JP6442968B2 - 積層体への貫通孔の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体への貫通孔の形成方法、及び積層体の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、及び多機能化が一段と進み、これに伴い、複数のLSI(Large Scale Integration)からなるシステムを1つのパッケージに収める、システムインパッケージ(SiP:System in Package)技術と3次元実装技術とを組み合わせた3次元SiP技術の開発が進められている。
SiP等の高密度実装においては、従来のワイヤーボンディング技術では、微細なピッチに対応することが困難であることから、貫通電極を用いたインターポーザと呼ばれる中継基板が必要となる。該インターポーザには、高い精度で貫通孔を形成することできる加工性と、実装時の信頼性を高める観点から、優れた形状安定性とが要求されている。
インターポーザとしては、ガラスエポキシ樹脂基板、ポリイミド基板等の有機基板、シリコン等のセラミック基板などが用いられてきた。
樹脂基板は、コストが低く、その加工方法(例えば、特許文献1)が確立されつつある点で有利である。しかしながら、従来から用いられてきた樹脂基板は、剛性が低く、寸法安定性にも劣るため、その製造過程において反り等の変形が生じる場合があった。該反りの発生は、インターポーザに貫通孔を形成する際の位置決め精度を悪化させると共に、得られる半導体パッケージの信頼性を損なう原因ともなり得るため、改善が望まれていた。
一方、セラミック基板は形状安定性に優れるものの、コスト面で不利であり、汎用性に劣るという問題があった。
上記のような背景から、積層体の構成部材として、絶縁性のガラス基板を用いる検討が行われている(例えば、特許文献2〜3参照)。ガラス基板は、剛性が高く、寸法安定性に優れることから、反り等の変形を効果的に抑制することができると共に、コスト面でも有利であり、インターポーザとして好適である。
特開2008−198922号公報 国際公開第2013/042748号 特開2014−093406号公報
しかしながら、ガラス基板は樹脂と比較すると、脆く割れ易いため、加工性に劣り、樹脂基板と同様の条件でレーザー光を照射しても、微細な貫通孔を高い精度で形成することは困難であった。
また、ガラス基板の厚みが厚くなると、レーザー光の入射側と出射側とで、貫通孔径の差が大きくなり、貫通孔の形状が、テーパー形状になる問題が生じる。これにより、貫通孔への導電物質の充填性が悪くなったり、その後の加工時において、衝撃による割れ、クラック等が生じ易くなることがあった。
また、上記の問題に対処するため、ガラス基板の表面に樹脂組成物層を積層してガラス基板の強度を向上させる方法が考えられる。しかしながら、ガラス基板と樹脂組成物層は、加工性が大きく異なるため、貫通孔形成時に、樹脂組成物層がガラス基板層より大きく加工されてしまい、貫通孔の壁面に段差が生じる場合があった。該段差は、貫通孔内に導電物質を充填する際に、導電膜の一部が剥がれる原因となると共に、導電物質を完全に充填した際に基板表面の粗さが大きくなるため、信頼性が低下する原因ともなる。
本発明は、ガラス基板層と樹脂組成物層とを有する積層体に、ガラス基板層と樹脂組成物層との加工形状の差、及びテーパーの度合いが小さい貫通孔を形成することができる、積層体への貫通孔の形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく検討を進めた結果、下記本発明により当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[6]を提供する。
[1]1層以上の樹脂組成物層及び1層以上のガラス基板層を有する積層体への貫通孔の形成方法であって、積層体の一方の面に、コンフォーマルマスクとして開口部を有する金属膜を設ける工程と、該開口部内に露出する積層体にレーザー光を照射する工程とを有する、積層体への貫通孔の形成方法。
[2]前記ガラス基板層の厚さが、20〜200μmである、上記[1]に記載の積層体への貫通孔の形成方法。
[3]前記金属膜が、銅である、上記[1]又は[2]に記載の積層体への貫通孔の形成方法。
[4]前記金属膜の厚さが、1〜200μmである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体への貫通孔の形成方法。
[5]前記レーザーが、COレーザーである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体への貫通孔の形成方法。
