JP6441472B2 - 活性成分として外因性ミトコンドリアを含む組成物、ならびにその使用およびそのための細胞修復法 - Google Patents

活性成分として外因性ミトコンドリアを含む組成物、ならびにその使用およびそのための細胞修復法 Download PDF

Info

Publication number
JP6441472B2
JP6441472B2 JP2017517341A JP2017517341A JP6441472B2 JP 6441472 B2 JP6441472 B2 JP 6441472B2 JP 2017517341 A JP2017517341 A JP 2017517341A JP 2017517341 A JP2017517341 A JP 2017517341A JP 6441472 B2 JP6441472 B2 JP 6441472B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mitochondria
cells
cell
group
exogenous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017517341A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017530148A (ja
Inventor
鴻 麟 蘇
鴻 麟 蘇
學 敏 曾
學 敏 曾
詩 芳 ▲呉▼
詩 芳 ▲呉▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiwan Mitochondrion Application Technology Co Ltd
Original Assignee
Taiwan Mitochondrion Application Technology Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiwan Mitochondrion Application Technology Co Ltd filed Critical Taiwan Mitochondrion Application Technology Co Ltd
Publication of JP2017530148A publication Critical patent/JP2017530148A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6441472B2 publication Critical patent/JP6441472B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/96Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing materials, or derivatives thereof of undetermined constitution
    • A61K8/98Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing materials, or derivatives thereof of undetermined constitution of animal origin
    • A61K8/981Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing materials, or derivatives thereof of undetermined constitution of animal origin of mammals or bird
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/37Digestive system
    • A61K35/407Liver; Hepatocytes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/02Inorganic compounds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0012Galenical forms characterised by the site of application
    • A61K9/0019Injectable compositions; Intramuscular, intravenous, arterial, subcutaneous administration; Compositions to be administered through the skin in an invasive manner
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/08Solutions
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q19/00Preparations for care of the skin
    • A61Q19/08Anti-ageing preparations
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K2800/00Properties of cosmetic compositions or active ingredients thereof or formulation aids used therein and process related aspects
    • A61K2800/74Biological properties of particular ingredients

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Developmental Biology & Embryology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Gerontology & Geriatric Medicine (AREA)
  • Birds (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Physiology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Cosmetics (AREA)

