JP6443157B2 - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Description
この従来のハイブリッド車両の制御装置は、EVモードで走行中に、アクセルペダルの踏み増しなどのエンジンの始動要求があった場合、モータの駆動力によりエンジンをクランキングして、エンジンを始動する。
例えば、運転者が加速操作を行ってエンジンを始動した直後に、目前の信号が赤に変わって運転者が減速操作を行った場合、エンジンを始動したにも拘らず、すぐにエンジンを停止して、モータを回生させる必要がある。この場合、エンジンの始動に伴うHEVモードへの移行が不要であり、結果的に無駄な燃料消費が生ずることになる。
このように、エンジンの始動要求の直後にエンジンを始動した場合、不要なエンジン始動により燃料を余計に消費することがあり、この場合、ハイブリッド車両の燃費が低下するという問題があった。
エンジンとモータとの駆動力により走行するHEVモードと、モータのみの駆動力により走行するEVモードと、を切り替えるコントローラを備えている。
このコントローラは、EVモードでの走行中において、運転者の要求出力が、予め設定された第1HEV遷移閾値以上で、かつHEV切替待機時間以上続いた場合に、EVモードからHEVモードに切り替える。
したがって、本発明は、不要なエンジン始動が減るため、燃費向上を図ることが可能となる。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置の構成を説明する。
実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、左右前輪を駆動輪とし、変速機としてベルト式無段変速機(CVT)を搭載したFFハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例であり、以下、単にハイブリッド車両と称する)に適用したものである。
以下、実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置の構成を、「ハイブリッド車両の全体システム構成」、「ハイブリッド車両の制御系」[統合コントローラによる制御] [EVモードとHEVモードへの切替制御]に分けて説明する。
図1は、実施の形態1の制御装置が適用されたハイブリッド車両の全体システムを示す。以下、図1に基づいて、ハイブリッド車両の全体システム構成を説明する。
なお、このモータジェネレータMGと強電バッテリBATとの間には、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換するインバータINVが介在されている。
メインオイルポンプMOPは、モータジェネレータMGのモータ軸(=変速機入力軸)により回転駆動される。また、サブオイルポンプSOPは、内蔵のモータにより駆動され、主に潤滑冷却用油を作り出す補助ポンプとして用いられる。
第1クラッチソレノイドバルブ111および第2クラッチソレノイドバルブ112は、それぞれ、油圧源からのポンプ吐出圧を調圧することで生成したライン圧PLを元圧とし、そのストローク量に基づいて第1クラッチ圧および第2クラッチ圧を形成する。
変速制御ソレノイドバルブ113は、ライン圧PLを元圧とし、そのストローク量によりプライマリ圧とセカンダリ圧を作り出すもので、複数のソレノイドバルブから構成されている。
「HEVモード」は、両クラッチCL1,CL2を締結してエンジンEngとモータMGを駆動源に有するハイブリッド車モードである。
「WSCモード」は、「HEVモード」において、モータMGを回転数制御し、第2クラッチCL2を要求駆動力相当の締結トルク容量にてスリップ締結するCL2スリップ締結モードである。この「WSCモード」は、「HEVモード」での停車からの発進域や低速からの停車域において、エンジンアイドル回転数以上で回転するエンジンEngと左右前輪FL,FRの回転差を、CL2スリップ締結により吸収するために選択される。なお、「WSCモード」が必要な理由は、駆動系にトルクコンバータのような回転差吸収継手を持たないことによる。
次に、ハイブリッド車両の制御系について説明する。
このハイブリッド車両の制御系は、インバータINVと、強電バッテリBATと、統合コントローラ10と、変速機コントローラ11と、クラッチコントローラ12と、エンジンコントローラ13と、モータコントローラ14と、バッテリコントローラ15と、ACコントローラ16と、を備えている。尚、本実施の形態においては、各種コントローラを個別に備えて制御系を構成しているが、1つのコントローラにまとめて制御系を構成するようにしても良い。
強電バッテリBATは、モータジェネレータMGの電源として搭載された二次電池であり、例えば、多数のセルにより構成したセルモジュールを、バッテリパックケース内に設定したリチウムイオンバッテリが用いられる。尚、本実施の形態では、リチウムイオンに限らず、ニッケル水素電池などの蓄電手段であっても良い。
また、この統合コントローラ10は、メインオイルポンプMOPの吐出流量と、サブオイルポンプSOPの吐出流量、ライン圧PLの制御を行う。
そして、ライン圧PLからプライマリプーリに供給する油圧と、セカンダリプーリに供給する油圧を作り出した際に生じた余剰圧は、第1クラッチCL1や第2クラッチCL2の冷却や潤滑に回される。
