壁に摺動しつつ往復移動可能に設けられている。筒状部材90は、図11に示すように、中心軸CA0の方向に筒状部材90を貫通する「内側噴孔用燃料通路」としての貫通孔901を有している。第三実施形態の貫通孔901は、内径が一定となるよう形成されている。貫通孔901の内径d901から算出される貫通孔901の断面積A901は、中央噴孔26の断面積A26より小さい。
筒状部材90が有する貫通孔901の外側開口側の内縁部は、中央噴孔26とは反対側から中央噴孔26側に向かうにつれて中心軸CA0から離れるよう形成される傾斜面902を有する。また、筒状部材90は、中央噴孔26側の外縁部に「中間シート面に当接可能な端面」及び「中間部材の径方向外側の外壁に接続する端面」としての端面904を有する。端面904は、傾斜面902と筒状部材90の径方向外側の外壁903とを接続する。端面904は、貫通孔901の径方向外側に環状に形成され、中央噴孔26の内側開口と外側噴孔27の内側開口との間の中間シート面255に当接可能なよう形成されている。貫通孔901の中央噴孔26とは反対側の内側開口の縁部は、挿入孔831の燃料の圧力が作用する受圧面905を有する。
次に、燃料噴射弁3の作用について説明する。
コイル37に電力が供給されておらず、かつ、燃料がハウジング20の内部に導入されていないとき、インナニードル70、アウタニードル80及び筒状部材90は、図10に示す位置関係となっている。具体的には、スプリング31の付勢力とスプリング32の付勢力との差によって、アウタシール部83のアウタ当接面833と噴射部251の外側シート面271とは当接している。これにより、噴射ノズル25の内部空間250とアウタサック270及び外側噴孔27とは遮断される。また、インナシール部74のインナ当接面741とアウタシール部83の内側シート面834とは当接している。これにより、アウタシール部83の挿入孔831とインナサック260及び中央噴孔26とは遮断されている。
導入口14から燃料がハウジング20の内部に導入されると、インナニードル70には導入された燃料の圧力が作用する。このとき、インナ当接面741と内側シート面834とは当接したままとなる。また、アウタニードル80には、導入された燃料の圧力に加えてインナニードル70の押付力が作用するため、アウタ当接面833と外側シート面271とは当接したままとなる。
コイル37に電力が供給されると、コイル37の周囲に磁界が形成される。コイル37の周囲に磁界が形成されると、固定コア30、可動コア35、第一筒部材21、ホルダ17及び第三筒部材23を通る磁気回路が形成される。当該磁気回路が形成されると、可動コア35に開弁方向の磁気吸引力Fmgが作用する。磁気吸引力Fmgが式(2)の値より大きくなると、インナニードル70が開弁方向に移動し、インナ当接面741と内側シート面834とが離間する(図12参照)。インナ当接面741が内側シート面834から離間すると、挿入孔831を満たしている燃料が図12の実線矢印F12に示すように、インナサック260、貫通孔901、及び、中央噴孔26を通ってハウジング20の外側に噴射される。このとき、中央噴孔26から比較的少量の燃料が噴射される。
中央噴孔26からの燃料噴射が続くと、貫通孔901の断面積A901と中央噴孔26の断面積A26との大きさの関係からインナサック260の燃料の圧力は中央噴孔26を流れる燃料の圧力より高くなる。これにより、インナサック260の燃料の圧力と中央噴孔26を流れる燃料の圧力との差に起因する作用力が受圧面905に作用する筒状部材90は、噴射部251の中間シート面255に押し付けられる。
可動コア35がさらに開弁方向に移動しインナニードル70の係合部材721がアウタ係合部81の中央噴孔26側の端面812に当接すると、アウタニードル80は、インナニードル70とともに開弁方向に移動する。これにより、アウタ当接面833と外側シート面271とが離間する(図13参照)。アウタ当接面833と外側シート面271とが離間すると、内部空間250の燃料が図13の実線矢印F13に示すように、アウタサック270、外側噴孔27を通ってハウジング20の外側に噴射される。このとき、中央噴孔26及び外側噴孔27から比較的多量の燃料が噴射される。
