JP6448214B2 - 皮膚バリア機能改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、JAK阻害剤の新規医薬用途に関する。より詳細には、JAK阻害剤を含有する皮膚バリア機能改善剤、JAK阻害剤を含有する老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹、接触皮膚炎等といった皮膚疾患の治療剤又は予防剤に関する。
ヤヌスキナーゼ(JAK)は、JAK1、JAK2、JAK3、およびTYK2を含む、細胞質タンパク質チロシンキナーゼ族である。
JAK阻害剤は、特許文献1、特許文献2及び特許文献3等に報告されている。
皮膚は、物理的な衝撃、温度、紫外線又は化学物質の暴露や感染などの外部刺激からの生体保護機能及び生体内部からの水分蒸散を防ぐ保湿機能といった皮膚バリア機能により、生体維持に重要な役割を果たしている。皮膚バリア機能は、表皮の最外層に位置する数層から数十層に規則正しく重なる角質層により発揮される。皮膚バリア機能の低下により、乾燥性皮膚疾患及び肌荒れ等の皮膚トラブルが生じることが知られている。
皮膚バリア機能関連タンパク質としては、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリン、ベータ‐デフェンシン3等が知られている(非特許文献1)。
フィラグリンは、角質層直下の顆粒層に存在する角化細胞において前駆体であるプロフィラグリンとして産生される。顆粒細胞の最終分化の過程で、プロフィラグリンは分解されてモノマーであるフィラグリンになる。フィラグリンは、角化細胞内でケラチン繊維を凝集させることにより、角化細胞を角質層の角質細胞に特徴的な平坦な形へ変化させる。さらに、フィラグリンは角質層内でアミノ酸に分解、放出される。これらのアミノ酸は水溶性及び吸湿性が高く、天然保湿因子(Natural Moisturizing Factors:以下、NMFと略す)を構成する主な成分であると報告されている(非特許文献1)。
角化細胞におけるプロフィラグリンmRNA発現の促進によるフィラグリンタンパク質の産生促進により、NMFの成分である角質層内のアミノ酸量が増大し、角質層の保湿機能を本質的に改善させることが期待される。
ロリクリン及びインボルクリンは、角質細胞の細胞膜を裏打ちするコーニファイドエンベロープ(CE)を構成する重要なタンパク質である。ロリクリン及びインボルクリンは、角化細胞の分化過程において、有棘層から顆粒層にかけて産生され、酵素トランスグルタミナーゼによって角化細胞の細胞膜に架橋され、不溶性の細胞膜様構造体であるCEを形成し、角質細胞の細胞骨格及び構造の安定性に寄与する(非特許文献1)。しかし、様々な要因でロリクリンやインボルクリンの産生量が減少すると、コーニファイドエンベロープ(CE)形成が不完全な状態となり、角化が正常に行われなくなる。その結果、皮膚バリア機能が低下し、肌荒れや乾燥肌等の皮膚症状を呈するようになると考えられている。
ベータ‐デフェンシン3等の抗菌ペプチドは、皮膚において、病原菌の侵入に対して物理的バリアと共に最前線の生体防御に深く関与している(非特許文献2)。
皮脂および汗の分泌が減退し、皮膚が乾燥して光沢を失い粗造になった状態を乾皮症(皮脂欠乏症)という。米糠様の鱗屑および浅い亀裂を生じ、魚鱗癬様の外観を呈して軽度の掻痒を訴えることがある。加齢による変化の一つとして見られる場合がある。皮膚バリア機能が低下しているため、外的刺激を受けやすい。(非特許文献3)
接触皮膚炎とは、外来性の刺激物質や抗原(ハプテン)が皮膚に接触することによって発症する湿疹性の炎症反応をさす。皮膚バリア機能が低下すると接触皮膚炎を引き起こしやすくなると考えられている。接触皮膚炎は大きく刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎に分類される。(非特許文献4)
尋常性魚鱗癬は、四肢伸側を中心とした落屑とドライスキンを特徴とする、有病率の高い疾患である。尋常性魚鱗癬は一遺伝子が原因で起こる遺伝性の角化障害であり、フィラグリンをコードする遺伝子の変異により発症すること、フィラグリンタンパク質の欠乏または減少の程度により角化障害の程度が変化することが報告されている(非特許文献5)。
ネザートン症候群は、先天性魚鱗癬様紅皮症ないしアトピー性皮膚炎類似の皮疹を伴う遺伝性の重度な皮膚疾患であり、Lymphoepithelial Kazal−type−related inhibitor(LEKTI)をコードするセリンプロテアーゼインヒビターであるKazal−type 5(SPINK5)遺伝子の変異により生じる。LEKTIの欠乏は、表皮のプロテアーゼの活性亢進に引き続く角質層の脱離を引き起こす。この皮膚バリア機能の障害がアレルゲンの吸収にとって好ましく、ネザートン症候群患者におけるアトピー性皮膚炎の根底にある原因と考えられている。(非特許文献6)