次に、統合コントローラ10による制御について簡単に説明する。
統合コントローラ10は、図2に示すように、目標駆動トルク演算部100と、モード切替部200と、目標充放電出力演算部300と、動作点指令部400と、を備えている。
次に、モード切替部200による運転モードの切替制御について詳細に説明する。
本実施の形態1では、モード切替部200は、図3に示すように、目標駆動パワー演算部210と、遷移判定用SOC演算部220と、遷移判定閾値演算部230と、待機時間演算部240と、EV/HEV遷移判定部250と、を備えている。
このバッテリSOC変換マップでは、遷移判定用SOCを、中間領域では、実バッテリSOCの上昇時と下降時とでヒステリシスを与えた一定値に変換し、EVモードとHEVモードとのモード遷移ハンチングが生じるのを抑えるようにしている。
EV→HEV遷移線およびEV→HEV即遷移線は、EVモード走行時にHEVモードへの遷移の判定に用いる閾値である。すなわち、目標駆動パワー(kW)および制御用バッテリSOCが、EV→HEV遷移線とEV→HEV即遷移線とのいずれかを下から上に横切れば、運転モードをEVモードからHEVモードへ遷移と判定する。
HEV→EV遷移線およびHEV→EV即遷移線は、HEVモード走行時にEVモードへの遷移の判定に用いる閾値である。すなわち、目標駆動パワー(kW)および制御用バッテリSOCが、HEV→EV遷移線とHEV→EV即遷移線とのいずれかを上から下に横切れば、運転モードをHEVモードからEVモードへ遷移と判定する。
したがって、EV→HEV遷移線に対して後述するエアコン給電量ACkWに応じ補正を行ってシフトした場合、EV→HEV即遷移線、HEV→EV遷移線、HEV→EV即遷移線も、EV→HEV遷移線と同様の補正量だけシフトする。
すなわち、目標駆動パワーおよびバッテリSOCが、EV→HEV即遷移線を、下から上へ横切った場合には、即座にHEVモードに遷移と判定する。
なお、HEV切替待機時間timer1は、数秒であり、例えば、2秒としている。また、HEV切替待機時間timer1は、本発明に係る実施例を限定するものではなく、固定値や可変値としても良く、例えばバッテリSOCにより可変するものとしても良い。
つまり、遷移判定閾値演算部230は、強電バッテリBATから電動コンプレッサ71への給電状態に基づいて、給電量が相対的に多い場合は、給電量が相対的に少ない場合よりもHEVモードへの遷移を促進する側の値に補正するために各遷移線を低い値に設定する。
待機時間演算部240は、上述したHEV切替待機時間およびEV切替待機時間を演算する。すなわち、待機時間演算部240には、予めHEV切替待機時間およびEV切替待機時間の初期値が与えられている。そして、これらHEV切替待機時間およびEV切替待機時間は、バッテリ残量が低いほど、短く設定する。
このEV/HEV遷移判定部250は、目標駆動パワー条件遷移判定部251と、車速条件遷移判定部252と、アクセル開度条件遷移判定部253と、最終遷移判定部254と、を備えている。
すなわち、車速条件遷移判定部252は、図6に示すように、予め設定したEV→HEV遷移車速閾値と、このEV→HEV遷移車速閾値に対してヒステリシスを与えてこれよりも低い値に設定したHEV→EV遷移車速閾値とを備えている。
なお、本制御有効では、目標駆動パワー条件遷移判定部251の判定結果がHEVモード、EVモードのいずれの場合も有効とする。一方、本制御無効では、EVモードへの遷移を禁止するフラグを立てず、EVモードへの遷移判定は常に有効とする一方、HEVモードへの遷移判定は無効とする。
なお、HEV→EV遷移APO閾値も、バッテリSOCが低下するほど、低い値に補正してもよい。また、EV→HEV遷移APO閾値と、このEV→HEV遷移APO閾値に対してヒステリシスを与えてこれよりも低い値に設定したHEV→EV遷移APO閾値とを備えてもよい。
まず、ステップS101では、目標駆動トルクtTd、オイルポンプ仕事量、実バッテリSOC、エアコン給電量ACkW、車速VSP、アクセル開度APOを読み込み、ステップS102に進む。
ステップS104では、ステップS103において決定した運転モードを形成する制御を実行する。すなわち、現在EVモードであってHEVモード遷移と決定した場合には、エンジンEngを始動するとともに、第1クラッチCL1を締結してHEVモードに遷移する。また、現在HEVモードであってEVモード遷移と決定した場合には、第1クラッチCL1を解放するとともに、エンジンEngの駆動を停止してEVモードに遷移する。
まず、ステップS201では、目標駆動パワー、遷移判定用SOC、各遷移線、各切替待機時間timer1,timer2を読み込み、ステップS202に進む。
なお、経過時間がHEV切替待機時間timer1以上の場合に進むステップS206では、運転モードをHEVモードと判定する。
次に、実施の形態1の作用を、図10、図11のタイムチャートに基づいて説明する。
まず、図10に基づいてEVモードからHEVモードへの遷移の際の作用効果を説明する。
このタイムチャートは、t00〜t10までは、車両停止状態であり、t10の時点からアクセルペダル(図示省略)を踏み込んで発進し、走行を開始した場合の動作例を示している。
