JP6451312B2 - 燃料タンク装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料タンク装置に関する。
エンジンを駆動源とする車両には、燃料を収容する燃料タンクが搭載されており、燃料タンクに収容された燃料は、燃料フィルタを介してサプライポンプあるいは燃料ポンプ(フィードポンプ)によってエンジンに移送される。
ところで、寒冷時においては、燃料、特に軽油では、その粘度が高くなり、場合によってはパラフィンが析出するなどして燃料フィルタが目詰まりして燃料ポンプによる燃料の移送が困難となる。
そこで、特許文献1には加温装置によって燃料タンクの壁部を介して燃料を加温する技術が提案され、特許文献2にはエンジンによって加温された余剰燃料を燃料タンク内のリザーバカップ内の燃料に供給することで燃料を加温する技術が提案されている。
実用新案登録第3141469号 特開2013−163992号公報
ところで、燃料タンク装置として、第1の燃料収容部と第2の燃料収容部とがそれらの下部が仕切られて並べられた燃料タンク、いわゆる鞍型の燃料タンクを備え、第1の燃料収容部の燃料をエンジンに供給するものがある。この場合、第1の燃料収容部の燃料が減少すると、第2の燃料収容部に収容された燃料を移送配管を介して第1の燃料収容部に移送する。
このような燃料タンク装置において、寒冷時に燃料タンクの燃料にパラフィンが析出すると、燃料が移送配管に設けられたサクションフィルタに目詰りして第2の燃料収容部に収容された燃料を第1の燃料収容部に円滑に移送することができなくなるおそれがある。
この場合、特許文献1のように燃料タンクの壁部を温める加温手段を設けると、極めて低温の環境に対応するためには加温手段が大掛かりなものとなり、コストが嵩む不利がある。
また、特許文献2のように余剰燃料を用いて燃料タンク内の燃料を加温すると、余剰燃料の温度や流量が限られているため、燃料を効果的に加温する上で不利がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、寒冷時において燃料収容部間における燃料の移送を円滑に行なう上で有利な燃料タンク装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、第1の燃料収容部と第2の燃料収容部とを有する燃料タンクと、吸い込み口が前記第2の燃料収容部に配置され排出口が前記第1の燃料収容部に配置された第1の移送配管とを備える燃料タンク装置であって、吸い込み口が前記第1の燃料収容部に配置され排出口が前記第2の燃料収容部に配置された第2の移送配管と、前記第1の燃料収容部に配置され、前記第1の移送配管を介して前記第2の燃料収容部から前記第1の燃料収容部に燃料を移送すると共に、前記第2の移送配管を介して前記第1の燃料収容部から前記第2の燃料収容部に燃料を移送する燃料移送部と、前記第2の移送配管を流れる燃料を昇温させる昇温部とが設けられたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記第2の燃料収容部に、前記第2の燃料収容部よりも容積が小さい第2のリザーバカップが設けられ、前記第1の移送配管の吸い込み口と前記第2の移送配管の排出口とは、前記第2のリザーバカップの内部に位置していることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記第1の移送配管および前記第2の移送配管は、それらの一部が互いに密着あるいは近接して配置され、前記第1の移送配管を流れる燃料と前記第2の移送配管を流れる燃料との間で熱交換可能に構成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記燃料移送部を収納する筐体に前記昇温部が設けられていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記第2の燃料収容部に、燃料の液位を検出するレベルゲージが設けられ、前記レベルゲージを収納する筐体に前記昇温部が設けられていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、さらに、前記第1の燃料収容部に収容された燃料が供給されるエンジンを備え、前記昇温部は、前記エンジンの冷却水と前記第2の移送配管を通る燃料との間で熱交換を行なう熱交換器で構成されていることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記燃料移送部は、前記第1の燃料収容部内に配置されて燃料が収容される容器部と、前記容器部内に配置された電動燃料ポンプと、前記電動燃料ポンプから供給される燃料により動作するジェットポンプ部とを備え、前記ジェットポンプ部は、前記第1の燃料収容部に収容された燃料を吸引して前記容器部内に供給する第1の吸引部と、前記第1の移送配管の排出口に接続され燃料を吸引して前記容器部