JP6442689B2 - 遠隔検針システム - Google Patents

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Description

本発明は、電力線通信を用いた電力使用量の遠隔検針システムに関するものである。
近年、電力使用量を遠隔地から収集する遠隔検針システムの導入が進められている。マンション等の集合住宅に遠隔検針システムを導入する場合、集合住宅の各戸にスマートメータと呼ばれる次世代の電力メータが設置され、電力使用量の検針が例えば30分毎に行われる。検針データは電力メータの通信機能によって電力会社のサーバに転送される。
PLC(Power Line Communication:電力線通信)を利用した遠隔検針システムでは、電力線モデムが電力メータに内蔵(または外付け)され、検針データが電力線経由で収集される。各電力メータには電力線モデムの子機(子機モデム)が設けられ、多数の電力メータからの検針データは子機モデムから電力線モデムの親機(親機モデム)に送られ、親機モデムからWAN(Wide Area Network:広域通信ネットワーク)経由でサーバに転送される。このシステムでは電力メータが接続された電力線を通信路として利用するので、新規に通信線を敷設する必要がなく、導入コストの面で非常に有利である。
親機モデムと子機モデムとの間の通信品質を高めるため、例えば特許文献1には、低圧配電線の中性線(接地線)に誘導結合方式により接続された親機モデムと、2本の非接地線のいずれか一方と接地線との両方に容量結合方式により接続された子機モデムとを備えた電力線通信システムが開示されている。また特許文献2には、トランスや分電盤、電力メータでの信号損失が大きいことを考慮して、それらをバイパスする信号線を設けた構成を有する電力線通信システムが開示されている。また特許文献3には、配電盤などにブロッキングフィルタを配置して電力線通信ネットワークを相互に分離する電力線通信システムが開示されている。
特開2013−118593号公報 特許第4341894号公報 特開2008−118658号公報
集合住宅の多くは敷地内に変電設備を有しており、高圧配電線は変電設備を収容する電気室に引き込まれ、電気室内で商用電圧に変換された後、建物内の各戸に配電される。ここで、集合住宅内の戸数が多い場合、低圧配電線を複数の系統に分岐させる必要がある。配電系統ごとに親機モデムを用意する場合には、各親機モデムをWANに接続するための回線コストが増加するという問題がある。また親機モデムは多機能であるため高価であり、親機モデムの設置台数の増加により設備コストが増加するという問題もある。
したがって、低圧配電線が複数に分岐している電力線ネットワークでは、各低圧配電線上の子機モデムに対して共通する1つの親機モデムを用いることが望ましい。特に、電気室に親機モデムを設置できない場合には、いずれか一つの分岐線に接続された一つの電力メータ内に親機モデムを設け、他のすべての電力メータには子機モデムを搭載することにより、子機モデムが搭載された電力メータの検針データは、電力線ネットワークを介して1つの親機モデムに転送され、親機モデムを介してセンターに転送するという形態が望ましい。
しかし、高層マンションなどの大規模な集合住宅では、変圧器が設置された電気室から需要者宅までの距離が非常に長い場合があり、仮に電気室に最も近い需要者宅の電力メータに親機モデムを設置したとしても、別系統の子機モデムとの間で通信する場合には、信号の減衰によって通信ができないという問題が生じる。信号の減衰をカバーするため、例えば信号を中継するリピータ装置を電気室内又はその近傍に設けることも可能であるが、その場合には設置コスト(機器コスト・工事コスト)やランニングコストが増えたり、リピータ装置が故障してしまうと、配下の子機モデムとの通信が不可能になるという問題がある。
また、親機モデムが設置された系統の分岐線と、別系統の分岐線とをバイパス線にて接続し通信を行う方法もあるが、各系統の分岐線が別々のパイプシャフトに収容されていることが一般的であり、バイパス線を設置するための工事は大規模なものとなり、コストもかかることから容易ではない。
さらに、リピータ装置を設置する場合やバイパス線の設置する場合には、工事を行う際に停電させることが必要になるため、必然的に集合住宅の管理組合などから承認を得るためのハードルが高くなってしまう。
