以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る黒液燃焼装置を有する回収ボイラの概略構成を示す模式図である。図1に示すように、第1実施形態に係る回収ボイラ10は、例えば製紙工場等で排出されるパルプ蒸解廃液(Na含有廃液)である黒液を燃焼し、発生した熱を回収しつつ、燃焼させた黒液からナトリウム成分を回収する。回収ボイラ10は、黒液燃焼装置12と、煙道14と、熱交換器ユニット15と、集塵機16と、悪臭物質除去手段18と、煙突20と、を有する。
黒液燃焼装置12は、黒液を燃焼させて排ガスを生成しつつ、黒液を燃焼することで生成されるスメルトを回収する。黒液燃焼装置12については後述する。煙道14は、黒液燃焼装置12と接続され、黒液燃焼装置12で生成される排ガスを流通させる配管である。熱交換器ユニット15は、黒液燃焼装置12及び煙道14に配置され、排ガスとの間の熱交換を行い、排ガスの熱を吸収する。熱交換器ユニット15は、過熱器15aと、蒸発器15bと、節炭器15cと、を有し、排ガスの流れ方向上流からこの順に配置されている。過熱器15aと、蒸発器15bと、節炭器15cとは、排ガスによって熱媒を加熱させることで、排ガスの熱を回収する。また、熱交換器ユニット15は、加熱された熱媒で発電機に接続されたタービン等を回転させることで、熱エネルギを電気エネルギに変換する。熱交換器ユニット15の組み合わせはこれに限定されない。
集塵機16は、排ガスの流れ方向において、煙道14の熱交換器ユニット15の下流側に配置されている。集塵機16は、電気集塵機等の煤塵を捕集する装置である。集塵機16は、排ガスに含まれる煤塵を回収する。悪臭物質除去手段18は、排ガスの流れ方向において、煙道14の集塵機16の下流側に配置されている。悪臭物質除去手段18は、排ガス中のNO2を除去する。煙突20は、悪臭物質除去手段18を通過した排ガスが流れる煙道14と接続されている。煙突20は、悪臭物質除去手段18を通過した排ガスを大気中に排出する。なお、回収ボイラ10は、熱交換器ユニット15の下流側の構造は、種々の構造とすることができ、排ガスを浄化する他の種々の装置を配置してもよいし、悪臭物質除去手段18等を配置しなくてもよい。
次に、図1に加え、図2から図8を用いて黒液燃焼装置について説明する。図2は、黒液燃焼装置の概略構成を示す模式図である。図3は、ボイラ火炉の展開図である。図4は、二次空気供給部と三次空気供給部とを説明するための説明図である。図5は、二次空気供給部を説明するための説明図である。図6は、三次空気供給部を説明するための説明図である。図7は、三次空気供給部を説明するための説明図である。図8は、三次空気供給部を説明するための説明図である。
黒液燃焼装置12は、ボイラ火炉22と、黒液供給部24と、一次空気供給部26と、二次空気供給部28と、三次空気供給部30と、燃料供給部32と、スメルト回収部34と、を有する。
ボイラ火炉22は、黒液と空気が供給され、黒液を燃焼させる箱である。ボイラ火炉22は、前面40と、左側面42と、背面44と、右側面46と、底面48と、を有する。ボイラ火炉22は、上面が煙道14と繋がっている。ボイラ火炉22は、水平断面が四角になる構造であり、前面40と背面44とが向かい合い、左側面42と右側面46とが向かい合う。また、ボイラ火炉22は、鉛直方向下側の面が底面48となる。ボイラ火炉22は、底面48に黒液の一部が火炉の底に堆積する。これにより、底面48には、黒液が堆積したチャーベットCが形成される。
黒液供給部24は、ボイラ火炉22に黒液を供給する。黒液供給部24は、黒液供給源50と配管52と黒液供給ノズル54とを有する。黒液供給源50は、黒液を貯留するタンクと黒液を送るポンプ、黒液を加熱する黒液加熱部等を有する。黒液供給源50は、黒液を加熱して配管52に供給する。配管52は、黒液供給源50と黒液供給ノズル54とを接続する。配管52は、黒液供給源50から供給される黒液を黒液供給ノズル54におくる。黒液ノズル54は、配管52から供給される黒液を噴射する。黒液ノズル54は、ボイラ火炉22の前面40、左側面42、背面44、右側面46のそれぞれに複数配置されている。複数の黒液ノズル54は、水平方向に並んで、つまり鉛直方向の同じ位置に配置されている。黒液供給部24は、黒液供給ノズル54から黒液59を噴射することで、ボイラ火炉22内に黒液59を供給する。黒液供給部24は、黒液29に、集塵機16で補集された補集灰とNa2SO4を混合してもよい。
一次空気供給部26は、空気供給源60と一次空気供給管62と風箱63と第1供給ポート64と流量調整弁66とを有する。空気供給源60は、黒液の燃焼に用いる一次空気を送る装置であり、送風ファン等である。空気供給源60は、一次空気供給管62に空気を供給する。一次空気供給管62は、空気供給源60と第1供給ポート64とを接続する。一次空気供給管62は、空気供給源60から供給される一次空気を風箱63に送る。風箱63は、ボイラ火炉22の周囲、前面40、左側面42、背面44、右側面46の外側を囲うように配置されている。また、風箱63は、鉛直方向において、黒液供給ノズル54よりも下側でボイラ火炉22の底面48の近傍に配置されている。風箱63は、第1供給ポート64に一次空気を送る。第1供給ポート64は、風箱63から供給される一次空気を噴射する。第1供給ポート64は、ボイラ火炉22の前面40、左側面42、背面44、右側面46のそれぞれに複数配置されている。複数の第1供給ポート64は、水平方向に並んで、つまり鉛直方向の同じ位置に配置されている。第1供給ポート64は、鉛直方向において、黒液供給ノズル54よりも下側でボイラ火炉22の底面48の近傍に配置されている。流量調整弁66は、第1供給ポート64から噴射する空気の量を調整する弁である。