中央噴孔26及び外側噴孔27のそれぞれから燃料が噴射されているとき、筒状部材90にはインナサック260の燃料の圧力と中央噴孔26の燃料の圧力との差に起因する作用力が受圧面905に作用するため、筒状部材90は、中間シート面255に押し付けられたままとなっている。
中央噴孔26及び外側噴孔27のそれぞれから燃料が噴射されている状態が続くと、アウタ流路824の断面積A824と中央噴孔26の断面積A26との大きさの関係からアウタシール部83の挿入孔831の燃料の圧力が内部空間250の燃料の圧力に比べて低くなる。これにより、アウタニードル80に開弁方向の力が作用し、アウタニードル80はインナニードル70との係合が解除され、単独で開弁方向に移動する。
開弁方向に移動するアウタニードル80の内部では、インナ当接面741と内側シート面834とが当接する。これにより、アウタシール部83の挿入孔831とインナサック260及び中央噴孔26とが遮断され、中央噴孔26からの燃料噴射が停止する。一方、アウタ当接面833と外側シート面271とは離間しているため、外側噴孔27のみが燃料を噴射する(図14参照)。このとき、外側噴孔27から中程度の量の燃料が噴射される。また、筒状部材90にはインナサック260の燃料の圧力と中央噴孔26の燃料の圧力との差に起因する作用力が受圧面905に作用しているため、筒状部材90は、噴射部251の中間シート面255に押し付けられたままとなる。
コイル37への電力の供給が停止すると、可動コア35に作用する磁気吸引力Fmgが徐々に小さくなる。磁気吸引力Fmgが(Fsp1−Fsp2)より小さくなると、インナニードル70及びインナニードル70が当接しているアウタニードル80が閉弁方向に移動する。アウタニードル80が閉弁方向に移動すると、アウタシール部83のアウタ当接面833と噴射部251の外側シート面271とが当接し、内部空間250とアウタサック270とが遮断される。これにより、燃料噴射弁3における燃料噴射が終了する。
ここで、筒状部材90の形状を比較例として図11(b)に示すような筒状部材95と比較しながら第三実施形態の効果を説明する。
比較例の筒状部材95は、第三実施形態の筒状部材90と同じように、アウタシール部83の連通孔832を形成する内壁に摺動しつつ連通孔を往復移動可能に設けられる。筒状部材95は、中心軸CA1の方向に筒状部材95を貫通する貫通孔951を有している。図11(b)に示すように、筒状部材95の中央噴孔26側の開口の内縁部は、噴射部251の中間シート面255と当接可能な端面952を有する。端面952と筒状部材95の径方向外側の外壁953とを接続する傾斜面954は、中央噴孔26側から中央噴孔26とは反対側に向かうにつれて中心軸CA1から離れるよう形成されている。
アウタシール部83の連通孔832に収容されている筒状部材95の傾斜面954には、アウタサックの燃料の圧力が図11(b)の白抜き矢印F951のように作用する。この燃料の圧力によって筒状部材95には中央噴孔26と反対方向の力(図11(b)の白抜き矢印F952)が作用する。このため、比較例の筒状部材95では、外側噴孔27から燃料を噴射しているとき、筒状部材95の端面952と噴射部251の中間シート面255とが離間する。
第三実施形態では、筒状部材90は、図11(a)に示すように、筒状部材90の傾斜面902と外壁903とを接続する端面904を有する。これにより、中央噴孔26側の傾斜面902にアウタサック270の燃料の圧力は作用しないため、アウタサック270の燃料の圧力によって筒状部材90と噴射部251とが離間することを防止することができる。また、中央噴孔26及び外側噴孔27のそれぞれから燃料が噴射されているとき、筒状部材90にはインナサック260の燃料の圧力と中央噴孔26の燃料の圧力との差に起因する作用力が作用する。これにより、中央噴孔26及び外側噴孔27のそれぞれから燃料が噴射されているとき、筒状部材90は噴射部251に押し付けられたままとすることができる。
