JP6448376B2 - 化粧水 - Google Patents

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Description

本発明は、拭き取りの使用方法にて用いられる化粧水に関する。さらに詳しくは、ニキビの予防及び/又は治療や敏感肌に好適に用いられる化粧水に関する。
肌荒れやニキビは、様々な要因によって引き起こされる。例えば、紫外線や肌への物理的接触などの外部刺激によって、肌の炎症が引き起こされ、肌荒れやニキビの原因となる。また、乾燥した肌は、角質層の乱れによりバリア機能が低下しているため、上記外部刺激を受けやすく、炎症がより起こりやすくなる。加えて、余分な皮脂やメイク汚れなども毛穴でのアクネ菌などの増殖の原因となり、炎症を引き起こす。さらに、これらの乾燥や炎症は、角質の肥厚化させ、肌におけるターンオーバーを乱し、更なる肌荒れやニキビの要因ともなる。
上記肌荒れやニキビの改善や予防には毎日のケアが必要なため、それらをできるだけ簡便に行うことができる化粧料が望まれている。しかしながら、上述のとおり、肌荒れやニキビには様々な要因が複雑に関連しているため、これらを簡便且つ効果的に抑制することは困難である。
例えば、皮脂やメイク汚れなどを除去するためには十分な洗顔が有効であるが、反面、過剰な洗顔は、肌の乾燥を引き起こしやすく、肌荒れを悪化させる場合がある。また、肌上の皮脂汚れを除去して肌を清浄にする目的や、クレンジング(メイクアップ除去)の目的で、拭き取りの使用方法で用いられる化粧水が知られている(例えば、特許文献1〜4等)。
しかし、これらの特許文献に示された先行技術でも、特に炎症を起こし易い敏感肌の人やニキビのできやすい人等にとっては、肌荒れやニキビの抑制・改善やターンオーバーの正常化の効果は不十分であるのが現状であり、より一層効果的な化粧料が求められている。
特開2005−97146号公報 特開2006−22061号公報 特開2008−179584号公報 特開2014−201561号公報
従って、本発明の目的は、簡便であり、より一層優れた肌荒れ及び/又はニキビの抑制・改善の効果を発揮し得る化粧料を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、抗炎症剤、殺菌剤、脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤、保湿剤、及び水を含む化粧水を拭き取る方法で用いることによって、肌荒れやニキビの抑制・改善に優れた効果が得られ、特に、敏感肌、ニキビのできやすい肌やニキビのできた肌に好適に用いられることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、拭き取り用の化粧水であって、敏感肌用、ニキビ予防用、及びニキビ改善用からなる群より選ばれた用途に用いられ、下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を含むことを特徴とする化粧水を提供する。
成分(A):抗炎症剤
成分(B):殺菌剤
成分(C):脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤
成分(D):保湿剤
成分(E):水
上記成分(A)は、グリチルリチン酸又はその誘導体が好ましい。
上記成分(B)は、フェノール又はその誘導体が好ましい。
上記成分(C)は、下記成分(c1)及び下記成分(c2)を含むことが好ましい。
成分(c1):ポリオキシエチレン直鎖脂肪酸グリセリル
成分(c2):ポリオキシエチレン分岐鎖脂肪酸グリセリル
上記成分(D)は、下記成分(d1)及び下記成分(d2)を含むことが好ましい。
成分(d1):ブチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8、エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜15、プロピレンオキシドの平均付加モル数が3〜10のポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル
成分(d2):トリメチルグリシン
上記化粧水は、顔に用いられる化粧水であることが好ましい。
上記化粧水は、クレンジング用であることが好ましい。
上記化粧水は、拭き取り後に、洗い流さずに用いられるものであることが好ましい。
さらに、本発明は、シート基材と、上記シート基材に含浸された上記化粧水とを備えることを特徴とするシート化粧料を提供する。
本発明の化粧水は、上記構成を有し、拭き取りの使用方法で用いることにより、敏感肌に用いた場合であっても、優れた肌荒れの抑制・改善効果が得られる。また、ニキビのできやすい肌やニキビのできている肌に用いた場合に、優れたニキビの抑制・改善効果が得られる。さらに、ターンオーバーを正常にする効果が得られる。これにより、肌のきめを整えて肌状態を改善することができる。本発明の化粧水は、敏感肌やニキビの予防及び/又は改善に対して特に顕著な効果を発揮する。
本発明の化粧水は、拭き取りの使用方法で用いられる化粧水である。尚且つ、本発明の化粧水は、敏感肌用、ニキビ予防用、及びニキビ改善用からなる群より選ばれた少なくとも1の用途に用いられる。本発明の化粧水は、上記用途のうち、複数の用途に用いられてもよい。
本発明の化粧水は、抗炎症剤、殺菌剤、脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤、保湿剤、及び水を必須の構成成分として含む。本明細書においては、上記「抗炎症剤」を「成分(A)」;上記「殺菌剤」を「成分(B)」;上記「脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤」を「成分(C)」;上記「保湿剤」を「成分(D)」;上記「水」を「成分(E)」と称する場合がある。本発明の化粧水は、成分(A)〜(E)以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。なお、本発明の化粧水に含まれる各成分、即ち、成分(A)〜成分(E)やその他の成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
<成分(A):抗炎症剤>