Description

本開示は、損傷したミトコンドリアを含む細胞の抗老化および修復方法に関し、より具体的には、活性成分として外因性ミトコンドリアを含む組成物、ならびにその使用およびそのための細胞修復法に関する。
細胞中のミトコンドリアは、細胞へのエネルギーの供給およびアデノシン三リン酸(ATP)の生成に関与する。ミトコンドリアは、細胞内のエネルギー必要量の違いまたは細胞ストレスの違いに応じて動的に変形し、そのためミトコンドリアは、常に単一のミトコンドリア状態にあるわけではない。具体的には、細胞のエネルギー必要量が増加すると、ミトコンドリアは、連続的に分裂することによって、ATPを迅速に生成する。一方、細胞が飢餓状態のときには、ミトコンドリアは、エネルギーの生成および消費を減少させるために融合し、それによって正常な生理機能を維持する。さらに、ミトコンドリアが膜電位低下およびミトコンドリアDNA(mtDNA)変異などのような損傷を受けたときにも、ミトコンドリアは、相同組換えにより損傷したmtDNAを置き換えるために融合し、またミトコンドリアに変異mtDNAが多く蓄積しすぎて、ミトコンドリアが修復できないときには、変異mtDNAを含むミトコンドリアは、オートファゴソームにより排除され、正常なミトコンドリアのみが保持される(Lamb CA他、2013年)。その結果、細胞中に損傷したミトコンドリアが同時に多く存在しすぎて排除できないときには、その細胞は細胞アポトーシスに至る(Mukhopadhyay S他、2014年)。
ミトコンドリアの欠損および不足は、レーベル遺伝性視神経症、ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、および脳卒中様発作(MELAS)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)などのような多くの疾患に関連している。さらに、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病などのような神経変性疾患は、ミトコンドリアの分裂および融合障害に関連する(Ghavami S他、2014年)。さらに、老化現象または年齢もミトコンドリア中の変異mtDNAの量を増加および蓄積させ、これにより加齢性黄斑変性(AMD)(Brennan LA他、2014年;Jarrett SG他、2010年)、皮膚老化(Blatt T他、2005年;Makrantonaki他、2007年)などのような多数の関連疾患が引き起こされる。
皮膚老化を遅延させるために、人々はヒアルロン酸、ビタミンAおよびビタミンC、抗酸化剤、日焼け止め剤などのような多くの化粧品を使用したり、レーザー、ボツリヌス菌、高周波スキンタイトニングなどのような老化現象を軽減するための医療美容クリニックを探し求めたりしている。しかしながら、従来の美容法では、皮膚老化の発生を軽減または遅延させることができない。別の研究により、間葉系幹細胞の注入が、皮膚のしわのような老化現象を効果的に軽減することができることが裏付けられ、そのため幹細胞治療は、老化現象を遅延させる機会であると考えられている。しかしながら、実際には、幹細胞は入手が困難であり、幹細胞の大規模培養には時間と費用がかかりすぎる。さらに、幹細胞移植には、腫瘍または拒絶反応を引き起こす変異などのリスクがある。その結果、皮膚老化を効果的に軽減する安全性が高い方法は現在のところ存在しない。
1989年の研究は、外因性ミトコンドリアを共培養するために細胞に供給すると、その外因性ミトコンドリアが、直接注入または膜融合後に細胞に侵入することができ、それにより遺伝子欠損を有するミトコンドリアを含む細胞が正常な機能を回復することを示している(King MP他、1988年;King MP他、1989年)。多くの研究は、細胞とミトコンドリアとを単に共培養するだけでは、ミトコンドリアを細胞に侵入させられないことも確認しており(Chang JC他、2013年;Spees JL他、1989年)、したがって細胞に直接供給された外因性ミトコンドリアが細胞に侵入するかどうかは確認することができない。従来技術によると、異なる細胞の外因性ミトコンドリアを取り込む能力は異なることがある。したがって、ミトコンドリアが細胞に侵入する経路が解明されていなければ、研究者は、実験条件を調整してこのミトコンドリアに関する実験を繰り返すことができない。
さらに、細胞は細菌などのような外因性物質を食作用によって取り込むことができるが、食作用によって取り込まれた外因性物質は、リソソームとともにファゴリソソームを形成し、それによってこの外因性物質は分解される。その結果、外因性ミトコンドリアは、食作用により細胞中に保持することができず、内因性ミトコンドリアを修復することができないと一般に考えられている。最近の研究は、米国特許第8,648,034号に開示されている細胞透過性ペプチド、または米国特許公報第2013/0022666号に開示されているリポソームコーティングミトコンドリアを使用してミトコンドリアが細胞膜と融合するのを助け、このミトコンドリアは、容易に細胞に侵入して細胞の酸化的呼吸を改善する。しかしながら、上記の方法は、ミトコンドリアが細胞に侵入するのを助けるが、細胞透過性ペプチドまたはリポソームのようなこれらの方法の担体は、ミトコンドリア破壊および細胞膜破壊を誘発することがあり、これはミトコンドリアに損傷を与え、標的細胞に対して毒性を示す。
本開示の主目的は、有効量の外因性ミトコンドリアを含む組成物を提供することである。
本開示の別の目的は、損傷したミトコンドリアの修復または細胞老化の軽減のための組成物の使用を提供することである。
本開示の別の目的は、外因性ミトコンドリアが完全に細胞内に送り込まれ、それによって損傷した細胞を修復する効果、細胞老化を軽減または防止する効果が得られるように、有効量の外因性ミトコンドリアを個人に投与するステップを含む、細胞修復法を提供することである。
上記の目的を達成するために、本開示の実施形態は、外因性ミトコンドリアおよび少なくとも1つの薬学的または化粧品的に許容される担体を含む組成物を開示する。
好ましくは、この組成物はアジュバントをさらに含み、このアジュバントは、血清、血漿、補体、および上記成分のうちの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される。
好ましくは、外因性ミトコンドリアは細胞から抽出される。
好ましくは、外因性ミトコンドリアは、遠心精製法により細胞から得られる。
本開示の別の実施形態では、上記の医療組成物の使用は、皮膚細胞の老化を軽減または防止するためのものである。
本開示のさらに別の実施形態では、上記の医療組成物の使用は、損傷した細胞を修復するためのものである。
本開示の実施形態で開示される細胞修復法は、外因性ミトコンドリアが細胞に侵入し、老化したミトコンドリアまたは損傷したミトコンドリアの代わりとなるように、有効用量の外因性ミトコンドリアを個人に投与するものである。
好ましくは、外因性ミトコンドリアを個人に投与する前に、外因性ミトコンドリアは、血清、血漿、および補体からなる群から選択された少なくとも1つの成分で前処理される。
本開示の有益な効果は、以下の通りである。第1に、外因性ミトコンドリアを使用することで、従来技術における同種細胞移植により誘発される拒絶反応を克服することができる。第2に、外因性ミトコンドリアは、幅広い供給源であり、またヒトの健康に対して有害でない、正常細胞株または生体から得ることができる。例えば、既知の細胞移植技法は、がんまたは腫瘍の発生につながることがある。第3に、外因性ミトコンドリアは、細胞に直接侵入して、内因性ミトコンドリアと融合し、それによって老化した細胞または損傷した細胞中の損傷したミトコンドリアの代わりとなることができ、細胞の酸化的ストレスを軽減する効果、細胞の正常な機能を回復する効果、および細胞の長期的かつ直接的な保護を提供する効果を得ることができる。第4に、外因性ミトコンドリアは、血清または補体での処理後、完全に細胞に侵入することができ、細胞透過性ペプチドまたはリポソームでの処理により誘発される細胞毒性効果を回避することができる。
