以下、本発明の参考例及び実施形態について図面を参照して説明する。
(第1参考例)
図1〜図3を参照して、本発明の第1参考例による作業機械について説明する。
第1参考例による作業機械は、図1に示すように、吊荷100の巻上/巻下を行うクレーンである。このクレーンは、自走可能な下部走行体2と、その下部走行体2上に縦軸回りに旋回自在となるように搭載された上部旋回体4と、図略の旋回装置とを有する。
下部走行体2は、クローラ式である。具体的には、下部走行体2は、その幅方向(左右方向)に分かれて配置された一対のクローラ式走行装置3を備える。各走行装置3は、周回可能に設けられたクローラ3aと、そのクローラ3aを周回させるための動力を発する油圧モータである図略の走行モータとを備える。
上部旋回体4は、旋回フレーム6と、ブーム8と、ガントリ10と、下部スプレッダ12と、上部スプレッダ13と、起伏ウインチ16と、巻上ウインチ18と、フック装置20と、を備える。
旋回フレーム6は、下部走行体2上に旋回自在となるように搭載されている。図略の旋回装置は、旋回フレーム6を下部走行体2に対して旋回させるようにクレーンに搭載されている。この旋回装置は、油圧モータである図略の旋回モータと、その旋回モータから出力される動力を縦軸回りの旋回力に変換し、その旋回力によって旋回フレーム6を下部走行体2に対して旋回させる図略の動力伝達機構とを備える。
ブーム8は、旋回フレーム6の前端部に起伏自在となるように取り付けられている。
ガントリ10は、ブーム8よりも後方で旋回フレーム6上に立設されている。
下部スプレッダ12は、ガントリ10の上端に設けられ、上部スプレッダ13は、下部スプレッダ12からブーム8側に離間して配置されている。上部スプレッダ13は、ガイライン14を介してブーム8の先端部に接続されている。
起伏ウインチ16は、ブーム8を起伏させるためのものであり、旋回フレーム6上に搭載されている。起伏ウインチ16は、起伏ロープ17が巻かれた起伏ドラム16aと、その起伏ドラム16aを回転させる油圧モータである図略の起伏モータとを有する。
起伏ドラム16aから引き出された起伏ロープ17は、下部スプレッダ12のシーブと上部スプレッダ13のシーブとに掛け回されている。起伏ドラム16aが起伏ロープ17を巻き取るように起伏モータが起伏ドラム16aを回転させることにより、上部スプレッダ13が下部スプレッダ12側へ引き寄せられるとともに、ブーム8の先端部がガイライン14によって後方へ引っ張られてブーム8が起立する。一方、起伏ドラム16aが起伏ロープ17を繰り出すように起伏モータが起伏ドラム16aを回転させることにより、上部スプレッダ13が下部スプレッダ12から離反することが許容され、その結果、ブーム8が倒伏するようになっている。
巻上ウインチ18は、フック装置20及びそれに吊られた吊荷100の巻上/巻下を行うためのものであり、旋回フレーム6上に搭載されている。以下、フック装置20とそれに吊られた吊荷100とをまとめて巻上/巻下の対象物102と称する。巻上ウインチ18は、巻上ロープ19が巻かれた巻上ドラム18aと、その巻上ドラム18aを回転させる油圧モータである図略の巻上モータとを有する。
巻上ドラム18aから引き出された巻上ロープ19は、ブーム8の先端部を経由し、その先端部から下方に垂下されてフック装置20を吊る。巻上ドラム18aが巻上ロープ19を巻き取るように巻上モータが巻上ドラム18aを回転させることにより、対象物102が巻き上げられる。一方、巻上ドラム18aが巻上ロープ19を繰り出すように巻上モータが巻上ドラム18aを回転させることにより、対象物102が巻き下げられる。
以上の構成を有するクレーンは、図2に示すように、駆動装置51と、圧力センサ23と、電気式の操作装置24とを備える。なお、図2に示されている作動部50は、クローラ3a、上部旋回体4、起伏ドラム16a、又は、巻上ドラム18aに相当する。図2では、太い実線により油圧配管が示されており、破線により電気配線が示されている。
駆動装置51は、作動部50を駆動する装置である。駆動装置51は、油圧回路22と、駆動モータ33とを有する。
油圧回路22は、操作装置24のコントローラ36(後述)からの制御信号に応じて駆動モータ33に作動油を供給し、それによって駆動モータ33を作動させるものである。駆動モータ33は、油圧モータであり、作動部50を駆動するための動力を出力するアクチュエータである。具体的には、駆動モータ33は、クローラ3a(図1参照)を周回させるための走行モータ、上部旋回体4(図1参照)を旋回させるための旋回モータ、起伏ドラム16a(図1参照)を回転させるための起伏モータ、又は、巻上ドラム18a(図1参照)を回転させるための巻上モータである。すなわち、作動部50がクローラ3aである場合には、駆動モータ33は走行モータに相当し、作動部50が上部旋回体4である場合には、駆動モータ33は旋回モータに相当し、作動部50が起伏ドラム16aである場合には、駆動モータ33は起伏モータに相当し、作動部50が巻上ドラム18aである場合には、駆動モータ33は巻上モータに相当する。
油圧回路22は、図2に示すように、第1電磁比例減圧弁25と、第2電磁比例減圧弁26と、バルブ27と、油圧管路28と、逆止弁29とを備える。
第1電磁比例減圧弁25は、操作装置24の後述のコントローラ36からの制御信号の入力に応じて、パイロット油圧源が出力する油圧を制御信号が指示する大きさのパイロット圧まで減圧してバルブ27へ導く。
第2電磁比例減圧弁26は、後述のコントローラ36からの制御信号の入力に応じて、パイロット油圧源が出力する油圧を制御信号が指示する大きさのパイロット圧まで減圧してバルブ27へ導く。
バルブ27は、パイロット切換弁である。バルブ27は、第1パイロットポート27aと、第2パイロットポート27bとを有する。第1パイロットポート27aは、第1パイロット管路30aを介して第1電磁比例減圧弁25と接続されている。第2パイロットポート27bは、第2パイロット管路30bを介して第2電磁比例減圧弁26と接続されている。
また、バルブ27は、油圧管路28を介して駆動モータ33と接続されている。具体的に、油圧管路28は、第1管路28aと第2管路28bとを有する。バルブ27は、第1管路28aを介して駆動モータ33の第1給排口33aに接続されているとともに、第2管路28bを介して駆動モータ33の第2給排口33bに接続されている。
バルブ27は、図略の油圧ポンプと接続されており、その油圧ポンプから作動油が供給される。バルブ27は、第1電磁比例減圧弁25から第1パイロットポート27aにパイロット圧が供給された場合には、第1管路28aを通じて駆動モータ33の第1給排口33aに作動油を供給する状態になる。一方、バルブ27は、第2電磁比例減圧弁26から第2パイロットポート27bにパイロット圧が供給された場合には、第2管路28bを通じて駆動モータ33の第2給排口33bに作動油を供給する。これらの場合において、バルブ27は、各パイロットポート27a,27bに供給されたパイロット圧に応じた圧力の作動部を駆動モータ33の対応する第1又は第2給排口33a,33bへ供給する。
