JP6442878B2 - 蓄電デバイス - Google Patents
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Description
マグネシウム、カルシウム及びセリウムのうち1以上の金属を含む負極と、
リチウム、ナトリウム及びカリウムのうち1以上を吸蔵放出する正極と、
前記リチウム、ナトリウム及びカリウムのうち1以上のカチオンと、トリフルオロメタンスルホネートアニオン(CF3SO3 -)と、有機溶媒とを含む非水電解液と、
を備えたものである。
負極上に形成されるSEI被膜について検証するため以下の実験を実施した。図3は、評価セル30の一例を示す模式図である。図3に示す評価セル30(北斗電工製、三極式F型セル)において、作用極32と対極34としてPt板(田中貴金属製)、参照極36としてAg線(ニラコ製)をセットした。マグネシウムトリフルオロメタンスルホネート(Mg(CF3SO3)2、アルドリッチ製)とN−メチル−N−プロピルピペリジウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(PP13−TFSA、関東化学製、上記化合物式1)を用い、支持塩濃度0.08mol/Lの電解液を調製し、F型セル内に注液した。この電解液ではトリフルオロメタンスルホネートアニオンがアニオンの総量に対してモル比で4.6%含まれる。F型セルを60℃の恒温器に置き、掃引速度5mV/secの速さで、Mg基準で−0.3Vから+2.3Vの間で電位を繰り返し掃引させた。図4は、参考例1の充放電結果である。図4に示すように、1サイクル目で、作用極電位が0V付近にまで下がるとMgが作用極(Pt)上に析出する。このとき、析出したMgには支持塩及び溶媒(イオン液体)の分解物などによりSEI被膜が形成されたと考えられる。2サイクル目以降、1V付近で新しい酸化還元ピークが観測され、SEI被膜が活物質として働くことが明らかになった。図5,6は、Pt上に形成されたSEI被膜のラマン分析結果である。この測定結果により、SEI被膜は、支持塩や溶媒(イオン液体)の分解物などが含まれることがわかった。
正極は次のようにして作製した。プルシアンブルー(MnFe(CN)6)を76質量部、導電助剤としてケッチェンブラック(三菱化学製ECP−600JD)を14質量部、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレンパウダー(ダイキン工業製F−104)を10質量部の比率で、乳鉢を用いて混合かつ練り合わせた後、薄膜状に成形した。その合材15mg(直径10mm、厚さ120μm)を、ステンレス製のメッシュ(ニラコ製SUS304)に圧着して、80℃にて3時間、真空乾燥を行い、蓄電デバイスの正極とした。プルシアンブルーはカリウム鉄シアンK3Fe(CN)6の水溶液に、酢酸マンガンMn(CH3COO)2の水溶液を室温下で滴下することで反応、沈殿させて得た。負極には直径18mm、厚さ0.25mmの金属マグネシウム(ニラコ製)を用いた。電解液には支持塩にナトリウムトリフルオロメタンスルホネート(NaCF3SO3、アルドリッチ製)、有機溶媒にリン酸トリエチル(TEP、キシダ化学)を用い、支持塩濃度1.0mol/Lの電解液を調製して用いた。ポリエチレン製セパレータ(東燃化学製、厚さ25μm)3枚と上記正極を用い、図9のコイン型セル40をアルゴン雰囲気下のグローブボックス内でセットし、上記電解液0.6mLをコイン型セルに注入し、実験例1とした。
TEPの代わりにイオン液体(DEME−TFSA、関東化学)を用いた以外は実験例1と同様に作製したコイン型セルを実験例2とした。
TEPの代わりにプロピレンカーボネート(PC、キシダ化学製)を用いた以外は実験例1と同様に作製したコイン型セルを実験例3とした。
図10は、実験例1〜3の放電曲線である。実験例1〜3は、いずれも放電し、セルとして機能することがわかった。また、実験例1〜3では、活物質あたりの放電容量が30mAh/gのときの放電電圧が、実験例1が1.71V、実験例2が1.54V、実験例3が1.60Vであった。このため、非水電解液の溶媒としてリン酸トリエチルを用いると、放電電圧をより高めることができ、より好ましいことがわかった。
TEPの代わりにリン酸トリメチル(TMP、キシダ化学製)を用い、支持塩にリチウムトリフルオロメタンスルホネート(アルドリッチ製)を用いた以外は実験例1と同様に作製したコイン型セルを実験例4とした。
TMPの代わりにジメチルスルホキシド(DMSO、和光純薬製)を用いた以外は実験例4と同様に作製したコイン型セルを実験例5とした。
TMPの代わりに3−メトキシプロピオニトリル(和光純薬製)を用いた以外は実験例4と同様に作製したコイン型セルを実験例6とした。
TMPの代わりにグルタロニトリル(和光純薬製)を用いた以外は実験例4と同様に作製したコイン型セルを実験例7とした。
図11は、実験例4〜7の放電曲線である。実験例4〜7は、いずれも放電し、セルとして機能することがわかった。また、実験例4〜7では、活物質あたりの放電容量が30mAh/gのときの放電電圧は、実験例4が1.81V、実験例5が1.78V、実験例6が1.40V、実験例7が1.47Vであった。このため、非水電解液の溶媒としてリン酸トリメチルやジメチルスルホキシドを用いると、放電電圧をより高めることができ、より好ましいことがわかった。