第5に、外因性ミトコンドリアは、しわおよび皮膚老化現象を根本的に軽減し、コラーゲン合成の増加を効果的に誘発することができる。
したがって、本開示において開示される医薬組成物は、高い安全性を示し、有効用量の医薬組成物を個人に投与することにより、外因性ミトコンドリアが細胞に侵入すると、損傷したミトコンドリアを含む細胞を修復する効果および老化現象を軽減する効果が得られる。
赤色蛍光標識したミトコンドリアおよび緑色蛍光LysoTracker染色したBHK細胞を1時間共培養した後の、細胞中の取り込まれたミトコンドリアおよびリソソームの相対位置を示す図である。 赤色蛍光標識したミトコンドリアおよびBHK細胞を4時間共培養した後の、細胞中の取り込まれたミトコンドリアおよびのリソソームの相対位置を示す図である。 細胞に取り込まれた外因性ミトコンドリアの走査型電子顕微鏡での観察結果を示す図であり、四角の枠は、取り込まれたミトコンドリアを低倍率で示し、矢印は、細胞の仮足により取り込まれたミトコンドリアを高倍率で指し示している。 細胞に取り込まれた外因性ミトコンドリアの走査型電子顕微鏡での観察結果を示す図であり、四角の枠は、取り込まれたミトコンドリアを低倍率で示し、矢印は、細胞の仮足により取り込まれたミトコンドリアを高倍率で指し示している。 赤色蛍光標識したミトコンドリアおよびファロイジン−FITC染色したBHK細胞を4時間共培養した後の、BHK細胞に侵入するミトコンドリアの観察結果を示す図であり、白色の線は10μmを示す。 BHK細胞をアクチノマイシンD(ActD)で処理した後の、BHK細胞に侵入する赤色ミトコンドリアの結果を示す図であり、白色の線は10μmを示す。 図4(AcDで処理していないBHK細胞)および図5(AcDで処理してたBHK細胞)における、外因性ミトコンドリアを含む細胞の割合の統計結果を示す図である。 補体で処理していない赤色外因性ミトコンドリアおよび緑色蛍光ミトコンドリアを含むBHK細胞を4時間共培養した後の、取り込まれたミトコンドリアおよび細胞中のミトコンドリアの相対位置を示す図であり、矢印は、細胞中で外因性ミトコンドリアと内因性ミトコンドリアとが重なった位置を示す、黄色蛍光を指す。 10μg/mLのC3補体で処理した外因性ミトコンドリアおよび緑色蛍光ミトコンドリアを含むBHK細胞を4時間共培養した後の、取り込まれたミトコンドリアおよび細胞中のミトコンドリアの相対位置を示す図であり、矢印は、細胞中で外因性ミトコンドリアと内因性ミトコンドリアとが重なった位置を示す、黄色蛍光を指す。 外因性ミトコンドリアを示す赤色蛍光シグナルと内因性ミトコンドリアを示す緑色蛍光シグナルとが重なった状態を示す、図7Bの赤色直線部分の走査型共焦点顕微鏡による観察結果および分析を示す図である。 電子顕微鏡により観察される、未処理のミトコンドリアの外観を示す図である。 電子顕微鏡により観察される、血清で処理したミトコンドリアの外観を示す図である。 電子顕微鏡により観察される、C3補体で処理したミトコンドリアの外観を示す図である。 電子顕微鏡により観察される、Pep−1細胞透過性ペプチドで処理したミトコンドリアの外観を示す図である。 外因性ミトコンドリアおよびHUVEC細胞を共培養した後の、HUVEC細胞に侵入するミトコンドリアの結果を示す図である。 SA β−gal染色後にさまざまな手段で処理したHUVEC細胞群それぞれの結果を示す図である。 SA β−gal染色後にさまざまな手段で処理したHUVEC細胞群それぞれの結果を示す図である。 SA β−gal染色後にさまざまな手段で処理したHUVEC細胞群それぞれの結果を示す図である。 マウスの真皮線維芽細胞に侵入する赤色蛍光タンパク質を含む外因性ミトコンドリアの走査型共焦点顕微鏡による観察結果を示す図である。 第I群〜第IV群のヌードマウスの外因性ミトコンドリアによる処置後の皮膚表面を顕微鏡で観察した画像である。 第I群〜第IV群のヌードマウスの外因性ミトコンドリアによる処置後の皮膚表面を顕微鏡で観察した画像である。 第I群〜第IV群のヌードマウスの外因性ミトコンドリアによる処置後の皮膚表面を顕微鏡で観察した画像である。 第I群〜第IV群のヌードマウスの外因性ミトコンドリアによる処置後の皮膚表面を顕微鏡で観察した画像である。 外因性ミトコンドリアによる処置後の各群のヌードマウスの皮膚のしわの粗さの分析結果を示す図である。 マッソン三色染色後の各群のヌードマウスの皮膚組織切片の結果を示す図である。 マッソン三色染色後の各群のヌードマウスの皮膚組織切片の結果を示す図である。 マッソン三色染色後の各群のヌードマウスの皮膚組織切片の結果を示す図である。 マッソン三色染色後の各群のヌードマウスの皮膚組織切片の結果を示す図である。
別途定義しない限り、本明細書および特許請求の範囲における技術用語および科学用語の意味は、本開示の技術分野の当業者が理解する一般的な意味と同様である。矛盾がある場合には、本開示における意味が基準とされる。
「有効用量」という用語は、特定の効果を生じるのに必要な化合物または有効成分の用量を意味し、これは組成物中の重量パーセントで示すことができる。本開示の技術分野の当業者に周知のように、有効用量は、特定の効果を生じるために、投与経路によって変更される。一般に、組成物中の有効成分または化合物の重量パーセントでの用量は、1%以上100%以下であってよく、より好ましくは約30%以上100%以下である。
「薬学的または化粧品的に許容される担体」という用語は、あらゆる基準の医薬製品または化粧品に使用される担体を含み、この担体は、組成物の形態によって、固体、半固体、または液体であってよい。例えば、担体には、ゼラチン、乳化剤、炭化水素混合物、水、グリセロール、生理食塩水、緩衝食塩水、ラノリン、パラフィン、蜜蝋、ジメチルシリコーンオイル、およびエタノールがあるが、これらに限定されない。
「組成物」という用語は、特定の効果を生じるための有効量の化合物または有効成分、および少なくとも1つの担体を含む。本開示の技術分野の当業者に周知のように、組成物の形態は、トローチ剤、粉剤、注射剤など、特定の効果を誘発するために、投与経路によって変更することができ、担体も組成物の形態によって固体、半固体、または液体であってよい。
「投与する」という用語は、目的物を個人の特定の部分、特定の細胞、特定の標的に送達するための経路、または個人に接触するための手段を意味する。一般に、投与経路には、経口、塗布、噴霧、吸入、注入などがあるが、これらに限定されない。
以下において、本開示の効果をさらに説明するために、いくつかの実施形態を詳細に説明する。しかしながら、これらの実施形態は、説明のための例であり、説明に使用するいかなる表現も本開示の明細書および請求項の範囲および意味を制限するものではない。
(実施形態1)
<蛍光標識したミトコンドリア>
ミトコンドリアシグナルペプチドを担持する赤色蛍光タンパク質DsRedまたは緑色蛍光をベビーハムスター腎臓線維芽細胞(BHK−21細胞)にトランスフェクトし、それによって、G418抗生物質およびフローサイトメーターを用いたスクリーニングにより、赤色蛍光タンパク質を連続的に発現することができるRedM−BHK細胞またはGFP−BHK細胞を得る。
(実施形態2)
<ミトコンドリアをBHK細胞から分離する>