上記成分(A)である抗炎症剤としては、特に限定されないが、例えば、アラントイン、イクタモール、イソプロピルアミノカプロン酸又はその塩、イプシロンアミノカプロン酸、インドメタシン、グアイアズレン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、アセチルサリチル酸、マレイン酸クロルフェニラミン、塩化リゾチーム、塩酸ジフェンヒドラミン、甘草エキス、エイジツエキス、カマズレン、シコンエキス、ヒドロコルチゾン、γ−オリザノール、トラネキサム酸などが挙げられる。中でも、グリチルリチン酸又はその誘導体が好ましく、特にグリチルリチン酸ジカリウムが好ましい。成分(A)により、紫外線や、施術時の物理的接触、アクネ菌などによる肌刺激による肌の炎症を抑制・予防して、肌荒れやニキビの予防・改善効果が向上する。成分(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明の化粧水100質量%中の成分(A)の含有量は、特に限定されないが、0.01〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜2.0質量%、さらに好ましくは0.05〜1.0質量%である。上記含有量が0.01質量%以上であることにより、抗炎症効果による肌荒れやニキビの予防・改善効果が向上するため好ましい。また、5.0質量%以下であることにより、製剤安定性が向上するため好ましい。上記成分(A)の含有量は、本発明の化粧水中に含まれるすべての成分(A)の含有量の合計量である。
<成分(B):殺菌剤>
上記成分(B)である殺菌剤としては、特に限定されないが、例えば、サリチル酸およびその誘導体(サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アセチルサリチル酸等)、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、フェノキシエタノール等のフェノール誘導体;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム等の4級アンモニウム塩;感光素101号、感光素201号、感光素401号等の感光素;ソルビン酸、ソルビン酸カリウム等のソルビン酸又はその塩;塩化アルキルジアミノエチルグリシン液、茶エキス、ヒノキチオールなどが挙げられる。中でも、フェノール又はその誘導体が好ましく、特にイソプロピルメチルフェノールが好ましい。成分(B)により、肌を殺菌して清浄な状態とするとともに、肌や毛穴中のアクネ菌等を殺菌して、肌荒れやニキビの予防・改善効果が向上する。成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明の化粧水100質量%中の成分(B)の含有量は、特に限定されないが、0.01〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜1.0質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。上記含有量が0.01質量%以上であることにより、殺菌効果による肌荒れやニキビの予防・改善効果が向上するため好ましい。また、2.0質量%以下であることにより、製剤安定性が向上するため好ましい。上記成分(B)の含有量は、本発明の化粧水中に含まれるすべての成分(B)の含有量の合計量である。
<成分(C):脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤>
上記成分(C)である脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤は、脂肪酸エステル化合物である非イオン性界面活性剤である。成分(C)としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。上記の中でも、肌上の汚れ除去力、特にクレンジング力(メイクアップ除去力)を向上させる観点から、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル)が好ましい。成分(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルにおけるオキシエチレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、肌上の汚れ除去力(特に、クレンジング力)及び製剤安定性の観点から、2〜50が好ましく、より好ましくは5〜25である。また、上記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸としては、特に限定されないが、オレイン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸などが挙げられる。上記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンパーム核油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレンミリスチン酸グリセリル、ポリオキシエチレンステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンイソステアリン酸グリセリル(イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル)などが挙げられる。
肌荒れやニキビの予防・改善効果をより一層向上するためには、本発明の化粧水は、より低刺激性であることが好ましい。本発明の化粧水の刺激性をより一層低減する観点では、成分(C)等の界面活性剤の配合量はできるだけ少ないことが好ましい。成分(C)の配合量を低減させながら、なおかつ、十分な汚れ除去力を発揮する観点からは、成分(C)として、ポリオキシエチレン直鎖脂肪酸グリセリル及びポリオキシエチレン分岐鎖脂肪酸グリセリルを併用することが好ましい。即ち、成分(C)は、必須の成分として、ポリオキシエチレン直鎖脂肪酸グリセリル及びポリオキシエチレン分岐鎖脂肪酸グリセリルを含むことが好ましい。なお、本明細書においては、上記「ポリオキシエチレン直鎖脂肪酸グリセリル」を「成分(c1)」;上記「ポリオキシエチレン分岐鎖脂肪酸グリセリル」を「成分(c2)」と称する場合がある。成分(c1)及び成分(c2)は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記成分(c1)であるポリオキシエチレン直鎖脂肪酸グリセリルは、構成する脂肪酸が、直鎖脂肪酸であるポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルである。上記直鎖脂肪酸としては、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸などが挙げられる。成分(c1)としては、肌上の汚れ除去力(特に、クレンジング力)を向上させる観点から、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル等のポリオキシエチレンモノ直鎖脂肪酸グリセリルが好ましく、特に、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルが好ましい。
