JP6447806B2 - 排水弁装置、及び、この排水弁装置を備えたワンピースの水洗大便器 - Google Patents
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Description
また、一般的に、ワンピースの水洗大便器においては、便器の洗浄能力を確保するために、洗浄水タンク部から便器本体部に供給される洗浄水の瞬間流量をできるだけ高く確保する必要があるが、上述した従来の排水弁装置では、排水バルブ本体部の排水流路内に固定金具が配置される構造であるため、その分、排水流路は固定金具が占有する領域の分だけ狭くなる。したがって、洗浄水タンクの排水開始前の初期水位を高く設定して洗浄水のヘッド圧を高く設定したり、排水口の口径を大きく設定したりする等、高い瞬間流量を確保するための様々な設計上の工夫が便器本体部や洗浄水タンク部においてなされている。
一方、従来の水洗大便器においては、上述したワンピースの水洗大便器の形態以外にも、洗浄水タンクと便器本体とが予め別々の部品として形成された後に両者が組み付けられる、いわゆる、ツーピースの水洗大便器の形態についても知られている。
このようなツーピースの水洗大便器では、ワンピースの水洗大便器の形態とは異なり、洗浄水タンクを便器本体に組み付ける前に、予め洗浄水タンクの排水口に排水バルブ本体部を外部から固定部材で固定することができるため、排水流路内に固定金具を配置する必要はなく、便器本体の仕様や使用状況、要求される洗浄能力に応じて、洗浄水タンクを適宜選択して組み付けることができ、便器のデザインの多様化にも対応できるように、洗浄水タンクの排水口の口径を所定の寸法に標準化して、排水弁装置をできるだけ共通化させる等の工夫がなされている。
しかしながら、ワンピースの水洗大便器の洗浄水タンクの排水口の口径をツーピースの水洗大便器の洗浄水タンクの排水口の口径と共通化させた場合、固定金具により排水流路が狭くなるという問題が避けられず、固定金具を排水流路内に設けていない場合と比べて、洗浄水の瞬間流量が低下し、便器の洗浄性能が十分に確保することができないため、ワンピースとツーピースのそれぞれの水洗大便器に対して、共通の排水弁装置を適用することが難しいという問題がある。
このように構成された本発明においては、固定部が排水部本体の流路内に突出するように形成されていても、固定部と同じ高さにある排水部本体の流路の壁面が下流に向けて流路の断面積を拡大するように外側に湾曲する湾曲部を形成していることにより、排水部本体の流路内を通過する洗浄水の瞬間流量について、排水部本体の流路内に固定部が設けられておらず且つその流路の断面積がほぼ一定である別の排水部本体を洗浄水タンクの同一径の排水口に取り付けた場合とほぼ等しい瞬間流量を確保することができる。
また、排水部本体の流路内に固定部が設けられていても、流路の壁面に湾曲部が形成されていない更なる別の排水部本体と比べても、湾曲部によって形成される流路スペースによって排水部本体の流路を流れる洗浄水の瞬間流量を大きく設定することもできる。
したがって、洗浄水タンクから排水部本体の流路内に流入した洗浄水を便器に効率的に供給することができ、便器の洗浄性能を向上させることができる。
さらに、本発明の排水弁装置によれば、排水部本体の流路内に固定部が設けられていない別の排水部本体が本来取り付けられる洗浄水タンクの排水口や、排水部本体の流路内に固定部が設けられていても、流路の壁面に湾曲部が形成されていない更なる別の排水部本体が本来取り付けられる洗浄水タンクの排水口に対しても、同一径の排水口であれば、本発明の排水弁装置の排水部本体を簡単に取り付けることができる。
したがって、これらの別の排水部本体を排水口に取り付けた場合と比べても、洗浄水タンクから排水部本体の流路を経て便器に供給する洗浄水の瞬間流量を低下させることなく、比較的高い瞬間流量を確保することができる。よって、種々の便器や洗浄水タンクに対しても排水弁装置を共通化させて適用することができ、使い勝手がよい。
