以下、実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について図1〜図18を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両用空調装置1の概略構成図である。
本実施形態では、本発明の冷凍サイクル装置10を内燃機関(エンジン)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両の車両用空調装置1に適用している。この冷凍サイクル装置10は、車両用空調装置1において、空調対象空間へ送風される送風空気を冷却あるいは加熱する機能を果たす。
空調対象空間は、本実施形態においては、第1対象空間39と、第1対象空間39とは別の第2対象空間49とがある。第1対象空間39は車室内の空間である。第2対象空間49は、車両に搭載された冷蔵庫(例えば、食料および飲料を冷やすための冷蔵庫)内であってもよいし、車両に搭載されたバッテリ(例えば、電気自動車、ハイブリッド車両等の走行用モータに電力を供給するバッテリ)を収容してバッテリを冷やす空間であってもよい。後者の場合、第2対象空間49に送られる送風空気により、バッテリが冷却される。このバッテリは、車両がハイブリッド車両の場合は、上記電動モータの電力源であってもよい。
このため、冷凍サイクル装置10においては、第1対象空間39の運転モードが第2対象空間49の運転モードと独立に切り替えられるよう、冷媒流路が切替可能に構成されている。
第1対象空間39の運転モードとしては、車室内を冷房する冷房モード(冷房運転のモード)、車室内を除湿しながら暖房する除湿暖房モード(除湿運転のモード)、車室内を暖房する暖房モード(暖房運転のモード)がある。また、第2対象空間49の運転モードは、冷房モードのみである。また、第1対象空間39、第2対象空間49の運転モードとは別に、室外熱交換器15の除霜を行う除霜モードがある。
さらに、この冷凍サイクル装置10では、後述するように除湿暖房モードとして、通常時に実行される第1除湿暖房モード、および外気温が極低温時等に実行される第2除湿暖房モードを実行することができる。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用しており、高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を越えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。この冷媒には、後述する圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11は、エンジンルーム(図示略)内に配置されて、冷凍サイクル装置10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するもので、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構11aを電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機である。圧縮機構11aとしては、具体的に、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用することができる。
電動モータ11bは、後述する制御装置(図示略)から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。そして、この回転数制御によって、圧縮機構11aの冷媒吐出能力が変更される。従って、本実施形態では、電動モータ11bが圧縮機構11aの吐出能力変更手段を構成する。
圧縮機11の吐出口側には、室内凝縮器(室内熱交換器)12の入口側が接続されている。室内凝縮器12は、後述する室内空調ユニット30のケーシング31内に配置されて、圧縮機11から吐出された吐出冷媒(高圧冷媒)を放熱させて、後述する室内蒸発器20を通過した車室内送風空気(第1対象空間39への送風空気)を加熱する放熱器である。
室内凝縮器12の出口側には、室内凝縮器12から流出した冷媒を後述する室外熱交換器15へ導く第1冷媒通路13が接続されている。この第1冷媒通路13には、第1冷媒通路13の通路面積(絞り開度)を変更可能に構成された第1膨張弁(暖房弁)14が配置されている。
より具体的には、この第1膨張弁14は、第1冷媒通路13の通路開度(絞り開度)を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成される電気式の可変絞り機構である。
本実施形態の第1膨張弁14は、絞り開度を全開した際に第1冷媒通路13を全開する全開機能付きの可変絞り機構で構成されている。つまり、第1膨張弁14は、第1冷媒通路13を全開にすることで冷媒の減圧作用を発揮させないようにすることができる。また、第1膨張弁14は、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
第1膨張弁14の出口側には、室外熱交換器15の入口側が接続されている。室外熱交換器15は、その内部を流通する冷媒と電動の送風ファン15aから送風された外気とを熱交換させるものである。この室外熱交換器15は、後述する暖房モード時等には、冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器として機能し、冷房モード時等には、冷媒を放熱させる放熱器として機能する。なお、送風ファン15aの作動は、制御装置によって制御される。
室外熱交換器15の出口側には、第2冷媒通路16および第3冷媒通路18が接続されている。第2冷媒通路16は、室外熱交換器15から流出した冷媒を、室内蒸発器20および定圧弁(EPR)25をバイパスさせてアキュムレータ21を介して圧縮機11の吸入側へ導く通路である。第3冷媒通路18は、室外熱交換器15から流出した冷媒を室内蒸発器20、定圧弁25およびアキュムレータ21を介して圧縮機11の吸入側へ導く通路である。
この第2冷媒通路16には、第1開閉弁(第1開閉手段の一例に相当する)17が配置されている。この第1開閉弁17は、第2冷媒通路16を開閉する電磁弁であり、制御装置から出力される制御信号により、その作動が制御される。
なお、第1開閉弁17が開いている場合、冷媒が第2冷媒通路16を通過する際に生ずる圧力損失は、冷媒が第3冷媒通路18を通過する際に生ずる圧力損失に対して小さい。その理由は、第3冷媒通路18には、後述する逆止弁24および第2膨張弁(冷房弁)19が配置されているからである。従って、室外熱交換器15から流出した冷媒は、第1開閉弁17が開いている場合には、第2冷媒通路16側に流れ、第1開閉弁17が閉じている場合には、第3冷媒通路18側に流れる。
このように第1開閉弁17は、第2冷媒通路16を開閉することによって、サイクル構成(冷媒流路)を切り替える機能を果たす。従って、第1開閉弁17は、サイクルを循環する冷媒の冷媒流路を切り替える冷媒流路切替手段の一例を構成している。
また、第3冷媒通路18には、第3冷媒通路18の通路面積(絞り開度)を変更可能に構成された第2膨張弁(第2絞り手段の一例に相当する)19が配置されている。より具体的には、この第2膨張弁19は、第3冷媒通路18の通路開度(絞り開度)を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成される電気式の可変絞り機構である。
本実施形態の第2膨張弁19は、絞り開度を全開した際に第3冷媒通路18を全開する全開機能、および絞り開度を全閉した際に第3冷媒通路18を閉鎖する全閉機能付きの可変絞り機構で構成されている。つまり、第2膨張弁19は、冷媒の減圧作用を発揮させないようにすることができるようにすること、および第3冷媒通路18を開閉することができる。なお、第2膨張弁19は、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
第2膨張弁19の出口側には、室内蒸発器20の入口側が接続されている。室内蒸発器20は、室内空調ユニット30のケーシング31内のうち、室内凝縮器12の車室内送風空気流れ上流側に配置され、第1対象空間39の冷房モード時および除湿暖房モード時等にその内部を流通する冷媒を、室内凝縮器12通過前の車室内送風空気(第1対象空間39への送風空気)と熱交換させて蒸発させ、吸熱作用を発揮させることにより車室内送風空気を冷却する蒸発器である。
室内蒸発器20の出口側には、アキュムレータ21の入口側が接続されている。アキュムレータ21は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰冷媒を蓄える気液分離器である。アキュムレータ21の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。従って、アキュムレータ21は、圧縮機11に液相冷媒が吸入されることを抑制し、圧縮機11における液圧縮を防止する機能を果たす。
また、第1冷媒通路13における室内凝縮器12の出口側から第1膨張弁14の入口側へ至る範囲の冷媒を、第3冷媒通路18における室外熱交換器15の出口側から第2膨張弁19の入口側へ至る範囲へ導くバイパス通路22が設けられている。換言すると、このバイパス通路22は、室内凝縮器12から流出した冷媒を、第1膨張弁14および室外熱交換器15を迂回させて第2膨張弁19の入口側へ導く冷媒通路である。
このバイパス通路22には、第2開閉弁(第2開閉手段の一例に相当する)23が配置されている。この第2開閉弁23は、バイパス通路22を開閉する電磁弁であり、制御装置から出力される制御信号により、その作動が制御される。
なお、第2開閉弁23は、バイパス通路22を開閉することによって、サイクル構成(冷媒流路)を切り替える機能を果たす。従って、第2開閉弁23は、第1開閉弁17とともにサイクルを循環する冷媒の冷媒流路を切り替える冷媒流路切替手段の一例を構成している。
さらに、第3冷媒通路18における室外熱交換器15の出口側とバイパス通路22および第3冷媒通路18の合流部との間に、逆止弁(逆流防止手段)24が配置されている。この逆止弁24は、室外熱交換器15の出口側から第2膨張弁19の入口側への冷媒の流れを許容し、第2膨張弁19の入口側から室外熱交換器15の出口側への冷媒の流れを禁止するもので、この逆止弁24によってバイパス通路22から第3冷媒通路18に合流した冷媒が室外熱交換器15側へ流れることを防止することができる。
また、本実施形態においては、室内蒸発器20の出口側に定圧弁(減圧手段の一例に相当する)25を配置する構成としている。この定圧弁25は、第3冷媒通路18における室内蒸発器20の出口側かつアキュムレータ21の入口側に配置され、室内蒸発器20の出口側における冷媒の圧力を所定値(本実施形態では、0.3MPa)に維持する定圧調整手段である。
つまり、この定圧弁25としては、特許文献1に記載の機械式の可変絞り機構で構成された定圧弁を用いることができる。当該定圧弁は、室内蒸発器20の出口側における冷媒の圧力が所定値を下回ると冷媒通路の通路面積を減少(絞り開度を減少)させ、室内蒸発器20の出口側における冷媒の圧力が所定値を超えると冷媒通路の通路面積を増加(絞り開度を増加)させる。
また、第2対象空間用熱交換器44の入口側に繋がる第1支流路26および出口側に繋がる第2支流路27が配設されている。第2対象空間用熱交換器44は、第2空調ユニット40のケーシング41内に配置され、第2対象空間49の冷房モード時にその内部を流通する冷媒を、第2対象空間49内への送風空気と熱交換させて蒸発させ、吸熱作用を発揮させることにより第2対象空間49内への送風空気を冷却する蒸発器である。
第1支流路26の一端は、第2対象空間用熱交換器44の入口に接続し、他端は、逆止弁24の出口側(第2膨張弁19側)かつ第2膨張弁19の入口側(逆止弁24側)かつ第2開閉弁23の第3冷媒通路18側の流路に接続される。より具体的には、第1支流路26の当該他端は、第3冷媒通路18上の逆止弁24と第2膨張弁19の間に接続される。
第2支流路27の一端は、第2対象空間用熱交換器44の出口に接続し、他端は、第1開閉弁17の出口側(アキュムレータ21側)かつアキュムレータ21の入口側(第1開閉弁17側)かつ定圧弁25の出口側(アキュムレータ21側)に接続される。より具体的には、第2支流路27の当該他端は、第2冷媒通路16上にあり、かつ、第1開閉弁17の出口側から合流点18a側までの流路に接続される。
また、第1支流路26には、第3開閉弁28および第3膨張弁29が配置されている。本実施形態および第3実施形態では、第3開閉弁28および第3膨張弁29の組が開閉減圧機構の一例として機能する。第3開閉弁28は、第1支流路26を開閉する電磁弁であり、制御装置から出力される制御信号により、その作動が制御される。
なお、第1支流路26は、第1支流路26を開閉することによって、サイクル構成(冷媒流路)を切り替える機能を果たす。従って、第3開閉弁28は、第1開閉弁17、第2開閉弁23とともにサイクルを循環する冷媒の冷媒流路を切り替える冷媒流路切替手段の一例を構成している。
また、第3膨張弁29は、第1支流路26の上記他端側(第2冷媒通路16)から第1支流路26に流入した冷媒を減圧する絞り機構である。より具体的には、第3膨張弁29は、絞り開度が固定された固定絞りである。
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、上述の室内凝縮器12、および室内蒸発器20等を収容したものである。
ケーシング31は、車室内送風空気(第1対象空間39への送風空気)の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケーシング31内の送風空気流れ最上流側には、車室内空気(内気)と外気とを切替導入する内外気切替装置33が配置されている。
内外気切替装置33には、ケーシング31内に内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口が形成されている。さらに、内外気切替装置33の内部には、内気導入口および外気導入口の開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドアが配置されている。
内外気切替装置33の空気流れ下流側には、内外気切替装置33を介して導入された空気を車室内に向けて送風する送風機32が配置されている。この送風機32
は、遠心多翼ファン(シロッコファン)32aを電動モータ32bにて駆動する電動送風機であって、後述する制御装置から出力される制御信号(制御電圧)によって回転数(送風量)が制御される。なお、遠心式多翼ファン32aは、車室内へ空気を送風する送風手段としての機能を果たす。
送風機32の空気流れ下流側には、室内蒸発器20および室内凝縮器12が、車室内送風空気の流れに対して、この順に配置されている。換言すると、室内蒸発器20は、室内凝縮器12に対して、車室内送風空気の流れ方向上流側に配置されている。
なお、室内凝縮器12に対して車室内送風空気の流れ方向上流側にヒータコア(図示せず)が配置されていてもよい。また、ケーシング31内には、室内蒸発器20を通過した空気を室内凝縮器(および有ればヒータコア)を迂回させて流す冷風バイパス通路35が形成されている。
室内蒸発器20の空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12(および有ればヒータコア)の空気流れ上流側には、室内蒸発器20通過後の空気のうち、室内凝縮器12(および有ればヒータコア)を通過させる空気と冷風バイパス通路35を通過させる空気との風量割合を調整するエアミックスドア36が配置されている。また、室内凝縮器12の空気流れ下流側および冷風バイパス通路35の空気流れ下流側には、室内凝縮器12を通過した空気と冷風バイパス通路35を通過した空気とを混合させる混合空間が設けられている。
さらに、ケーシング31の送風空気流れ最下流側には、混合空間にて混合された空調風を、第1対象空間39である車室内へ吹き出す吹出口39aが配置されている。具体的には、吹出口39aとしては、車室内の乗員の上半身へ空調風を吹き出すフェイス吹出口、乗員の足元へ空調風を吹き出すフット吹出口、および車両前面窓ガラス内側面へ空調風を吹き出すデフロスタ吹出口等がある。
従って、エアミックスドア36が室内凝縮器12を通過させる空気と冷風バイパス通路35を通過させる空気との風量割合を調整することで、混合空間にて混合された空調風の温度が調整され、各吹出口から吹き出される空調風の温度が調整される。なお、エアミックスドア36は、制御装置から出力される制御信号によって作動するサーボモータ(図示略)によって駆動される。
さらに、フェイス吹出口、フット吹出口、およびデフロスタ吹出口の送風空気流れ上流側には、フェイス吹出口の開口面積を調整するフェイスドア(図示せず)、フット吹出口の開口面積を調整するフットドア(図示せず)、およびデフロスタ吹出口の開口面積を調整するデフロスタドア(図示せず)が配置されている。
これらのフェイスドア、フットドア、およびデフロスタドアは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、リンク機構等を介して、後述する制御装置から出力される制御信号によってその作動が制御されるサーボモータ(図示せず)によって駆動される。
次に、第2空調ユニット40について説明する。第2空調ユニット40は、車内に配置されて、その外殻を形成するケーシング41内に送風機42および第2対象空間用熱交換器44等を収容したものである。
ケーシング41は、第2対象空間49への送風空気の空気通路を形成しており、ケーシング31と同等の組成の材料にて成形されている。ケーシング41内の送風空気流れ最上流側には、空気(内気でも外気でもよい)を導入する空気導入口43が配置されている。
空気導入口43の空気流れ下流側には、空気導入口43から導入された空気を第2対象空間49に向けて送風する送風機42が配置されている。この送風機42は、遠心多翼ファン(シロッコファン)42aを電動モータ42bにて駆動する電動送風機であって、後述する制御装置から出力される制御信号(制御電圧)によって回転数(送風量)が制御される。なお、遠心式多翼ファン42aは、第2対象空間49へ空気を送風する送風手段としての機能を果たす。
