JP6450623B2 - 衝突検出装置および衝突検出方法 - Google Patents

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Description

この発明は、衝突検出装置および衝突検出方法に係り、特に、自動車の前部への衝突を検出する衝突検出装置および衝突検出方法に関する。
従来から、自動車の前部に衝突体が衝突した際に、その衝突を検出する衝突検出装置が利用されている。例えば、衝突検出装置は、バンパーの裏面に沿って車幅方向に延びるように配置されたセンサチューブと、センサチューブに接続された圧力センサとから構成することができる。自動車のバンパーに衝突体が衝突すると、その衝撃によりバンパーがセンサチューブを押圧して、センサチューブ内に形成された中空の圧力波伝搬路に圧力波が生じ、圧力波伝搬路を伝搬した圧力波の強度が圧力センサによって検出される。
このようにして検出された圧力波の強度に基づいて、自動車に衝突した衝突体が歩行者などの保護対象者か否かを判定することができ、保護対象者と判定された場合には、例えば自動車の前部近傍に設置されたエアバッグを展開して保護することができる。ここで、保護対象者の衝突の有無を正確に判定できるように、衝突体からの圧力波を高精度に検出する衝突検出装置が求められている。
そこで、衝突体からの圧力波を高精度に検出する技術として、例えば、特許文献1には、バンパーとセンサチューブとの間に設けられ、センサチューブの外側面に対向する面に凹凸部が形成された隙詰め部を有する衝突検出装置が提案されている。この衝突検出装置では、隙詰め部が凹凸部の凸部でセンサチューブを押圧することにより衝突による衝撃がセンサチューブに的確に伝達されるため、圧力波を高精度に検出することができる。
特許第5509863号公報
ここで、近年、圧力センサで検出される圧力波の情報に基づいて衝突体が自動車に衝突した衝突位置を算出することにより、保護対象者の衝突の有無をさらに正確に判定することが試みられている。しかしながら、特許文献1の衝突検出装置は、圧力波の伝搬速度に対してセンサチューブ内の圧力波伝搬路が短く形成されており、圧力波が短時間のうちに圧力センサに到達するため、衝突体の衝突位置を正確に求めることができないといった問題があった。
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、自動車に衝突した衝突体の衝突位置を正確に求めることができる衝突検出装置および衝突検出方法を提供することを目的とする。
この発明に係る衝突検出装置は、自動車の前部近傍において車幅方向に延びるように配置されると共に内部に中空の圧力波伝搬路が形成され、圧力波伝搬路を介して自動車の前部への衝突により生じた圧力波を車幅方向に伝搬させるセンサチューブと、センサチューブに接続され、圧力波伝搬路を伝搬した圧力波の強度を検出する圧力センサと、圧力センサで検出された圧力波に基づいて、自動車の前部における衝突位置を演算する衝突演算部とを備え、センサチューブは、圧力波伝搬路の路幅を拡張する複数の拡幅部を有するものである。
ここで、複数の拡幅部は、自動車の中央部で区分けされるセンサチューブの右半部側と左半部側にそれぞれ設けることができる。
また、複数の拡幅部は、センサチューブに沿って等間隔で且つ自動車の中央部に対して線対称に配置することができる。
また、複数の拡幅部は、センサチューブから前方に突出すると共に自動車の中央部から車幅方向に離れて位置するほど突出量または内部の容量が大きくなるように形成することが好ましい。
また、複数の拡幅部は、自動車の中央部側の内壁面が先端部に向かって中央部から徐々に離れるように傾斜することが好ましい。