ピーリング皮膚症候群は、表皮角質層の脱離を特徴とする疾患である。ピーリング皮膚症候群には、非炎症型のA型と炎症型のB型が知られている。corneodesmosinの機能を完全に喪失させるCDSNのナンセンス変異がB型ピーリング皮膚症候群を引き起こす。(非特許文献7)
従って、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリン、ベータ・デフェンシン3等の発現を増加させることは、皮膚バリア機能を改善し、肌荒れや乾燥肌等の皮膚疾患、例えば、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹、接触皮膚炎、尋常性魚鱗癬、ネザートン症候群及びB型ピーリング皮膚症候群の治療又は予防に有効であると考えられる。
国際公開WO02/096909号 米国特許出願公開第2007/0135461号明細書 日本特開2011−46700号公報
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発明が解決しようとする課題は、JAK阻害剤の新規医薬用途を提供することである。
本発明者らは、JAK阻害剤の新規医薬用途を開発するために鋭意研究を重ね、JAK阻害剤が皮膚バリア機能関連タンパク質であるフィラグリン、ロリクリン、インボルクリン及びベータ‐デフェンシン3の発現量を上昇させること、Tape Stripping処理マウスにおいて有意にNMF産生を促進すること、及びドライスキンマウスモデルにおいて経皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss、以下TEWLとする)の減少を有意に促進すること即ち皮膚バリア機能を改善することを初めて見出した。その結果、JAK阻害剤が皮膚バリア機能の低下に起因する様々な皮膚疾患に対して有効であることを初めて見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]JAK阻害剤を有効成分として含有する、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹及び接触皮膚炎からなる群から選択される皮膚疾患の治療剤又は予防剤。
[2][1]において選択される皮膚疾患が老人性乾皮症である[1]に記載の治療剤又は予防剤。
[3][1]において選択される皮膚疾患が皮脂欠乏症である[1]に記載の治療剤又は予防剤。
[4][1]において選択される皮膚疾患が湿疹である[1]に記載の治療剤又は予防剤。
[5][1]において選択される皮膚疾患が接触皮膚炎である[1]に記載の治療剤又は予防剤。
[6]JAK阻害剤が、下記化学構造式:
で示される化合物又はその医薬上許容される塩である[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の治療剤又は予防剤。
[7]JAK阻害剤が、下記化学構造式:
で示される化合物又はその医薬上許容される塩である[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の治療剤又は予防剤。
[8]JAK阻害剤が、下記化学構造式:
で示される化合物又はその医薬上許容される塩である[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の治療剤又は予防剤。
[9]JAK阻害剤を有効成分として含有する、皮膚バリア機能改善剤。
[10]JAK阻害剤を有効成分として含有する、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリン及びベータ‐デフェンシン3からなる群から選択される遺伝子の転写促進剤。
[11]JAK阻害剤を有効成分として含有する、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリン及びベータ‐デフェンシン3からなる群から選択されるタンパク質の産生促進剤。
[12]JAK阻害剤が、下記化学構造式:
で示される化合物又はその医薬上許容される塩である[9]乃至[11]のいずれか1項に記載の剤。
[13]JAK阻害剤が、下記化学構造式:
で示される化合物又はその医薬上許容される塩である[9]乃至[11]のいずれか1項に記載の剤。
[14]JAK阻害剤が、下記化学構造式:
で示される化合物又はその医薬上許容される塩である[9]乃至[11]のいずれか1項に記載の剤。
本発明は、JAK阻害剤の新規医薬用途を提供する。
