JP6445389B2 - 連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ - Google Patents

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本発明は、特定のポリカーボネートと連続繊維強化材を含む連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグに関するものである。詳しくは特定の溶融粘度を有するポリカーボネート樹脂を選択することにより、樹脂含浸性が高く、靱性にも優れた連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグに関するものである。
熱可塑性樹脂をマトリックスとする繊維強化複合材料(以下“FRTP”と称する場合がある)は既に広く知られている。かかるFRTPは、熱硬化性樹脂をマトリックスとする複合材料(以下単に“熱硬化樹脂コンポジット”と称する場合がある)と同様に、通常単一ストランド、一方向シート(UDシート)、織物、又は不織布の形態の強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグの製造に用いられ、該プリプレグがプレス成形やフィラメントワインディング成形(FW成形)されることにより、構造部材や各種部品などの製品が製造される。
FRTPは、熱硬化樹脂コンポジットに対して、次のような利点があることから、高強度、高剛性、および軽量な素材として近年再び注目されている。熱硬化樹脂コンポジットはそのプリプレグからの完全な硬化に時間を要し、生産性に問題がある場合がある。また該コンポジットはプリプレグを硬化した後に曲げ加工ができないことから、加工方法や形状の制約を受けやすい。一方、FRTPは、生産性に優れ、かつ再度マトリックス樹脂を軟化させることにより曲げ加工がある程度可能であり、該加工を繰り返し行うことができる。更に熱硬化樹脂コンポジットは切削屑や端材などのリサイクルにおいてその有効活用が困難であるため環境負荷やコストなどの点で好ましくなかった。一方、FRTPは、切削屑や端材を再び可塑化し、他の成形品を自由に作成することを可能とする。総じてFRTPに期待されるところは大きいが、より具体的には例えば曲げ加工可能な炭素繊維強化の複合材料からなる板材が求められている。
FRTPの利用例として、ガラス繊維、または炭素繊維等の連続繊維を使用し、一方向配列繊維シートあるいは織編物を作成し、これと熱可塑性樹脂とから作成したプリプレグが挙げられる。これらのプリプレグは、繊維の体積含有率を高くすることができる利点があり、繊維配向方向で弾性率、強度に優れた特性を有する。
FRTPを用いたプリプレグの製造においては、マトリックス樹脂の連続繊維への含浸性が重要であり、強度等の機械物性、外観に大きく影響する。FRTPのプリプレグの製造方法としては、溶液法、ホットメルト法、スラリー法および流動床法などが一般的に知られている。なかでも樹脂成分を溶融し連続繊維に含浸させるホットプレス法が簡便だが、樹脂溶融流動性の低いポリカーボネートでは良品を得ることができなかった。
特許文献1は、熱可塑性樹脂の溶融粘度が1,000〜15,000ポイズの範囲にある熱可塑性樹脂を使用したチョップドストランドプリプレグに関するものであるが、FRTP板を短冊片に切削したものを使用しているため、大型成形品を成形する場合は充分な剛性が得られない問題があった。
特許文献2には、熱可塑性樹脂と炭素繊維からなる複合材料が記載されているが、使用されている熱可塑性樹脂は粘度が高く、炭素繊維との含浸性が悪いため、ペレットを凍結粉砕したパウダー状の樹脂を散布することが好ましいと記載されている。また、特許文献2に記載の2次元ランダムに配向させた炭素繊維が用いられている複合材料から製造したプリプレグは、弾性率、強度に劣る可能性がある。
特許文献3においては、250℃の溶融粘度が1〜100Pa・sのポリカーボネートを用いた炭素繊維が一方向に並んだ炭素繊維強化ポリカーボネート製プリプレグが記載されている。しかし、特許文献3に記載のプリプレグにおいては、ポリカーボネートの粘度が低いため、熱賦形時に低分子成分による金型汚れが発生しやすく、折り曲げた際の強度が不足するといった問題があった。
特許第2507565号 特開2011−178890号公報 特開2014−91825号公報
本発明の課題は、熱溶融含浸性および曲げ特性に優れた連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するべく検討を重ねた結果、特定の粘度を有するポリカーボネート樹脂を用いることにより、従来問題であったポリカーボネート樹脂の連続強化繊維への含浸性、およびポリカーボネート樹脂製プリプレグの曲げ特性を高めることを見出した。
すなわち、本発明は、以下に示す連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ関するものであり、以下を要旨とする。
[1]250℃における溶融粘度が100Pa・sより高く1000Pa・s以下であるポリカーボネート樹脂(A)を、連続繊維強化材(B)に溶融含浸させた繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。
[2]連続繊維強化材(B)の体積含有値(Vf値)が30〜60%である、[1]に記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。
[3]連続繊維強化材(B)がガラス繊維を含有する、[1]又は[2]に記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。
[4]ガラス繊維が、Eガラスを含有する[3]に記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。
