JP6452548B2 - 電力供給装置及び制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電力供給装置及び制御方法に関し、特に、負荷への電力供給を制御する手段を備える電力供給装置及び制御方法に関する。
近年のインクジェット記録装置(以下、記録装置ともいう)は、印刷速度の向上や印刷解像度の向上のために、インクを吐出するノズルの数が増大してきている。例えば、サーマル方式の記録装置の場合には、インク吐出口付近にヒータを設け、このヒータに電力を供給する事によりインクを瞬時に発泡させ、発泡の運動エネルギによってインクを吐出させる。
このような記録装置において画像形成時に消費される電力は、画像の濃淡によって変化する。濃度の高い画像を形成する際には、多量のインクを紙面上に吐出するために多数のノズル駆動用ヒータが瞬間的にオンされ、ノズルを備えるヘッドに短い時間で大きな電流を流す。
瞬間的な大電流を流す際には、電源のインピーダンスを下げる必要があり、等価直列抵抗値が小さく且つ容量が大きい電解コンデンサを、記録ヘッド近くの電源ラインに接続するプリンタが知られている(特許文献1参照)。
特許文献1では、充電状態を保持している間に電圧監視を行い、想定された電圧まで電位が下がった場合には異常と判断してその後のヘッドへの電力供給を行わない。また、特許文献1では、電源の瞬断等によって記録ヘッドの電源電圧が低下した時に、記録ヘッドのショート状態と誤検知しないように、電源電圧の低下を検知した後、一定時間のタイマ監視を行う。タイマ時間内に記録ヘッドの電源電圧が復帰した際にはエラーとしないように制御している。
特開2009−286096号公報
ところで、ヘッド電源回路に容量の大きな電解コンデンサを接続した場合、この電解コンデンサの充電時間が長くなり、瞬断発生時に電圧を復帰させるための時間が長くなる傾向にある。この場合、タイマ時間内に記録ヘッドの電源電圧が復帰せずにエラーと判定されることがある。一方で、電解コンデンサの充電時間を短縮させるために、供給する電流を大きくすると、ヘッドのリーク電流に異常が発生しても電圧が短時間で降下せず、異常の検出が遅れてしまう。本発明は、上述した事情に鑑み、電解コンデンサの充電時間を短縮しつつ、電力供給回路や負荷異常が発生した際により精度よく特定することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明に係る電力供給装置は、電力負荷に電力供給ラインを介して電力を供給する電源部と、前記電源部と前記電力負荷とを接続する前記電力供給ラインに接続されたコンデンサと、前記電源部から供給される電力の電流値を制限して前記コンデンサを充電する充電回路と、前記コンデンサの電圧値を検出する検出手段と、前記コンデンサの充電が完了した後に前記充電回路の電流値を前記コンデンサの充電が完了する前の電流値よりも小さな第1電流値に切り替える制御手段と、前記コンデンサの充電が完了した後に前記検出手段により検出された電圧値が所定の閾値以下か判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定する決定手段と、を有し、前記制御手段は、前記コンデンサの充電の完了後に前記判定手段により所定の閾値以下と判定された場合、前記充電回路が供給する電流値を前記第1電流値よりも高い電流値に切り替えるように制御し、前記決定手段は、前記判定手段により所定の閾値以下と判定されてから所定時間が経過したときの前記判定手段の判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定する。
また、本発明に係る他の電力供給装置は、電力負荷に電力供給ラインを介して電力を供給する電源部と、前記電源部と前記電力負荷とを接続する前記電力供給ラインに接続されたコンデンサと、前記電源部から供給される電力の電流値を制限して前記コンデンサを充電する充電回路と、前記コンデンサの電圧値を検出する第1検出手段と、前記電源部の電圧値を検出する第2検出手段と、前記コンデンサの充電が完了した後に前記充電回路の電流値を前記コンデンサの充電が完了する前の電流値よりも小さな第1電流値に切り替える制御手段と、前記コンデンサの充電が完了した後に前記第1検出手段により検出された電圧値と前記第2検出手段により検出された電圧値との差が所定の閾値以上か判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定する決定手段と、を有し、前記制御手段は、前記コンデンサの充電の完了後に前記判定手段により所定の閾値以上と判定された場合、前記充電回路が供給する電流値を前記第1電流値よりも高い電流値に切り替えるように制御し、前記決定手段は、前記判定手段により所定の閾値以上と判定されてから所定時間が経過したときの前記判定手段の判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定する。
本発明によれば、電解コンデンサへの充電時間を短くしつつ、電力供給回路や負荷に異常が発生した際に異常をより精度よく特定することができる。
実施形態1に係るプリンタの制御回路構成を示すブロック図である。 実施形態1に係る記録ヘッドへの電力供給動作を示すフローチャートである。 電解コンデンサへの充電および放電を示すタイミングチャートである。 電圧監視時の記録ヘッドへの電力供給の切り替えを示すフローチャートである。 瞬断が発生した際のエラー判定の説明図である。 実施形態1に係る電解コンデンサの電圧及び充電回路106が供給する電流値を示すタイミングチャートである。 実施形態1に係る充電および放電を示すタイミングチャートである。 実施形態1に係る充電および放電を示すタイミングチャートである。 瞬断が発生した際の電位差を説明するタイミングチャートである。 実施形態2に係る充電および放電を示すタイミングチャートである。 実施形態11に係る記録ヘッドへの電力供給動作を示すフローチャートである。 実施形態に係るステート遷移図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電力供給装置の一例であるプリンタの制御回路の主要構成を示すブロック図である。なお、図1では、印刷機能を有するプリンタを例に挙げて説明するが、プリンタは、これに限定されるものではなく、例えば、印刷機能及び読取機能を有する複合プリンタであってもよい。また、電力供給装置は、プリンタに限定されるものではなく、印刷機能を有していなくてもよく、負荷に対して電力を供給する装置であればよい。
図1に示すプリンタは、電源回路101と、ヘッド電源制御ブロック102と、プリンタ制御用CPU131と、RAM133と、ROM132と、充電回路106と、放電回路107と、記録ヘッド3と、電解コンデンサ105と、を有する。また、電解効果トランジスタ(FET)103及びトランジスタ104を有する。なお、本実施形態において、「電源の供給電力」とは、電源回路101から記録ヘッド3に供給される電力を指す。
電源回路101は、いわゆる電源部であり、AC電源からヘッドを駆動するDC電圧を生成するAC/DCコンバータである。図1では、電源回路101が出力するDC電圧をVMと表記している。