培養BHK細胞の細胞数が2×10に達したら、SHE緩衝液(0.25M ショ糖、0.5mM EGTA、および3mM HEPES−NaOH、pH7.2)を加えて細胞培養皿を洗浄し、これを1000xgで3分間遠心分離する。そこから上澄みを取り除いた後、その中に2mLのSHE緩衝液を加え、これをDounceホモジナイザーで約15回粉砕するが、この操作は、細胞およびミトコンドリアへの損傷を軽減するために氷上で実施する。粉砕終了後、ホモジネート溶液を1000xgで15分間遠心分離して沈殿物を取り除き、その後これを9000xgで10分間遠心分離し、最後に、最終沈殿物を50μLのSHE緩衝液に溶解した後、そこにプロテアーゼ阻害剤を加え、これを4℃で保管する。
(実施形態3)
<ミトコンドリアが細胞に侵入する経路を確認する>
この実施形態では、ミトコンドリアが細胞に侵入する移動経路を追跡するために、外因性ミトコンドリアを加えて、移動しているミトコンドリアおよびリソソームの位置をさまざまな時点で観察する。
まず、ミトコンドリアを赤色蛍光タンパク質DsRedで標識し、細胞中のリソソームの位置を確認するために、緑色蛍光を示すLysoTrackerでBHK細胞をトランスフェクトする。赤色蛍光タンパク質で標識した外因性ミトコンドリア5μg、およびLysoTrackerで処理したBHK細胞を用意し、それらを室温で共培養する。1時間および4時間の培養時に、BHK細胞に侵入する外因性ミトコンドリアの状況、および外因性ミトコンドリアとリソソームとの相対位置を走査型共焦点顕微鏡で観察し、その結果を図1および図2に示す。
図1に示すように、赤色蛍光を示す外因性ミトコンドリアを1時間培養した後、これらの外因性ミトコンドリアはBHK細胞の周囲に分布する。図2に示すように、4時間培養後、赤色蛍光を示す外因性ミトコンドリアの一部とLysoTrackerシグナルの緑色蛍光とが重なる。上記の結果によると、外因性ミトコンドリアおよびリソソームは、外因性ミトコンドリアが細胞に侵入した後、細胞中の同じ位置に位置し、したがって外因性ミトコンドリアが食作用によって細胞に侵入することが推測される。
BHK細胞に侵入する外因性ミトコンドリアの状況を走査型電子顕微鏡によりさらに観察する。図3Aおよび図3Bに示すように、図3Aは、低倍率での観察結果であり、図中の四角の枠は、細胞に取り込まれたミトコンドリアを示しており、図3Bは、高倍率での観察結果であり、図中の矢印は、細胞の仮足により取り込まれたミトコンドリアを指す。したがって、図3Aおよび図3Bの結果は、BHK細胞が仮足を伸ばして外因性ミトコンドリアを覆うことを示しており、このことは外因性ミトコンドリアが細胞に侵入する経路が食作用であることを裏付ける。
さらに、BHK細胞をファロイジン−FITCで染色して、細胞内のアクチンを標識し、細胞の種類を示す。染色したBHK細胞および赤色蛍光標識した外因性ミトコンドリアを37℃で4時間培養した後、図4に示すように、多数のミトコンドリアが細胞に侵入することがわかる。しかしながら、BHK細胞の食作用が阻害されるように、BHK細胞を20μMアクチノマイシンD(ActD)で処理すると、図5に示すように、外因性ミトコンドリアが細胞に全く侵入できないことがわかる。異なる手段で処理された上記の細胞に侵入する外因性ミトコンドリアの数を計算し、結果を図6に示す。
上記の結果によると、単に外因性ミトコンドリアを細胞に供給したとき、細胞は食作用によりミトコンドリアを取り込み、それによってミトコンドリアは細胞に侵入することができる。
(実施形態4)
<血清はミトコンドリアが細胞に侵入するのを助ける>
希釈したウシ胎仔血清(GIBCO)を用意し、赤色タンパク質で標識した外因性ミトコンドリアと血清とを1時間混合してから、上澄み中の血清を遠心分離で取り除き、その後沈殿物をSHE緩衝液で溶解して元の容積に戻す。BHK細胞をファロイジン−FITCで染色して、染料とF−アクチンとの特異結合により、細胞膜の界面を画定する。
このBHK細胞を4群に分ける。第I群はブランク試料であり、第II群は1,000倍に希釈した血清と混合し、第III群は500倍に希釈した血清と混合し、第IV群は100倍に希釈した血清と混合する。上述のSHE溶液からミトコンドリアを抽出し、このミトコンドリアと各群のBHK細胞とを37℃で4時間培養する。次に、細胞に入る赤色蛍光を示すミトコンドリアの状況をレーザーコンジュゲーションフォーカシング顕微鏡で観察し、赤色ミトコンドリア含む単一細胞の数を分析する。この結果を下記の表1に示す。表1は、一元配置分散分析試験法により分析したものである。アスタリスクは、p値がブランク群である第1群との統計的に有意な差である0.05以下であることを示す。
上記の表1の結果によると、血清の存在下では、外因性ミトコンドリアを含む細胞の数、および単一細胞に侵入した外因性ミトコンドリアの数は、血清処理を行っていないものよりも有意に多い。外因性ミトコンドリアまたは細胞の血清による処理が、外因性ミトコンドリアが細胞に侵入する効率を向上させる助けとなることがわかる。
(実施形態5)
<補体はミトコンドリアが細胞に侵入するのを助ける>
赤色蛍光タンパク質で標識した外因性ミトコンドリアと既定の濃度のC3補体とを1時間混合し、これを遠心分離して上澄みからC3補体を取り除き、その後沈殿した外因性ミトコンドリアをSHE緩衝液で溶解して元の容積に戻す。
第I群は未処理試料である。第II群〜第V群は、それぞれ0.1μg/mL、1μg/mL、10μg/mL、および20μg/mLのC3補体(Sigma−Aldrich社)で処理した外因性ミトコンドリア5μgである。37℃で4時間共培養した後、各群の細胞における赤色蛍光をレーザーコンジュゲーションフォーカシング顕微鏡で観察し、外因性ミトコンドリアを含む各群の細胞の割合を計算し、次いで定量的統計を行う。外因性ミトコンドリアが細胞に侵入した後の内因性ミトコンドリアと外因性ミトコンドリアとの融合状況を図7A〜図7Cに示す。
図7Aおよび7Bを参照されたい。図中の矢印は、細胞中で外因性ミトコンドリアと内因性ミトコンドリアとが重なっていることを示す黄色蛍光を指す。したがって、図7A〜図7Cの結果によると、外因性ミトコンドリアが補体で処理されているかどうかにかかわらず、細胞に取り込まれた外因性ミトコンドリアと細胞中の元々のミトコンドリアは細胞中の同じ場所に位置しており、これは、外因性ミトコンドリアと内因性ミトコンドリアとの融合現象があり、外因性ミトコンドリアがファゴリソソームから逃れて細胞質に侵入できるということを示している。
さらに、フローサイトメーターの分析結果によると、C3補体で処理されていない第I群では、平均約26.16±4.75%の細胞で赤色蛍光が検出され、第II群では、平均約43.43±3.5%の細胞で赤色蛍光が検出され、第III群では、平均約65.13±7.5%の細胞で赤色蛍光が検出され、第IV群では、平均約78.97±13.35%の細胞で赤色蛍光が検出され、第V群では、約80%の細胞で赤色蛍光が検出され、さらに、第II群〜第V群は、第I群との統計的に有意な差(p<0.05)を示している。
上記の結果によると、外因性ミトコンドリアに補体を供給すると、細胞に侵入する外因性ミトコンドリアの割合が有意に増加し、取り込まれた外因性ミトコンドリアは内因性ミトコンドリアと融合することができる。さらに、補体の濃度が増加するにつれ、細胞に侵入する外因性ミトコンドリアの数も増加する。
(実施形態6)
<分離したミトコンドリアは血清または補体による損傷を受けない>