また、センサチューブの両端部に2つの圧力センサが接続され、衝突演算部は、2つの圧力センサでそれぞれ検出される圧力波の差に基づいて自動車の前部における衝突位置を算出することができる。
この発明に係る衝突検出方法は、自動車の前部近傍において車幅方向に延びるように配置されると共に内部に形成された圧力波伝搬路の路幅が複数の拡幅部により拡張されたセンサチューブにより、自動車の前部への衝突により生じた圧力波が圧力波伝搬路を介して車幅方向に伝搬し、圧力波伝搬路を伝搬した圧力波の強度をセンサチューブに接続された圧力センサで検出し、圧力センサで検出された圧力波に基づいて、衝突演算部が自動車の前部における衝突位置を演算するものである。
この発明によれば、センサチューブが圧力波伝搬路の路幅を拡張する複数の拡幅部を有するので、自動車に衝突した衝突体の衝突位置を正確に求めることができる衝突検出装置および衝突検出方法を提供することが可能となる。
この発明の実施の形態1に係る衝突検出装置の構成を示す断面図である。 自動車に配置されたエアバッグ装置を示す斜視図である。 従来の衝突検出装置を示し、図3(A)はセンサチューブを伝搬する圧力波の様子を示す図、図3(B)は圧力センサで検出された圧力波の強度分布を示すグラフである。 圧力センサで検出される圧力波の強度分布を示すグラフである。 センサチューブを伝搬する圧力波の様子を示す図である。 2つの圧力センサでそれぞれ検出された圧力波の強度分布の差を示すグラフである。 この発明の実施の形態2に係る衝突検出装置のセンサチューブを示す断面図である。 実施の形態2の変形例に係る衝突検出装置のセンサチューブを示す断面図である。 実施の形態2の他の変形例に係る衝突検出装置のセンサチューブを示す断面図である。 この発明の実施の形態3に係る衝突検出装置のセンサチューブを示す断面図である。 実施の形態3の変形例に係る衝突検出装置のセンサチューブを示す断面図である。 実施の形態1〜3の変形例に係る衝突検出装置のセンサチューブを示す断面図である。 実施の形態1〜3の他の変形例に係る衝突検出装置のセンサチューブを示す断面図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係る衝突検出装置の構成を示す。この衝突検出装置は、自動車Mの前部に配置されたバンパーRへの衝突体Cの衝突を検出するもので、バンパーRに沿って自動車Mの車幅方向に延びるように配置されたセンサチューブ1を有し、このセンサチューブ1の両端部に圧力センサ2aおよび2bが接続されている。また、圧力センサ2aおよび2bがそれぞれ衝突演算部3に接続されると共に、衝突演算部3がエアバッグ制御部4を介して3つのエアバッグ装置5a〜5cに接続されている。
ここで、バンパーRは、自動車Mの車幅方向に延在し且つ自動車Mの中央部Y0から車幅方向に向かって後方に湾曲した形状を有するバンパーフェイスFと、バンパーフェイスFの裏面側に隣接して配置された衝撃吸収部材Eとを有する。バンパーフェイスFは、自動車Mの前部に露出する外装部材であり、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料から構成される。衝撃吸収部材Eは、バンパーフェイスFに衝突体Cが衝突した際に変形して衝突エネルギーを吸収するものであり、例えば発砲樹脂などから構成される。また、衝撃吸収部材Eの後側には、バンパーRからの衝撃を後方へ逃がすためのバンパービームBが配置されている。
センサチューブ1は、衝撃吸収部材EとバンパービームBの間に当接して配置されており、自動車Mの車幅方向に延びるチューブ本体6と、チューブ本体6から前方に突出する複数の拡幅部7とを有する。