そして、t11の時点で、目標駆動パワーがEV→HEV遷移線以上となり、この時点では、経過時間の計測を開始するだけでHEVモードに遷移することなくEVモードを維持する。なお、以上の処理は、ステップS201→S202→S203→S204→S207→S205の流れの処理に基づく。
このような運転操作は、例えば、運転者に加速意図があって加速を開始した直後に、例えば、脇道から先行車両が入って来るなどの加速を中断せざるを得ない状態となった場合に実行されることがある。そして、加速を中断し、図示のように、減速を行った場合、モータMGは、回生作動を行う。
このため、不要なエンジン始動と、電気エネルギー欠損分の発電とにより燃料を余計に消費し、燃費低下を招く。加えて、エンジン始動直後に上記回生モードに移行する場合は、エンジンEngとモータMGとの間の駆動力伝達経路の断接やモータ回転数の調整が必要になるため、回生を瞬時に実行できず、十分な電気エネルギーを回収できない。
さらに、t21の時点で、目標駆動パワーがEV→HEV遷移線以上となり、HEV切替待機時間timer1の経過を計測するタイマのカウントを開始する。
よって、常に、目標駆動パワーがEV→HEV遷移線以上となった後にHEV切替待機時間timer1が経過するまでHEVモードへの遷移を待機するものと比較して、運転者に違和感のない加速感を与えることが可能である。
このタイムチャートは、t30の時点においてHEVモードで走行しており、かつ、図示を省略したアクセルペダルを踏み込んだ状態で、アクセル開度APOを増減させながら走行している状態の動作を示している。なお、このような走行は、例えば、有る程度の通行量が多く、前走車両との車間が開いたり狭まったりするのに対応して速度調整を行いながら走行する場合が想定される。
なお、このとき、車速条件遷移判定部252およびアクセル開度条件遷移判定部253は、車速VSPおよびアクセル開度APOに基づいてEV遷移許可と判定している。
この比較例では、目標駆動パワーがHEV→EV遷移線以下に低下したt31の時点で、EVモードへ遷移させる。このため、エンジンEngを停止させる制御を開始し、エンジン回転数NEは、図において点線により示すように、t31の時点の直後に低下する。
以下に、実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置の効果を列挙する。
1)実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
エンジンEngとモータMGとによる動力源と、
運転者からの要求出力を検出する要求出力検出装置としての目標駆動トルク演算部100と、
要求出力に応じて、エンジンEngとモータMGとの駆動力により走行するHEVモードと、モータMGのみの駆動力により走行するEVモードとを切り替える統合コントローラ10と、
を備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、EVモードでの走行中に、要求出力としての目標駆動パワーがHEVモードへの切替基準とする第1HEV遷移閾値としてのEV→HEV遷移線以上で、且つEV→HEV遷移線以上の要求出力がHEV切替待機時間timer1以上続いた場合に、HEVモードに切り替えることを特徴とする。
したがって、EVモード時に、運転者が、加速操作を行った直後に減速操作を行った場合のように、目標駆動パワーがEV→HEV遷移線以上となりHEV切替待機時間timer1の経過前にEV→HEV遷移線未満となった際は、HEVモードに遷移しない。
よって、目標駆動パワーがEV→HEV遷移線以上となったら即座にHEVモードに遷移させるものと比較して、無駄なエンジンEngの始動を減らし、始動に伴う燃料消費や運転者に与える違和感を抑制することが可能である。
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、強電バッテリBATの残量(バッテリSOC)が低いほどEV→HEV遷移線を低く設定することを特徴とする。
したがって、強電バッテリBATの残量(バッテリSOC)が低いほど、エンジンEngを駆動させるHEVモードへ遷移し易くなり、強電バッテリBATへの充電を実行し易くして、残量(バッテリSOC)不足になりにくくすることができる。
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、目標駆動パワーが前記EV→HEV遷移線より大きい第2HEV遷移閾値としてのEV→HEV即遷移線以上の場合に、即座に前記HEVモードに切り替えることを特徴とする。
したがって、上記1)のようにHEV切替待機時間timer1を設定していても、運転者の要求駆動力が高い場合などのエンジン始動要求が高い状況では、即座に確実にエンジンEngの始動を行うことができる。
よって、上記1)のように目標駆動パワーがEV→HEV遷移線以上となった後にHEV切替待機時間timer1が経過するまでHEVモードへの遷移を待機することを常に行うものと比較して、運転者に違和感のない加速感を与えることが可能である。
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、強電バッテリBATの残量が低いほどEV→HEV即遷移線を低く設定することを特徴とする。