新生児正常ヒト表皮角化細胞における、JAK阻害剤によるプロフィラグリンmRNA量の増加を示した図である。(実施例1) 新生児正常ヒト表皮角化細胞における、JAK阻害剤によるロリクリンmRNA量の増加を示した図である。(実施例1) 新生児正常ヒト表皮角化細胞における、JAK阻害剤によるインボルクリンmRNA量の増加を示した図である。(実施例1) 新生児正常ヒト表皮角化細胞における、JAK阻害剤によるベータ‐デフェンシン3mRNA量の増加を示した図である。(実施例1) Tape Stripping処置マウスにおける、化合物AによるNMF産生促進作用を示した図である。(実施例2) Tape Stripping処置マウスにおける、化合物Bの一クエン酸塩によるNMF産生促進作用を示した図である。(実施例2) 接触皮膚炎モデルマウスにおける、化合物Aによる耳介腫脹の抑制を示した図である。(実施例3) 三次元培養皮膚モデルにおける、IL−4/IL−13存在下での化合物Aによるフィラグリン及びロリクリンタンパク質量の増加を示した図である。(実施例4) 三次元培養皮膚モデルにおける、IL−4/IL−13非存在下での化合物Aによるフィラグリン及びロリクリンタンパク質量の増加を示した図である。(実施例4) ドライスキンモデルマウスにおける、化合物AによるプロフィラグリンmRNA量の増加を示した図である。(実施例5) ドライスキンモデルマウスにおける、化合物AによるNMF産生促進作用を示した図である。(実施例5) ドライスキンモデルマウスにおける、化合物AによるTEWLの減少を促進する作用を示した図である。(実施例5)
本明細書における用語の定義は以下のとおりである。
下記化学構造式:
で示される化合物を化合物Aと呼ぶ。
化合物Aの化学名は、3-[(3S,4R)-3-Methyl-6-(7H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)-1,6-diazaspiro[3.4]octan-1-yl]-3-oxopropanenitrileである。
化合物Aの化学名は、3-[(3S,4R)-3-メチル-6-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン-1-イル]-3-オキソプロパンニトリルである。
下記構造式:
で示される化合物を化合物Bと呼ぶ。
化合物Bの化学名は、3-{(3R,4R)-4-Methyl-3-[methyl(7H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)amino]piperidin-1-yl}-3-oxopropanenitrileである。
化合物Bの化学名は、3-{(3R,4R)-4-メチル-3-[メチル(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ]ピペリジン-1-イル}-3-オキソプロパンニトリルである。
下記構造式:
を化合物Cと呼ぶ。
化合物Cの化学名は、(3R)-3-Cyclopentyl-3-[4-(7H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)-1H-pyrazol-1-yl]propanenitrileである。
化合物Cの化学名は、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルである。
化合物Aは、特許文献3の製造例6に記載の方法に従い製造することができる。
化合物Bは、特許文献1に記載の方法に従い製造することができる。
化合物Cは、特許文献2に記載の方法に従い製造することができる。
化合物A、B及びCは、JAKを阻害することが知られている。
「医薬上許容される塩」とは、化合物A、B又はCと無毒の塩を形成するものであればいかなる塩でもよく、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、有機塩基との塩、アミノ酸との塩等が挙げられる。
無機酸との塩として、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩として、例えば、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。
無機塩基との塩として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
有機塩基との塩として、例えば、メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、グアニジン、ピリジン、ピコリン、コリン、シンコニン、メグルミン等との塩が挙げられる。
アミノ酸との塩として、例えば、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
周知の方法に従って、化合物A、B又はCと無機塩基、有機塩基、無機酸、有機酸又はアミノ酸とを反応させることにより、各々の塩を得ることができる。
また、化合物A、B又はCは、同位元素(例えば、H、14C、35S等)で標識されていてもよい。
化合物A、B又はC、或いはその医薬上許容される塩としては、実質的に精製された、化合物A、B又はC、或いはその医薬上許容される塩が好ましい。さらに好ましくは、80%以上の純度に精製された、化合物A、B又はC、或いはその医薬上許容される塩である。