内に供給する第2の吸引部と、前記第2の移送配管の吸い込み口に燃料を供給する排出部とを備え、前記第1の吸引部を流れる燃料の流量を第1の流量F1とし、前記第2の吸引部を流れる燃料の流量を第2の流量F2とし、前記排出部を流れる燃料の流量を第3の流量F3としたとき、F3<F2なる関係式が成立するように前記第1の流量F1、前記第2の流量F3、前記第3の流量F3が設定されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、前記第2の燃料収容部に収容されている燃料の温度に基づいて前記燃料移送部を制御することで前記第1、第2の移送配管を流れる燃料の流量を制御する制御部が設けられていることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、第1の燃料収容部と第2の燃料収容部との間で燃料が循環しながら、第2の移送配管を流れる燃料が昇温部で昇温されるので、寒冷時において第2の燃料収容部の燃料の粘度が高くなったり、あるいは、燃料にパラフィンが析出することが抑制される。
そのため、寒冷時において、燃料を移送配管を介して第2の燃料収容部から第1の燃料収容部へ円滑に移送する上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、第2のリザーバカップ内の限られた量の燃料が循環配管によって循環されるため、昇温部による燃料の昇温効率の向上を図る上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、燃料の昇温効率を高める上で有利となる。
請求項4、5記載の発明によれば、昇温部を設けるに際して専用の取り付け部材を設ける必要がなく、燃料タンク装置の簡素化、小型化を図る上で有利となる。
請求項6記載の発明によれば、エンジンの熱を利用して燃料を昇温するため、昇温部のコストダウンを図る上で有利となる。
請求項7記載の発明によれば、第1の燃料収容部と第2の燃料収容部とに適切な量の燃料を移送する上で有利となる。
請求項8記載の発明によれば、第2の燃料収容部に収容されている燃料の温度を適切に維持することができ、燃料が過剰に昇温されることを抑制する上で有利となる。
第1の実施の形態における燃料タンク装置の構成を示す断面図である。 第2の実施の形態における燃料タンク装置の流量制御を行なう構成を示すブロック図である。 第3の実施の形態における燃料タンク装置の流量制御を行なう構成を示すブロック図である。 第4の実施の形態における燃料タンク装置の構成の一部を示す断面図である。 第5の実施の形態における燃料タンク装置の構成を示す断面図である。 第6の実施の形態における燃料タンク装置の構成を示す断面図である。
(第1の実施の形態)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施の形態では、燃料タンク装置から供給される燃料を燃焼させて動力を出力するエンジンがディーゼルエンジンである場合について説明するが、本発明は、エンジンがガソリンエンジンであっても無論適用可能である。
図1に示すように、燃料タンク装置10は、燃料タンク12と、燃料移送部14と、第1の移送配管16と、第2の移送配管18と、昇温部20と、レベルゲージ22と、温度センサ24と、ECU26とを含んで構成されている。
燃料タンク12は、燃料(軽油)を貯えるものであり第1の燃料収容部12Aと第2の燃料収容部12Bとを有し、それらの下部が仕切られて並べられている。
すなわち、燃料タンク12は、車幅方向に延在する細長形状の底壁1202と、底壁1202の周囲から起立する周壁1204と、周壁1204の上部を接続する上壁1206とを備えている。
底壁1202の延在方向の中間部に、ドライブシャフトやマフラーなどの車両構成部材を配置するためのスペースを確保するため、上方に突出した突出部1208が形成され、底壁1202のうち突出部1208を除く部分が平坦な壁部となっている。
したがって、第1の燃料収容部12Aと第2の燃料収容部12Bは、突出部1208により下部が仕切られている。
第1の燃料収容部12Aの上壁1206の箇所には不図示の燃料供給口が設けられている。
燃料供給口から燃料が供給されると、第1の燃料収容部12Aが燃料で満たされ、次いで、突出部1208の高さを上回った燃料が第1の燃料収容部12Aから第2の燃料収容部12Bに流れ第2の燃料収容部12Bに燃料が収容される。
燃料移送部14は、第1の燃料収容部12Aに配置され、第1の移送配管16を介して第2の燃料収容部12Bから第1の燃料収容部12Aに燃料を移送すると共に、第2の移送配管18を介して第1の燃料収容部12Aから第2の燃料収容部12Bに燃料を移送するものである。
燃料移送部14は、筐体28に収納され、電動燃料ポンプ30と、ジェットポンプ部32とを備えている。
筐体28は、容器部34と、取り付け板部36とを備えている。
