JP6444180B2 - 冷蔵庫 - Google Patents
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Description
本発明は、冷蔵庫における自動製氷装置において、できた氷から順に取り出せるように構成したものである。
図1は、本発明に係る実施形態の冷蔵庫の正面図であり、図2は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるX−X縦断面図である。
実施形態の冷蔵庫1は、上方から、冷蔵室2,製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5,野菜室6とを備えて構成されている。なお、以下では、製氷室3と上段冷凍室4と下段冷凍室5を総称して冷凍室60と呼ぶことがある。
なお、以下では、冷蔵室扉2a,2b,製氷室扉3a,上段冷凍室扉4a,下段冷凍室扉5a,野菜室扉6aを単に扉2a,2b,3a,4a,5a,6aと称する。
庫内は、冷蔵温度の冷蔵室2と、冷凍温度の上段冷凍室4及び製氷室3(図1参照)とが、断熱仕切壁28により隔てられている。また、冷凍温度の下段冷凍室5と、野菜の冷蔵温度の野菜室6とが、断熱仕切壁29により隔てられている。
図3は、冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図であり、冷気ダクトや吹き出し口の配置などを示す図である。図4は図2のA部拡大図である。図5は図3のB部の内部構成の拡大図である。
図2に示すように、冷却器7は下段冷凍室5の略背部に備えられた冷却器収納室8内に設けられている。冷却器7の上方に設けられた庫内送風機9により冷却器7と熱交換して冷却された空気(以下、冷却器7で冷却されてできた低温の空気を冷気と称す)が冷蔵室送風ダクト11を介して、冷蔵室2へ送られる。
また、冷気は、野菜室送風ダクト16b(図3参照)を介して、野菜室6へ送られる。冷蔵室2、冷凍室60、野菜室6の各室への送風は、それぞれ冷蔵室ダンパ20、冷凍室ダンパ50、および野菜室ダンパ40の開閉により制御されている。
具体的には、冷蔵室ダンパ20,野菜室ダンパ40が開状態、冷凍室ダンパ50が閉状態のときには、冷気は、冷却器収納室8の上部で冷蔵室2側と野菜室6側に風路が分岐して、一方は冷蔵室送風ダクト11を経て多段に設けられた吹き出し口2c(図2参照)から冷蔵室2へ送られる。他方は、野菜室送風ダクト16bを経て野菜室6背面右側上部に設けられた野菜室吹き出し口6c(図3参照)から野菜室6に流入して野菜室6を冷却する。
そして、野菜室6の冷却を終えた後は、図2に示すように、断熱仕切壁29の下部前方に設けられた、野菜室戻り口6dから、野菜室戻りダクト18を介して、冷却器7の左側に設けられた野菜室戻り吐出口18aから冷却器収納室8に流入する。
野菜室6からの戻り冷気は、野菜室戻り口6d(図2参照)から断熱仕切壁29の中に設けられた野菜室戻りダクト18に流入する。そして、図4に示すように、野菜室戻りダクト18に流入した野菜室6からの戻り冷気は、野菜室戻りダクト18を通って、図5に示す冷却器収納室8の下部前方に設けられる冷却器7の左側の野菜室戻り吐出口18aから、冷却器収納室8に流入する。
冷却器収納室8の下方には、図4、図5に示すように、除霜ヒータ22が備えられている。除霜ヒータ22は、ガラス管ヒータであり、ガラス管の外周にはアルミニウム製の放熱フィン22aが備えられている。除霜ヒータ22の上方には、除霜水が除霜ヒータ22に滴下することを防止するために、上部カバー53が設けられている。
次に、製氷の動作について説明する。
図3に示す給水タンクTに水を入れセットすることにより自動製氷機Iで氷が製氷皿idに自動的にできる。
こうして、貯氷容器3b内に氷を貯めるスペース(空間)があるか否か、貯氷容器3b内のスペース(空間)を、検氷レバー3daを回動させて調べる。離氷可能と判断した場合は、氷を製氷皿idから離脱し、貯氷容器3b内に氷を落とす。
使用者が貯氷容器3b内の氷をできた順番に取り出せる、換言すれば古い氷を新しい氷より先に取り出せる構成を明らかにする検討を行った。検討に際しては、貯氷容器3bの底面3btの傾斜に着目した。