駆動モータ33は、対応する作動部50へ動力を出力する図略の出力軸を有する。駆動モータ33は、第1給排口33aに作動油が供給された場合には、出力軸を一方へ回転させ、それによって作動部50を一方側へ動作させる。また、駆動モータ33は、第2給排口33bに作動油が供給された場合には、出力軸を前記第1給排口33aに作動油が供給された場合の出力軸の回転の向きと逆向きに回転させ、それによって作動部50を他方側へ動作させる。
作動部50の一方側への動作は、例えば、下部走行体2(図1参照)を前進させる方向へのクローラ3aの周回運動、上部旋回体4の左旋回、起伏ロープ17を巻き取る方向への起伏ドラム16aの回転、又は、巻上ロープ19を巻き取る方向への巻上ドラム18aの回転(巻上側への回転)に相当する。また、作動部50の他方側への動作は、例えば、下部走行体2を後進させる方向へのクローラ3aの周回運動、上部旋回体4の右旋回、起伏ロープ17を繰り出す方向への起伏ドラム16aの回転、又は、巻上ロープ19を繰り出す方向への巻上ドラム18aの回転(巻下側への回転)に相当する。
油圧管路28(図2参照)は、第1管路28aと第2管路28bとを相互に繋ぐ接続路28cを有する。この接続路28cには、逆止弁29が設けられている。逆止弁29は、第1管路28aから接続路28cを通じて第2管路28bへ作動油が流れるのを阻止するとともに、第2管路28bから接続路28cを通じて第1管路28aへ作動油が流れるのを阻止する。
圧力センサ23(図2参照)は、状態指標値導出部の一例である。圧力センサ23は、作動部50の動作に関わる作業機械の状態の一例として駆動モータ33を作動させる作動油の圧力を検出する。すなわち、圧力センサ23は、駆動モータ33を作動させる作動油の圧力の値を作業機械の状態指標値として導出する。以下、駆動モータ33を作動させる作動油の圧力を、場合により「駆動用油圧」と称する。駆動用油圧は、駆動モータ33が作動部50を駆動するために出力する動力の指標値となる。圧力センサ23は、逆止弁29に接続されている。圧力センサ23は、第1給排口33aと第2給排口33bとの間の差圧、すなわち第1管路28aと第2管路28bとの間の差圧を、駆動用油圧として検出する。圧力センサ23は、検出した駆動用油圧のデータを後述のコントローラ36へ送る。
操作装置24は、作動部50を操作するためのものである。操作装置24は、操作ユニット34と、操作検出部35と、コントローラ36とを有する。
操作ユニット34は、上述の作動部50の一方側又は他方側への動作を指示するために用いられるものである。操作ユニット34は、図2に示すように、レバー38と、反力付与装置40と、筐体42とを備える。
レバー38は、本発明による操作部材の一例であり、操作者により操作される。レバー38の下端部には、当該レバー38の延びる方向と直交する方向に延びる支持軸39が設けられている。支持軸39は、その軸心が図2の紙面に対して垂直な方向に相当する水平方向に延びる姿勢で筐体42に支持されている。また、支持軸39は、その軸心回りに回動可能となるように筐体42に支持されている。レバー38は、支持軸39と一体的に支持軸39の軸心回りに回動可能となっている。これにより、レバー38は、当該レバー38が真上へ延びる中立位置を基準として、その中立位置から一方の第1操作側と、中立位置から第1操作側と反対の第2操作側とに回動操作可能となっている。
中立位置は、作動部50の動作停止を指示するための位置に相当する。この中立位置は、本発明における「基準位置」の一例である。第1操作側は、作動部50の一方側への動作を指示するためのレバー38の操作側に相当する。第2操作側は、作動部50の前記一方側と反対側への動作を指示するためのレバー38の操作側に相当する。
反力付与装置40は、第1操作側又は第2操作側へ回動操作されたレバー38に対してそのレバー38を中立位置側へ戻す方向に作用する反力を付与するものである。反力付与装置40は、反力用モータ43と、反力伝達機構44とを有する。
反力用モータ43は、電動モータであり、レバー38に付与する反力の元となるトルクを生成するものである。反力用モータ43は、本発明における電動アクチュエータの一例である。反力用モータ43は、出力軸43aを有する。反力用モータ43は、作動することにより出力軸43aをその軸回りに回転させる。
反力伝達機構44は、反力用モータ43により生成されたトルクを反力としてレバー38に伝達するものである。反力伝達機構44は、駆動ギア46と、被駆動ギア48とを有する。
駆動ギア46は、傘歯車である。駆動ギア46は、出力軸43aの先端にその出力軸43aと同軸となるように取り付けられている。駆動ギア46は、出力軸43aと一体的に回転するようになっている。
被駆動ギア48は、駆動ギア46と噛み合う傘歯車である。被駆動ギア48は、支持軸39と結合されて支持軸39及びレバー38と一体的に支持軸39の軸心回りに回動可能となっている。被駆動ギア48は、駆動ギア46の回転を受けて回動する。
反力伝達機構44が以上のような構成を有することにより、反力用モータ43が作動して生成された出力軸43aの回転が駆動ギア46から被駆動ギア48に伝達されることによって支持軸39の軸心回りの回転に変換され、その変換された回転は被駆動ギア48から支持軸39を経てレバー38に付与される。これにより、レバー38を支持軸39の軸心回りに中立位置側へ戻す反力がそのレバー38に付与されるようになっている。
操作検出部35は、中立位置からのレバー38の操作を検出するものである。具体的には、操作検出部35は、中立位置からのレバー38の操作側及び回動操作量を表すレバー38の回動位置情報を検出する。操作検出部35は、レバー38の回動を検知してそのレバー38の中立位置からの回動操作量に対応するパルス信号を出力するロータリエンコーダ35aと、そのロータリエンコーダ35aから出力されたパルス信号を前記回動位置情報に変換するドライバ35bとを有する。ドライバ35bは、導出した位置情報をコントローラ36へ出力する。
コントローラ36は、ドライバ35bから入力された位置情報に応じて第1電磁比例減圧弁25及び第2電磁比例減圧弁26を制御することにより、作動部50がレバー38の操作に応じた動作を行うように駆動モータ33の作動を制御する。また、コントローラ36は、駆動モータ33の二次圧に応じた反力がレバー38に付与されるように、反力用モータ43の作動を圧力センサ23の検出値に応じて制御する。