一次空気供給部26は、第1供給ポート64から一次空気69を噴射することで、ボイラ火炉22内に一次空気69を供給する。また、第1供給ポート64は、ボイラ火炉22の底面48の近傍に配置されており、チャーベットCが配置されている領域に一次空気69を供給する。
二次空気供給部28は、空気供給源70と二次空気供給管72と風箱73と第2供給ポート74と流量調整弁77とを有する。空気供給源70は、黒液の燃焼に用いる二次空気を送る装置であり、送風ファン等である。空気供給源70は、二次空気供給管72に空気を供給する。二次空気供給管72は、空気供給源70と第2供給ポート74とを接続する。二次空気供給管72は、空気供給源70から供給される二次空気を風箱73に送る。風箱73は、ボイラ火炉22の周囲、前面40と背面44のそれぞれの外側に配置されている。また、風箱73は、鉛直方向において、黒液供給ノズル54よりも下側で風箱63よりも上側に配置されている。風箱73は、第2供給ポート74に二次空気を送る。
第2供給ポート74は、風箱73から供給される二次空気を噴射する。第2供給ポート74は、ボイラ火炉22の前面40、背面44のそれぞれに複数配置されている。ボイラ火炉22の前面40に配置されている第2供給ポート74を第2供給ポート74aとし、ボイラ火炉22の背面44に配置されている第2供給ポート74を第2供給ポート74bとする。第2供給ポート74は、鉛直方向において、黒液供給ノズル54よりも下側で第1供給ポート64よりも上側に配置されている。
また、複数の第2供給ポート74は、上段第2供給ポート76と、下段第2供給ポート78とを有する。上段第2供給ポート76は、水平方向に並んで、つまり鉛直方向の同じ位置に配置されている。下段第2供給ポート78は、水平方向に並んで、つまり鉛直方向の同じ位置に配置されている。下段第2供給ポート78は、上段第2供給ポート76の鉛直方向側に配置されている。
また、二次空気供給部28は、図5に示すように、第2供給ポート74のうち、前面(フロント面)40に配置した第2供給ポート74をフロント側第2供給ポート74aとし、背面(リア面)44に配置した第2供給ポート74をリア側第2供給ポート74bとする。この場合、フロント側第2供給ポート74aとリア側第2供給ポート74bは、前面40、背面44のそれぞれに水平方向に並んで配置されている。また、フロント側第2供給ポート74aは、対向する面である背面44に向けて、点線112に沿った向きに二次空気79aを噴射する。リア側第2供給ポート74bは、対向する面である前面40に向けて、点線114に沿った向きに二次空気79bを噴射する。
二次空気供給部28は、図5に示すように、第2供給ポートが並んでいる方向(本実施形態においては、水平方向でかつ前面40及び背面44に平行な方向)において、フロント側第2供給ポート74aとリア側第2供給ポート74bとが重ならない位置に配置されている。本実施形態では、フロント側第2供給ポート74aの方がリア側第2供給ポート74bよりも多く配置されており、第2供給ポートが並んでいる方向において中央に近い2つのフロント側第2供給ポート74aの間にリア側第2供給ポート74bに配置されていない。その他の位置では、第2供給ポートが並んでいる方向において、フロント側第2供給ポート74aとリア側第2供給ポート74bとが交互に配置されている。これにより、フロント側第2供給ポート74aから二次空気79aが放出される方向である点線112と、リア側第2供給ポート74bから二次空気79bが放出される方向である点線114とが重ならない。つまり、二次空気供給部28は、二次空気79aと二次空気79bとが、互いの間を埋めるように(インターレス、交絡する状態で)、それぞれの面から二次空気を噴射させる。二次空気供給部28は、上段第2供給ポート76と、下段第2供給ポート78との両方が図5に示す配置であることが好ましいが、いずれか一方が図5に示す配置でもよい。
流量調整弁77は、上段第2供給ポート76に設けられている。流量調整弁77は、上段第2供給ポート76から噴射する空気の量を調整する弁である。流量調整弁77は、下段第2供給ポート78に設けてもよい。
二次空気供給部28は、第2供給ポート74から二次空気79を噴射することで、ボイラ火炉22内に二次空気79を供給する。二次空気供給部28は、フロント側第2供給ポート74aからボイラ火炉22内に二次空気79aを供給し、リア側第2供給ポート74bからボイラ火炉22内に二次空気79bを供給する。また、第2供給ポート74は、チャーベットCが配置されている領域の鉛直方向上側の端部に二次空気79を供給する。二次空気供給部28は、二次空気79を供給することで、吹き付けている位置のチャーベットCに積層される黒液の粒子を移動させ、チャーベットCの鉛直方向上側の端部の位置を、二次空気を吹き付けている位置以下とする。つまり、チャーベットCの高さHを、二次空気を吹き付けている位置以下とする。
三次空気供給部30は、空気供給源80と三次空気供給管82と風箱83と第3供給ポート84と流量調整弁87とを有する。空気供給源80は、黒液の燃焼に用いる三次空気を送る装置であり、送風ファン等である。空気供給源80は、三次空気供給管82に空気を供給する。三次空気供給管82は、空気供給源80と第3供給ポート84とを接続する。三次空気供給管82は、空気供給源80から供給される三次空気を風箱83に送る。風箱83は、ボイラ火炉22の周囲、前面40と背面44のそれぞれの外側に配置されている。また、風箱83は、鉛直方向において、黒液供給ノズル54よりも上側に配置されている。風箱83は、第3供給ポート84に三次空気を送る。
第3供給ポート84は、風箱83から供給される三次空気を噴射する。第3供給ポート84は、ボイラ火炉22の前面40、背面44のそれぞれに複数配置されている。ボイラ火炉22の前面40に配置されている第3供給ポート84を第3供給ポート84aとし、ボイラ火炉22の背面44に配置されている第3供給ポート84を第3供給ポート84bとする。第3供給ポート84は、鉛直方向において、黒液供給ノズル54よりも上側に配置されている。