また、排水部本体の流路が、その壁面の上端部から上流の流入口に向かう程、流路断面積が拡大されるように形成されているため、洗浄水タンク内の洗浄水が排水部本体の流入口から流路内に流入する際に、流入口から流路の壁面に沿って剥離することなく滑らかに流れることができる。
したがって、洗浄水タンクから排水部本体の流路を経て便器に比較的高い瞬間流量の洗浄水を供給することができ、便器の洗浄性能を向上させることができる。
このように構成された本発明においては、排水部本体の流路を形成する固定部の表面が湾曲状に形成されているため、洗浄水タンク内の洗浄水が排水部本体の流入口から流路内に流入し、固定部の湾曲状の表面を通過する際、洗浄水が固定部の湾曲状の表面に沿って剥離することなく滑らかに流れることができる。よって、洗浄水タンクから便器に比較的高い瞬間流量の洗浄水を供給することができる。したがって、排水部本体の流路内に固定部が形成されていても、洗浄水タンクから排水部本体の流路内に流入して固定部を通過する洗浄水の流れが阻害されることなく、便器に比較的高い瞬間流量の洗浄水を供給することができ、便器の洗浄性能を向上させることができる。
このように構成された本発明においては、排水部本体の流路が、固定部の高さ方向に沿って流路断面積がほぼ同一になるように固定部の表面と流路の壁面が湾曲状に形成されている領域を備えているため、排水部本体の流路内に固定部が形成されていても、洗浄水が湾曲状の固定部の表面や湾曲状の流路の壁面に沿って剥離することなく滑らかに流れることができ、比較的高い瞬間流量を確保することができる。したがって、洗浄水タンクから排水部本体の流路を経て便器に比較的高い瞬間流量の洗浄水を供給することができ、便器の洗浄性能を向上させることができる。
このように構成された本発明においては、洗浄水タンクから便器本体に比較的高い瞬間流量の洗浄水を供給することができ、便器の洗浄性能を向上させることができる。
まず、図1及び図2により、本発明の一実施形態による排水弁装置が適用されるワンピースの水洗大便器について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の側面断面図である。
また、便器本体部4のボウル部12の底部には、排水トラップ管路18の入口18aが開口し、この排水トラップ管路18は、上方に延びる上昇管18bと、下方に延びる下降管18cを備えている。この排水トラップ管路18の形状から分かるように、本実施形態による水洗大便器2は、サイホン作用を利用してボウル部内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式の水洗大便器である。
なお、水洗大便器2としては、サイホン式の水洗大便器に限定されず、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、洗い落し式の水洗大便器等の他のタイプの水洗便器にも適用可能である。
また、導水路20は、下流に向かってリム部14の後壁面14a付近の分岐領域20aまで延びた後、この分岐領域20aから第1リム吐水口22まで延びる第1導水路20bと、分岐領域20aから第2リム吐水口24まで延びる第2導水路20cと備えており、導水路20の洗浄水は、分岐領域20aから第1導水路20bを経て第1リム吐水口22に到達する一方、分岐領域20aから第2導水路20cを経て第2リム吐水口24に到達し、第1リム吐水口22及び第2リム吐水口24のそれぞれから吐水され、ボウル部12が洗浄され、汚物が排水トラップ管路18から排出されるようになっている。
図3は、本発明の一実施形態による排水弁装置が適用されたワンピースの水洗大便器の洗浄水タンク部について、貯水タンクの上蓋及び前側壁面を省略して内部構造を前方斜め上方から見た斜視図である。