したがって、強電バッテリBATの残量(バッテリSOC)が低いほど、エンジンEngを駆動させるHEVモードへ遷移し易くなり、強電バッテリBATへの充電を実行し易くして、バッテリ残量(バッテリSOC)不足になりにくくすることができる。
モータMGに電力供給を行う強電バッテリBATからの給電により車内温度を調整する電動エアコン70をさらに備え、
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、電動エアコン70への給電電力に応じて、目標駆動パワーとEV→HEV遷移線との少なくとも一方を補正することを特徴とする。
すなわち、本実施の形態1では、EV→HEV遷移線を、電動エアコン70への給電量の分だけ低く補正するようにした。
したがって、強電バッテリBATからの放電電力が相対的に大きい場合には、HEVモードへの遷移を相対的に促進し、強電バッテリBATの過大な電力消費を抑えることができる。加えて、エンジン始動判定の適正化を図ることで、過剰な燃料消費を抑えることが可能となる。
なお、目標駆動パワーとEV→HEV遷移線との少なくとも一方の値を、EVモードからHEVモードへの遷移を促進する側の値に補正するのにあたり、エアコン給電量ACkW分を、目標駆動パワーに上乗せしてもよい。また、強電バッテリBATの電力を消費する機器が他にも存在する場合、目標駆動パワーとEV→HEV遷移線を給電量に応じて変更するのにあたり、この電力消費機器への給電量をさらに加えてもよい。
モータMGに電力供給を行う強電バッテリBATからの給電により車内温度を調整する電動エアコン70をさらに備え、
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、電動エアコン70への給電電力に応じて、目標駆動パワー、EV→1HEV遷移線及びEV→HEV即遷移線の少なくとも何れかを補正することを特徴とする。
したがって、上記5)と同様に、強電バッテリBATからの放電電力が相対的に大きい場合には、HEVモードへの遷移を相対的に促進し、強電バッテリBATの過大な電力消費を抑えることができる。加えて、エンジン始動判定の適正化を図ることで、過剰な燃料消費を抑えることが可能となる。
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、強電バッテリBATの残量(バッテリSOC)が低いほどHEV切替待機時間timer1を短く設定することを特徴とする。
したがって、目標駆動パワーがEV→HEV遷移線以上となってからエンジン始動を行うまでのHEV切替待機時間timer1を設定していても、強電バッテリBATの残量(バッテリSOC)が低いほど、エンジンEngを始動させやすくなる。よって、エンジンEngの駆動による強電バッテリBATの充電を行い易くして、バッテリ残量(バッテリSOC)不足になりにくくすることができる。
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、HEVモード走行中において、目標駆動パワーが、EVモードへの切替基準とする第1EV遷移閾値としてのHEV→EV遷移線以下で、且つHEV→EV遷移線以下の目標駆動パワーがEV切替待機時間timer2以上続いた場合に、EVモードに切り替えることを特徴とする。
したがって、HEVモードで運転者が減速を行った直後に加速操作を行った場合のように、目標駆動パワーがHEV→EV遷移線以下となった後、EV切替待機時間timer2の経過前にHEV→EV遷移線よりも大きくなった際は、EVモードに遷移しない。
よって、目標駆動パワーがHEV→EV遷移線以下となって即座にEVモードに遷移させるものと比較して、エンジン停止要求の判定精度を高め、無駄なエンジンEngの始動頻度を減らし、始動に伴う燃料消費や運転者に違和感を与えることを抑制可能である。
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、強電バッテリBATの残量(バッテリSOC)が低いほどHEV→EV遷移閾線を低く設定することを特徴とする。
強電バッテリBATの残量が低いほど、エンジンEngによる発電要求は高い。したがって、強電バッテリBATの残量(バッテリSOC)が低いほどHEV→EV遷移閾値を低くすることで、HEVモードの維持傾向が高まり、エンジン駆動時間が長くなる。よって、より多くの発電量を確保することができる。
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、HEVモード走行中において、目標駆動パワーが、HEV→EV遷移閾線よりも小さい第2EV遷移閾値としてのHEV→EV即遷移線以下の場合は、即座にEVモードに切り替えることを特徴とする。
このように、エンジンEngを即座に停止させHEV→EV即遷移線を設定することにより、エンジンEngの停止要求が高い運転状況では、エンジンEngを即座に停止でき、エンジン停止判定精度を高めることができる。
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、強電バッテリBATの残量が低いほどHEV→EV即遷移線を低くい値に設定することを特徴とする。
