JP2002371181A - シアネートエステル樹脂組成物および繊維強化複合材料 - Google Patents

シアネートエステル樹脂組成物および繊維強化複合材料

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JP2002371181A
JP2002371181A JP2001182946A JP2001182946A JP2002371181A JP 2002371181 A JP2002371181 A JP 2002371181A JP 2001182946 A JP2001182946 A JP 2001182946A JP 2001182946 A JP2001182946 A JP 2001182946A JP 2002371181 A JP2002371181 A JP 2002371181A
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cyanate ester
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ester resin
fiber
resin
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Naomi Miyoshi
直美 三好
Norimitsu Natsume
憲光 夏目
Ryuji Sawaoka
竜治 澤岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、ハロゲンを含まずに硬化物が、高い
難燃性を有しながら、弾性率も高く、十分な耐熱性を有
するシアネートエステル樹脂組成物および繊維強化複合
材料を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明のシアネートエステル樹脂組成物
は、次の(A)および(B)の成分を含むことを特徴と
するものである。 (A)次構造式(I)で表されるシアネートエステル化
合物 A−(OCN)n (I) (式中、nは1以上の整数、Aはn価の有機基) (B) 有機ホウ素化合物 また、本発明の繊維強化複合材料は、かかるシアネート
エステル樹脂組成物の硬化物と強化繊維からなることを
特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、航空機用構造材
料、鉄道車両用構造材料をはじめとして、ゴルフシャフ
ト、釣り竿等のスポーツ用途、その他一般産業用途に好
適に適用しうるシアネートエステル樹脂組成物およびこ
れをマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】産業界では、現在使用されている材料に
代わるより軽量、強靭で難熱性の高い材料が要求されて
いる。例えば、航空宇宙産業では、金属に代わる構造用
複合材料の利用についてかなり研究がなされてきた。熱
可塑性もしくは熱硬化性樹脂とガラスもしくは炭素繊維
とを主体とする構造用複合材料は、比強度、比弾性率等
の機械強度に優れるため、ゴルフシャフトや釣り竿等の
スポーツ用途や航空機用構造材料等に従来から現在まで
広く使用され、好結果を得ている。 【0003】かかる複合材料を構成する樹脂には、含浸
性や耐熱性に優れる熱硬化性樹脂が用いられることが多
く、熱硬化性樹脂には、炭素繊維との接着性に優れるこ
と、成形性に優れること、高温、湿潤環境にあっても高
度の機械強度を発現することが必要とされる。高度の機
械強度を発現するためには、炭素繊維のみでなく樹脂の
弾性率にも依存するため、樹脂の弾性率の高いものが望
まれている。そのため熱硬化性樹脂としては、フェノー
ル樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹
脂などが用途に応じて使用されている。 【0004】鉄道車輌構体に代表される多くの用途にお
いて、これまで用いられてきたものよりさらに高い弾性
率、耐熱性、難燃性の材料が要望されている。このよう
な要求からシアネートエステル樹脂が好ましく用いられ
るが難燃性はまだ十分ではない。 【0005】シアネートエステル樹脂にハロゲン含有樹
脂を添加することにより、難燃性を向上させる方法が、
特許第3081996号の特許明細書に記載されている。しか
し、このようなハロゲンを含む樹脂組成物は、燃焼時に
ダイオキシンを発生させる可能性が高い。材料が燃焼す
る際に発生する煙や有毒ガスにより火災時の逃げ遅れな
どの二次災害防止の観点から、さらには、近年、人体に
対する安全性や環境への影響から、ダイオキシンフリ
ー、ハロゲンフリー指向が強くなっており、ハロゲンを
含まずに難燃性を向上させることが必要となってきてい