[6]1層以上の樹脂組成物層及び1層以上のガラス基板層を有する積層体の製造方法であって、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体への貫通孔の形成方法により、貫通孔を形成する工程を有する、積層体の製造方法。
本発明によれば、ガラス基板層と樹脂組成物層とを有する積層体に、ガラス基板層と樹脂組成物層との加工形状の差、及びテーパーの度合いが小さい貫通孔を形成することができる、積層体への貫通孔の形成方法を提供することができる。
テーパーの度合いを示す模式図である。 実施例1で形成された貫通孔の光学顕微鏡写真((a)入射側、(b)出射側)である。 実施例2で形成された貫通孔の光学顕微鏡写真((a)入射側、(b)出射側)である。 比較例1で形成された貫通孔の光学顕微鏡写真((a)入射側、(b)出射側)である。
[積層体への貫通孔の形成方法]
本発明の方法は、1層以上の樹脂組成物層及び1層以上のガラス基板層を有する積層体への貫通孔の形成方法であって、積層体の一方の面に、コンフォーマルマスクとして開口部を有する金属膜を設ける工程と、該開口部内に露出する積層体にレーザー光を照射する工程とを有することを特徴とする。
<積層体>
本発明の方法に用いる積層体は、1層以上の樹脂組成物層及び1層以上のガラス基板層を有する積層体である。
なお、本明細書において、「積層体」とは、積層体を構成する樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含有する場合、該熱硬化性樹脂が未硬化、半硬化又は全硬化しているもの全てを意味する。
(ガラス基板層)
ガラス基板層を構成するガラス基板としては、積層体の薄型化と優れた加工性とを両立する観点から、20〜200μmのガラスフィルムが好ましい。
ガラスフィルムの厚さは、用途に応じて適宜選択することができ、例えば、取り扱いの容易性等の実用性の観点からは、より好ましくは50〜200μm、さらに好ましくは75〜200μm、特に好ましくは120〜200μmである。また、積層体の薄型化の観点からは、より好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは20〜120μm、特に好ましくは20〜90μmである。
ここで、ガラス基板層の厚さとは、ガラス基板層の平均の厚さを指す。ガラス基板層の平均の厚さは、マイクロメーター、膜厚測定器等の公知の厚さ測定機器を使用して測定することができる。例えば、長方形又は正方形のガラス基板層の場合は、4角及び中央の厚さを、マイクロメーターを使用して測定し、その平均値をガラス基板層の平均の厚さとして求めることができる。
ガラス基板の素材としては、ケイ酸アルカリ系ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラスを使用することができる。
ガラス基板層の熱膨張率は、シリコンチップの熱膨張率(3ppm/℃程度)に近いほど、積層体の反りが抑制されるため好ましい。具体的には、ガラス基板層の熱膨張率は、好ましくは8ppm/℃以下、より好ましくは6ppm/℃以下、さらに好ましくは4ppm/℃以下である。
ガラス基板層の40℃における動的貯蔵弾性率は、大きいほど好ましい。具体的には、ガラス基板層の40℃における動的貯蔵弾性率は、好ましくは20GPa以上、より好ましくは25GPa以上、さらに好ましくは30GPa以上である。
(樹脂組成物層)
本発明に用いる樹脂組成物層は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を含有する樹脂組成物からなる(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)。
樹脂組成物層の厚さは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは5〜100μmである。樹脂組成物層の厚さが5μm以上であると、積層体の割れが抑制され、200μm以下であると、相対的にガラス基板層の厚さが大きくなるため、積層体の低熱膨張率化及び高弾性率化が可能となる。
〔熱硬化性樹脂〕
熱硬化性樹脂としては特に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、成形性及び電気絶縁性に優れる点から、エポキシ樹脂及びシアネート樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。また、これらエポキシ樹脂にリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂が挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び難燃性の点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して使用できる。