プリンタ制御用CPU131は、記録装置全体を制御する中央演算処理部であり、プログラムの実行やハードウェアの起動によりプリンタ全体の動作を制御する。
ROM132は、記録装置全体を制御するプログラムや設定パラメータを格納する。RAM133は、外部から受信した印刷ジョブを印刷用データへ変換したり、プログラムを展開するためのワークエリアとして用いられたり、パラメータや画像データを一時保存したりする。
ヘッド電源制御ブロック102は、ヘッドに供給する電力を制御する。
電圧検出回路134は、記録ヘッドに電力を供給する電力供給ラインの電圧(ヘッドの電源電圧)を検出する。なお、以下、ヘッド電源電圧は、「電解コンデンサ電圧」ともいう。これは、電解コンデンサ105の電圧は、ヘッド電源電圧と同じとなるためである。電圧検出回路134はAD変換器であってもよいし、複数のコンパレータを並べて複数のしきい値を持たせた回路であってもよい。ヘッド電源電圧は、抵抗111と112で分圧され、入力端子PI1から電圧検出回路134に入力される。また、電源回路101の電圧(VM電圧)は113と114で分圧され、入力端子PI2から電圧検出回路134に入力される。
ヘッド電源制御シーケンサ122は、PO1から信号を出力することにより、トランジスタ104のオン・オフを制御する。また、充電回路106及び放電回路107の電流値を制御する。また、ヘッド電源制御シーケンサ122は、PO2から信号を出力することにより、充電回路106が供給する電流値を制御し、PO3から信号を出力することにより、放電回路107が放電する電流値を制御する。
CPU131とヘッド電源制御ブロック102は、同一の集積回路としてLSIに実装されても良いし、別のLSIとして実装されていてもよい。
記録ヘッド3(プリントヘッド)は、電力負荷に対応し、プリント動作を行う。なお、本実施形態では、記録ヘッド3は、各色のインクタンクを有し、被記録媒体(例えば、紙)にインク液滴を吐出して記録を行う。なお、記録ヘッド3は、ヘッドキャリッジを支えるシャフトに沿って搬送方向と直交する方向に移動しながらインクを吐出するものであってもよいし、搬送方向に沿って各色のノズル列を有するラインヘッドを有するものであってもよい。また、本実施形態に係るプリンタは、サーマル方式でプリントをするものであり、インク吐出口の付近に複数のヒータが設けられている。そして、インクを吐出する際には、ヒータに電力を供給する事によりインクを瞬時に発泡させ、発泡の運動エネルギによってインクを吐出させる。
電解コンデンサ105は、記録ヘッド3に電源を供給する電解コンデンサであり、インクの吐出状況によって変化する負荷変動を吸収する役割も兼ねている。この電解コンデンサ105は、電力供給ラインに対して記録ヘッド3と並列に接続されている。本実施形態では、電解コンデンサ105は、等価直列抵抗値が小さく且つ容量が大きいコンデンサである。容量が大きい電解コンデンサ105とすることにより、濃度の高い画像を形成する際に、電解コンデンサ105に蓄積された大きな電荷が瞬時的な電力として供給される。これにより、瞬間的に大きな電流が流れる状況においてもヒータ駆動電圧の降下を防ぎ、安定したインク吐出を実現することができる。
FET103は、記録ヘッド3が印刷動作を行うために大きな電力を必要とする時にオンされる。本実施形態では、PMOSでトランジスタ104をオン・オフすることにより、ゲートが開閉する構成とする。トランジスタ104は、ヘッド電源制御ブロック102の出力端子PO1に接続され、ヘッド電源制御シーケンサ122が出力する信号のHigh/Lowによってオン・オフされる。なお、本実施形態では、充電回路106により電解コンデンサ105を充電する際には、FET103はオフした状態とする。
充電回路106は、電解コンデンサ105を充電するための回路であり、放電回路107は、電解コンデンサ105を放電するための回路である。
充電回路106は、電源回路101から供給される電力の電流値を制限して電解コンデンサ105を充電する。充電回路106は、カレントミラー構成の定電流回路となっており、FET及び定電流源108を有し、定電流源108により基準電流を生成する。定電流源108は、ヘッド電源制御ブロック102の出力端子PO2によって制御され、電流値の複数段階の切り替えが可能である。本実施形態では、充電回路106が供給する電流を切り替えることにより、充電時間を短縮することができる。より具体的には、電解コンデンサ105を充電する際には、充電回路106が供給する電流は高い電流値とし、電解コンデンサ105の充電願完了した後は、充電回路106が供給する電流は低い電流値とする。なお、定電流源108の電流値の切り替えについて詳細は後述する。
放電回路107も、充電回路106と同様に、カレントミラー構成の定電流回路であり、FET及び定電流源108を有し、定電流源109が基準電流を生成する。また、定電流源109は、ヘッド電源制御ブロック102の出力端子PO3に接続され、定電流源108と同様に、電流値の複数段階の切り替えが可能である。
図1及び図2を用いて、本実施形態に係るヘッド電源の電圧監視動作シーケンスを説明する。図2のフローチャートは、記録ヘッドへの電力供給動作を示すフローチャートである。
図2に示すフローチャートは、例えば、CPU131がROM132に格納されたプログラムをRAM133に読み出して実行することにより実現される。具体的には、プリンタが印刷指令を受けて、ヘッド3に電源が投入されていない状態から、ヘッドに電源を投入して、印刷動作を行う流れを示している。
プリンタが印刷指令を受けると、電源電圧の制御を開始し(S201)、電解コンデンサ105に充電を行う(S202〜S207)。ここで、図2及び図3に示すIchg1、Ichg2、Ichg3は、それぞれ充電回路106が出力する充電電流であり、電解コンデンサの電圧状態に応じて切り替えられる。具体的には、電圧検出回路134がモニタしている電解コンデンサの電圧が予め設定した各電圧しきい値(Vth1、Vth2)を超えると、充電電流値を所定値(Ichg2、Ichg3)まで上げる。このように、本実施形態では、充電電流値を切り替えることにより、充電回路106のFETの熱的制限を満足しつつ、可能な限り素早く充電を完了させることができる。本実施形態では、充電回路106のFETのソース・ドレイン間の電位差と、充電回路106が出力する電流値の積で計算される熱が、充電回路106のFETの許容損失以下となるように設定する。例えば、ソース・ドレイン間の電位差がVM−Vth1、電流値がIchg1の場合、充電回路106に発生する熱量は(VM−Vth1)×Ichg1と表わされる。同様に、ソース・ドレイン間の電位差がVM−Vth2、電流値がIchg2の場合、充電回路106に発生する熱量は(VM−Vth2)×Ichg2と表わされる。また、ソース・ドレイン間の電位差がVM−Vth3、電流値がIchg3の場合、充電回路106に発生する熱量は(VM−Vth3)×Ichg3と表わされる。(VM−Vth1)×Ichg1、(VM−Vth2)×Ichg2、(VM−Vth3)×Ichg3のいずれも、一定の許容損失以下になるように設定する。したがって、VMとの電位差が大きいVth1以下の時の電流値Ichg1は比較的小さく、VMとの電位差が小さいVth3以上の時のIchg3は比較的大きくする。