容器部34は、第1の燃料収容部12A内に配置されて燃料が収容されるものであり、第1の燃料収容部12Aよりも容積が小さい。
容器部34は、底板部3402と、底板部3402の周囲から起立する側板部3404と、側板部3404の上部を接続する上板部3406とを備えている。
取り付け板部36は、平板状を呈し、上板部3406の上部に複数の柱部3408を介して連結されている。取り付け板部36が第1の燃料収容部12Aの上壁1206の外部に露出した状態で上壁1206に取着されることにより容器部34が第1の燃料収容部12Aの内部に配置され、この状態で容器部34の底板部3402と第1の燃料収容部12Aの底壁1202とは離間している。
容器部34の内部とエンジン2とは燃料をエンジン2に供給する送出配管38で接続されている。
送出配管38の吸い込み口3802は容器部34の内部に配置され、送出配管38の排出口3804は不図示のサプライポンプに接続されている。
送出配管38の吸い込み口3802には異物除去用のサクションフィルタ40が設けられ、送出配管38の長手方向の中間部分には異物除去用の燃料フィルタ42が設けられている。
したがって、サプライポンプが動作することにより容器部34の燃料がサクションフィルタ40および燃料フィルタ42を介してエンジン2に供給される。
また、容器部34の内部とエンジン2とは燃料回収管44で接続されている。
燃料回収管44の排出口4402は容器部34内に位置しており、排出口4402に異物除去用のサクションフィルタ46が設けられている。
したがって、エンジン2で加熱された余剰燃料は燃料回収管44を介して容器部34に供給される。
電動燃料ポンプ30は、容器部34内に配置され、容器部34内の燃料をジェットポンプ部32に供給するものであり、電動燃料ポンプ30の動作は、ECU26によって制御される。
電動燃料ポンプ30の吸い込み口には異物除去用のサクションフィルタ48が設けられている。
ジェットポンプ部32は、圧力調整部50と、第1のジェットポンプ部52と、第2のジェットポンプ部54と、排出部56とを備えている。
圧力調整部50は、電動燃料ポンプ30から燃料が圧力調整部50に供給されることで、供給された燃料の圧力を一定の値に調整し、圧力が調整された燃料を、第1、第2のジェットポンプ部52、54、排出部56にそれぞれ供給する。
第1のジェットポンプ部52は、電動燃料ポンプ30から供給された燃料が流れる第1のオリフィス5202と、第1のオリフィス5202で発生する負圧により容器部34の底板部3402の孔を介して第1の燃料収容部12Aの燃料を吸引する第1の吸引部5204とを備えている。
第1の吸引部5204に吸引された燃料は、第1のオリフィス5202を流れる燃料と共に第1のジェットポンプ部52から容器部34内に供給される。
第2のジェットポンプ部54は、電動燃料ポンプ30から供給された燃料が流れる第2のオリフィス5402と、第2のオリフィス5402で発生する負圧により第1の移送配管16の排出口1604から第2の燃料収容部12Bの燃料を吸引する第2の吸引部5404とを備えている。
第2の吸引部5404に吸引された燃料は、第2のオリフィス5402を流れる燃料と共に第2のジェットポンプ部54から容器部34内に供給される。
排出部56は、電動燃料ポンプ30から圧力調整部50に供給される燃料のうち第1、第2のオリフィス5202、5402に流れる燃料を除く残りの燃料を、第3のオリフィス5602を介して第2の移送配管18の吸い込み口1802に供給するものである。
ここで、第1の吸引部5204を流れる燃料の流量を第1の流量F1とし、第2の吸引部5404を流れる燃料の流量を第2の流量F2とし、排出部56を流れる燃料の流量を第3の流量F3とする。
燃料移送部14は、F3<F2なる関係式が成立するように、第1の流量F1、第2の流量F3、第3の流量F3が設定されている。
なお、流量F1、F2、F3は、第1のオリフィス5202、第2のオリフィス5402、第3のオリフィス5602の直径を調整することで設定される。
上記関係式が成立するように燃料移送部14が構成されることによって、第1の燃料収容部12Aと第2の燃料収容部12Bとに適切な量の燃料を移送する上で有利となる。
第2の燃料収容部12Bには、第2の燃料収容部12Bよりも容積が小さいリザーバカップ58が設けられている。
リザーバカップ58は、底板部5802と、底板部5802の周囲から起立する側板部5804とを有し、上方が開口され、底板部5802あるいは側板部5804に形成された不図示の開口を介して第2の燃料収容部12Bの燃料がリザーバカップ58内に流入可能に構成されている。
第1の移送配管16は、第2の燃料収容部12Bに収容された燃料を第1の燃料収容部12Aに移送するものであり、第1の移送配管16は、吸い込み口1602が第2の燃料収容部12Bに、すなわちリザーバカップ58の内部に配置され、排出口1604が第2の吸引部5404に接続されている。吸い込み口1602には異物除去用のサクションフィルタ60が設けられている。
