JP6453632B2 - 環状アミドアクリレート含有組成物およびその製造方法 - Google Patents
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特許文献1の実施例21には、ホルムアルデヒドと2−ホルミル−2−(2−ピロリドン−1−イル)−酢酸メチルエステルから、2−(2−ピロリドン−1−イル)−アクリル酸メチルエステルを、理論値の20%の収率で得たことが記載されている。また、特許文献2には、メチルプロピオレートと2−ピロリドンとを反応させることに得られる1−カルボメトキシビニルピロリドンが開示されている。
本発明の別の目的は、色調や耐熱黄変性の良好な、側鎖にラクタム構造を有する重合体の原料として使用可能な環状アミドアクリレートの組成物を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、環状アミドアクリレートを含む組成物であって、上記組成物は、組成物100質量%に対して、下記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートを20質量%以上、99.99999質量%以下の割合で含み、下記一般式(2)で表される化合物を0.1ppm以上、50000ppm以下の割合で含む環状アミドアクリレート含有組成物である。
明は、下記一般式(3)で表される環状アミドアクリレートである。
本発明の環状アミドアクリレートの組成物を重合体の原料として使用することにより、色調や耐熱黄変性の良好な重合体を製造することが可能である。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の環状アミドアクリレートの組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う。)は、上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートを必須成分として含む。
上記一般式(1)において、nは1〜4の数を表す。高収率で得られる傾向にあることから、nは2〜3の数であることが好ましい。
上記一般式(1)において、R1は、水素原子、炭素数1〜30の有機基、金属原子又はアンモニウム塩を表す。上記R1における炭素数1〜30の有機基としては、特に制限されないが、置換又は無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換又は無置換の炭素数1〜30のアルコキシアルキル基、置換又は無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換又は無置換の炭素数1〜20の有機アミン塩等が挙げられる。
ここで、上記「置換又は無置換の」とは、上記基が、置換基を有していても有していなくてもよいことを意味する。また、置換基を有している場合には、置換基に含まれる炭素の数についても上記炭素数に入れるものとする。
上記R1として好ましくは水素原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルコキシアルキル基、置換又は無置換の炭素数6〜20のアリール基、金属原子、アンモニウム塩、置換又は無置換の炭素数1〜20の有機アミン塩である。
得られる重合体の水溶性が向上する観点から、R1は、水素原子、置換又は無置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換又は無置換の炭素数1〜12のアルコキシアルキル基、置換又は無置換の炭素数6〜12のアリール基、金属原子、アンモニウム塩、置換又は無置換の炭素数1〜12の有機アミン塩であることがより好ましく、水素原子、置換又は無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換又は無置換の炭素数1〜10のアルコキシアルキル基、置換又は無置換の炭素数6〜10のアリール基、金属原子、アンモニウム塩、置換又は無置換の炭素数1〜10の有機アミン塩であることが更に好ましく、水素原子、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルコキシアルキル基、置換又は無置換の炭素数6〜8のアリール基、金属原子、アンモニウム塩、置換又は無置換の炭素数1〜8の有機アミン塩であることが特に好ましく、水素原子、置換又は無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換又は無置換の炭素数1〜5のアルコキシアルキル基、置換又は無置換の炭素数6〜8のアリール基、金属原子、アンモニウム塩、置換又は無置換の炭素数1〜5の有機アミン塩であることが一層好ましい。R1として最も好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、メトキシエチル基である。
上記「置換のアルキル基」とは、アルキル基の水素原子の1つ又は2つ以上が、アルキル基以外の基で置換された基をいう。該アルキル基以外の基としては、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、スルホン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基等が例示される。
上記「置換のアルコキシアルキル基」とは、アルコキシアルキル基の水素原子の1つ又は2つ以上が、アルコキシアルキル基以外の基で置換された基をいう。該アルコキシアルキル基以外の基としては、アリール基、水酸基、アミノ基、アミド基、スルホン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基等が例示される。
上記「置換のアリール基」とは、アリール基の水素原子の1つ又は2つ以上が、アリール基以外の基で置換された基をいう。該アリール基以外の基としては、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、スルホン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基等が例示される。
上記R1が有機アミン塩の場合、R1としてはモノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;プロパノールアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩等のアルキルアミン塩等が例示される。上記有機アミン塩として好ましくは、モノエタノールアミン塩である。