[5]ポリカーボネート樹脂(A)の250℃における溶融粘度が300〜700Pa.sである、[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。
本発明の連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグにおいては、ポリカーボネート樹脂が繊維への高い樹脂含浸性を有し、かつプリプレグの曲げ特性にも優れるため、例えば、電子電気機器筐体用途などの熱賦形用シートおよびフィルムに好適に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂(A)(以下「(A)成分」と称す場合がある。)は、ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
原料のジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記のジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
分岐したポリカーボネート樹脂を得るには、上述したジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
ポリカーボネート樹脂(A)としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他のジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。
上述したポリカーボネート樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(A)としては、250℃の溶融粘度が100Pa・sより高く1,000Pa.s以下であるポリカーボネートが用いられる。本発明における溶融粘度とは、キャピラリーレオメータ等の加温可能な溶融粘度計で測定された剪断速度0sec−1ないしその近辺における粘度値のことをいう。しかし剪断速度0sec−1での粘度測定は測定値が不安定となることが多い。そのため具体的には剪断速度100〜10000sec−1の間の任意の3点以上の溶融粘度を測定し、Carreau modelの近似式で、剪断速度0sec−1に外挿して得られた値を本発明の粘度値として用いることができる。
上述の溶融粘度が100Pa.s以下である場合は、マトリックス樹脂が脆くなるため曲げ特性等の機械強度を充分に得ることができず、一方、溶融粘度が1000Pa.sより高い場合は、樹脂の流動性が不足するため繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグの含浸性が不十分となり外観と機械強度が不充分なものとなる可能性がある。本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(A)の250℃の溶融粘度は、300〜700Pa.sであることが好ましく、500〜700Pa.sであることがより好ましい。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の使用が好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂は透明性、耐衝撃性、耐熱性などに特に優れているためである。
[連続繊維強化材(B)]
本発明の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグは、成形品の曲げ弾性率、曲げ強度等の曲げ特性を高めるために連続繊維強化材(B)(以下、「(B)成分」と称す場合がある。)を、ポリカーボネート樹脂(A)に含浸させることを特徴とする。
本発明で用いる連続繊維強化材(B)としては、ガラス繊維又は、炭素繊維を用いることができる。そして、ポリカーボネート樹脂組成物の補強効果に優れることから、連続繊維強化材(B)の形態としては、クロスなどの繊維状織物、または繊維束を開繊し一方向に引き揃えられた繊維が好ましい。連続繊維強化材の充填量の指標として、連続繊維強化材の体積含有値(Vf値)が用いられ、連続繊維強化材の体積含有値(Vf値)としては30〜60%が好ましく、35〜50%であることがさらに好ましい。Vf値が小さいと補強強化が十分でなく、Vf値が大きすぎると樹脂の強化材への含浸が困難となり外観、強度に劣るためである。
<ガラス繊維>
本発明で用いられるガラス繊維のガラス組成には特に制限はなく、Aガラス、Cガラス、Eガラスなどのガラス組成からなるものなどを用いることができるが、特に以下のような成分組成の無アルカリガラスであるEガラスがポリカーボネート樹脂(A)に悪影響を及ぼさないことから好ましい。
(Eガラス組成:質量%)
SiO:52〜56
Al:12〜16
Fe:0〜0.4
CaO:16〜25
MgO:0〜6
:5〜13
TiO:0〜0.5
O(NaO+KO):0〜0.8
ガラス繊維は、後述の表面処理剤により表面処理されたものであってもよく、このような表面処理により、樹脂成分とガラスとの接着性が向上し、高い機械的強度を達成することができるようになる。
<炭素繊維>
炭素繊維には特に制限は無く、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系などの公知の炭素繊維を使用することができる。
[強化繊維用の表面処理剤]
本発明においては、特に、連続繊維強化材(B)と樹脂成分との接着性を高めるために、また、ガラス繊維とポリカーボネート樹脂(A)との接触によるポリカーボネート樹脂(A)の分解を抑制するために、連続繊維強化材(B)の表面を表面処理剤で処理したものを用いることが好ましい。好適な表面処理剤の例として、アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤、シリコーン化合物などが挙げられる。
[その他の成分]
