以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態である情報処理システムの構成例を示す図である。この情報処理システムは、サーバー装置として設けられる情報処理装置1と、ユーザーが操作するパーソナルコンピュータ(以下、単に「PC」という)2と、MFP((Multifunction Peripherals)などで構成される画像形成装置3とを有する構成である。
情報処理装置1は、PC2及び画像形成装置3のそれぞれとネットワークを介して接続される。また情報処理装置1には、公衆電話網4が接続されており、その公衆電話網4を介してFAX送信などを行うことが可能である。このような情報処理装置1は、オフィスなどのローカル環境に設置されるものであっても良いし、インターネット上のクラウドに設置されるものであっても良い。
情報処理装置1は、PC2から出力対象となるデータファイル5を取得し、そのデータファイル5をユーザーによって指定された出力形式に適合するデータフォーマットの出力ファイル6にファイル変換する。例えば、ユーザーによって出力先として画像形成装置3が指定された場合、情報処理装置1は、データファイル5を、画像形成装置3で印刷出力可能なPDFなどの出力ファイル6に変換し、ユーザーからの出力指示に基づいてその出力ファイル6を画像形成装置3へ出力する。また出力先としてFAX送信による送信宛先が指定された場合、情報処理装置1は、データファイル5に基づいてFAX送信可能なTIFFなどの出力ファイル6を生成し、公衆電話網4を介して出力ファイル6に基づくFAX送信を行う。また情報処理装置1は、内線によるFAX送信を行うことも可能である。
情報処理装置1は、Webサーバー機能を備えており、PC2で起動されるブラウザからのアクセスを検知すると、そのPC2に対し、ユーザーが操作可能なWebページを送信する。これにより、ユーザーは、PC2において表示されるWebページを操作しながら、FAX送信や印刷出力などの出力対象となるデータファイルを指定して情報処理装置1へアップロードすることが可能である。またユーザーは、そのWebページに対する操作を行うことにより、FAX送信や印刷出力などの出力先を指定したり、FAX送信宛先への送信開始や画像形成装置3への送信開始を指示したりすることができる。
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1は、CPUとメモリとを備えて構成される制御部10と、ネットワークインタフェース11と、ハードディスクドライブ(HDD)などで構成される記憶部12とを備える。
ネットワークインタフェース11は、情報処理装置1をWAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)に接続するためのインタフェースである。またネットワークインタフェース11には、公衆電話網4も接続される。したがって、情報処理装置1は、このネットワークインタフェース11を介してPC2や画像形成装置3と通信を行うことが可能であり、またネットワークインタフェース11から公衆電話網4を介してFAX送信を行うことも可能である。
記憶部12は、不揮発性の記憶手段であり、制御部10のCPUによって実行されるプログラム17を記憶する。また記憶部12には、情報処理装置1に予めインストールされる複数のフォントデータ18a,18b,18cが記憶される。これら複数のフォントデータ18a,18b,18cのうちの少なくとも1つのフォントデータが情報処理装置1のシステムフォントとして予め設定されている。更に記憶部12には、履歴情報19と、出力先情報20とが記憶される。履歴情報19は、情報処理装置1においてファイル変換を行って出力ファイル6を生成した後、その出力ファイル6をユーザーによる実行指示に基づいて指定された出力先に送信した場合、或いは、ユーザーによるキャンセル指示に基づいて出力ファイル6を送信することなく処理を終了した場合に、それらの履歴が記録される情報である。出力先情報20は、ユーザーが選択可能な出力先が予め登録された情報であり、画像形成装置3やFAX送信宛先などが予め登録された情報である。また出力先情報20に予め登録されている出力先のそれぞれには、社内宛先であるか否かを示す情報や特定の送信先であるか否かを示す情報などの付属情報が付与される。
制御部10は、CPUが記憶部12に記憶されているプログラム17を読み出して実行することにより、通信制御部13、表示制御部14、データ処理部15及び出力先指定部16として機能する。
通信制御部13は、ネットワークインタフェース11を介してPC2や画像形成装置3などと通信を行うものである。また通信制御部13は、ネットワークインタフェース11から公衆電話網4を介して出力ファイル6に基づくFAX受信を行うことも可能である。