また、送風機42の空気流れ下流側には、第2対象空間用熱交換器44が配置されている。さらに、ケーシング41の送風空気流れ最下流側には、第2対象空間用熱交換器44を通った空調風を第2対象空間49へ吹き出す吹出口49aが配置されている。
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。制御装置は、CPU、ROM、RAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する。
また、制御装置の入力側には、車室内温度Trを検出する内気センサ、外気温Tamを検出する外気センサ、車室内の日射量Tsを検出する日射センサ、室内蒸発器20からの吹出空気温度(蒸発器温度)Teを検出する蒸発器吹出温度検出手段としての蒸発器温度センサ、圧縮機11から吐出された冷媒の温度を検出する吐出温度センサTd、車室内へ吹き出す吹出空気温度(車室内吹出空気温度)TAVを検出する吹出温度検出手段としての吹出空気温度センサ、室外熱交換器15の温度を検出する室外熱交換器温度センサ等の種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。
さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置されてユーザが操作可能な操作パネル(図示せず)が接続され、操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が入力される。この操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、具体的に、室内空調ユニット30にて車室内送風空気の冷却を行うか否かを設定するエアコンスイッチ(A/Cスイッチ)、車室内の設定温度を設定する温度設定スイッチ、第2空調ユニット40にて第2対象空間49への送風空気の冷却を行うか否かを設定する第2対象空間冷却スイッチ等が設けられている。
なお、制御装置は、その出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれ制御機器の作動を制御する構成(ソフトウェアおよびハードウェア)が、それぞれの制御機器の作動を制御する制御手段を構成している。
例えば、圧縮機11の電動モータを制御する構成が吐出能力制御手段を構成し、第1膨張弁14を制御する構成が第1絞り制御手段を構成し、第2膨張弁19を制御する構成が第2絞り制御手段を構成し、第1、第2、第3開閉弁17、23、28を制御する構成が流路切替制御手段を構成している。
次に、上記構成における本実施形態の車両用空調装置1の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、車室内(第1対象空間39)の運転モードとしては、車室内を冷房する冷房モード、車室内を暖房する暖房モード、車室内を除湿しながら暖房する除湿暖房モードに切り替えることができる。また、第2対象空間49の運転モードとしては、冷房モードが実現可能である。
各運転モードの切替制御処理について図2に基づいて説明する。図2は、本実施形態の車両用空調装置1の制御装置が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、図2のフローチャートは図示しない空調制御のメインルーチンのサブルーチンとして実行される。また、図2の各制御ステップは、制御装置が有する各種の機能実現手段を構成している。
まず、制御装置が上述のセンサ群の検出信号および操作パネルの操作信号を読み込み(S10)、読み込んだ検出信号および操作信号の値に基づいて車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOを、以下の数式F1に基づいて算出する(S20)。従って、本実施形態の制御ステップS20は、目標吹出温度決定手段を構成している。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
なお、Tsetは温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気センサによって検出された車室内温度(内気温)、Tamは外気センサによって検出された外気温、Tsは日射センサによって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
次に、操作パネルのA/Cスイッチがオンされているか否かを判定する(S30)。その結果、A/Cスイッチがオフと判定された場合(S30:NO)には、ステップS34に進み、車室内について空調を行うか否かを判定する。例えば、車室内設定温度Tsetが車室内温度Trよりも基準温度差以上高いか否かで、車室内について空調を行うか否かを判定する。
ステップS34で車室内について空調を行うと判定した場合、ステップS40に進み、車室内の運転モードを室内空調ユニット30にて車室内送風空気を冷却しない暖房モードに決定する(S40)。ステップS36で車室内について空調を行わないと判定した場合、ステップS36に進み、車室内については空調を行わないと判定する。
また、ステップS30でA/Cスイッチがオンと判定された場合(S30:YES)には、ステップS32に進み、室外熱交換器15の温度が所定値未満か否かに基づいて、除霜が必要か否か判定する。除霜が必要であると判定した場合はステップS38に進み、必要でないと判定した場合はステップS50に進む。
ステップS38では、運転モードを室外熱交換器15に付着した霜を暖めて融解させる除霜モードに決定する。ステップS38に続いては、ステップS10に戻る。
ステップS50では、目標吹出温度TAOが予め定められた冷房基準温度αより小さいか否かを判定する。この結果、目標吹出温度TAOが冷房基準温度αよりも低いと判定された場合(S50:YES)には、車室内の冷房を実行するために、車室内の運転モードを冷房モードに決定し(S60)、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上であると判定された場合(S50:YES)には、ステップS70へ移行する。
ステップS70では、外気センサの検出値(外気温)が予め定めた外気基準温度T1より高いか否かを判定する。この結果、外気センサの検出値が外気基準温度T1よりも高いと判定された場合(S70:YES)には、さらに、吹出空気温度センサの検出値(車室内吹出空気温度TAV)と目標吹出温度TAOとの温度差(=TAV−TAO)が予め定めた基準値β(以下、閾値βという。)よりも小さいか否かを判定する(S80)。
ステップS80の判定処理の結果、車室内吹出空気温度Tと目標吹出温度TAOとの温度差が閾値βよりも小さいと判定された場合(S80:YES)には、車室内の運転モードを、車室内への吹出空気の温度調整可能範囲が低温域から高温域の広範囲となる通常時の除湿暖房モードである第1除湿暖房モードに決定する(S90)。
一方、外気センサの検出値が外気基準温度T1以下と判定された場合(S70:NO)、または、車室内吹出空気温度TAVと目標吹出温度TAOとの温度差が閾値β以上と判定された場合(S80:NO)には、車室内の運転モードを、車室内への吹出空気の温度調整可能範囲が第1除湿暖房モードに比べて高温域となる第2除湿暖房モードに決定する(S100)。
ステップS36、S40、S60、S90、S100に続いては、第2対象空間冷却スイッチがオンされているか否かを決定する(S110)。その結果、第2対象空間冷却スイッチがオフと判定された場合(S110:NO)には、第2空調ユニット40を作動させない(第2対象空間49の空調を行わない)と決定する(S120)。また、第2対象空間冷却スイッチがオンと判定された場合(S110:YES)には、ステップS130に進む。ステップS130では、第2対象空間49の運転モードを冷房モードに決定する。ステップS120、S130の後、ステップS10に戻る。
このようにして、第1対象空間39の運転モードを、車両用空調装置1の運転環境に応じて、暖房モード、冷房モード、第1除湿暖房モード、および第2除湿暖房モードを適切に切り替えることができる。また、第1対象空間39の運転モードとは独立に、第2対象空間49の運転モードを冷房モードにするか第2対象空間49の空調を行わないかを切り替えることができる。
次に、第1対象空間39および第2対象空間49の運転モードの組み合わせ毎の作動について説明する。
(A)第1対象空間:冷房モード&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39の運転モードが冷房モード、第2対象空間49の運転モードが冷房モードの場合、制御装置は、以下のような制御を行う。
制御装置は、図3に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じるとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じ、さらに第3開閉弁28にて第1支流路26を開く。さらに、第1膨張弁14にて第1冷媒通路13を全開状態とする。これにより、冷凍サイクル装置10では、図3に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
なお、図3では、流路のうち太線で表されている部分を矢印の方向に冷媒が流れ、細線で表されている部分を冷媒が流れない。このことは、図5、図10、図12、図14、図16でも同様である。
この冷媒流路の構成で、制御装置が、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、制御装置に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、以下のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置に記憶された制御マップを参照して、室内蒸発器20から吹き出される送風空気の目標蒸発器吹出温度TEOを決定する。従って、制御装置が実行する制御ルーチンのうち、この目標蒸発器吹出温度TEOを決定する制御ステップが目標蒸発器吹出温度決定手段を構成する。
そして、この目標蒸発器吹出温度TEOと蒸発器温度センサの検出値との偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて室内蒸発器20を通過した空気の温度が、目標蒸発器吹出温度TEOに近づくように圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号が決定される。
また、第2膨張弁19へ出力される制御信号については、第2膨張弁19へ流入する冷媒の過冷却度が、COPを最大値に近づくように予め定められた目標過冷却度に近づくように、第2膨張弁19が所定開度を実現するよう、決定される。なお、ここでいう所定開度とは、全開状態または絞り状態をいう。絞り状態は、全開状態よりも開度が低くかつ全閉状態よりも開度が大きい絞り状態である。
また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、エアミックスドア36が室内凝縮器12の空気通路を閉塞し、室内蒸発器20を通過後の送風空気の全流量が冷風バイパス通路35を通過するように、すなわち、マックスクール状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
そして、上記の如く決定された制御信号等を各種制御機器へ出力する。その後、操作パネルによって車両用空調装置1の作動停止が要求されるまで、所定の周期毎に運転モードの決定処理→各種制御機器の作動状態の決定→制御信号等の出力といった制御ルーチンが繰り返される。なお、このような制御ルーチンの繰り返しは、他の運転モード時にも同様に行われる。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、図4のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(a1点)が、室内凝縮器12に流入する。この際、エアミックスドア36が室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12に流入した冷媒は、殆ど車室内送風空気と熱交換することなく、室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入する。この際、第1膨張弁14が第1冷媒通路13を全開状態としているので、室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1膨張弁14にて減圧されることなく、室外熱交換器15に流入する。そして、室外熱交換器15に流入した冷媒は、室外熱交換器15にて送風ファン15aから送風された外気へ放熱する。これにより、図4のモリエル線図において冷媒の状態がa1点からa2点、a3点の方向に向けて遷移する。
室外熱交換器15から流出した冷媒は、第3冷媒通路18を介して、一部の冷媒については第2膨張弁19へ流入して、残りの冷媒については第1支流路26へ流入する。第2膨張弁19へ流入する直前の冷媒の状態はa2点の状態に相当する。
第2膨張弁19に流入した冷媒は第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(a2点→a4点)。そして、第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(a4点→a5点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。室内蒸発器20から流出した冷媒は、定圧弁25に流入して減圧されて、定圧弁25からアキュムレータ21側に流出する(a5点→a6点)。
また、第1支流路26へ流入した冷媒は、開状態の第3開閉弁28を通って第3膨張弁29に流入する。第3膨張弁29に流入する直前の冷媒の状態は、a3点の状態となる。
なお、a3点の比エンタルピがa2点の比エンタルピよりも小さいのは、第3冷媒通路18と第1支流路26の分岐点から第2膨張弁19までの距離よりも、当該分岐点から第3膨張弁29までの距離が長いからである。このようになっていると、当該分岐点から第2膨張弁19までに冷媒が周囲に放出する単位質量当たりの熱の量よりも、当該分岐点から第3膨張弁29までに冷媒が周囲に放出する単位質量当たりの熱の量の方が大きい。ただし、流路長を変更すれば、逆にa3点の比エンタルピがa2点の比エンタルピよりも大きくなるようにすることも可能である。
第3膨張弁29に流入した冷媒は第3膨張弁29にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(a3点→a7点)。第3膨張弁29にて減圧された低圧冷媒は、第2対象空間用熱交換器44に流入し、送風機42から送風された送風空気から吸熱して蒸発する(a7点→a8点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が冷却される。
第2対象空間用熱交換器44から流出した冷媒は、第2支流路27へ流入し、さらに第2支流路27から第2冷媒通路16に流入することで、室内蒸発器20から流出して定圧弁25を通過した冷媒と、圧損により僅かに圧力低下を伴って合流する(a8点→a6点)。
合流した冷媒はアキュムレータ21へ流入して気液分離される。そして、アキュムレータ21にて分離された気相冷媒が圧縮機11の吸入側から吸入されて再び圧縮機11にて圧縮される(a6点→a1点)。なお、アキュムレータ21にて分離された液相冷媒は、サイクルが要求されている冷凍能力を発揮するために必要としていない余剰冷媒としてアキュムレータ21の内部に蓄えられる。
以上の如く、第1対象空間39の冷房モードでは、エアミックスドア36にて室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内蒸発器20にて冷却された車室内送風空気を車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の冷房を実現することができる。
また、第2対象空間49の冷房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて冷却された送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の冷房を実現することができる。
(B)第1対象空間:第1除湿暖房モード&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39が第1除湿暖房モード(直列除湿暖房モード)であり、第2対象空間49が冷房モードである場合は、図5に示す通り、制御装置が第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じるとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じ、さらに第3開閉弁28を開く。そして、第1、第2膨張弁14、19の開度を所定開度の状態(具体的には、絞り状態または全開状態)とする。これにより、冷凍サイクル装置10は、図5に示すように、上述の(A)の運転モードと同経路で冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。なお、第1除湿暖房モードでは、冷媒流れに対して室外熱交換器15と室内蒸発器20とが直列に接続されることとなる。
この冷媒流路の構成で、制御装置が、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、制御装置に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記(A)のモードと同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、エアミックスドア36が冷風バイパス通路35を閉塞し、室内蒸発器20を通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12の空気通路を通過するように、すなわち、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