る。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、ハロゲンを含まずに硬化物が、高い
難燃性を有しながら、弾性率も高く、十分な耐熱性を有
するシアネートエステル樹脂組成物およびこれをマトリ
ックス樹脂とした繊維強化複合材料を提供せんとするも
のである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のシアネートエステル樹脂組成物
は、次の(A)および(B)の成分を含むことを特徴と
するものである。 【0008】(A)次構造式(I)で表されるシアネー
トエステル化合物 A−(OCN)n (I) (式中、nは1以上の整数、Aはn価の有機基) (B) 有機ホウ素化合物 また、本発明の繊維強化複合材料は、かかるシアネート
エステル樹脂組成物の硬化物と強化繊維からなることを
特徴とするものである。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまりハロ
ゲンを含まずに硬化物が、高い難燃性を有しながら、弾
性率も高く、十分な耐熱性を有するシアネートエステル
樹脂組成物について、鋭意検討し、特定なシアネートエ
ステル化合物(A)と有機ホウ素化合物(B)からなる
シアネートエステル樹脂組成物により、かかる課題を一
挙に解決することを究明したものである。 【0010】本発明において、シアネートエステル化合
物(A)とは式(I)で表される化合物をいう。 【0011】A−(OCN)n (I) (式中、nは1以上の整数、Aはn価の有機基である) 構造式(I)で表されるシアネートエステル化合物の具
体例としては、1,3−または1,4−ジシアネートベ
ンゼン、4,4’−ジシアネートビフェニル、下記構造
式(II)で表されるようなオルト置換ジシアネートエス
テル、 【0012】 【化1】 【0013】(上記式中、R1〜R4基は水素原子また
はメチル基を意味し互いに同一でも異っていてもよく、
Xは2価の基であり、好ましいものとして炭素数1から
4のアルキレン基、酸素(−O−)、もしくは2価イオ
ウ(−S−)、スルホニル(−SO2 −)、カルボニル
(−CO−)などを表す) 下記構造式(III)で表されるようなポリフェニレンオ
キシドシアネートエステル、 【0014】 【化2】 【0015】(上記式中、hはh≧0を満たす正数,i
はi≧1を満たす整数、R1〜R8基は水素原子または
メチル基を意味し互いに同一でも異っていてもよく、X
は2価の基であり、好ましいものとして炭素数1から4
のアルキレン基、酸素(−O−)、もしくは2価イオウ
(−S−)、スルホニル(−SO2 −)、カルボニル
(−CO−)を表す) 下記構造式(IV)で表されるようなトリシアネートエス
テル、 【0016】 【化3】 【0017】(上記式中、R1〜R5基は水素原子また
はメチル基を意味し互いに同一でも異なっていてもよ
い) また、さらに、下記構造式(V)で表されるようなポリ
シアネートエステル、 【0018】 【化4】 【0019】(上記式中、kは1以上の整数、R1〜R
3基は、水素原子またはメチル基を意味し、互いに同一
でも異っていてもよく、Xは2価の基であり、好ましい
ものとして炭素数1から4のアルキレン基、酸素(−O
−)、もしくは2価イオウ(−S−)、スルホニル(−
SO2 −)、カルボニル(−CO−)を表す)などを用
いることができる。 【0020】これらシアネートエステル化合物のうち、
成形性および耐熱性の観点からビス(4−シアネートフ
ェニル)メタン、ビス(4−シアネートフェニル)エタ
ン、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン
が好ましく利用でき、この中でもさらに粘度が低く成形
性が優れることから、ビス(4−シアネートフェニル)
エタンがより好ましく利用できる。 【0021】かかるシアネートエステル化合物は、モノ
マーのみからなるものでも良いし、数分子が重合して、
オリゴマー状態となったものであっても使用することが
できる。 【0022】本発明のシアネートエステル樹脂組成物を
構成する(B)成分の有機ホウ素化合物とは、ホウ素原
子を含み、1から100個の炭素原子を含む化合物であ
り、該シアネートエステル樹脂組成物に溶けるかまたは
混和することができ、かつ、得られる硬化物を単一なも
のとすることができる化合物を意味するものである。 【0023】かかる有機ホウ素化合物に含まれる炭素原
子の数は、3から50個であることが好ましく、さらに
6〜50個であることがより好ましい。含まれる炭素原
子の数が50個より多いものは、樹脂に混合すると、樹
脂の粘度が増加し成形性に悪影響をおよぼす場合があ
る。また、含まれる炭素原子の数が6個より少ないもの
は、揮発性が高くなり、加熱した後得られる硬化物にボ
イドが発生し、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合があ