表示制御部14は、通信制御部13がPC2で起動されるブラウザからのアクセスを検知した場合に機能し、PC2のブラウザに表示させるWebページであって、ユーザーが操作可能な操作画面を、通信制御部13を介してPC2に送信する。そして表示制御部14は、PC2からユーザーによる操作情報を受信すると、ブラウザで表示中の操作画面を更新する。また表示制御部14がPC2に対して送出する操作画面には、ユーザーの操作に基づいてPC2が実行可能なスクリプトプログラムが組み込まれている。PC2は、表示制御部14から受信した操作画面をブラウザ上に表示しているとき、ユーザーによって出力対象となるデータファイル5が指定されると、操作画面に組み込まれているスクリプトプログラムを実行することにより、ユーザーによって指定されたデータファイル5のアップロードを開始する。これに伴い、表示制御部14は、PC2に対して例えば図3に示すようなオンライン出力用の操作画面G1を送信する。
図3は、PC2において表示される操作画面G1の一例を示す図である。この操作画面G1には、出力対象となる画像のプレビュー表示を行うためのプレビュー画面G11と、ユーザーが出力先などを指定して出力開始などを指示するためのユーザー操作画面G12とが含まれる。この操作画面G1がPC2のディスプレイに表示されたとき、情報処理装置1からプレビュー画像を未だ受信していない状態であれば、プレビュー領域30に待機中であることを示す画像が表示される。一方、ユーザー操作画面G12には、ユーザーが出力先を指定するための出力先指定欄31と、出力先情報20に登録された出力先からユーザーが選択操作を行う際に操作する参照ボタン32と、出力先指定欄31で指定した出力先に対する出力処理の実行開始を指示する実行ボタン34と、出力処理をキャンセルするキャンセルボタン35とが含まれる。
ユーザーは、PC2のキーボードやマウスなどを操作することにより、出力先指定欄31に対して出力先のアドレスやFAX番号などを入力することで出力先を指定することができる。またユーザーが参照ボタン32を操作すると、表示制御部14は、出力先情報20に登録されている出力先のリスト表示画面を生成してPC2に送出する。これにより、ユーザーは、リスト表示画面から所望の出力先を選択して出力先指定欄31に表示させることができる。そしてPC2のブラウザは、出力先指定欄31に出力先が入力されると、その出力先に関する情報を情報処理装置1へ送信する。
図2に戻り、出力先指定部16は、PC2からデータファイル5の出力先に関する情報を受信することに伴い、ユーザーによって指定された出力先を特定し、その出力先を管理する。
データ処理部15は、PC2から受信するデータファイル5に対する処理を行う処理部である。このデータ処理部15は、ファイル取得部21と、ファイル変換部22と、プレビュー画像生成部23と、判定部24と、出力制御部25とを備えており、これら各部を順次に又は並列に動作させることにより、PC2から出力対象となるデータファイル5を取得してファイル変換を行い、ユーザーによって指定された出力先に出力ファイル6を出力する処理を行う。
ファイル取得部21は、PC2からアップロードされるデータファイル5を取得する処理部である。ファイル取得部21が取得するデータファイル5には様々なファイルがある。例えば、テキストファイルや画像ファイル、PC2のアプリケーションで編集・作成された文書ファイルなどがある。これらのデータファイル5には、フォントデータが埋め込まれているファイルもあれば、フォントデータが埋め込まれていないファイルもある。すなわち、テキストファイルは、フォントデータが埋め込まれていないファイルである。またJPEGなどの画像ファイルもまた、フォントデータが埋め込まれていないファイルである。一方、PC2のアプリケーションで作成される文書ファイルの場合は、文書ファイルを作成するアプリケーションによって様々なファイル形態がある。例えば、フォントデータが埋め込まれた文書ファイルが作成されることもあれば、フォントデータが埋め込まれていない文書ファイルが作成されることもある。ただし、フォントデータが埋め込まれていない文書ファイルであっても、その文書を表現するために使用すべきフォントが指定されているのが一般的である。
ファイル取得部21は、PC2からデータファイル5を取得すると、ファイル変換部22を機能させる。ファイル変換部22は、ファイル取得部21によって取得されたデータファイル5をユーザーによって指定された出力先の出力形式に適合するデータフォーマットの出力ファイル6に変換する処理部である。例えばユーザーによって指定された出力先に対する出力形式がFAX送信である場合、ファイル変換部22は、PC2から入力するデータファイル5をTIFFなどの所定のデータフォーマットの出力ファイル6に変換する。またユーザーによって指定された出力先が画像形成装置3であり、出力形式が印刷出力である場合、ファイル変換部22は、PC2から入力するデータファイル5をPDFやPDLなどの所定のデータフォーマットの出力ファイル6に変換する。
このとき、データファイル5がテキストファイルである場合、ファイル変換部22は、複数のフォントデータ18a,18b,18cの中からシステムフォントとして指定されたフォントデータを読み出してテキストファイルのフォントとして採用し、更に所定のレイアウトにテキストを配置して出力ファイル6を生成する。またデータファイル5がJPEGなどの画像ファイルである場合、ファイル変換部22は、その画像ファイルをTIFFやPDF、PDLなどの出力形式に応じたデータフォーマットの出力ファイル6に変換する。