また、複数の第3供給ポート84は、上段第3供給ポート86と、下段第3供給ポート88とを有する。上段第3供給ポート86は、水平方向に並んで、つまり鉛直方向の同じ位置に配置されている。下段第3供給ポート88は、水平方向に並んで、つまり鉛直方向の同じ位置に配置されている。下段第3供給ポート88は、上段第3供給ポート86の鉛直方向側に配置されている。
また、三次空気供給部30は、図6に示すように、第3供給ポート84のうち、前面(フロント面)40に配置した第3供給ポート84をフロント側第3供給ポート84aとし、背面(リア面)44に配置した第3供給ポート84をリア側第3供給ポート84bとする。この場合、フロント側第3供給ポート84aとリア側第3供給ポート84bは、前面40、背面44のそれぞれに水平方向に並んで配置されている。また、フロント側第3供給ポート84aは、対向する面である背面44に向けて、点線122に沿った向きに三次空気89aを噴射する。リア側第3供給ポート84bは、対向する面である前面40に向けて、点線124に沿った向きに三次空気89bを噴射する。
三次空気供給部30は、図6に示すように、第3供給ポートが並んでいる方向において、フロント側第3供給ポート84aとリア側第3供給ポート84bとが重ならない位置に配置されている。本実施形態では、第3供給ポートが並んでいる方向において、フロント側第3供給ポート84aとリア側第3供給ポート84bとが交互に配置されている。これにより、フロント側第3供給ポート84aから三次空気89aが放出される方向である点線122と、リア側第3供給ポート84bから三次空気89bが放出される方向である点線124とが重ならない。つまり、三次空気供給部30は、三次空気89aと三次空気89bとが、互いの間を埋めるように(インターレス、交絡する状態で)、それぞれの面から三次空気を噴射させる。三次空気供給部30は、上段第3供給ポート86と、下段第3供給ポート88との両方が図6に示す配置であることが好ましいが、いずれか一方が図6に示す配置でもよい。
流量調整弁87は、上段第3供給ポート86に設けられている。流量調整弁87は、上段第3供給ポート86から噴射する空気の量を調整する弁である。流量調整弁87は、下段第3供給ポート88に設けてもよい。
三次空気供給部30は、第3供給ポート84から三次空気89を噴射することで、ボイラ火炉22内に三次空気89を供給する。三次空気供給部30は、第3供給ポート84aからボイラ火炉22内に三次空気89aを供給し、第3供給ポート84bからボイラ火炉22内に三次空気89bを供給する。また、第3供給ポート84は、黒液供給ノズル54よりも鉛直方向上側に三次空気89を供給する。三次空気供給部30は、三次空気89を供給することで、黒液供給ノズル54と熱交換器ユニット15との間に三次空気89が供給されている空間を設ける。これにより、三次空気供給部30は、三次空気89を噴射し、エアカーテンを形成することで、排ガスとともに鉛直方向上側に移動する黒液の粒子成分を吹き飛ばし、三次空気89が供給されている空間よりも上側に黒液の粒子成分が上昇することを抑制する。
ここで、空気供給源60、70、80は、1つの空気供給源としてもよい。つまり、1つの空気供給源から供給する空気を一次空気、二次空気、三次空気に分けてもよい。また、空気供給源60、70、80は、空気予熱器で予熱した空気を供給することが好ましい。空気予熱器は、排ガスと熱交換を行い、空気を加熱することが好ましい。
燃料供給部32は、ボイラ火炉22に燃料を供給する。燃料としては、軽油、重油等の液体燃料や、天然ガス等のガス燃料を用いることができる。燃料供給部32は、燃料供給源90と、燃料配管92と、スタートバーナ94と、ロードバーナ96と、を有する。燃料供給源90は、燃料を貯留するタンクと燃料を送るポンプ等を有する。燃料供給源90は、燃料を燃料配管92に供給する。配管52は、黒液供給源50と黒液供給ノズル54とを接続する。燃料配管92は、燃料供給源90から供給される燃料をスタートバーナ94とロードバーナ96に送る。スタートバーナ94は、燃料配管92から供給される燃料を噴射する。スタートバーナ94は、ボイラ火炉22の前面40、左側面42、背面44、右側面46のそれぞれに複数配置されている。スタートバーナ94は、鉛直方向において、第2供給ポート74と同じ高さに配置されている。なお、スタートバーナ94の配置位置は、ボイラ火炉22のチャーベットCが形成される領域の近傍であればよく、第2供給ポート74と同じ高さに限定されない。ロードバーナ96は、燃料配管92から供給される燃料を噴射する。ロードバーナ96は、ボイラ火炉22の背面44に複数配置されている。ロードバーナ96は、鉛直方向において、黒液供給ノズル86よりも上側に配置されている。
燃料供給部32は、黒液燃焼装置12での燃焼開始時にスタートバーナ94から燃料を噴射し、黒液の燃焼を補助する。また、燃料供給部32は、必要に応じて、ロードバーナ96から燃料を噴射し、黒液の燃焼を補助する。
スメルト回収部34は、チャーベットCで黒液が燃焼されることで生成されるスメルトSを回収する。スメルトSは、黒液の溶融物でありNa2CO3とNa2Sが主成分となる。スメルトSは、Na2CO3が約70%、Na2Sが約20%含まれる。また、スメルトSには、Na2SO4、Na2SO3、Na2SiO3、NaOH等も含まれる。スメルト回収部34は、排出配管102と回収タンク104とを有する。排出配管102は、ボイラ火炉22の底面48のチャーベットCにあるスメルトSをボイラ火炉22から排出する配管である。排出配管102は、ボイラ火炉22の背面44に複数配置されている。排出配管102は、鉛直方向において、第1供給ポート74の下側で、底面48に配置されている。回収タンク104は、排出配管102から排出されたスメルトSを貯留する。