上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートの具体例としては、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸メチル、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸エチル、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸プロピル、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸ブチル、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸メトキシエチル、2−(2−オキソアゼパン−1−イル)アクリル酸、2−(2−オキソアゼパン−1−イル)アクリル酸メチル、2−(2−オキソアゼパン−1−イル)アクリル酸エチル、2−(2−オキソアゼパン−1−イル)アクリル酸ブチル等が例示される。上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートは、1種のみで使用してもよく、2種以上を使用しても良い。
上記R2として好ましくは、水素原子、エチル基、メトキシエチル基、又は、n−ブチル基である。
R2が水素原子の場合、上記一般式(3)で表される環状アミドアクリレートを重合して得られる重合体の無機粒子の分散性が向上するため好ましい。R2がエチル基、メトキシエチル基、又は、n−ブチル基の場合、上記一般式(3)で表される環状アミドアクリレートを重合して得られる重合体を洗剤原料に使用した場合に、よごれ成分の分散性が向上する。加えて、R2がエチル基の場合、加水分解した場合でも生成するアルコールは比較的安全性の高いエタノールであるため好ましい。
上記一般式(2)において、nは1〜4の数を表す。nは2〜4の数であることが好ましい。より好ましくは2〜3の数である。
上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、β−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム(2−ピロリドン)、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、が例示される。
本発明の組成物における、上記一般式(2)で表される化合物の含有量は、本発明の組成物100質量%に対し、0.1ppm以上、5質量%以下であり、好ましくは0.2ppm以上、3質量%以下であり、より好ましくは、0.3ppm以上、2質量%以下であり、特に好ましくは、0.5ppm以上、1質量%以下である。
本発明の組成物のホルミル基を有する化合物の含有量は、上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレート100モル%に対して、0〜10モル%であることが好ましく、0〜5モル%であることがより好ましく、0〜1モル%であることがより好ましい。
なお、本発明において、重合禁止剤とは、反応液や原料中でラジカル連鎖反応の開始点となるラジカルの生成を抑制する、あるいは生成したラジカルの連鎖反応を停止させる機能を有する化合物であり、好ましく使用できる重合禁止剤としては、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール(メトキノン)、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン1−オキシル(4H−TEMPO)が例示される。なお、重合禁止剤は、後述する反応工程で添加したものであっても、反応工程後に上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートの安定化を目的に添加されたものなど、いずれでも構わない。
本発明の環状アミドアクリレートの製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)は、ピルビン酸、ピルビン酸塩、ピルビン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とを反応させる工程(以下、「反応工程」とも言う)を含む。
量と、上記一般式(2)で表される化合物の使用量の比はモル比で、0.01:1〜100:1であることが好ましく、0.05:1〜20:1であることがより好ましく、0.2:1〜5:1であることがさらに好ましい。上記範囲であれば、反応収率が向上する傾向にある。
としては、酸触媒が好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−オクチルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸;有機スルホン酸基を有するイオン交換樹脂;硫酸、塩酸等の無機酸;リンタングステン酸、ホスホタングステン酸等のヘテロポリ酸;等が例示される。この中でも、上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートの収率が高く、副反応も抑えられる傾向にあることから、有機スルホン酸がより好ましく、p−トルエンスルホン酸が特に好ましい。触媒を使用する場合、一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
上記反応工程における触媒の使用量は、ピルビン酸、ピルビン酸塩、ピルビン酸エステル、上記一般式(2)で表される化合物の合計の使用量に対し、0.01モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、0.05モル%以上、20モル%以下であることがより好ましく、0.1モル%以上、10モル%以下であることがさらに好ましい。
なお、溶媒を使用する場合、その一部または全部を、以前の反応で使用した溶媒とすることができる。その場合、以前の反応で使用した溶媒は、そのままで、あるいは精製後に、再使用される。
反応時間としては、通常は0.1〜50時間であり、好ましくは0.5〜40時間であり、より好ましくは1〜30時間である。
なお、上記反応工程は、加圧下、常圧下、減圧下のいずれで行っても良い。