本発明の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグは、上記ポリカーボネート樹脂(A)及び連続繊維強化材(B)の他に、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有し得るその他の成分としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
<リン系熱安定剤>
本発明の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグは、リン系熱安定剤を含有することができる。リン系熱安定剤は一般的に、樹脂成分を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形品使用時の耐熱安定性向上に有効である。
本発明で用いるリン系熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み、変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
<酸化防止剤>
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂組成物には、所望によってヒンダードフェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を含有することで、色相劣化や、熱滞留時の機械物性の低下が抑制できる。
<その他の添加剤>
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、難燃剤、滴下防止剤、衝撃強度改良剤、上記(A)及び(B)成分以外の他の樹脂などが挙げられる。
(その他の無機成分)
本発明のポリカーボネート樹脂製連続繊維強化プリプレグ作成の際、連続繊維強化材(B)成分以外の無機成分として繊維長が10mm以下のガラス短繊維、炭素短繊維等を含有させることにより、さらに機械物性を高めることができる。短繊維フィラーの例として、ガラス短繊維、炭素短繊維、ワラストナイト、各種無機ウイスカーなどが挙げられる。
また板状、球状のフィラーを添加することにより収縮時の異方性も改善することができる。板状フィラーの例としてガラスフレーク、マイカ、タルク等が挙げられ、球状フィラーの例としてガラスビーズ、シリカビーズ等が挙げられる。
<連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグの製造方法>
連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグを製造する方法は、溶融樹脂を押出機のTダイから流し、繰り出された連続繊維シートと合流させ含浸させる方法、粉末樹脂を連続繊維上に分散し加熱溶融させる方法、樹脂をフィルム化して熱ラミネートする方法などがある。本発明の連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグに使用するポリカーボネートは、流動性に優れることから、特に溶融樹脂を押出機から吐出させ含浸させる方法、樹脂をフィルム化して熱ラミネートする方法が好ましく用いられる。
溶融法にて特定のポリカーボネートを連続繊維に含浸させる工程は、前記押出機を用いる方法以外にも、加熱プレスと冷却プレスの組合せにより溶融浸透後にプリプレグを固化させる方法、ダブルベルトプレスを使用して加熱ゾーンや冷却ゾーンを設ける方法がある。
<プリプレグの形状および特徴>
本発明の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグの厚さは、通常1枚あたり50〜500μmであり、好ましくは150〜350μmである。例えば、170〜305μmである。プリプレグ1枚の厚みが50μmより薄いと、充分に樹脂成分が含浸ができないため得られたプリプレグは開繊をし、取扱いが困難となる場合がある。またプリプレグ1枚の厚みが500μmを超えると、強化繊維の含有率が低下するため充分な物性が得られない可能性がある。
本発明の連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグは、製造時におけるポリカーボネート樹脂の連続繊維に対する含浸性が高く、また、製造されたプリプレグは曲げ特性に優れている。このため、本発明の連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグを、例えば、積層させて熱賦形することにより、曲げ特性に優れた成形品を製造することが可能である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
<溶融粘度の測定>
ポリカーボネート樹脂(A)成分の溶融粘度測定には、(株)東洋精機製作所社製 キャピログラフ1D PMD-Cを用いた。Carreau modelの近似式から外挿して得られた値を剪断速度0sec−1での粘度値として用いた。
<連続繊維含浸性評価>
ポリカーボネートの連続繊維への含浸性は、プリプレグの幅20mmの連続繊維樹脂シートの厚み方向の破断面を顕微鏡観察(×50倍)することにより評価した。樹脂と繊維の間に気泡がほとんどなく密着性に優れているものを良好、樹脂と繊維の間に気泡が少なく密着性に優れているものを可、気泡が多く密着性の低いものを不良とした。
<曲げ弾性率>
曲げ弾性率の測定は、JIS K7074に則り、島津製作所社製 オートグラフ AG−5000Bで測定を行った。なお、サンプル切削時に樹脂部が破壊されたものは不良とした。
<繊維体積含有値(Vf値)の測定>
連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグの繊維体積含有値として、曲げ試験用の試験片の密度をJIS K7112に準じた方法にて算出を行った。続いて、JIS K7075に準じて、バーナーを用いて熱可塑性樹脂を焼き飛ばして除去し、繊維質量含有率を算出した。最後に、得られた密度および繊維質量含有率と、炭素繊維およびガラス繊維の密度から試験片のVf値を算出した。