そこで、貯氷容器3bの底面3btの傾斜と、古い氷(先に取り出す氷)と新しい氷(後に取り出す氷)との位置の検証を、以下の第1の実験と第2の実験とで行った。
第1の実験として、貯氷容器3bの底面3btの状態と古い氷と新しい氷の位置の検証を行った。
以下、貯氷容器3bの底面の傾斜と、古い氷(先に取り出す氷)と新しい氷(後に取り出す氷)との位置との関係について説明する。
第1のケースは、図6に示す貯氷容器3bの底面3btが前方から後方にかけて上方に2度の傾斜角がある貯氷容器3bである。これを貯氷容器(1)とする。図6は、第1のケースの貯氷容器の底面に前方から後方にかけて上方に2度の傾斜がある貯氷容器(1)の断面図である。
第1のケース〜第8のケースにおいて、貯氷容器3bの底面3btの状態と古い氷と新しい氷の位置との関係の検証を行った。
図6〜図13に示すように、製氷皿idを貯氷容器3b後方の上部に配置する。まず、製氷皿idにおいて透明な水で製氷した氷(先に取り出す氷)を、製氷皿idを上下反転させて捩じって離氷させ落下させる。透明な水で製氷した氷を透明氷と称する。
そして、そのまま、貯氷容器3bの扉3bdを、前後方向(図6〜図13の矢印α)に移動させ開閉する。
比較方法は、貯氷容器3b内の氷の配置を最前方を0%、最後方を100%の座標に置き換え、図14〜図16に結果を示す。
図14より全体的に氷が前方によっているのは、図7の貯氷容器3bの底面3btが前方から後方かけて上方に2度の傾斜が有り、該傾斜に反り返し3boが有る貯氷容器(2)と、図13の貯氷容器3bの底面3btが前方から後方にかけて上方に4度の傾斜がある貯氷容器(8)である。
図16より、比較的古氷(白抜き)と新氷(ハッチング)が混ざっていないものは、図6の貯氷容器3bの底面3btが前方から後方にかけて上方に2度の傾斜が有る貯氷容器(1)と、図8の貯氷容器3bの底面3btが前方から後方にかけて上方に2度の傾斜を有する傾斜面が曲面である貯氷容器(3)と、図13の貯氷容器3bの底面3btが前方から後方にかけて上方に4度の傾斜がある貯氷容器(8)である。
次に、「新氷を落とす位置が後にある程、古氷が新氷の前に落ちやすく、傾斜が大きいほど落下後に氷の移動が少ないため、氷が混ざりにくく古氷が新氷よりも先に取り出せる」という考えに基づき、貯氷容器3bの底面3btの傾斜と、氷を落とす位置に着目し、実験を行った。
室温は19℃に設定した。
氷は、古氷を透明に着色し、新氷を青色に着色し、ともに12個ずつ製氷した。製氷皿idに水を入れ、冷凍室60で凍らせて製氷を行った。
氷は、製氷皿idを回転させ、捩じって落下させた。
貯氷容器3bの底面3btの傾斜角度は、傾斜が0度から10度まで1度毎に傾斜板で傾斜を設定した。
図17に示すように、不図示の落下装置で氷を落とす位置は、製氷皿idの後端縁id1が貯氷容器3bの後壁外面3b3から略113mm手前に配置される(従来の落下位置の)場合を前方とする。また、製氷皿idの後端縁id1が貯氷容器3bの後壁外面3b3から略73mm手前に配置される場合を中方とする。また、製氷皿idの後端縁id1が貯氷容器3bの後壁外面3b3から略7mm後方に配置される場合を後方とする。
図18(a)〜(e)は、貯氷容器の底面の傾斜と、氷を落とす位置との関係の検証する際の手順を表わした貯氷容器を示す上面図である。
1.傾斜板を貯氷容器3b内に設置し、氷が溶けないように貯氷容器3b内を充分冷やした。
以上の青氷(新氷)、透明氷(古氷)が落下や移動した場面を分け、場面(a)から場面(e)と称す(図18(a)〜図18(e)参照)。
貯氷容器3bの底面3btの手前側の壁面からの寸法s(図18(a)参照)をとる。手前側の壁面3b1での寸法sは0mmであり、後方側の壁面3b2での寸法sは340mmである。そのため、座標値が大きいほど青氷(新氷)、透明氷(古氷)が後にあることを示す。青氷(新氷)、透明氷(古氷)の略中心の座標位置を取得した。
場面(a)から場面(e)ごとに、3回の試行における古氷(透明氷)と新氷(青氷)の落下位置の平均値と標準偏差を算出した。その際、最小よりの2つの値と、最大よりの2つの値を外れ値として除外した。
場面(c)から場面(e)は、古氷(透明氷)と新氷(青氷)の落下位置で、対応のないt検定を行った。