例えば、上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートが酸である場合に、アルカリ物質で中和する中和工程、上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートがエステルである場合に、アルカリ物質で加水分解する加水分解、反応溶媒を使用した場合に濃縮または反応溶媒の除去を行なう工程、水および/または有機溶剤で希釈する工程、反応に使用した触媒等を除去する工程、上記した不純物を取り除く為の精製工程、触媒を失活させる工程、重合禁止剤や着色防止剤等を添加する工程等である。
本発明の組成物は、重合体の原料として好ましく使用することができる。
本発明の組成物は、ホルミル基を有する化合物の含有量を低く設定することが可能であることから、重合体原料として使用した場合、良好な重合性を示すことが可能となる。また、重合体組成物に含まれるホルミル基を有する化合物やそれに起因する不純物の含有量を低くすることが可能となる。
本発明の組成物は、単独で重合体の原料としても良いが、他の単量体と共重合して重合体を製造しても良い。
上記他の単量体としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の、炭素数1〜20の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、および、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の、炭素数1〜20の(メタ)アクリルアミド誘導体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の、塩基性不飽和単量体およびその塩または第4級化物;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の、炭素数1〜20のカルボキシル基含有不飽和単量体およびその塩;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の、不飽和無水物類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の、炭素数1〜20のビニルエステル類;ビニルエチレンカーボネートおよびその誘導体;スチレンおよびその誘導体;(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルおよびその誘導体;ビニルスルホン酸およびその誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等の、炭素数1〜20のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、オクテン、ブタジエン等の、炭素数1〜20のオレフィン類;などが挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して一般式(1)の単量体と共重合させてもよい。
本発明の組成物により製造した重合体(以下、「本発明の重合体」という)は、下記一般式(4)で表される構造単位を有する。
上記重合体は、上記一般式(4)で表される構造単位を複数有するが、それら複数の構造単位におけるn、R1は、同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(4)におけるn、R1の具体的に好ましい態様は、上記一般式(1)におけるものと同じである。
本発明の重合体は、上記一般式(4)で表される構造単位を、全ての単量体に由来する構造単位100モル%に対して、例えば0.1モル%以上、100モル%以下含む。なお、上記100モル%含む場合とは、上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートの単独重合体である場合である。
本発明の組成物は、任意の方法で重合すればよく、例えば、公知の重合開始剤の存在下で、上記単量体成分(上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレート、および、必要に応じて上記他の単量体)を重合することにより製造することができる。
使用する単量体100モル%に対する上記一般式(1)で表される環状アミドアクリレートの割合は、例えば0.1モル%以上、100モル%以下とすることができる。
重合は、無溶媒で行っても良いが、溶媒を使用してもよく(例えば、上記「反応工程」で使用可能な溶媒を使用することができる)、重合温度は例えば、0℃以上、150℃以下とすることができる。
[実施例]
<化合物の定量>
本発明の組成物は、下記条件にて、ガスクロマトグラフィー(以下、「GC」)もしくは液体クロマトグラフィー(以下、「LC」)により事前に作成した検量線を使用して定量した。
測定装置:SHIMADZU社製 GC−2014(商品名)
キャピラリーカラム:InertCap Pure−Wax(商品名)長さ30m×内径
0.25mm、膜厚0.25μm
(LC条件)
測定装置:Waters社製 2695
カラム:資生堂社製(CapCELLPakC18 MGII Size 4.6mmI.D. ×150mm)
溶離液:10mMリン酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=90/10(vol%)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
検出器:UV(210nm)
試料調整:試料1%溶液を、10μl注入。
試料を重クロロホルムに溶解させ、1HNMRおよび13CNMRにより評価した。
1HNMRの測定条件:
測定装置:Varian製「Unity Plus」400MHz
1HNMR(シングルパルス)、パルス角45°、パルス繰り返し時間3秒、積算回数16回。
Pulse Sequence:s2pul
Ambient temperature
Acq. time 4.000 sec
Width 8000.0 Hz
OBSERVE H1,399.6053723 MHz
DATA PROCESSING
FT size 65536
Total time 1 min, 52 sec
測定装置:Varian製「Unity Plus」400MHz
13CNMR(シングルパルス)、パルス角45°、パルス繰り返し時間0.939秒、積算回数128回。