る。 【0024】かかる有機ホウ素化合物としては、ホウ酸
エステルまたは無水ホウ酸が好ましく使用される。 【0025】かかるホウ酸エステルの中でも、より高い
割合でホウ素を含ものが好ましく、つまり、より多い数
のホウ素−酸素結合を有しているもの、代表的には、ホ
ウ酸エステルとしては、ポリボラート、例えばビボラー
ト、無水ホウ酸が好ましく使用される。これらのホウ酸
エステルは、樹脂組成物を火に当てる際のホウ素化合物
中の含有ホウ素の揮発度を低減し、難燃性を向上させる
のみならず、組成物中のホウ素−酸素結合が増大するた
めに、ガラス形成度を高め易い効果を発揮する。 【0026】かかるホウ酸エステルであるビボラート
は、加熱した時に広い分解分布を有する。すなわち、そ
れらは広い温度範囲にわたって、また高温において分解
する傾向にある。これがガラス形成作用を向上させ、よ
り大きな難燃性を与える。そのような分解分布は、熱重
量分析によって容易に決定することができる。 【0027】これは、狭い温度範囲で実質的に完全に分
解または揮発する傾向にあり、結果としてボラートガス
を生成する傾向が低減されることを示す、非常に狭い分
解分布を有するホウ酸ブチルまたはホウ酸フェニル等の
モノボラートの分解分布と際立って違うものである。 【0028】本発明の有機ホウ素化合物は、分子中に、
好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは5〜2
0重量%、特に好ましくは5〜8重量%のホウ素を含ん
でいるものがよい。ホウ素濃度が、5重量%以上である
と、加熱に際しガラス形成作用を向上させ、樹脂組成物
に添加するホウ素化合物の全量を少なくさせるので好ま
しい。 【0029】かかる有機ホウ素化合物の中でもホウ酸エ
ステルが好ましく使用され、その中でも、例えば式B
(OR3)(OR4)(OR5)(式中、R3、R4、R5は
1〜18個、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する基
である)で表されるホウ酸トリアルキルエステルがより
好ましく使用される。 【0030】かかるホウ酸エステルの中でも、Rが6〜
18個の炭素原子を有する第二または第三アルキル基あ
るいはアリール基であるものが好ましく使用される。そ
のような好ましいホウ酸エステルの一つは、ボルエステ
ル(BORESTER)5(トリ−n−オクチルホウ酸、2.7
重量%のホウ素を含んでいる)である。 【0031】他の好ましいホウ酸エステルは、高ホウ素
含有量になり易いジオールとホウ酸とから誘導されるも
のである。特に好ましいホウ酸エステルは、アルキレン
基が2〜8個の炭素原子を有するポリアルキレンビボラ
ート、例えばボルエステル(BORESTER)35、即ち、ト
リ(1,3−ブタンジオール)ビボラート(7.1重量
%のホウ素を含んでいる)、ボルエステル7、即ち、ト
リ(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)ビボラー
ト(5.9重量%のホウ素を含んでいる)、およびボル
エステル15、即ち、トリオクチレングリコールジボラ
ート(4.76重量%のホウ素を含んでいる)である。 【0032】好ましい無水ホウ酸は、例えばボルエステ
ル33、即ちヘキシレングリコール無水ホウ酸(7.5
重量%のホウ素を含んでいる)である。 【0033】ポリビニルアルコールホウ酸エステルもホ
ウ酸エステルとして好適に用いられる。 【0034】上述の「ボルエステル(BORESTER)」は商
標であり、本発明で言及するボルエステル化合物類は、
Rhodia社から市販されている。 【0035】これら有機ホウ素化合物は、シアネートエ
ステル化合物100重量部に対し、0.1〜30重量部
配合することが好ましい。有機ホウ素化合物の配合量が
0.1重量部未満だと、得られる硬化物の難燃性の向上
は十分ではない。また配合量が30部を越えると、耐熱
性が著しく低下する場合がある。得られる硬化物の難燃
性と耐熱性の両立の面から、これら有機ホウ素化合物
は、シアネートエステル化合物100重量部に対し、1
〜20重量部配合することがさらに好ましい。 【0036】本発明のシアネートエステル樹脂組成物
は、硬化性を向上させるために硬化触媒を配合すること
ができる。かかる硬化触媒としては金属配位型触媒や活
性水素型触媒が好ましく用いられる。かかるシアネート
エステル樹脂組成物に配合される金属配位型触媒として
は、銅アセチルアセトナート、オクチル酸亜鉛、オクチ
ル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステア
リン酸錫、ステアリン酸亜鉛ならびに鉄、コバルト、亜
鉛、銅、マンガンおよびチタンとカテコールのような2