更にデータファイル5がPC2のアプリケーションで作成された文書ファイルである場合、ファイル変換部22は、その文書ファイルにフォントデータが埋め込まれているか否かを判断する。その結果、フォントデータが埋め込まれている場合、ファイル変換部22は、文書ファイルに埋め込まれているフォントデータを用いて出力ファイル6を生成する。
これに対し、文書ファイルにフォントデータが埋め込まれていない場合、ファイル変換部22は、文書ファイルにおいて使用フォントが指定されているか否かを判別する。そして使用フォントが指定されている場合、ファイル変換部22は、その使用フォントが情報処理装置1にインストールされているか否かを更に判別する。その結果、使用フォントが情報処理装置1にインストールされていれば、ファイル変換部22は、複数のフォントデータ18a,18b,18cの中から使用フォントに対応するフォントデータを読み出して文書に適用することにより、出力ファイル6を生成する。
一方、使用フォントが情報処理装置1にインストールされていない場合、ファイル変換部22は、複数のフォントデータ18a,18b,18cの中からシステムフォントとして設定されているフォントデータを読み出して文書に適用することにより、出力ファイル6を生成する。図4は、この場合のファイル変換処理の概念を示す図である。例えばデータファイル5において指定された使用フォントが情報処理装置1にインストールされていない場合、ファイル変換部22は、情報処理装置1に予め設定されているシステムフォントに対応するフォントデータ18aを読み出し、そのフォントデータ18aを用いて文書を表現することにより、出力ファイル6を生成する。この場合、出力ファイル6では、オリジナルのデータファイル5とは異なるフォントが用いられることとなる。
したがって、データファイル5がテキストファイルの場合には、ファイル変換部22によるファイル変換処理によってテキストが所定のレイアウトに配置された出力ファイル6が生成されるので、データファイル5のファイルイメージと出力ファイル6のファイルイメージとが異なるものとなる。またデータファイル5が文書ファイルであって、その文書ファイルで指定されている使用フォントが情報処理装置1にインストールされていない場合にも、ファイル変換部22によるファイル変換処理によって使用フォントとは異なるフォントが用いられた出力ファイル6が生成されるため、図4に示すようにデータファイル5のファイルイメージと出力ファイル6のファイルイメージとが異なるものとなる。
上記のようなファイル変換が終了すると、ファイル変換部22は、出力ファイル6をプレビュー画像生成部23及び出力制御部25へ出力する。尚、ファイル取得部21によって取得されたデータファイル5がユーザーによって指定された出力先の出力形式に適合するデータフォーマットである場合、ファイル変換部22は、ファイル変換を行うことなく、データファイル5をそのまま出力ファイル6として利用するようにしても良い。
プレビュー画像生成部23は、ファイル変換部22で生成される出力ファイル6のファイルイメージをユーザーが確認できるようにするため、出力ファイル6に基づくプレビュー画像を生成する処理部である。プレビュー画像生成部23は、出力ファイル6に基づくプレビュー画像を生成すると、そのプレビュー画像を表示制御部14へ出力する。そして表示制御部14は、出力ファイル6に基づくプレビュー画像をPC2へ送信し、プレビュー画面G11のプレビュー領域30に表示させる。これにより、ユーザーは、PC2の画面上で、出力ファイル6のファイルイメージを確認することができる。
判定部24は、ファイル取得部21によって出力対象となるデータファイル5が取得されることに伴い、ファイル変換部22及びプレビュー画像生成部23と並列に動作する処理部であり、ファイル変換部22によって生成される出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージになるか否かを判定する。
例えばデータファイル5がテキストファイルである場合、ファイル変換部22によって所定のレイアウトが適用された出力ファイル6が生成されるため、判定部24は、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージになると判定する。またデータファイル5が画像ファイルである場合はレイアウトに変更がなく、しかもフォントデータが使用されないので、判定部24は、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと同じであると判定する。
またデータファイル5が文書ファイルである場合、判定部24は、その文書ファイルにフォントデータが埋め込まれていれば、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと同じであると判定する。また文書ファイルにフォントデータが埋め込まれていない場合であっても、その文書ファイルにおいて指定された使用フォントに対応するフォントデータが情報処理装置1にインストールされていれば、判定部24は、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと同じであると判定する。これに対し、文書ファイルにフォントデータが埋め込まれておらず、しかも文書ファイルにおいて指定された使用フォントに対応するフォントデータが情報処理装置1にインストールされていない場合、判定部24は、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージになると判定する。