また、第1膨張弁14および第2膨張弁19については、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOに応じて変更している。具体的には、制御装置は、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOの上昇に伴って、第1膨張弁14にて第1冷媒通路13の通路面積を減少させるとともに、第2膨張弁19にて第3冷媒通路18の通路面積を増大させる。これにより、第1除湿暖房モードでは、第1モードから第4モードの4段階のモードを実行する。
(B−1)第1モード
第1モードは、第1除湿暖房モード時に、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上、かつ、予め定めた第1基準温度以下となった場合に実行される。
第1モードでは、第1膨張弁14にて第1冷媒通路13を全開状態とし、第2膨張弁19を所定開度の絞り状態とし、さらに第3開閉弁28を開く。
従って、サイクル構成(冷媒流路)については、(A)のモードと全く同じ冷媒流路となるものの、エアミックスドア36が室内凝縮器12側の空気通路を全開状態としているので、サイクルを循環する冷媒の状態については、図6のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(b1点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(b1点→b2点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入する。この際、第1膨張弁14が第1冷媒通路13を全開状態としているので、室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1膨張弁14にて減圧されることなく、室外熱交換器15に流入する。そして、室外熱交換器15に流入した冷媒は、室外熱交換器15にて送風ファン15aから送風された外気へ放熱する。これにより、図6のモリエル線図において冷媒の状態がb2点からb3点、b4点の方向に向けて遷移する。
室外熱交換器15から流出した冷媒は、第3冷媒通路18を介して、一部の冷媒については第2膨張弁19へ流入して、残りの冷媒については第1支流路26へ流入する。第2膨張弁19へ流入する直前の冷媒の状態はb3点の状態に相当する。
第2膨張弁19へ流入した冷媒は第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(b3点→b5点)。第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(b5点→b6点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。室内蒸発器20から流出した冷媒は、定圧弁25に流入して減圧されて、定圧弁25からアキュムレータ21側に流出する(b6点→b7点)。
また、第1支流路26へ流入した冷媒は、開状態の第3開閉弁28を通って第3膨張弁29に流入する。第3膨張弁29に流入する直前の冷媒の状態は、b4点の状態となる。
なお、b4点の比エンタルピがb3点の比エンタルピよりも小さいのは、a3点の比エンタルピがa2点の比エンタルピよりも小さい理由と同じである。ただし、流路長を変更すれば、逆にb4点の比エンタルピがb3点の比エンタルピよりも大きくなるようにすることも可能である。
第3膨張弁29に流入した冷媒は第3膨張弁29にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(b4点→b8点)。第3膨張弁29にて減圧された低圧冷媒は、第2対象空間用熱交換器44に流入し、送風機42から送風された送風空気から吸熱して蒸発する(b8点→b9点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が冷却される。
第2対象空間用熱交換器44から流出した冷媒は、第2支流路27へ流入し、さらに第2支流路27から第2冷媒通路16に流入することで、室内蒸発器20から流出して定圧弁25を通過した冷媒と、圧損により僅かに圧力低下を伴って合流する(b9点→b7点)。
合流した冷媒は(A)のモードと同様に、アキュムレータ21→圧縮機11の吸入側へと流れて再び圧縮機11にて圧縮される(b7点→b1点)。
以上の如く、第1モード時には、室内蒸発器20にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
また、第2対象空間49の冷房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて冷却された送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の冷房を実現することができる。
(B−2)第2モード
第2モードは、目標吹出温度TAOが第1基準温度より高く、かつ、予め定めた第2基準温度以下となった場合に実行される。第2モードでは、第1膨張弁14を絞り状態とし、第2膨張弁19の絞り開度(第3冷媒通路18の通路面積)を第1モード時よりも増加させた絞り状態とし、さらに第3開閉弁28にて第1支流路26を開く。従って、第2モードでは、サイクルを循環する冷媒の状態については、図7のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(c1点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(c1点→c2点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入し、中間圧冷媒となるまで減圧される(c2点→c3点)。そして、第1膨張弁14にて減圧された中間圧冷媒は、室外熱交換器15に流入して、送風ファン15aから送風された外気へ放熱する。これにより、図7のモリエル線図において冷媒の状態がc3点からc4点、c5点の方向に向けて遷移する。
室外熱交換器15から流出した冷媒は、第3冷媒通路18を介して、一部の冷媒については第2膨張弁19へ流入して、残りの冷媒については第1支流路26へ流入する。第2膨張弁19へ流入する直前の冷媒の状態はc4点の状態に相当する。
第2膨張弁19へ流入した冷媒は第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(c4点→c6点)。第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(c6点→c7点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。そして、室内蒸発器20から流出した冷媒は、定圧弁25に流入して減圧されて、定圧弁25からアキュムレータ21側に流出する(c7点→c8点)。
また、第1支流路26へ流入した冷媒は、開状態の第3開閉弁28を通って第3膨張弁29に流入する。第3膨張弁29に流入する直前の冷媒の状態は、c5点の状態となる。
なお、c5点の比エンタルピがc4点の比エンタルピよりも小さいのは、a3点の比エンタルピがa2点の比エンタルピよりも小さい理由と同じである。ただし、流路長を変更すれば、逆にc5点の比エンタルピがc4点の比エンタルピよりも大きくなるようにすることも可能である。
第3膨張弁29に流入した冷媒は第3膨張弁29にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(c5点→c9点)。第3膨張弁29にて減圧された低圧冷媒は、第2対象空間用熱交換器44に流入し、送風機42から送風された送風空気から吸熱して蒸発する(c9点→c10点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が冷却される。
第2対象空間用熱交換器44から流出した冷媒は、第2支流路27へ流入し、さらに第2支流路27から第2冷媒通路16に流入することで、室内蒸発器20から流出して定圧弁25を通過した冷媒と、圧損により僅かに圧力低下を伴って合流する(c10点→c8点)。
合流した冷媒は(A)のモードと同様に、アキュムレータ21→圧縮機11の吸入側へと流れて再び圧縮機11にて圧縮される(c8点→c1点)。
以上の如く、第2モード時には、第1モードと同様に、室内蒸発器20にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
この際、第2モードでは、第1膨張弁14を絞り状態としているので、第1モードに対して、室外熱交換器15へ流入する冷媒の温度を低下させることができる。従って、室外熱交換器15における冷媒の温度と外気温との温度差を縮小して、室外熱交換器15における冷媒の放熱量を減少させることができる。
この結果、第1モード時に対してサイクルを循環する冷媒循環流量を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させることができ、第1モードよりも室内凝縮器12から吹き出される吹出空気の温度を上昇させることができる。
また、第2対象空間49の冷房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて冷却された送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の冷房を実現することができる。
(B−3)第3モード
第3モードは、目標吹出温度TAOが第2基準温度より高く、かつ、予め定めた第3基準温度以下となった場合に実行される。第3モードでは、第1膨張弁14の絞り開度(第1冷媒通路13の通路面積)を第2モード時よりも減少させた絞り状態とし、第2膨張弁19の絞り開度(第3冷媒通路18の通路面積)を第2モード時よりも増加させた絞り状態とし、さらに第3開閉弁28にて第1支流路26を開く。する。従って、第3モードでは、サイクルを循環する冷媒の状態については、図8のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(d1点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(d1点→d2点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入し、外気温よりも温度の低い中間圧冷媒となるまで減圧される(d2点→d3点)。そして、第1膨張弁14にて減圧された中間圧冷媒は、室外熱交換器15に流入して、送風ファン15aから送風された外気から吸熱する。これにより、図8のモリエル線図において冷媒の状態がd3点からd4点、d5点の方向に向けて遷移する。
室外熱交換器15から流出した冷媒は、第3冷媒通路18を介して、一部の冷媒については第2膨張弁19へ流入して、残りの冷媒については第1支流路26へ流入する。第2膨張弁19へ流入する直前の冷媒の状態はd4点の状態に相当する。
第2膨張弁19へ流入した冷媒は第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(d4点→d6点)。第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(d6点→d7点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。そして、室内蒸発器20から流出した冷媒は、定圧弁25に流入して減圧されて、定圧弁25からアキュムレータ21側に流出する(d7点→d8点)。
また、第1支流路26へ流入した冷媒は、開状態の第3開閉弁28を通って第3膨張弁29に流入する。第3膨張弁29に流入する直前の冷媒の状態は、d5点の状態となる。
なお、d5点の比エンタルピがd4点の比エンタルピよりも大きいのは、第3冷媒通路18と第1支流路26の分岐点から第2膨張弁19までの距離よりも、当該分岐点から第3膨張弁29までの距離が長いからである。このようになっていると、当該分岐点から第2膨張弁19までに冷媒が周囲から吸収する単位質量当たりの熱の量よりも、当該分岐点から第3膨張弁29までに冷媒が周囲から吸収する単位質量当たりの熱の量の方が大きい。ただし、流路長を変更すれば、逆にd5点の比エンタルピがd4点の比エンタルピよりも小さくなるようにすることも可能である。
第3膨張弁29に流入した冷媒は第3膨張弁29にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(d5点→d9点)。第3膨張弁29にて減圧された低圧冷媒は、第2対象空間用熱交換器44に流入し、送風機42から送風された送風空気から吸熱して蒸発する(d9点→d10点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が冷却される。
第2対象空間用熱交換器44から流出した冷媒は、第2支流路27へ流入し、さらに第2支流路27から第2冷媒通路16に流入することで、室内蒸発器20から流出して定圧弁25を通過した冷媒と、圧損により僅かに圧力低下を伴って合流する(d10点→d8点)。
合流した冷媒は(A)のモードと同様に、アキュムレータ21→圧縮機11の吸入側へと流れて再び圧縮機11にて圧縮される(d8点→d1点)。
以上の如く、第3モード時には、第1、第2モードと同様に、室内蒸発器20にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
この際、第3モードでは、第1膨張弁14の絞り開度を減少させることによって、室外熱交換器15を吸熱器(蒸発器)として機能させているので、第2モードよりも室内凝縮器12から吹き出される温度を上昇させることができる。
この結果、第2モードに対して、圧縮機11の吸入冷媒密度を上昇させることができ、圧縮機11の回転数(冷媒吐出能力)を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させることができ、第2モードよりも室内凝縮器12から吹き出される吹出空気の温度を上昇させることができる。
また、第2対象空間49の冷房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて冷却された送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の冷房を実現することができる。
(B−4)第4モード
第4モードは、目標吹出温度TAOが第3基準温度より高くなった場合に実行される。第4モードでは、第1膨張弁14の絞り開度(第1冷媒通路13の通路面積)を第3モード時よりも減少させた絞り状態とし、第2膨張弁19にて第3冷媒通路18を全開状態とし、さらに第3開閉弁28にて第1支流路26を開く。従って、第4モードでは、サイクルを循環する冷媒の状態については、図9のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(e1点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(e1点→e2点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入し、低圧冷媒となるまで減圧される(e2点→e3点)。そして、第1膨張弁14にて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器15に流入して、送風ファン送風ファン15aから送風された外気から吸熱する。これにより、図9のモリエル線図において冷媒の状態がe3点からe4点、e5点の方向に向けて遷移する。
室外熱交換器15から流出した冷媒は、第3冷媒通路18を介して、一部の冷媒については第2膨張弁19へ流入して、残りの冷媒については第1支流路26へ流入する。第2膨張弁19へ流入する直前の冷媒の状態はe4点の状態に相当する。
なお、第2膨張弁19が第3冷媒通路18を全開状態としているので、室外熱交換器15から流出して第2膨張弁19へ流入した冷媒は、第2膨張弁19にて減圧されることなく、室内蒸発器20に流入する。
室内蒸発器20に流入した低圧冷媒は、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(e4点→e6点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。そして、室内蒸発器20から流出した冷媒は、定圧弁25に流入して減圧されて、定圧弁25からアキュムレータ21側に流出する(e6点→e7点)。
また、第1支流路26へ流入した冷媒は、開状態の第3開閉弁28を通って第3膨張弁29に流入する。第3膨張弁29に流入する直前の冷媒の状態は、e5点の状態となる。
なお、e5点の比エンタルピがe4点の比エンタルピよりも大きいのは、d5点の比エンタルピがd4点の比エンタルピよりも大きいのと同じ理由である。ただし、流路長を変更すれば、逆にe5点の比エンタルピがe4点の比エンタルピよりも小さくなるようにすることも可能である。
第3膨張弁29に流入した冷媒は第3膨張弁29にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(e5点→e8点)。第3膨張弁29にて減圧された低圧冷媒は、第2対象空間用熱交換器44に流入し、送風機42から送風された送風空気から吸熱して蒸発する(e8点→e10点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が冷却される。
第2対象空間用熱交換器44から流出した冷媒は、第2支流路27へ流入し、さらに第2支流路27から第2冷媒通路16に流入することで、室内蒸発器20から流出して定圧弁25を通過した冷媒と、圧損により僅かに圧力低下を伴って合流する(e9点→e7点)。
合流した冷媒は(A)のモードと同様に、アキュムレータ21→圧縮機11の吸入側へと流れて再び圧縮機11にて圧縮される(e7点→e1点)。