回収ボイラ10は、黒液燃焼装置12に黒液を投入しつつ、一次空気、二次空気及び三次空気を供給することで、黒液と黒液の粒子成分が堆積したチャーベットCを燃焼させる。黒液燃焼装置12は、一次空気、二次空気及び三次空気のバランスを調整することで、適切な燃焼雰囲気とする。また、回収ボイラ10は、黒液とチャーベットCを燃焼させることで、スメルトSを生成し、回収することで、アルカリ成分を回収する。また、回収ボイラ10は、黒液燃焼装置12で生成される排ガスの熱を熱交換器ユニット15で回収する。また、回収ボイラ10は、集塵機16と悪臭物質除去装置18で排ガスに含まれる物質を回収した後、煙突20から排出する。
また、黒液燃焼装置12は、二次空気79を供給することで、チャーベットCの鉛直方向上側の高さをH以下とする。具体的には、黒液燃焼装置12は、二次空気79のボイラ火炉22の中央に到達する空気量をチャーベットCの上部に堆積した粒子を吹き飛ばすことができる空気量とする。つまり、チャーベットCが二次空気79を吹き付ける位置よりも上側に堆積した場合、チャーベットCを崩すことができる空気量とする。空気量は、空気の質量M×噴出し流速V[m/s]となる。
また、黒液燃焼装置12は、三次空気を供給することで、黒液に含まれる物質や、灰が排ガスの流れ方向下流側に移動することを抑制する。具体的には、黒液燃焼装置12は、排ガスの上昇流とボイラ火炉22の大きさに基づいて、エアカーテンとしての機能を維持できる水平流速の三次空気を供給する。図7及び図8は、ボイラ火炉内の位置と三次空気の水平流速との関係を示す図である。図7及び図8は、横軸がボイラ火炉内の位置であり、縦軸が三次空気の水平流速となる。図7に示すように、三次空気の空気量を調整し、水平流速を適切にすることで、前面40と背面44との中点である中心部での三次空気89a、89bの水平流速を高く維持することができる。これにより、上昇流によって搬送される異物が三次空気89a、89bを突き抜けて、鉛直方向上側に搬送される量を少なくすることができる。これに対して空気量が少ないと、図8に示すように、比較三次空気129a、129bの前面40と背面44との中点である中心部での水平流速が前面40と背面44での水平流速よりも低くなり、上昇流によって搬送される異物が比較三次空気129a、129bを突き抜けて、鉛直方向上側に搬送される量が多くなってしまう。
黒液燃焼装置12は、第3供給ポート84が並んでいる方向において、フロント側第3供給ポート84aと、リア側第3供給ポート84bとを重ならない位置に配置することで、三次空気89aと三次空気89bとをぶつかりにくい状態で噴射することができる。このように、三次空気89aと三次空気89bとをぶつかりにくい状態とすることで、三次空気89aと三次空気89bがぶつかって三次空気の流速等が低下することを抑制することができ、エアカーテンとしての機能を高く維持することができる。また、エアカーテンとしての機能を高くできることで、黒液に含まれる物質が排ガスの流れ方向において下流側に流れることを抑制することができる。また、エアカーテンとしての機能を高くできることで、三次空気89を噴射する領域よりも鉛直方向下側、排ガス(燃焼ガス)の流れ方向上流側を酸素雰囲気に維持することができ、黒液を好適に燃焼できる雰囲気を維持することができる。また、エアカーテンの機能を効果的に実現できることで、三次空気として必要な空気の増加を抑制でき、一次空気と二次空気と三次空気とのバランスを維持しやすくすることができる。また、空気を効率的に供給できることで、ボイラ火炉22の上部での炉壁熱流速を向上させることができ、かつ、ボイラ火炉22の出口の排ガスの温度を効率的に下げることができる。
また、三次空気供給部30は、空気供給源80で空気を加熱し、第3供給ポート84から加熱した空気を噴射させることで、流速を増加させることができ、流量を大きくすることができる。これにより、エアカーテンとしての機能をより好適に得ることができる。
また、三次空気供給部30は、フロント側第3供給ポート84aの数が偶数の場合、リア側第3供給ポート84bの数も偶数とし、フロント側第3供給ポート84aの数が奇数の場合、リア側第3供給ポート84bの数も奇数とすることが好ましい。これにより、エアカーテンの効果を効率よく得ることができる。
ここで、二次空気は、黒液の燃焼用の空気として供給され、かつ、チャーベットの形状を成形する。二次空気の場合も三次空気と同様に、燃焼のバランスのため、二次空気で使用できる空気の量には限界があり、チャーベットの形状を成形するために供給する二次空気の割合を増やし過ぎると、燃焼の効率が低下してしまう。
これに対して、本実施形態の二次空気供給部28は、第2供給ポート74が並んでいる方向において、フロント側第2供給ポート74aと、リア側第2供給ポート74bとを重ならない位置に配置し、かつ、フロント側第2供給ポート74aの数が偶数の場合、リア側第2供給ポート74bの数も偶数とし、フロント側第2供給ポート74aの数が奇数の場合、リア側第2供給ポート74bの数も奇数とすることで、チャーベットCの高さを好適に抑制することができ、また、チャーベットCが燃焼しやすい状態を維持することができる。これにより、チャーベットCの燃焼温度を上げて、窒素酸化物のヒュームを増加させ、炭酸塩による浸炭腐食を低減することができる。また、二次空気供給部28は、二次空気79aと二次空気79bとをぶつかりにくい状態で噴射することで、エアカーテンの効果も効率よく得ることができる。また、チャーベットCの高さを設定した高さ以下とすることで、チャーベットCの上端と三次空気を供給する位置までの距離を所定距離以上とすることができ、チャーベットの粒子が三次空気を供給する位置まで舞い上がることを抑制することができる。