第1の移送配管16は、第1の燃料収容部12Aと第2の燃料収容部12Bとにわたって配設されており、第1の移送配管16を燃料タンク12の内部に配置することで、移送される燃料の保温が図られている。
第2の移送配管18は、第1の燃料収容部12Aに収容された燃料を第2の燃料収容部12Bに移送するものであり、第2の移送配管18は、吸い込み口1802が第1の燃料収容部12Aに、すなわち、排出部56に接続され、排出口1804が第2の燃料収容部12Bに、すなわちリザーバカップ58の内部に配置されている。
第2の移送配管18は、第1の燃料収容部12Aと第2の燃料収容部12Bとにわたって配設されており、第2の移送配管18は、長手方向の両端を除く部分が上壁1206の上方に配置されている。
昇温部20は、第2の移送配管18を流れる燃料を昇温させるものである。
本実施の形態では、上壁1206の外方に露出する取り付け板部36の上部に第2の移送配管18の長手方向の中間部分が配置され、この長手方向の中間部分は、取り付け板部36の上部に設けられた昇温部20により昇温される。
また、昇温部20は電力によって動作するPTCヒータによって構成されている。なお、昇温部20として、PTCヒータ以外の電熱ヒータ、あるいは、熱交換器を用いるなど任意である。
レベルゲージ22は、第2の燃料収容部12Bに設けられ、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の液位を検出するものである。
レベルゲージ22は、ゲージ本体2202と、フロート2204と、ゲージ本体2202に揺動可能に支持され先端にフロート2204が連結されたアーム2206とを備えている。
ゲージ本体2202は、燃料の液位に応じて昇降するフロート2204によって揺動するアーム2206の揺動角度に基づいて液位を検出する。
ゲージ本体2202は筐体2208に収納され、筐体2208の上部が上壁1206に組付けられており、筐体2208の上部は上壁1206の外方に露出している。
なお、レベルゲージ22は、燃料の液位を検出できるものであればよく、従来公知の様々なレベルゲージ22が採用可能である。
温度センサ24は、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度を検出するものである。
本実施の形態では、温度センサ24はリザーバカップ58の内部に位置すると共に、温度センサ24は第2の移送配管18の排出口1804の近傍に位置しており、第2の移送配管18を流れる燃料の温度の検出を正確に行えるように図られている。
ECU26は、CPU、制御プログラム等を格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
ECU26は、前記制御プログラムを実行することにより、レベルゲージ22で検出される第2の燃料収容部12Bの燃料の液位Pと、温度センサ24で検出される第2の燃料収容部12Bの燃料の温度Tとを考慮した判定条件に従って電動燃料ポンプ30および昇温部20の動作を制御する。
また、ECU26は、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度Tに基づいて電動燃料ポンプ30の流量を制御する。すなわち、ECU26は、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度に基づいて燃料移送部14を制御することで第1、第2の移送配管16、18を流れる燃料の流量を制御する制御部を構成している。
次に作用効果について説明する。
予め、第1、第2の燃料収容部12A、12Bに燃料が満たされた状態で車両が走行しているものとする。
この際、サプライポンプが動作することで第1の燃料移送部14(容器部34)の燃料が送出配管38を介してエンジン2に供給される。
ここで、ECU26が前記判定条件に基づいて電動燃料ポンプ30の動作をオンすると共に昇温部20をオンしたものとする。
電動燃料ポンプ30が動作することにより、燃料移送部14の第1の吸引部5204によって第1の燃料収容部12Aの燃料が容器部34内に供給される。
また、燃料移送部14の第2の吸引部5404により第1の移送配管16を介して第2の燃料収容部12Bから第1の燃料収容部12Aに燃料が移送されると共に、燃料移送部14の排出部56により第2の移送配管18を介して第1の燃料収容部12Aから第2の燃料収容部12Bに燃料が移送される。
これにより、第1の燃料収容部12Aと第2の燃料収容部12Bとの間で燃料が循環しながら、第2の移送配管18を流れる燃料が昇温部20で昇温される。
したがって、寒冷時において第2の燃料収容部12Bの燃料の粘度が高くなったり、あるいは、燃料にパラフィンが析出することが抑制される。
そのため、寒冷時において、燃料が第1の移送配管16のサクションフィルタ60に目詰りするといったことがなく、燃料移送部14により燃料を第1の移送配管16を介して第2の燃料収容部12Bから第1の燃料収容部12Aへ円滑に移送する上で有利となる。
