JP6442693B2 - キャベツ発酵物の製造方法 - Google Patents
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キャベツの粉砕物を発酵させる方法としては、例えば特許文献1、2が挙げられる。キャベツの粉砕物はキャベツを粉砕するだけで製造できるため、製造コストがかからないという利点があるが、一方で発酵に時間がかかるという難点がある。
キャベツの搾汁物又は抽出物を発酵させる方法としては、例えば特許文献3〜5が挙げられる。キャベツの搾汁物又は抽出物は、発酵が短時間で行えるという利点があるが、一方で、キャベツを搾汁又は抽出する必要があるため製造コストが高くなるという難点がある。
キャベツ発酵物を含む製品が製造される段階では、製造コストの低減や良好な製造効率が求められるため、発酵をより短時間で行うことができ、製造コストをさらに抑えることのできる技術が求められている。
しかしながら、上記の技術によってもなおキャベツ発酵物の風味や香りの改善は不十分であり、より摂取しやすくなるように、さらなる改善が求められている。
キャベツの粉砕物としては特に制限されるものではなく、例えば、キャベツをざく切り状にカットし、洗浄工程、加熱工程、冷却工程、水切り工程、粗砕工程を経た後、細砕工程によってペースト状にすることによって得ることができる。また、キャベツの発酵物の風味を向上させる観点から、得られたキャベツの粉砕物を冷凍してもよい。キャベツの粉砕物は、例えば、市販のキャベツをミキサーや市販の粉砕機で粉砕することにより得ることができる。
粉砕物の状態、程度としては特に制限されるものではないが、発酵の速度を早くする観点から、ペースト状であることが好ましい。
前記キャベツの粉砕物の製造においては、キャベツの粉砕前又は粉砕後に加熱工程を含むことが好ましい。加熱工程を行うことにより、発酵が進みやすくなり、発酵時間がさらに短くなる。また、得られるキャベツ発酵物の風味や香りもより向上する。
キャベツの搾汁物としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。例えば、キャベツを洗浄後、加熱工程を経てから粉砕して搾汁し、遠心分離した後、再度加熱してから冷却し、さらに濃縮したもの等が挙げられる。キャベツの搾汁物としては、搾汁したものをそのまま用いてもよいが、発酵を効率的に進める観点から搾汁液の濃縮物を用いることが特に好ましい。濃縮の程度としては特に制限されるものではなく、例えば、Brixが8〜20になるように濃縮したものを用いることができる。
キャベツの抽出物としては、特に制限されるものではなく、例えば、キャベツを洗浄後、加熱工程を経てから粉砕してペースト状としたキャベツに対して抽出溶剤を用いて抽出し、殺菌することにより得ることができる。
抽出溶剤としては、例えば、水、エタノール等が挙げられる。
抽出の操作としては、例えば、加温・酵素処理後に加温等をすることにより行うことができる。
キャベツの搾汁物又は抽出物の製造工程においては、殺菌強度を保ち菌汚染のリスクを少なくする観点及び味や香りの向上が期待できる観点から加熱工程を1回以上行うことが好ましい。中でも、粉砕前及び粉砕後に加熱工程を行うことが特に好ましい。
以下、キャベツ発酵物の製造方法について記載する。
得られるキャベツ発酵物の剤形に特に制限はなく、例えば、液状、ペースト状、粉末状であってもよいが、加工及び保管の容易さの観点から粉末状であることが特に好ましい。
混合工程は、キャベツの粉砕物と、キャベツの搾汁物又は抽出物とを混合して混合物を得る工程である。
一方、キャベツの粉砕物のみである場合やキャベツの搾汁物又は抽出物のみである場合、発酵に時間がかかり、風味や香りが従来のものと同程度となり、改善がみられない。
発酵工程では、前記混合物に乳酸菌を添加することにより発酵を行うことができる。
乳酸菌としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・プランタラム、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ストレプトコッカス・フェリカス、ビフィドバクテリウム・ロンガム等が挙げられる。中でも、ラクトバチルス・プランタラムが特に好ましい。
pHが4.5より大きい場合、発酵の進行が不十分であり、キャベツ発酵物が有する独特の風味が弱くなることがある。また、pHが4.0未満まで下がった場合、酸味が強すぎるため風味が悪くなることがある。
発酵工程における温度としては、適宜変更することが可能であるが、例えば30〜40℃であることが好ましい。
賦形剤としては、例えば、デキストリン、グルコース、シクロデキストリン、ゼラチン等が挙げられる。中でも、褐変(糖化)しにくく、安価であり、粘度が低く加工しやすいキャベツ発酵物の粉末が得られる等の理由から、デキストリンが好ましい。
前記発酵工程後に、固体と液体を分離する工程を行ってもよい。
固体と液体とに分離するには、特に制限されるものではないが、例えば、濾過や遠心分離等が挙げられる。中でも濾過工程を行うことが好ましく、濾過工程により得られる液体の透明度を向上させることができる。
濾過としては、例えば、ラジオライト、セライト等を用いて行うことができる。