コントローラ36は、図3に示すように、機能ブロックとして、駆動制御部54と、パラメータ取込部55と、制御値導出部56と、反力制御部57と、を有する。
駆動制御部54は、レバー38の操作に応じた作動部50の動作を指示するための制御信号を駆動装置51の第1電磁比例減圧弁25又は第2電磁比例減圧弁26へ出力して作動部50がそのレバー38の操作に応じた動作を行うように駆動装置51に作動部50を駆動させるものである。駆動制御部54は、データ処理部60と、比例弁制御部61とを有する。
データ処理部60は、ドライバ35bからコントローラ36に入力された前記位置情報を中立位置からのレバー38の回動方向及び回動操作量のデータに変換する処理を行う。コントローラ36には、ドライバ35bから入力される位置情報と中立位置からのレバー38の回動方向及び回動操作量との相関関係を表す関係式又は相関マップが予め記憶されている。データ処理部60は、この関係式又は相関マップに基づいて変換処理を行う。
比例弁制御部61は、データ処理部60によって導出されたレバー38の回動方向及び回動操作量のデータ(以下、操作データと称する)に基づいて第1電磁比例減圧弁25及び第2電磁比例減圧弁26の制御を行う。
具体的に、比例弁制御部61は、操作データが第1操作側へのレバー38の操作を示すものである場合には、第1電磁比例減圧弁25へ制御信号を出力する。この制御信号は、操作データが示すレバー38の中立位置から第1操作側への回動操作量に対応したパイロット圧をバルブ27の第1パイロットポート27aへ供給することを指示するものである。
また、比例弁制御部61は、操作データが第2操作側へのレバー38の操作を示すものである場合には、第2電磁比例減圧弁26へ制御信号を出力する。この制御信号は、操作データが示すレバー38の中立位置から第2操作側への回動操作量に対応したパイロット圧をバルブ27の第2パイロットポート27bへ供給することを指示するものである。
パラメータ取込部55は、入力装置65からコントローラ36に入力された後述のパラメータPoX,PoYを取り込むものである。入力装置65は、パラメータPoX,PoYの数値を入力するための端末である。
制御値導出部56は、レバー38に対して反力を付与する反力付与装置40を制御するための反力制御値を導出する。制御値導出部56は、反力用モータ43に流す電流の大きさを表すモータ電流値を反力制御値として導出する。反力用モータ43に流す電流の大きさは、反力用モータ43が出力するトルクの大きさに対応する。従って、モータ電流値は、反力用モータ43が生成する反力を制御するための制御値となる。当該第1参考例における制御値導出部56は、モータ電流値を圧力センサ23によって検出された駆動用油圧に応じた値で導出する。
具体的に、制御値導出部56は、パラメータ取込部55によって取り込まれたパラメータPoX,PoYにより規定される下記関係式(1)に基づいて、圧力センサ23からコントローラ36に入力された駆動油圧の検出値Ponow(以下、単に圧力検出値Ponowと称する)に応じたモータ電流値Iを算出する。
I=PoX×Ponow+PoY・・・(1)
パラメータPoX,PoYは、圧力検出値Ponowをモータ電流値Iにどのように反映するか、すなわち圧力検出値Ponowをレバー38に付与する反力にどのように反映するかを設定するための調整値に相当する。
パラメータPoX,PoYは、上述の入力装置65を用いて任意に設定可能である。当該第1参考例では、公知の油圧式反力付与装置が駆動モータの駆動用油圧に応じた反力を操作レバーに付与する場合における駆動用油圧と反力との相関関係が、電気式の反力付与装置40において再現されるようにパラメータPoX,PoYが設定される。
具体的には、公知の油圧式反力付与装置について駆動モータの駆動用油圧に対する操作レバーの反力の相関関係を実際に計測し、その計測した相関関係に、当該第1参考例における駆動用油圧と反力付与装置40によりレバー38に付与される反力との相関関係が一致するように、パラメータPoX,PoYを調整して上記関係式(1)を設定する。この設定は、作業機械の稼働前に予め行われる。
反力制御部57は、反力付与装置40が制御値導出部56により導出されたモータ電流値Iに応じた反力をレバー38に付与するように、その反力付与装置40の反力用モータ43を制御する。具体的には、反力制御部57は、制御値導出部56により導出されたモータ電流値Iに相当する電流を反力用モータ43に流すことを指示する指令信号を反力用モータ43のモータドライバへ出力する。これにより、反力制御部57は、モータドライバにモータ電流値Iに相当する電流を反力用モータ43に流させて反力用モータ43を作動させ、それによってモータ電流値Iに対応するトルクを反力用モータ43に出力させる。このトルクが反力伝達機構44を通じてレバー38に伝達されて、レバー38に付与される反力となる。
上記関係式(1)で表される圧力検出値Ponowとモータ電流値Iとの相関関係は、図4のような変換マップとして表される。上記関係式(1)及び図4の変換マップで表される一次関数によって反力検出値Ponowがモータ電流値Iに変換され、そのモータ電流値Iに対応する反力が反力用モータ43からレバー38に付与されることにより、レバー38に付与される反力は、駆動モータ33の駆動用油圧が最もリアルに反映されたものとなる。
第1参考例による作業機械では、電気式の操作装置24において、制御値導出部56が、作動部50の動作に関わる駆動モータ33の駆動用油圧に応じたモータ電流値を導出し、反力付与装置40が、制御値導出部56により導出されたモータ電流値に対応する反力をレバー38に対して付与する。駆動モータ33の駆動用油圧は、駆動モータ33が作動部50を作動させるために出力する動力の指標となる値である。このため、操作者は、レバー38を操作して作動部50を作動させる時に、作動部50を作動させる駆動モータ33の動力が反映された反力をレバー38から感じ取ることができる。従って、操作者は、電気式の操作装置において、レバー38の操作感覚を通じて、作動部50を作動させる駆動モータ33の動力の大きさを知覚できる。
なお、第1参考例では、電気式の操作装置24において、公知の油圧式反力付与装置における駆動用油圧と操作レバーの反力との相関関係が再現されるように圧力検出値とモータ電流値との相関関係を設定したが、圧力検出値とモータ電流値との相関関係はこのようなものに限定されない。すなわち、作業機械の操作者は、入力装置65でパラメータPoX,PoYを任意に入力することにより、圧力検出値Ponowとモータ電流値Iとの相関関係を所望の相関関係に変更することが可能である。これにより、圧力検出値Ponowとモータ電流値Iとの相関関係、すなわちレバー38の反力への駆動用油圧の反映させ方を自由且つ容易に変更できる。