そして判定部24は、上記のような判定結果を出力制御部25に対して出力する。出力制御部25は、ファイル変換部22によって生成された出力ファイル6をユーザーの出力指示に基づいて通信制御部13へ出力し、その出力ファイル6に基づく出力処理を制御する。この出力制御部25は、判定部24によって出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージになると判定された場合、プレビュー画像生成部23によって生成されるプレビュー画像がPC2で表示された後に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能とする。すなわち、出力制御部25は、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージとなる場合、ユーザーが出力ファイル6のファイルイメージを確認した後に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能とするのである。一方、判定部24によって出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと同じイメージであると判定された場合、出力制御部25は、プレビュー画像生成部23によって生成されるプレビュー画像がPC2で表示される前に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能とする。すなわち、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと同じである場合、ユーザーが出力ファイル6のファイルイメージを確認する必要がないため、出力制御部25は、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、速やかに出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能とするのである。これにより、ユーザーは、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、情報処理装置1に対して出力処理の実行を指示することができる。
ただし、出力制御部25は、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージであると判定された場合であっても、出力先指定部16において指定されている出力先や履歴情報19などを参照し、所定の条件が成立していれば、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、プレビュー画像がPC2で表示される前に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能としても良い。
例えば、出力先指定部16において指定されている出力先が社内の画像形成装置3又は内線によるFAX送信である場合、出力ファイル6のファイルイメージがオリジナルのデータファイル5のファイルイメージと多少異なるイメージであっても、それ程大きな問題にはならない。そのため、出力制御部25は、判定部24により出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージであると判定された場合であっても、出力先指定部16において指定されている出力先が社内の画像形成装置3や内線によるFAX送信などの所定の出力先である場合には、プレビュー画像が表示されるまで待機するのではなく、プレビュー画像がPC2で表示される前に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能としても良い。
また出力制御部25は、ファイル変換部22において生成される出力ファイル6と同一又は類似の出力ファイルが過去に出力された履歴が履歴情報19に記録されているときには、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、プレビュー画像がPC2で表示される前に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能としても良い。