上記成分(c2)であるポリオキシエチレン分岐鎖脂肪酸グリセリルは、構成する脂肪酸が、分岐鎖脂肪酸であるポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルである。上記分岐鎖脂肪酸としては、イソステアリン酸などが挙げられる。なお、成分(c2)は、モノエステル、ジエステル、トリエステルなどのいずれであってもよい。成分(c2)としては、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルが好ましく、例えば、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。さらに、成分(c2)としては、ポリオキシエチレンモノ分岐鎖脂肪酸グリセリル及びポリオキシエチレントリ分岐鎖脂肪酸グリセリルを併用することが好ましく、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルが特に好ましい。
成分(C)は、汚れ除去力と肌荒れやニキビの予防・改善効果の観点から、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルの3種を少なくとも含むことが好ましく、特に好ましくは、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルの4種の組み合わせである。
成分(C)の市販品としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルの市販品としては、例えば、サソール社製、商品名「ソフチゲン767」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:6);クローダジャパン社製、商品名「GYSEROX767」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:6);交洋ファインケミカル社製、商品名「ハイバーオイルCC−6」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:6);ガデフォッセ社製、商品名「L.A.S.」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:8);ミヨシ油脂社製、商品名「MファインオイルMCG−8M」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:8);日油社製、商品名「ユニグリMC−208」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:8)などが挙げられる。
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルの市販品としては、例えば、ミヨシ油脂社製、商品名「MファインオイルCOG−7M」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:7);日光ケミカルズ社製、商品名「NIKKOL TMGCO−7」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:7);交洋ファインケミカル社製、商品名「ハイバーオイルHE」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:7);日油社製、商品名「ユニグリMK−207」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:7);クローダジャパン社製、商品名「GYSEROX HE」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:7)などが挙げられる。
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルの市販品としては、例えば、日本エマルジョン社製、商品名「EMALEX GWIS−110」、商品名「EMALEX GWIS−110EX」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:10);日本エマルジョン社製、商品名「EMALEX GWIS−115」、商品名「EMALEX GWIS−115EX」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:15);日本エマルジョン社製、商品名「EMALEX GWIS−120」、商品名「EMALEX GWIS−120EX」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:20);日本エマルジョン社製、商品名「EMALEX GWIS−125」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:25);日本エマルジョン社製、商品名「EMALEX GWIS−130」、商品名「EMALEX GWIS−130EX」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:30)などが挙げられる。
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルの市販品としては、例えば、日本エマルジョン社製、商品名「EMALEX GWIS−310」、商品名「EMALEX GWIS−310EX」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:10);日本エマルジョン社製、商品名「EMALEX GWIS−320」、商品名「EMALEX GWIS−320EX」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:20);日本エマルジョン社製、商品名「EMALEX GWIS−330」、商品名「EMALEX GWIS−330EX」(エチレンオキサイドの平均付加モル数:30)などが挙げられる。