分離した外因性ミトコンドリアを4つの群に分け、各群を5μgとする。第I群はブランク試料であり、第II群は100倍に希釈したウシ胎仔血清で処理した外因性ミトコンドリアであり、第III群は濃度10μg/mLのC3補体で処理した外因性ミトコンドリアであり、第IV群は濃度100nMの細胞透過性ペプチドPep−1で処理した外因性ミトコンドリアである。各群を37℃で4時間培養する。その後、各群のミトコンドリアの外観を透過型電子顕微鏡で観察し、結果を図8A〜図8Dに示す。
図8A〜図8Dの結果によると、第II群および第III群のミトコンドリアの外観は、第I群のミトコンドリアの外観と類似している。第I群と比較して、細胞透過性ペプチドで処理した第IV群の外因性ミトコンドリアは、膨張し、破裂がある。したがって、細胞透過性ペプチドと比較すると、血清および補体は、低い毒性を示し、外観に損傷を与えず、そのため血清および補体は、ミトコンドリアが細胞に侵入した後、ミトコンドリアの完全性を維持することができる。
(実施形態7)
<ヒト臍血管内皮細胞を培養する>
ヒト臍血管内皮細胞(HUVEC細胞)をFood Industry Research and Development Institute社(台湾、新竹市)から購入する。HUVEC細胞をM199培地で培養し、10%ウシ胎仔血清、0.1%ヘパリン、および0.03%内皮細胞成長サプリメントを添加する。HUVEC細胞は、0.1重量%ゼラチンでコーティングしたペトリ皿で培養することができる。
(実施形態8)
<ミトコンドリアは細胞老化を遅延する>
まず、ミトコンドリアをヒト線維芽細胞HS68から分離し、このミトコンドリアを外因性ミトコンドリアの供給源として使用する。各群は5μgとする。ミトコンドリアを補体で処理した後、このミトコンドリアを赤色蛍光を示すミトコンドリア追跡用染料(Mitotracker)で染色する。
次いで、初代培養HUVEC細胞を過酸化水素で処理して老化させる。8世代培養HUVEC細胞(8×10細胞/ウェル)を、37℃で2時間100μMの過酸化水素で処理し、これをリン酸緩衝液で洗浄して過酸化水素を除去する。この細胞を標準細胞培地で1日培養した後、3つの群に分ける。第I群はミトコンドリアを加えていないブランク群であり、第II群は補体で処理されていないミトコンドリアであり、第III群は補体で処理されたミトコンドリアである。各群の細胞をそれぞれ4時間培養した後、これらの細胞にそれぞれ細胞老化関連βガラクトシダーゼ(SA β−gal)染色を行い、Ki67およびBrdU染色分析を行う。
Ki67およびBrdUの染色工程は、本開示の技術分野で一般的な周知の技法であり、当業者に一般的に知られており、したがってこの染色工程はここでは繰り返して説明しない。
SA β−galの染色工程を以下に示す。まず、細胞をリン酸緩衝液で洗浄し、次いで2%パラホルムアルデヒドおよび0.2%グルタルアルデヒドで5分間、細胞の固定を行い、その後37℃で12時間この細胞を染料で処理する。この染料は、1 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(BCIGまたはX−gal)、40mMクエン酸/リン酸緩衝液(pH6.0)、5mMフェリシアン化カリウム、5mMフェリシアン化ナトリウム、150mM NaCl、および2mM MgClを含む。最後に、細胞を0.5%エオシンで染色し、顕微鏡で観察する。
SA β−gal染色後の結果を図9A〜図9Dに示す。図9Aに示すように、外因性ミトコンドリアはHUVEC細胞に侵入することができる。図9B〜図9Dに示すように、第I群のHUVEC細胞は、明らかにSA β−galで染色されている。第II群のHUVEC細胞はSA β−galで染色されているが、第I群と比較すると、第II群の染色されたHUVEC細胞の数は、有意に減少している。第I群および第II群と比較すると、第III群のHUVEC細胞は、SA β−galでほとんど染色されていない。染色結果の統計的分析をさらに実施すると、第I群では約85±12.3%の細胞が染色され、第II群では約60.1±6.8%の細胞が染色され、第III群では約25±6.2%の細胞が染色されていることが示される。
さらに、Ki67およびBrdUの染色結果の計数を実施すると、Ki67およびBrdUで染色された第I群のHUVEC細胞の割合は、それぞれ13.3%および13%となる。第I群と比較すると、Ki67およびBrdUで染色された第II群のHUVEC細胞の割合は、それぞれ35%および33%に増加する。Ki67およびBrdUで染色された第III群のHUVEC細胞の割合は最も高く、それぞれ71%および59.6%である。さらに、添加するミトコンドリアをウシ胎仔血清で処理すると、補体で処理したときと同様の効果が得られる。
上記の結果によると、細胞に侵入する外因性ミトコンドリアは、細胞老化の程度を軽減し、細胞の成長を改善し、細胞複製の効率を改善することができる。さらに、細胞に侵入する外因性ミトコンドリアの数の増加に伴い、細胞老化の程度は有意に低下し、細胞分裂の段階の細胞の数が増加し、それによって細胞の複製および成長が改善される。したがって、本開示において開示される外因性ミトコンドリアを含む医薬組成物を個人に投与することは、細胞老化の程度を軽減または遅延することができ、またこの医薬組成物が、血清、血漿、または補体のようなミトコンドリアが細胞に侵入するのを助ける組成物をさらに含むと、その効果は有意に改善する。
(実施形態9)
<動物実験(1)>
赤色蛍光を有するミトコンドリアをRedM−BHK細胞から分離し、100倍に希釈したウシ胎仔血清または10μg/mLのC3補体で処理する。48週齢の自然老化ヌードマウスを用意し、このヌードマウスの皮下組織にミトコンドリアを注入する。1時間後、このヌードマウスの全皮膚を採取し、次いで4%パラホルムアルデヒドで5分間固定し、その後この試料を0.1Mリン酸緩衝液に試料が沈むまで入れておいてから、この試料を最適切断温度コンパウンド(OCT)で浸漬および包理して凍結切断するが、この切片の厚さは12μmとする。切片をコンジュゲーションフォーカシング顕微鏡で観察し、結果を図10に示す。
図10は、ミトコンドリア移植後のヌードマウスの真皮部分を示している。青色蛍光は、DAPIで染色した線維芽細胞の細胞核を示し、赤色蛍光は、RedM−BHK細胞から分離したミトコンドリアを示す。図10に示すように、ミトコンドリアは、移植後に真皮の線維芽細胞に侵入することができる。
(実施形態10)
<ミトコンドリアを肝細胞から分離する>
まず、マウスを深麻酔下で致死させ、肝臓の血液が除去されるまで、マウスに生理食塩水でかん流を行う。1cmの肝組織を採取し、約6mlのSHE緩衝液を加えて、組織粉砕装置で粉砕してから、これを1000xgで15分間遠心分離して上澄みを得る。さらに、同時に、濃度が55%、40%、および30%のショ糖溶液を遠心管に加えて、30%以上55%以下のショ糖勾配遠心管を得る。遠心分離工程で得た上澄みをこの勾配遠心管の最上層に加えてから、これを35000rpmで30分間遠心分離して、40%層と55%層との界面に白色層を形成する。約1mlの白色層を回収して15ml遠心管に加え、5mlのSHE緩衝液を加えて、これを13000xgで3分間遠心分離してから、上澄みを取り除き、その後3分間の遠心分離工程を繰り返す。最後に、ミトコンドリア沈殿物を200μLのSHE緩衝液に溶解した後、そこにプロテアーゼ阻害剤を加え、これを4℃で保管する。
(実施形態11)
<動物実験(2)>