また、電気室に最も近い需要者宅の電力メータに親機モデムを設置する場合には、親機モデムの接続点(信号注入点)よりも下流側に他の多数の需要者宅内の家電機器が存在することになるため、接続点よりも下流側の低圧配電線のインピーダンスが低くなる一方、電気室側はトランスまでのケーブルが長く、インピーダンスが高く見えるため、親機モデムからの信号が下流側に流れやすい反面、上流側に流れにくいという問題がある。すなわち、親機モデムからの信号が別系統の子機モデムまで届きにくく、別系統の電力線モデム間の通信品質が悪い、あるいは全く信号が届かないという問題がある。
したがって、本発明の目的は、変圧器の二次側から分岐した複数の低圧配電線によって構成される電力線ネットワークに接続された電力線モデム間の通信品質を向上させることが可能な遠隔検針システムを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明による遠隔検針システムは、高圧配電線の電圧を降圧して商用電圧に変換する変圧器と、前記変圧器の二次側から分岐した第1及び第2の低圧配電線と、前記第1の低圧配電線に接続された第1の電力メータと、前記第1の低圧配電線に接続され、前記変圧器から見て前記第1の電力メータよりも遠方に配置された第2の電力メータと、前記第2の低圧配電線に接続された第3の電力メータと、前記第1の電力メータ内に設けられた親機モデムと、前記第2の電力メータ内に設けられ、前記第1の低圧配電線を通じて前記親機モデムと電力線通信を行う第1の子機モデムと、前記第3の電力メータ内に設けられ、前記第1及び第2の低圧配電線を通じて前記親機モデムと電力線通信を行う第2の子機モデムと、前記第1の低圧配電線上であって前記変圧器から見て前記第1の電力メータよりも遠方に設置された少なくとも一つの円環形状の磁性コアを含む信号調整器とを備え、前記信号調整器は、前記磁性コアの中空部に前記第1の低圧配電線が挿通されるように設置され、設置位置より下流側の前記第1の子機モデムとの通信が確保できる程度に前記親機モデムからの信号レベルを抑えつつ前記親機モデムの接続点より上流側へ送り出される信号レベルを強くすることを特徴とする。
本発明によれば、親機モデムの接続点よりも下流側の電力線のインピーダンスが磁性コアを含む信号調整器によって高められるので、親機モデムから信号調整器を通過して下流側へ送り出されるPLC信号の信号レベルは、信号調整器を設けない場合に比べて少し低くなるものの、親機モデムと下流側の子機モデムの通信が確保できる程度の信号レベルに調整され、親機モデムの接続点から上流側へ送り出されるPLC信号の信号レベルは、下流側への信号レベルが低くなった分だけ高くなるため、親機モデムと第2の子機モデムとの間で送受信される信号のレベルを信号調整器を設けない場合に比べて強めることができる。したがって、互いに別系統の低圧配電線に接続された親機モデムと子機モデムとの間の電力線通信の品質を高めることができる。
本発明において、前記信号調整器は、前記第1の電力メータと前記第2の電力メータとの間に設置されていることが好ましい。この構成によれば、信号調整器を設置したことによる効果を高めることができる。
本発明において、前記第1及び第2の低圧配電線の各々は、接地線と、第1の非接地線と、前記第1の非接地線に流れる電流とは逆相の電流が流れる第2の非接地線とを有する単相三線式の配電線であり、前記親機モデムの一対の信号端子の一方及び他方は、前記第1及び前記第2の非接地線にそれぞれ接続されており、前記信号調整器は、前記第1の非接地線に設けられる第1の磁性コアと、前記第2の非接地線に設けられる第2の磁性コアを有することが好ましい。
本発明において、前記第1及び第2の低圧配電線の各々は、接地線と、第1の非接地線と、前記第1の非接地線に流れる電流とは逆相の電流が流れる第2の非接地線とを有する単相三線式の配電線であり、前記親機モデムの一対の信号端子の一方及び他方は、前記第1及び前記第2の非接地線の少なくとも一方及び前記接地線にそれぞれ接続されており、前記信号調整器は、前記接地線に設けられる第3の磁性コアを有することもまた好ましい。