図2及び図3に示すように、本発明の一実施形態による排水弁装置1が適用されたワンピースの水洗大便器2の洗浄水タンク部6の貯水タンク8内には、この貯水タンク8内に洗浄水を供給する給水装置26と、貯水タンク8に貯えられた洗浄水について排水口10を開放して便器本体部4の導水路20に流出させる、詳細は後述する排水弁装置1が設けられている。この排水弁装置1は、操作装置28の操作レバー30の操作により1本の操作ワイヤ32が引き上げられることによって弁体34が上昇して貯水タンク8の排水口10が開放される、いわゆる、ワイヤ駆動式の直動型の排水弁装置である。
また、給水装置26においては、排水弁装置1により、貯水タンク8内の洗浄水が便器に排水されると、洗浄水の水位が低下してフロート40が下降し、それにより給水バルブ38が開き、吐水口42からの吐水が開始され、洗浄水タンク部6の外部の給水源(図示せず)から貯水タンク8内への吐水が開始されるようになっている。
さらに、吐水が継続されて貯水タンク8内の水位が上昇すると、フロート40が上昇し、それにより給水バルブ38が閉鎖され、吐水口42からの吐水が止水されるようになっている。これにより、貯水タンク8内の洗浄水の水位が満水時の所定水位(以下「満水水位W0」)に維持されるようになっている。ここで、満水水位W0は、実質的には、排水開始前の貯水タンク8内の初期水位にも相当している。
なお、給水装置26は、本実施形態では説明を省略するが、リフィール管(図示せず)等を備えており、このリフィール管(図示せず)から流出する一部の洗浄水が、オーバーフロー管44内に流れ込み、便器本体部4の導水路20を経て補給水としてボウル部12内に供給されることができるようになっている。
まず、図4は、本発明の一実施形態による排水弁装置を示す正面図であり、図5は、本発明の一実施形態による排水弁装置を示す正面断面図である。また、図6は、図4のVI−VI線に沿って見た断面図であり、図7は、図4のVII−VII線に沿って見た断面図である。さらに、図8は、図5に示す本発明の一実施形態による排水弁装置の下方部分を拡大した拡大断面図である。
また、図3〜図8に示すように、排水部本体部材48は、管状の排水流路50を形成し且つ貯水タンク8の底部8aの取付穴8bに取り付けられる側壁部52と、この側壁部52の外側に所定間隔を置いて環状に形成され且つ貯水タンク8の底部8aの上側面8cに取り付けられるベース部54を備えている。
さらに、図5及び図8に示すように、側壁部52とベース部54との間に形成される環状の空間には、パッキン等のシール部材56が取り付けられており、このシール部材56により、ベース部54の外側の洗浄水が貯水タンク8の底部8aの取付穴8bと側壁部52の外側面52aとの隙間から漏出しないように密封されている。
また、図5及び図8に示すように、排水部本体部材48の側壁部52の下端面52aは、貯水タンク8の底部8aの取付穴8bに挿入されてシール部材56の下面よりも下方に延び、貯水タンク8の底部8aの下側面8dとほぼ面一となるように位置し、排水流路50の流出口50aを形成している。
また、固定部58は、排水部本体部材48の側壁部52の内側面52cに一体的に形成されて排水流路50内に突出し且つ各皿ねじ60,62の取付穴64,66が上下方向に貫くように形成されている一対の皿ねじ取付部68,70を備えている。
さらに、固定部58は、各皿ねじ取付部68,70に取り付けられた各皿ねじ60,62の下方部分にそれぞれ螺合される一対の固定金具72,74を備えている。
図7に示すように、各固定金具72,74の外側先端部72a,74aは、排水部本体部材48の側壁部52よりも外側に位置しており、図8に示すように、各固定金具72,74は、排水部本体部材48の側壁部52の下端面52bよりも下方に位置している。