また、操作者のレバー38の操作感覚の好みやレバー38に対する力の入れ易さの違い等により、レバー38が中立位置から第1操作側へ回動する場合と、レバー38が中立位置から第2操作側へ回動する場合とで、異なるパラメータPoX,PoYを設定してもよい。例えば、反力を大きくしたい操作側についてのパラメータPoX,PoYを、他方の操作側についてのパラメータPoX,PoYよりも大きい値に設定してもよい。
具体的には、例えば、第1操作側は、操作者が腕の力に加えて体重をかけてレバー38を押すことが可能な操作側であるのに対し、第2操作側は、操作者が腕の力だけでレバー38を引く必要がある操作側である場合に、第1操作側についてのパラメータPoX,PoYを第2操作側についてのパラメータPoX,PoYよりも大きい値に設定すればよい。
この場合、第1操作側へ操作したレバー38に掛かる反力は大きくなるが、操作者は、第1操作側へはレバー38に大きな力を加えることができるので大きな反力に十分対抗してレバー38を操作できるとともに、レバー38の反力を明確に感じ取ることができる。一方、第2操作側へ操作したレバー38に掛かる反力は第1操作側の場合に比べて小さくなり、操作者は、腕の力だけで容易にレバー38を第2操作側へ操作できる。
また、当該第1参考例では、圧力検出値をモータ電流値に変換するための圧力検出値とモータ電流値との相関関係を一次関数としたが、この相関関係として二次以上の関数を用いてもよい。また、レバー38を中立位置から第1又は第2操作側へ回動させる場合と、そのレバー38を中立位置側へ戻す場合とでヒステリシスが生じるように設定された関数を、圧力検出値をモータ電流値に変換するための圧力検出値とモータ電流値との相関関係として用いてもよい。
また、図5に示す変換マップのように、圧力検出値の最低値Pominから所定の大きさの制限値Polimまでの範囲をモータ電流値Iが0に維持される不感領域としてもよい。すなわち、この変換マップによって圧力検出値がモータ電流値Iに変換され、その変換されたモータ電流値Iに基づいて反力用モータ43が制御される場合には、圧力検出値が不感領域内にある状態では反力用モータ43に電流が流れず、反力用モータ43からレバー38に反力が付与されない。この構成によれば、圧力検出値に最低値Pomin付近で細かいノイズ(振動成分)が生じる場合にそのノイズがレバー38の反力に反映されるのを防止できる。
油圧式反力付与装置では、駆動用油圧の上昇開始時点から操作レバーに反力が付与されるまでの間に時間遅れが生じる場合があるが、このような時間遅れを第1参考例の電気式の反力付与装置で再現したい場合には、図6の変換マップに示すように、圧力検出値の上昇開始時点t0からモータ電流値が上昇を開始する時点t1までの間に時間遅れtを設定してもよい。この時間遅れtの期間は、モータ電流値が0に維持され、反力制御部57は、反力用モータ43を作動させない。その結果、時間遅れtの期間は、レバー38に反力が付与されず、油圧式反力付与装置において生じる駆動用油圧の上昇開始時点から反力付与までの時間遅れと同様の時間遅れを電気式反力付与装置で再現できる。
(第2参考例)
図7には、本発明の第2参考例による作業機械の駆動装置51、ロードセル62及び電気式の操作装置24の構成が示されている。この図7を参照して、本発明の第2参考例による作業機械について説明する。
第2参考例による作業機械は、上記第1参考例と同様のクレーンである。ただし、この第2参考例では、作動部50(図7参照)が作動時に受ける負荷の検出値に応じた反力を反力付与装置40がレバー38に対して付与するように操作装置24が構成されている。
具体的に、この第2参考例の作業機械は、作動部50に設けられたロードセル62を備える。ロードセル62は、作動部50が受ける負荷を検出するものであり、状態指標値導出部の一例である。この第2参考例では、作動部50は、上部旋回体4(図1参照)に相当し、駆動モータ33は、上部旋回体4を旋回させる旋回モータに相当し、操作装置24は、上部旋回体4を旋回させる操作を行うための操作装置に相当する。
ロードセル62は、例えば上部旋回体4が旋回するときにその上部旋回体4のうちのブーム8が受ける負荷を検出する。ロードセル62としては、ブーム8に取り付けられてそのブーム8の歪み量を検出する歪ゲージを有し、その歪ゲージが検出した歪み量を、ブーム8を撓ませる負荷の値に換算することにより、そのブーム8が受ける負荷を検出するものが用いられる。ロードセル62は、検出した負荷の値(以下、単に負荷検出値と称する)のデータをコントローラ36へ送る。負荷検出値は、作業機械の状態指標値の一例である。
この第2参考例のコントローラ36は、上記第1参考例のコントローラ36と同様の機能ブロック54,55,56,57(図3参照)を有する。このため、当該第2参考例のコントローラ36が有する各機能ブロックの構成については、説明を省略する。
ただし、当該第2参考例では、コントローラ36の制御値導出部56が、反力制御値としてのモータ電流値を、ロードセル62からコントローラ36に入力された負荷検出値に応じた値で導出する。具体的には、制御値導出部56は、予め規定された負荷検出値とモータ電流値との相関関係を表す関係式又は変換マップに基づいて負荷検出値に応じたモータ電流値を導出する。
負荷検出値とモータ電流値との相関関係を表す関係式は、上記第1参考例の関係式(1)のうちの圧力検出値Ponowを負荷検出値に置き換えて得られる関係式に相当する。この関係式において、パラメータPoX,PoYは、負荷検出値をモータ電流値Iにどのように反映するか、すなわち負荷検出値をレバー38の反力にどのように反映するかを設定するための調整値となる。この場合、操作者がレバー38の反力への負荷検出値の反映され方としてレバー38の操作感覚的に最も望ましいと考える形式で負荷検出値が反映されるように最適なパラメータPoX,PoYを事前の実験等により見出し、その見出したパラメータPoX,PoYを入力装置65によって入力してそのパラメータPoX,PoYによる負荷検出値とモータ電流値との関係式を設定する。この負荷検出値とモータ電流値との関係式は、図4に示された変換マップの圧力検出値を負荷検出値で置き換えることによって得られる変換マップにより表される。
第2参考例による作業機械の上記以外の構成は、上記第1参考例による作業機械の構成と同様である。
この第2参考例では、制御値導出部56が上記のように負荷指標値に応じたモータ電流値を導出し、反力制御部57がその制御値導出部56により導出されたモータ電流値に対応する反力を反力付与装置40の反力用モータ43に出力させる。このため、作動部50の作動時、すなわち上部旋回体4の旋回時にブーム8が受ける負荷がレバー38の反力に反映され、操作者は、レバー38の操作感覚を通じて、ブーム8が受ける負荷の大きさを知覚できる。これにより、操作者は、ブーム8が受ける負荷をレバー38の操作感覚として実感しながら、その負荷が過剰にならないように上部旋回体4をスムーズに旋回させる精密な操作を実施できる。