「医薬組成物」としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤、又は外用剤、坐剤、注射剤、点眼剤、経鼻剤、経肺剤等の非経口剤が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、医薬製剤の技術分野において公知の方法に従って、化合物A、B又はC、或いはその医薬上許容される塩を、少なくとも1種以上の医薬上許容される担体等と、適宜、適量混合等することによって、製造される。該医薬組成物中の化合物A、B又はC、或いはその医薬上許容される塩の含量は、剤形、投与量等により異なるが、例えば、組成物全体の0.1〜100重量%である。
「医薬上許容される担体」としては、製剤素材として慣用の各種有機又は無機担体物質が挙げられ、例えば、固形製剤における賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤等、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等及び半固形製剤における基剤、乳化剤、湿潤剤、安定剤、安定化剤、分散剤、可塑剤、pH調節剤、吸収促進剤、ゲル化剤、防腐剤、充填剤、溶解剤、溶解補助剤、懸濁化剤等が挙げられる。更に必要に応じて、保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物が用いられる。
「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、トウモロコシデンプン、デキストリン、微結晶セルロース、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム等が挙げられる。
「崩壊剤」としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース等が挙げられる。
「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、結晶セルロース、白糖、デキストリン、デンプン、ゼラチン、カルメロースナトリウム、アラビアゴム等が挙げられる。
「流動化剤」としては、例えば、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
「溶剤」としては、例えば、精製水、エタノール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
「溶解補助剤」としては、例えば、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
「懸濁化剤」としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、ポビドン、メチルセルロース、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。
「等張化剤」としては、例えば、ブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、D−マンニトール等が挙げられる。
「緩衝剤」としては、例えば、リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
「無痛化剤」としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
「基剤」としては、水、動植物油(例えばオリーブ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ゴマ油、ヒマシ油等)、低級アルコール類(例えばエタノール、プロパノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、フェノール等)、高級脂肪酸およびそのエステル、ロウ類、高級アルコール、多価アルコール、炭化水素類(白色ワセリン、流動パラフィン、パラフィン等)、親水ワセリン、精製ラノリン、吸水軟膏、加水ラノリン、親水軟膏、デンプン、プルラン、アラビアガム、トラガカントガム、ゼラチン、デキストラン、セルロース誘導体(例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、合成高分子(例えばカルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)、プロピレングリコール、マクロゴール(例えばマクロゴール200〜600等)、およびそれらの2種以上の組合せが挙げられる。
「保存剤」としては、例えば、パラオキシ安息香酸エチル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸等が挙げられる。
「抗酸化剤」としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸等が挙げられる。
「着色剤」としては、例えば、食用色素(例えば食用赤色2号又は3号、食用黄色4号又は5号等)、β−カロテン等が挙げられる。