チューブ本体6は、円筒形状を有し、一端部から他端部まで連通する中空の圧力波伝搬路8が内部に形成されている。圧力波伝搬路8は、センサチューブ1がバンパーRから押圧されることにより生じる圧力波を一端部側と他端部側にそれぞれ伝搬するものであり、圧力波を伝搬する伝搬流体、例えば空気などで満たされている。
複数の拡幅部7は、互いに同一形状を有し、内部に中空の拡室9を有する四角柱形状に形成されている。拡室9は、圧力波伝搬路8に接続されており、一定の路幅で延びる圧力波伝搬路8を部分的に拡張するものである。また、複数の拡幅部7は、自動車Mの中央部Y0で区分けされるチューブ本体6の右半部側と左半部側において、右半部側の複数箇所に設けられると共に左半部側の複数箇所に設けられている。さらに、複数の拡幅部7は、チューブ本体6に沿って等間隔で且つ自動車Mの中央部Y0に対して線対称に配置されている。
圧力センサ2aおよび2bは、センサチューブ1の圧力波伝搬路8を伝搬した圧力波の強度を順次検出するものであり、例えばダイアフラムを用いたセンサを用いることができる。
衝突演算部3は、圧力センサ2aおよび2bでそれぞれ検出された圧力波の強度分布の差に基づいて自動車Mの前部における衝突体Cの衝突位置を算出し、この衝突位置と圧力波の強度に基づいて自動車Mに衝突した衝突体Cが歩行者などの保護対象者か否かを判定する。
エアバッグ制御部4は、衝突演算部3の判定結果に基づいて、エアバッグ装置5a〜5cの駆動制御を行う。
エアバッグ装置5a〜5cは、自動車Mにおいて互いに異なる箇所に配置されており、例えば図2に示すように、自動車Mの一対のフロントピラーP内にエアバッグ装置5aとエアバッグ装置5cを配置すると共にフロントフードHの後縁部下側にエアバッグ装置5bを配置することができる。エアバッグ装置5a〜5cは、インフレータ10a〜10cと、インフレータ10a〜10cからの展開ガスの注入により車外に展開されるエアバッグ11a〜11cとを有する。
なお、バンパーRは自動車Mの最前部を車幅方向に覆うように設けられており、このバンパーRの内部にセンサチューブ1が配置されている。
次に、センサチューブ1の圧力波伝搬路8を伝搬する圧力波について詳細に説明する。
圧力波は、センサチューブ1がバンパーRから押圧されることにより生じ、その押圧位置から圧力センサ2aおよび2bへ向かって圧力波伝搬路8内を伝搬する。
ここで、図3(A)に、従来のセンサチューブ51の圧力波伝搬路52を伝搬する圧力波V1を示す。センサチューブ51は、一端から他端まで同一の路幅Wを有する圧力波伝搬路52のみが内部に形成されたものである。このため、圧力波V1は、圧力波伝搬路52を一定の密度で伝搬し、その端部に接続された圧力センサ53により順次検出される。このようにして検出される圧力波V1の強度分布は、図3(B)に示すように、検出開始時間T0から徐々に強度が増加して検出時間T1において最大強度が得られ、その後は徐々に強度が減少する。このため、圧力波V1の強度分布は、最大強度が得られた検出時間T1を境にほぼ線対称な正規分布形状となる。
一方、本願のセンサチューブ1は、複数の拡幅部7の拡室9により圧力波伝搬路8の路幅Wが部分的に拡張されているため、圧力センサ2aおよび2bで検出される圧力波V2は、図4に示すように、従来のセンサチューブ51を伝搬した圧力波V1と比較して遅い検出時間T2で最大強度が生じる。
具体的には、圧力波V2は、検出初期S1において、図5(A)に示すように、圧力波伝搬路8の路幅が拡張された拡室9を通過することにより密度が低下し、圧力波V1と比較して緩やかに強度が上昇する。この時、拡室9内に侵入した圧力波V2の一部は、拡幅部7の内壁により進行方向とは反対側に反射され、図5(B)に示すように、再度、拡幅部7の内壁により進行方向に反射されて、圧力波伝搬路8に戻される。このように、圧力波V2は拡幅部7における反射により順次遅れて圧力波伝搬路8を伝搬するため、検出後期S2では圧力波V2の最大強度が検出時間T1より遅い検出時間T2において生じることとなる。このような圧力波V2の遅延は、拡幅部7内の容量(拡室9の高さN、横幅Lおよび縦幅)と、拡幅部7の数とに応じて生じるものである。