本実施形態では、電流値の切り替えを3段階で示しているが、これに限定されず、電流値の切り替え数は3よりも多くてもよいし、少なくてもよい。 まず、ヘッド電源制御シーケンサ122は、充電回路106の充電電流値としてIchg1を選択するように、出力端子PO2から信号を出力し(S202)、電圧検出回路134により検出した電解コンデンサの電圧がVth1以上か判定する(S203)。電解コンデンサの電圧がVht1以上と判定すると(S203でYes)、ヘッド電源制御シーケンサ122は、充電回路106の充電電流値としてIchg2を選択するように、出力端子PO2から信号を出力する(S204)。すなわち、充電回路106の充電電流値は、Ichg1からIchg2に切り替えられる。そして、電圧検出回路134により検出した電解コンデンサの電圧がVth2以上か判定する(S205)。電解コンデンサの電圧がVht2以上と判定すると(S205でYes)、ヘッド電源制御シーケンサ122は、充電回路106の充電電流値としてIchg3を選択するように、出力端子PO2から信号を出力する(S206)。すなわち、充電回路106の充電電流値は、Ichg2からIchg3に切り替えられる。
図3(a)は、電圧検出回路134がモニタしている電解コンデンサ105の電圧のタイミングチャートである。また、図3(b)は、電解コンデンサへの充電電流および放電電流を示すタイミングチャートであり、図3(c)は、PO1の電圧レベルを示すタイミングチャートである。
電解コンデンサ105を充電している期間310は、電圧上昇のカーブが急峻になる。これは、図3(b)に示すように、電解コンデンサ電圧がVth1のしきい値以上となるタイミング301で、充電電流値をIchg1からIchg2に切り替えているためである。
Ichg3が選択された後は、電圧検出回路134により検出した電解コンデンサの電圧がVth3以上か判定する(S207)。電解コンデンサの電圧がVht3以上と判定すると(S207でYes)、ヘッド電源制御シーケンサ122は、充電回路106の充電電流値として電圧保持用電流値Ikeepを選択するように、出力端子PO2から信号を出力する(S208)。すなわち、充電回路106の充電電流値は、Ichg1からIkeepに切り替えられる。電流値Ikeepは、電解コンデンサ105の電圧を保持しつつ、リークの増加の検出することができる電流値である。したがって、Ikeep電流値は、充電電流値を上昇させたときの値(例えば、Ichg3)よりも低い値とする。本実施形態では、Ikeep電流値は、Ichg1よりも低い値、すなわち、充電時に充電回路106が供給する電流値よりも低い値とする。
そして、電圧検出回路134により検出した電解コンデンサの電圧がVth error以下か判定する(S209)。電解コンデンサの電圧がVth error以下ではないと判定すると(S209でNo)、S210へ進み、電解コンデンサの電圧がVth error以下ではないと判定すると(S209でYes)、エラーであるとして処理を終了する。ここで、Vth_errorは、電力供給回路及びヘッドの異常を特定するためのしきい値であり、電解コンデンサの電圧がVth_error以下である場合は、電力供給回路及びヘッドのうち少なくともいずれかに異常があったと特定される。なお、電解コンデンサの電圧のモニタは、電解コンデンサ105の充電完了以降で且つ放電を開始する前に実行される。なお、このIkeep電流値とシーケンス209については後述する。電力供給回路やヘッドに異常がある場合としては、記録ヘッドの電気的接点に絶縁不良が起きたり、記録ヘッドのリーク電流が増加したり、電力供給回路が短絡した場合が挙げられる。この場合は、電位が想定された電圧(Vth error)以下となってしまう。この場合、印刷を実行すると、印刷不良やプリンタの故障を招いてしまう。
充電回路106による電解コンデンサ105の充電が完了し、印刷用データの準備も完了していれば、印刷動作を開始すると判定する(S210)。まず、S211で、ヘッド電源制御シーケンサ122のPO1の電圧レベルをHighにする(図3(c)のタイミング304参照)。言い換えれば、ヘッド電源制御シーケンサ122は、出力端子PO1から信号を出力し、トランジスタ104がオンとなるように制御する。これにより、FET103がオンする。なお、FET103をオンしない場合、充電回路106が電力供給ラインに供給する電流はIkeepの状態のため、ヘッドが印刷の為に消費する電力を十分に確保する事ができない。S212の記録ヘッド3による印刷動作が完了すると、S213でPO1の電圧レベルをLowにする(図3(c)のタイミング305参照)。これにより、図1のFET103がオフする。そして、ヘッド電源制御シーケンサ122は、充電回路106の充電電流値としてIkeepを選択するように、出力端子PO2から信号を出力する(S214)。すなわち、ヘッドへの供給電流はIkeepに戻る。
そして、電圧検出回路134により検出した電解コンデンサの電圧がVth error以下か判定する(S215)。電解コンデンサの電圧がVth error以下ではないと判定すると(S215でNo)、S216へ進み、電解コンデンサの電圧がVth error以下ではないと判定すると(S215でYes)、エラーであるとしてエラー処理をする。エラー処理としては、図1のFET103をオフし、充電回路106をオフする。さらに、放電回路107をオンして積極的に放電を行うなどの制御をしてもよい。
S217で、印刷が終了したか判定する。印刷が終了したと判定されると(S217でYes)、ヘッド電源用コンデンサを放電する制御に移る(S219〜S223)。電解コンデンサ105は、放電回路107を使用し、電流を制限しながら放電を行う。ここで、電解コンデンサ105の放電時も充電時と同様に、放電回路107のFETの熱的制限を満たすように設定する。放電回路107のFETのソース・ドレイン間の電位差と、放電回路107を流れる電流値の絶対値の積で計算される熱が、放電回路107のFETの許容損失以下となるように設定する。例えば、ソース・ドレイン間の電位差がVth3、電流値がIdis3の場合、放電回路107に発生する熱量はVth3×Idis3と表わされる。同様に、ソース・ドレイン間の電位差がVth2、電流値がIdis2の場合、放電回路107に発生する熱量はVth2×Idis2と表わされる。また、ソース・ドレイン間の電位差がVth1、電流値がIdis1の場合、放電回路107に発生する熱量はVth1×Idis1と表わされる。Vth3×Idis3、Vth2×Idis2、Vth1×Idis1のいずれも、一定の許容損失以下になるように設定する。
まず、ヘッド電源制御シーケンサ122は、放電回路107の放電電流値としてIdis3を選択するように、出力端子PO3から信号を出力する(S219)。ここで、放電回路107のFETのソース・ドレイン間の電位差は、GNDからヘッド電源電圧の差になるため、ヘッド電源電位が高いほど電位差は大きい。したがって、図3(b)のタイミング306から307では、放電電流Idis3は小さい値を設定する。