このように、第三実施形態は、第一実施形態の効果(a)〜(e)を奏するとともに、外側噴孔27から燃料が噴射されているとき筒状部材90を噴射部251に確実に押し付けたままとすることができるため、インナサック260とアウタサック270との液密を確実に維持し、中央噴孔26及び外側噴孔27のそれぞれから噴射される燃料の噴射量をさらに高精度に制御することができる。
また、筒状部材90が有する貫通孔901は、断面積A901が中央噴孔26の断面積A26より小さくなるよう形成されている。これにより、インナサック260の燃料の圧力と中央噴孔26の燃料の圧力との差が比較的大きくなり、筒状部材90は、噴射部251の中間シート面255にさらに強く押し付けられる。したがって、燃料噴射弁3は、インナサック260とアウタサック270との液密をさらに確実に維持し、中央噴孔26及び外側噴孔27のそれぞれから噴射される燃料の噴射量をさらに高精度に制御することができる。
また、アウタ摺接部82が有するアウタ流路824は、断面積A824が中央噴孔26の断面積A26より小さくなるよう形成されている。中央噴孔26から燃料が噴射されると、アウタシール部83の挿入孔831の燃料の圧力が内部空間250の燃料の圧力に比べて低くなる。これにより、アウタニードル80は、アウタサック270の燃料の圧力によって開弁方向に移動する。開弁方向に移動したアウタニードル80はインナニードル70と当接するため、中央噴孔26からの燃料の噴射が停止する一方、外側噴孔27からの燃料の噴射は継続する。
このように、燃料噴射弁3は、ガソリンエンジンの燃焼状態に応じて、中央噴孔26のみからの少量の燃料噴射、中央噴孔26と外側噴孔27とからの多量の燃料噴射、及び、外側噴孔27のみからの中程度の量の燃料噴射を組み合わせて燃料噴射を行うことができる。
(その他の実施形態)
(ア)上述の実施形態では、アウタニードルは、挿入孔とアウタニードルの外側である噴射ノズルの内部空間とを連通するアウタ流路を有するとした。アウタ流路はなくてもよい。アウタニードルの内側に燃料が流入すればよい。
(イ)上述の実施形態では、アウタニードルは、係合部材によって開弁方向に移動するインナニードルに係合し、開弁方向に移動するとした。しかしながら、アウタニードルがインナニードルの往復移動に連動して往復移動する構成はこれに限定されない。
(ウ)第三実施形態では、筒状部材が有する貫通孔の内径は一定であるとした。しかしながら、貫通孔の内径は一定でなくてもよい。
図15に第三実施形態の筒状部材の変形例を示す。図15に示す筒状部材92は、中心軸CA0の方向に筒状部材92を貫通する「内側噴孔用燃料通路」としての貫通孔921を有している。貫通孔921を形成する筒状部材92の内壁は、径内方向に突出する突部922を有している。このとき、貫通孔921の断面積は、図12に示す向かい合う突部922での内径d922から算出される断面積A922となる。この断面積A922は、中央噴孔26の断面積A26より小さい。これにより、この変形例においても、第三実施形態の効果を奏することができる。
(エ)第三実施形態では、アウタ流路の断面積及び筒状部材が有する貫通孔の断面積は、中央噴孔の断面積より小さいとした。しかしながら、断面積の関係はこれに限定されない。
(オ)上述の実施形態では、燃料噴射弁は、ハウジングの中心軸上に形成されている「内側噴孔」としての中央噴孔を一つ有するとした。しかしながら、「内側噴孔」が配置される位置及び数はこれに限定されない。ハウジングの中心軸上以外であってもよい。「第二噴孔」としての外側噴孔の径方向内側に形成されていればよい。また、複数形成されていてもよい。また、外側噴孔は、中心軸上に中心を有する仮想円の円周上に等間隔に並ぶよう形成されているとした。しかしながら、外側噴孔が形成され位置はこれに限定されない。仮想円の円周の一部である円弧上に形成されてもよいし、また、形成される位置は円周上でなくてもよく、内側噴孔に対して径方向外側に形成されていればよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1、2、3 ・・・燃料噴射弁
20 ・・・ハウジング
255 ・・・中間シート面
26 ・・・中央噴孔(内側噴孔)