次に、この実施の形態1の動作について説明する。
まず、衝突体Cが、例えば図1に示すように、自動車MのバンパーフェイスFの右側部近傍に衝突すると、その衝撃が衝撃吸収部材Eに伝搬されて、衝撃吸収部材Eがセンサチューブ1を押圧する。この押圧により圧力波伝搬路8内に圧力波が生じ、押圧位置から圧力センサ2aに向かって圧力波V2aが伝搬すると共に圧力センサ2bに向かって圧力波V2bが伝搬する。
この時、押圧位置に近い圧力センサ2bへ向かう圧力波V2bは少数の拡幅部7を通って圧力センサ2bにより検出されるのに対し、押圧位置から遠い圧力センサ2aへ向かう圧力波V2aは多数の拡幅部7を通って圧力センサ2aにより検出される。このため、図6に示すように、圧力波V2bは大きな遅延を生じることなく、その最大強度は従来のセンサチューブ51を伝搬した圧力波V1bの検出時間T1bとほぼ同じ検出時間T2bで圧力センサ2bにより検出される。一方、圧力波V2aは拡幅部7の数と容量に応じた大きな遅延が生じ、その最大強度は従来のセンサチューブ51を圧力波V1bとは反対側に伝搬した圧力波V1aの検出時間T1aから大きく遅れた検出時間T2aで圧力センサ2aにより検出される。これにより、圧力波V2aの検出時間T2aと圧力波V2bの検出時間T2bとの差を、従来のセンサチューブ51を伝搬した圧力波V1aの検出時間T1aと圧力波V1bの検出時間T1bとの差と比較して大きく広げることができる。
このようにして、圧力センサ2aおよび2bで検出された圧力波V2aおよびV2bの強度は、衝突演算部3に順次出力される。衝突演算部3は、圧力波V2aと圧力波V2bの強度分布の差に基づいて、自動車Mの前部における衝突体Cの衝突位置を算出する。
例えば、衝突演算部3は、圧力波V2aの最大強度が得られた検出時間T2aと、圧力波V2bの最大強度が得られた検出時間T2bとの差に基づいて自動車Mにおける衝突位置を算出することができる。具体的には、衝突演算部3は、自動車Mの様々な衝突位置について圧力波V2aと圧力波V2bの検出時間の差を求めたルックアップテーブルを予め格納し、実際に得られた検出時間T2aと検出時間T2bとの差に基づいてルックアップテーブルを参照することにより自動車Mにおける衝突位置を算出することができる。
ここで、複数の拡幅部7が、チューブ本体6の右半部側の複数箇所に設けられると共にチューブ本体6の左半部側の複数箇所に設けられているため、自動車Mの衝突位置に関わらず圧力波V2aと圧力波V2bの強度分布に充分な差を生じさせることができ、自動車Mの衝突位置を高精度に算出することができる。
また、複数の拡幅部7が、チューブ本体6に沿って等間隔に配置されているため、圧力波V2aおよびV2bの強度分布を伝搬距離に応じて一様に変化させることができ、衝突演算部3における自動車Mの衝突位置の演算を簡便化することができる。さらに、複数の拡幅部7が自動車Mの中央部Y0に対して線対称に配置されることにより、衝突演算部3における衝突位置の演算をより簡便化することができる。
なお、衝突演算部3は、圧力波V2aと圧力波V2bの強度分布の差に基づいて自動車Mの衝突位置を算出することができればよく、圧力波V2aおよびV2bの最大強度が得られる検出時間T2aと検出時間T2bの差に基づいて算出するものに限られるものではない。例えば、圧力波V2aと圧力波V2bの強度分布における傾きの差に基づいて、自動車Mの衝突位置を算出することもできる。