なお、第1の燃料収容部12Aの燃料はエンジン2で昇温された余剰燃料が導入されるため、燃料の粘度が高くなったり、あるいは、燃料にパラフィンが析出することが抑制される。そのため、燃料を送出配管38を介して第1の燃料収容部12Aからエンジン2に円滑に移送することができる。
また、ECU26は、電動燃料ポンプ30および昇温部20の動作中、温度センサ24により検出された第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度Tが予め定められた上限温度TH以上となった場合に、電動燃料ポンプ30の流量を制御することで、第2の燃料収容部12Bの燃料の温度Tが必要以上昇温しないように図られている。
本実施の形態では、ECU26は、燃料の温度Tが予め定められた上限温度TH以上となった場合に電動燃料ポンプ30を停止させる。
上限温度THは、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料にパラフィンが析出する温度よりも充分に高い温度である。
また、本実施の形態では、第2の燃料収容部12Bに、第2の燃料収容部12Bよりも容積が小さいリザーバカップ58が設けられ、第2の移送配管18の吸い込み口1802および排出口1804がリザーバカップ58の内部に位置しているが、リザーバカップ58を省略してもよい。
しかしながら、本実施の形態のようにすると、リザーバカップ58内の限られた量の燃料が第1、第2の移送配管18、16を介して循環されるため、昇温部20による燃料の昇温効率の向上を図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、燃料移送部14の筐体28に昇温部20が設けられている。
したがって、昇温部20を設けるに際して専用の取り付け部材を設ける必要がなく、燃料タンク装置10の簡素化、小型化を図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、ECU26(制御部)により第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度Tに基づいて燃料移送部14を制御することで第1、第2の移送配管16、18を流れる燃料の流量を制御するようにした。
したがって、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度Tを適切に維持することができ、燃料が過剰に昇温されることを抑制する上で有利となる。
また、本実施の形態では、第1、第2の移送配管16、18を流れる燃料の流量の制御を電動燃料ポンプ30の流量を制御することで行なうので、電動燃料ポンプ30を必要最低限動作させればよく、電動燃料ポンプ30の省電力化を図る上で有利となる。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
図2は、第2の実施の形態における燃料タンク装置の流量制御を行なう構成を示すブロック図である。
なお、以下の実施の形態において、第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
図2に示すように、第2の実施の形態では、電動燃料ポンプ30に所定の駆動電流Iを供給する電源62と、電動燃料ポンプ30との間に電流制御部64が設けられている。
電流制御部64は、電源62と電動燃料ポンプ30の入力端子との間に直列接続された第1、第2のリレー6402、6404と、第2のリレー6404に並列接続された所定値の抵抗器6406とで構成されている。
第1、第2のリレー6402、6404のオン、オフはECU26により制御される。
抵抗器6406の抵抗値は、電動燃料ポンプ30に実際に供給される実駆動電流Ipを例えば所定の駆動電流Iの1/N(ただしN>1)に、すなわちIp=I/Nに低減するものである。
したがって、ECU26により、以下のように第1、第2のリレー6402、6404のオン、オフが3通りに制御されることにより、駆動電流Ipが段階的に制御される。
1)第1、第2のリレー6402、6404が共にオフの場合、実駆動電流Ipは、ゼロとなる。
2)第1のリレー6402がオン、第2のリレー6404がオフの場合、駆動電流Iは抵抗器6406を経由して電動燃料ポンプ30に供給されるため、実駆動電流IpはI/Nとなる。
3)第1、第2のリレー6402、6404が共にオンの場合、実駆動電流IpはIとなる。
ECU26は、温度センサ24で検出される燃料の温度Tに基づいて電動燃料ポンプ30の流量を3段階に制御する。
すなわち、第1のしきい値温度T1と第2のしきい値温度T2(T1<T2)とを定める。
そして、ECU26は、T≦T1ならば駆動電流Ip=Iとなるように、T1<T<T2ならば駆動電流Ip=I/Nとなるように、T≧T2ならば駆動電流Ip=0となるように、電流制御部64を制御する。