座配位子とのキレート等を使用することができ、硬化性
および成形性の観点から、銅アセチルアセトナートが好
ましく使用される。かかる金属配位型触媒の配合量は、
該樹脂組成物の硬化性と安定性との両立の面から、該樹
脂組成物の全量に対して0.001〜20重量%とする
ことが好ましく、0.01〜3重量%がさらに好まし
い。 【0037】かかる活性水素型触媒としては、フェノー
ル類を配合することが好ましい。フェノール類として
は、例えばフェノール性ヒドロキシル基を1個有し炭素
原子が1〜10個含まれるアルキル基を有するアルキル
フェノール等や、フェノール性ヒドロキシル基を2個有
するビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノ
ールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、ジヒ
ドロキシビフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ジヒド
ロキシベンゾフェノン、(フェニレンジイソプロピリデ
ン)ビスフェノール、およびこれらのハロゲン置換体や
アルキル置換体、フェノール性ヒドロキシル基を3個以
上有するポリフェノールなどが好ましく使用される。こ
れらのうち、より樹脂組成物の硬化性に優れることか
ら、フェノール性ヒドロキシル基を2個以上有する化合
物を用いることが好ましい。これらフェノール類の配合
量は、全樹脂組成物に対して0.01〜30重量%とす
ることが好ましく、0.1〜5重量%がさらに好まし
い。 【0038】本発明において、樹脂組成物に含まれるシ
アネートエステル化合物以外の樹脂成分としては、エポ
キシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリ
ア樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾオキサ
ジン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ナイロン樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレン
スルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、熱可塑
性ポリイミド等の熱可塑性樹脂が好ましく使用される。
ここでいう熱硬化性樹脂は、モノマー或いはオリゴマー
を一部に含んでいてもよい。 【0039】この場合、シアネートエステル化合物以外
の熱硬化性樹脂および熱硬化性樹脂は、樹脂組成物に含
まれる全ての熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の和100重
量部のうち、好ましくは0〜70重量部、より好ましく
は0〜50重量部、特に好ましくは0〜30重量部を樹
脂組成物に含ませて使用するのがよい。70重量部以上
であると、樹脂硬化物の難燃性が損なわれることがあ
る。 【0040】また、熱硬化性樹脂では、エポキシ樹脂、
ベンゾオキサジン樹脂が好ましく用いられ、熱可塑性樹
脂では、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンが
好ましく用いられる。 【0041】本発明において、エポキシ樹脂を用いる場
合は、硬化剤として芳香族アミン、フェノール化合物を
用いるのが好ましい。また、ベンゾオキサジン化合物用
の硬化助剤或いは硬化触媒としては、フェノール化合物
やカルボン酸等の酸、或いはアミンを用いるのが好まし
い。 【0042】また、本発明においては、その他添加剤と
して、エラストマーを用いることもできる。 【0043】本発明のシアネートエステル樹脂組成物
は、強化繊維を配合して航空機用途分野、鉄道車両用途
で要求されるような高度の耐湿熱特性、比強度、比弾性
率を繊維強化複合材料に発現させるため使用することが
できる。 【0044】強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊
維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、ナイロ
ン繊維、炭化珪素繊維等が一般に用いられる。より高い
力学特性を得るためにガラス繊維、炭素繊維が好ましく
用いられ、炭素繊維がさらに好ましく用いられる。 【0045】なお、強化繊維として炭素繊維を用いる場
合には、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性と剛性を
両立できるために炭素繊維の引張弾性率は200GPa
以上であることが好ましく、210〜800GPaであ
るものがより好ましい。このような炭素繊維のなかで
も、ストランド引張試験における引張伸度が1.5%以