続いて、衝突演算部3は、算出された自動車Mの衝突位置と圧力波V2aおよびV2bの強度とに基づいて、自動車Mに衝突した衝突体Cが保護対象者か否かを判定する。
具体的には、様々な衝突体Cについて圧力波の強度に対する閾値が予め設定されており、衝突演算部3は、設定された閾値に基づいて圧力波V2およびV3の強度を評価することにより、衝突体Cが保護対象者か否かを判定する。
ここで、自動車MのバンパーフェイスFは中央部Y0から車幅方向に向かって後方に湾曲した形状を有するため、同じ衝突体Cが衝突した場合でも、その衝突位置に応じて圧力波V2およびV3の強度が変化するおそれがある。例えば、衝突体CがバンパーフェイスFの中央部Y0に衝突した場合には衝撃が前面に対してほぼ直角に入射するのに対し、衝突体CがバンパーフェイスFの側部近傍に衝突した場合には衝撃が前面に対して傾斜して入射するため圧力波V2およびV3の強度が低くなってしまう。
そこで、衝突演算部3は、予め設定された閾値を衝突位置に応じて変化させる。例えば、衝突位置がバンパーフェイスFの側部近傍であれば閾値を低下させて、圧力波V2およびV3の強度が低い場合でも保護対象者との判定を行う。このように、衝突演算部3が、圧力波V2およびV3の強度に基づいて衝突体Cの判定を行う際に、自動車Mの衝突位置に応じて判定の閾値を変化させるため、衝突体Cの判定を高精度に行うことができる。
衝突演算部3の判定結果はエアバッグ制御部4に出力され、衝突体Cが保護対象者であると判定された場合には、エアバッグ制御部4がエアバッグ装置5a〜5cを駆動させる。これにより、インフレータ10a〜10cから展開ガスが吐出されてエアバッグ11a〜11cが展開し、保護対象者を保護することができる。
なお、エアバッグ制御部4は、衝突演算部3で演算された自動車Mの衝突位置に基づいてエアバッグ装置5a〜5cを選択的に駆動することもできる。例えば、自動車Mの前部において右側部近傍に保護対象者が衝突した場合には、自動車Mの右側部側のフロントピラーPに配置されたエアバッグ装置5cのみを駆動することができる。
本実施の形態によれば、センサチューブ1に圧力波伝搬路8の路幅Wを拡張する複数の拡幅部7を設けることにより、圧力波伝搬路8を伝搬する圧力波V2aおよびV2bに遅延が生じて検出時間に差が生じ、自動車Mに衝突した衝突体Cの衝突位置を正確に求めることができる。
実施の形態2
実施の形態1では、複数の拡幅部7は、互いに同一形状を有するように形成されたが、圧力波伝搬路8を部分的に拡張することができればよく、異なる形状で形成することもできる。
例えば、図7に示すように、実施の形態1の複数の拡幅部7に換えて、複数の拡幅部21をセンサチューブ1に設けることができる。この複数の拡幅部21は、自動車Mの中央部Y0から車幅方向に離れて位置するほど高さNが大きくなるように形成された拡室22を有する。このように、拡室22の高さNが大きくなるのに従って複数の拡幅部21の先端部がセンサチューブ1から前方に大きく突出し、複数の拡幅部21の突出量を中央部Y0から車幅方向に離れて位置するほど大きくすることができる。
上述したように、自動車MのバンパーフェイスFが中央部Y0から車幅方向に向かって後方に湾曲した形状を有するため、衝突体CがバンパーフェイスFの中央部Y0に衝突した場合と比較して、衝突体CがバンパーフェイスFの側部近傍に衝突した場合には衝撃がセンサチューブ1まで到達しにくく、圧力波V2aおよびV2bの強度が低くなる傾向がある。
そこで、バンパーフェイスFの側部側に位置する拡幅部21ほど先端部を前方に大きく突出させることにより、衝突体Cからの衝撃を小さくなる前に捉えることができる。