本実施の形態では、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度Tに基づいて燃料移送部14を制御することで第1、第2の移送配管16、18を流れる燃料の流量を制御する制御部がECU26および電流制御部64で構成されている。
したがって、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、ECU26(制御部)によって、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度Tに基づいて電動燃料ポンプ30の流量を3段階に制御するようにした。
したがって、電動燃料ポンプ30の流量を段階的に調整することができ、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度Tをきめ細かく制御する上でより有利となる。そのため、燃料が過剰に昇温されることを抑制すると共に、電動燃料ポンプ30の省電力化を図る上でより有利となる。
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
図3は、第3の実施の形態における燃料タンク装置の流量制御を行なう構成を示すブロック図である。
第3の実施の形態では、第2の移送配管18を流れる燃料の温度Tを検出してオン、オフするバイメタルスイッチ66を用いて電源62から電動燃料ポンプ30に供給される駆動電流の制御を行なうようにしたものである。
すなわち、バイメタルスイッチ66は、第2の移送配管18を通る燃料の温度Tを検出可能な箇所に設けられ、バイメタルスイッチ66は、電源62と電動燃料ポンプ30の入力端子との間に直列接続されている。
バイメタルスイッチ66は、第2の移送配管18を流れる燃料の温度Tが上限温度TH未満ではオンし、上限温度TH以上になるとオフする。
したがって、第2の移送配管18を流れる燃料の温度Tが上限温度TH未満では、電動燃料ポンプ30による燃料の循環がなされ、第2の移送配管18を流れる燃料の温度Tが上限温度TH以上では、電動燃料ポンプ30による燃料の循環が停止される。
本実施の形態では、第2の燃料収容部12Bに収容されている燃料の温度Tに基づいて電動燃料ポンプ30の流量を制御する制御部がバイメタルスイッチ66で構成されている。
したがって、第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、制御部をバイメタルスイッチ66で構成したので、コストダウンを図る上で有利となる。
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。
図4は第4の実施の形態における燃料タンク装置の構成の一部を示す断面図である。
第4の実施の形態では、第2の燃料収容部12Bの上壁1206の外方に露出するレベルゲージ22の筐体2208の上部に、循環配管18の長手方向の中間部分が配置され、この長手方向の中間部分は、筐体2208の上部に設けられた昇温部20により昇温される。
したがって、第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、レベルゲージ22の筐体2208に昇温部20が設けられているので、昇温部20を設けるに際して専用の取り付け部材を設ける必要がなく、燃料タンク装置10の簡素化、小型化を図る上で有利となる。
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について説明する。
図5は第5の実施の形態における燃料タンク12の構成を示す断面図である。
第5の実施の形態では、第1の移送配管16および第2の移送配管18は、それらの長手方向の中間部分が燃料タンク12の内部において互いに密着あるいは近接して配置され、第1の移送配管16を流れる燃料と第2の移送配管18を流れる燃料との間で熱交換可能に構成されている。
したがって、第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、第2の移送配管18を流れる燃料の熱が第1の移送配管16を流れる燃料に伝導されることで、第1の移送配管16を流れる燃料が昇温される。あるいは、第1の移送配管16を流れる燃料の熱が第2の移送配管18を流れる燃料に伝導されることで、第2の移送配管18を流れる燃料が昇温される。そのため、燃料の昇温効率を高める上で有利となる。
(第6の実施の形態)
次に第6の実施の形態について説明する。
図6は第6の実施の形態における燃料タンク装置の構成を示す断面図である。
エンジン2には、エンジン2を冷却する冷却水がウォータポンプ68により循環する冷却水循環配管70が設けられている。
冷却水循環配管70の長手方向の中間部分および第2の移送配管18の長手方向の中間部分に冷却水と第2の移送配管18を通る燃料との間で熱交換を行なう熱交換器72が設けられている。すなわち、熱交換器72によって第2の移送配管18を通る燃料を昇温する昇温部20が構成されている。