本発明によれば、変圧器の二次側から分岐した複数の低圧配電線によって構成される電力線ネットワークに接続された電力線モデム間の通信品質を向上させることが可能な遠隔検針システムを提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態による遠隔検針システムの構成を示すブロック図である。 図2は、遠隔検針システム1の構成を詳細に示すブロック図である。 図3は、磁性コア15A,15Cの構造の一例を示す略斜視図である。 図4は、電力線モデム8の構成を示す機能ブロック図であって、(a)は親機モデム8A、(b)は子機モデム8Bをそれぞれ示している。 図5は、本発明の第2の実施の形態による遠隔検針システムの構成を示すブロック図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態による遠隔検針システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、遠隔検針システム1は、マンション等の集合住宅3の電気室4に設けられた変圧器5Aと、変圧器5Aから分岐して並行に延びる第1〜第3の低圧配電線6A〜6Aと、第1〜第3の低圧配電線6A〜6Aのいずれかに接続され、需要者宅の電力使用量を検針する複数の電力メータ7(スマートメータ)と、各電力メータ7内に設けられた電力線モデム8と、第1の低圧配電線6A上に設けられた信号調整器15とを備えている。なお、図1において需要者宅の数字は部屋番号を示している。
変圧器5Aは、高圧配電線11から供給される6600Vの高電圧を商用電圧(100V又は200V)に降圧するためのものである。低圧配電線6A,6A,6Aの各々は、接地線(白相)、第1の非接地線(赤相)及び第2の非接地線(黒相)からなる単相三線式の配電線である。変圧器5Aの二次側の一端及び他端にそれぞれ接続された電力線6a,6cが第1及び第2の非接地線(赤相、黒相)であり、変圧器5Aの二次側の中点に接続された電力線6bが接地線である。電力線6a,6c間の電圧は200Vであり、電力線6a,6b間及び電力線6b,6c間の電圧はともに100Vである。低圧配電線6A,6A,6Aの各々は、分岐線によって需要者宅内に引き込まれており、分岐線の引き込み位置には電力メータ7が設けられている。さらに、需要者宅内に引き込まれた分岐線は分電盤(不図示)に接続され、分電盤から延びる複数の宅内配線には家電機器が接続されている。
各電力メータ7は電力線モデム8を内蔵しており、需要家宅の検針データは電力線モデム8を介して電力会社のサーバ(不図示)に送られる。電力線モデム8には親機モデム8Aと子機モデム8Bの2種類があり、親機モデム8Aを内蔵する電力メータ7は第1〜第3の低圧配電線6A,6A,6Aに共通して1台だけである。すなわち、親機モデム8Aはすべての電力メータ7の中から選ばれた一つの電力メータ7だけに搭載されており、残りの電力メータ7に搭載された電力線モデムはすべて子機モデム8Bである。
本実施形態において、親機モデム8Aは、第1の低圧配電線6A上の最も上流側(変圧器5A寄り)の需要者宅(101号室)の電力メータ7(第1の電力メータ)内に設置されている。親機モデム8Aをこのように設置する理由は、親機モデムとは別系統の低圧配電線6A2、6Aに接続された子機モデム8Bにできるだけ近づけるためである。第1の低圧配電線6A上の複数の電力メータ7のうち、変圧器5Aに最も近い位置にある電力メータ7内に親機モデムを設けることにより、親機モデム8Aと第2又は第3の低圧配電線6A2、6A上の子機モデム8Bとの間の信号伝送距離を短くすることができる。
図2は、遠隔検針システム1の構成を詳細に示すブロック図である。
図2に示すように、親機モデム8Aは第1の低圧配電線6Aに接続されており、それ以外の電力線モデムはすべて子機モデム8Bであり、これらは第1〜第3の低圧配電線6A,6A,6Aのいずれかに接続されている。親機モデム8A及び複数の子機モデム8Bは、第1〜第3の低圧配電線6A,6A,6Aによって構成される電力線ネットワークを介して相互に接続されて電力線通信システムを構成している。子機モデム8Bを内蔵する電力メータ7の検針データは、子機モデム8Bから親機モデム8Aに送られ、親機モデム8Aから図示しないWAN経由でサーバに転送する。
変圧器5Aから見て親機モデム8Aの接続点CP(信号注入点)よりも遠方の第1の低圧配電線6A上には、例えば第1及び第2の磁性コア15A,15Cからなる信号調整器15が設置されている。第1の磁性コア15Aは第1の非接地線である電力線6aに設けられており、第2の磁性コア15Cは第2の非接地線である電力線6cに設けられている。これは、親機モデム8Aの一対の信号端子が低圧配電線6Aの電力線6a,6cにそれぞれ接続されてPLC信号を重畳する構成となっていることに合わせたものである。