すなわち、強電バッテリBATの残量が低いほど、エンジンEngによる発電要求は高い。したがって、強電バッテリBATの残量(バッテリSOC)が低いほどHEV→EV遷移閾値を低くすることで、HEVモードの維持傾向が高まり、エンジン駆動時間が長くなる。よって、より多くの発電量を確保することができる。
モータMGに電力供給を行う強電バッテリBATからの給電により車内温度を調整する電動エアコン70をさらに備え、
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、電動エアコン70への給電電力に応じて、目標駆動パワーとHEV→EV遷移閾線との少なくとも一方を補正することを特徴とする。
すなわち、本実施の形態1では、HEV→EV遷移閾線とHEV→EV即遷移線、電動エアコン70への給電量の分だけ低く補正するようにした。
したがって、強電バッテリBATからの放電電力が相対的に大きい場合には、HEVモードへの遷移を相対的に促進し、強電バッテリBATの過大な電力消費を抑えることができる。加えて、エンジン始動判定の適正化を図ることで、過剰な燃料消費を抑えることが可能となる。
なお、目標駆動パワーとEV→HEV遷移線との少なくとも一方の値を、EVモードからHEVモードへの遷移を促進する側の値に補正するのにあたり、エアコン給電量ACkW分を、目標駆動パワーに上乗せしてもよい。また、強電バッテリBATの電力を消費する機器が他にも存在する場合、目標駆動パワーとEV→HEV遷移線を給電量に応じて変更するのにあたり、この電力消費機器への給電量をさらに加えてもよい。
モータMGに電力供給を行う強電バッテリBATからの給電により車内温度を調整する電動エアコン70をさらに備え、
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、電動エアコン70への給電電力に応じて、目標駆動パワー、HEV→EV遷移閾線、HEV→EV即遷移閾線の少なくとも何れかを補正することを特徴とする。
したがって、上記12)と同様に、強電バッテリBATからの放電電力が相対的に大きい場合には、HEVモードへの遷移を相対的に促進し、強電バッテリBATの過大な電力消費を抑えることができる。加えて、エンジン始動判定の適正化を図ることで、過剰な燃料消費を抑えることが可能となる。
統合コントローラ10のEV/HEV遷移判定部250は、強電バッテリBATの残量が低いほど、EV切替待機時間timer2を長く設定することを特徴とする。
強電バッテリBATの残量が低いほど、エンジンEngによる発電要求は高い。したがって、強電バッテリBATの残量(バッテリSOC)が低いほどEV切替待機時間timer2を長く設定することで、HEVモードの維持傾向が高まり、エンジン駆動時間が長くなる。よって、より多くの発電量を確保することができる。
また、実施の形態では、モータとして、力行と回生とが可能なモータジェネレータを示したが、これに限定されず、力行のみが可能なモータを用いてもよい。
また、実施の形態では、変速機として無段変速機を用いた例を示したが、変速機としては、無段変速機に限らず、手動、自動の他の変速機を用いてもよい。
また、第2HEV遷移閾値としてのEV→HEV即遷移線と駆動パワーとの関係についても同様である。すなわち、給電量相当を駆動パワーに上乗せしてもよいし、EV→HEV即遷移線を給電量に応じて低下させてもよい。
さらに、第1EV遷移閾値、第2EV遷移閾値としてのHEV→EV遷移線、HEV→EV即遷移線と駆動パワーとの関係についても同様である。すなわち、給電量相当を駆動パワーに上乗せしてもよいし、HEV→EV遷移線、HEV→EV即遷移線を給電量に応じて低下させてもよい。
70 電動エアコン
71 電動コンプレッサ
250 EV/HEV遷移判定部
BAT 強電バッテリ
Eng エンジン
MG モータジェネレータ(モータ)
timer1 HEV切替待機時間
timer2 EV切替待機時間
Claims (14)
- エンジンとモータとによる動力源と、
運転者からの要求出力を検出する要求出力検出装置と、
前記要求出力に応じて、前記エンジンと前記モータとの駆動力により走行するHEVモードと、前記モータのみの駆動力により走行するEVモードとを切り替えるコントローラと、
を備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
前記コントローラは、前記EVモードでの走行中に、前記要求出力が前記HEVモードへの切替基準とする第1HEV遷移閾値以上で、且つ前記第1HEV遷移閾値以上の前記要求出力がHEV切替待機時間以上続いた場合に、前記HEVモードに切り替え、
また、前記モータに電力供給を行う強電バッテリの残量がEV下限値よりも低い領域では、強制的にHEVモードとし、