〔熱可塑性樹脂〕
熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、積層体の耐熱性を向上させる観点から、耐熱樹脂が好ましい。また、同様の観点から、熱硬化性樹脂と耐熱樹脂とを併用することがより好ましい。
〔耐熱樹脂〕
耐熱樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、及びこれらの何れかの樹脂の化学構造を有する共重合体等が挙げられる。これらは、例えば、シロキサン骨格、ポリブタジエン骨格等を含んでいてもよく、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂のエポキシ基)と反応するフェノール性水酸基、アミド基等を含有していてもよい。これらの中でも、ガラス接着性を確保する観点から、シロキサン骨格を有するポリアミドイミド樹脂が好ましい。これらの耐熱樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
耐熱樹脂は、JIS(日本工業規格)K7127に記載の方法に従って決定される破断伸度が10%以上であり、50℃での弾性率が1GPa以下であり、且つガラス転移温度が160℃以上である樹脂が好ましい。
なお、ガラス転移温度が分解温度よりも高く、実質、ガラス転移温度が観測されない場合も、本発明にいう「ガラス転移温度が160℃以上である」の定義内に含めるものとし、分解温度とはJIS K7120に記載の方法に従って測定される質量減少量が5%となる温度で定義される。
耐熱樹脂の具体例としては、日本化薬(株)製の可溶性ポリアミド「BPAM−01」及び「BPAM−155」、新日本理化(株)製の可溶性ポリイミド「リカコ−ト(登録商標)SN20」及び「リカコート(登録商標)PN20」、日本GEプラスチックス(株)製の可溶性ポリエーテルイミド「ウルテム(登録商標)」、東洋紡(株)製の可溶性ポリアミドイミド「バイロマックス(登録商標)HR11NN」及び「バイロマックス(登録商標)HR16NN」などが挙げられる。
樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の含有量は、加工性及び密着性の観点から、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜85質量%、さらに好ましくは25〜80質量%である。
樹脂組成物中の耐熱樹脂の含有量は、加工性、耐熱性及び密着性の観点から、好ましくは5〜85質量%、より好ましくは10〜75質量%である。
〔その他の成分〕
樹脂組成物には、上記成分以外に、充填材、硬化剤、硬化促進剤、エラストマー、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、密着性向上剤等を、必要に応じて添加することができる。
≪充填材≫
樹脂組成物は、充填材を含有していてもよい。充填材は、レーザー加工する際に、樹脂の飛散を防止し、加工形状を整えることを可能にする観点から、好ましく用いられる。
充填材は、無機充填材と有機充填材とに分類できる。無機充填材は樹脂組成物層又は樹脂硬化物層の熱膨張係数を下げる効果もあり、有機充填材は、硬化物中の応力を緩和する効果もある。
無機充填材としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等が挙げられる。
これらの中でも、シリカが好ましい。また、耐湿性を向上させるために、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理している無機充填材であることが好ましい。
無機充填材の平均一次粒径は、積層体の平滑性の観点から、好ましくは0.1μm以下である。なお、ここでいう「平均一次粒径」とは、凝集していない単体での平均粒子径をいい、当該平均一次粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布計により測定して求めることができる。
このような無機充填材としては、ヒュームドシリカが好ましく挙げられる。ヒュームドシリカとしては、特に限定されないが、絶縁信頼性及び耐熱性の観点から、エポキシ樹脂中での分散性が良好なものが好ましく、例えば、分散性を向上させるために表面を疎水性化処理したもの等が挙げられる。具体的には、日本アエロジル(株)製の「AEROSIL(登録商標) R972」、同社製「AEROSIL(登録商標) R202」等が好ましく挙げられる。