信号調整器15の設置位置は、親機モデム8Aに最も近い第1の低圧配電線6A上の子機モデム8Bの接続点よりも上流側であることが好ましい。すなわち、親機モデム8Aの接続点と、この親機モデム8Aが設置された電力メータ7を使用する需要者宅(101号室)の隣家(102号室)の電力メータ7(第2の電力メータ)内に設けられた子機モデム8B(第2の子機モデム)の接続点との間であることが好ましい。親機モデム8Aの接続点のできるだけ近くに信号調整器15を設けることによりその効果を高めることができる。
図3は、磁性コア15A,15Cの構造の一例を示す略斜視図である。
図3に示すように、磁性コア15A,15Cは、いわゆる二分割型のトロイダルコアであり、円筒形状(円環形状)の中心軸(Y軸)を含む平面で半割りしてなる第1コア部16aと第2コア部16bとで構成され、Y軸方向に電力線を挿通可能な貫通孔16cを有している。磁性コアの材料は特に限定されないが、フェライト等の磁性体からなることが好ましい。第1コア部16aと第2コア部16bは不図示の樹脂ケース等に収容されて円筒形状に固定される。
第1の磁性コア15Aには電力線6aのみが挿通されており、第2の磁性コア15Cの中空部には電力線6cのみが挿通されている。このように電力線に対する磁性コアの設置は非常にシンプルである。第1及び第2の磁性コア15A,15CはPLC信号の周波数に対するインピーダンスが高いため、第1及び第2の磁性コア15A,15Cを図示の位置に設置した場合には、設置位置よりも下流側の第1の低圧配電線6Aのインピーダンスが大きくなるので、親機モデム8Aの信号注入点から下流側に流れるPLC信号が抑えられ、逆に上流側に流れるPLC信号を強くすることができる。これにより、第2及び第3の低圧配電線6A,6A上の電力メータ7(第3の電力メータ)内の子機モデム8B(第2の子機モデム)にPLC信号が届くようになり、親機モデム8Aと子機モデム8Bとの間の通信品質を向上させることができる。
上記のように、電力線上の信号を減衰させる装置としてブロッキングフィルタも知られている。しかし、ブロッキングフィルタは信号が他系統や隣家に伝わらないように十分に減衰させる(実質的に遮断する)ための装置であり、例えば宅内ネットワークを閉じる目的であれば分電盤付近等、互いに分離したい2つの電力線ネットワークの境界に設置されるものである。これに対し、本実施形態による信号調整器15は、同一ネットワーク内に設置されるものであり、信号を減衰させることよりむしろ、信号注入点から見て信号調整器15の設置位置とは反対方向に広がるネットワークのできるだけ遠方まで信号が伝わりやすくすることを目的としており、また、信号減衰量も大きくせず必要最小限としているため、親機モデム8Aは、信号調整器15より下流に設置された子機モデム8Bとも問題なく通信できるようにしたものであって、ブロッキングフィルタとはその使用目的、設置場所、作用効果が異なる。
図4は、電力線モデム8の構成を示す機能ブロック図であって、(a)は親機モデム8A、(b)は子機モデム8Bをそれぞれ示している。
図4(a)に示すように、親機モデム8Aは、制御部21と、電力メータ7の計量部に接続されるメータインターフェース部22と、電力線ネットワークを構成する電力線に接続されるPLCインターフェース部23と、WANに接続されるWANインターフェース部24とを備えている。
制御部21は、PLCインターフェース部23を通じて電力線ネットワーク制御及び電力線通信制御を行う電力線通信制御機能、子機モデムから検針データを収集する機能、収集した検針データを電力会社のサーバへと送信する機能、メータインターフェース部22を通じてメータ通信制御を行う計量制御機能、WANインターフェース部24を通じてWAN制御機能を有し、モデム全体を統合的に制御する。特に限定されないが、WANは、3GやLTEなどの携帯電話回線、公衆無線LANなどを含む公衆無線通信回線網であることが好ましい。
図4(b)に示すように、子機モデム8Bは、制御部21と、電力メータ7の計量部に接続されるメータインターフェース部22と、電力線ネットワークを構成する電力線に接続されるPLCインターフェース部23とを備えている。PLCインターフェース部23は、親機モデム8Aとの通信機能の他、親機モデム8Aと直接通信できない子機モデム8Bとの間を取り持つリピータ機能も有する。つまり、子機モデムから検針データを収集する機能、収集した検針データを電力会社のサーバへと送信する機能、及びWANインターフェース部24が省略されている点が親機モデム8Aと異なっており、その他の構成は親機モデム8Aとほぼ同じである。