Pulse Sequence:s2pul
Ambient temperature
Acq. time 1.061 sec
Width 30165.9 Hz
OBSERVE C13,100.4808268 MHz
DECOUPLE H1,399.6073706 MHz
Power 39 dB
continuously on
WALTZ−16 modulated
DATA PROCESSING
Line broadening 1.0 Hz
FT size 65536
Total time 558 hr, 34 min, 6 sec
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により以下の条件で求めた。また、分散度は、重量平均分子量/数平均分子量であり、重量平均分子量と数平均分子量から算出した。
システム:東ソー社製GPCシステム HLC−8220
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)、流量:0.6ml/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS−オリゴマーキット)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー社製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)、分離カラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:リファレンスカラム(東ソー社製、TSKgel SuperH−RC)
温度計、冷却管、撹拌器、ディーンスタークを付けた2L四つ口フラスコにピルビン酸メチル307g、2−ピロリドン171g、トルエン1040g、重合禁止剤としてメトキノン300mg、4H−TEMPO600mg、触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物3.8gを加え、撹拌しながらバス温132℃、内温が114℃になるまで加熱し、還流状態で水を留去しながら20時間反応させた。反応後、トルエンをエバポレーターで留去し、続いて、蒸留精製を行い、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸メチル(PyAM)(本発明の組成物1)を203g得た。得られた組成物1をGCにて分析したところ、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸メチル濃度が99.5質量%であり、2−ピロリドンが3000ppm含まれていた。
なお、ホルミル基を有する化合物は検出されなかった(0ppmであった)。
温度計、冷却管、撹拌器、ディーンスタークを付けた500mL四つ口フラスコにピルビン酸エチル87g、2−ピロリドン43g、トルエン260g、重合禁止剤としてメトキノン75mg、4H−TEMPO150mg、触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物946mgを加え、撹拌しながらバス温132℃、内温が114℃になるまで加熱し、還流状態で水を留去しながら15時間反応させた。反応後、トルエンをエバポレーターで留去し、続いて、蒸留精製を行い、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸エチル(本発明の組成物2)を43g得た。得られた組成物2をGCにて分析したところ、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸エチル濃度が99.2wt%であり、2−ピロリドンが4800ppm含まれていた。得られた2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸エチルの1HNMR、13CNMRをそれぞれ図1、2に示す。
なお、ホルミル基を有する化合物は検出されなかった(0ppmであった)。
温度計、冷却管、撹拌器、ディーンスタークを付けた四つ口フラスコにピルビン酸8.8g、2−ピロリドン4.8g、トルエン52g、重合禁止剤としてメトキノン10mg、4H−TEMPO10mgを撹拌しながらバス温132℃、内温が114℃になるまで加熱し、還流状態で水を留去しながら6時間反応させた。反応後、トルエンをエバポレーターで留去した。続いて、イソプロピルアルコールを用いて再結晶を行い、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸(本発明の組成物3)を3.1g得た。得られた組成物3をLCにて分析したところ、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸濃度が99.7wt%であり、2−ピロリドンが90ppm含まれていた。得られた2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸の1HNMR、13CNMRをそれぞれ図3、4に示す。
なお、ホルミル基を有する化合物は検出されなかった(0ppmであった)。
温度計、冷却管、撹拌器、ディーンスタークを付けた500mL四つ口フラスコにピルビン酸88.3g、n−ブタノール89.0g、ベンゼン240g、触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物3.9gを加え、撹拌しながらバス温95℃、内温78℃になるまで加熱し、還流状態で水を留去しながら6時間反応させた。反応後、水で洗浄した後、トルエンをエバポレーターで留去し、続いて、蒸留精製を行い、ピルビン酸n−ブチルを120.2g取得した。
次に、温度計、冷却管、撹拌器、ディーンスタークを付けた300mL四つ口フラスコに、上記で合成したピルビン酸n−ブチル35.5g、2−ピロリドン12.8g、トルエン120g、重合禁止剤としてメトキノン50mg、4H−TEMPO50mg、触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.6gを加え、撹拌しながらバス温132℃、内温が114℃になるまで加熱し、還流状態で水を留去しながら13時間反応させた。反応後、トルエンをエバポレーターで留去し、続いて、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸n−ブチル(PyAB)(本発明の組成物4)を13.3g得た。得られた組成物4をGCにて分析したところ、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸n−ブチル濃度が99.2質量%であり、2−ピロリドンが1800ppm含まれていた。得られた2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸n−ブチルの1HNMR、13CNMRをそれぞれ図5、6に示す。