なお、成分(c1)と成分(c2)とを併用することにより、低刺激性と汚れ除去力(特に、クレンジング力)とをより一層高いレベルで両立できる原因は明確ではないが、成分(c1)と成分(c2)とが異なる汚れ除去特性を有するためと推定している。成分(c1)は汚れを比較的短時間で溶解する力が高いが刺激が強い特性があり、これに対して成分(c2)は刺激が比較的低く汚れをゆっくりと溶解する特性があると推定される。異なる汚れ除去特性により、比較的少量であっても、高い汚れ除去力を発揮できると推定される。加えて、成分(c2)は、拭き取り時の摩擦を低減する効果も有すると推定される。但し、本発明は、これらの推定によって限定されるものではない。
本発明の化粧水100質量%中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、0.5〜20.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜15.0質量%、更に好ましくは2.0〜5.0質量%である。上記含有量が0.5質量%以上であることにより、汚れ除去力が向上するため好ましい。また、20.0質量%以下であることにより、刺激が抑制され、肌荒れやニキビの予防・改善効果が向上するため好ましい。上記成分(C)の含有量は、本発明の化粧水中に含まれるすべての成分(C)の含有量の合計量である。
成分(C)中の、成分(c1)の質量割合[(c1)/(C)]は、汚れ除去力(特に、クレンジング力)向上の観点から、0.50〜0.95が好ましく、より好ましくは0.70〜0.90、さらに好ましくは0.75〜0.90である。
成分(C)中の、成分(c2)の質量割合[(c2)/(C)]は、刺激を低減し肌荒れやニキビの予防・改善効果を向上する観点から、0.05〜0.50が好ましく、より好ましくは0.10〜0.30、さらに好ましくは0.10〜0.25である。
成分(C)中の、成分(c1)と成分(c2)の合計量の質量割合[((c1)+(c2))/(C)]は、0.50〜1.00が好ましく、より好ましくは0.60〜1.00、さらに好ましくは0.80〜0.95である。
本発明の化粧水は、製剤安定性などの観点から、成分(C)以外の界面活性剤を含有してもよい。本発明の化粧水100質量%中の成分(C)以外の界面活性剤の含有量は、刺激抑制の観点から1.0質量%以下(即ち、0〜1.0質量%)が好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。
<成分(D):保湿剤>
上記成分(D)である保湿剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル等のポリオキシアルキレングリセリルエーテル;ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等のポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシレングリコールエーテル等のポリオキシアルキレングリコールエーテル;ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等のポリオキシアルキレンアルキルグルコシド;ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル等のポリオキシアルキレンソルビトールエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;コハク酸ビスエトキシジグリコール、シクロへキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等のジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル;トリメチルグリシン等のアミノ酸および/又はその誘導体;ヒアルロン酸および/又はその誘導体などが挙げられる。成分(D)は、保湿効果を高め肌の乾燥を防ぎ、肌のバリア機能を守る。これにより、肌荒れやニキビの予防・改善効果を向上させる。成分(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記の中でも、成分(D)は、拭き取り後のべたつきを低減し、さっぱりとした感触を得る観点から、ブチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8、エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜15、プロピレンオキシドの平均付加モル数が3〜10のポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、及び/又は、トリメチルグリシンを含むことが好ましい。なお、本明細書においては、上記「ブチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8、エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜15、プロピレンオキシドの平均付加モル数が3〜10のポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル」を「成分(d1)」;上記「トリメチルグリシン」を「成分(d2)」と称する場合がある。成分(d1)及び成分(d2)は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
成分(D)として、グリコール類やグリセリン類の配合量を増やした場合には保湿効果を高めることはできるものの、拭き取り後の肌がべたつき使用感が悪くなる。特に、敏感肌の人や肌にニキビのある人やできやすい人は、拭き取り後にべたつきのないさっぱりとした肌感触を好む傾向が強い。成分(D)として、成分(d1)及び/又は成分(d2)を用いることにより、保湿効果を維持したまま、拭き取り後のべたつきを低減し、拭き取り後の肌感触をさっぱりとしたものとすることができる。さらに、拭き取り時の摩擦を低減し、肌に対する刺激を低減し、肌荒れやニキビの予防・改善効果を向上しうる。
上記成分(d1)は、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルである。成分(d1)において、オキシブチレン(ブチレンオキシド)の平均付加モル数は2〜8であり、好ましくは3〜5;オキシエチレン(エチレンオキシド)の平均付加モル数は5〜15であり、好ましくは6〜12;オキシプロピレン(プロピレンオキシド)の平均付加モル数は3〜10であり、好ましくは3〜5である。
上記成分(d1)としては、例えば、ポリオキシエチレン(8)ポリオキシプロピレン(5)ポリオキシブチレン(3)グリセリルエーテルなどが挙げられる。なお、括弧内の数値は、オキシアルキレン(アルキレンオキシド)の平均付加モル数を表す。成分(d1)の市販品は、例えば、日油社製、商品名「ウィルブライド S−753」などが挙げられる。