ヒュームドシリカの含有量は、レーザー加工性を良好にする観点から、樹脂組成物中、好ましくは3〜35質量%である。ヒュームドシリカの含有量が3質量%以上であると、レーザー加工性が向上して樹脂飛散を抑制することができ、貫通孔形状を良好に保つことができ、35質量%以下であると、樹脂組成物層の表面を酸化剤によって粗化した後、めっきによって導体層を形成する際に、導体層との接着強度を向上させることができる。
有機充填材としては、アクリルゴム粒子、シリコン粒子等が好ましく挙げられる。有機充填材の平均粒径は、樹脂組成物層の粗化処理後に適度な凹凸を形成させる観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下である。
これらの充填材は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
≪硬化剤≫
硬化剤としては、例えばエポキシ樹脂を用いる場合には、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の多官能フェノール化合物、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等のアミン化合物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体等の酸無水物、エポキシ基と反応性を有する官能基を導入したポリイミドなどを用いることができる。これらの硬化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進剤としては、例えば、エポキシ樹脂の硬化促進剤として、イミダゾール類及びその誘導体、有機リン系化合物、第二級アミン類、第三級アミン類、及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、スチレン化フェノール等の酸化防止剤などが挙げられる。
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系の光重合開始剤等が挙げられる。
蛍光増白剤の例としては、スチルベン誘導体等が挙げられる。
密着性向上剤の例としては、尿素シラン、シランカップリング剤等の密着性向上剤などが挙げられる。
(積層体の層構成)
本発明の方法に用いる積層体は、1層以上の樹脂組成物層及び1層以上のガラス基板層を有する積層体であれば、特に限定されないが、その代表的な構成としては、例えば、(i)樹脂組成物層/ガラス基板層/樹脂組成物層の3層構造、(ii)樹脂組成物層/ガラス基板層、(iii)ガラス基板層/樹脂組成物相/ガラス基板層を含む構成が挙げられる。
なお、本明細書において「樹脂組成物層/ガラス基板層/樹脂組成物層」との表記は、樹脂組成物層、ガラス基板層、樹脂組成物層がこの順に積層されていることを意味する。5層構造に関する表記も同様である。
(積層体中における各層の割合)
本発明の積層体において、ガラス基板層が占める体積は、高弾性率化及び表面の平滑化の観点から、ガラス基板層、及び樹脂組成物層の合計体積(以下、単に「合計体積」ともいう)中、好ましくは30〜99.5体積%、より好ましくは35〜98体積%、さらに好ましくは40〜95体積%である。
本発明の積層体において、樹脂組成物層が占める体積は、実装時の反りを低減させる観点、及び当接する層同士の密着性を向上させる観点から、合計体積中、好ましくは0.1〜70体積%、より好ましくは2〜65体積%、さらに好ましくは5〜60体積%である。
(積層体の製造方法)
本発明に用いる積層体は、例えば、樹脂組成物をガラス基板に塗布する方法、樹脂組成物からなるフィルム(以下、「樹脂フィルム」ともいう)をガラス基板にラミネート又はプレスにより貼着する方法によって製造することができる。これらの中でも、ラミネートによる方法が、生産が容易である点から好ましい。
〔塗布による製造方法〕
塗布による製造方法は、前記樹脂組成物をガラス基板の表面に塗布して、ガラス基板上に樹脂組成物層を形成する方法である。具体的には、例えば、前記樹脂組成物を有機溶剤に溶解して得たワニスを、ガラス基板に塗布した後、加熱、熱風吹き付け等によって有機溶剤を乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。その後、樹脂組成物層は更に加熱等を行い、硬化反応を進行させてもよい。
塗工装置としては、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等、当業者に公知の塗工装置を用いることができ、作製する膜厚によって、適宜選択することが好ましい。
〔ラミネートによる製造方法〕