そして、電圧検出回路134により検出した電解コンデンサの電圧がVth2未満か判定する(S220)。電圧検出回路134が検出した電解コンデンサの電圧がVth2未満となると(S220でYes)、ヘッド電源制御シーケンサ122は、放電回路107の放電電流値としてIdis2を選択するように、出力端子PO3から信号を出力する(S221)。すなわち、タイミング307からは放電電流をIdis3からIdis2に切り替える。ここで、Idis2は、Idis3よりもやや大きい値を設定する。そして、電圧検出回路134により検出した電解コンデンサの電圧がVth1未満か判定する(S222)。電圧検出回路134が検出した電解コンデンサの電圧がVth1未満となると(S222でYes)、ヘッド電源制御シーケンサ122は、放電回路107の放電電流値としてIdis1を選択するように、出力端子PO3から信号を出力する(S223)。すなわち、タイミング307からは放電電流をIdis2からIdis1に切り替える。そして、図3(b)の309のタイミングで放電が完了する。
CPU131は、以下に示す通り、プリント制御全体の管理と、ヘッド電源が正常に動作していることの管理を行う。
(1) プリンタに接続された外部装置から印刷指令を受けるか、プリンタの操作部を介したコピー動作指令等の印刷指令を受ける。CPU131は、これに応じて、印刷ジョブデータから印刷用データの準備を開始するのと並行して、ヘッド電源制御ブロック102にヘッド電源オン指令を出す。ヘッド電源オン指令を受けてヘッド電源制御ブロック102は、図2のフローを開始する(S201)。
(2) CPU131は、印刷ジョブデータから印刷用データの準備を行うのと並行して、ヘッド電源制御シーケンサ122のステートを監視し、保持ステートとなったか判定する。本実施形態では、ヘッド電源制御シーケンサのステートを監視するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、電圧検出回路134の出力値や、抵抗111と抵抗112の間の分圧電圧を直接入力してAD変換した値からヘッド電源電圧がVth1以上であるか否かの判断をしてもよい。ステートが保持ステートとなったと判定すると、CPU131は、電圧検出回路134の出力値、抵抗111と抵抗112の間の分圧電圧を直接入力しAD変換した値を定期的に監視し続ける。その値が「ヘッド電源電圧がVth_error以下である状態」に相当する値になった場合、異常状態であると判定しエラー処理を行う。
(3) エラー状態ではない状態で印刷用データの準備ができた場合、印刷開始可能と判定し、ヘッド電源制御ブロック102に印刷動作の開始指令を出す。印刷動作の開始指令を受けてヘッド電源制御ブロック102は、ステップ211の処理を行う。その後、CPU131は、ヘッドへ印刷用データを送信し印刷動作を行う。
(4) 印刷動作が完了すると、CPU131はヘッド電源制御ブロック102に印刷動作の終了指令を出す。印刷動作の終了指令を受けて、ヘッド電源制御ブロック102はステップ213の処理を行う。
(5) 続けて印刷ジョブデータがある場合は、(2)→(3)を繰り返す。
(6) 印刷ジョブデータがない場合は、CPU131はヘッド電源制御ブロック102にヘッド電源のオフ指令を出す。ヘッド電源のオフ指令を受けて、ヘッド電源制御ブロック102はステップ219の処理を行う。
ここで、本実施形態では、電解コンデンサ105の充電完了後は、記録ヘッドの動作を開始前や停止期間に瞬断等による電源電圧低下による誤動作を防止するため、電解コンデンサの電圧を監視する。
より具体的には、電圧検出回路134がモニタしているヘッド電源電圧が低下して所定値以下になると、ヘッド電源制御シーケンサ122は、電流値を上げるように制御する。この処理を実行するプログラムは、S202を開始し、所定時間待機した後、S219の放電処理を開始するまで、CPU131に内蔵されるタイマによって、一定周期毎、例えば、10ms毎に起動される。C1電圧値の監視を開始した際の制御フローについて図4を用いて説明する。図4に示すフローチャートは、例えば、CPU131がROM132に格納されたプログラムをRAM133に読み出して実行することにより実現される。
充電回路106により電解コンデンサ105の充電を開始し(S202)、所定の待機時間を経過すると、電圧監視を開始する(S301)。ここで、待機時間は、充電回路106の充電が完了するまでの時間であり、充電回路106の充電能力と、電解コンデンサ105の容量に応じて予め決定した時間とする。待機時間経過後、CPU131は無効期間タイマを初期値(Toff)にセットする(S302)。本実施形態では、初期値として、例えば、2秒を設定する。
CPU131は、入力ポートPI1を介して電解コンデンサ105の電圧レベル(電圧値)を読み取り、これを閾値電圧Vth_errorと比較し、閾値電圧Vth_error以下かどうかを判定する(S303)。閾値電圧Vth_errorは、ヘッド電源電圧がVM電圧に近い状態であるかどうかを判断するために、予め定められた電圧であり、電解コンデンサの電圧(C1電圧)がVM電圧に近い状態であれば、閾値電圧Vth_errorよりも高くなる。また、Vth_errorは、電力供給回路及びヘッドの異常を特定するためのしきい値である。C1電圧がVth_error以下(閾値以下)であり且つ所定の時間を経過した場合は、電力供給回路及びヘッドのうち少なくともいずれかに異常があったと特定される。なお、C1電圧のモニタは、上述した通り、電解コンデンサ105の充電完了以降で且つ放電を開始する前に実行される。電力供給回路やヘッドに異常がある場合としては、記録ヘッドの電気的接点に絶縁不良が起きたり、記録ヘッドのリーク電流が増加したり、電力供給回路が短絡した場合が挙げられる。この場合は、電位が想定された電圧(Vth error)以下となってしまう。この場合、印刷を実行すると、印刷不良やプリンタの故障を招いてしまう。
ヘッド電圧の電圧がVth_error以下、すなわち、電解コンデンサの電圧≦Vth_errorであれば(S303でYes)、瞬断等が発生した可能性があるため、CPU131は無効期間タイマのカウントダウンを開始する(S304)。ヘッド電圧がVth_error以下か判定する(S305)。
ヘッド電圧がVth_error以下であると判定した場合(S305でYes)、CPU131は無効期間タイマのカウント値がゼロであるか判定する(S306)。無効期間タイマのカウント値が0であると判定した場合(S306でYes)、エラー処理をする。エラー処理とは、電力供給ラインを介したヘッド3への電力供給を終了させる処理である。具体的には、図1のFET103をオフし、充電回路106をオフする。さらに、電源回路101の電源をオフする。また、さらに、放電回路107をオンして積極的に放電を行うなどの制御をしてもよい。