また、二次空気供給部28は、第2供給ポート74が並んでいる方向において、中心側に配置された一方の面の第2供給ポートの間に他方の面の第2供給ポートが配置されない配置とすることが好ましい。これにより、第2供給ポート74が並んでいる方向の中心から、ボイラ火炉22の中心に向けて同じ方向から二次空気を供給することができる。これにより、チャーベットCの高さ方向が最も高くなる点に同じ方向から二次空気を供給することができ、チャーベットCを崩す力をより大きくすることができる。
本実施形態の黒液燃焼装置12は、フロント側第3供給ポート84aとリア側第3供給ポート84bと第3供給ポート84は並んでいる方向において、重ならない位置に配置したが、ずれていればよく、一部が重なっていてもよい。また、本実施形態の黒液燃焼装置12は、フロント側第2供給ポート74aとリア側第2供給ポート74bと第2供給ポート74は並んでいる方向において、重ならない位置に配置したが、ずれていればよく、一部が重なっていてもよい。
ここで、上記実施形態では、フロント側第2供給ポート74aとリア側第2供給ポート74bとをずらして配置したが、同じ位置、つまり点線112、114が重なる位置に配置してもよい。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態の黒液燃焼装置の二次空気供給部と三次空気供給部とを説明するための説明図である。図10、図11は、それぞれ図9に示す二次空気供給部を説明するための説明図である。図12、図13は、それぞれ図9に示す三次空気供給部を説明するための説明図である。なお、図9から図13において空気量の差をわかりやすく示すために、二次空気、三次空気は、空気量が大きいほど長い矢印で示す。この点は、他の実施形態でも同様である。
第2実施形態の黒液燃焼装置12aは、二次空気供給部から噴射する二次空気のバランスと、三次空気供給部から噴射する三次空気のバランス以外の構成が、第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様である。第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様の構成の部分については、説明を省略する。
図9に示す黒液燃焼装置12aは、黒液燃焼装置12と同様に、第2供給ポート74が上段第2供給ポート76と下段第2供給ポート78との二段で配置されており、第3供給ポート84が上段第3供給ポート86と下段第3供給ポート88との二段で配置されている。
黒液燃焼装置12aは、上段第2供給ポート76のフロント側上段第2供給ポート76aから二次空気130aを噴射し、リア側上段第2供給ポート76bから二次空気130bを噴射する。上段第2供給ポート76は、図10に示すように上段第2供給ポート76が並んでいる方向において、フロント側上段第2供給ポート76aとリア側上段第2供給ポート76bとが、重ならない位置に配置されている。黒液燃焼装置12aは、下段第2供給ポート78のフロント側下段第2供給ポート78aから二次空気132aを噴射し、リア側下段第2供給ポート78bから二次空気132bを噴射する。下段第2供給ポート78は、図11に示すように下段第2供給ポート78が並んでいる方向において、フロント側下段第2供給ポート78aとリア側下段第2供給ポート78bとが、重ならない位置に配置されている。
黒液燃焼装置12aは、二次空気130a、130bの空気量を二次空気132a、132bの空気量よりも多くする。空気量の差は、流量調整弁の開度や、ポートの設計時の形状等で調整することができる。
黒液燃焼装置12aは、上段第3供給ポート86のフロント側上段第3供給ポート86aから三次空気134aを噴射し、リア側上段第3供給ポート86bから三次空気134bを噴射する。上段第3供給ポート86は、図12に示すように上段第3供給ポート86が並んでいる方向において、フロント側上段第3供給ポート86aとリア側上段第3供給ポート86bとが、重ならない位置に配置されている。黒液燃焼装置12aは、下段第3供給ポート88のフロント側下段第3供給ポート88aから三次空気136aを噴射し、リア側下段第3供給ポート88bから三次空気136bを噴射する。下段第3供給ポート88は、図13に示すように下段第3供給ポート88が並んでいる方向において、フロント側下段第3供給ポート88aとリア側下段第3供給ポート88bとが、重ならない位置に配置されている。
黒液燃焼装置12aは、三次空気134a、134bの空気量を三次空気136a、136bの空気量よりも多くする。空気量の差は、流量調整弁の開度や、ポートの設計時の形状等で調整することができる。
黒液燃焼装置12aは、三次空気134a、134bの空気量を三次空気136a、136bの空気量よりも多くし、一方の段から噴射される空気量を多くすることで、エアカーテンをより好適に形成することができ、黒液の粒子等の未燃分や腐食を発生させる物質が、排ガスの流れ方向下流側に流れることを抑制することができる。
また、黒液燃焼装置12aは、三次空気134a、134bの空気量を三次空気136a、136bの空気量よりも多くすることで、つまり鉛直方向上側から噴射されている三次空気134a、134bを鉛直方向下側から噴射されている三次空気136a、136bよりも多くすることで、エアカーテンで塞がれている領域により多くの空気を滞留させることができる。
黒液燃焼装置12aは、二次空気130a、130bの空気量を二次空気132a、132bの空気量よりも多くし、一方の段から噴射される空気量を多くすることで、チャーベットCを崩す力をより大きくすることができ、チャーベットCの高さを好適に維持することができる。また、エアカーテンの効果も好適に得ることができる。