[使用材料]
<ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(A)>
(a−1)三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン(登録商標)H−4000」、250℃溶融粘度 700Pa・s
(a−2)三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン(登録商標)HL−7001」、250℃溶融粘度 500Pa・s
(a−3)三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン(登録商標)HL−8000」、250℃溶融粘度 300Pa・s
(a−4)三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン(登録商標)H−3000」、250℃溶融粘度 1800Pa・s
(a−5)界面重合法で製造された250℃での溶融粘度が90Pa・sのポリカーボネート
<連続繊維強化材(B)>
(b−1)ガラス繊維:日東紡績社製 RS 240QR-483AS(2400tex)
(b−2)炭素繊維:PAN系炭素繊維 三菱レイヨン社製 パイロフィル TRH50 60M RJ(60k)
(b−3)ガラス繊維クロス:旭硝子社製 258(厚み0.093mm、106.5g/m2、綾織)
(b−4)炭素繊維クロス:有沢製作所社製 CFP3110 (30k、160g/m2、平織)
[実施例1〜12、比較例1〜4]
・樹脂フィルムの作製
表1および2に記載の樹脂組成物のフィルムは、以下のように製造した。まず、スクリュー径26mmのフィルム押出機を用い、バレル温度250℃、ダイス(D)温度250℃、圧着ロール(R1)温度40℃、第一冷却ロール(R2)温度150℃、第二冷却ロール(R3)温度130℃の条件下で、各材料樹脂から、厚み100μmのフィルムを得た。
<連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグの作成>
連続繊維からなるクロス、およびあらかじめ開繊した一方向に引き揃えられた強化繊維層を中心とし、上下面に前記樹脂フィルム、離型紙の順に重ね合わせた状態で加熱式プレス装置にセットした。加熱式プレス装置の設定条件として、加熱温度240℃、1MPa、3分間加熱し、その後20℃に設定した冷却盤で5分冷却することで、厚み100〜370μmのプリプレグを得た。
<物性評価用複合シートの作成>
前記連続繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグを70×70mmに切削し、プレス後の厚みが1mmとなるよう重ね合わせる枚数を調整した。重ね合わせたプリプレグを加熱温度210℃、1MPa、3分間加熱プレスし、その後20℃に設定した冷却盤で5分冷却した。一方向繊維の場合は、0°、90°の交互に重ね合わせた。
得られたプレス後の複合板を幅15mm×長さ60mm(繊維方向)に切削し、これらを曲げ試験用試験片とした。
上記各実施例および比較例のプリプレグの組成、プリプレグおよび複合シートの試験片の特性について、以下の表にまとめた。
Figure 0006445389
Figure 0006445389
上記各実施例においては、プリプレグの含浸性、および複合シートの曲げ弾性率の結果が、概ねいずれも良好であった。これに対し、使用したポリカーボネート樹脂の250℃における溶融粘度が100Pa・sよりも低い比較例1と3においては、複合シートの曲げ弾性率に劣り、1000Pa・sよりも高い比較例2と4においては、含浸性に劣るため複合シートが容易に開繊していまい、曲げ特性が低下し、曲げ弾性率は測定できなかった。なお、プリプレグのVf値(体積含有値)が30%よりも低い実施例7と11においては、他の実施例に比べて複合シートの曲げ弾性率がやや劣り、Vf値が60%よりも高い実施例8と12においては、他の実施例に比べて含浸性が若干劣る結果となったため、曲げ弾性率は測定不能であった。しかしながら、これらの実施例においても、特に問題なく使用できるプリプレグが得られた。
以上より、ポリカーボネート樹脂(A)の溶融粘度を、100Pa・sより高く、1000Pa・s以下である範囲内に調整すると、プリプレグの曲げ弾性率および含浸性が向上することが確認された。また、Vf値(体積含有値)を調整することによっても、プリプレグの良好な曲げ弾性率および含浸性を実現可能であることが確認された。

Claims (5)

  1. 250℃における溶融粘度が100Pa・sより高く1000Pa・s以下であるポリカーボネート樹脂(A)を、連続繊維強化材(B)に溶融含浸させた繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。
  2. 前記連続繊維強化材(B)の体積含有値(Vf値)が30〜60%である、請求項1に記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。
  3. 前記連続繊維強化材(B)がガラス繊維を含有する、請求項1又は2に記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。
  4. 前記ガラス繊維が、Eガラスを含有する、請求項3に記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。
  5. 前記ポリカーボネート樹脂(A)の250℃における溶融粘度が300〜700Pa.sである、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化ポリカーボネート樹脂製プリプレグ。

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