無効期間タイマのカウント値がゼロではないと判定した場合(S306でNo)、ヘッド電圧がVth4以下であるか判定する(S307)。Vth4以下(閾値以下)ではないと判定した場合(S307でNo)、S305へ戻る。一方、Vth4以下(閾値以下)であると判定した場合(S307でYes)、ヘッド電源制御シーケンサ122は、充電回路106の充電電流値としてIchg3を選択するように、出力端子PO2から信号を出力する(S308)。すなわち、充電回路106の充電電流値は、IkeepからIchg3に切り替えられる。そして、S305に戻る。 ヘッド電圧がVth_error以下であると判定した場合(S305でNo)、ヘッド電圧がVth3以上か判定する(S309)。ヘッド電圧がVth3以上であると判定した場合(S305でNo)、ヘッド電源制御シーケンサ122は、充電回路106の充電電流値としてIkeepを選択するように、出力端子PO2から信号を出力し(S310)、処理を終了する(S311)。
なお、ヘッド電圧がVth_error以下ではない、すなわち、電解コンデンサの電圧>Vth_errorであれば(S303でNo)、監視処理を終了する。
ここで、上述したように、ヘッド電圧の電圧がVth_error以下であると判定され且つヘッド電圧の電圧がVth4以下であると判定された場合、Ichg3が選択され、る。そして、再びヘッド電圧の電圧がVth_error以下であると判定された際にカウントがゼロであった場合、すなわち、無効期間が経過した場合は、エラー処理が実行される。言い換えれば、無効期間が経過してもVth_error以下であった場合(S304且つS305でYes)、エラー処理が実行される。
以上の動作を一定周期毎に繰り返すことにより、コンデンサ電圧の監視を行う。本実施形態では、瞬断等が発生してヘッド電源電圧が低下したときは、無効期間タイマの初期値(Toff)で設定された所定時間(例えば、2秒)の間は、エラーと判定しない。
このように、ヘッド電圧がVth error以下かの判定結果に基づいて、無効期間を設定し、設定した無効期間の経過後に再びヘッド電圧がVth error以下かを判定し、その判定結果に基づいて、エラー処理をするか否かを決定する。図5及び図6を用いて、瞬断が発生したときのコンデンサの電圧及びエラーの検出について説明する。図4のタイミングチャートは、ヘッドの電解コンデンサ105の充電が完了した後に瞬断による電圧ドロップが発生したときの電解コンデンサ電圧の変化とエラー検出動作を示している。図5において、C1電圧とは、電解コンデンサの電圧を指し、電源回路101が出力するVM電圧を点線で指す。
ここで、Ichgは電解コンデンサ105へ供給する電流値(充電電流値)であり、Ikeepは、電解コンデンサ105の電圧を保持しつつ、リークの増加の検出をすることができる電流値である。したがって、Ikeep電流値は、Ichgよりも低い値とする。電解コンデンサ105の充電時は、充電時間を短くするため大きな電流値が設定されているが、電圧を保持する際には、リークの検知精度を高めるため少ない電流値を設定する。
ここで、電圧保持状態で瞬断が発生した場合、電源回路101が出力するVM電圧の低下の影響で電解コンデンサ105の電圧(C1電圧)も低下し、予め設定した閾値Vth_errorまで低下する。ここで、瞬断とは、外的要因によりごく短時間、一時的に電源回路101による電圧の印加がされないことを指す。
瞬断が生じた際に電源供給回路やデバイスに異常が発生しているとしてエラーと判定しないように、エラー判定無効時間(Toff)を設定する。この設定した無効時間内に電解コンデンサ105の電圧が復帰すればエラーの誤判定は起きない。そして、エラー動作が開始して無効時間(Toff)が経過した後に、C1電圧がV_error以下であった場合、エラーと判定され、電源が遮断される(電流の供給が停止する)。
しかしながら、図5(a)のように、Ikeep電流が小さい場合、瞬断発生後のヘッドコンデンサ電圧の復帰に時間がかかる。電解コンデンサ105の容量が大きいほど、設定された時間内に電圧が復帰するのが遅くなってしまう。この場合、図5(a)に示すように、電圧低下を検知した後に設定したタイマ無効期間(Toff)が過ぎてもコンデンサ電圧は復帰しきれず、エラーとして検出されてしまう。一方、瞬断がエラーと判定されるのを避けるためにエラー判定無効時間を長く設定すると、エラーと判定されるまでの時間が長くなってしまう。また、このときのC1電圧の低下時間はリーク電流Ileakと、充電回路が供給する電流によって決まる。例えば、充電回路106が供給する電流(図中、Ichgとする)が大きい場合、リークが発生した際のC1電圧の低下がゆるやかになるため、エラー判定処理が開始される電圧V_errorにC1電圧が落ちるまでの時間が長くなる。したがって、エラー検出動作が開始するまでに時間がかかってしまう。
そこで、本実施形態では、充電完了後に電流値を小さくし、コンデンサ電圧が低下した場合、図6に示すように、充電回路106が供給する電流を高くする。本実施形態では、CPU131具体的には、充電完了後に電流値をIchgよりも十分小さい電流値である電流値Ikeepとする。そして、瞬断等により電解コンデンサ電圧が、Vth error以下となり、さらに、予め設定したしきい値であるVth4以下になったことを検出した場合、保持電流Ikeepから充電電流Ichgに切り替える。これにより瞬断で低下した電圧が充電完了時の電圧に復帰するまでの時間を短くすることができる。また、電解コンデンサ105の電圧が十分VMに近い電圧(ここでは、しきい値Vth3とする)以上に復帰した際には、CPU131再度、充電回路106が出力する電流値を保持電流Ikeepに切り替える。これにより、リークの検出精度が高くなる。 また、充電電流Ichgよりも十分小さい電流値である保持電流Ikeepが供給されている状態で、電流リークが発生した場合、電解コンデンサ105の電圧は急速に低下する。これにより、リーク発生後すぐにエラー検出動作が開始される。したがって、リーク発生からエラー処理が完了するまでの時間が短くなる。
ここで、電解コンデンサ電圧(C1電圧)がVth4以下になったことをCPU131が検出すると、保持電流Ikeepから充電電流Ichgに切り替えるが、リークが発生している場合は、電圧は上昇しない。したがって、無効期間(Toff)が経過した後に、エラーであると判定される。なお、エラーと判定された後は、電源が遮断される。
図12を用いて、ヘッド電源制御ブロック102について説明する。図12はヘッド電源制御シーケンサ122内の状態管理図である。図12(a)では、ヘッド3の電源がオフされている状態をスタンバイ1001とする。印刷のジョブが投入されると、ヘッド3の電源をオンにするために、充電ステート1002に遷移する。C1電圧がVth3以上となり、充電が完了すると、図12(a)の保持ステート1003に移行する。このとき、充電回路106は、供給する電流をIchgからIkeepに切り替える。
図12(b)は、保持ステート1003を詳細に示した状態遷移図である。保持1ステート1003_1において、C1電圧がVth4以下になると、図12(b)に示すように、充電1ステートに遷移する。このとき、充電回路106は、供給する電流をIkeepからIchgに切り替える。C1電圧がVth3を超えると充電1ステート1003_2から保持1ステートに遷移する。このとき、充電回路106は供給する電流をIchgからIkeepに切り替える。
印刷動作が開始すると、印刷動作ステート1004に遷移する。印刷ジョブが完了するまで、保持ステート1003と印刷動作ステート1004のステート間を行き来する。