負極のMg代わりにCa(アルドリッチ製)を用いた以外は実験例4と同様に作製したコイン型セルを実験例8とした。
負極のMgの代わりにCa(アルドリッチ製)を用いた以外は実験例6と同様に作製したコイン型セルを実験例9とした。
図12は、実験例8,9の放電曲線である。実験例8,9は、いずれも放電し、セルとして機能することがわかった。また、実験例8,9では、活物質あたりの放電容量が30mAh/gのときの放電電圧は、実験例8が2.08Vであり、実験例9が1.64Vであった。このため、負極金属をCaとした場合であっても、実験例4,6と同様の結果が得られることがわかった。
プルシアンブルーの正極活物質の代わりにスピネル型リチウムマンガン酸化物の正極活物質を用いたコイン型セルを実験例10とした。正極は次のようにして作製した。三井鉱山製のスピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn1.9Ni0.1O4)と、導電材としてカーボンブラック(東海カーボン製TB5500)、結着材としてポリビニレンフルオライドポリマー溶液(PVdF、クレハ製KFポリマー#1120)を小型混錬機(アズワン製、泡とり錬太郎)により湿式混合し、得られたペーストをアルミ箔上に塗工した。150℃にて3時間、真空乾燥を行なった後、直径14mmの薄膜円板に打ち抜いた。なお、最終的に得られた正極の活物質、導電材、結着材の質量比は85:10:5であった。スピネル型リチウムマンガン酸化物の正極と、金属Liの負極と、EC+DEC(体積比50:50)を溶媒とし1.0mol/LのLiPF6を溶解した電解液とを用いセルを組み、充電を行ってスピネル型リチウムマンガン酸化物の正極からリチウムを引き抜いた。リチウムを引き抜いたあとの正極を用い、実験例4と同様に作製したコイン型セルを実験例10とした。
TMPの代わりにPCを用いた以外は実験例10と同様に作製したコイン型セルを実験例11とした。
図13は、実験例10,11の放電曲線である。実験例10,11では、放電は1.6Vまで行った。実験例10,11は、いずれも放電し、セルとして機能することがわかった。また、実験例10,11では、放電容量が0.50mAhのときの放電電圧は、実験例10が2.19Vであり、実験例11が1.85Vであった。このため、非水電解液の溶媒としてリン酸トリメチルを用いると、放電電圧をより高めることができ、より好ましいことがわかった。
正極のスピネル型リチウムマンガン酸化物の代わりに層状のリチウムコバルト酸化物(日本化学工業、LiCoO2)を用いた以外は実験例10と同様に作製したコイン型セルを実験例12とした。実験例12では、放電は1.6Vまで行い、その後、電流を逆向きにして3.0Vまで充電した。図14は、実験例12の充放電測定結果である。この実験例12では、放電容量が0.50mAhのときの放電電圧は2.25Vであった。また、実験例12に示すように、本発明の蓄電デバイスでは、充放電を行うことができた。
正極は次のようにして作製した。五酸化二バナジウム(アルドリッチ製)を57重量部、導電材としてケッチェンブラック(三菱化学製ECP−600JD)を30重量部、結着材としてポリテトラフルオロエチレンパウダー(ダイキン工業製F−104)を13重量部の比率で、乳鉢を用いて混合かつ練り合わせ正極合材としたあと、これを薄膜状に成形した。その正極合材の約6mg(直径10mm、厚さ120μm)を、ステンレス製のメッシュ(ニラコ製SUS304)に圧着して、80℃にて3時間真空乾燥を行い、正極とした。負極には、直径26mm、厚さ0.25mmの金属マグネシウム(ニラコ製)を用いた。電解液には、支持塩にLiPF6(アルドリッチ製)、有機溶媒にN,N’−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学製、式13)を用い、支持塩濃度0.08mol/Lの電解液を調製し、用いた。この電解液では、トリフルオロメタンスルホネートアニオンが含まれていない。ポリエチレン製セパレータ(東燃化学製、厚さ25μm)3枚と上記正極を用い、コイン型セル(図9参照)をアルゴン雰囲気下のグローブボックス内でセットし、上記電解液0.6mLをコイン型セルに注入した。なお、コインセル作製にあたり、Mg負極の表面をグローブボックス内で紙やすり(400番)で磨いてから用いた。
Claims (2)
- マグネシウム、カルシウム及びセリウムのうち1以上の金属を含む負極と、
リチウム、ナトリウム及びカリウムのうち1以上を吸蔵放出する正極と、
前記リチウム、ナトリウム及びカリウムのうち1以上のカチオンと、トリフルオロメタンスルホネートアニオン(CF3SO3 -)と、有機溶媒とを含む非水電解液と、を備え、
前記非水電解液は、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル及びジメチルスルホキシドのうち1以上を前記有機溶媒として含有しており、
50℃以上70℃以下の温度範囲で充放電を行い、前記負極の表面には、前記非水電解液の分解物であり、前記トリフルオロメタンスルホネートアニオンと電気化学反応する被膜が形成されている、蓄電デバイス。 - 前記正極は、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物及びプルシアンブルー化合物のうち1以上を含む、請求項1に記載の蓄電デバイス。
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