上の炭素繊維を用いることが、より耐衝撃性に優れた繊
維強化複合材料を得られるため好ましく、引張伸度が
1.7%以上の炭素繊維を用いることがより好ましい。 【0046】また、炭素繊維の引張強度は、3800M
Pa以上、より好ましくは4000MPa以上、特に好
ましくは4500MPa以上であるのがよい。3800
MPa未満であると、得られる複合材料の引張強度が不
充分となり、高度の機械強度が要求される航空機用構造
材料や鉄道車輌用構造材料などへの適用が困難となるこ
とがある。 【0047】強化繊維には炭素繊維と、他種の強化繊
維、即ち、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維、アラ
ミド繊維、ナイロン繊維等の有機繊維等と組み合わせて
使用することもできる。 【0048】強化繊維の形態や配列については、特に限
定されず、織物、不織布、マット、ニット、組み紐、一
方向ストランド、ロービング、チョップド等から適宜選
択して使用することができるが、軽量、耐久性がより高
い水準にある繊維強化複合材料を得るためには、強化繊
維が、織物、一方向ストランド、ロービング等連続繊維
の形態であるのが良い。ここで、織物は従来公知の二次
元織物を使用することができる。また、織物組織として
は、縦糸に強化繊維、横糸に目ずれ防止のガラス繊維ま
たは有機繊維等を用いた一方向織物、平織、綾織、絡み
織、繻子織のものがよい。なお、織物に色艶等の美観が
付与されることから、織物の表面は炭素繊維からなる織
物とするのが好ましく使用される。 【0049】また、強化繊維の形態としてはプリフォー
ムを適用することができる。ここで、プリフォームとは
通常長繊維の強化繊維からなる織物基布を積層したも
の、またはこれをステッチ糸により縫合一体化したも
の、あるいは立体織物・編組物などの繊維構造物を意味
する。 【0050】本発明のシアネートエステル樹脂組成物の
硬化物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料は、その
繊維体積分率が、好ましくは10〜85%、より好まし
くは30〜70%であるのがよい。10%未満である
と、得られる複合材料の重量が過大となり、比強度、比
弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が損なわれるこ
とがあり、85%を越えると、樹脂の含浸不良が生じ、
得られる複合材料が、ボイドの多いものとなり易く、そ
の機械強度が大きく低下することがある。 【0051】かかるシアネートエステル樹脂組成物の硬
化物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料は、ハンド
レイアップ法、FW法(フィラメントワインディング
法)、プルトルージョン法、RTM法(レジン・トラン
スファー・モールディング法)等の方法によって製造す
ることができる。 【0052】ハンドレイアップ法は、強化繊維にシアネ
ートエステル樹脂組成物を含浸させ、所定の枚数積層し
て中間体を得る方法である。FW法は、マンドレル等に
シアネートエステル樹脂組成物を含浸せしめた繊維束を
所定の方向に巻き付けて中間体を得る方法である。プル
トルージョン法は、強化繊維にシアネートエステル樹脂
組成物を浸漬後、金型中で含浸させて中間体を得る方法
である。RTM法は、型枠内に強化繊維を予め配置して
おき、その後シアネートエステル樹脂組成物を注入して
中間体を得る方法である。 【0053】こうして所定の形状とした中間体を加熱
し、硬化させることで、繊維強化複合材料を得ることが
できる。 【0054】かかるシアネートエステル樹脂組成物の硬
化物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料は、未硬化
のシアネートエステル樹脂を繊維を一方向に引き揃えた
シート、リボン、クロス、テープなどの状態として含浸
して得られる中間体である、いわゆるプリプレグとして
複合材料成形用中間体を得、加熱し、硬化させ得ること
もできる。 【0055】プリプレグは、樹脂を溶媒に溶解して低粘
度化し、含浸させるウェット法と、リリースペーパー上
に樹脂をコーティングし、その上に強化繊維を引き揃
え、加熱溶解した樹脂をロール或いはドクターブレード
等で加圧含浸させ、その後放冷するホットメルト法(ド
ライ法)によって製造することができる。ウェット法
は、ガラス繊維織物からなるプリプレグに好適に使用で
きる。 【0056】これら製造法は、目的とする複合材料の生
産量、規模、或いは形状等により適宜使い分けられる。
例えば、比較的、形状が複雑な複合材料を、短時間で大
量生産する場合は、RTM法が適する。 【0057】また、これら製造法には、それぞれ適した
樹脂の粘度範囲があり、例えば、RTM法では、10〜