48週齢の自然老化ヌードマウス32匹を用意して4群に分ける。各群はマウス8匹であり、異なる条件で12週間処置する。第I群は、未処置群であり、第II群では、肝細胞ミトコンドリア1000μgが週1回各マウスに注入され、第III群では、補体で処理した肝細胞ミトコンドリア1000μgが週1回各マウスに注入され、第IV群では、血清で処理した肝細胞ミトコンドリア1000μgが週1回各マウスに注入される。第II群〜第IV群のマウスでの皮下注射法は、5000μg/mLの肝細胞ミトコンドリアを各マウスの背中の20個所に注入するように均等に分割し、各個所の注入用量は0.01mlとし、合計注入用量は0.2mlとする。補体または血清のみによって生じたしわへの効果を除外するために、補体または血清で処理したミトコンドリアを注入する前に、実験中2回の高速遠心分離によって上澄みに残った補体および血清を除去する。
この実験後、実施形態9に示す工程と同様に、各群の各ヌードマウスの全皮膚を撮影し、切片を凍結し、染色する。皮膚の撮影結果を図11A〜図11Dに示す。各群のヌードマウスの表皮のしわの粗さを分析し、結果を図12に示すが、図中の*印は、第I群との有意な差を示す。さらに、真皮コラーゲン層の中身を示すために、各群のヌードマウスの皮膚組織にマッソン三色染色を行い、結果を図13A〜図13Dに示す。
図12に示す結果のとおり、外因性ミトコンドリアを注入した第II群〜第IV群で観察されるしわは、未処置の第I群よりも低値であり、第III群および第IV群のヌードマウスの皮膚のしわは、第II群のものよりも薄い。さらに、図13A〜図13Dに示す結果のとおり、第I群が最も厚い表皮を有し、第II群〜第IV群の表皮の厚さは、第I群のものよりも薄く、コラーゲン層の染色は第I群のものよりも濃い。
図11A〜図13Dに示す結果によると、投与された本開示において開示される外因性ミトコンドリアは、生体の細胞に侵入することができ、しわの発生を効果的に軽減し、表皮線維芽細胞のコラーゲン生成能力を改善する。さらに、血清および補体が外因性ミトコンドリアの細胞への侵入を助けることから、血清または補体で処理した外因性ミトコンドリアは、より優れた抗老化力を有する。したがって、本開示において開示される外因性ミトコンドリアを含む医薬組成物は、皮膚老化を遅延または軽減する効果を得ることができる。
上記の実施形態によると、本開示において開示される外因性ミトコンドリアおよび有効成分としてこの外因性ミトコンドリアを含む医薬組成物は、以下の利点を有する。
第1に、外因性ミトコンドリアを使用することで、従来技術における同種細胞移植により誘発される拒絶反応を克服することができる。
第2に、外因性ミトコンドリアは、幅広い供給源であり、またヒトの健康に対して有害でない正常細胞株または生体から得ることができる。例えば、既知の細胞移植技法は、がんまたは腫瘍の発生につながることがある。
第3に、外因性ミトコンドリアは、細胞に直接侵入して、内因性ミトコンドリアと融合し、それによって老化した細胞または損傷した細胞中の損傷したミトコンドリアの代わりとなることができ、細胞の酸化的ストレスを軽減する効果、細胞の正常な機能を回復する効果、および細胞の長期的かつ直接的な保護を提供する効果を得ることができる。
第4に、外因性ミトコンドリアは、血清または補体での処理後、完全に細胞に侵入することができ、細胞透過性ペプチドまたはリポソームでの処理により誘発される細胞毒性効果を回避することができる。
第5に、外因性ミトコンドリアは、しわおよび皮膚老化現象を根本的に軽減し、コラーゲン合成の増加を効果的に誘発することができる。
したがって、本開示において開示される医薬組成物は、高い安全性を示し、有効用量の医薬組成物を個人に投与することにより、外因性ミトコンドリアが細胞に侵入すると、損傷したミトコンドリアを含む細胞を修復する効果および老化現象を軽減する効果が得られる。
上記は、実施形態による本開示の例示にすぎず、本開示の趣旨の範囲内における、当業者による本明細書の実施形態のいかなる変更または修正も本開示の特許請求の範囲に含まれるものとする。
参考文献
Lamb CA, Yoshimori T, Tooze SA (2013) The autophagosome: origins unknown, biogenesis complex. Nat Rev Mol Cell Biol 14: 759−774.
Mukhopadhyay S, Panda PK, Sinha N, Das DN, Bhutia SK (2014) Autophagy and apoptosis: where do they meet? Apoptosis 19: 555−566.
Ghavami S, Shojaei S, Yeganeh B, Ande SR, Jangamreddy JR, et al. (2014) Autophagy and apoptosis dysfunction in neurodegenerative disorders. Prog Neurobiol 112: 24−49.
Brennan LA, Kantorow M (2009) Mitochondrial function and redox control in the aging eye: role of MsrA and other repair systems in cataract and macular degenerations. Exp Eye Res 88: 195−203.
Jarrett SG, Lewin AS, Boulton ME (2010) The importance of mitochondria in age−related and inherited eye disorders. Ophthalmic Res 44: 179−190.
Blatt T, Lenz H, Koop U, Jaspers S, Weber T, et al. (2005) Stimulation of skin’s energy metabolism provides multiple benefits for mature human skin. Biofactors 25: 179−185.
Makrantonaki E, Zouboulis CC (2007) Molecular mechanisms of skin aging: state of the art. Ann N Y Acad Sci 1119: 40−50.
King MP, Attardi G (1988) Injection of mitochondria into human cells leads to a rapid replacement of the endogenous mitochondrial DNA. Cell 52: 811−819.
King MP, Attardi G (1989) Human cells lacking mtDNA: repopulation with exogenous mitochondria by complementation. Science 246: 500−503.
Chang JC, Liu KH, Li YC, Kou SJ, Wei YH, et al. (2013) Functional recovery of human cells harbouring the mitochondrial DNA mutation MERRF A8344G via peptide−mediated mitochondrial delivery. Neurosignals 21: 160−173.
Spees JL, Olson SD, Whitney MJ, Prockop DJ (2006) Mitochondrial transfer between cells can rescue aerobic respiration. Proc Natl Acad Sci U S A 103: 1283−1288.