ラミネートによる製造方法としては、例えば、市販の真空ラミネート、ロールラミネート等の加圧ラミネートにより、樹脂フィルムとガラス基板とをラミネートする方法が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、次の積層構造を有するものが好適に使用される。
(i)支持体フィルム/樹脂組成物層
(ii)支持体フィルム/樹脂組成物層/保護フィルム
保護フィルムは、樹脂組成物層に対し支持体フィルムとは反対側に形成され、異物の付着及び傷を防止する目的で使用するものである。
上記(i)の樹脂フィルムを製造する一例としては、有機溶剤に上記の樹脂組成物を溶解し、ワニスを調製する。次いで、支持体フィルムに該ワニスを塗布し、加熱、熱風吹きつけ等によって有機溶剤を乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成すればよい。
上記(ii)の樹脂フィルムを製造する一例としては、有機溶剤に上記の樹脂組成物を溶解し、ワニスを調製する。次いで、支持体フィルム及び保護フィルムのいずれか一方に対してワニスを塗布し、該ワニス上に支持体フィルム及び保護フィルムの他方を配置し、加熱、熱風吹きつけ等によってワニスの有機溶剤を乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成すればよい。
塗工装置としては、塗布による製造方法で用いられる装置と同様の装置を用いることができる。
支持体フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミド;離型紙;銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。
この支持体フィルムは、接着フィルムを製造する際の支持体となるものであり、多層プリント配線板を製造する際に、通常、最終的に剥離、又は除去されるものであるが、支持体フィルムに銅箔を用いた場合には、銅箔をそのまま導体層とし、回路形成することもでき、後述するコンフォーマルマスクとして利用することもできる。
また、支持体フィルムには、マット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
支持体フィルムの厚さは、通常、10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmである。上記範囲内であると、取り扱い性及び生産性に優れた接着フィルムが得られる。
次に、樹脂フィルムを用いたラミネート方法の一例について説明する。
樹脂フィルムが保護フィルムを有している場合には、保護フィルムを除去した後、樹脂フィルムを加圧及び加熱しながらガラス基板に圧着する。次に、樹脂フィルム及びガラス基板を必要によりプレヒートした後ラミネートする。
ラミネート時の圧着温度(ラミネート温度)は、好ましくは60〜140℃である。ラミネート時の圧着圧力は、好ましくは1〜11kgf/cmである。また、真空ラミネーターを用いる場合の圧力は、好ましくは空気圧20mmHg(26.7hPa)以下である。
ラミネートの方法は、バッチ式であっても、ロールでの連続式であってもよい。ラミネートした後、室温付近に冷却する。
〔プレスによる製造方法〕
本発明に用いる積層体は、プレス法によって製造することができる。
例えば、既述の樹脂フィルム本体と、ガラス基板とを重ね合せ、プレス法により加熱、及び加圧することにより、積層体を製造することができる。
また、ガラス基板に樹脂組成物を塗工及び乾燥してBステージ状態としたものを複数、重ね合せ、プレス法により加熱、及び加圧することにより、積層体を製造することもできる。
得られた積層体は、必要に応じて支持体フィルムを剥離した後、加熱硬化することにより、樹脂組成物層中の熱硬化性樹脂の硬化を進行させてもよい。
加熱硬化の条件は、用いた樹脂の種類等に応じて適宜決定すればよいが、通常は150〜220℃で20〜80分、好ましくは160〜200℃で30〜120分である。
加熱硬化の方法としては、特に限定されず、公知の乾燥機等を用いて硬化してもよく、前記プレス法により、加熱及び加圧を行い、積層と硬化とを同時に行ってもよい。
プレス法により、積層と硬化とを同時に行う場合のプレス条件は、特に限定されないが、加熱硬化条件は、通常は150〜280℃で20〜80分、好ましくは160〜230℃で30〜120分であり、プレス圧力は、通常は1〜5MPaである。
<貫通孔の形成>
本発明の方法は、前記積層体の一方の面に、コンフォーマルマスクとして開口部を有する金属膜を設ける工程と、該開口部内に露出する積層体にレーザー光を照射する工程とを有する。
前記開口部にレーザー光を照射することにより、開口部内に露出する樹脂組成物層及びガラス基板層を除去して貫通孔を形成することができる。
(コンフォーマルマスク、及びその作製方法)