27 ・・・外側噴孔
271 ・・・外側シート面
40、70 ・・・インナニードル
44、74 ・・・インナシール部(インナニードルの内側噴孔側の端部)
441、741 ・・・インナ当接面
50、80 ・・・アウタニードル
502、831 ・・・挿入孔
503、832 ・・・連通孔
531、833 ・・・アウタ当接面
532、834 ・・・内側シート面
60、90、92・・・筒状部材(中間部材)
601、901、921・・・貫通孔(内側噴孔用燃料通路)
603 ・・・端面(中間シート面に当接可能な端面)
904 ・・・端面(中間シート面に当接可能な端面、中間部材の径方向外側の外壁に接続する端面)

Claims (7)

  1. 燃料を噴射する内側噴孔(26)、前記内側噴孔の径方向外側に形成され燃料を噴射する外側噴孔(27)、内壁のうち前記内側噴孔と前記外側噴孔との間に環状に形成される中間シート面(255)、及び、内壁のうち前記外側噴孔の径方向外側に環状に形成される外側シート面(271)を有するハウジング(20)と、
    前記ハウジングの内側に固定される固定コア(30)と、
    前記固定コアの前記内側噴孔側に設けられ、往復移動可能な可動コア(35)と、
    電力が供給されると前記可動コアを前記固定コア側に吸引可能なコイル(37)と、
    前記可動コアと一体に往復移動可能に設けられ、前記内側噴孔側の端部にインナ当接面(441、741)を有するインナニードル(40、70)と、
    前記インナニードルに対し相対的に往復移動可能なよう前記インナニードルの前記内側噴孔側の端部(44、74)の径方向外側に設けられ、前記インナニードルの前記内側噴孔側の端部が挿入される挿入孔(502、831)、前記内側噴孔と前記挿入孔とを連通する連通孔(503、832)、内壁のうち前記連通孔の径方向外側に環状に形成され前記インナ当接面が当接可能な内側シート面(532、834)、及び、外壁のうち前記連通孔の径方向外側に環状に形成され前記外側シート面に当接可能なアウタ当接面(531、833)を有するアウタニードル(50、80)と、
    前記連通孔の内壁に摺動しつつ往復移動可能なよう設けられ、前記内側噴孔が噴射する燃料が流れる内側噴孔用燃料通路(601、901、921)、及び、前記内側噴孔側の端面のうち前記内側噴孔用燃料通路の径方向外側に環状に形成され前記中間シート面に当接可能な端面(603、904)を有する中間部材(60、90、92)と、
    前記インナニードルを前記内側噴孔側に付勢する第一付勢部材(31)と、
    を備える燃料噴射弁。
  2. 前記アウタニードルは、前記挿入孔と前記アウタニードルの外側とを連通するアウタ流路(522、824)を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記アウタ流路の断面積(A824)は、前記内側噴孔の断面積(A26)より小さいことを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記インナニードルは、前記アウタニードルに係合可能な係合部材(421、721)を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  5. 前記アウタニードルを前記内側噴孔側に付勢する第二付勢部材(65)をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  6. 前記内側噴孔用燃料通路の断面積(A901、A922)は、前記内側噴孔の断面積より小さいことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  7. 前記中間部材は、前記内側噴孔側の端面のうち、前記中間部材の径方向外側の外壁(903)に接続する端面(904)が前記中間シート面に当接可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
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