なお、この第2参考例において、ロードセル62は、対象物102(吊荷100)の巻き上げ時及び巻き下げ時にブーム8が受ける負荷を検出し、反力付与装置40は、その負荷検出値に応じた反力をレバー38に付与してもよい。この場合、作動部50は、ブーム8、巻上ドラム18a及び巻上ロープ19を含んだ吊装置全体に相当し、駆動モータ33は、巻上ドラム18aを回転させる巻上モータに相当し、操作装置24は、巻上ドラム18aを操作するための操作装置に相当する。
また、この第2参考例において、ロードセル62は、ブーム8の起伏時にブーム8が受ける負荷を検出し、反力付与装置40は、その負荷検出値に応じた反力をレバー38に付与してもよい。この場合、作動部50は、ブーム8、起伏ドラム16a、ガントリ10、起伏ロープ17、下部スプレッダ12、上部スプレッダ13及びガイライン14を含んだ起伏装置全体に相当する。そして、駆動モータ33は、起伏ドラム16aを回転させる起伏モータに相当し、操作装置24は、起伏ドラム16aを操作するための操作装置に相当する。
(第1実施形態)
図8には、本発明の第1実施形態による作業機械の駆動装置51、動作量検出部74及び電気式の操作装置24の構成が示されている。図9には、第1実施形態による操作装置24のコントローラ36の内部構成が示されている。図8及び図9を参照して、本発明の第1実施形態による作業機械について説明する。
第1実施形態による作業機械は、上記第1参考例と同様のクレーンである。ただし、この第1実施形態では、反力付与装置40がレバー38の中立位置からの操作量から想定される作動部50の動作量(以下、想定動作量と称する)と作動部50の実際の動作量(以下、実際動作量と称する)との差に応じた反力をレバー38に対して付与するように操作装置24が構成されている。
具体的に、この第1実施形態の作業機械は、作動部50に付設された動作量検出部74(図8参照)を有する。動作量検出部74は、作動部50の実際動作量を検出するものである。
この第1実施形態では、作動部50は、起伏ドラム16a、巻上ドラム18a、上部旋回体4、又は、クローラ3aに相当する。動作量検出部74は、作動部50が起伏ドラム16aである場合には、その起伏ドラム16aの回転量を検出する。また、動作量検出部74は、作動部50が巻上ドラム18aである場合には、巻上ドラム18aの回転量を検出する。また、動作量検出部74は、作動部50が上部旋回体4である場合には、上部旋回体4の旋回量を検出する。また、動作量検出部74は、作動部50がクローラ3aである場合には、クローラ3aの周回運動量を検出する。動作量検出部74は、検出した実際動作量のデータをコントローラ36へ送る。
コントローラ36は、動作量差演算部58を有する。この動作量差演算部58と動作量検出部74とによって、操作検出部35によって検出されたレバー38の中立位置からの操作量から想定される作動部50の想定動作量と作動部50の実際動作量との差を導出する動作量誤差導出部59が構成されている。動作量誤差導出部59は、本発明における状態指標値導出部の一例である。また、想定動作量と実際動作量との差は、本発明における作業機械の状態指標値の一例である。
動作量差演算部58は、操作検出部35の検出結果に基づいてデータ処理部60が求めたレバー38の回動操作量から想定される想定動作量を導出する。コントローラ36には、レバー38の中立位置からの回動操作量と作動部50の想定動作量との相関関係を表す関係式又は相関マップが予め記憶されている。動作量差演算部58は、この関係式又は相関マップに基づいて、データ処理部60により導出されたレバー38の回動操作量に対応した想定動作量を導出する。そして、動作量差演算部58は、その導出した想定動作量と動作量検出部74からコントローラ36に入力された実際動作量との差を算出する。以下、想定動作量と実際動作量との差を動作量差と称する。
制御値導出部56は、反力制御値としてのモータ電流値を、動作量差演算部58により算出された動作量差に応じた値で導出する。具体的には、制御値導出部56は、予め規定された動作量差とモータ電流値との相関関係を表す関係式又は変換マップに基づいて、動作量差演算部58により算出された動作量差に応じたモータ電流値を導出する。
動作量差とモータ電流値との相関関係を表す関係式は、上記第1参考例の関係式(1)のうちの圧力検出値Ponowを動作量差に置き換えて得られる関係式に相当する。この関係式において、パラメータPoX,PoYは、動作量差をモータ電流値Iにどのように反映するか、すなわち動作量差をレバー38の反力にどのように反映するかを設定するための調整値となる。この場合、操作者がレバー38の反力への動作量差の反映され方としてレバー38の操作感覚的に最も望ましいと考える形式で動作量差が反映されるように最適なパラメータPoX,PoYを事前の実験等により見出し、その見出したパラメータPoX,PoYを入力装置65によって入力してそのパラメータPoX,PoYによる動作量差とモータ電流値との関係式を設定する。この動作量差とモータ電流値との関係式は、図4に示された変換マップの圧力検出値を動作量差で置き換えることによって得られる変換マップにより表される。
第1実施形態による作業機械の上記以外の構成は、上記第1参考例による作業機械の構成と同様である。
この第1実施形態では、制御値導出部56が上記のようにレバー38の操作量に対応する想定動作量と実際動作量との動作量差に応じたモータ電流値を導出し、反力制御部57がその制御値導出部56により導出されたモータ電流値に対応する反力を反力付与装置40の反力用モータ43に出力させる。このため、操作者は、レバー38の操作によって意図している作動部50の想定動作量に対するそのレバー38の操作に応じて動いた作動部50の実際動作量の誤差の程度をレバー38の反力を通じて把握することができ、作動部50の実際動作量が自分の意図する動作量になるようにレバー38の操作を行うことができる。例えば、操作者は、実際動作量が想定動作量よりも小さいことをレバー38の反力を通じて把握することができ、その実際動作量と想定動作量との差を補うようにレバー38の操作量を増やして、自分の意図する動作量に作動部50の実際動作量を近づけることができる。
(第3参考例)
図10には、本発明の第3参考例による作業機械の駆動装置51、荷重計80及び電気式の操作装置24の構成が示されている。なお、図10には、ブーム8、巻上ドラム18a、フック装置20及び吊荷100も示されているが、これらは模式的に表されている。図10を参照して、本発明の第3参考例による作業機械について説明する。