本発明の方法は、開口部を有する金属膜をコンフォーマルマスクとする。
金属膜としては、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、貴金属(金、銀、パラジウム、白金等)から選ばれる1種以上を使用できる。これらの中でも、安価であり、且つレーザー光に対する耐性に優れている点から、銅が好ましい。
金属膜の厚さとしては、好ましくは1〜200μm、より好ましくは3〜180μm、さらに好ましくは5〜150μmである。金属膜の厚さが1μm以上であると、レーザー光による欠損を抑制することができ、200μm以下であると、微細パターンを形成することができる。
コンフォーマルマスクの開口部としては、従来公知の方法により形成すればよく、例えば、フォトリソグラフィー法、レーザー光による研削等によって形成することができる。
コンフォーマルマスクの開口部は、積層体の一方の面に、開口部形成前の金属膜を設けた後に、該金属膜にレーザー光を照射する方法により形成することが好ましい。
コンフォーマルマスクを形成するためのレーザーとしては、COレーザー等の赤外線レーザー、Nd:YAG(Neodymium−doped Yttrium Aluminum Garnet)レーザー、Nd:YAGレーザーと波長変換を組み合わせた近赤外領域から可視領域さらには紫外領域に亘るレーザー、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)、Fエキシマレーザー(波長:157nm)等のエキシマレーザーなど、公知のレーザーを使用することができるが、小径化の観点から、UV−YAGレーザーが好ましい。
UV−YAGレーザーとしては、一般に10〜400nmの波長のレーザーが使用される。
また、ショット数は、用いる金属膜の厚み等に応じて適宜決定することができるが、例えば、複数ショット連続照射であるバーストショットを5〜20回、単ショット繰り返し照射であるサイクルショットを3〜10回とすることが好ましい。
UV−YAGレーザーのパルス幅は特に限定されず、通常は1〜50μsの範囲で選択することができる。
(積層体へのレーザー光照射)
積層体へのレーザー光の照射による貫通孔の形成は、公知の方法により行うことができる。例えば、加工用レーザー光源、レーザー光の向きをX−Y方向へ偏向させるための走査ヘッド、積層体の位置決めマークを読み取るためのカメラ、積層体を載置するためのX−Yテーブル、加工データを入力するための入力部、加工データ又は演算結果を記憶する記憶部、及び演算部を有する装置を用いて、以下の方法により開口部を形成することができる。
まず、前記金属膜に位置決めマークを設けておき、この位置決めマークの位置をカメラにより測定し、積層体の位置を実測することにより、開口部の位置にレーザー光を照射する。
該位置決めマークは、金属膜にエッチング又はレーザー加工等を施して形成することが好ましい。位置決めマークの形状としては、特に限定されず、リング状にエッチングして円形状としてもよく、四角形状にエッチングして矩形状としてもよい。
金属製の位置決めマークは、光を透過させないため、位置決めマークに下方(X−Yテーブル側)から光を照射する場合は、シルエットとして認識でき、また、上方(レーザー光源側)から光を照射する場合は、反射光により認識できる。即ち、コンフォーマルマスクを金属で作製すれば、いずれの方向から光を照射してもカメラで読み取り易いため有利である。
また、位置決めマークは、工程の短縮の観点から、金属膜を形成した後、開口部の形成と同時にエッチングして形成することが好ましい。
さらに、この位置決めマークを読み取り、入力された加工データと積層体の位置の実測値から、積層体の位置のずれを補正できるように、走査ヘッド及びX−Yテーブルの駆動用データを作成し、この駆動用データに従って走査ヘッド、及びテーブルを駆動させる。このため、数百から数千の多数の貫通孔を効率的に形成することが可能である。
例えば、ガラス基板を置いたステージを直線的且つステップ的に移動させ、移動の度毎にレーザー光を照射することで、1次元的に配列された貫通孔を形成することができ、さらに直線方向に加えてそれと直角になる方向へのステージの移動も加えることで、2次元のアレイ状に配列された多数の貫通孔を形成することができる。
貫通孔を形成するためのレーザー光としては、前記コンフォーマルマスクを形成するためのレーザーと同様のレーザーを挙げることができる。これらの中でも、加工性の観点から、COレーザーが好ましい。
COレーザーとしては、一般に9.4と10.6μmの波長のレーザーが使用される。
また、ショット数は、形成すべき貫通孔の深さ、孔径によって適宜決定することができるが、通常は3〜20ショットの間で選択される。