本実施の形態によれば、複数の拡幅部21が中央部Y0から車幅方向に離れて位置するほど突出量が大きくなるように形成されているため、バンパーフェイスFの側部近傍に衝突した衝突体Cの衝撃を敏感に捉えることができ、圧力波V2aおよびV2bの強度の低下を抑制することができる。
なお、図8に示すように、自動車Mの中央部Y0から車幅方向に離れて位置するほど拡室23の横幅Lが大きくなるように形成された複数の拡幅部24を設けることもできる。拡室23の横幅Lが大きくなるのに従って複数の拡幅部24の先端部が幅広く形成され、これにより複数の拡幅部24の突出量を中央部Y0から車幅方向に離れて位置するほど大きくすることができる。
このように、バンパーフェイスFの側部側に位置する拡幅部24ほど幅広く形成することにより、バンパーフェイスFの側部近傍に衝突した衝突体Cからの衝撃を広い範囲で敏感に捉えることができ、圧力波V2aおよびV2bの強度の低下を抑制することができる。
また、図9に示すように、自動車Mの中央部Y0から車幅方向に離れて位置するほど先端部の厚みを大きく形成した複数の拡幅部25を設けることもできる。複数の拡幅部25の先端部の肉厚が大きくなるのに従って複数の拡幅部25の先端部がセンサチューブ1から前方に大きく突出し、複数の拡幅部25の突出量を中央部Y0から車幅方向に離れて位置するほど大きくすることができる。
このように、バンパーフェイスFの側部側に位置する拡幅部25ほど先端部の肉厚を大きく形成することにより、バンパーフェイスFの側部近傍に衝突した衝突体Cからの衝撃を小さくなる前に捉えることができ、圧力波V2aおよびV2bの強度の低下を抑制することができる。さらに、複数の拡幅部25は、肉厚により突出量を変化させるため、拡室9の容量を一定に保つことができ、衝突演算部3における自動車Mの衝突位置の演算が複雑化することを抑制することができる。
実施の形態3
実施の形態1および2では、複数の拡幅部は、内部に中空の拡室を有する四角柱形状に形成されたが、圧力波伝搬路8を部分的に拡張することができればよく、この形状に限られるものではない。
例えば、図10に示すように、実施の形態1の複数の拡幅部7に換えて、複数の拡幅部31をセンサチューブ1に設けることができる。この複数の拡幅部31は、内部に中空の拡室32を有する半球形状に形成されている。このような複数の拡幅部31を設けることにより、センサチューブ1の製造を簡便化することができる。
また、例えば、図11に示すように、実施の形態1の複数の拡幅部7に換えて、複数の拡幅部33をセンサチューブ1に設けることもできる。この複数の拡幅部33は、自動車Mの中央部Y0側の内壁部に、前方に向かって中央部Y0から徐々に離れるように傾斜する傾斜面34を有するものである。具体的には、複数の拡幅部33は、内部に中空の拡室35を有する角錐台形状に形成され、圧力波伝搬路8の延びる方向に対して垂直に張り出すように形成された垂直面36が傾斜面34に対向して配置されている。
これにより、圧力波伝搬路8を中央部Y0側から端部側に向かって伝搬する圧力波は、拡幅部33の垂直面36により進行方向とは反対側に反射され、再度、傾斜面34により進行方向に反射される。この時、傾斜面34は、圧力波を圧力波伝搬路8の開口に向かって反射するように傾斜されており、垂直面36で反射された圧力波を減じることなく進行方向の圧力波伝搬路8へと戻すことができる。このように、傾斜面34を有する複数の拡幅部33を設けることにより、圧力センサ2aおよび2bで検出される圧力波の強度が減少することを抑制することができ、自動車Mの衝突位置を正確に演算することができる。
なお、上記の実施の形態1〜3では、複数の拡幅部は、チューブ本体6から前方に突出するように形成されたが、圧力波伝搬路8を部分的に拡張することができればよく、これに限られるものではない。例えば、図12に示すように、チューブ本体6から後方に突出するように複数の拡幅部41を形成することができる。