第3参考例による作業機械は、上記第1参考例と同様のクレーンである。ただし、この第3参考例では、反力付与装置40が巻上ドラム18aに掛かる荷重を表す荷重指標値に応じた反力をレバー38に付与するように操作装置24が構成されている。
具体的に、この第3参考例では、作動部は巻上ドラム18aであり、作動部を駆動する駆動モータ33は、巻上ドラム18aを回転させる巻上モータに相当する。操作装置24は、巻上ドラム18aを巻上側又は巻下側へ回転させる操作を行うための操作装置に相当する。
そして、この第3参考例の作業機械は、対象物102の吊作業時にその対象物102の重量に起因して巻上ドラム18aに掛かる荷重を表す荷重指標値を検出する荷重計80を有する。荷重計80は、状態指標値導出部の一例である。荷重計80は、検出した荷重指標値のデータをコントローラ36へ送る。なお、荷重指標値は、作業機械の状態指標値の一例である。
この第3参考例のコントローラ36は、上記第1参考例のコントローラ36と同様の機能ブロック54,55,56,57(図3参照)を有する。このため、当該第3参考例のコントローラ36が有する各機能ブロックの構成については、説明を省略する。
ただし、当該第3参考例では、コントローラ36の制御値導出部56が、反力制御値としてのモータ電流値を、荷重計80からコントローラ36に入力された荷重指標値に応じた値で導出する。具体的に、制御値導出部56は、パラメータ取込部55によって取り込まれたパラメータPoX,PoYにより規定される下記関係式(2)に基づいて、コントローラ36に入力された荷重指標値Lonowに応じたモータ電流値Iを算出する。
I=PoX×Lonow+PoY・・・(2)
パラメータPoX,PoYは、荷重指標値Lonowをレバー38の反力にどのように反映するかを設定するための調整値である。パラメータPoX,PoYは、操作者等が入力装置65を用いて入力することにより任意に設定可能である。
上記関係式(2)で表される荷重指標値Lonowとモータ電流値Iとの相関関係は、図11のような変換マップとして表される。
反力制御部57は、以上のように制御値導出部56によって導出されたモータ電流値Iに相当する電流を反力用モータ43に流すことを指示する指令信号を反力用モータ43のモータドライバに送り、反力用モータ43を制御する。
図12には、一例による吊作業を行う場合に上記関係式(2)及び図11の変換マップでモータ電流値Iを導出し、その導出したモータ電流値Iに基づいて反力用モータ43を制御した場合のレバー38の中立位置からの回動操作量、巻上ドラム18aの回転数、荷重指標値、及び、モータ電流値の経時変化が示されている。具体的には、レバー38を、中立位置に維持した状態から巻上側に相当する操作側へ回動させ、その後、中立位置側へ戻すように回動させ、中立位置に達したらその中立位置で維持するように操作して吊作業を行う場合のレバー38の回動操作量、巻上ドラム18aの回転数、荷重指標値、及び、モータ電流値の経時変化が図12に示されている。
図12では、時間t0〜t1の期間が、レバー38を最初に中立位置に維持している期間に相当する。また、時間t1〜t2の期間は、レバー38を中立位置から巻上側に相当する操作側へ回動させている期間に相当する。また、時間t2〜t3の期間は、レバー38を中立位置側へ戻すように回動させている期間に相当する。また、時間t3以降は、レバー38が中立位置に達し、その中立位置でレバー38を維持している期間に相当する。
時間t1〜t2の期間において、レバー38の中立位置からの回動操作量が増加するにつれて、巻上ドラム18aの巻上側への回転数が増加する。吊荷100は、このt1〜t2の期間のうちのある時点taにおいて地切りされる。すなわち、t1〜t2の期間のうちの時間t1から時点taまでは、巻上ロープ19(図1参照)の弛みがなくなるまで巻上ロープ19が張る期間に相当する。この期間t1〜taは、巻上ロープ19の弛みのために荷重指標値は0に維持される。
そして、吊荷100が地切りされる時点ta以降は、対象物102の荷重とその対象物102の上昇の加速度による分の荷重との合計の荷重に相当する荷重指標値が荷重計80によって検出される。
そして、時間t2からレバー38を中立位置側へ戻すように回動させる。すなわち、レバー38の中立位置からの回動操作量を減少させる。これに伴って、巻上ドラム18aの巻上側への回転数が減少する。レバー38を中立位置側へ戻すようにそのレバー38の回動操作方向を切り換えたt2の時点で、対象物102の荷重からその対象物102の上昇の減速度による分の荷重を減じて得られる荷重に相当する荷重指標値が荷重計80によって検出される。
そして、時間t3においてレバー38が中立位置に達した後は、巻上ドラム18aの回転数は0に維持され、対象物102の荷重のみに相当する荷重指標値が荷重計80によって検出される。
以上のような一連の動作において、制御値導出部56により導出されるモータ電流値は、図12に示されているように、荷重指標値の経時変化が反映された経時変化を示す。従って、モータ電流値に応じて制御される反力用モータ43がレバー38に付与する反力は、荷重指標値の変化に対応した変化を示す。すなわち、レバー38の反力に荷重指標値が反映される。
この第3参考例による作業機械の上記以外の構成は、上記第1参考例による作業機械の構成と同様である。
この第3参考例では、操作者は、巻上ドラム18aに掛かる対象物102(吊荷100)の荷重が反映された反力をレバー38から感じ取ることができる。このため、対象物102の巻き上げ時及び巻き下げ時にレバー38の操作感覚を通じて対象物102(吊荷100)の荷重の大きさを知覚できる。対象物102(吊荷100)の荷重が大きい場合には、巻上ドラム18aを操作するためのレバー38の操作に慎重さが要求されるが、操作者は、レバー38の操作感覚を通じて対象物102の荷重の大きさを知覚できることにより、その時点での荷重指標値の大きさから必要とされる操作の慎重さを満たした適切な慎重さでレバー38による巻上ドラム18aの操作を行うことができる。
なお、この第3参考例において、制御値導出部56は、図13に示すような変換マップを用いて荷重指標値Lonowに対応するモータ電流値Iを導出してもよい。具体的に、図13の変換マップでは、荷重指標値の最低値Lominから所定の大きさの制限値Lolimまでの範囲が、モータ電流値Iを0に維持する不感領域に設定されている。すなわち、反力制御部57がこの変換マップに基づいてモータ電流値Iを導出する場合には、荷重指標値が不感領域Lomin〜Lolim内にある状態では反力用モータ43に電流が流れず、反力用モータ43からレバー38に反力が付与されない。この構成によれば、荷重指標値に最低値Lomin付近で細かいノイズ(振動成分)が生じる場合にそのノイズがレバー38の反力に反映されるのを防止できる。