「甘味剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、ヒト以外の哺乳動物(例えばマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル等)及びヒトに対しても、経口的又は非経口的(例えば局所、直腸、静脈投与等)に投与することができる。投与量は、投与対象、疾患、症状、剤形、投与ルート等により異なるが、例えば、化合物A、B又はCを有効成分として1日あたり、通常約0.01mg〜1gの範囲である。これらの量を1回乃至数回に分けて投与することができる。
外用剤は、剤形などに応じて、例えば、塗布、塗擦又は散布などにより適用できる。外用剤の患部への適用量は、活性成分の含有量などに応じて選択でき、例えば1日1回乃至数回適用できる。
「JAK」とは、JAKファミリーに属するJAK1、JAK2、JAK3、およびTYK2のうち一つ又は二つ以上の酵素である。
「JAKを阻害する」とは、JAKの機能を阻害してその活性を消失又は減弱することを意味し、JAKファミリーに属する一つ又は二つ以上の酵素を阻害することを意味する。
「JAKを阻害する」は、好ましくは「ヒトJAKを阻害する」である。機能の阻害ないし活性の消失又は減弱は、好ましくはヒトの臨床的適用の場面で行われる。
「JAK阻害剤」とは、JAKを阻害する物質であれば何でもよく、例えば、低分子化合物、核酸、ポリペプチド、タンパク質、抗体、ワクチン等であってよい。「JAK阻害剤」は、好ましくは「ヒトJAK阻害剤」である。
皮膚疾患として好ましくは、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹又は接触皮膚炎である。
JAK阻害剤として好ましくは、化合物A、B又はC、或いはその医薬上許容される塩である。さらに好ましくは、化合物A、化合物Bの一クエン酸塩又は化合物Cの一リン酸塩である。
本明細書において治療とは、症状の改善、重症化の防止、寛解の維持、再燃の防止、さらには再発の防止も含む。本明細書において予防とは、症状の発症を抑制することを意味する。
本発明の実施の一態様として、医薬上有効量のJAK阻害剤を哺乳動物に投与することを特徴とする、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹及び接触皮膚炎からなる群から選択される皮膚疾患の治療方法又は予防方法が挙げられる。
本発明の実施の一態様として、JAK阻害剤及び医薬上許容される担体を含む、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹及び接触皮膚炎からなる群から選択される皮膚疾患の治療又は予防のための医薬組成物が挙げられる。
本発明の実施の一態様として、医薬上有効量のJAK阻害剤を哺乳動物に投与することを特徴とする、皮膚バリア機能改善方法が挙げられる。
本発明の実施の一態様として、医薬上有効量のJAK阻害剤を哺乳動物に投与することを特徴とする、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリン及びベータ‐デフェンシン3からなる群から選択される遺伝子の転写促進方法が挙げられる。
本発明の実施の一態様として、医薬上有効量のJAK阻害剤を哺乳動物に投与することを特徴とする、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリン及びベータ‐デフェンシン3からなる群から選択されるタンパク質の産生促進方法が挙げられる。
本発明の実施の一態様として、医薬上有効量のJAK阻害剤を哺乳動物に投与することを特徴とする、NMFの産生促進方法が挙げられる。
本発明の実施の一態様として、医薬上有効量のJAK阻害剤を哺乳動物に投与することを特徴とする、TEWLを減少させる方法が挙げられる。
哺乳動物とは、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル等であり、好ましくはヒトである。
ヒトとは、より好ましくは、有病者であり、医学的手当てを必要とするヒトである。
本発明の実施の一態様として、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹及び接触皮膚炎からなる群から選択される皮膚疾患の治療又は予防のためのJAK阻害剤の使用が挙げられる。
本発明の実施の一態様として、皮膚バリア機能改善のためのJAK阻害剤の使用が挙げられる。
本発明の実施の一態様として、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリン及びベータ‐デフェンシン3からなる群から選択される遺伝子の転写促進又はタンパク質産生促進のためのJAK阻害剤の使用が挙げられる。
本発明として好ましくは、化合物A、化合物Bの一クエン酸塩又は化合物Cの一リン酸塩を含有する、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹又は接触皮膚炎の治療剤又は予防剤である。
本発明として好ましくは、化合物A、化合物Bの一クエン酸塩又は化合物Cの一リン酸塩及び医薬上許容される担体を含む、医薬組成物である。