したがって、第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、エンジン2の熱を利用して燃料を昇温するため、昇温部20のコストダウンを図る上で有利となる。
2 エンジン
10 燃料タンク装置
12 燃料タンク
12A 第1の燃料収容部
12B 第2の燃料収容部
14 燃料移送部
16 第1の移送配管
1602 吸い込み口
1604 排出口
18 第2の移送配管
1802 吸い込み口
1804 排出口
20 昇温部
22 レベルゲージ
2208 筐体
24 温度センサ
26 ECU(制御部)
28 筐体
30 電動燃料ポンプ
32 ジェットポンプ部
34 容器部
5204 第1の吸引部
5404 第2の吸引部
56 排出部
58 リザーバカップ
70 冷却水循環配管
72 熱交換器

Claims (8)

  1. 第1の燃料収容部と第2の燃料収容部とを有する燃料タンクと、
    吸い込み口が前記第2の燃料収容部に配置され排出口が前記第1の燃料収容部に配置された第1の移送配管と、
    を備える燃料タンク装置であって、
    吸い込み口が前記第1の燃料収容部に配置され排出口が前記第2の燃料収容部に配置された第2の移送配管と、
    前記第1の燃料収容部に配置され、前記第1の移送配管を介して前記第2の燃料収容部から前記第1の燃料収容部に燃料を移送すると共に、前記第2の移送配管を介して前記第1の燃料収容部から前記第2の燃料収容部に燃料を移送する燃料移送部と、
    前記第2の移送配管を流れる燃料を昇温させる昇温部と、
    が設けられたことを特徴とする燃料タンク装置。
  2. 前記第2の燃料収容部に、前記第2の燃料収容部よりも容積が小さい第2のリザーバカップが設けられ、
    前記第1の移送配管の吸い込み口と前記第2の移送配管の排出口とは、前記第2のリザーバカップの内部に位置している、
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料タンク装置。
  3. 前記第1の移送配管および前記第2の移送配管は、それらの一部が互いに密着あるいは近接して配置され、前記第1の移送配管を流れる燃料と前記第2の移送配管を流れる燃料との間で熱交換可能に構成されている、
    ことを特徴とする請求項1または2記載の燃料タンク装置。
  4. 前記燃料移送部を収納する筐体に前記昇温部が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の燃料タンク装置。
  5. 前記第2の燃料収容部に、燃料の液位を検出するレベルゲージが設けられ、
    前記レベルゲージを収納する筐体に前記昇温部が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の燃料タンク装置。
  6. さらに、前記第1の燃料収容部に収容された燃料が供給されるエンジンを備え、
    前記昇温部は、前記エンジンの冷却水と前記第2の移送配管を通る燃料との間で熱交換を行なう熱交換器で構成されている、
    ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項記載の燃料タンク装置。
  7. 前記燃料移送部は、
    前記第1の燃料収容部内に配置されて燃料が収容される容器部と、
    前記容器部内に配置された電動燃料ポンプと、
    前記電動燃料ポンプから供給される燃料により動作するジェットポンプ部とを備え、
    前記ジェットポンプ部は、
    前記第1の燃料収容部に収容された燃料を吸引して前記容器部内に供給する第1の吸引部と、
    前記第1の移送配管の排出口に接続され燃料を吸引して前記容器部内に供給する第2の吸引部と、
    前記第2の移送配管の吸い込み口に燃料を供給する排出部とを備え、
    前記第1の吸引部を流れる燃料の流量を第1の流量F1とし、
    前記第2の吸引部を流れる燃料の流量を第2の流量F2とし、
    前記排出部を流れる燃料の流量を第3の流量F3としたとき、
    F3<F2なる関係式が成立するように前記第1の流量F1、前記第2の流量F3、前記第3の流量F3が設定されている、
    ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の燃料タンク装置。
  8. 前記第2の燃料収容部に収容されている燃料の温度に基づいて前記燃料移送部を制御することで前記第1、第2の移送配管を流れる燃料の流量を制御する制御部が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載の燃料タンク装置。
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