また、図6〜図8に示すように、各皿ねじ60,62をその中心軸線回りに締め付ける方向に回転させると、各固定金具72,74を上昇させるように調整することができるようになっており、各固定金具72,74の外側先端部72a,74aの上面72b,74bが貯水タンク8の底部8aの下側面8dに当接することにより、貯水タンク8の底部8aが上方の排水部本体部材48のベース部54と下方の各固定金具72,74とによって挟持されるようになっている。そして、このように貯水タンク8の底部8aが排水部本体部材48のベース部54と各固定金具72,74とにより挟持された状態で各皿ねじ60,62を完全に締め付けると、排水部本体部材48が貯水タンク8の底部8aに対して完全に固定されるようになっている。
図6〜図11に示すように、各皿ねじ60,62が各皿ねじ取付部68,70に取り付けられた状態では、各皿ねじ60,62の頭部60a,62aの各頂点A1,A2から頭部60a,62aの外周縁までの全体表面F1と、各皿ねじ取付部68,70表面の上端部Bから、ほぼ中央高さ付近で最も内側に張り出している最内部C1,C2までの表面F2が、互いに連続的に湾曲状に形成され、表面F1と表面F2の双方全体がほぼ半球面状に形成されている。これにより、図10及び図11に洗浄水の流れを矢印W1で示すように、貯水タンク8内の洗浄水が排水部本体部材48の流入口50bから排水流路50内に流入し、固定部58の湾曲状の表面F1,F2を通過する際、洗浄水W1が固定部58の湾曲状の表面F1,F2に沿って剥離することなく滑らかに流れることができ、貯水タンク8からワンピースの水洗大便器2の便器本体部4に比較的高い瞬間流量Q[L/min]の洗浄水を供給することができるようになっている。
なお、本実施形態の排水弁装置1においては、便器本体部4と洗浄水タンク部6とが一体的に形成されたワンピースの水洗大便器2に適用した形態について説明するが、このような形態に限られず、適用されるワンピースの水洗大便器2の洗浄水タンク部6の貯水タンク8の底部8aの取付穴8bと同一径と取付穴の貯水タンクを備えたツーピースの水洗大便器にも容易に適用することができるようになっている。
また、比較例の排水部本体部材の排水流路の流路断面積S’は、本実施形態の排水弁装置1の排水流路50の最内部C1,C2と同一の高さ位置Pにおける流路断面積であり、本実施形態の排水弁装置1の排水流路50の最内部C1,C2における流路断面積S1に比べて、排水流路に固定部58が設けられていない分、大きくなっている。
しかしながら、本実施形態の排水弁装置1においては、排水流路50の最内部C1,C2と同一高さ位置Pよりも下流側領域の排水流路50の側壁部52の壁面(内側面52c)に形成されている湾曲部76(下流側湾曲部76a)により、固定部58以外の部分の流路断面積S2が下流側に向かって流路断面積S1よりも徐々に拡大している。したがって、本実施形態の排水流路50内に固定部58が設けられていても、比較例による排水部本体部材を貯水タンク8の底部8aの同一径の取付穴8bに取り付けた場合と比べても、ほぼ等しい瞬間流量を確保することができるようになっている。
さらに、本実施形態の排水弁装置1においては、本実施形態と同様な固定部58及び湾曲部76が形成されていない上述した比較例による排水部本体部材が本来取り付けられる貯水タンクの底部の取付穴及び排水口に対して、及び、本実施形態と同様な固定部58が形成されており且つ本実施形態と同様な湾曲部76が形成されていない更なる別の比較例による排水部本体部材が本来取り付けられる貯水タンクの底部の取付穴及び排水口に対しても、本実施形態の貯水タンク8の底部8aの取付穴8b及び排水口10と同一径の取付穴及び排水口であれば、本実施形態の排水弁装置1の排水部本体部材48を簡単に取り付けることができるようになっている。したがって、これらの別の排水部本体部材を貯水タンク8の底部8aの取付穴8bに取り付けた場合と比べても、貯水タンク8から排水部本体部材48の排水流路50を経てワンピースの水洗大便器2の便器本体部4に供給する洗浄水の瞬間流量Q[L/min]を低下させることなく、比較的高い瞬間流量を確保することができるようになっている。