以上の如く、第4モード時には、第1〜第3モードと同様に、室内蒸発器20にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
この際、第4モードでは、第3モードと同様に、室外熱交換器15を吸熱器(蒸発器)として機能させることができるとともに、第3モードよりも第1膨張弁14の絞り開度を縮小させているので、室外熱交換器15における冷媒蒸発温度を低下させることができる。従って、第3モードよりも室外熱交換器15における冷媒の温度と外気温との温度差を拡大させて、室外熱交換器15における冷媒の吸熱量を増加させることができる。
この結果、第3モードに対して、圧縮機11の吸入冷媒密度を上昇させることができ、圧縮機11の回転数(冷媒吐出能力)を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させることができ、第3モードよりも室内凝縮器12から吹き出される吹出空気の温度を上昇させることができる。
このように、第1除湿暖房モードでは、目標吹出温度TAOに応じて第1膨張弁14、第2膨張弁19の絞り開度を変更することで、車室内へ吹き出す吹出空気の温度を低温域から高温域までの広範囲(例えば、図26に示す中間温度領域を含む範囲)に亘って調整することができる。
換言すると、第1除湿暖房モードでは、室外熱交換器15を、冷媒を放熱させる放熱器として機能させる状態から冷媒に吸熱させる蒸発器として機能させる状態へ切り替えながら、室外熱交換器15における冷媒の放熱量あるいは吸熱量を調整することができる。
従って、室外熱交換器15を放熱器あるいは蒸発器のいずれか一方として機能させるサイクル構成よりも、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を幅広い範囲で調整することができ、除湿運転時に空調対象空間へ吹き出される吹出空気の温度調整範囲を拡大させることができる。
また、第2対象空間49の冷房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて冷却された送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の冷房を実現することができる。
(C)第1対象空間:第2除湿暖房モード&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39が第2除湿暖房モード(並列除湿暖房モード)であり、第2対象空間49が冷房モードである場合は、図10に示す通り、制御装置が第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を開き、さらに第3開閉弁28を開く。そして、第1、第2膨張弁14、19それぞれを所定開度の絞り状態とする。従って、冷凍サイクル装置10は、図10に示すように冷媒が流れる第2冷媒流路に切り替えられる。なお、第1対象空間39の第2除湿暖房モード(第2冷媒流路)では、冷媒流れに対して室外熱交換器15と室内蒸発器20とが並列に接続されることとなる。
この冷媒流路の構成で、制御装置が、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、制御装置に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記(A)のモードと同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
また、第1膨張弁14および第2膨張弁19へ出力される制御信号については、予め定めた第2除湿暖房モード用の所定開度の絞り状態となるように決定される。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、図11のモリエル線図に示すように、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(f1点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する。これにより、車室内送風空気が加熱される。これにより、図11のモリエル線図において冷媒の状態がf1点からf2点、f3点、f4点の方向に向けて遷移する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入するとともに、バイパス通路22に流入する。第1膨張弁14に流入する直前の冷媒の状態は、f2点の状態に相当する。
第1冷媒通路13からバイパス通路22に流入した冷媒は、一部の冷媒については第3冷媒通路18を介して第2膨張弁19へ流入して、残りの冷媒については第3冷媒通路18を介して第1支流路26へ流入する。第2膨張弁19へ流入する直前の冷媒の状態はf3点の状態に相当する。
第1冷媒通路13から第1膨張弁14に流入した高圧冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される(f2点→f5点)。そして、第1膨張弁14にて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器15に流入して、送風ファン15aから送風された外気から吸熱し(f5点→f6点)、第2冷媒通路16に流出する。
一方、第2膨張弁19に流入した高圧冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される(f3点→f7点)。そして、第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入して、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(f7点→f8点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。そして、室内蒸発器20から流出した冷媒は、定圧弁25に流入して減圧されて、定圧弁25からアキュムレータ21側に流出する。このとき、定圧弁25から流出した冷媒と室外熱交換器15から流出した冷媒と第2支流路27から流出した冷媒とが合流する(f8点、f6→f9点)。
また、第1支流路26へ流入した冷媒は、開状態の第3開閉弁28を通って第3膨張弁29に流入する。第3膨張弁29に流入する直前の冷媒の状態は、f4点の状態となる。
なお、f4点の比エンタルピがf2点の比エンタルピよりも小さいのは、第1冷媒通路13とバイパス通路22の分岐点から第1膨張弁14までの距離よりも、当該分岐点から第3膨張弁29までの距離が長いからである。このようになっていると、当該分岐点から第1膨張弁14までに冷媒が周囲に放熱する単位質量当たりの熱の量よりも、当該分岐点から第3膨張弁29までに冷媒が周囲に放熱する単位質量当たりの熱の量の方が大きい。ただし、流路長を変更すれば、逆にf4点の比エンタルピがf2点の比エンタルピよりも大きくなるようにすることも可能である。
また、f2点の比エンタルピがf3点の比エンタルピよりも小さいのは、第1冷媒通路13とバイパス通路22の分岐点から第2膨張弁19までの距離よりも、当該分岐点から第1膨張弁14までの距離が長いからである。このようになっていると、当該分岐点から第2膨張弁19までに冷媒が周囲に放熱する単位質量当たりの熱の量よりも、当該分岐点から第1膨張弁14までに冷媒が周囲に放熱する単位質量当たりの熱の量の方が大きい。ただし、流路長を変更すれば、逆にf2点の比エンタルピがf3点の比エンタルピよりも大きくなるようにすることも可能である。
第3膨張弁29に流入した冷媒は第3膨張弁29にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(f4点→f10点)。第3膨張弁29にて減圧された低圧冷媒は、第2対象空間用熱交換器44に流入し、送風機42から送風された送風空気から吸熱して蒸発する(f10点→f11点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が冷却される。
第2対象空間用熱交換器44から流出した冷媒は、第2支流路27へ流入し、さらに第2支流路27から第2冷媒通路16に流入することで、室内蒸発器20から流出して定圧弁25を通過した冷媒および室外熱交換器15から流出した冷媒と、圧損により僅かに圧力低下を伴って合流する(f11点→f9点)。
合流した冷媒は、アキュムレータ21→圧縮機11の吸入側へと流れて気液分離され、分離された気相冷媒が再び圧縮機11にて圧縮される(f9点→f1点)。なお、第3冷媒通路18には、逆止弁24が設けられているので、バイパス通路22から室外熱交換器15の出口側へ冷媒が逆流しない。
以上の如く、第2除湿暖房モード時には、第1除湿暖房モード時と異なり、冷媒流れに対して室外熱交換器15と室内蒸発器20とが並列接続される冷媒流路となるので、室内蒸発器20への冷媒流量を減少させることができる。従って、室内蒸発器20における冷媒の吸熱量を減少させることができ、第1除湿暖房モードよりも、室内蒸発器20にて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて高温域で温度調整することができる。なお、室内蒸発器20への冷媒流量を減少させる際には、車室内送風空気の充分な除湿を行うことができる範囲で減少させることが望ましい。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、室内蒸発器20の出口側に定圧弁25を配置しているので、第1対象空間39の第2除湿暖房モード時のように、冷媒流れに対して室外熱交換器15と室内蒸発器20とを並列に接続する冷媒流路とする場合であっても、図11に示すように、室外熱交換器15における冷媒蒸発圧力を室内蒸発器20における冷媒蒸発圧力よりも低下させることができる。
従って、室内蒸発器20における冷媒蒸発圧力を予め定めた所定値以上に維持して、室内蒸発器20に着霜(フロスト)が生じてしまうことを抑制しつつ、室外熱交換器15における冷媒の吸熱量を増大させて室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増大させることができる。その結果、第2除湿暖房モード時に車室内へ吹き出す吹出空気の温度を上昇させる側に温度調整範囲を拡大させることができる。
また、第2対象空間49の冷房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて冷却された送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の冷房を実現することができる。
(D)第1対象空間:暖房モード&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39が暖房モードであり、第2対象空間49が冷房モードである場合は、制御装置が、図12に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を開く。さらに、第3開閉弁28にて第1支流路26を開く。さらに、第2膨張弁19を全閉にして第3冷媒通路18を閉じる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図12に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
この冷媒流路の構成で、制御装置が、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、制御装置に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、以下のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置に記憶された制御マップを参照して、室内凝縮器12の目標凝縮器温度TCOを決定する。
そして、この目標凝縮器温度TCOと吐出温度センサの検出値との偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて、車室内へ吹き出される吹出空気温度が目標吹出温度TAOに近づくように圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号が決定される。
また、第1膨張弁14へ出力される制御信号については、第1膨張弁14へ流入する冷媒の過冷却度が、サイクルの成績係数(COP)を最大値に近づけるように予め定められた目標過冷却度に近づくよう、第1膨張弁14が所定開度に決定される。
また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号についてはマックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、図13のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(g1点)が室内凝縮器12に流入する。室内凝縮器12に流入した冷媒は、送風機32から送風されて室内蒸発器20を通過した車室内送風空気と熱交換して放熱する。これにより、車室内送風空気が加熱される。これにより、図13のモリエル線図において冷媒の状態がg1点からg2点、g3点の方向に向けて遷移する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、一部が第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入するとともに、残りの部分が第1冷媒通路13を介してバイパス通路22に流入する。第1膨張弁14に流入する直前の冷媒の状態は、g2点の状態に相当する。
バイパス通路22に流入した冷媒は、第3冷媒通路18を介して第1支流路26へ流入する。なお、バイパス通路22から第3冷媒通路18に流入した冷媒は、逆止弁24があるために室外熱交換器15の出口側に逆流せず、また、第2膨張弁19が閉じられているので室内蒸発器20にも流入しない。
第1膨張弁14に流入した高圧冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される(g2点→g4点)。そして、第1膨張弁14にて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器15に流入して、送風ファン15aから送風された外気から吸熱し(g4点→g5点)、第2冷媒通路16に流出する。
一方、第1支流路26へ流入した冷媒は、開状態の第3開閉弁28を通って第3膨張弁29に流入する。第3膨張弁29に流入する直前の冷媒の状態は、g3点の状態となる。
なお、g3点の比エンタルピがg2点の比エンタルピよりも小さいのは、f4点の比エンタルピがf2点の比エンタルピよりも低いのと同じ理由からである。ただし、流路長を変更すれば、逆にg3点の比エンタルピがg2点の比エンタルピよりも大きくなるようにすることも可能である。
第3膨張弁29に流入した冷媒は第3膨張弁29にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(g3点→g7点)。第3膨張弁29にて減圧された低圧冷媒は、第2対象空間用熱交換器44に流入し、送風機42から送風された送風空気から吸熱して蒸発する(g7点→g8点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が冷却される。
第2対象空間用熱交換器44から流出した冷媒は、第2支流路27へ流入し、さらに第2支流路27から第2冷媒通路16に流入することで、室外熱交換器15から流出した冷媒と、圧損により僅かに圧力低下を伴って合流する(g5点→g6点、g8点→g6点)。
合流した冷媒は、アキュムレータ21→圧縮機11の吸入側へと流れて気液分離され、分離された気相冷媒が再び圧縮機11にて圧縮される(g6点→g1点)。
以上の如く、第1対象空間39の暖房モードでは、室内凝縮器12にて圧縮機11から吐出された高圧冷媒の有する熱を車室内送風空気に放熱させて、加熱された車室内送風空気を車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の暖房を実現することができる。
また、第2対象空間49の冷房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて冷却された送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の冷房を実現することができる。
(E)第1対象空間:オフ&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39がオフ(すなわち空調されない状態)であり、第2対象空間49が冷房モードである場合は、制御装置が、図14に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じる(閉塞する)とともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる(閉塞する)。さらに、第3開閉弁28にて第1支流路26を開く。さらに、第1膨張弁14を全開にし、第2膨張弁19を全閉にして第3冷媒通路18を閉じる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図14に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
この冷媒流路の構成で、制御装置が、制御装置に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、圧縮機11が所定の回転数で回転するように決定される。