また、黒液燃焼装置12aは、二次空気130a、130bの空気量を二次空気132a、132bの空気量よりも多くすることで、つまり鉛直方向上側から噴射されている二次空気130a、130bを鉛直方向下側から噴射されている二次空気132a、132bよりも多くすることで、エアカーテンで塞がれている領域により多くの空気を滞留させることができる。
[第3実施形態]
図14は、第3実施形態の黒液燃焼装置の二次空気供給部と三次空気供給部とを説明するための説明図である。第3実施形態の黒液燃焼装置12bは、二次空気供給部から噴射する二次空気のバランスと、三次空気供給部から噴射する三次空気のバランスが第2実施形態の黒液燃焼装置12aと逆になる。第2実施形態の黒液燃焼装置12aと同様の構成の部分については、説明を省略する。
黒液燃焼装置12bは、上段第2供給ポート76のフロント側上段第2供給ポート76aから二次空気140aを噴射し、リア側上段第2供給ポート76bから二次空気140bを噴射する。黒液燃焼装置12bは、下段第2供給ポート78のフロント側下段第2供給ポート78aから二次空気142aを噴射し、リア側下段第2供給ポート78bから二次空気142bを噴射する。黒液燃焼装置12bは、二次空気140a、140bの空気量を二次空気132a、132bの空気量よりも少なくする。
黒液燃焼装置12bは、上段第3供給ポート86のフロント側上段第3供給ポート86aから三次空気144aを噴射し、リア側上段第3供給ポート86bから三次空気144bを噴射する。黒液燃焼装置12bは、下段第3供給ポート88のフロント側下段第3供給ポート88aから三次空気146aを噴射し、リア側下段第3供給ポート88bから三次空気146bを噴射する。黒液燃焼装置12aは、三次空気144a、144bの空気量を三次空気146a、146bの空気量よりも少なくする。
黒液燃焼装置12bのように、下側のポートの空気量を上側のポートの空気量よりも多くすることでも、一方のポートの空気量を他方のポートの空気量よりも多くすることで得られるエアカーテンの効果や、チャーベットCを崩す効果を好適に得ることができる。
このように、黒液燃焼装置は、上段第3供給ポートから供給される空気量と、前記下段第3供給ポートから供給される空気量とが異なることでエアカーテンの効果を好適に得ることができる、また、黒液燃焼装置は、上段第2供給ポートから供給される空気量と、前記下段第2供給ポートから供給される空気量とが異なることでチャーベットCを崩す効果を好適に得ることができる。
[第4実施形態]
図15は、第4実施形態の黒液燃焼装置の二次空気供給部と三次空気供給部とを説明するための説明図である。図16、図17は、それぞれ図15に示す二次空気供給部を説明するための説明図である。図18、図19は、それぞれ図15に示す三次空気供給部を説明するための説明図である。
第4実施形態の黒液燃焼装置12cは、二次空気供給部から噴射する二次空気のバランスと、三次空気供給部から噴射するポートの形状以外の構成が、第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様である。第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様の構成の部分については、説明を省略する。
図15に示す黒液燃焼装置12cは、黒液燃焼装置12と同様に、第2供給ポート174が上段第2供給ポート176と下段第2供給ポート178との二段で配置されており、第3供給ポート184が上段第3供給ポート186と下段第3供給ポート188との二段で配置されている。
黒液燃焼装置12cは、図16に示すように、上段第2供給ポート176から二次空気179aを噴射する。上段第2供給ポート176は、上段第2供給ポート176が並んでいる方向において、フロント側の上段第2供給ポート176とリア側の上段第2供給ポート176とが、重ならない位置に配置されている。黒液燃焼装置12cは、図17に示すように、下段第2供給ポート178から二次空気179bを噴射する。下段第2供給ポート178は、下段第2供給ポート178が並んでいる方向において、フロント側の下段第2供給ポート178とリア側の下段第2供給ポート178とが、重ならない位置に配置されている。
黒液燃焼装置12cは、図18に示すように、上段第3供給ポート186から三次空気189aを噴射する。上段第3供給ポート186は、上段第3供給ポート186が並んでいる方向において、フロント側の上段第3供給ポート186とリア側の上段第3供給ポート186とが、重ならない位置に配置されている。黒液燃焼装置12cは、図19に示すように、下段第3供給ポート188から三次空気189bを噴射する。下段第3供給ポート188は、下段第3供給ポート188が並んでいる方向において、フロント側の下段第3供給ポート188とリア側の下段第3供給ポート188とが、重ならない位置に配置されている。
ここで、第4実施形態の上段第2供給ポート176は、空気を噴射する面の形状が、高さ(鉛直方向の長さ)h1が幅(水平方向の長さ)W1よりも小さい、横長の形状である。下段第2供給ポート178は、空気を噴射する面の形状が、高さ(鉛直方向の長さ)h2が幅(水平方向の長さ)W2よりも大きい、縦長の形状である。上段第3供給ポート186は、空気を噴射する面の形状が、高さ(鉛直方向の長さ)h3が幅(水平方向の長さ)W3よりも小さい、横長の形状である。下段第3供給ポート188は、空気を噴射する面の形状が、高さ(鉛直方向の長さ)h4が幅(水平方向の長さ)W4よりも大きい、縦長の形状である。
黒液燃焼装置12cは、上段第3供給ポート186を幅が高さよりも広い形状とし、下段第3供給ポート188を高さが幅よりも広い形状とすることで、上段第3供給ポート188から噴射する三次空気189aでのカーテン効果をより好適に得ることができる。また、供給ポート186を幅が高さよりも広い形状とすることで、水平面において、三次空気189aが噴射される面積を大きくすることができる。これにより、エアカーテンが形成される領域をより大きくすることができ、エアカーテンの効果をより好適に得ることができる。