このように、本実施形態では親機モデム8Aがメータインターフェース部22を備えているので、子機モデム8Bと同様に電力メータ7に内蔵されて検針データの転送を行うことができる。この場合、メータインターフェース部22を通じて入力された検針データはWANインターフェース部24を通ってサーバ側に転送される。この点は、メータインターフェース部22を通じて入力された検針データがPLCインターフェース部23から電力線上に送出される子機モデム8Bの動作と異なっている。
以上説明したように、本実施形態による遠隔検針システム1は、親機モデム8Aの接続点よりも下流側の電力線のインピーダンスが磁性コア15A,15Cによって高められているので、親機モデム8Aの接続点から上流側へ送り出されるPLC信号の信号レベルを大きくすることができる。したがって、同一系統の子機モデム8Bと通信を確保しながら互いに別系統の低圧配電線に接続された親機モデム8Aと子機モデム8Bとの間の電力線通信の品質を高めることができる。
また、信号調整器15の構成はシンプル(受動素子)であることから、信頼性も高く、無停電で設置工事できることから、従来のリピータ装置やブロッキングフィルタと比較して集合住宅の管理組合などから設置の承認を得やすく、導入コストやハードルも低く抑えることが可能である。
図5は、本発明の第2の実施の形態による遠隔検針システムの構成を示すブロック図である。
図5に示すように、遠隔検針システム2の特徴は、親機モデム8A及び子機モデム8Bが低圧配電線6Aの接地線である電力線6bにPLC信号を重畳する構成を有しており、これに合わせて信号調整器15も電力線6bに設置する磁性コア15Bを有している点にある。より詳細には、親機モデム8Aの一対の信号端子の一方が電力線6bに接続され、他方が電力線6a及び6cの両方に接続されている。これによって、6a及び6bを使ったループと6c及び6bを使ったループを構成することができる。その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、磁性コア15Bの構造は図3に示した磁性コア15A,15Cと同一である。
本実施形態による遠隔検針システム2もまた、親機モデム8Aの接続点よりも下流側の電力線のインピーダンスが磁性コア15Bによって高められているので、親機モデム8Aの接続点から上流側へ送り出されるPLC信号の信号レベルを大きくすることができる。したがって、互いに別系統の低圧配電線に接続された親機モデム8Aと子機モデム8Bとの間の電力線通信の品質を高めることができる。勿論、信号の減衰量も必要最小限に抑えているので、親機モデム8Aの下流の子機モデム8Bとも通信は可能である。
本発明において、101号室の電力メータ7に設けられた親機モデム8Aが、同一系統の低圧配電線6A に接続された201号室の電力メータ7に設けられた子機モデム8B、別系統の低圧配電線6Aに接続された102号室の電力メータ7に設けられた子機モデム8B、及び別系統の低圧配電線6Aに接続された103号室の電力メータ7に設けられた子機モデム8Bとの通信が可能であれば、すべての子機モデム8Bと親機モデム8Aとの通信を実現することができる。これは、201号室、102号室、103号室の各子機モデム8Bをリピータ機能付き子機モデムとすることで実現することができる。(例えば、特開2011−041228参照)このように、リピータ機能付き子機モデムを適切に配置することで、より大規模な集合住宅についても1つの親機モデムで自動検針を実現することができる。



以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においては、電力線ネットワークが変圧器の2次側から分岐した第1〜第3の低圧配電線6A,6A,6Aを有しているが、本発明において低圧配電線の分岐数は特に限定されず、2分岐以上であれば何分岐であってもよく、さらに分岐の形態も特に限定されない。
また、上記実施形態において親機モデム8Aは第1の低圧配電線6Aの最も上流側に位置する101号室の需要家宅の電力メータ7内に設置されているが、本発明はこのような構成に限定されず、上流に近い需要家宅の電力メータ7内であればどの電力メータ7であってもよい。したがって、例えば102号室や103号室の電力メータ7内に親機モデム8Aが設置された構成であってもよい。