また、上記の実施の形態1〜3では、センサチューブ1は、衝撃吸収部材EとバンパービームBの間に配置されたが、自動車Mの前部近傍に配置されて衝突体Cの衝突を捉えることができればよく、これに限られるものではない。例えば、図13に示すように、衝撃吸収部材Eの内部にセンサチューブ42を配置することができる。また、バンパーフェイスFと衝撃吸収部材Eの間にセンサチューブを配置することもできる。
1,51,42 センサチューブ、2a,2b,53 圧力センサ、3 衝突演算部、4 エアバッグ制御部、5a,5b,5c エアバッグ装置、6 チューブ本体、7,21,24,25,31,33,41 複数の拡幅部、8,52 圧力波伝搬路、9,22,23,32,35 拡室、10a,10b,10c インフレータ、11a,11b,11c エアバッグ、34 傾斜面、36 垂直面、M 自動車、Y0 自動車の中央部、R バンパー、F バンパーフェイス、E 衝撃吸収部材、B バンパービーム、P 一対のフロントピラー、H フロントフード、C 衝突体、V1,V1a,V1b,V2,V2a,V2b 圧力波、W 圧力波伝搬路の路幅、T0 検出開始時間、T1,T1a,T1b,T2,T2a,T2b 最大強度の検出時間、N 拡室の高さ、L 拡室の横幅。

Claims (7)

  1. 自動車の前部近傍において車幅方向に延びるように配置されると共に内部に中空の圧力波伝搬路が形成され、前記圧力波伝搬路を介して前記自動車の前部への衝突により生じた圧力波を車幅方向に伝搬させるセンサチューブと、
    前記センサチューブに接続され、前記圧力波伝搬路を伝搬した前記圧力波の強度を検出する圧力センサと、
    前記圧力センサで検出された前記圧力波に基づいて、前記自動車の前部における衝突位置を演算する衝突演算部と
    を備え、
    前記センサチューブは、前記圧力波伝搬路の路幅を拡張する複数の拡幅部を有する衝突検出装置。
  2. 前記複数の拡幅部は、前記自動車の中央部で区分けされる前記センサチューブの右半部側と左半部側にそれぞれ設けられる請求項1に記載の衝突検出装置。
  3. 前記複数の拡幅部は、前記センサチューブに沿って等間隔で且つ前記自動車の中央部に対して線対称に配置される請求項1または2に記載の衝突検出装置。
  4. 前記複数の拡幅部は、前記センサチューブから前方に突出すると共に前記自動車の中央部から車幅方向に離れて位置するほど突出量または内部の容量が大きくなるように形成される請求項1〜3のいずれか一項に記載の衝突検出装置。
  5. 前記複数の拡幅部は、前記自動車の中央部側の内壁面が先端部に向かって中央部から徐々に離れるように傾斜する請求項1〜4のいずれか一項に記載の衝突検出装置。
  6. 前記センサチューブの両端部に2つの前記圧力センサが接続され、
    前記衝突演算部は、2つの前記圧力センサでそれぞれ検出される前記圧力波の差に基づいて前記自動車の前部における衝突位置を算出する請求項1〜5のいずれか一項に記載の衝突検出装置。
  7. 自動車の前部近傍において車幅方向に延びるように配置されると共に内部に形成された圧力波伝搬路の路幅が複数の拡幅部により拡張されたセンサチューブにより、前記自動車の前部への衝突により生じた圧力波が前記圧力波伝搬路を介して車幅方向に伝搬し、
    前記圧力波伝搬路を伝搬した前記圧力波の強度を前記センサチューブに接続された圧力センサで検出し、
    前記圧力センサで検出された前記圧力波に基づいて、衝突演算部が前記自動車の前部における衝突位置を演算する衝突検出方法。
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