また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号についてはマックスクール状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32を停止させ、送風機42も作動させる。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、図15のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(h1点)が、室内凝縮器12に流入する。この際、エアミックスドア36が室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12に流入した冷媒は、殆ど車室内送風空気と熱交換することなく、室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入する。この際、第1膨張弁14が第1冷媒通路13を全開状態としているので、室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1膨張弁14にて減圧されることなく、室外熱交換器15に流入する。そして、室外熱交換器15に流入した冷媒は、室外熱交換器15にて送風ファン15aから送風された外気へ放熱する(h1点→h2点)。
室外熱交換器15から流出した冷媒は、第3冷媒通路18を介して第1支流路26へ流入する。
また、第1支流路26へ流入した冷媒は、開状態の第3開閉弁28を通って第3膨張弁29に流入する。第3膨張弁29に流入した冷媒は第3膨張弁29にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(h2点→h3点)。第3膨張弁29にて減圧された低圧冷媒は、第2対象空間用熱交換器44に流入し、送風機42から送風された送風空気から吸熱して蒸発する(h3点→h4点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が冷却される。
第2対象空間用熱交換器44から流出した冷媒は、圧損によりわずかに圧力低下した後(h4点→h5点)、アキュムレータ21へ流入して気液分離される。そして、アキュムレータ21にて分離された気相冷媒が圧縮機11の吸入側から吸入されて再び圧縮機11にて圧縮される(h5点→h1点)。
以上の如く、第1対象空間39に対する空調は行われない状態でも、第2対象空間49の冷房モードで、第2対象空間用熱交換器44にて冷却された送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。
(F)除霜モード
運転モードが除霜モードの場合、制御装置は、以下のような制御を行う。制御装置は、図16に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じ、さらに第3開閉弁28にて第1支流路26を閉じる。さらに、第1膨張弁14の開度を所定開度の絞り状態とし、第2膨張弁19にて第3冷媒通路18を全閉状態とする。これにより、冷凍サイクル装置10では、図16に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
この冷媒流路の構成で、制御装置に接続された各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、圧縮機11が所定の回転数で回転するように決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号についてはマックスクール状態となるように決定される。また、送風ファン15aを停止させると共に、送風機32および送風機42も停止させる。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、図17のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(i1点)が、室内凝縮器12に流入する。この際、エアミックスドア36が室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12に流入した冷媒は、殆ど車室内送風空気と熱交換することなく、室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入し、低圧冷媒となるまで減圧される(i1点→i2点)。第1膨張弁14から流出した冷媒は室外熱交換器15に流入し、室外熱交換器15にて外気へ放熱する(i2点→i3点。この際、冷媒が放熱した熱量によって、室外熱交換器15に着いた霜が融解されて取り除かれる。室外熱交換器15から流出した冷媒は、第2冷媒通路16、アキュムレータ21を通って圧縮機11の吸入側から吸入され、再び圧縮機11にて圧縮される(i3点→i1点)。
以上の如く、除霜モードでは、過熱状態の冷媒のサイクルが実現され、圧縮機11から吐出された冷媒の有する熱量によって、室外熱交換器15を除霜することができる。
(G)第1実施形態まとめ
上述のモード(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)における第1、第2対象空間の空調状態(または室外熱交換器15の除霜状態)は、図18のようになる。なお、モード(A)、(B)、(C)、(D)、(E)における第2対象空間49への冷房能力制御(第2対象空間49内の温度調整等)については、第3開閉弁28のオン、オフの切替タイミング(例えばオン、オフのデューティ比)を調整することで実現可能である。
なお、(A)、(B)、(C)、(D)のモードの各々については、第3開閉弁28を常に閉じるとともに送風機42をオフにすることで、第1対象空間39の運転モードは同じで、第2対象空間49をオフ(すなわち、空調しない状態)とするモード(A’)、(B’)、(C’)、(D’)を実現することができる。
なお、モード(A)、(B)、(C)において、室内蒸発器20における冷媒の圧力は、定圧弁25によって、一定圧力に調整され、その結果、定圧弁25の入口側(室内蒸発器20側)よりも出口側(アキュムレータ21側)が減圧された状態になる。したがって、本実施形態の定圧弁25は、減圧手段の一例として機能する。この減圧手段の存在により、第2対象空間用熱交換器44における圧力を室内蒸発器20における圧力よりも低下させることができる。
なお、本実施形態に記載の各機器において入口側および出口側と表している側は、空調モードによって当該機器を流れる冷媒の向きが変化する場合は、それぞれ、すべての空調対象空間39、49の空調モードを冷房にする場合の入口側および出口側を表している。ただし、第2開閉弁23については、入口側が第1冷媒通路13側であり、出口側が第2冷媒通路16側である。
以上説明した通り、本実施形態では、第3冷媒通路18における室外熱交換器15の出口側と第2膨張弁19(第2絞り手段)との間から、第2対象空間用熱交換器44へ冷媒を導く第1支流路26が設けられている。そして、第1支流路26に第3開閉弁28、第3膨張弁29が配置されている。また、第2対象空間用熱交換器44から流出した冷媒を第3冷媒通路18の定圧弁25から圧縮機11の吸入側までの間に導く第2支流路27が設けられている。
このように、室内蒸発器20で冷媒を蒸発させると共に第2対象空間用熱交換器44で冷媒を蒸発させる場合(モード(A)、(B)、(C)の場合)、第2対象空間用熱交換器44を通る冷媒の流れは以下のようになる。すなわち、冷媒は室内蒸発器20の流入側(第2膨張弁19の上流)から分岐して第2対象空間用熱交換器44に入り、第2対象空間用熱交換器44で蒸発した後室内蒸発器20の流出側(定圧弁25の下流)に戻る。
また、室内蒸発器20に冷媒を流さずに第2対象空間用熱交換器44で冷媒を蒸発させる場合(モード(D)、(E)の場合)、第2対象空間用熱交換器44を通る冷媒の流れは以下のようになる。
すなわち、室内凝縮器12で冷媒が放熱して凝縮する場合(モード(D)の場合)、冷媒は室内凝縮器12から流出してバイパス通路22に分岐して第2対象空間用熱交換器44に入り、第2対象空間用熱交換器44で蒸発した後、圧縮機11の吸入側に入る。このように、室内蒸発器20に冷媒を流さず室内凝縮器12で第1対象空間39への送風空気を熱し、室外熱交換器15で冷媒が殆ど蒸発する場合でも、室内凝縮器12で凝縮された高圧冷媒をバイパス通路22を介して第2対象空間用熱交換器44に流入させることができる。このとき、従来は第1対象空間39を除湿するモードでしか冷媒を通さなかったバイパス通路22に対し、第1対象空間39の暖房モード時に冷媒を流すことで、冷媒流れに対して室外熱交換器15と第2対象空間用熱交換器44とが並列に接続された状態で、第2対象空間49の冷房を実現できる。
このように、冷媒の流れに対して室外熱交換器15と第2対象空間用熱交換器44を並列に配置することで、これらを直列に配置する場合に比べ、室外熱交換器15を流れる冷媒と第2対象空間用熱交換器44を流れる冷媒の流量の比を(例えば弁14の絞り開度によって)調整することができる。ひいては、第1対象空間の暖房能力と2対象空間49の冷房能力を容易に調整することができる。
また、室内凝縮器12で冷媒が殆ど放熱しない場合(モード(E)の場合)、冷媒は室外熱交換器15で凝縮した後に第3冷媒通路18から第1支流路26に流入して第2対象空間用熱交換器44に入る。そして、第2対象空間用熱交換器44で蒸発した後、圧縮機11の吸入側に入る。このように、室内蒸発器20に冷媒を流さず室内凝縮器12で冷媒が凝縮しない場合でも、室外熱交換器15、第3冷媒通路18から第2対象空間用熱交換器44に高圧冷媒を流入させて第2対象空間49の冷房を実現できる。
このように、本実施形態における第1支流路26、第2支流路27の配置により、第1対象空間39の空調モードのバリエーションを損なうことなく、かつ、第1対象空間39の各空調モードで、第2対象空間49の冷房を実現できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図19に示すように、本実施形態の車両用空調装置1の構成は、第1実施形態の車両用空調装置1の構成に対して、第3開閉弁28を廃し、第3膨張弁29を固定絞りから可変絞り機構を有する冷房弁に変更している。
本実施形態の第3膨張弁29は、第1支流路26の通路面積(絞り開度)を変更可能に構成されている。より具体的には、第3膨張弁29は、第1支流路26の通路開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成される電気式の可変絞り機構である。この第3膨張弁29は、制御装置によって開度が連続的に制御される。本実施形態および第4実施形態では、第3膨張弁29が単独で開閉減圧機構の一例として機能する。
本実施形態における車両用空調装置1の作動が第1実施形態と異なるのは、各モードにおける第3膨張弁29の作動のみである。
より具体的には、第1実施形態において第3開閉弁28を開いている場合は、本実施形態の第3膨張弁29を所定開度の絞り状態で開く。そして、第1実施形態において第3開閉弁29を閉じている場合は、本実施形態の第3膨張弁29を全閉状態にする。このようにすることで、第1実施形態と同等の作動が実現する。
なお、第3膨張弁29を全開状態または所定開度の絞り状態で開いている場合は、第3膨張弁29の開度を連続的に変化させることで応じて第2対象空間用熱交換器44の冷房能力を連続的に変化させることができる。これにより、第2対象空間49の空調能力の制御性が向上する。
また本実施形態の第3膨張弁29は、第1実施形態の第3開閉弁28と違って開度を連続的に変化させることができるので、電磁弁のオンオフショック、すなわち、第3膨張弁29を開閉するときに発生する衝撃力が、少ない。これにより、第2対象空間49への吹出口49aにおける吹出口温度の変動を低減することができ、ひいては、車両用空調装置1の省動力化の一助になる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。図20に示すように、本実施形態の車両用空調装置1の構成は、第1実施形態の車両用空調装置1の構成に対して、第3対象空間49’の空調を行う構成26’、27’、28’、29’、40’を構成26、27、28、29、40に対して並列に追加したものである。
第3空調ユニット40’は、車内に配置されて、その外殻を形成するケーシング41’内に送風機42’、第3対象空間用熱交換器44’等を収容したものである。
ケーシング41’は、第3対象空間49’への送風空気の空気通路を形成しており、ケーシング41と同等の組成の材料にて成形されている。ケーシング41’内の送風空気流れ最上流側には、空気(内気でも外気でもよい)を導入する空気導入口43’が配置されている。
空気導入口43’の空気流れ下流側には、空気導入口43’から導入された空気を第3対象空間49’に向けて送風する送風機42’が配置されている。この送風機42’は、遠心多翼ファン(シロッコファン)送風機42a’を電動モータ42b’にて駆動する電動送風機であって、制御装置から出力される制御信号(制御電圧)によって回転数(送風量)が制御される。
また、送風機42’の空気流れ下流側には、第3対象空間用熱交換器44’が配置されている。さらに、ケーシング41’の送風空気流れ最下流側には、第3対象空間用熱交換器44’を通った空調風を第3対象空間49’へ吹き出す吹出口49a’が配置されている。
第1追加支流路26’は、第1支流路26の途中(第3開閉弁28よりも第3冷媒通路18側)から分岐して第3対象空間用熱交換器44’の入口側に接続される配管流路である。第2追加支流路27’は、第2支流路27の途中から分岐して第2対象空間用熱交換器44の出口側に接続される配管流路である。
また、第1追加支流路26’には、第4開閉弁28’および第4膨張弁29’が配置されている。第4開閉弁28’は、第1追加支流路26’を開閉する電磁弁であり、制御装置から出力される制御信号により、その作動が制御される。
また、第4膨張弁29’は、第1支流路26の上記他端側が流入した冷媒を減圧する絞り機構である。より具体的には、第3膨張弁29は、絞り開度が固定された固定絞りである。
このような構成において、制御装置は、上記モード(A)、(A’)、(B)、(B’)、(C)、(C’)、(D)、(D’)、(E)の各々において、第4開閉弁28’を第3開閉弁28と同様の観点で作動させることで、第3対象空間49’を冷却する冷房モードと第3対象空間49’を空調しない状態とを、切り替えることができる。
より具体的には、制御装置は、上記モード(A)、(A’)、(B)、(B’)、(C)、(C’)、(D)、(D’)、(E)の各々において、第3対象空間49’を冷却する冷房モードが必要な場合は、第4開閉弁28’を開く。これにより、第1支流路26を介して第1追加支流路26’に流入した冷媒は、第4開閉弁28’を通過して第4膨張弁29’で減圧されて、第3対象空間用熱交換器44’に流入する。第3対象空間用熱交換器44’に流入した冷媒は、送風機42’から送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、第3対象空間49’への送風空気が冷却される。第3対象空間用熱交換器44’から流出した冷媒は、第2追加支流路27’へ流入し、さらに第2追加支流路27’から第2支流路27を介して第2冷媒通路16に流入する。
また制御装置は、上記モード(A)、(A’)、(B)、(B’)、(C)、(C’)、(D)、(D’)、(E)の各々において、第3対象空間49’を空調する必要がない場合は、第4開閉弁28’を閉じる。第3対象空間用熱交換器44’には冷媒が流れず、第3対象空間49’は空調されない。
このように、本実施形態の車両用空調装置1は、第1対象空間39以外の空調対象空間として、複数個の第対象空間49、49’を、互いに独立に、かつ、第1対象空間39の運転モードとも独立に、空調することができる。
なお、本実施形態の第1追加支流路26’は、第1実施形態の第1支流路26と同様に、第3冷媒通路18における室外熱交換器15の出口側と第2膨張弁19との間から第3対象空間用熱交換器44’へ冷媒を導く流路であればよい。
なお、本実施形態の第2追加支流路27’は、第1実施形態の第2支流路27と同様に、第3対象空間用熱交換器44’から流出した冷媒を、第3冷媒通路18の定圧弁25から圧縮機11の吸入側までの間に導く流路であればよい。
また、本実施形態の第4開閉弁28’、第4膨張弁29’の組は、追加開閉減圧機構の一例に相当する。
なお、本実施形態に対して、図20の破線に示唆されるように、構成26’、27’、28’、29’、40’と同等の構成を、構成26、27、28、29、40および構成26’、27’、28’、29’、40’に対して更に並列に追加することもできる。その場合、制御装置は、当該追加によって新たな空調対象となる第4対象空間を、第1対象空間39、第2対象空間49、第2対象空間49’の運転モードと独立に、空調することができる。また、この要領で、何個でも空調対象空間を増やすことができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図21〜図43を用いて説明する。図21に示すように、本実施形態の車両用空調装置1の構成は、第1実施形態の車両用空調装置1の構成に対して、第3開閉弁28を廃し、第3膨張弁29を固定絞りから可変絞り機構を有する冷房弁に変更している。本実施形態の第3膨張弁29の構成は、第2実施形態と同じである。
更に本実施形態の車両用空調装置1の構成は、第1実施形態の車両用空調装置1の構成に対して、三方弁51および第3支流路52が追加されている。
三方弁51は、第2支流路27の途中に取り付けられ、第3支流路52は、三方弁51と第1冷媒通路13の途中(具体的には12と第1膨張弁14の間)とを接続する配管流路である。
三方弁51は、第2支流路27の第2冷媒通路16側、第2支流路27の第2対象空間用熱交換器44側、および第3支流路52の間の冷媒の流れを切り替える弁であり、空調制御装置から出力される制御信号によってその作動が制御される電気式の三方弁である。この三方弁51は、流路切替装置の一例に相当する。
より具体的には、この三方弁51は、Lモード(第1流路モード)と−モード(第2流路モード)とが切り替えられるようになっている。Lモードは、第2支流路27の第2冷媒通路16側と第2対象空間用熱交換器44側とを連通させると共に第3支流路52と第2支流路27を遮断するモードである。−モードは、第3支流路52と第2支流路27の第2対象空間用熱交換器44側とを連通させると共に、第2支流路27の第2冷媒通路16側を第3支流路52からも第2支流路27の第2対象空間用熱交換器44側からも遮断するモードである。