COレーザーのパルス幅は特に限定されず、通常は1〜100μsの範囲で選択することができる。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は、1層以上の樹脂組成物層及び1層以上のガラス基板層を有する積層体の製造方法であって、本発明の積層体への貫通孔の形成方法により、貫通孔を形成する工程を有する。
積層体、及び貫通孔の形成条件は、本発明の積層体への貫通孔の形成方法で説明した積層体及び条件と同様であり、好ましい態様も同様である。
<デスミア処理>
本発明の方法により貫通孔を形成した後、必要に応じて、公知の酸化剤等を用いてデスミア処理をしてもよい。
<導体層の形成>
次いで、積層体の表面に導体層を形成してもよい。導体層を形成する方法としては、スパッタ法等の乾式めっき、無電界めっき、電界めっき等の湿式めっきなどによる公知の方法から選択することができる。
<配線パターンの形成>
更に、上記で形成した導体層に配線パターンを形成してもよい。パターン形成の方法としては、例えば、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法等を用いることができる。
次に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[樹脂組成物ワニスの作製]
(1)ポリアミドイミド樹脂の合成
熱電対、撹拌機、窒素吹込口を取り付けた500mlセパラブルフラスコに約250ml/分の窒素を流しながら両末端アミノ基変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:X−22−161A)32.0g、(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン(新日本理化(株)製、商品名:ワンダミン(登録商標)HM(WHM))0.935g、ポリオキシプロピレンジアミン(三井化学ファイン(株)製、商品名:ジェファーミン(登録商標)D2000)40.0g、トリメリット酸無水物(以下、「TMA」ともいう)17.9g及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう)250gを加え撹拌し、溶解した。この溶液にトルエン100gを加え、150℃以上の温度で6時間の脱水還流によるイミド環閉環反応を行った後トルエンを留去し、冷却後4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート13.4gを加え、150℃にて2時間反応させた。その後、TMAを1.6g加え、80℃にて、1時間撹拌し、ポリアミドイミド樹脂溶液を合成した。
(2)ガラス接着用樹脂組成物ワニスの配合
固形分70gのポリアミドイミド樹脂溶液にジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂(DIC(株)製、商品名:HP7200)20g、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:EPPN−502H)10g、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、商品名:2E4MZ−CN)0.15gを加え、固形分濃度が30質量%になるようにNMPにて希釈し、ガラス接着用樹脂組成物ワニスを配合した。
(3)銅箔接着用樹脂組成物ワニスの製造
フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド(日本化薬(株)製、商品名:BPAM−155)10.2gに、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう)を91.4g配合した後、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:NC−3000H)40.0g、ビスフェノールAノボラック(三菱化学(株)製、商品名:YLH129)12.6g、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製、商品名:2PZ)0.4g、ヒュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:R972)3.6gを添加した後、DMAc及びメチルエチルケトンからなる混合溶剤で希釈した(固形分濃度約25質量%)。その後、分散機(吉田機械興業(株)製、商品名:ナノマイザー(登録商標))を用いて、銅箔接着用樹脂組成物ワニスを得た。
[銅箔付き樹脂フィルムの作製]