同様に、黒液燃焼装置12cは、上段第2供給ポート176を幅が高さよりも広い形状とし、下段第2供給ポート178を高さが幅よりも広い形状とすることで、水平面において、二次空気179aが噴射される面積を大きくすることができる。これにより、二次空気179aを水平面においてより隙間なく噴射することができ、チャーベットCの高さをより適切に維持することができる。
なお、本実施形態は、上段の供給ポートを幅が高さよりも広い形状とし、下段の供給ポートを高さが幅よりも広い形状としたが、逆でもよい。また一方の段のポートを幅が高さよりも広い形状とし、他方の段のポートを高さと幅の比を同じにしてもよい。また、供給ポートの高さと幅の関係は、目的に応じて適宜設定すればよい。
[第5実施形態]
図20は、第5実施形態の黒液燃焼装置の二次空気供給部と三次空気供給部とを説明するための説明図である。第5実施形態の黒液燃焼装置12dは、三次空気供給部から噴射する三次空気の向き以外の構成が、第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様である。第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様の構成の部分については、説明を省略する。
図20に示す黒液燃焼装置12dは、黒液燃焼装置12と同様に、第3供給ポート284が上段第3供給ポート286と下段第3供給ポート286との二段で配置されている。黒液燃焼装置12dは、上段第3供給ポート288から三次空気289aを噴射し、下段第3供給ポート288から三次空気289bを噴射する。
上段第3供給ポート286は、三次空気289aを水平方向よりも下側に向けて噴射する。具体的には、上段第3供給ポート286は、三次空気289aを、水平方向と三次空気289aの噴射方向とのなす角がθ1となるように水平方向よりも下側に向けて噴射する。下段第3供給ポート288は、三次空気289bを水平方向よりも上側に向けて噴射する。具体的には、下段第3供給ポート288は、三次空気289bを、水平方向と三次空気289bの噴射方向とのなす角がθ2となるように水平方向よりも上側に向けて噴射する。
黒液燃焼装置12dは、上段第3供給ポート286から噴射する三次空気289aの向きを下側に傾けることで、黒液の未燃分等の粒子等に対して三次空気289aで下側に向く力を作用させることができ、黒液の未燃分等の粒子等が三次空気289aを通過することをより確実に抑制することができる。
また、黒液燃焼装置12dは、上段第3供給ポート286から噴射する三次空気289aの向きを下側に傾けることで、上段第3供給ポート286から噴射する三次空気289aと、下段第3供給ポート288から噴射する三次空気289bを交差させることができ、ボイラ火炉22内での燃焼促進させることができる。
ここで、下段第3供給ポート288は、三次空気289bを、水平方向と三次空気289bの噴射方向とのなす角θ2が0となる向き、つまり水平方向に向けて噴射してもよい。
[第6実施形態]
図21及び図22は、第6実施形態の黒液燃焼装置の三次空気供給部を説明するための説明図である。第6実施形態の黒液燃焼装置12eは、三次空気供給部から噴射する三次空気のバランス以外の構成が、第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様である。第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様の構成の部分については、説明を省略する。
図21及び図22に示す黒液燃焼装置12eは、黒液燃焼装置12と同様に、第3供給ポート84が上段第3供給ポート86と下段第3供給ポート88との二段で配置されている。
上段第3供給ポート86は、図21に示すように上段第3供給ポート86が並んでいる方向において、フロント側上段第3供給ポート86aとリア側上段第3供給ポート86bとが、重ならない位置に配置されている。黒液燃焼装置12eは、上段第3供給ポート86は、フロント側上段第3供給ポート86aと、リア側上段第3供給ポート86bのそれぞれから三次空気を噴射する。ここで、上段第3供給ポート86は、一部のフロント側上段第3供給ポート86aから他のフロント側上段第3供給ポート86aよりも空気量が多い三次空気310が噴射され、一部のリア側上段第3供給ポート86bから他のリア側上段第3供給ポート86bよりも空気量が多い三次空気312が噴射される。
下段第3供給ポート88は、図22に示すように下段第3供給ポート88が並んでいる方向において、フロント側下段第3供給ポート88aとリア側下段第3供給ポート88bとが、重ならない位置に配置されている。黒液燃焼装置12eは、下段第3供給ポート88は、フロント側下段第3供給ポート88aと、リア側下段第3供給ポート88bのそれぞれから三次空気を噴射する。ここで、下段第3供給ポート88は、一部のフロント側下段第3供給ポート88aから他のフロント側下段第3供給ポート88aよりも空気量が多い三次空気316が噴射され、一部のリア側下段第3供給ポート88bから他のリア側下段第3供給ポート88bよりも空気量が多い三次空気318が噴射される。
黒液燃焼装置12eは、第3供給ポート84が並んでいる方向において、三次空気310、312、316、318が噴射される位置が重ならない位置となる。つまり、黒液燃焼装置12eは、他の第3供給ポート84よりも空気量が多い三次空気が噴射される第3供給ポート84を、第3供給ポート84が並んでいる方向において分散して配置する。また、黒液燃焼装置12eは、第3供給ポート84が並んでいる方向において、他の第3供給ポート84よりも空気量が多い三次空気が噴射される第3供給ポート84に隣接する対面する面に配置された第3供給ポート84は、当該空気量が多い三次空気を噴射する第3供給ポート84よりも空気量の少ない三次空気を噴射する他の第3供給ポート84となる。なお、空気量は、流量調整部等で調整することができる。