次に、上記構成における本実施形態の車両用空調装置1の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、車室内(第1対象空間39)の運転モードとしては、第1実施形態と同様、冷房モード、暖房モード、第1除湿暖房モード、第2除湿暖房モードに切り替えることができる。また、第2対象空間49の運転モードとしては、冷房モードと暖房モードと切り替えることができる。また、除霜モードも実現できる。したがって、本実施形態では、第2対象空間49を暖めることができるので、例えば、第2対象空間49は冷蔵庫(例えば、食料および飲料を冷やすための冷蔵庫)内の空間として使用できる場合も、車両に搭載されたバッテリ(例えば、電気自動車、ハイブリッド車両等の走行用モータに電力を供給するバッテリ)を収容してバッテリを冷やすまたは暖める空間として使用できる場合も、温蔵庫(例えば、食料および飲料を暖めるための温蔵庫)内の空間として使用できる場合もある。
各運転モードの切替制御処理は、図22に示す通りである。図22の切替制御処理の内容が第1実施形態の図2の切替制御処理の内容と異なるのは、ステップS110で第2対象空間冷却スイッチがオフと判定された後のみである。
具体的には、ステップS110で第2対象空間冷却スイッチがオフと判定された場合、ステップS115で、第2対象空間暖房スイッチがオンであるか否か判定する。なお、本実施形態では、第2対象空間49の暖房を行うか否かを設定するための第2対象空間暖房スイッチが操作パネルに設けられている。
第2対象空間暖房スイッチがオフであると判定された場合は、ステップS120に進み、第2対象空間49の第2空調ユニット40を作動させない(第2対象空間49の空調を行わない)と決定する。一方、第2対象空間暖房スイッチがオンであると判定された場合は、ステップS125に進み、第2対象空間49の運転モードを暖房モードに決定する。ステップS120、S125、S130の後、ステップS10に戻る。
このようにして、第1対象空間39の運転モードを、車両用空調装置1の運転環境に応じて、暖房モード、冷房モード、第1除湿暖房モード、および第2除湿暖房モードを適切に切り替えることができる。また、第1対象空間39の運転モードとは独立に、第2対象空間49の運転モードを冷房モードにするか暖房モードにするか第2対象空間49の空調を行わないかを切り替えることができる。
次に、第1対象空間39および第2対象空間49の運転モードの組み合わせ毎の作動について説明する。
(H1)第1対象空間:冷房モード&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39の運転モードが冷房モード、第2対象空間49の運転モードが冷房モードの場合、制御装置は、以下のような制御を行う。
制御装置は、図23に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じるとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる。さらに、第1膨張弁14にて第1冷媒通路13を全開状態とする。また、第2膨張弁19が上記第1実施形態のモード(A)と同様に所定開度の絞り状態を実現するよう、決定され、さらに第3膨張弁29を所定開度の絞り状態にする。
さらに、三方弁51をLモードにする。これにより、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通するようになり、且つ、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2対象空間用熱交換器44の間で第2支流路27を介して冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(A)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスクール状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図23に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点を除いては、第1実施形態のモード(A)と同じである。
なお、図23では、流路のうち太線で表されている部分を矢印の方向に冷媒が流れ、細線で表されている部分を冷媒が流れない。このことは、図24、図26、図27、図28、図30、図31、図32、図34、図35、図36、図38、図39、図40、図42でも同様である。
そして、上記の如く決定された作動を実現するための制御信号等を各種制御機器へ出力する。その後、操作パネルによって車両用空調装置1の作動停止が要求されるまで、所定の周期毎に運転モードの決定処理→各種制御機器の作動状態の決定→制御信号等の出力といった制御ルーチンが繰り返される。なお、このような制御ルーチンの繰り返しは、他の運転モード時にも同様に行われる。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(A)と同様、図4のモリエル線図に示すように変化する。ただし、第1支流路26へ流入した冷媒は、第3開閉弁28が無いので直接第3膨張弁29に流入する。また、第3膨張弁29における減圧(a3点→a7点)の量は、第3膨張弁29の開度に応じて変化するので、第3膨張弁29の開度を調節することで第2対象空間49に対する冷房能力を調節することができる。以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(A)と同様の効果を得ることができる。
(H2)第1対象空間:冷房モード&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39の運転モードが冷房モード、第2対象空間49の運転モードが暖房モードの場合、制御装置は、以下のような制御を行う。
制御装置は、図24に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じるとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる。さらに、第1膨張弁14にて第1冷媒通路13を全開状態とする。また、第2膨張弁19が上記第1実施形態のモード(A)と同様に所定開度の絞り状態を実現するよう、決定され、さらに第3膨張弁29を全開状態にする。
さらに、三方弁51を−モードにする。これにより、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2支流路27の第2対象空間用熱交換器44側との間を冷媒が流通するようになり、且つ、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(H1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスクール状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
これにより、冷凍サイクル装置10では、図24に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29を全開にして三方弁51を−モードにする以外は、上記モード(H1)と同じである。従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、図25のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(i1点)が、室内凝縮器12に流入する。この際、エアミックスドア36が室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12に流入した冷媒は、殆ど車室内送風空気と熱交換することなく、室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒の一部は、第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入する。この際、第1膨張弁14が第1冷媒通路13を全開状態としているので、室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1膨張弁14にて減圧されることなく、室外熱交換器15に流入する。そして、室外熱交換器15に流入した冷媒は、室外熱交換器15にて送風ファン15aから送風された外気へ放熱し(i1点→i2点)、第3冷媒通路18に流出する。
また、室内凝縮器12から流出した冷媒の残りの部分は、第1冷媒通路13における第1膨張弁14の上流にて第3支流路52に流入し、さらに第2支流路27を介して第2対象空間用熱交換器44に流入する。そして、第2対象空間用熱交換器44に流入した冷媒は、送風機42から送風された第2対象空間49への送風空気と熱交換して放熱する(i1点→i2点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が加熱される。第2対象空間用熱交換器44を流出した冷媒は、全開状態の第3膨張弁29を殆ど減圧されずに通過して第3冷媒通路18に流入し、室外熱交換器15から第3冷媒通路18に流出した冷媒と合流する。
合流した冷媒は、第3冷媒通路18から第2膨張弁19へ流入し、第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(i2点→i3点)。そして、第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(i3点→i4点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。室内蒸発器20から流出した冷媒は、定圧弁25に流入して減圧されて、定圧弁25からアキュムレータ21側に流出する(i4点→i5点)。
アキュムレータ21に流入した冷媒は、気液分離される。そして、アキュムレータ21にて分離された気相冷媒が圧縮機11の吸入側から吸入されて再び圧縮機11にて圧縮される(i5点→i6点)。
以上の如く、第1対象空間39の冷房モードでは、室内蒸発器20にて冷却された車室内送風空気を車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の冷房を実現することができる。
また、第2対象空間49の暖房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて暖められた送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の暖房を実現することができる。
(H3)第1対象空間:冷房モード&第2対象空間:オフ
第1対象空間39の運転モードが冷房モードで、第2対象空間49を空調しない場合、制御装置は、以下のような制御を行う。
制御装置は、図26に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じるとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる。さらに、第1膨張弁14にて第1冷媒通路13を全開状態とする。また、第2膨張弁19が上記第1実施形態のモード(A)と同様に所定開度の絞り状態を実現するよう、決定され、さらに第3膨張弁29を全閉状態にする。
さらに、三方弁51をLモードにする。あるいは、−モードにしてもよい。第1冷媒通路13が定圧弁25とアキュムレータ21の間の冷媒流路に(第3支流路52、第2支流路27、第2冷媒通路16を介して)連通しないようにするためである。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(H1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスクール状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32を作動させて送風機42を停止させる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図26に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29を閉じて送風機42をオフにする点および三方弁51の状態以外は、上記モード(J1)と同じである。
また、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点を除いては、第1実施形態のモード(A’)と同じである。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(A’)と同様、図4のモリエル線図からa2点→a3点→a7点→a8点→a6点の状態遷移を除外した状態遷移で変化する。以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(A’)と同様の効果を得ることができる。
(I1)第1対象空間:第1除湿暖房モード&第2対象空間:冷房
第1対象空間39が第1除湿暖房モードであり、第2対象空間49が冷房モードである場合は、図27に示す通り、制御装置が第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じるとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる。そして、第1、第2膨張弁14、19の開度を所定開度の状態(具体的には、絞り状態または全開状態)とする。さらに第3膨張弁29を所定開度の絞り状態にする。
さらに、三方弁51をLモードにする。これにより、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通するようになり、且つ、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2対象空間用熱交換器44の間で第2支流路27を介して冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(H1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図27に示すように、上述のモード(H1)と同経路で冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。なお、第1除湿暖房モードでは、冷媒流れに対して室外熱交換器15と室内蒸発器20とが直列に接続されることとなる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点を除いては、第1実施形態のモード(B)と同じである。
また、第1膨張弁14および第2膨張弁19については、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOに応じて変更している。具体的には、制御装置は、第1実施形態のモード(B)と同様に、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOの上昇に伴って、第1膨張弁14にて第1冷媒通路13の通路面積を減少させるとともに、第2膨張弁19にて第3冷媒通路18の通路面積を増大させる。これにより、第1除湿暖房モードでは、第1実施形態のモード(B)と同様に、第1モードから第4モードの4段階のモードを実行する。
第1〜第4モードにおけるサイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(B)と同様、図6〜図9のモリエル線図に示すように変化する。ただし、第1支流路26へ流入した冷媒は、第3開閉弁28が無いので直接第3膨張弁29に流入する。また、第3膨張弁29における減圧(図6のb4点→b8点、図7のc5点→c9点、図8のd5点→d9点、図9のe5点→e8点)の量は、第3膨張弁29の開度に応じて変化するので、第3膨張弁29の開度を調節することで第2対象空間49に対する冷房能力を調節することができる。
以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(B)と同様の効果を得ることができる。
(I2)第1対象空間:第1除湿暖房モード&第2対象空間:暖房
第1対象空間39が第1除湿暖房モードであり、第2対象空間49が暖房モードである場合は、図28に示す通り、制御装置が第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じるとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる。さらに、第1膨張弁14にて第1冷媒通路13を全開状態とする。そして、第1、第2膨張弁14、19の開度を予め定めた第1除湿暖房モード用の所定開度の絞り状態とする。さらに第3膨張弁29を所定開度の絞り状態にする。
さらに、三方弁51を−モードにする。これにより、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2支流路27の第2対象空間用熱交換器44側との間を冷媒が流通するようになり、且つ、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(I1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
つまり、本モードは、上記モード(I1)の第2モードに対して、三方弁51をLモードから−モードに変更しただけのものである。これにより、冷凍サイクル装置10では、図28に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、三方弁51を−モードにする以外は、上記モード(I1)と同じである。従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、図29のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(k1点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する(k1点→k2点)。これにより、車室内送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、一部が第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入し、残りの部分が第1冷媒通路13における第1膨張弁14の上流にて第3支流路52に流入する。