場面(a)の0度の氷の落下位置と、場面(d)における新氷(青氷)の落下位置で対応のないt検定を行った。
以下の図19〜図30は、横軸を傾斜角度(度)、縦軸(mm)を氷の位置とし、傾斜角度ごとの氷の位置の平均値と標準偏差を表わしたものである。図上の白丸が古氷(透明氷)(始めに落とした氷)の平均値、白抜きバーは標準偏差である。また、図上の黒丸が新氷(青氷)(後に落とした氷)の平均値、ハッチバーは標準偏差である。
図23〜図26は、それぞれ氷の落下位置が中方のときの場面(c)、場面(d)、場面(e)、および場面(d)に3度目に氷が落ちると予想される落下位置の範囲の氷の落下位置を示す図である。
また、場面(c)から場面(e)では、新氷(青氷)と古氷(透明氷)の落下位置の平均値のt検定において、有意水準0.01%未満であったところに、**マークを付し、有意水準0.01%以上0.05%未満であったところに、*マークを付した。
はじめに、場面(c)から場面(e)から、「古い氷が新しくできた氷よりも先に取り出せるか」を考察する。
古氷(透明氷)と新氷(青氷)の落下位置のt検定の結果において、新氷の落下位置と古氷の落下位置に有意差があり、かつ古氷の位置の平均値と標準偏差の幅より手前であったとき、古氷と新氷が分離していると判断することができる。
・落下位置が前方のとき
図19より、傾斜角度が4〜10度では、古氷が新氷より手前にある。t検定の結果より傾斜角度5、6度のとき有意水準0.05%未満、8〜10度のとき有意水準0.01%未満で有意に古氷が新氷(より手前にあり、古氷と新氷とが分離していると言える。
図23より、傾斜角度が4〜10度で古氷が新氷より手前にある。t検定の結果より傾斜角度5〜10度のとき有意水準0.01%未満で有意に古氷が新氷より手前にあり、古氷と新氷とが分離していると言える。
図27より、傾斜角度が4〜10度で古氷が新氷より手前にある。t検定の結果より傾斜角度4〜10度のとき有意水準0.01%未満で有意に古氷が新氷より手前にあり、古氷と新氷とが分離していると言える。
・落下位置が前方のとき
図20より、傾斜角度が5〜10度では、古氷が新氷より手前にある。t検定の結果より傾斜角度6、8、10度のとき有意水準0.01%未満で有意に古氷が新氷より手前にあり、古氷と新氷とが分離していると言える。
図24より、傾斜角度が5〜10度で古氷が新氷より手前にある。t検定の結果より傾斜角度6〜10度のとき有意水準0.01%未満で有意に古氷が新氷より手前にあり、古氷と新氷とが分離していると言える。
図28より、傾斜角度が4〜10度で古氷が新氷より手前にある。t検定の結果より傾斜角度4〜6、8〜10度のとき有意水準0.01%未満で有意に古氷が新氷より手前にあり、古氷と新氷とが分離していると言える。
・落下位置が前方のとき
図21より、傾斜角度が4〜10度では、古氷が新氷より手前にある。t検定の結果より傾斜角度8、10度のとき有意水準0.01%未満で有意に古氷が新氷より手前にあり、古氷と新氷とが分離していると言える。
図25より、傾斜角度が5〜10度で古氷が新氷より手前にある。t検定の結果より傾斜角度5度のとき有意水準0.05%未満であり、傾斜角度6〜10度のとき有意水準0.01%未満で有意に古氷が新氷より手前にあり、古氷と新氷とが分離していると言える。
図29より、傾斜角度が4〜10度で古氷が新氷より手前にある。t検定の結果より傾斜角度4〜10度のとき有意水準0.01%未満で有意に古氷が新氷より手前にあり、古氷と新氷とが分離していると言える。
図18の場面(c)、場面(d)、場面(e)の結果より、前方では8度付近、中方では5〜6度付近、後方では4度付近から10度までで、古氷が手前、新氷が奥に位置し、かつ古氷と新氷とが混ざらずに分離すると考えられる。従って、落下位置が後方になるほど少ない傾斜角度で古氷が手前、新氷が奥に位置し、かつ古氷と新氷とが混ざらずに分離していると言える。
次に、図22、図26、図30から、図18の場面(d)+3度目に氷が落ちると予想される範囲より、「3度目に落した氷が2度目に落した氷よるも奥に落ちるか」について考察する。
図22より、図18の場面(d)+3度目に氷が落ちると予想される範囲より、t検定の結果、傾斜角度が5度のとき有意水準0.05%未満で、かつ、6、8〜10度のとき有意水準0.01%未満で、予想される3度目に落下する氷が新氷より有意に奥にあると言える。