図5は、履歴情報19の一例を示す図である。図5に示すように、履歴情報19には、例えば、PC2から受信するデータファイル5のファイル名19a、そのデータファイル5の更新日時19b、ファイル変換部22によるファイル変換が行われた日時19c、ユーザーによって指定された出力先19d、出力ファイル6に使用されたフォントを示す使用フォント19e、及び、ユーザーによる実行結果19fなどの情報が記録される。このような履歴情報19を参照すれば、ファイル変換部22で生成される出力ファイル6と同じファイルの出力処理が過去に実行又はキャンセルされた履歴の有無を判別することができる。そのため、出力制御部25は、履歴情報19を参照し、ファイル変換部22で生成される出力ファイル6と同じファイルの出力処理が過去に実行されていれば、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、プレビュー画像がPC2で表示される前に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能としても良い。これにより、ユーザーは、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、情報処理装置1に対して出力処理の実行を指示することができる。
ただし、ファイル変換部22で生成される出力ファイル6と同じファイルの出力処理が過去にキャンセルされている場合には、出力制御部25は、プレビュー画像が表示されるまで待機し、プレビュー画像がPC2で表示された後に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能とすることが好ましい。これにより、データファイル5とは異なるファイルイメージの出力ファイル6がユーザーに確認されることなく、出力先へ送信されてしまうことを防止することができる。
また上記のような履歴情報19を参照すれば、ファイル取得部21が取得したデータファイル5と同じファイルに基づいて生成された出力ファイルの出力処理が過去に実行されており、且つ、過去の出力処理の実行後にデータファイル5が更新されているか否かを判別することができる。そのため、出力制御部25は、履歴情報19を参照し、ファイル取得部21が取得したデータファイル5と同じファイルに基づいて生成された出力ファイルの出力処理が過去に実行されており、且つ、過去の出力処理の実行後にデータファイル5が更新されていないときには、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、プレビュー画像がPC2で表示される前に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能としても良い。これにより、ユーザーは、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、情報処理装置1に対して出力処理の実行を指示することができる。
ただし、ファイル取得部21が取得したデータファイル5と同じファイルに基づいて生成された出力ファイルの出力処理が過去に実行されている場合であっても、過去の出力処理の実行後にデータファイル5が更新されているときには、前回の出力処理が行われたときとは異なるファイルイメージになることがある。そのため、出力制御部25は、履歴情報19を参照し、ファイル取得部21が取得したデータファイル5と同じファイルに基づいて生成された出力ファイルの出力処理が過去に実行されており、且つ、過去の出力処理の実行後にデータファイル5が更新されているときには、プレビュー画像が表示されるまで待機し、プレビュー画像がPC2で表示された後に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能とすることが好ましい。これにより、前回の出力処理時とは異なるファイルイメージの出力ファイル6がユーザーに確認されることなく、出力先へ送信されてしまうことを防止することができる。
さらに上記のような履歴情報19を参照すれば、ファイル変換部22で生成される出力ファイル6で使用されるフォントデータと同じフォントを使用した出力ファイルの出力処理が過去に実行されているか否かを判別することができる。そのため、出力制御部25は、履歴情報19を参照し、ファイル変換部22で生成される出力ファイル6で使用されるフォントデータと同じフォントを使用した出力ファイルの出力処理が過去に実行されていれば、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、プレビュー画像がPC2で表示される前に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能としても良い。これにより、ユーザーは、プレビュー画像が表示されるまで待機することなく、情報処理装置1に対して出力処理の実行を指示することができる。
ただし、ファイル変換部22におけるファイル変換時に使用されるフォントデータと同じフォントを使用した出力ファイルの出力処理が過去にキャンセルされている場合には、出力制御部25は、プレビュー画像が表示されるまで待機し、プレビュー画像がPC2で表示された後に、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能とすることが好ましい。これにより、データファイル5とは異なるファイルイメージの出力ファイル6がユーザーに確認されることなく、出力先へ送信されてしまうことを防止することができる。