印刷動作が終了すると、放電ステート1005に遷移する。また、C1電圧のモニタにより異常を検出した場合も、放電ステート1005に遷移させる。C1電圧モニタによる異常検出は、特に保持ステート1003において検出され易いが、印刷動作ステート1004で検出された場合は、即時に放電ステート1005に遷移させてもよい。
ここで、Ikeep電流の電流値について説明する。ヘッド電源回路は、ヘッドの電解コンデンサ105に充電を完了した後に、電力供給回路や電力負荷を有するデバイスに異常が生じていない場合であっても、様々な理由で電荷が抜け、自然に放電することがある。例えば、図1の111、112の検出用抵抗に流れる電流、あるいはヘッド自身が半導体プロセスで製造されているために自然発生するリーク電流などが挙げられる。これらの現象によるヘッド電源電圧の低下を防ぐことで、充電動作からしばらく時間が経過した後でも、プリント動作を即座に開始することができる。したがって、Ikeep電流値はこれらの自然な放電電流よりも大きな値を設定する。なお、自然な放電電流は、電力供給回路の構成及び負荷を含むデバイスの構成により、予め想定することができる。Ikeep電流値は、想定される自然な放電電流よりも大きい値とすればよい。 次に、図7及び図8を用いて、Ikeepの上限について説明する。何らかの理由でヘッドのリークが増加した場合、記録装置としては異常であるため、リークの増加を適切に検出し、エラー処理を実行したい。そして、自然放電以外のリークが発生した際の電解コンデンサ電圧(C1電圧)の低下速度はIleak−Ikeepにより決まる。したがって、仮に、保持電流Ikeepが大きい電流値(例えば、充電電流Ichgと同程度の電流値)である場合、電解コンデンサ電(C1電圧)圧がエラー検知電圧(V_error)を下回るまで時間がかかり、異常であると検知するまでに時間がかかる。
したがって、本実施形態では、Ikeepは、異常時のILeakには適切なタイミングで異常を検出できるように、特定の値以下に設定する。例えば、ILeakの挙動が予想可能な場合は、∫{ILeak(t)×V(t)}dtを期間508で積分した結果が所望の熱量以下になるようにIkeepを設定する。また、Ikeep以下の場合は電圧降下による異常検出は困難であるため、VM×Ikeepの熱量が許容可能な範囲に収まる様にIkeepを設定してもよい。
上述したように、本実施形態では、充電完了後の電流値を充電時の電流値よりも低くすることにより、コンデンサ電圧が低下してからエラー判定を開始するまでの時間を短くすることができ、ヘッド電源回路の異常の発生を適切に特定することができる。すなわち、記録ヘッドが異常なリーク電流を流していた際にはそのリーク電流をすみやかに検知し、記録ヘッドへの電力供給を停止することが可能である。
そして、充電完了後に、低い電流値を供給した状態で電圧の降下があった場合、電力供給ラインに供給する電流値を上昇させる。これにより、瞬断が発生した場合であっても、電力供給回路や電力負荷を備えるデバイスに異常が発生したと判定するまでの時間を短くすることができる。
以上より、本実施形態によれば、プリンタの性能を損なわず、ヘッドのリーク電流を適切に検出することができる。
なお、突入電流を抑制するために、AC/DCコンバータにソフトスタートの回路を追加したり、突入電流にも耐えうるスイッチを用意したりすると、コストが増大する可能性が高い。これに対し、本実施形態では、充電回路106により電力供給回路に供給する電流値を制限するため、FET103への突入電流を防ぐことができる。
上述した通り、電解コンデンサへの充電時間を短くしつつ、電力供給回路や負荷に異常が発生した際に異常をより精度よく特定することができる。
(実施形態2)
実施形態1では、電解コンデンサ電圧(C1電圧)のみを監視し、電解コンデンサ105の充電が完了した後の保持状態にもかかわらず、急激な電源低下が発生したことをCPUが判定して、充電電流を切り替えるものとした。これに対し、本実施形態では、電源回路101の電圧(VM電圧)と電解コンデンサ電圧(C1電圧)の電圧差に基づいて充電電流の切り替えを実行する。なお、実施形態1と重複する説明は省略する。また、実施形態1と同一のものには同一の符号を付す。
図9及び図10を用いて、本実施形態について説明する。
図9に示すように、C1電圧がVth3以上となり、電解コンデンサへの充電が完了したとCPUが判定した場合、CPU131は、充電回路106が供給する電流をIkeepに設定する。その後、瞬断が発生した場合、電源回路101から出力する電圧(VM電圧)はすぐに元の電圧に復帰するが、電解コンデンサ電圧(C1電圧)は、充電電流がIkeepに制限されているため元の電圧に戻るまで時間がかかってしまう。ここで、充電用スイッチであるFET103には熱的制限があり、ソース・ドレイン間の電位差と、流れる電流の積で計算される熱が、充電回路106のFETの許容損失を満足するように設定する。例えば、電位差がVM−Vc、電流がIonの時、発生熱量は(VM−Vc)×Ionと表わされる。瞬断後すぐに印刷開始命令がCPU131に与えられた場合、VM電圧は元の電圧になっているが、電解コンデンサ電圧は下がったまま、すなわち、VMとの電位差が大きいまま、印刷時の大きな電流Ionが流れてしまう。このとき、FETの許容損失を上回ってしまい、FETが破壊されてしまう可能性がある。したがって、VMとの電位差が大きいまま、大きい電流が流れてしまうような、熱的制限を超えて使用する期間は、短いほどよい。
そこで、本実施形態では、VM電圧とVc電圧との2つの電圧の差が大きいとCPUが判断した場合に、充電電流をIkeepよりも大きいIchgに変更する。本実施形態では、図1に示す電圧検出回路134が、抵抗113、114によって分圧された電圧を電圧検出回路134の入力ポートPI2を用いてVM電圧を読み取る。また、電圧検出回路134が、抵抗111、112によって分圧された電圧を電圧検出回路134の入力ポートPI1を用いてC1電圧を読み取る。そして、読み取ったVM電圧とC1電圧との差が、予め決めた電流切り替え閾値以上となった場合、充電電流値をIkeepからIchgに切り替える。
電流切り替え閾値は、FETの許容損失によって求める計算式に基づいて定めればよく、例えば、Vdsモニタの電圧よりも小さい値とする。
これにより、図10に示すように、電解コンデンサ電圧(C1電圧)の復帰を早くすることでFETの熱的制限を超えて使用する期間を短くする。
なお、電圧監視は、実施形態1と同様に、充電完了以降で放電を開始する前、言い換えれば、図11の充電3ステート及び保持ステートにおいて行う。
ここで、本実施形態では、電解コンデンサ105の充電完了後は、記録ヘッドの動作を開始前や停止期間に瞬断等による電源電圧低下による誤動作を防止するため、電解コンデンサの電圧を監視する。より具体的には、電圧検出回路134がモニタしているヘッド電源電圧が低下して所定値以下になると、ヘッド電源制御シーケンサ122は、電流値を上げるように制御する。この処理を実行するプログラムは、S202を開始し、所定時間待機した後、S219の放電処理を開始するまで、CPU131に内蔵されるタイマによって、一定周期毎、例えば、10ms毎に起動される。C1電圧の監視を開始した際の制御フローについて図11を用いて説明する。図11に示すフローチャートは、例えば、CPU131がROM132に格納されたプログラムをRAM133に読み出して実行することにより実現される。