実験1.新生児正常ヒト表皮角化細胞における、JAK阻害剤による皮膚バリア関連タンパク質のmRNA量の増加
カルシウム刺激により分化することが知られている新生児正常ヒト表皮角化細胞(Lonza社)を実験に用いた(非特許文献8)。新生児正常ヒト表皮角化細胞(Lonza社)を、Human Keratinocyte Growth Supplement(Cascade Biologics社)を添加したEpiLife Medium with 0.06mM Calcium(Cascade Biologics社))にて、細胞の取扱説明書に従い、培養した。新生児正常ヒト表皮角化細胞を、5×105個/wellで12ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO下で2時間培養した。上記細胞から培養上清を除いた後、各最終濃度100ng/mL ヒトIL−4及びヒトIL−13(R&D社)の存在下又は非存在下で、各種濃度の被験物質及び1.3mmol/L 塩化カルシウムを含む培養培地を添加し、細胞を37℃、5%CO下で5日間培養した。化合物A、化合物Bの一クエン酸塩又は化合物Cの一リン酸塩を被験物質として用いた。
Total RNAを、GenElute Mammalian Total RNA Miniprep Kit(Sigma−Aldrich社)を用いて、取扱説明書に従い、上記培養細胞から精製した。
上記RNAをHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit with RNase Inhibitor(Applied Biosystems社)を用いて、取扱説明書に従い、cDNAに逆転写した。上記cDNAをリアルタイムPCR法により、Taqman Gene Expresion Master Mix(Applied Biosystems社)を用いて、取扱説明書に従い、ABI Prism 7900HT sequence detectorで分析し、ヒトプロフィラグリン、ロリクリン、インボルクリン、ベータ‐デフェンシン3及びグリセルアルデヒド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のCt値(Threshold Cycle)をそれぞれ求めた。GAPDHは内部標準として使用した。プライマー及びプローブは、Applied Biosystems社から購入したものを使用した(TaqMan Gene Expression Assays)。
ヒトプロフィラグリン、ロリクリン、インボルクリン及びベータ‐デフェンシン3の各相対mRNA量は比較Ct法により算出した。各被験物質を添加した細胞のmRNA量は、ヒトIL−4、ヒトIL−13及び被験物質を添加しなかった細胞における各遺伝子のmRNA量に対する比として、示した。結果を図1〜4に示す。
実験2.Tape Stripping処置マウスにおける、JAK阻害剤によるNMF産生促進作用
Tape Stripping処置マウス(非特許文献9)を用いて、JAK阻害剤によるNMF産生促進作用を評価した。実験動物は、8−10週齢の雌性C57BL/6jマウス(清水実験材料株式会社)を用いた。
マウス左耳介内側にセロハンテープ(NICHIBAN)を貼付し剥離すること(Tape Stripping)を5回繰り返し、角質を剥離した。Tape Stripping6日後まで1日1回、アセトン(Vehicle)または0.5%(w/v)の被験物質を、Tape Strippingした部位にそれぞれ0.02mLずつ塗布した。Tape Stripping1日目は、Tape Stripping1時間後にアセトン(Vehicle)または被験物質を塗布した。化合物A又は化合物Bの一クエン酸塩を被験物質として用いた。
Tape Stripping1、5及び7日後に、左耳介内側の総NMF量を、in vivo共焦点ラマン分光装置(model 3510、RiverDiagnostics社)で求めた。
左耳介内側表面より8マイクロメータの深さまで1マイクロメータ間隔で、励起波長を785nmとして400〜1800cm−1領域のラマンスペクトルを測定した。総NMF量は、Skin Tools 2.0(RiverDiagnostics社)を用いてケラチンあたりの量として定量した。各測定時には個体毎に2−5回測定を行った。測定深度毎に総NMF量の平均値を算出し、各深度における個体値として示した。化合物Aの結果を図5に、化合物Bの一クエン酸塩の結果を図6に示した。
実験3.接触皮膚炎モデルマウスにおける、JAK阻害剤による耳介腫脹の抑制
DNFBに対する接触皮膚炎モデルマウス(非特許文献10)を用いて、JAK阻害剤の耳介腫脹抑制作用を評価した。実験動物は、8週齢の雌性C57BL/6jマウス(清水実験材料株式会社)を用いた。