ちなみに、排水流路50内の領域R1よりも下流(下方)側で且つ固定部58の最内部C1,C2と同じ高さ位置Pよりも上方に形成される領域R2では、固定部58以外の部分の流路断面積S6が、その上方の流路断面積S5よりも小さく、下方の流路断面積S1よりも大きく設定されている。
また、図8及び図11に示すように、排水部本体部材48の排水流路50の流入口50bには、その上縁全周に亘って形成され且つ上方に突出する弁座78が設けられている。
さらに、弁座78には、弁体34が当接可能に設けられており、図5に鎖線34で示すように、弁体34が弁座78に当接して排水流路50の流入口50bを閉止した状態では、排水流路50(排水口10)が閉鎖された状態となり、貯水タンク8内の洗浄水が便器本体部4の導水路20に供給されないようになっている。
また、排水弁軸部材80は、排水部本体部材48の上方に設けられたハウジング82内で上下動可能に設けられている。特に、排水弁軸部材80は、操作装置28の操作レバー30の操作により1本の操作ワイヤ32が引き上げられることによってフック部80aが引き上げられて上昇するようになっている。そして、弁体34が排水弁軸部材80と共に上昇するし、排水流路50の流入口50bが開放され、排水流路50(排水口10)が開放された状態となり、貯水タンク8内の洗浄水が便器本体部4の導水路20に供給されるようになっている。
なお、図5に実線で示す弁体34においては、弁座78に対して最大の上昇高さ(最大ストローク)H1で引き上げられて大洗浄モードの便器洗浄が開始される状態を示している。ちなみに、図5では、小洗浄モードの便器洗浄が開始される状態の弁体34の上昇高さをH2で示している。
さらに、図3〜図5に示すように、ハウジング82の側面には、複数の縦穴82aが形成され、ハウジング82の内側とその外側の貯水タンク8の内部は、これらの複数の縦穴82aによって連通している。これにより、排水弁軸部材80と弁体34は、弁座78に対して上昇している状態では、ハウジング82内及び貯水タンク8内の水位の低下と共に、下降するようになっている。
なお、図5に示すように、ハウジング82の内部には、排水弁軸部材80及び弁体34以外にも、大洗浄モードと小洗浄モードのそれぞれの場合の便器洗浄が開始されるタイミングを調整するための種々の関連部材等が設けられているが、これらの関連部材については、省略しても、操作ワイヤ32による排水弁軸部材80及び弁体34の引き上げ機能は最低限確保することができるため、説明は省略する。
図1〜図11に示すように、使用者が操作装置28の操作レバー30を所定の方向に回転操作し、大洗浄モード又は小洗浄モードのいずれかの洗浄モードによる便器洗浄を開始すると、操作装置28のワイヤ巻取り装置46により操作ワイヤ32が巻き取られて引き上げられ、大洗浄モードの場合には、排水弁軸部材80及び弁体34が最大の上昇高さH1まで上昇し、小洗浄モードの場合には、排水弁軸部材80及び弁体34が最大の上昇高さH1よりも低い所定の上昇高さH2まで上昇し、排水部本体部材48の排水流路50の流入口50bが開放される。
そして、貯水タンク8内の洗浄水が排水部本体部材48の連通口86の外側から内部に流入し、排水流路50の流入口50bから排水流路50内に流入すると共に、ハウジング82内の洗浄水についても、排水流路50の流入口50bから排水流路50内に流入する。