図26より、図18の場面(d)+3度目に氷が落ちると予想される範囲より、t検定の結果、傾斜角度が7度のとき有意水準0.05%未満で、かつ、4〜6、8〜10度のとき有意水準0.01%未満で、予想される3度目に落下する氷が新氷より有意に奥にあると言える。
図30より、図18の場面(d)+3度目に氷が落ちると予想される範囲より、t検定の結果、傾斜角度が4〜10度のとき有意水準0.01%未満で、予想される3度目に落下する氷が新氷より有意に奥にあると言える。
図31は、貯氷容器の底面の傾斜角度と貯氷容器内の貯氷の個数の変化を示すグラフである。
図31では、貯氷容器3bの底面3btの傾斜角度0度で何個の氷が入るかを実際に求めた。そして、貯氷容器3bの底面3btの傾斜角度に従って貯氷容器3bの容積をそれぞれ算出し、底面3btの傾斜角度毎の貯氷容器3bの容積に応じて何個の氷が入るかを算出したものである。
図31より、底面3btに1度の傾斜を付けると貯氷個数が約9個減少することが分る。
1.氷の落下位置を後方に移動させることにより、古氷が新氷より手前にあるようにする場合、必要な貯氷容器3bの底面3btの傾斜角度が小さくできる。そのため、製氷皿idにできた氷を貯氷容器3b内に落下させることができる最も後方の位置に配置するとよい。製氷皿idにできた氷を貯氷容器3b内に落下させることができる最も後方の位置とは、製氷皿idにできた氷を貯氷容器3b内に落下させる場合、氷が貯氷容器3b外に落ちない製氷皿idの最も後方の位置を意味する。
従って、冷蔵庫1の製氷機能が向上し、貯氷容器から氷ができた順に取り出せる使い勝手が良好な冷蔵庫1を実現できる。
1.前記実施形態では、貯氷容器3bの底面3btを平面の場合を例示したが、傾斜角の曲率を有する面としてもよい。
3b 貯氷容器
3b3 後壁外面
I 自動製氷機(自動製氷装置)
id 製氷皿
id1 後端縁
T 給水タンク
Claims (5)
- 給水タンクに入れられる水から自動製氷装置で氷が作られる製氷皿と、
前記製氷皿内の氷を落下させて貯蔵する引き出し式の貯氷容器とを備え、
前記貯氷容器の底面は、その水平面に対して手前から後方にかけて次第に高くなる5度以上5.5度以下の範囲内の傾斜角度を有する
ことを特徴とする冷蔵庫。 - 給水タンクに入れられる水から自動製氷装置で氷が作られる製氷皿と、
前記製氷皿内の氷を落下させて貯蔵する引き出し式の貯氷容器とを備え、
前記製氷皿は、その後端縁が前記貯氷容器の後壁外面から略113mm手前に位置するように配置される場合、
前記貯氷容器の底面は、該貯氷容器の下面に対して手前から後方にかけて次第に高くなる7.5度以上10度以下の範囲内の傾斜角度を有する面である
ことを特徴とする冷蔵庫。 - 給水タンクに入れられる水から自動製氷装置で氷が作られる製氷皿と、
前記製氷皿内の氷を落下させて貯蔵する引き出し式の貯氷容器とを備え、
前記製氷皿は、その後端縁が前記貯氷容器の後壁外面から略73mm手前に位置するように配置される場合、
前記貯氷容器の底面は、該貯氷容器の下面に対して手前から後方にかけて次第に高くなる5度以上10度以下の範囲内の傾斜角度を有する面である
ことを特徴とする冷蔵庫。 - 給水タンクに入れられる水から自動製氷装置で氷が作られる製氷皿と、
前記製氷皿内の氷を落下させて貯蔵する引き出し式の貯氷容器とを備え、
前記製氷皿は、その後端縁が前記貯氷容器の後壁外面から略7mm後方に位置するように配置される場合、
前記貯氷容器の底面は、該貯氷容器の下面に対して手前から後方にかけて次第に高くなる4度以上10度以下の範囲内の傾斜角度を有する面である
ことを特徴とする冷蔵庫。 - 給水タンクに入れられる水から自動製氷装置で氷が作られる製氷皿と、
前記製氷皿内の氷を落下させて貯蔵する引き出し式の貯氷容器とを備え、
前記製氷皿にできた氷を前記貯氷容器内に落下させることができる最も前方の位置と最も後方の位置の少なくとも中間より後方側に前記製氷皿が配置され、
前記貯氷容器の底面は、その水平面に対して手前から後方にかけて次第に高くなる5度以上5.5度以下の範囲内の傾斜角度を有する
ことを特徴とする冷蔵庫。
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