黒液燃焼装置12eは、空気量が多い三次空気が噴射される第3供給ポート84を、第3供給ポート84が並んでいる方向において分散して配置することで、排ガスの上昇流を鉛直方向から見た場合の位置(水平面における位置)を変動させることができる。これにより、黒液の燃焼を促進させることができる。また、黒液燃焼装置12eは、第3供給ポート84が並んでいる方向において、空気量が多い三次空気が噴射される第3供給ポート84に隣接する対面する面に配置された第3供給ポート84を、当該空気量が多い三次空気を噴射する第3供給ポート84よりも空気量の少ない三次空気を噴射する他の第3供給ポート84とすることで、排ガスの上昇流の位置をより変動させることができる。
なお、上記実施形態では、第3供給ポート84が並んでいる方向において、それぞれの面(前面40または背面44)の第3供給ポート84の間でも位置によって流量を変動させたが、少なくともフロント側の第3供給ポートとリア側の第3供給ポートとで、流量が異なる部分があればよく、かつ、上段の第3供給ポートと下段の第3供給ポートとの間で流量が多い第3供給ポートがある面が逆になっていればよい。つまり、上段第3供給ポートが、ボイラ火炉の対向する一方の面に配置された第3供給ポートよりも、ボイラ火炉の対向する他方の面に配置された第3供給ポートの方が供給する空気量が多く、下段第3供給ポートがボイラ火炉の対向する他方の面に配置された第3供給ポートよりも、ボイラ火炉の対向する一方の面に配置された第3供給ポートの方が供給する空気量が多ければよい。これにより、排ガスの上昇流の位置をより変動させることができる。
[第7実施形態]
図23は、第7実施形態の黒液燃焼装置を説明するための説明図である。図24は、第7実施形態の黒液燃焼装置を説明するための説明図である。第7実施形態の黒液燃焼装置12fは、スメルト回収部34a以外の構成が第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様である。第1実施形態の黒液燃焼装置12と同様の構成の部分については、説明を省略する。
図23及び図24に示す黒液燃焼装置12fのスメルト回収部34aは、排出配管102と、回収タンク104と、回収管108と、を有する。排出配管102と、回収タンク104とは、黒液燃焼装置12のスメルト回収部34と同様の構成である。
回収管108は、ボイラ火炉22の底面48から鉛直方向上側に向けて伸びた管状の部材であり、鉛直方向上側の端部が開放されている。回収管108は、耐熱・耐食性に優れる磁性管または水冷管とすることが好ましい。また、回収管108は、周辺に耐火材が設けられていることが好ましい。本実施形態の回収管108は、ボイラ火炉22の底面48の中央、つまり、前面40と背面44から等距離となり、左側面42と右側面46から等距離となる位置に配置されている。回収管108は、鉛直方向上側の端部が、二次空気供給部の第2供給ポート74よりも鉛直方向下側となる。回収管108は、回収タンク104と接続している。
スメルト回収部34aは、回収管108を設けることで、回収管108からチャーベットC1のスメルトSを回収する。これにより、チャーベットC1は、ボイラ火炉22の壁面(前面40、左側面42、背面44、右側面46)と回収管108との間に回収管108を囲うようなリング状の上端402が形成され、上端402からボイラ火炉22の壁面に向かう傾斜面404と、上端402から回収管108に向かう傾斜面406とを有する形状となる。チャーベットC1は、傾斜面404に移動した部分が排出配管102を介して回収タンク104に移動し、傾斜面406に移動した部分が回収管108を介して回収タンク104に移動する。
このように、黒液燃焼装置12fは、スメルト回収部34aに回収管108を設けることで、チャーベットC1の安息角と回収管108の高さとに基づいて、チャーベットC1の高さを設定した高さ以下とすることができる。つまり、チャーベットC1に黒液の粒子が堆積し、安息角よりも鋭角になったら、一部が崩れ、回収管108または排出配管102に向けて移動する。これにより、チャーベットC1の高さを設定した高さ以下とすることができる。チャーベットC1の高さを設定した高さ以下とすることで、チャーベットC1の上端402と三次空気を供給する位置までの距離を所定距離以上とすることができ、チャーベットC1の粒子が三次空気を供給する位置まで舞い上がることを抑制することができる。また、スメルト回収部34aは、回収管108を設けることで、ボイラ火炉22の側壁面に移動するチャーベットC1の粒子を少なくすることができる。これにより、ボイラ火炉22の側壁面の腐食や摩耗を抑制することができる。また、スメルト回収部34aは、回収管108を設けることで排出配管102の数をスメルト回収部34よりも減らすことができる。
ここで、回収管108は、本実施形態のように、ボイラ火炉22の底面48の中央に配置することが好ましい。これにより、ボイラ火炉22の底面48の周囲に向けて投入される黒液供給ノズル54から噴射された黒液が直接回収管108に到達することを抑制することができる。これにより、回収管108に到達するスメルトSに含まれる燃料分を少なくすることができる。
なお、上記実施形態では、いずれの実施形態でも二次空気、三次空気を供給するポートを鉛直方向に2段で配置した場合を説明したが、これに限定されない。二次空気、三次空気を供給するポートの鉛直方向の段数は、特に限定されず、1段でも3段以上でもよい。