一方、固定部58付近を通過しないが、排水流路50の壁面(内側面52c)に沿って流れる洗浄水W1についても、所定の瞬間流量Q1以上の比較的高い所定の瞬間流量(例えば、Q1=200[L/min])を維持した状態で、湾曲部76の表面に沿って下流側湾曲部76aに剥離することなく滑らかに流れる。そして、下方に向かって徐々に外側に末広がりに湾曲する下流側湾曲部76aの表面に沿って流れる洗浄水W1は、流出口50aから、所定の瞬間流量Q1以上の比較的高い所定の瞬間流量(例えば、Q1=200[L/min])を維持した状態で流出し、便器本体部4の導水路20に供給される。導水路20の洗浄水は、第1リム吐水口22及び第2リム吐水口24のそれぞれから吐水され、ボウル部12が洗浄され、汚物が排水トラップ管路18から排出される。
ここで、図12の横軸は、本実施形態の排水弁装置1の排水部本体部材48の排水流路50の流出口50aの流路断面積S3[mm2]を示し、図12の縦軸は、本実施形態の排水弁装置1の排水部本体部材48の排水流路50の流出口50aにおける瞬間流量Q[L/min]を示している。
図12に示すように、本実施形態の排水弁装置1の排水部本体部材48の排水流路50の流出口50aの流路断面積S3を所定の流路断面積S0(例えば、S0=2600[mm2])に設定しているときには、瞬間流量Qが最大の瞬間流量Q1(例えば、Q1=200[L/min])となり、十分な便器洗浄性能が確保される理想的な瞬間流量が得られていることがわかる。
ちなみに、比較例として、排水部本体部材の排水流路の流入口から流出口までの流路全域に亘って流路断面積S’を一定とし、排水流路50の流出口50aの流路断面積S3を所定の流路断面積S’(例えば、S’=2300[mm2])に設定しているときには、瞬間流量Qが最大の瞬間流量Q1よりも小さい瞬間流量Q2(例えば、Q2=160[L/min])となり、瞬間流量Q1のときに比べて、十分な便器洗浄性能が得られにくい瞬間流量となっていることがわかる。
また、流路断面積S3を流路断面積S0よりも大きく設定する程、排水流路50の流出口50aの下方の便器本体部4の導水路20内の空気が排水流路50内に巻き込まれやすくなることにより、その分、瞬間流量Qが最大の瞬間流量Q1よりも低下してしまう傾向にあるため、排水流路50の流出口50aの流路断面積S3を大きく設定しすぎないように注意すべきであることもわかった。
例えば、図8及び図11に鎖線V1で示す比較例による排水流路のように、その側壁部の内側面V1が鉛直方向に延び、固定部58が設けられておらず且つその排水流路の流路断面積S’が流入口から流出口までの流路全域でほぼ一定である排水部本体部材を貯水タンク8の底部8aの同一径の取付穴8bに取り付けた場合とほぼ等しい瞬間流量を確保することができる。
また、更なる別の比較例による排水部本体部材の排水流路として、その側壁部の内側面V1が鉛直方向に延び、排水流路内に本実施形態と同様な固定部58が設けられ、排水流路の側壁部の内側面V1に本実施形態と同様な湾曲部76が形成されていないものと比べても、湾曲部76によって形成される排水流路50内のスペースによって排水部本体部材48の排水流路50を流れる洗浄水の瞬間流量Q[L/min]を大きく設定することもできる。
したがって、貯水タンク8から排水部本体部材48の排水流路50内に流入した洗浄水をワンピースの水洗大便器2の便器本体部4に効率的に供給することができ、ワンピースの水洗大便器2の洗浄性能を向上させることができる。
2 ワンピースの水洗大便器
4 便器本体部(便器本体)
6 洗浄水タンク部(洗浄水タンク)
8 貯水タンク
8a 貯水タンクの底部
8b 貯水タンクの底部の取付穴(洗浄水タンクの排水口)
8c 貯水タンクの底部の上側面
8d 貯水タンクの底部の下側面
10 排水口
12 ボウル部
14 リム部
14a リム部の後壁面
16 棚部
18 排水トラップ管路
18a 排水トラップ管路の入口
18b 排水トラップ管路の上昇管
18c 排水トラップ管路の下降管
20 導水路
20a 導水路の分岐領域
20b 第1導水路
20c 第2導水路
22 第1リム吐水口
24 第2リム吐水口
26 給水装置