Claims (9)

  1. C3補体により処理された外因性ミトコンドリアと、
    少なくとも1つの薬学的または化粧品的に許容される担体と、
    を含む組成物。
  2. 前記外因性ミトコンドリアの濃度は5000μg/mLである
    請求項1に記載の組成物。
  3. 前記外因性ミトコンドリアは細胞から抽出される、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記外因性ミトコンドリアが遠心精製法により細胞から得られる、請求項1に記載の組成物。
  5. 皮膚細胞の老化を軽減または防止をするための処理に対する医薬の製造のための請求項1に記載の組成物の使用。
  6. 損傷したミトコンドリアを含む細胞を修復するための処理に対する医薬の製造のための請求項1に記載の組成物の使用。
  7. 細胞を修復するための処理に対する医薬の製造のための組成物の使用であって、
    前記組成物は、C3補体により処理された外因性ミトコンドリアと、
    少なくとも1つの薬学的または化粧品的に許容される担体と、
    含み、
    前記外因性ミトコンドリアが細胞に侵入し、老化したミトコンドリアまたは損傷したミトコンドリアの代わりとなる、
    組成物の使用。
  8. 前記外因性ミトコンドリアが0.1μg/mL〜20μg/mLの濃度でC3補体により処理される、請求項7に記載の組成物の使用。
  9. 前記外因性ミトコンドリアが0.1μg/mL〜20μg/mLの濃度でC3補体により処理される、請求項1に記載の組成物。
JP2017517341A 2014-09-30 2014-09-30 活性成分として外因性ミトコンドリアを含む組成物、ならびにその使用およびそのための細胞修復法 Active JP6441472B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/CN2014/087975 WO2016049867A1 (zh) 2014-09-30 2014-09-30 以外源性线粒体为有效成份的组合物、其用途及修复细胞的方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017530148A JP2017530148A (ja) 2017-10-12
JP6441472B2 true JP6441472B2 (ja) 2018-12-19