なお、ホルミル基を有する化合物は検出されなかった(0ppmであった)。
温度計、冷却管、撹拌器、ディーンスタークを付けた500mL四つ口フラスコにピルビン酸26.6g、メトキシエタノール30.4g、ベンゼン80g、触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物1.1gを加え、撹拌しながらバス温95℃、内温78℃になるまで加熱し、還流状態で水を留去しながら4時間反応させた。反応後、水で洗浄した後、トルエンをエバポレーターで留去し、続いて、蒸留精製を行い、ピルビン酸メトキシエチルを36.4g取得した。
次に、温度計、冷却管、撹拌器、ディーンスタークを付けた300mL四つ口フラスコにピルビン酸メトキシエチル29.3g、2−ピロリドン17.1g、トルエン120g、重合禁止剤としてメトキノン50mg、4H−TEMPO50mg、触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物0.6gを加え、撹拌しながらバス温132℃、内温が114℃になるまで加熱し、還流状態で水を留去しながら18時間反応させた。反応後、トルエンをエバポレーターで留去し、続いて、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸メトキシエチル(PyAME)(本発明の組成物5)を20.8g得た。得られた組成物5をGCにて分析したところ、2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸メトキシエチル濃度が99.6質量%であり、2−ピロリドンが1000ppm含まれていた。得られた2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸メトキシエチルの1HNMR、13CNMRをそれぞれ図7、8に示す。
なお、ホルミル基を有する化合物は検出されなかった(0ppmであった)。
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、実施例1で得られた2−(2−オキソピロリジン−1−イル)アクリル酸メチル10質量部と、イオン交換水5質量部とを仕込み、これに窒素を通じつつ、75℃まで昇温させた。重合開始剤として0.02質量部のVA057(和光純薬工業社製)を3時間毎に3回添加して9時間にわたり重合を行なった。得られたポリマー溶液をアセトンにより再沈し、減圧で乾燥することで、白色のポリマー(ポリマー(1))を得た。ポリマー(1)の質量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は18,000であった。ポリマー(1)の1HNMRを図9に示す。
以下の方法でポリマー(1)の耐湿熱性(以下、耐湿性ともいう)、塗膜外観、耐熱黄変性を評価した。
(耐湿熱性の評価方法)
ポリマー(1)の粉体1gを直径5cmのアルミカップに広げ、23℃、50%RHの状態で24hr静置し、ポリマー粉体の状態を観察した。
(塗膜外観・耐熱黄変性の評価方法)
ポリマー(1)をクロロホルムに溶解し、10%の溶液とし、ガラス板上にアプリケータを用いて塗付、室温で製膜した後、80℃の熱風乾燥機で20分間乾燥し、塗膜外観を目視観察した。引き続き、200℃の熱風乾燥機で20分間、熱処理し、塗膜の外観変化を目視観察した。
評価結果を表1にまとめた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、実施例1で得られたPyAM6質量部と、スチレン4質量部、1,4−ジオキサン10質量部とを仕込み、これに窒素を通じつつ、100℃まで昇温させた後、重合開始剤として 0.02質量部のルペロックス575(アルケマ吉冨社製)を3時間毎に3回加え、9時間にわたり重合を行なった。得られたポリマー溶液をヘキサンにより再沈し、減圧で乾燥することで、白色のポリマー(ポリマー(2))を得た。ポリマー(2)の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は88,000であった。ポリマー(2)の1HNMRを図10に示す。ポリマー(2)について、上記の方法で、塗膜外観、耐熱黄変性、耐湿性を評価した。評価結果を表1にまとめた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、実施例5で得られたPyAME10質量部と、イオン交換水10質量部とを仕込み、これに窒素を通じつつ、75℃まで昇温させた。重合開始剤として0.05質量部のVA057(和光純薬工業社製)を3時間毎に3回添加して9時間にわたり重合を行なった。溶媒の水をエバポレーターを用いて留去したのち、アセトンに希釈してジイソプロピルエーテルにより再沈した。得られたポリマーを100℃で乾燥することで、白色のポリマー(ポリマー(3))を得た。ポリマー(3)の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は10,700であった。ポリマー(3)の1HNMRを図11に示す。
ポリマー(3)について、上記の方法で、塗膜外観、耐熱黄変性、耐湿性を評価した。評価結果を表1にまとめた。
N−ビニルピロリドンのホモポリマー(市販品、PVP K−30)について、上記の方
法で、塗膜外観、耐熱黄変性、耐湿性を評価した。評価結果を表1にまとめた。
PyAMを、N−ビニルピロリドン(NVP)に変更した以外は、実施例7と同様にして、白色のポリマー(比較ポリマー(2))を得た。比較ポリマー(2)の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は27,000であった。比較ポリマー(2)について、上記の方法で、塗膜外観、耐熱黄変性、耐湿性を評価した。評価結果を表1にまとめた。
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