本発明のキャベツ発酵物の製造方法によって得られたキャベツ発酵物は、様々な形態にして用いることができ、特に制限されるものではない。例えば、錠剤、粉剤、顆粒剤、ソフトカプセル化剤、液状等の健康食品が挙げられる。また、粉剤、顆粒剤、ソフトカプセルは、そのまま飲んでもよいし、水等に溶解して飲んでもよい。
また、本発明によって得られたキャベツ発酵物に、食物繊維、乳酸菌、オリゴ糖、コラーゲン等を配合することにより、健康への効果や美容への効果に非常に優れた健康食品を得ることができる。
市販のキャベツを流水洗浄し、ミキサーにより粉砕し、生キャベツペーストを得た。次に、キャベツ粉砕物として上記生キャベツペースト1gと、キャベツの搾汁物99gと、水24gを混合して[混合物A]124gを得た。なお、キャベツの搾汁物は、キャベツを洗浄後、ブランチングによる加熱工程を経てから粉砕して搾汁し、遠心分離した後、130℃で30秒間加熱してから20℃まで冷却し、さらにBrixが12以上になるまで濃縮して得られたものである。
振とう培養器に[混合物A]124gを入れ、さらに乳酸菌末(ラクトバチルス・プランタラム)12.5mgを添加し、発酵を開始させた。
発酵では、糖度計、酸度計、pHメーターを用いて各値(Brix値、酸度、pH)のモニタリングを行いつつ発酵させた。発酵は35±2℃で行った。pHが4.4未満となった時点で発酵を終了させた。
発酵を終了させた後、ウォーターバスにて90℃で30分間保持した。これにより、[発酵物A1]を得た。
次に、スプレードライヤーにより、噴霧乾燥を行い、粉末状のキャベツ発酵物を得た。
得られたキャベツ発酵物について、後述の評価を行った。
市販のキャベツを流水洗浄し、沸騰水(100℃)中で3分間ブランチングした後、ミキサーにより粉砕し、ブランチングキャベツペーストを得た。このブランチングキャベツペーストを実施例1におけるキャベツ粉砕物として用いた以外は、実施例1と同様にして粉末状のキャベツ発酵物を得た。
市販のキャベツを流水洗浄し、ミキサーにより粉砕し、生キャベツペーストを得た。次いで、キャベツ粉砕物として上記生キャベツペースト200gと、水48gを混合して[混合物B]248gを得た。
次に、振とう培養器に[混合物B]248gを入れ、さらに乳酸菌末(ラクトバチルス・プランタラム)を25mg添加し、発酵を開始させた。
発酵では、実施例1と同様にして各値のモニタリングを行いつつ発酵させた。発酵は35±2℃で行った。pHが4.4未満となった時点で発酵を終了させた。これにより、[発酵物B1]を得た。
次に、スプレードライヤーにより、噴霧乾燥を行い、粉末状のキャベツ発酵物を得た。
キャベツの搾汁物99gと、水24gを混合して[混合物C]124gを得た。実施例1において、[混合物A]を[混合物C]に変えた以外は実施例1と同様にして粉末状のキャベツ発酵物を得た。
発酵はpHが4.4未満になった時点で終了とし、発酵を開始してから終了までの時間を表1の発酵時間とした。また、表1中、Brix値は発酵終了時点の値であり、酸度(%)は発酵終了時点の値である。
得られたキャベツ発酵物について、以下の評価を行った。
上記のようにして得られたキャベツ発酵物を少量(0.1g程度)とり、試験担当者5名により試食を行い、下記の評価項目及び評価基準で味や香りを官能試験により評価した。なお、下記評価基準にあるように、比較例1を基準とし、実施例1、2及び比較例2は比較例1に比べてどうであるかをランク付けした。また、表2における数値は、試験担当者5名の評価の数値を平均したものである。
甘さの好ましさ
苦味の好ましさ
渋味の好ましさ
酸味の好ましさ
後味の好ましさ
香りの好ましさ
総合評価
3:比較例1に比べて非常に良い
2:比較例1に比べて良い
1:比較例1に比べてやや良い
0:比較例1に比べて変わらない
−1:比較例1に比べてやや悪い
−2:比較例1に比べて悪い
−3:比較例1に比べて非常に悪い
以上より、本発明によれば、風味、香りが改善されたキャベツ発酵物を短時間で得られることがわかる。
キャベツ粉砕物とキャベツ搾汁物の混合物の割合を表3に記載の割合に変更した以外、実施例2と同様の方法でキャベツ発酵物を製造した。この場合についても、風味、香りが改善されたキャベツ発酵物を短時間で得ることができた。
なお、表3の数値は重量部を表す。
Claims (4)
- キャベツの粉砕物と、ブランチングによる加熱工程を経て得られたキャベツの搾汁物とを、キャベツの粉砕物1重量部に対してキャベツの搾汁物を5重量部以上含むように混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物をラクトバチルス・プランタラムにより発酵させる発酵工程と、
を有することを特徴とするキャベツ発酵物の製造方法。 - 前記キャベツの粉砕物が、キャベツの粉砕前又は粉砕後にキャベツを加熱する加熱工程を有する方法によって製造されたことを特徴とする請求項1に記載のキャベツ発酵物の製造方法。
- 前記発酵工程は、pHが4.0〜4.5になった時点で終了させることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャベツ発酵物の製造方法。
- 前記発酵工程後に賦形剤を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のキャベツ発酵物の製造方法。
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