上記成分(d2)はトリメチルグリシンであり、グリシンベタイン又は単にベタインとも称される。成分(d2)の市販品は、例えば、旭化成ケミカルズ社製、商品名「アミノコート」などが挙げられる。また、トリメチルグリシンを含む混合原料の市販品としては、例えば、味の素社製、商品名「プロデュウ400」などが挙げられる。
本発明の化粧水100質量%中の成分(D)の含有量は、特に限定されないが、1.0〜15.0質量%が好ましく、より好ましくは3.0〜10.0質量%である。上記含有量が1.0質量%以上であることにより、保湿力が向上するため好ましい。また、15.0質量%以下であることにより、拭き取り後のべたつきが低減するため好ましい。上記成分(D)の含有量は、本発明の化粧水中に含まれるすべての成分(D)の含有量の合計量である。
成分(D)中の、成分(d1)の質量割合[(d1)/(D)]は、保湿力向上及び摩擦低減の観点から、0.05〜0.50が好ましく、より好ましくは0.10〜0.30である。
成分(D)中の、成分(d2)の質量割合[(d2)/(D)]は、保湿力向上の観点から、0.05〜0.80が好ましく、より好ましくは0.10〜0.50である。
成分(D)中の、成分(d1)と成分(d2)の合計量の質量割合[((d1)+(d2))/(D)]は、0.30〜1.00が好ましく、より好ましくは0.50〜0.80である。
中でも、成分(D)としては、成分(d1)と成分(d2)とを併用することが好ましい。即ち、成分(D)は、成分(d1)及び成分(d2)を含むことが好ましい。成分(d1)は、成分(d2)と比べて摩擦低減効果に優れる反面、含有量が多くなり過ぎると、拭き取りの感触が重くなる傾向にある。一方、成分(d2)は保湿力向上効果に特に優れる。このため、成分(d1)と成分(d2)とを併用することにより、保湿力向上、摩擦低減効果と拭き取りの軽い感触を両立することができる。
本発明の化粧水100質量%中の成分(d1)と成分(d2)以外の成分(D)の含有量は、拭き取り後のべたつき低減の観点から0〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。特に、本発明の化粧水100質量%中の成分(d1)以外の多価アルコールの含有量が、べたつき低減の観点から0〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
<成分(E):水>
上記成分(E)である水は、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の化粧水100質量%中の、成分(E)の含有量は、特に限定されないが、本発明の化粧水を水性の化粧水として、拭き取り後にさっぱりとした感触を得る観点から、50.0〜98.5質量%が好ましく、より好ましくは60.0〜97.0質量%、さらに好ましくは65.0〜95.0質量%である。
<その他の成分>
本発明の化粧水は、製剤安定性及び防腐性を向上させる観点から、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・ピロリドンカルボン酸塩を含有してもよい。上記N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・ピロリドンカルボン酸塩は、L−アルギニンとヤシ油脂肪酸との縮合物をエステル化し、DL−ピロリドンカルボン酸塩としたものである。上記N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・ピロリドンカルボン酸塩の市販品としては、例えば、味の素社製、商品名「CAE」などが挙げられる。本発明の化粧水100質量%中の、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・ピロリドンカルボン酸塩の含有量は、特に限定されないが、0.05〜0.3質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.2質量%である。
本発明の化粧水は、実質的にエタノールを含有しない場合には、皮膚刺激がより一層低減される。例えば、本発明の化粧水100質量%中の、エタノールの含有量を、0.5質量%以下(即ち、0〜0.5質量%)、より好ましくは0.1質量%以下とすることなどが挙げられる。なお、本発明の化粧水を後述のシート化粧料として用いる場合などには、防腐性を向上させる観点から、本発明の化粧水中にエタノールを、例えば、1.0〜7.0質量%程度含有させてもよい。
本発明の化粧水は、上記の成分の他に、アスコルビン酸およびその誘導体等のビタミン類;抗酸化剤、金属封鎖剤、シリコーン、動植物抽出エキス、パール化剤、着色剤、各種香料、防腐剤などを含有してもよい。
本発明の化粧水は、常法により製造することができる。例えば、上記した各構成成分を混合し、公知の方法、具体的には、ホモミキサー等で撹拌する方法等が挙げられる。
本発明の化粧水は、拭き取りの使用方法で用いられる拭き取り用の化粧水である。本発明の化粧水の具体的な使用方法としては、例えば、本発明の化粧水をシート等に含浸させた後、本発明の化粧水を含浸したシートにより、肌上の汚れを拭き取る方法が挙げられる。本発明の化粧水をシート等に含浸させた後、本発明の化粧水を含浸したシートを適用する肌部分に軽く押し当て、シートに含浸させた本発明の化粧水を適用する肌に馴染ませた後に、肌上の汚れを拭き取ることがより好ましい。また、他の方法としては、本発明の化粧水を適用する肌に馴染ませた後に、シート等を用いて、肌上の化粧水を拭き取る方法が挙げられる。上記シートは、本発明の化粧水を含浸しうるシートであり、特に限定されないが、例えば、ティッシュペーパー等の紙;コットン等の布(織布、不織布など)などが挙げられる。また、上記肌上の汚れとしては、メイクアップ汚れ、皮脂汚れなどが挙げられる。
上記の拭き取りにより、メイクアップ汚れや皮脂汚れなどの肌上の汚れが除去されるとともに、古い角質が除去される。これにより、肌上の汚れに起因するアクネ菌などの増殖に起因する炎症の発生が抑制される。さらに、古い角質を除去することによって、ターンオーバーが正常化される。さらに、さらに肌上に化粧水の成分である、成分(A)、成分(B)や成分(D)が肌上に残存して内部に浸透するため、殺菌効果や抗炎症効果によって、さらに炎症の発生が抑制される。加えて、成分(D)によって、保湿効果が高まるため、乾燥に起因して生じる肌荒れの改善・予防に特に効果的である。なお、本発明の化粧水の成分を肌上に残存させる観点からは、拭き取り後には、本発明の化粧水を適用した肌を洗い流さないことが好ましい。即ち、一般的なクレンジング化粧料等の使用に際してクレンジング後にクレンジング化粧料を洗い流すこととは異なり、本発明の化粧水は、拭き取り後に、洗い流さずに用いられることが好ましい。