マウス腹部を剃毛し、AOO(アセトンとオリーブオイルを4:1で混合した溶液)で希釈した0.5%(w/v)DNFB(2,4−Dinitrofluorobenzene、Sigma−Aldrich社)をそれぞれ0.025mLずつ腹部に塗布した(感作)。5日後、AOOで希釈した0.3%(w/v)DNFBをマウス両耳介の表裏にそれぞれ0.01mLずつ塗布した(惹起)。感作日より1日1回5日間、Vehicle群に0.5%(w/v)メチルセルロース(MC)を、化合物A投与群に0.5%(w/v)MCに懸濁した0.3mg/mLまたは3mg/mLの化合物Aを10mL/Kgの投与用量で経口投与した。各群は3匹ずつとした。感作及び惹起日は、感作及び惹起の1時間前に0.5%(w/v)MCまたは化合物Aを経口投与した。
惹起前及び惹起24時間後に両耳介の厚さをシックネスゲージ(TECLOCK社)で1回測定し、惹起前の各耳介の厚さからの変化量の平均を個体値とした。結果を図7に示した。
実験4.三次元培養皮膚モデルにおける、JAK阻害剤による皮膚バリア関連タンパク質のタンパク質量の増加
三次元培養皮膚モデルとして、TESTSKIN LSE−high(東洋紡社、TMLSE−013A)を用いた(非特許文献11)。TESTSKIN LSE−highの取扱い説明書に従い、トランスウェル上のLiving Skin Equivalent(LSE)組織を、キットに含まれているアッセイ培地にて、37℃、5%CO下で24時間培養した。
LSE組織培養系より培地を除いた後、各最終濃度20ng/mLのヒトIL−4及びヒトIL−13(R&D社)存在下又は非存在下で、最終濃度1000nmol/Lの化合物Aを含むアッセイ培地を添加し、LSE組織を37℃、5%CO下で3日間培養した。上記と同様に培地交換を行い、LSE組織を37℃、5%CO下でさらに2日間培養した。
LSE組織の表皮層をチューブにそれぞれ回収し、9mol/L 尿素、2% Triton X−100、プロテアーゼインヒビターカクテル(シグマ社、P8340)及びホスファターゼインヒビターカクテル(ナカライテスク社、07575−51)を含む50mmol/L Tris−HCl(pH8.0)緩衝液を0.1mLずつ添加し、超音波処理で溶解した。組織溶解液に1.73mmol/L 2−メルカプトエタノールを含むラミニSDS−PAGEサンプルバッファーを0.08mLずつ添加し、95度で5分間加熱し、タンパク質を熱変性させた。
熱変性させたタンパク質(0.015mg/lane)を、4−12% NuPAGE Bis−Tris gel(Life technologies社)上でSDS−ポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)により分離し、ウエスタンブロット法でフィラグリンタンパク質及びロリクリンタンパク質を検出した。内部標準としてGAPDHタンパク質を検出した。常法に従い、SDS−PAGEで分離したタンパク質をPVDF膜(GE Healthcare社)へブロッティングし、PVDF膜を5%スキムミルク(ナカライテスク社)でブロッキングした。PVDF膜を一次抗体(マウス抗ヒトフィラグリン抗体(Santa Cruz Biotechnology社、sc−66192、300倍希釈)、ウサギ抗ヒトロリクリン抗体(Covance社、PRB−145P、1000倍希釈)もしくはウサギ抗ヒトGAPDH抗体(Genetex社、GTX100118、1000倍希釈))でインキュベーションした後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識された二次抗体(ヒツジ抗マウスIgG抗体(GE Healthcare社、RPN2124、10000倍希釈)もしくはヤギ抗ウサギIgG抗体(Cell Signaling Technology社、7074、3000倍希釈))でインキュベーションした。化学発光基質(ECL Western Blotting Detection Reagents;GE Healthcare、RPN2232)を取扱い説明書に従って使用して、PVDF膜よりオートラジオグラフィー用フィルムAmersham Hyperfilm ECL(GE Healthcare社)へ露光し、目的とするタンパク質を検出した。結果を図8及び9に示した。
実験5.ドライスキンモデルマウスにおける、JAK阻害剤によるプロフィラグリンmRNA量の増加、NMF産生促進及びTEWLの減少の促進
「ドライスキンモデルマウスの作製」
ドライスキンモデルマウス(非特許文献12)を用いて、JAK阻害剤の皮膚バリア機能の改善効果を評価した。実験動物は、8週齢の雌性C57BL/6JJmsSlcマウス(日本エスエルシー社)を用いた。
アセトンとジエチルエーテルの混合液(1:1)に浸漬した脱脂綿をマウスの右または両耳介内側の表面に30秒間置いた後、水に浸漬した脱脂綿を同じ領域に30秒間置いた(以下、A/E/W処理と略す)。この処理を各群とも1日2回、7日間行い、ドライスキンモデルを作製した。A/E/W処理を開始した日をDay0とした。正常対照群にはA/E/W無処置のマウスを使用した。