そして出力制御部25は、出力ファイル6に基づく出力処理を実行可能にした後、ユーザーによる出力処理の実行指示を検知することに伴い、出力ファイル6を通信制御部13へ出力する。このとき、プレビュー画像生成部23が出力ファイル6に基づくプレビュー画像の生成中であっても、出力制御部25は、ファイル変換部22によって生成された出力ファイル6を通信制御部13へ出力する。そして通信制御部13は、出力制御部25から入力する出力ファイル6に基づき、出力先指定部16によって指定されている出力先に対する出力処理を実行する。
図6は、上記のような情報処理装置1において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、制御部10のCPUがプログラム17を実行することによって行われる処理手順を示している。情報処理装置1は、この処理を開始すると、PC2で起動されるブラウザからのアクセスを検知したか否かを判断し(ステップS10)、ブラウザからのアクセスを検知すると(ステップS10でYES)、ユーザーがファイル出力を行うための操作画面をPC2へ送信する(ステップS11)。その後、情報処理装置1は、PC2から出力対象となるデータファイル5を取得し(ステップS12)、ユーザーによる操作に基づいて出力ファイル6の出力先を指定する(ステップS13)。情報処理装置1は、その後、ユーザーによって指定された出力先への出力形式に適合するデータフォーマットを特定し(ステップS14)、PC2から取得したデータファイル5のファイル変換が必要であるか否かを判断する(ステップS15)。例えば、データファイル5がPDFファイルであり、そのPDFファイルにフォントデータが埋め込まれており、更にユーザーによって指定された出力先が画像形成装置3である場合には、ファイル変換が不要となる。またそれ以外の場合にはファイル変換が必要となる。
ファイル変換が必要な場合(ステップS15でYES)、情報処理装置1は、データファイル5を出力形式に適合したデータフォーマットの出力ファイル6に変換するファイル変換処理を開始する(ステップS16)。このとき、記憶部12にインストールされているフォントデータ18a,18b,18cを用いて出力ファイル6が生成されることがある。
情報処理装置1は、ファイル変換処理を開始すると、次に判定処理を実行する(ステップS17)。この判定処理は、ファイル変換処理と並列に実行可能である。図7は、判定処理(ステップS17)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1は、判定処理を開始すると、まずPC2から取得したデータファイル5を解析し(ステップS40)、データファイル5がテキストファイルであるか否かを判断する(ステップS41)。データファイル5がテキストファイルである場合(ステップS41でYES)、情報処理装置1による処理はステップS52へ進む。これに対し、データファイル5がテキストファイルでなかった場合(ステップS41でNO)、情報処理装置1は、次にデータファイル5がJPEGなどの画像ファイルであるか否かを判断する(ステップS42)。その結果、データファイル5が画像ファイルである場合(ステップS42でYES)、情報処理装置1による処理はステップS51へ進む。
またデータファイル5が画像ファイルでなかった場合(ステップS42でNO)、情報処理装置1は、データファイル5にフォントデータが埋め込まれているか否かを判断する(ステップS43)。その結果、データファイル5にフォントデータが埋め込まれている場合(ステップS43でYES)、情報処理装置1による処理はステップS51へ進む。これに対し、データファイル5にフォントデータが埋め込まれていない場合(ステップS43でNO)、情報処理装置1は、データファイル5において指定されているフォントを判別し、そのフォントが情報処理装置1にインストールされているフォントであるか否かを判断する(ステップS45)。その結果、データファイル5で指定されているフォントが情報処理装置1にインストールされている場合(ステップS45でYES)、情報処理装置1による処理はステップS51へ進む。
またデータファイル5において指定されているフォントが情報処理装置1にインストールされていない場合(ステップS45でNO)、情報処理装置1は、ユーザーによって指定された出力先を判別し(ステップS46)、その出力先が社内の画像形成装置3や内線によるFAX送信などの所定の出力先であるか否かを判断する(ステップS47)。その結果、ユーザーによって指定された出力先が所定の出力先である場合(ステップS47でYES)、情報処理装置1による処理はステップS51へ進む。
またユーザーによって指定された出力先が所定の出力先ではなかった場合(ステップS47でNO)、情報処理装置1は、履歴情報19を判定するか否かを判断する(ステップS48)。例えば、履歴情報19を判定するか否かは、管理者などによって予め設定されており、情報処理装置1は、その設定状態に基づいて履歴情報19を判定するか否かを判断する。その結果、履歴情報を判定しない場合(ステップS48でNO)、情報処理装置1による処理はステップS52へ進む。これに対し、履歴情報19を判定する場合(ステップS48でYES)、情報処理装置1は、履歴情報19を読み出し、上述したようにファイル変換処理によって生成される出力ファイル6と同一又は類似の出力ファイルが過去に出力された履歴が記録されているか否かを判定し(ステップS49)、その判定結果に基づいてプレビュー画像の表示が必要か否かを判断する(ステップS50)。