(第2実施形態)
図14には、本発明の第2実施形態による作業機械の駆動装置51、回転計82及び電気式の操作装置24の構成が示されている。図14を参照して、本発明の第2実施形態による作業機械について説明する。
第2実施形態による作業機械は、上記第1参考例と同様のクレーンである。ただし、この第2実施形態では、反力付与装置40が巻上ドラム18aの回転数に応じた反力をレバー38に付与するように操作装置24が構成されている。
具体的に、この第2実施形態では、作動部は巻上ドラム18aであり、作動部を駆動する駆動モータ33は、巻上ドラム18aを回転させる巻上モータに相当する。また、巻上ドラム18aは、本発明におけるウインチドラムの一例である。操作装置24は、巻上ドラム18aを巻上側又は巻下側へ回転させる操作を行うための操作装置に相当する。
第2実施形態の作業機械は、巻上ドラム18aの回転数を検出する回転計82を有する。回転計82は、本発明における状態指標値導出部の一例である。回転計82は、検出した巻上ドラム18aの回転数のデータをコントローラ36へ送る。なお、巻上ドラム18aの回転数は、本発明における作業機械の状態指標値の一例である。
この第2実施形態のコントローラ36は、上記第1参考例のコントローラ36と同様の機能ブロック54,55,56,57(図3参照)を有する。このため、当該第2実施形態のコントローラ36が有する各機能ブロックの構成については、説明を省略する。
ただし、当該第2実施形態では、コントローラ36の制御値導出部56が、反力制御値としてのモータ電流値を、回転計82からコントローラ36に入力された回転数の検出値に応じた値で導出する。
具体的に、制御値導出部56は、パラメータ取込部55によって取り込まれたパラメータPoX,PoYにより規定される下記関係式(3)に基づいて、回転計82からコントローラ36に入力された回転数Ronowに応じたモータ電流値Iを算出する。そして、反力制御部57が、制御値導出部56により算出されたモータ電流値Iに相当する電流を反力用モータ43に流すことを指示する指令信号を反力用モータ43のモータドライバへ出力し、上記第1参考例の場合と同様に、反力用モータ43によりレバー38に付与される反力を制御する。
I=PoX×Ronow+PoY・・・(3)
パラメータPoX,PoYは、回転数Ronowをレバー38の反力にどのように反映するかを設定するための調整値である。パラメータPoX,PoYは、操作者等が入力装置65を用いて入力することにより任意に設定可能である。
上記関係式(3)で表される回転数Ronowとモータ電流値Iとの相関関係は、図15のような変換マップとして表される。反力制御部57が、この関係式(3)及び図15の変換マップで表される一次関数によって回転数Ronowをモータ電流値Iに変換し、そのモータ電流値Iに基づいて反力用モータ43を制御する。
図16には、上記第3参考例において図12に基づいて説明した一連のレバー38の操作と同様の操作により吊作業を行う場合に上記関係式(3)及び図15の変換マップでモータ電流値Iを導出し、その導出したモータ電流値Iに基づいて反力用モータ43を制御した場合のレバー38の中立位置からの回動操作量、巻上ドラム18aの回転数、及び、モータ電流値の経時変化が示されている。図16に示された各時間t0,t1,t2,t3,taは、上記第3参考例における各時間t0,t1,t2,t3,ta(図12参照)と同様である。
この図16から判るように、制御値導出部56により導出されるモータ電流値は、巻上ドラム18aの回転数の経時変化が反映された経時変化を示す。従って、モータ電流値に応じて制御される反力用モータ43がレバー38に付与する反力は、巻上ドラム18aの回転数の変化に対応した変化を示す。すなわち、レバー38の反力に巻上ドラム18aの回転数が反映される。
この第2実施形態による作業機械の上記以外の構成は、上記第3参考例による作業機械の構成と同様である。
この第2実施形態では、操作者は、巻上ドラム18aの回転数が反映された反力をレバー38から感じ取ることができる。このため、対象物102(吊荷100)の巻き上げ時及び巻き下げ時に、レバー38の操作感覚を通じて、巻上ドラム18aの回転数の大きさ、すなわち対象物102の巻上速度又は巻下速度の大きさを把握できる。対象物102の巻上速度又は巻下速度が大きい場合には、巻上ドラム18aを操作するためのレバー38の操作に慎重さが要求されるが、操作者は、レバー38の操作感覚を通じて巻上速度又は巻下速度の大きさを把握できることにより、その時点での巻上速度又は巻下速度の大きさから必要とされる操作の慎重さを満たした適切な慎重さでレバー38による巻上ドラム18aの操作を行うことができる。
(第3実施形態)
図17には、本発明の第3実施形態による作業機械の駆動装置51、荷重計80、回転計82及び電気式の操作装置24の構成が示されている。図17を参照して、本発明の第3実施形態による作業機械について説明する。
第3実施形態による作業機械は、上記第1参考例と同様のクレーンである。ただし、この第3実施形態では、反力付与装置40が荷重計80により検出された荷重指標値と回転計82により検出された巻上ドラム18aの回転数の両方が反映された反力をレバー38に付与するように操作装置24が構成されている。
具体的に、この第3実施形態の作業機械は、荷重計80と、回転計82とを有する。荷重計80は、上記第3参考例の荷重計80と同様のものであり、回転計82は、上記第2実施形態の回転計82と同様のものである。荷重計80及び回転計82は、本発明における状態指標値導出部の一例である。荷重計80により検出される荷重指標値及び回転計82により検出される巻上ドラム18aの回転数は、本発明における状態指標値の一例である。
この第3実施形態のコントローラ36は、上記第1参考例のコントローラ36と同様の機能ブロック54,55,56,57(図3参照)を有する。ただし、当該第3実施形態では、コントローラ36の制御値導出部56が、反力制御値としてのモータ電流値を、荷重計80からコントローラ36に入力された荷重指標値と回転計82からコントローラ36に入力された回転数の検出値の両方に応じた値で導出する。具体的に、制御値導出部56は、図18に示す変換マップに基づいて、コントローラ36に入力された荷重指標値及び巻上ドラム18aの回転数の両方に応じたモータ電流値Iを導出する。