1%(v/v)DMSO含有アセトンに溶解した最終濃度0.5%(w/v)の化合物Aを、Day0から、1日1回7日間、A/E/W処理直後に、A/E/W処理した領域に0.02mLずつ塗布した(化合物A投与群)。Vehicle群には、1%(v/v)DMSO含有アセトンを、Day0から、1日1回7日間、A/E/W処理直後に、A/E/W処理した領域に0.02mLずつ塗布した。
「定量的リアルタイムPCR」
右耳介にA/E/W処理を行ったマウスを実験に用いた。Day0、3及び6のA/E/W処置直前に、マウス右耳介(化合物A投与群及びVehicle群;各n=4)からTotal RNAをRNeasy mini kit(QIAGEN社)を用いて、取扱い説明書に従い、抽出した後、DNase I(タカラバイオ社)で消化した。Total RNAを、Prime Script RT reagent kit(タカラバイオ社)を用いて、取扱い説明書に従い、cDNAに逆転写した。cDNAを、LightCycler 480 SYBR Green I Master(ロッシュ社)とLightCycler 480 II(ロッシュ社)を用いたリアルタイムPCR法(インターカレーター法)により分析し、マウスプロフィラグリン及びGAPDHのCt値をそれぞれ求めた。GAPDHは内部標準として使用した。用いたプライマーはすべてグライナージャパン社から購入した。マウスプロフィラグリンのフォワードプライマーとして、5’−ATG TCC GCT CTC CTG GAA AG−3’を、リバースプライマーとして5’−TGG ATT CTT CAA GAC TGC CTG TA−3’をマウスGAPDHのフォワードプライマーとして、5’−GGC CTC ACC CCA TTT GAT GT−3’を、リバースプライマーとして5’−CAT GTT CCA GTA TGA CTC CAC TC−3’を用いた。サンプル毎に2回測定し、その平均値を各サンプル値とした。マウスプロフィラグリンの相対mRNA量は比較Ct法により算出した。各サンプルのmRNA量は、Day0におけるマウスプロフィラグリンのmRNA量に対する比として、示した。結果を図10に示した。
「NMFの測定」
両耳介にA/E/W処理を行ったマウスを実験に用いた。Day7に、マウス両耳介角質層の総NMF量を、in vivo共焦点ラマン分光装置(model 3510、RiverDiagnostics社)で求めた(化合物A投与群及びVehicle群;各n=3)。
耳介内側表面より8マイクロメータの深さまで1マイクロメータ間隔で、励起波長を785nmとして400〜1800cm−1領域のラマンスペクトルを測定した。総NMF量は、Skin Tools 2.0(RiverDiagnostics社)を用いてケラチンあたりの量として定量した。耳介毎にそれぞれ4回測定を行った。測定深度毎に総NMF量の平均値を算出し、各深度における個体値とした。正常対照として、A/E/W無処理マウス(n=1)の耳介角質層の総NMF量を測定した。結果を図11に示した。
「TEWLの測定」
右耳介にA/E/W処理を行ったマウスを実験に用いた。A/E/W処理した領域からのTEWLの測定は、Day0、1、3及び4のA/E/W処置直前とDay7に行なった(化合物A投与群及びVehicle群;各n=4)。TEWLの測定は、室温(摂氏23度から26度)、湿度40%から60%で、水分蒸散量測定装置VAPOSCAN AS−VT100RS(アサヒバイオメッド)を用いて測定した。個体毎に2回測定を行い、その平均値を各個体値とした。結果を図12に示した。
本発明は、JAK阻害剤の皮膚疾患を対象疾患とする新規医薬用途を提供する。

Claims (6)

  1. 下記化学構造式:
    で示される化合物又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、尋常性魚鱗癬、ネザートン症候群及びB型ピーリング皮膚症候群からなる群から選択される皮膚疾患の治療剤又は予防剤。
  2. 請求項1において選択される皮膚疾患が老人性乾皮症である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。
  3. 請求項1において選択される皮膚疾患が皮脂欠乏症である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。
  4. 請求項1において選択される皮膚疾患が尋常性魚鱗癬である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。
  5. 請求項1において選択される皮膚疾患がネザートン症候群である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。
  6. 請求項1において選択される皮膚疾患がB型ピーリング皮膚症候群である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。
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