さらに、前記EV下限値と、前記EV下限値よりも高い値のバッテリ残量閾値と、の間の領域では、前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリの残量が低いほど前記第1HEV遷移閾値を低く設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリの残量が、前記バッテリ残量閾値よりも高い領域では、前記第1HEV遷移閾値を一定値とすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記要求出力が前記第1HEV遷移閾値より大きく設定された第2HEV遷移閾値以上の場合に、即座に前記HEVモードに切り替えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記EV下限値と、前記バッテリ残量閾値と、の間の領域では、前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリの残量が低いほど前記第2HEV遷移閾値を低く設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリからの給電により車内温度を調整する電動エアコンをさらに備え、
前記コントローラは、前記電動エアコンへの給電電力に応じて、前記要求出力と前記第1HEV遷移閾値との少なくとも一方を補正するものであって、前記要求出力が前記第1HEV遷移閾値以上か否かを判定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項3もしくは請求項4に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリからの給電により車内温度を調整する電動エアコンをさらに備え、
前記コントローラは、前記電動エアコンへの給電電力に応じて、前記要求出力、前記第1HEV遷移閾値、及び前記第2HEV遷移閾値の少なくとも何れかを補正するものであって、前記要求出力が前記第1HEV遷移閾値もしくは前記第2HEV遷移閾値以上か否かを判定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリの残量が低いほど前記HEV切替待機時間を短く設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記HEVモード走行中において、前記要求出力が、前記EVモードへの切替基準とする第1EV遷移閾値以下で、且つ前記第1EV遷移閾値以下の要求出力がEV切替待機時間以上続いた場合に、前記EVモードに切り替え、
また、前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリの残量がEV下限値よりも低い領域では、強制的にHEVモードとし、
さらに、前記EV下限値と、前記EV下限値よりも高い値のバッテリ残量閾値と、の間の領域では、前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリの残量が低いほど前記第1EV遷移閾値を低く設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項8に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリの残量が、前記バッテリ残量閾値よりも高い領域では、前記第1EV遷移閾値を一定値とすることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項8または請求項9に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記HEVモード走行中において、前記要求出力が、前記第1EV遷移閾値よりも小さい第2EV遷移閾値以下の場合は、即座にEVモードに切り替えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項10に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリの残量が低いほど前記第2EV遷移閾値を低くい値に設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項8または請求項9に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリからの給電により車内温度を調整する電動エアコンをさらに備え、
前記コントローラは、前記電動エアコンへの給電電力に応じて、前記要求出力と前記第1EV遷移閾値との少なくとも一方を補正するものであって、前記要求出力が前記第1EV遷移閾値以下か否かを判定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項10または請求項11に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリからの給電により車内温度を調整する電動エアコンをさらに備え、
前記コントローラは、前記電動エアコンへの給電電力に応じて、前記要求出力、前記第1EV遷移閾値、及び前記第2EV遷移閾値の少なくとも何れかを補正するものであって、前記要求出力が前前記第1EV遷移閾値もしくは前記第2EV遷移閾値以上か否かを判定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記モータに電力供給を行う前記強電バッテリの残量が低いほど、前記EV切替待機時間を長く設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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