図18の変換マップは、巻上ドラム18aの回転数と荷重指標値とモータ電流値との相関関係を規定したものである。この変換マップは、巻上ドラム18aの回転数nが増加するに従って、荷重指標値とモータ電流値との相関関係を表す一次関数の傾きが増加するように設定されている。なお、図18では、巻上ドラム18aの回転数nが100、500、1000、2000である場合についてのみ荷重指標値とモータ電流値との相関関係を示す一次関数が示されているが、実際には、回転数nの変化に応じて荷重指標値とモータ電流値との相関関係を示す一次関数の傾きが無段階に変化するように変換マップが規定されている。
この図18の変換マップは、以下の関係式(4)及び(5)で表される。
I=PoX×Lonow+PoY・・・(4)
PoX=K×n・・・(5)
関係式(4)は、荷重指標値Lonowとモータ電流値Iとの相関関係を示す一次関数である。この関係式(4)において、PoYは、パラメータ取込部55によって取り込まれたパラメータであり、荷重指標値Lonowをレバー38の反力にどのように反映するかを設定するための調整値である。また、PoXは、関係式(4)の一次関数の傾きであり、この傾きPoXが関係式(5)によって規定されている。
関係式(5)は、傾きPoXを巻上ドラム18aの回転数nとの関係で規定している。この関係式(5)において、Kは定数である。なお、関係式(5)は、傾きPoXを規定する関係式の一例であり、傾きPoXは、これ例外の関係式で規定されてもよい。
制御値導出部56は、コントローラ36に入力された回転数nのデータに対応する一次関数を図18の変換マップから導出し、その導出した一次関数に基づいて、コントローラ36に入力された荷重指標値Lonowに対応するモータ電流値Iを導出する。そして、反力制御部57(図3参照)は、制御値導出部56により導出されたモータ電流値に相当する電流を反力用モータ43に流すことを指示する指令信号を反力用モータ43のモータドライバに送ることにより、反力用モータ43を制御する。
図19には、上記第3参考例において図12に基づいて説明した一連のレバー38の操作と同様の操作により吊作業を行う場合に図18の変換マップに基づいてモータ電流値Iを導出し、その導出したモータ電流値Iに基づいて反力用モータ43を制御した場合のレバー38の中立位置からの回動操作量、巻上ドラム18aの回転数、荷重指標値、及び、モータ電流値の経時変化が示されている。図19に示された各時間t0,t1,t2,t3,taは、上記第3参考例の場合の各時間t0,t1,t2,t3,ta(図12参照)と同様である。
この図19から判るように、制御値導出部56により導出されるモータ電流値は、荷重指標値と巻上ドラム18aの回転数の両方の経時変化が反映された経時変化を示す。従って、モータ電流値に応じて制御される反力用モータ43がレバー38に付与する反力は、荷重指標値と巻上ドラム18aの回転数の両方の変化に応じて変化する。すなわち、レバー38の反力に荷重指標値と巻上ドラム18aの回転数の両方が反映される。
第3実施形態による作業機械の上記以外の構成は、上記第3参考例及び第2実施形態による作業機械の構成と同様である。
この第3実施形態による作業機械の上記以外の構成は、上記第3参考例及び第2実施形態による作業機械の構成と同様である。
この第3実施形態では、操作者は、荷重指標値と巻上ドラム18aの回転数の両方が反映された反力をレバー38から感じ取ることができる。このため、対象物102(吊荷100)の巻き上げ時及び巻き下げ時に、レバー38の操作感覚を通じて、荷重指標値と対象物102の巻上又は巻下速度の両方の要素が合成された指標値の大きさを把握できる。荷重指標値の大きさ及び対象物102の巻上又は巻下速度の大きさは、いずれも、巻上ドラム18aの操作に慎重さを要求する要素であるため、操作者は、それらの要素が合成された指標値をレバー38の操作感覚を通じて把握できることにより、その時点での荷重指標値の大きさ及び巻上又は巻下速度の大きさから必要とされる操作の慎重さを満たした適切な慎重さでレバー38による巻上ドラム18aの操作を行うことができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
本発明による作業機械は、上記実施形態で説明したクローラクレーンに限定されない。例えば、下部走行体がホイール式であるホイールクレーンや、その他のタイプの各種クレーンも、本発明の作業機械に含まれる。下部走行体のホイールは、本発明における作動部の概念に含まれる。また、ホイール式の下部走行体は、ホイールを回転させるための油圧モータである走行モータを備えているが、作動部がホイールである場合には、この走行モータが駆動モータに相当する。
また、クレーン以外の作業機械、例えばショベル等も、本発明の作業機械に含まれる。作業機械がショベルである場合には、作動部は、クローラやホイール等の走行部材、上部旋回体、又は、掘削作業のための作業アタッチメントに相当する。作動部が作業アタッチメントである場合には、その作業アタッチメントを駆動するためのアクチュエータとしての油圧シリンダを含む駆動装置が本発明の駆動装置に相当する。
上記第2参考例、第1実施形態、第3参考例、第2実施形態及び第3実施形態において、油圧モータである駆動モータ33以外のアクチュエータを作動部50の駆動用のアクチュエータとして用いてもよい。例えば、駆動モータ33の替わりに電動モータを用いてもよい。この場合には、油圧回路22の替わりに、電動モータに供給する電流を制御するインバータを用いる。このインバータと電動モータにより本発明の駆動装置が構成される。そして、この場合、駆動制御部54は、比例弁制御部61の替わりに、インバータ制御部を有し、そのインバータ制御部がインバータへ制御信号を送って作動部50がその制御信号により指示される動作を行うようにインバータに電動モータを駆動させる。
また、上記第1実施形態において作業機械がショベルである場合には、ロードセル62を例えば作業アタッチメントのブームに取り付けて、そのブームを撓ませようとする負荷をロードセル62によって検出してもよい。そして、このロードセル62による負荷検出値のデータをコントローラ36に送り、上記第1実施形態と同様に反力用モータの作動を制御すればよい。
また、掘削作業時の掘削対象から作業アタッチメントが受ける反力を検出し得るように作業アタッチメントにロードセルを取り付け、そのロードセルが検出した反力の値を負荷検出値としてコントローラに送ってもよい。この場合には、作業アタッチメントが掘削対象から受ける反力を、レバーの反力に反映することができる。
また、本発明による操作部材は、レバーに限定されない。操作部材は、スロットルやハンドル等であってもよい。また、操作部材は、手で操作するものに限らず、足で操作するアクセルペダル等であってもよい。
また、反力付与装置は、電動モータ以外の電動アクチュエータを備えていて、その電動アクチュエータの動力を用いてレバーに反力を付与してもよい。