本発明の化粧水は、容器に充填して、製品として販売される。上記容器としては、特に限定されず、例えば、化粧水用の容器として公知の容器を用いることができる。上記容器としては、例えば、ポンプ容器、スプレー容器、ボトル容器、スタンディングパウチ等の袋状容器などが挙げられる。容器の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどのプラスチック;ガラス;紙;アルミニウム等の金属などが挙げられる。
[シート化粧料]
本発明の化粧水は、シート基材に含浸させることにより、シート化粧料とすることができる。上記シート化粧料は、シート基材と、上記シート基材に含浸された本発明の化粧水を、必須の構成成分として備える。
上記シート基材は、特に限定されず、本発明の化粧水を含浸可能なシート状の支持体である。上記シート基材としては、織布、不織布が好ましい。上記シート基材は、使用感、加工のし易さ等の観点から、不織布が好ましい。上記不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スティッチボンド不織布などが挙げられる。上記シート基材には、エンボス加工処理を施してもよい。上記シート基材の目付は、特に限定されないが、ふき心地の観点から、20〜100g/mが好ましく、より好ましくは25〜80g/mである。
上記織布や不織布を構成する繊維としては、特に限定されず、例えば、天然繊維、合成繊維、半天然繊維などが挙げられる。上記天然繊維としては、綿、パルプ、シルク、セルロース、麻、リンター、カボックなどが挙げられる。上記合成繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等)、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維(例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等)などが挙げられる。上記半天然繊維としては、レーヨン、アセテートなどが挙げられる。上記繊維は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、2種以上の上記繊維からなる混紡繊維を用いてもよい。
上記シート基材は、織布や不織布等の種類に応じて、公知慣用の製造方法により製造することができる。また、市販品を用いることもできる。
上記シート化粧料における、上記シート基材に対する、含浸された本発明の化粧水の質量割合は、特に限定されないが、上記シート基材1.0質量部に対して、本発明の化粧水が1.0〜10.0質量部であることが好ましく、より好ましくは2.0〜7.0質量部である。
上記シート化粧料は、容器に充填して、製品として販売される。上記容器としては、例えば、袋体(包装袋)、箱状容器などが挙げられる。上記容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂;アルミニウム等の金属などが挙げられる。上記容器としては、軽量であり優れた揮発防止効果を有する観点から、表面にアルミニウム等の金属層が積層又は蒸着された樹脂製の包装袋が好ましい。
上記シート化粧料は、拭き取りの使用方法で用いられる拭き取り用の化粧料である。上記シート化粧料の具体的な使用方法としては、前述の本発明の化粧水を含浸したシートと同様であり、例えば、上記シート化粧料により、肌上の汚れを拭き取る方法が挙げられる。
本発明の化粧水及び上記シート化粧料は、適用する肌への刺激や肌の乾燥を防ぎ、さらに抗炎症効果や殺菌効果を有するため、肌荒れを起こし易い敏感肌に用いた場合には肌荒れを予防・改善する効果を発揮し得る。また、ニキビ(特に後述の大人ニキビ)のできやすい肌やニキビのできている肌に用いた場合に、ニキビの抑制・改善効果が得られる。このため、本発明の化粧水及び上記シート化粧料は、敏感肌用、ニキビ予防用、及びニキビ改善用からなる群より選ばれた少なくとも1の用途に用いられる。本発明の化粧水は、上記用途のうち、複数の用途に用いられてもよい。
本発明の化粧水及び上記シート化粧料は、クレンジング力を有する観点から、クレンジング用の化粧水及びシート化粧料であることが好ましい。また、本発明の化粧水及び上記シート化粧料は、その適用対象は特に限定されないが、例えば、大人ニキビのできやすい20代〜40代(即ち20歳〜49歳、さらに好ましくは25歳〜45歳)の人用の化粧水及びシート化粧料として好ましい。中でも、クレンジングの観点から、女性を対象とした化粧水及びシート化粧料として好ましい。また、本発明の化粧水及び上記シート化粧料は、その施術部位も特に限定されないが、肌荒れや大人ニキビの予防・改善の観点から、顔用の化粧水及びシート化粧料として好ましい。例えば、頬、口元、顎、額などが適用部位として挙げられる。
主に20代〜40代の人の中で、肌荒れやニキビに悩む人が増えてきている。ニキビの中でも、主に20歳以上の人が罹患するニキビである所謂「大人ニキビ」は、10代の人が主に罹患するニキビである所謂「思春期ニキビ」とは様々な点で異なり、再発しやすい、ニキビ跡やシミが残りやすいなどの問題があることが知られている。また、思春期ニキビは皮脂分泌の増大が主な原因とされているのに対し、大人ニキビは、肌のターンオーバーの乱れによる角質肥厚などが主な原因とされている。
肌荒れや大人ニキビは、様々な要因によって引き起こされる。例えば、肌が乾燥すると、角質層が乱れることによりバリア機能が低下するため、紫外線や肌への物理的接触による外部刺激を受けやすくなり、肌の炎症が引き起こされやすくなる。このような炎症は肌荒れや大人ニキビの直接的な原因となるだけでなく、乾燥・炎症状態が蓄積すると肌の防御反応により、角質の肥厚化が引き起こされ、肌のターンオーバーの乱れが引き起こされる。角質が肥厚化すると、毛穴がつまり、皮脂が貯留しやすくなり、アクネ菌等が増殖しやすくなる。また、ターンオーバーが乱れて古い角質が残存した肌は、抗炎症成分、殺菌成分や保湿成分等が浸透しにくくなるため、たとえ肌荒れやニキビ用の薬剤や保湿化粧料等を適用しても、その効果が十分に発揮されにくくなるため、肌荒れ等がより一層生じやすい状態となる。