充電回路106により電解コンデンサ105の充電を開始し(S202)、所定の待機時間を経過すると、電圧監視を開始する(S1001)。ここで、待機時間は、充電回路106の充電が完了するまでの時間であり、充電回路106の充電能力と、電解コンデンサ105の容量に応じて予め決定した時間とする。待機時間経過後、CPU131は無効期間タイマを初期値(Toff)にセットする(S1002)。本実施形態では、初期値として、例えば、2秒を設定する。
図1に示す電圧検出回路134が、抵抗113、114によって分圧された電圧を電圧検出回路134の入力ポートPI2を用いてVM電圧を読み取る。また、電圧検出回路134が、抵抗111、112によって分圧された電圧を電圧検出回路134の入力ポートPI1を用いてC1電圧を読み取る。そして、CPU131読み取ったVM電圧とC1電圧との差が、所定の閾値以上か判定する(S1003)。所定の閾値は、電力供給回路及びヘッドの異常を特定するためのしきい値である。VM電圧とC1電圧との差が、所定の閾値以上であり且つ所定の時間を経過した場合は、電力供給回路及びヘッドのうち少なくともいずれかに異常があったと特定される。
VM電圧とC1電圧との差が、所定の閾値以上であれば(S1003でYes)、瞬断等が発生した可能性があるため、CPU131は無効期間タイマのカウントダウンを開始する(S1004)。VM電圧とC1電圧との差が、所定の閾値以上か判定する(S1005)。
VM電圧とC1電圧との差が、所定の閾値以上であると判定した場合(S1005でYes)、CPU131は無効期間タイマのカウント値がゼロであるか判定する(S1006)。無効期間タイマのカウント値が0であると判定した場合(S1006でYes)、エラー処理をする。
無効期間タイマのカウント値がゼロではないと判定した場合(S1006でNo)、ヘッド電源制御シーケンサ122は、充電回路106の充電電流値としてIchg3を選択するように、出力端子PO2から信号を出力する(S1007)。すなわち、充電回路106の充電電流値は、IkeepからIchg3に切り替えられる。そして、S1005に戻る。
VM電圧とC1電圧との差が、所定の閾値以上であると判定した場合(S1005でNo)、ヘッド電圧がVth3以上か判定する(S1008)。ヘッド電圧がVth3以上であると判定した場合(S1008でNo)、ヘッド電源制御シーケンサ122は、充電回路106の充電電流値としてIkeepを選択するように、出力端子PO2から信号を出力し(S1009)、処理を終了する(S1010)。
なお、VM電圧とC1電圧との差が、所定の閾値以上ではない場合(S1003でNo)、監視処理を終了する。
以上の動作を一定周期毎に繰り返すことにより、コンデンサ電圧の監視を行う。本実施形態では、瞬断等が発生してヘッド電源電圧が低下したときは、無効期間タイマの初期値(Toff)で設定された時間(例えば、2秒)の間は、エラーと判定しない。
本実施形態では、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、電力供給装置は、電力負荷としてヘッドを備えるものとしたが、これに限定されず、電力負荷を備えないものであってもよい。すなわち、電力負荷に接続可能であり、電力負荷対して電力を供給できるものであってもよい。
また、上述した実施形態では、電解コンデンサ105を充電する際に、充電回路106が供給する電流値を切り替えるものとしたが、これに限定されず、充電回路106が供給する電流値は、一定の電流値としてもよい。

Claims (12)

  1. 電力負荷に電力供給ラインを介して電力を供給する電源部と、
    前記電源部と前記電力負荷とを接続する前記電力供給ラインに接続されたコンデンサと、
    前記電源部から供給される電力の電流値を制限して前記コンデンサを充電する充電回路と、
    前記コンデンサの電圧値を検出する検出手段と、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記充電回路の電流値を前記コンデンサの充電が完了する前の電流値よりも小さな第1電流値に切り替える制御手段と、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記検出手段により検出された電圧値が所定の閾値以下か判定する判定手段と、
    前記判定手段による判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定する決定手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記コンデンサの充電の完了後に前記判定手段により所定の閾値以下と判定された場合、前記充電回路が供給する電流値を前記第1電流値よりも高い電流値に切り替えるように制御し、
    前記決定手段は、前記判定手段により所定の閾値以下と判定されてから所定時間が経過したときの前記判定手段の判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定することを特徴とする電力供給装置。
  2. 前記判定手段は、前記コンデンサの充電が完了した後に前記検出手段により検出された電圧値が第1閾値以下か判定し、前記第1閾値以下と判定された場合、前記第1閾値よりも低い第2閾値以下か判定し、
    前記制御手段は、前記コンデンサの充電の完了後に前記判定手段により前記第2閾値以下と判定された場合、前記充電回路が供給する電流値を前記第1電流値よりも高い電流値に切り替えるように制御し、
    前記判定手段は、当該判定手段により前記第1の閾値以下と判定されてから所定時間が経過したときに、前記検出手段により検出された電圧値が前記第1の閾値以下か判定することを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
  3. 電力負荷に電力供給ラインを介して電力を供給する電源部と、
    前記電源部と前記電力負荷とを接続する前記電力供給ラインに接続されたコンデンサと、
    前記電源部から供給される電力の電流値を制限して前記コンデンサを充電する充電回路と、
    前記コンデンサの電圧値を検出する第1検出手段と、
    前記電源部の電圧値を検出する第2検出手段と、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記充電回路の電流値を前記コンデンサの充電が完了する前の電流値よりも小さな第1電流値に切り替える制御手段と、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記第1検出手段により検出された電圧値と前記第2検出手段により検出された電圧値との差が所定の閾値以上か判定する判定手段と、
    前記判定手段による判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定する決定手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記コンデンサの充電の完了後に前記判定手段により所定の閾値以上と判定された場合、前記充電回路が供給する電流値を前記第1電流値よりも高い電流値に切り替えるように制御し、