銅箔接着用樹脂組成物ワニスを、厚さ20μmの銅箔(古河電気工業(株)製、商品名:NC−WS)の光沢面にバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが5μmになるように塗布し、140℃で10分間乾燥させた。
次いで、上記で形成した銅箔接着用樹脂組成物からなる層の上に、ガラス接着用樹脂組成物ワニスを乾燥後の厚さが5μmになるように塗布し、140℃で5分間乾燥させて、銅箔上に銅箔接着用樹脂組成物及びガラス接着用樹脂組成物からなる樹脂組成物層が形成された、銅箔付き樹脂フィルムを得た。
[積層体の製造]
ガラス基板として、ガラスフィルム(日本電気硝子(株)製、商品名:OA−10G、厚さ150μm)を用いた。このガラス基板の両面に、上記で作製した銅箔付き樹脂フィルムを樹脂フィルムがガラス基板に当接するように配置し、熱プレスにて185℃、3MPa、1時間の条件で熱圧着して、ガラス基板層及び樹脂組成物層を有する積層体を得た。
[貫通孔の形成]
実施例1
上記で得られた積層体に、UV−YAG/COハイブリッドレーザー装置(ビアメカニクス(株)製、商品名:ULC−2K21/1C)を用いて、下記条件により、UV−YAGレーザーを照射して銅箔に開口部を形成した後、COレーザーを照射して、貫通孔を形成した。
<UV−YAGレーザー>
・照射ビーム径:40μm
・バーストショット数:10回
・サイクルショット数:6回
<COレーザー>
・パルス幅:20μsec
・ショット数:15回
実施例2
実施例1において、UV−YAGレーザーの照射ビーム径を、40μmから50μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、貫通孔の形成を行った。
比較例1
実施例1で使用した積層体と同様の積層体を準備し、該積層体の銅箔をエッチングにより除去した後、実施例1と同様にして、貫通孔の形成を行った。
[貫通孔の形状の確認]
比較例1で得たサンプル、並びに実施例1及び2で貫通孔を形成した積層体から銅箔をエッチングにより除去したサンプルについて、光学顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:デジタルマイクロスコープ VHX−1000)を用い、レーザー加工後の入射側及び出射側の表面形状を観察して、貫通孔径を計測した。なお、貫通孔径は、10穴×10穴のパターンからランダムに10穴を選び測定して得た値の平均値とした。各実施例及び比較例で形成した貫通孔の光学顕微鏡写真を図2〜4に示す。
また、図1に示すように、入射側の貫通孔径(D)、出射側の貫通孔径(d)、及び用いたガラス基板の厚さ(t)から、出射側の貫通孔壁面の角度(θ)を下記式により算出して、このθの値をテーパーの度合いとした。
テーパーの度合い(θ)=tan−1[2t/(D−d)]
表1から明らかなように、本発明の方法により形成した、実施例1及び2の貫通孔は、貫通孔の入射側と出射側の貫通孔径の差が、比較例1の貫通孔より小さかった。また、実施例1及び2の貫通孔は、テーパーの度合いも小さく、テーパーが無い90°に近い値が得られていた。
更に、図2〜3から明らかなように、実施例1及び2の貫通孔は、入射側と出射側の貫通孔の加工エッジの外観に差がなかった。
以上の結果から、本発明によれば、ガラス基板層と樹脂組成物層との加工形状の差、及びテーパーの度合いが小さい貫通孔を形成することが可能となる。

Claims (6)

  1. 1層以上の樹脂組成物層及び1層以上のガラス基板層を有する積層体の一方の面に、コンフォーマルマスクとして開口部を有する金属膜を設ける工程と、該開口部内に露出する積層体にレーザー光を照射して、前記積層体に貫通孔を形成する工程とを有前記ガラス基板層が厚み50〜200μmのガラスフィルムから構成されるものである、インターポーザ用積層体の製造方法
  2. 前記ガラスフィルムの厚さが、75〜200μmである、請求項1に記載のインターポーザ用積層体の製造方法
  3. 前記金属膜が、銅である、請求項1又は2に記載のインターポーザ用積層体の製造方法
  4. 前記金属膜の厚さが、1〜200μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインターポーザ用積層体の製造方法
  5. 前記レーザーが、COレーザーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインターポーザ用積層体の製造方法
  6. 前記積層体が、樹脂組成物層、ガラス基板層及び樹脂組成物層の3層構造を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインターポーザ用積層体の製造方法。
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