また、メイク汚れや余分な皮脂などが肌に残存している場合にも、上記と同様に、毛穴に皮脂が貯留しやすくなり、さらに、抗炎症成分等が浸透しにくくなることから、肌荒れ等が生じやすくなる。メイク汚れや皮脂汚れ等は洗顔によって除去することが一般的であるが、洗顔やクレンジング剤の水での洗い流しは、肌の乾燥を引き起こしやすく、さらに洗顔の際などに肌への摩擦刺激が加わるため、かえって肌荒れ等を悪化させるおそれがある。さらに、洗顔の後に薬剤等を塗布したりすると、煩雑なだけでなく、肌に対して繰り返し施術を行うことになるため、肌への刺激が蓄積して、かえって肌荒れ等を悪化させてしまうおそれもある。
これに対し、本発明の化粧水は、洗浄成分である成分(C)を含んでいるため、拭き取りで用いることにより、肌上のメイク汚れ、余分な皮脂や古い角質を拭き取って除去する。また、拭き取りの際に、メイク汚れ等の除去と同時に、成分(A)、成分(B)、成分(D)が清浄な肌に浸透するため、抗炎症効果、アクネ菌等の殺菌効果、保湿効果が発揮される。このように、本発明の化粧水は、拭き取りの方法で用いることにより、汚れによる毛穴のつまりや余分な皮脂の蓄積を予防できるとともに、肌のターンオーバーが正常化される。さらに、メイク汚れなどのない清浄な肌に成分(A)、成分(B)、成分(D)などを浸透させるため、これらの成分の浸透性が向上し、抗炎症効果、アクネ菌等の殺菌効果、保湿効果がより有効に発揮される。これらの効果により、総合的に、肌荒れやニキビに対する予防・改善効果が発揮される。さらにまた、本発明の化粧水によれば、メイクアップ等の除去(クレンジング)と成分(A)等の有効成分の浸透を、単一の拭き取り行為により行うことができるため、簡便であり、さらに、複数の施術による刺激の蓄積も防止できるため好ましい。この観点から、本発明の化粧水は、特にメイクアップの必要性と簡便性の要求の高い、忙しい社会人女性などにとって好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、各成分の配合量(即ち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り「質量%」で表す。なお、実施例1〜3は、参考例として記載するものである。
実施例1〜9
表1に記した組成に従い、実施例1〜9の各化粧水を常法により調製した。
Figure 0006448376
実施例1〜9で得られた各化粧水について以下の(1)〜(5)の評価を行った。なお、評価は5名の専門評価員により行った。評価結果は表に記載した。
(1)クレンジング(メイクアップ除去)効果
3種のメイクアップ化粧料(ウォータープルーフのマスカラ、リキッドファンデーション、及びウォータープルーフのアイライナー)をそれぞれ前腕部内側に塗布し、15分放置後に評価を行った。コットンシートに約3mgの各化粧水を含浸させた後、得られた化粧水を含浸させたシートにより、上記前腕部内側のメイクアップ化粧料を拭き取り、下記の基準により、クレンジング(メイクアップ除去)効果を評価した。なお、拭き取りは、化粧水を含浸させたシートをメイク部分の上に軽く押し当てて、化粧水を肌に馴染ませた後に、一方向に拭き取る方法とした(拭き取り回数:3回)。拭き取り後に洗い流しは行わなかった。
<評価基準>
◎(優れる):メイクアップ化粧料が良く除去できた。
○(良好) :メイクアップ化粧料が除去できた。
×(不良) :メイクアップ化粧料がほとんど除去できなかった。
(2)刺激のなさ
コットンシートに各化粧水を含浸させた後、得られた化粧水を含浸させたシートにより、顔全体のメイクアップ化粧料を拭き取り除去し、拭き取り後の肌への刺激を下記の基準により評価した。
<評価基準>
◎(優れる):ピリピリとした刺激が全く感じられなかった。
○(良好) :ピリピリとした刺激がほとんど感じらかった。
×(不良) :ピリピリとした刺激が明らかに感じられた。
(3)摩擦低減効果
上記(2)の評価の拭き取り時のシートと肌との摩擦を、下記の基準により評価した。
<評価基準>
◎(優れる):シートと肌との摩擦が非常に小さい。
○(良好) :シートと肌との摩擦が小さい。
×(不良) :シートと肌との摩擦が大きい。
(4)べたつきのなさ
上記(2)の評価直後に、メイクアップ化粧料を拭き取った後の肌のべたつきの有無を、下記の基準により評価した。
<評価基準>
◎(優れる):べたつきが全く感じられなかった。
○(良好) :べたつきがほとんど感じられなかった。
×(不良) :明らかにべたつきが感じられた。
(5)保湿感
上記(2)の評価の30分後、メイクアップ化粧料を拭き取った後の肌の保湿感の有無を、下記の基準により評価した。
<評価基準>
◎(優れる):しっとりとした保湿感が十分に感じられた。
○(良好) :しっとりとした保湿感が少し感じられた。
×(不良) :保湿感が感じられなかった。
さらに、実施例6で得られた化粧水について以下のとおり評価した。
アンケートによりニキビができやすいと回答した25歳〜35歳の日本人女性22名を被験者として評価を行った。
被験者は、以下の方法により、実施例6の化粧水を4週間使用した。
<化粧水の使用方法>
1日1回帰宅後に、コットンシートに実施例6の化粧水を含浸させて、得られた化粧水を含浸させたシートにより拭き取ることにより、メイクアップを除去する。メイクアップ除去後の洗い流しは行わない。
入浴後には、顔に実施例6の化粧水を塗布する。
被験者の実施例6の化粧水の使用前と、4週間使用後の顔の肌状態(乾燥、鱗屑)を皮膚科医が観察し、以下の評価基準でスコアを判定した。
<評価基準>
0点:症状が見られない。
1点:僅かに症状が見られる。
2点:少し症状が見られる。
3点:明らかな症状が見られる。
4点:著しい症状が見られる。
その結果、実施例6の化粧水の4週間の使用により、肌状態(乾燥、鱗屑)のいずれもについて、ウィルコクソン(Wilcoxson)の符号付順位和検定で有意に改善(スコアの減少)が見られた。
また、被験者によるアンケートの結果、22名中15名が、実施例6の化粧水の4週間の使用により、肌質が改善傾向にあると回答した。
さらに、実施例6の化粧水の4週間の使用により、ニキビや肌荒れが悪化した被験者は認められなかった。
これらにより、本発明の化粧水によれば、肌の乾燥や肌荒れを改善することができることがわかった。
さらに、以下に、本発明に用いることができる化粧水及びシート化粧料の処方例を示す。
(処方例1)化粧水
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル 2.0質量%
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 2.0質量%
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O) 1.5質量%
グリセリン 4.0質量%
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
0.1質量%