また、上記実施形態においては、磁性コア15A,15B,15Cとして2分割型トロイダルコアを用いているが、本発明はこれに限定されず、フレキシブルな磁性シートを電力線に巻き回したものであってもよい。
また、上記第1の実施の形態では電力線6a,6cに磁性コア15A,15Cをそれぞれ設けるが電力線6bには磁性コアを設けない構成とし、上記第2の実施形態では電力線6bに磁性コア15Bを設けるが電力線6a,6cには磁性コアを設けない構成としているが、上記第1及び第2の実施の形態において電力線6a,6b,6cの各々に一律に磁性コアを設けても構わない。このようにすることで、電力線に対する電力線モデムの接続形態を気にせずに信号調整器を容易に設置することができる。
また、上記第1の実施の形態では、電力線6aのみもしくは6cのみに磁性コアを設ける構成でも構わない。上記第2の実施の形態では、6aと6cの両方に設置する構成でも構わない。
1 遠隔検針システム
2 遠隔検針システム
3 集合住宅
4 電気室
5A 変圧器
6A 第1の低圧配電線
6A 第2の低圧配電線
6A 第3の低圧配電線
6a 電力線(第1の非接地線)
6b 電力線(接地線)
6c 電力線(第2の非接地線)
7 電力メータ(スマートメータ)
8 電力線モデム
8A 親機モデム
8B 子機モデム
9 需要家宅内
11 高圧配電線
15 信号調整器
15A 磁性コア
15B 磁性コア
15C 磁性コア
16a 第1コア部
16b 第2コア部
16c 貫通孔
21 制御部
22 メータインターフェース部
23 PLCインターフェース部
24 WANインターフェース部

Claims (4)

  1. 高圧配電線の電圧を降圧して商用電圧に変換する変圧器と、
    前記変圧器の二次側から分岐した第1及び第2の低圧配電線と、
    前記第1の低圧配電線に接続された第1の電力メータと、
    前記第1の低圧配電線に接続され、前記変圧器から見て前記第1の電力メータよりも遠方に配置された第2の電力メータと、
    前記第2の低圧配電線に接続された第3の電力メータと、
    前記第1の電力メータ内に設けられた親機モデムと、
    前記第2の電力メータ内に設けられ、前記第1の低圧配電線を通じて前記親機モデムと電力線通信を行う第1の子機モデムと、
    前記第3の電力メータ内に設けられ、前記第1及び第2の低圧配電線を通じて前記親機モデムと電力線通信を行う第2の子機モデムと、
    前記第1の低圧配電線上であって前記変圧器から見て前記第1の電力メータよりも遠方に設置された少なくとも一つの円環形状の磁性コアを含む信号調整器とを備え
    前記信号調整器は、前記磁性コアの中空部に前記第1の低圧配電線が挿通されるように設置され、設置位置より下流側の前記第1の子機モデムとの通信が確保できる程度に前記親機モデムからの信号レベルを抑えつつ前記親機モデムの接続点より上流側へ送り出される信号レベルを強くすることを特徴とする遠隔検針システム。
  2. 前記信号調整器は、前記第1の電力メータと前記第2の電力メータとの間に設置されている、請求項1に記載の遠隔検針システム。
  3. 前記第1及び第2の低圧配電線の各々は、接地線と、第1の非接地線と、前記第1の非接地線に流れる電流とは逆相の電流が流れる第2の非接地線とを有する単相三線式の配電線であり、
    前記親機モデムの一対の信号端子の一方及び他方は、前記第1及び前記第2の非接地線にそれぞれ接続されており、
    前記信号調整器は、前記第1の非接地線に設けられる第1の磁性コアと、前記第2の非接地線に設けられる第2の磁性コアを有する、請求項1又は2に記載の遠隔検針システム。
  4. 前記第1及び第2の低圧配電線の各々は、接地線と、第1の非接地線と、前記第1の非接地線に流れる電流とは逆相の電流が流れる第2の非接地線とを有する単相三線式の配電線であり、
    前記親機モデムの一対の信号端子の一方及び他方は、前記第1及び前記第2の非接地線の少なくとも一方及び前記接地線にそれぞれ接続されており、
    前記信号調整器は、前記接地線に設けられる第3の磁性コアを有する、請求項1又は2に記載の遠隔検針システム。
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