28 操作装置
30 操作レバー
32 操作ワイヤ
32a 操作ワイヤの下端接続部
34 弁体(排水弁体)
36 給水管
38 給水バルブ
40 フロート
42 吐水口
44 オーバーフロー管
44a オーバーフロー管内の下方流路
46 ワイヤ巻取り装置
46a ケーシング
48 排水部本体部材(排水部本体)
50 排水流路(排水部本体の流路)
50a 排水流路の流出口
50b 排水流路の流入口
52 排水部本体部材の側壁部
52a 排水部本体部材の側壁部の外側面
52b 排水部本体部材の側壁部の下端面
52c 排水部本体部材の側壁部の内側面
54 排水部本体部材のベース部
56 シール部材
58 固定部
60 皿ねじ(固定部)
60a 皿ねじの頭部
62 皿ねじ(固定部)
62a 皿ねじの頭部
64 取付穴
66 取付穴
68 皿ねじ取付部(固定部)
70 皿ねじ取付部(固定部)
72 固定金具(固定部)
72a 固定金具の外側先端部
72b 固定金具の外側先端部の上面
74 固定金具(固定部)
74a 固定金具の外側先端部
74b 固定金具の外側先端部の上面
76 湾曲部
76a 下流側湾曲部
78 弁座
80 排水弁軸部材
80a フック部
82 ハウジング
84 支柱部
86 連通口
A1 皿ねじの頭部の頂点
A2 皿ねじの頭部の頂点
B1 皿ねじ取付部の上端部
B2 皿ねじ取付部の上端部
C1 固定部の最内部
C2 固定部の最内部
D 排水流路の側壁部の内側面の上端部
F1 皿ねじの頭部の表面
F2 皿ねじ取付部の上端部から最内部までの表面
H1 大洗浄モード開始時の排水弁軸部材及び弁体の上昇高さ
H2 小洗浄モード開始時の排水弁軸部材及び弁体の上昇高さ
P 排水流路の側壁部の内側面における固定部の最内部と同じ高さの位置
Q 瞬間流量
Q1 最大瞬間流量
Q2 瞬間流量
R1 排水流路内の領域
R2 排水流路内の領域
S0 排水流路の流出口の断面積
S1 排水流路内の流路断面積
S2 排水流路内の流路断面積
S3 排水流路内の流路断面積
S4 排水流路内の流路断面積
S5 排水流路内の流路断面積
S6 排水流路内の流路断面積
S7 排水流路内の流路断面積
S’ 比較例による排水流路の流路断面積
V1 比較例による排水流路の側壁部の内側面とその延長面
Claims (4)
- 便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクの排水口に取り付けられる排水弁装置であって、
上記排水口に取り付けられ、その一端に形成される流入口から他端に形成される流出口まで洗浄水を導く流路を内側に形成する排水部本体と、
上記排水部本体の流入口を開閉するための排水弁体と、
上記排水部本体の流路内に突出するように形成され、上記排水部本体を上記洗浄水タンクに固定する固定部と、を有し、
上記固定部と同じ高さにある上記排水部本体の流路の壁面は、下流に向けて上記流路の断面積を拡大するように外側に湾曲する湾曲部を形成しており、
上記排水部本体の流路は、その壁面の上端部から上流の上記流入口に向かう程、流路断面積が拡大されるように形成されていることを特徴とする排水弁装置。 - 上記固定部は、上記流路を形成する表面が湾曲状に形成されている請求項1記載の排水弁装置。
- 上記排水部本体の流路は、その流路断面積が上記固定部の高さ方向に沿ってほぼ同一になるように上記固定部の表面と上記流路の壁面が湾曲状に形成されている領域を備えている請求項2記載の排水弁装置。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載の排水弁装置が上記排水口に取り付けられた上記洗浄水タンクと、この洗浄水タンクが一体的に形成された便器本体と、を有することを特徴とするワンピースの水洗大便器。
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