キサンタンガム 0.03質量%
クエン酸 0.05質量%
クエン酸三ナトリウム 0.2質量%
エデト酸二ナトリウム 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.3質量%
1,2−オクタンジオール 0.1質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
(処方例2)化粧水
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル 2.0質量%
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル 2.0質量%
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 0.5質量%
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 0.5質量%
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O) 1.5質量%
トリメチルグリシン 2.0質量%
グリセリン 4.0質量%
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
0.1質量%
キサンタンガム 0.03質量%
クエン酸 0.05質量%
クエン酸三ナトリウム 0.2質量%
エデト酸二ナトリウム 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.3質量%
1,2−オクタンジオール 0.1質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
ピリドキシン塩酸塩 0.1質量%
ピロリドンカルボン酸亜鉛 1.0質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
(処方例3)シート化粧料
<化粧水>
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル 2.0質量%
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル 2.0質量%
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 0.5質量%
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 0.5質量%
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O) 1.5質量%
トリメチルグリシン 2.0質量%
グリセリン 4.0質量%
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
0.1質量%
キサンタンガム 0.03質量%
クエン酸 0.05質量%
クエン酸三ナトリウム 0.2質量%
エデト酸二ナトリウム 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.3質量%
1,2−オクタンジオール 0.1質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
L−メントール 0.05質量%
エタノール 3.0質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
<シート基材>
不織布(パルプ50%、レーヨン50%) 100.0質量%
シート基材1.0質量部に対して、化粧水を4.0質量部含浸させた。

Claims (9)

  1. 拭き取り用の化粧水であって、
    敏感肌用、ニキビ予防用、及びニキビ改善用からなる群より選ばれた用途に用いられ、
    下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を含み、成分(D)が、成分(d1)としてブチレンオキシドの平均付加モル数が2〜8、エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜15、プロピレンオキシドの平均付加モル数が3〜10のポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、及び成分(d2)としてトリメチルグリシンを含み、成分(D)中の、前記成分(d1)と前記成分(d2)の合計量の質量割合[((d1)+(d2))/(D)]は、0.50〜1.00であることを特徴とする化粧水。
    成分(A):抗炎症剤
    成分(B):殺菌剤
    成分(C):脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤
    成分(D):保湿剤
  2. 前記成分(A)が、グリチルリチン酸又はグリチルリチン酸ジカリウムである請求項1に記載の化粧水。
  3. 前記成分(B)が、フェノール、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アセチルサリチル酸、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、及びフェノキシエタノールからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2に記載の化粧水。
  4. 前記成分(C)が、下記成分(c1)及び下記成分(c2)を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧水。
    成分(c1):ポリオキシエチレン直鎖脂肪酸グリセリル
    成分(c2):ポリオキシエチレン分岐鎖脂肪酸グリセリル
  5. 前記成分(C)が、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルの3種を少なくとも含み、前記化粧水100質量%中の成分(C)の含有量が、2.0〜4.3質量%である請求項1〜4の何れか1項に記載の化粧水
  6. 顔に用いられる請求項1〜5の何れか1項に記載の化粧水。
  7. クレンジング用である請求項1〜6の何れか1項に記載の化粧水。
  8. 拭き取り後に、洗い流さずに用いられる請求項1〜7の何れか1項に記載の化粧水。
  9. シート基材と、前記シート基材に含浸された請求項1〜8の何れか1項に記載の化粧水とを備えることを特徴とするシート化粧料。
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