第1冷媒通路13から第1膨張弁14に流入した冷媒は、中間圧冷媒となるまで減圧される(k2点→k3点)。そして、第1膨張弁14にて減圧された中間圧冷媒は、室外熱交換器15に流入して、送風ファン15aから送風された外気へ放熱し、室外熱交換器15から第3冷媒通路18に流出する(k3点〜k5点)。
第1冷媒通路13から第3支流路52に流入した冷媒は、さらに第2支流路27を介して第2対象空間用熱交換器44に流入する。そして、第2対象空間用熱交換器44に流入した冷媒は、送風機42から送風された第2対象空間49への送風空気と熱交換して放熱する(k2点→k4点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が加熱される。第2対象空間用熱交換器44を流出した冷媒は第3膨張弁29に流入して減圧され、第3冷媒通路18に流入し、室外熱交換器15から第3冷媒通路18に流出した冷媒と合流する(k4点→k5点)。
合流した冷媒は、第3冷媒通路18から第2膨張弁19へ流入し、第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(k5点→k6点)。そして、第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(k6点→k7点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。室内蒸発器20から流出した冷媒は、定圧弁25に流入して減圧されて、定圧弁25からアキュムレータ21側に流出する(k7点→k8点)。
アキュムレータ21に流入した冷媒は、気液分離される。そして、アキュムレータ21にて分離された気相冷媒が圧縮機11の吸入側から吸入されて再び圧縮機11にて圧縮される(k8点→k1点)。
以上の如く、第1対象空間39の第1除湿暖房モードでは、室内蒸発器20にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
また、第2対象空間49の暖房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて暖められた送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の暖房を実現することができる。
(I3)第1対象空間:第1除湿暖房モード&第2対象空間:オフ
第1対象空間39の運転モードが第1除湿暖房モードで、第2対象空間49を空調しない場合、図30に示す通り、制御装置が第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じるとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる。そして、第1、第2膨張弁14、19の開度を所定開度の状態(具体的には、絞り状態または全開状態)とする。さらに第3膨張弁29を閉じる。
さらに、三方弁51をLモードにする。あるいは、−モードにしてもよい。第1冷媒通路13が定圧弁25とアキュムレータ21の間の冷媒流路に(第3支流路52、第2支流路27、第2冷媒通路16を介して)連通しないようにするためである。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(H1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32を作動させて送風機42を停止させる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図30に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29を閉じて送風機42をオフにする点および三方弁51の状態以外は、上記モード(I1)と同じである。
また、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点を除いては、第1実施形態のモード(B’)と同じである。
また、第1膨張弁14および第2膨張弁19については、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOに応じて変更している。具体的には、制御装置は、(I1)と同様に、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOの上昇に伴って、第1膨張弁14にて第1冷媒通路13の通路面積を減少させるとともに、第2膨張弁19にて第3冷媒通路18の通路面積を増大させる。これにより、第1除湿暖房モードでは、モード(I1)と同様に、第1モードから第4モードの4段階のモードを実行する。
第1〜第4モードにおけるサイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(B’)と同様、図6〜図9のモリエル線図から第1支流路26、第2支流路27を流通する状態変化(図6のb3点→b4点→b8点→b9点→b7点、図7のc4点→c5点→c9点→c10点→c8点、図8のd5点→d9点→d10点→d8点、図9のe5点→e8点→e9点→e7点)を除外した状態遷移で変化する。以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(B’)と同様の効果を得ることができる。
(J1)第1対象空間:第2除湿暖房モード&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39が第2除湿暖房モードであり、第2対象空間49が冷房モードである場合は、図31に示す通り、制御装置が第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を開く。そして、第1、第2膨張弁14、19の開度を予め定めた第2除湿暖房モード用の所定開度の絞り状態とする。さらに第3膨張弁29を所定開度の絞り状態にする。
さらに、三方弁51をLモードにする。これにより、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通するようになり、且つ、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2対象空間用熱交換器44の間で第2支流路27を介して冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(H1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図27に示すように、第1実施形態の上述のモード(H1)と同経路で冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。なお、第1除湿暖房モードでは、冷媒流れに対して室外熱交換器15と室内蒸発器20とが直列に接続されることとなる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点を除いては、第1実施形態のモード(C)と同じである。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(C)と同様、図11のモリエル線図に示すように変化する。ただし、第1支流路26へ流入した冷媒は、第3開閉弁28が無いので直接第3膨張弁29に流入する。また、第3膨張弁29における減圧(f4点→f10点)の量は、第3膨張弁29の開度に応じて変化するので、第3膨張弁29の開度を調節することで第2対象空間49に対する冷房能力を調節することができる。以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(C)と同様の効果を得ることができる。
(J2)第1対象空間:第2除湿暖房モード&第2対象空間:暖房モード
第1対象空間39の運転モードが第2除湿暖房モードで、第2対象空間49を空調しない場合、図32に示す通り、制御装置が第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を開く。そして、第1、第2膨張弁14、19の開度を予め定めた第2除湿暖房モード用の所定開度の状態とする。さらに第3膨張弁29を全開状態にする。
さらに、三方弁51を−モードにする。これにより、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2支流路27の第2対象空間用熱交換器44側との間を冷媒が流通するようになり、且つ、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(J1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
つまり、本モードは、上記モード(J1)に対して、三方弁51をLモードから−モードに変更し、第3膨張弁29を絞り状態から全開状態に変更しただけのものである。これにより、冷凍サイクル装置10では、図32に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29を全開にして三方弁51を−モードにする以外は、上記モード(J1)と同じである。従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、図33のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(m1点)は、室内凝縮器12へ流入して、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された車室内送風空気と熱交換して放熱する。これにより、車室内送風空気が加熱される。これにより、図33のモリエル線図において冷媒の状態がm1点からm2点、m3点点の方向に向けて遷移する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、一部が第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入し、他の一部が第1冷媒通路13を介して第3支流路52に流入し、残りの部分が第1冷媒通路13を介してバイパス通路22に流入する。第1膨張弁14に流入する直前の冷媒の状態は、m2点の状態に相当する。
第1冷媒通路13から第1膨張弁14に流入した高圧冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される(m2点→m3点)。そして、第1膨張弁14にて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器15に流入して、送風ファン15aから送風された外気から吸熱し(m3点→m4点)、第2冷媒通路16に流出する。
第1冷媒通路13から第3支流路52に流入した冷媒は、さらに第2支流路27を介して第2対象空間用熱交換器44に流入する。そして、第2対象空間用熱交換器44に流入した冷媒は、送風機42から送風された第2対象空間49への送風空気と熱交換して放熱する(m2点→m5点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が加熱される。第2対象空間用熱交換器44を流出した冷媒は、全開状態の第3膨張弁29を殆ど減圧されずに通過して第3冷媒通路18に流入し、第1冷媒通路13からバイパス通路22に流入した冷媒と合流する(m5点→m6点、m2点→m6点)。
合流した冷媒は、第3冷媒通路18から第2膨張弁19へ流入し、第2膨張弁19にて低圧冷媒となるまで減圧膨張される(m6点→m7点)。そして、第2膨張弁19にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器20に流入し、送風機32から送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する(m7点→m8点)。これにより、車室内送風空気が冷却される。室内蒸発器20から流出した冷媒は、定圧弁25に流入して減圧されて、定圧弁25からアキュムレータ21側に流出する(m8点→m9点)。
室外熱交換器15から第2冷媒通路16に流出した冷媒は、室内蒸発器20から流出して定圧弁25を通過した冷媒と、圧損により僅かに圧力低下を伴って、アキュムレータ21の手前で合流する(m4点→m9点)。
合流した冷媒は、アキュムレータ21→圧縮機11の吸入側へと流れて気液分離され、分離された気相冷媒が再び圧縮機11にて圧縮される(m9点→m1点)。なお、第3冷媒通路18には、逆止弁24が設けられているので、バイパス通路22から室外熱交換器15の出口側へ冷媒が逆流しない。
以上の如く、第1対象空間39の第2除湿暖房モードでは、室内蒸発器20にて冷却され除湿された車室内送風空気を、室内凝縮器12にて加熱して車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の除湿暖房を実現することができる。
また、第2対象空間49の暖房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて暖められた送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の暖房を実現することができる。
なお、本例では、第2開閉弁23を開いてバイパス通路22に冷媒を通すようになっているが、第2開閉弁23を閉じてバイパス通路22に冷媒を通さないようになっていても、第1対象空間39の第2除湿暖房モードおよび第2対象空間49の暖房モードを実現できる。
また、バイパス通路23の開閉を切り替えること(または、第2開閉弁23の開度を3段階以上の段階的に切り替えること)により、第2対象空間用熱交換器44に流す流量を制御するようになっていてもよい。この場合、第2開閉弁23を全閉にした場合に第2対象空間用熱交換器44に流れる冷媒流量が最大になり、第2対象空間49の暖房能力が最大になる。そして、第2開閉弁23を全開にした場合に第2対象空間用熱交換器44に流れる冷媒流量が最小になり、第2対象空間49の暖房能力が最小になる。また、第2開閉弁23を全閉と前回の中間にした場合に、第2対象空間用熱交換器44に流れる冷媒流量が最大より小さく最小より大きい中間量になり、第2対象空間49の暖房能力が最大より小さく最小より大きくなる。
(J3)第1対象空間:第2除湿暖房モード&第2対象空間:オフ
第1対象空間39の運転モードが第2除湿暖房モードで、第2対象空間49を空調しない場合、図34に示す通り、制御装置が第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を開く。そして、第1、第2膨張弁14、19の開度を予め定めた第2除湿暖房モード用の所定開度の状態とする。さらに第3膨張弁29を閉じる。
さらに、三方弁51をLモードにする。あるいは、−モードにしてもよい。第1冷媒通路13が定圧弁25とアキュムレータ21の間の冷媒流路に(第3支流路52、第2支流路27、第2冷媒通路16を介して)連通しないようにするためである。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(J1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32を作動させて送風機42を停止させる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図34に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29を閉じて送風機42をオフにする点および三方弁51の状態以外は、上記モード(J1)と同じである。また、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点を除いては、第1実施形態のモード(C’)と同じである。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(C’)と同様、図11のモリエル線図からf2点→f4点→f10点→f11点→f9点の状態遷移を除外した状態遷移で変化する。以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(C’)と同様の効果を得ることができる。
(K1)第1対象空間:暖房モード&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39が暖房モードであり、第2対象空間49が冷房モードである場合は、制御装置が、図35に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を開く。さらに、第2膨張弁19を全閉にして第3冷媒通路18を閉じる。また、第1膨張弁14が上記第1実施形態のモード(D)と同様に所定開度の絞り状態を実現するよう、決定され、さらに第3膨張弁29を所定開度の絞り状態にする。
さらに、三方弁51をLモードにする。これにより、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通するようになり、且つ、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2対象空間用熱交換器44の間で第2支流路27を介して冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(D)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図35に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点を除いては、第1実施形態のモード(D)と同じである。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(D)と同様、図13のモリエル線図に示すように変化する。ただし、第1支流路26へ流入した冷媒は、第3開閉弁28が無いので直接第3膨張弁29に流入する。また、第3膨張弁29における減圧(g3点→g7点)の量は、第3膨張弁29の開度に応じて変化するので、第3膨張弁29の開度を調節することで第2対象空間49に対する冷房能力を調節することができる。以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(D)と同様の効果を得ることができる。