例えば、ファイル変換処理で生成される出力ファイル6と同じファイルの出力処理実行が履歴情報19に記録されているとき、PC2から取得したデータファイル5と同じファイルに基づいて生成された出力ファイルの出力処理実行が履歴情報19に記録されており、且つ、そのデータファイル5が出力処理実行後に更新されていないとき、或いは、出力ファイル6で使用されるフォントと同じフォントを使用した出力ファイルの出力処理実行が履歴情報19に記録されているとき、情報処理装置1は、プレビュー画像の表示が必要でないと判断する。この場合(ステップS50でNO)、情報処理装置1による処理はステップS51へ進む。これに対し、上記の条件を満たさないときにはプレビュー画像の表示が必要であると判断する。この場合(ステップS50でYES)、情報処理装置1による処理はステップS52へ進む。
ステップS51に進んだ場合、情報処理装置1は、プレビューフラグをオフに設定する。これに対し、ステップS52に進んだ場合、情報処理装置1は、プレビューフラグをオンに設定する。
図6のフローチャートに戻り、情報処理装置1は、上記のような判定処理の後、プレビューフラグがオンに設定されているか否かを判断する(ステップS18)。その結果、プレビューフラグがオンに設定されている場合(ステップS18でYES)、情報処理装置1は、ステップS16で開始したファイル変換処理が完了するまで待機し(ステップS19)、ファイル変換処理が完了した後、出力ファイル6に基づくプレビュー画像生成処理を開始する(ステップS20)。その後、情報処理装置1は、プレビュー画像生成処理が完了するまで待機する(ステップS21)。そしてプレビュー画像生成処理が完了すると、情報処理装置1は、そのプレビュー画像をPC2に送信してプレビュー画像をプレビュー画面G11に表示させる(ステップS22)。その後、情報処理装置1は、出力ファイル6に基づく出力処理の実行を可能とする(ステップS23)。
一方、判定処理の後にプレビューフラグがオンに設定されていない場合(ステップS18でNO)、ステップS19〜S22の処理をスキップし、ステップS23へ進む。この場合、情報処理装置1は、出力ファイル6に基づくプレビュー画像が生成されるのを待機することなく、ファイル変換処理で生成される出力ファイル6に基づく出力処理の実行を可能とする(ステップS23)。
本実施形態では出力処理の実行を可能とする手法の一つとして、情報処理装置1は、PC2で表示されている操作画面G1において、出力先に対する出力処理の実行開始を指示する実行ボタン34を、ユーザーが操作可能となるように有効化する(ステップS23)。具体的には、出力制御部25が表示制御部14に実行ボタン34の有効化を指示することにより、操作画面G1に表示される実行ボタン34をユーザーが操作可能な表示状態に変化させるのである。したがって、実行ボタン34が有効化される以前の状態では、ユーザーは出力ファイル6に基づく出力処理の実行開始を指示することができず、ステップS22で実行ボタン34が有効化されることによってユーザーは出力ファイル6に基づく出力処理の実行開始を指示することができるようになる。ただし、キャンセルボタン35については、実行ボタン34が有効化されていない状態であってもユーザーはキャンセル操作を行うことが可能である。
その後、情報処理装置1は、ユーザーによる出力処理の実行指示操作を検知したか否かを判断し(ステップS24)、実行開始操作を検知していない場合には(ステップS24でNO)、ユーザーによるキャンセル操作を検知したか否かを判断する(ステップS25)。そしてキャンセル操作も検知していない場合には(ステップS25でNO)、ステップS24に戻り、実行指示操作及びキャンセル操作のいずれかを検知するまでステップS24及びS25を繰り返し実行する。
情報処理装置1は、ユーザーによる実行指示操作を検知した場合(ステップS25でYES)、ユーザーによって指定された出力先に対し、出力ファイル6に基づく出力処理を開始する(ステップS26)。このとき、ファイル変換処理が完了していない場合には、ファイル変換処理が完了するまで待機し、ファイル変換処理の完了後、速やかに出力ファイル6に基づく出力処理を実行する。そして出力処理の実行終了後、情報処理装置1は、履歴情報19に出力処理を実行したことを示す情報を追加記録して更新する(ステップS27)。
また情報処理装置1は、ユーザーによるキャンセル操作を検知した場合(ステップS25でYES)、出力ファイル6に基づく出力処理を行うことなく、履歴情報19に出力処理をキャンセルしたことを示す情報を追加記録して更新する(ステップS28)。このとき、ファイル変換処理で生成された出力ファイル6は削除する。またファイル変換処理又はプレビュー画像生成処理が終了していないときには、それらの処理を中断する。以上で、情報処理装置1による処理が終了する。