1000mP・s、プルトルージョン法では、10〜5
00mP・sが適する範囲である。なお、樹脂の粘度は
添加剤や希釈剤を配合したり、含浸温度を制御すること
で調整することができる。 【0058】本発明のシアネートエステル樹脂組成物に
より、高い弾性率、耐熱性、難燃性を有する樹脂硬化物
が得られるため、本発明の繊維強化複合材料の用途とし
ては、たとえば土木・建築、電気・電子、自動車、鉄
道、船舶、航空機、スポーツ用品、美術・工芸などの分
野における固定材、構造部材、補強剤、型どり材、絶縁
材などに好ましく使用される。これらの中でも、耐候
性、耐燃性および高度の機械強度が要求される航空機構
造部材、衛星構造部材および鉄道車両構造部材、スポー
ツ用の繊維強化複合材料、すなわちゴルフクラブ用シャ
フト、釣り竿などに好適に利用することができる。 【0059】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。樹脂硬化物の物性測定評評価方法は次のよう
な条件で行った。 【0060】(1)樹脂硬化物の物性測定 A.曲げ弾性率の測定 樹脂組成物をモールドに注入し、180℃の熱風乾燥機
中で2時間加熱硬化して厚さ2mmの樹脂硬化板を作製
した。次に、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り
出し、試験速度2.5mm、支点間距離32mmで3点
曲げ試験を行い、JIS−K7203に従い曲げ弾性率
を求めた。 【0061】B.発熱速度の測定 樹脂組成物をモールドに注入し、180℃の熱風乾燥機
中で2時間加熱硬化して厚さ3mmの樹脂硬化板を作製
した。次に、幅50mm、長さ50mmの試験片を切り
出し、コーンカロリーメーター(株式会社東洋精機製作
所製「コーンカロリーメーターIII 」)を用いて、IS
O−5660−1に従い行った。 【0062】<実施例1>シアネートエステル化合物と
してビス(4−シアネートフェニル)エタン(旭チバ
(株)製Arocy L−10)100重量部、金属配
位型硬化触媒として銅アセチルアセトナート(東京化成
工業(株)製)0.1重量部、活性水素型触媒としてビ
スフェノールAを混合した後、キーエンス製撹拌装置H
M−500を用いて撹拌しさらに、Borester
7(Rhodia製)を5重量部加え撹拌し樹脂組成物
を得た。この樹脂組成物を用いて、前記した方法に従
い、樹脂硬化物を作製し、これらの物性を測定した。測
定結果は表1に示した。 【0063】<実施例2>シアネートエステル化合物と
してビス(4−シアネートフェニル)エタン(旭チバ
(株)製Arocy L−10)100重量部、有機金
属化合物として銅アセチルアセトナート(東京化成工業
(株)製)0.1重量部、活性水素型触媒としてビスフ
ェノールAを混合した後、キーエンス製撹拌装置HM−
500を用いて撹拌しさらに、Borester 7
(Rhodia製)を10重量部加え撹拌し樹脂組成物
を得た。この樹脂組成物を用いて、前記した方法に従
い、樹脂硬化物を作製し、これらの物性を測定した。測
定結果は表1に示した。 【0064】<実施例3>シアネートエステル化合物と
してビス(4−シアネートフェニル)エタン(旭チバ
(株)製Arocy L−10)100重量部、有機金
属化合物として銅アセチルアセトナート(東京化成工業
(株)製)0.1重量部、活性水素型触媒としてビスフ
ェノールAを混合した後、キーエンス製撹拌装置HM−
500を用いて撹拌しさらに、Borester 7
(US・ボラックス・Inc製)を15重量部加え撹拌
し樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて、前記し
た方法に従い、樹脂硬化物を作製しこれらの物性を測定
した。測定結果は表1に示した。 【0065】<実施例4>シアネートエステル化合物と
してビス(4−シアネートフェニル)エタン(旭チバ
(株)製Arocy L−10)100重量部、有機金
属化合物として銅アセチルアセトナート(東京化成工業
(株)製)0.1重量部を混合した後、活性水素型触媒
としてビスフェノールAを混合した後、キーエンス製撹
拌装置HM−500を用いて撹拌しさらに、Bores
ter 7(Rhodia製)を20重量部加え撹拌し
樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて、前記した
方法に従い、樹脂硬化物を作製し、それらの物性を測定
した。測定結果は表1に示した。 【0066】<比較例1>シアネートエステル化合物と
してビス(4−シアネートフェニル)エタン(旭チバ
(株)製Arocy L−10)100重量部、有機金
属化合物として銅アセチルアセトナート(東京化成工業
(株)製)0.1重量部を混合した後、活性水素型触媒
としてビスフェノールAを混合した後、キーエンス製撹