(K2)第1対象空間:暖房モード&第2対象空間:暖房モード
第1対象空間39の運転モードが暖房モード、第2対象空間49の運転モードが暖房モードの場合、制御装置は、以下のような制御を行う。
制御装置は、図36に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を開く。さらに、第2膨張弁19を全閉にして第3冷媒通路18を閉じる。また、第1膨張弁14が上記モード(K1)と同様に所定開度の絞り状態を実現するよう、決定され、さらに第3膨張弁29を全開状態にする。
さらに、三方弁51を−モードにする。これにより、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2支流路27の第2対象空間用熱交換器44側との間を冷媒が流通するようになり、且つ、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(K1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32および送風機42も作動させる。
これにより、冷凍サイクル装置10では、図36に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29を全開にして三方弁51を−モードにする以外は、上記モード(K1)と同じである。従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、図37のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(n1点)が室内凝縮器12に流入する。室内凝縮器12に流入した冷媒は、送風機32から送風されて室内蒸発器20を通過した車室内送風空気と熱交換して放熱する(n1点→n2点)。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、一部が第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入するとともに、残りの部分が第1冷媒通路13を介してバイパス通路22に流入する。
バイパス通路22に流入した冷媒は、第3冷媒通路18を介して第1支流路26へ流入する。なお、バイパス通路22から第3冷媒通路18に流入した冷媒は、逆止弁24があるために室外熱交換器15の出口側に逆流せず、また、第2膨張弁19が閉じられているので室内蒸発器20にも流入しない。
第1支流路26へ流入した冷媒は、全開状態の第3膨張弁29を殆ど減圧されずに通って第2対象空間用熱交換器44に流入する。そして、第2対象空間用熱交換器44に流入した冷媒は、送風機42から送風された2対象空間49への送風空気と熱交換して放熱する(n2点→n3点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が加熱される。第2対象空間用熱交換器44を流出した冷媒は第2支流路27、三方弁51、第3支流路52を介して第1冷媒通路13の第1膨張弁14の上流側に入り、第1冷媒通路13からバイパス通路22に流入しなかった冷媒と合流する(n3点→n4点、n2点→n4点)。
合流した冷媒は、第1膨張弁14に入って減圧され(n4点→n5点)、第1膨張弁14を出て室外熱交換器15に流入する。室外熱交換器15に流入した冷媒は、送風ファン15aから送風された外気から吸熱し(n5点→n6点)、第2冷媒通路16に流出し、圧損により若干減圧された後(n6点→n7点)、アキュムレータ21に流入して気液分離される。アキュムレータ21を出た気相冷媒は再び圧縮機11にて圧縮される(n7点→n1点)。
以上の如く、第1対象空間39の暖房モードでは、室内凝縮器12にて圧縮機11から吐出された高圧冷媒の有する熱を車室内送風空気に放熱させて、加熱された車室内送風空気を車室内へ吹き出すことができる。これにより、車室内の暖房を実現することができる。
また、第2対象空間49の暖房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて暖められた送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の暖房を実現することができる。
(K3)第1対象空間:暖房モード&第2対象空間:オフ
第1対象空間39の運転モードが暖房モードで、第2対象空間49を空調しない場合、図38に示す通り、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる。さらに、第2膨張弁19を全閉にして第3冷媒通路18を閉じる。また、第1膨張弁14が上記モード(K1)と同様に所定開度の絞り状態を実現するよう、決定され、さらに第3膨張弁29を全閉状態にする。
さらに、三方弁51をLモードにする。あるいは、−モードにしてもよい。第1冷媒通路13が定圧弁25とアキュムレータ21の間の冷媒流路に(第3支流路52、第2支流路27、第2冷媒通路16を介して)連通しないようにするためである。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、上記モード(K1)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスホット状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32を作動させて送風機42を停止させる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図38に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29を閉じて送風機42をオフにする点、第2開閉弁23を閉じる点、および三方弁51の状態以外は、上記モード(K1)と同じである。
また、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点と、第2開閉弁23を閉じる点を除いては、第1実施形態のモード(D’)と同じである。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(D’)と同様、図13のモリエル線図からg2点→g3点→g7点→g8点→g6点の状態遷移を除外した状態遷移で変化する。以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(D’)と同様の効果を得ることができる。
(L)第1対象空間:オフ&第2対象空間:冷房モード
第1対象空間39を空調せず、第2対象空間49を冷房モードとする場合、図39に示す通り、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を閉じるとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる。さらに、第1膨張弁14を全開にし、第2膨張弁19を全閉にして第3冷媒通路18を閉じる。さらに、第3膨張弁29を所定開度の絞り状態にする。
さらに、三方弁51をLモードにする。これにより、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通するようになり、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2対象空間用熱交換器44の間で第2支流路27を介して冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、第1実施形態のモード(E)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスクール状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32を停止させて送風機42を作動させる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図39に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点を除いては、第1実施形態のモード(E)と同じである。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(E)と同様、図15のモリエル線図に示すように変化する。ただし、第1支流路26へ流入した冷媒は、第3開閉弁28が無いので直接第3膨張弁29に流入する。また、第3膨張弁29における減圧(h2点→h3点)の量は、第3膨張弁29の開度に応じて変化するので、第3膨張弁29の開度を調節することで第2対象空間49に対する冷房能力を調節することができる。以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(E)と同様の効果を得ることができる。
(M)第1対象空間:オフ&第2対象空間:暖房モード
第1対象空間39を空調せず、第2対象空間49を暖房モードとする場合、図40に示す通り、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を開く。さらに、第1膨張弁14を所定開度の絞り状態にし、第2膨張弁19を全閉にして第3冷媒通路18を閉じる。さらに、第3膨張弁29を全開状態にする。
さらに、三方弁51を−モードにする。これにより、第3支流路52を介して第1冷媒通路13と第2支流路27の第2対象空間用熱交換器44側との間を冷媒が流通するようになり、且つ、第2支流路27を介して第2冷媒通路16と第2対象空間用熱交換器44の間を冷媒が流通しなくなる。
また、圧縮機11の電動モータ11bを作動させ、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスクール状態となるように決定される。また、送風ファン15aを作動させると共に、送風機32を停止させて送風機42を作動させる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図40に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、エアミックスドア36をマックスクールにして送風機32を停止する点以外は、上記モード(K2)と同じであるので、冷媒の経路も上記モード(K2)と同じである。
本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、図41のモリエル線図に示すように変化する。
すなわち、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(p1点)が室内凝縮器12に流入する。この際、エアミックスドア36が室内凝縮器12の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12に流入した冷媒は、殆ど車室内送風空気と熱交換することなく、室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、一部が第1冷媒通路13を介して第1膨張弁14に流入するとともに、残りの部分が第1冷媒通路13を介してバイパス通路22に流入する。
バイパス通路22に流入した冷媒は、第3冷媒通路18を介して第1支流路26へ流入する。なお、バイパス通路22から第3冷媒通路18に流入した冷媒は、逆止弁24があるために室外熱交換器15の出口側に逆流せず、また、第2膨張弁19が閉じられているので室内蒸発器20にも流入しない。
第1支流路26へ流入した冷媒は、全開状態の第3膨張弁29を殆ど減圧されずに通って第2対象空間用熱交換器44に流入する。そして、第2対象空間用熱交換器44に流入した冷媒は、送風機42から送風された2対象空間49への送風空気と熱交換して放熱する(p1点→p2点)。これにより、第2対象空間49への送風空気が加熱される。第2対象空間用熱交換器44を流出した冷媒は第2支流路27、三方弁51、第3支流路52を介して第1冷媒通路13の第1膨張弁14の上流側に入り、第1冷媒通路13からバイパス通路22に流入しなかった冷媒と合流する(p2点→p3点、p1点→p3点)。
合流した冷媒は、第1膨張弁14に入って減圧され(p3点→p4点)、第1膨張弁14を出て室外熱交換器15に流入する。室外熱交換器15に流入した冷媒は、送風ファン15aから送風された外気から吸熱し(p4点→p5点)、第2冷媒通路16に流出し、圧損により若干減圧された後(p5点→p6点)、アキュムレータ21に流入して気液分離される。アキュムレータ21を出た気相冷媒は再び圧縮機11にて圧縮される(p6点→p1点)。
以上の如く、本モードでは、第1対象空間39が空調対象とならず、また、第2対象空間49の暖房モードでは、第2対象空間用熱交換器44にて暖められた送風空気を第2対象空間49へ吹き出すことができる。これにより、第2対象空間49内の暖房を実現することができる。
(N)除霜モード
運転モードが除霜モードの場合、制御装置は、以下のような制御を行う。制御装置は、図42に示すように、第1開閉弁17にて第2冷媒通路16を開くとともに、第2開閉弁23にてバイパス通路22を閉じる。さらに、第1膨張弁14の開度を所定開度の絞り状態とし、第2膨張弁19にて第3冷媒通路18を全閉状態とする。さらに、第3膨張弁29を全閉状態にする。
さらに、三方弁51をLモードにする。あるいは、−モードにしてもよい。第1冷媒通路13が定圧弁25とアキュムレータ21の間の冷媒流路に(第3支流路52、第2支流路27、第2冷媒通路16を介して)連通しないようにするためである。
また、圧縮機11の電動モータ11bに出力される制御信号については、第1実施形態のモード(F)と同様に決定される。また、エアミックスドア36のサーボモータへ出力される制御信号については、マックスクール状態となるように決定される。また、送風ファン15aを停止させると共に、送風機32および送風機42を停止させる。これにより、冷凍サイクル装置10では、図42に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
このように、本モードにおける各部の制御は、第3膨張弁29、三方弁51に対して制御を行う点と、存在しない第3開閉弁28に対しては制御を行わない点を除いては、第1実施形態のモード(F)と同じである。
従って、本モード時の冷凍サイクル装置10では、サイクルを循環する冷媒の状態については、第1実施形態のモード(F)と同様、図17のモリエル線図に示すように変化する。以上の如く、本モードでも、第1実施形態のモード(F)と同様の効果を得ることができる。
(O)第4実施形態まとめ
上述のモード(H1)〜(H3)、(I1)〜(I3)、(J1)〜(J3)、(K1)〜(K3)、(L)、(M)、(N)における第1、第2対象空間(または室外熱交換器15)の空調状態(または室外熱交換器15の除霜状態)は、図43のようになる。
なお、本実施形態に記載の各機器において入口側および出口側と表している側は、空調モードによって当該機器を流れる冷媒の向きが変化する場合は、それぞれ、すべての空調対象空間39、49の空調モードを冷房にする場合の入口側および出口側を表している。ただし、第2開閉弁23については、入口側が第1冷媒通路13側であり、出口側が第2冷媒通路16側である。
このように、本実施形態では、第2支流路27に配置された三方弁51と三方弁51に接続する第3支流路52が設けられ、第3支流路52は、第1冷媒通路13における室内凝縮器12と室外熱交換器15との間を第1冷媒通路13に接続する。このような構成により、第1〜第3実施形態の作動に加え、第2対象空間49の暖房を実現することができる。
具体的には、第1対象空間39を暖房モードとして第2対象空間49を暖房モードとするモード(K2)、よび第1対象空間39を空調せず第2対象空間49を暖房モードとするモード(M)の場合、冷媒の流れは以下のようになる。すなわち、従来は第1対象空間39を除湿するモードでしか冷媒を通さなかったバイパス通路22に対し、冷媒を流すことで、室内凝縮器12から出た高温の冷媒を第2対象空間用熱交換器44に流入させることができる。したがって、第1対象空間39を暖房するために必要な追加の配管が、第3支流路52の一本のみで済む。
また、具体的には、第1対象空間39を冷房または除湿して第2対象空間49を暖房モードとするモード(H2)、(I2)、(J2)では、第3支流路52を介して第2対象空間用熱交換器44に冷媒が流入し、第2対象空間用熱交換器44から出た冷媒は第1支流路26を介して第3冷媒通路18に戻る。したがって、室外熱交換器15と第2対象空間用熱交換器44で並列に冷媒を凝縮させる構成で、第2対象空間49の暖房を実現することができる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
上記各実施形態では、定圧弁25が減圧手段の一例として挙げられている。しかし、定圧弁25に限らず、第3冷媒通路18における室内蒸発器20と圧縮機11の間で室内蒸発器20側よりも圧縮機11側が低圧になるような物であれば、どのようなものを減圧手段として採用してもよい。例えば、内部を流通する冷媒の圧損を招く配管を、減圧手段として採用してもよい。
(変形例2)
上記各実施形態では、第2支流路27は、第2冷媒通路16に接続されているが、定圧弁25、第1開閉弁17、アキュムレータ21の間の流路なら、どこに接続されていてもよい。
(変形例3)
第2実施形態と同等の修正を第3実施形態の第3開閉弁28、第3膨張弁29の組および第4開閉弁28’、第4膨張弁29’の組に適用してもよい。
(変形例4)
第4実施形態に第3実施形態と同等の変更を適用して第3対象空間を空調できるようにしてもよい。