Family

ID=55629294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017517341A Active JP6441472B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 活性成分として外因性ミトコンドリアを含む組成物、ならびにその使用およびそのための細胞修復法

Country Status (3)

Country Link
US (2) US20170290763A1 (ja)
JP (1) JP6441472B2 (ja)
WO (1) WO2016049867A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013035101A1 (en) 2011-09-11 2013-03-14 Minovia Therapeutics Ltd. Compositions of functional mitochondria and uses thereof
AU2015274367B2 (en) 2014-06-13 2020-11-26 Beth Israel Deaconess Medical Center, Inc. Products and methods to isolate mitochondria
US11903975B2 (en) 2015-11-30 2024-02-20 Flagship Pioneering Innovations V, Inc. Methods and compositions relating to chondrisomes from blood products
WO2017124037A1 (en) * 2016-01-15 2017-07-20 The Children's Medical Center Corporation Therapeutic use of mitochondria and combined mitochondrial agents
JP7325170B2 (ja) * 2017-02-01 2023-08-14 ロート製薬株式会社 美容組成物及びミトコンドリアトランスファー促進剤
US20200023005A1 (en) * 2017-03-26 2020-01-23 Minovia Therapeutics Ltd. Mitochondrial compositions and methods for treatment of skin and hair
WO2019151840A1 (ko) * 2018-02-02 2019-08-08 주식회사 파이안바이오테크놀로지 분리된 미토콘드리아를 포함하는 류마티스 관절염 예방 또는 치료용 약학 조성물
EP3823640A4 (en) 2018-07-22 2022-05-18 Minovia Therapeutics Ltd. MITOCHONDRIAL AUGMENTATION THERAPY OF MUSCULAR DISEASES
EP3851112A4 (en) * 2018-09-14 2022-07-27 Luca Science Inc. TRANSPLANTATION OF MITOCHONDRIA IN A LYMPHOID ORGAN AND ASSOCIATED COMPOSITION
CN113046304B (zh) * 2021-04-09 2023-05-16 四川大学华西医院 一种线粒体的分离方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2350565A (en) * 1999-05-28 2000-12-06 Johnson & Johnson Medical Ltd Biological wound dressings comprising mitochondria
WO2003012050A2 (en) * 2001-07-31 2003-02-13 Northeastern University Mitochondrial genome replenishment
ES2685947T3 (es) * 2009-04-10 2018-10-15 Haiyan Qi Agentes antienvejecimiento
US20130022666A1 (en) * 2011-07-20 2013-01-24 Anna Brzezinska Methods and compositions for transfer of mitochondria into mammalian cells
WO2013035101A1 (en) * 2011-09-11 2013-03-14 Minovia Therapeutics Ltd. Compositions of functional mitochondria and uses thereof

Also Published As

Publication number Publication date
US20170290763A1 (en) 2017-10-12
WO2016049867A1 (zh) 2016-04-07
JP2017530148A (ja) 2017-10-12
US20220168215A1 (en) 2022-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6441472B2 (ja) 活性成分として外因性ミトコンドリアを含む組成物、ならびにその使用およびそのための細胞修復法
KR101723265B1 (ko) mTOR/STAT3 신호억제제 처리된 면역조절능을 갖는 간엽줄기세포 및 이를 포함하는 면역질환의 예방 또는 치료용 세포치료제 조성물
JP7218897B2 (ja) 心不全の治療及び/又は予防に用いるための心筋幹細胞の製造方法
KR102019277B1 (ko) 미토콘드리아를 포함하는 허혈성 질환 예방 또는 치료용 조성물
EP2897976B1 (en) Use of pedf-derived peptides for preventing and/or ameliorating skin aging
WO2020054829A1 (ja) ミトコンドリアのリンパ器官への移植およびそのための組成物
CN103585177A (zh) 间充质干细胞和基因修饰的间充质干细胞的用途
CN105520891B (zh) 以外源性线粒体为有效成份的组合物、其用途及修复细胞的方法
US20190055560A1 (en) Fats as a target for treating tumors and uses thereof
US10000738B2 (en) Usage of odontogenic stem cells and genetically modified odontogenic stem cells
TWI672147B (zh) 以外源性粒線體爲有效成份之組合物、其用途及修復細胞之方法
CN117547524A (zh) 吉马酮化合物的新用途
US20210379104A1 (en) Pharmaceutical composition comprising isolated mitochondria for preventing or treating tendinopathy
US20200352954A1 (en) Methods of treating age-related symptoms in mammals and compositions therefor
Lee Rescuing Photoreceptors in RPE Dysfunction-Driven Retinal Degeneration: The Role of Small Extracellular Vesicles Secreted from Retinal Pigment Epithelium
WO2023167484A1 (ko) 중간엽 줄기세포로부터 추출된 엑소좀을 함유하는 망막변성질환 예방 또는 치료용 조성물
KR20120058829A (ko) 세콰이어 캘러스 추출물을 함유하는 지방유래 줄기세포의 줄기세포성 증진용 및 피부세포 증식용 조성물
KR20230172252A (ko) 기능강화 줄기세포를 포함하는 관절염 예방 또는 치료용 조성물
Elbaz et al. Keratin 10 In Investigating The Healing Power Of Bone Marrow Derived Stem Cells Compare d To Microvesicles In Tongue Of Irradiated Albino Rats
RU2620069C2 (ru) Вещество и способ модуляции пролиферации и дифференцировки регуляторных, стволовых и других соматических клеток
CN117064981A (zh) 石斛来源纳米囊泡在制备促进伤口愈合药物中的应用
KR20160029957A (ko) 줄기세포를 포함하는 턱관절 장애 예방 또는 치료용 약학적 조성물
KR20190092348A (ko) 미토콘드리아를 포함하는 허혈성 질환 예방 또는 치료용 조성물
Hassan et al. Potential Effect of Bone Marrow-Derived Mesenchymal Stem Cells on Zymogen Granules and Rab3D in Parotid Salivary Glands of Senile Albino Rats
CN115645525A (zh) Ctgf中和抗体在制备防治绝经后骨关节炎的药物中的应用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180326

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180807

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6441472

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250