拌装置HM−500を用いて撹拌し樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を用いて、前記した方法に従い、樹脂硬
化物を作製し、それらの物性を測定した。測定結果は表
1に示した。 【0067】 【表1】 【0068】表1より、実施例1〜4のものは、比較例
1のものに比較して、最大発熱速度が大きく減少してい
る。これは、燃焼後の燃え広がりが大きく抑制されるこ
とを示しており、難燃性が大きく向上している。また、
実施例1〜4のものは、比較例1のものと比較して、樹
脂曲げ弾性率も向上した。 【0069】 【発明の効果】本発明によれば、ハロゲンを含まずにそ
の硬化物が高い難燃性を有しながら、弾性率も高いシア
ネートエステル樹脂組成物を提供することができる。 【0070】本発明のシアネートエステル樹脂組成物と
繊維状補強材を配合して得られる繊維強化複合材料は、
高度の耐湿熱特性、比強度、比弾性率が要求される航空
機用構造材料および鉄道車両用構造材料およびスポーツ
用品の用途として特に好適に使用することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AA02 AA04 AA05 AA07 AB02 AB06 AB08 AB09 AB10 AB22 AB28 AB29 AB30 AD11 AE01 AE07 AG03 AK02 AK11 AK13 AL02 AL04 AL05 4J002 CL002 CL062 CM051 DA008 DE148 DJ008 DL008 EG017 EG047 EY016 EY018 EZ007 FA042 FA048 FD136 FD147 GC00 GN00

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1 】次の(A)および(B)の成分を含むこ
    とを特徴とするシアネートエステル樹脂組成物。 (A)次構造式(I)で表されるシアネートエステル化
    合物 A−(OCN)n (I) (式中、nは1以上の整数、Aはn価の有機基) (B) 有機ホウ素化合物 【請求項2】該シアネートエステル樹脂組成物が、これ
    を加熱硬化して得られる硬化物の燃焼時の最大発熱速度
    が600kw/m2 以下であることを特徴とする請求項
    1に記載のシアネートエステル樹脂組成物。 【請求項3】該(B)が、1つ以上のホウ素−酸素結合
    を有するホウ酸エステルであることを特徴とする請求項
    1または2に記載のシアネートエステル樹脂組成物。 【請求項4】該ホウ酸エステルが、アルキレン基が2〜
    8個の炭素原子を有するトリアルキレンビボラートであ
    ることを特徴とする請求項3に記載のシアネートエステ
    ル樹脂組成物。 【請求項5】該シアネートエステル樹脂組成物が、該
    (A)100重量部当たり、該(B)を0.1〜30重
    量部含むものである請求項1〜4のいずれかに記載のシ
    アネートエステル樹脂組成物。 【請求項6】該シアネートエステル樹脂組成物が、シア
    ネートエステル樹脂硬化触媒を含むものである請求項1
    〜5のいずれかに記載のシアネートエステル樹脂組成
    物。 【請求項7】該シアネートエステル樹脂硬化触媒が、金
    属配位型触媒および活性水素型触媒から選ばれる少なく
    とも一種であることを特徴とする請求項6に記載のシア
    ネートエステル樹脂組成物。 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載のシアネー
    トエステル樹脂組成物の硬化物と強化繊維からなること
    を特徴とする繊維強化複合材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008508113A (ja) * 2004-07-27 2008-03-21 ヘクセル コンポジッツ ゲーエムベーハー 高性能構造形状体を製造するための連続的プルトルージョン法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008508113A (ja) * 2004-07-27 2008-03-21 ヘクセル コンポジッツ ゲーエムベーハー 高性能構造形状体を製造するための連続的プルトルージョン法
JP4762239B2 (ja) * 2004-07-27 2011-08-31 エアバス オペラツィオンス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 高性能構造形状体を製造するための連続的プルトルージョン法

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