    前記決定手段は、前記判定手段により所定の閾値以上と判定されてから所定時間が経過したときの前記判定手段の判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定することを特徴とする電力供給装置。
  4. 前記エラー処理は、前記電力供給ラインを介した前記電力負荷への電力供給を終了させる処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力供給装置。
  5. 前記決定手段が前記エラー処理を実行すると決定した場合、前記電源部の電源をオフすることを特徴とする請求項4に記載の電力供給装置。
  6. 前記電力負荷は、プリントヘッドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力供給装置。
  7. 前記電力負荷を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力供給装置。
  8. プリントヘッドに電力供給ラインを介して電力を供給する電源部と、
    前記電源部と前記プリントヘッドとを接続する前記電力供給ラインに接続されたコンデンサと、
    前記電源部から供給される電力の電流値を制限して前記コンデンサを充電する充電回路と、
    前記コンデンサの電圧値を検出する検出手段と、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記充電回路の電流値を前記コンデンサの充電が完了する前の電流値よりも小さな第1電流値に切り替える制御手段と、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記検出手段により検出された電圧値が所定の閾値以下か判定する判定手段と、
    前記判定手段による判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定する決定手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記コンデンサの充電の完了後に前記判定手段により所定の閾値以下と判定された場合、前記充電回路が供給する電流値を前記第1電流値よりも高い電流値に切り替えるように制御し、
    前記決定手段は、前記判定手段により所定の閾値以下と判定されてから所定時間が経過したときの前記判定手段の判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定することを特徴とするプリンタ。
  9. プリントヘッドに電力供給ラインを介して電力を供給する電源部と、
    前記電源部と前記プリントヘッドとを接続する前記電力供給ラインに接続されたコンデンサと、
    前記電源部から供給される電力の電流値を制限して前記コンデンサを充電する充電回路と、
    前記コンデンサの電圧値を検出する第1検出手段と、
    前記電源部の電圧値を検出する第2検出手段と、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記充電回路の電流値を前記コンデンサの充電が完了する前の電流値よりも小さな第1電流値に切り替える制御手段と、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記第1検出手段により検出された電圧値と前記第2検出手段により検出された電圧値との差が所定の閾値以上か判定する判定手段と、
    前記判定手段による判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定する決定手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記コンデンサの充電の完了後に前記判定手段により所定の閾値以上と判定された場合、前記充電回路が供給する電流値を前記第1電流値よりも高い電流値に切り替えるように制御し、
    前記決定手段は、前記判定手段により所定の閾値以上と判定されてから所定時間が経過したときの前記判定手段の判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定することを特徴とするプリンタ。
  10. 電力負荷に電力供給ラインを介して電力を供給する電源部と、
    前記電源部と前記電力負荷とを接続する前記電力供給ラインに接続されたコンデンサと、
    前記電源部から供給される電力の電流値を制限して前記コンデンサを充電する充電回路と、
    を有する電力供給装置の制御方法であって、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記充電回路の電流値を前記コンデンサの充電が完了する前の電流値よりも小さな第1電流値に切り替え、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記コンデンサの電圧値が所定の閾値以下か判定し、
    前記コンデンサの充電の完了後に前記コンデンサの電圧値が所定の閾値以下と判定された場合、前記充電回路が供給する電流値を前記第1電流値よりも高い電流値に切り替え、
    所定の閾値以下と判定されてから所定時間が経過したときの前記コンデンサの電圧値が所定の閾値以下かの判定結果に基づいて、エラー処理を実行するか決定することを特徴とする制御方法。
  11. 前記第1電流値よりも高い電流値への切り替えは、前記コンデンサの充電の完了後に前記コンデンサの電圧値が第1閾値以下と判定され且つ前記第1閾値よりも低い第2閾値以下であると判定された場合に行うことを特徴とする請求項10に記載の制御方法。
  12. 電力負荷に電力供給ラインを介して電力を供給する電源部と、
    前記電源部と前記電力負荷とを接続する前記電力供給ラインに接続されたコンデンサと、
    前記電源部から供給される電力の電流値を制限して前記コンデンサを充電する充電回路と、
    を有する電力供給装置の制御方法であって、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記充電回路の電流値を前記コンデンサの充電が完了する前の電流値よりも小さな第1電流値に切り替え、
    前記コンデンサの充電が完了した後に前記コンデンサの電圧値及び前記電源部の電圧値を検出し、
    前記コンデンサの充電が完了した後に検出された前記コンデンサの電圧値と前記電源部の電圧値との差が所定の閾値以上か判定し、
    前記所定の閾値以上と判定された場合、前記充電回路が供給する電流値を前記第1電流値よりも高い電流値に切り替え、
    前記所定の閾値以上と判定されてから所定時間が経過したときの前記コンデンサの電圧値及び前記電源部の電圧値が前記所定の閾値以上かの判定結果に基づいてエラー処理を実行するか決定することを特徴とする制御方法。
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