情報処理装置1によって上記のような処理が行われることにより、例えばファイル変換処理で生成される出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと同じイメージであると判定された場合には、PC2で表示される操作画面G1は、図3に示したような画面となる。すなわち、プレビュー画面G11のプレビュー領域30に出力ファイル6に基づくプレビュー画像が表示されていない状態であっても、ユーザー操作画面G12においてユーザーが出力処理の実行開始を指示するための実行ボタン34が有効に表示されるので、ユーザーは出力処理の実行開始を指示することができる。
これに対し、図8は、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージになると判定された場合の操作画面G1の遷移を示す図である。上述の判定処理(ステップS17)により、出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージになると判定されると、実行ボタン34は有効化されないため、図8(a)に示すように実行ボタン34は例えばグレーアウトされた状態で表示される。この状態では、ユーザーは、実行ボタン34を操作することができない。
その後、情報処理装置1におけるファイル変換処理及びプレビュー画像生成処理が終了すると、PC2に表示される操作画面G1は、図8(a)の状態から図8(b)の状態へと遷移する。図8(b)に示す操作画面G1では、プレビュー画面G11のプレビュー領域30に出力ファイル6に基づくプレビュー画像38が表示された状態となる。そのため、ユーザーは、プレビュー画像38を視認することにより、出力ファイル6のファイルイメージが所望のファイルイメージとなっているか否かを確認することができる。また図8(b)に示す操作画面G1では、プレビュー画面G11にプレビュー画像38が表示された後、ユーザー操作画面G12においてユーザーが出力処理の実行開始を指示するための実行ボタン34が有効に表示される。そのため、ユーザーは、プレビュー画像38を確認した後に実行ボタン34を操作することで出力ファイル6に基づく出力処理の実行開始を指示することができる。
またユーザーは、プレビュー画像38を確認した結果、出力ファイル6のファイルイメージが所望のファイルイメージとなっていないときにはキャンセルボタン35を操作することで出力ファイル6に基づく出力処理を実行させることなく、キャンセルすることができる。これにより、ユーザーが所望するファイルイメージとは異なる出力ファイル6に基づいて出力処理が実行されてしまうことを防止することが可能である。
またPC2において図3に示す操作画面G1が表示されている状態のときに、ユーザーが実行ボタン34又はキャンセルボタン35に対する操作を行わなかった場合には、情報処理装置1においてプレビュー画像が生成されることに伴い、プレビュー画面G11にプレビュー画像38が表示されるようになり、操作画面G1は、図3に示す状態から図8(b)に示す状態に遷移する。したがって、ユーザーは、プレビュー画面G11にプレビュー画像38が表示されていないときに実行ボタン34を操作することが可能であっても、その状態のままで待機していれば、その後にプレビュー画像38を確認することができるようになる。
以上のように本実施形態の情報処理装置1は、出力対象であるデータファイル5を、指定された出力形式に適合するデータフォーマットの出力ファイル6に変換するファイル変換部22と、そのファイル変換によって出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージになるか否かを判定する判定部24とを備えており、判定部24によって出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージになると判定された場合には、出力ファイル6に基づくプレビュー画像38が表示された後に出力ファイル6に基づく出力処理の実行を可能とするのに対し、判定部24によって出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージにならないと判定された場合には、出力ファイル6に基づくプレビュー画像38が表示される前に出力ファイル6に基づく出力処理の実行を可能とする。このような構成によれば、特に出力ファイル6のファイルイメージがデータファイル5のファイルイメージと異なるイメージにならないと場合に、ユーザーはプレビュー画像38が表示されるまで待機することなく、出力ファイル6に基づく出力処理を実行させることができ。それ故、ユーザーの待ち時間を従来よりも低減することができるようになる。
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能であることは勿論である。
例えば上記実施形態では、情報処理装置1が公衆電話網4を介して直接FAX送信を行う場合を例示したが、これに限られるものではなく、例えば画像形成装置3を介してFAX送信を行うものであっても構わない。
また上記実施形態では、情報処理装置1がPC2及び画像形成装置3のそれぞれと通信を行うサーバー装置として構成される場合を例示したが、これに限られるものでもない。例えば上述した情報処理装置1の機能は、画像形成装置3に搭載されるものであっても構わない。